JPWO2003090368A1 - イメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式およびダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式 - Google Patents

イメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式およびダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式 Download PDF

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Abstract

イメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式は、I相およびQ相の中間周波数信号に対して直交する二つの信号で変調した後、二つの信号を重ね合わせてから一つの増幅器で増幅し、その後で変調をかけた直交する二つの信号で変調することにより、一つの増幅器でI相およびQ相の信号を増幅できる。そのため、両相に対するゲインのずれが無く、高いイメージ除去比を得ることができる。また、ダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式は、2相のベースバンド信号を一つの増幅器によりそれぞれ増幅することにより、2相の間のベースバンド増幅における利得の差をなくすことができ、サブキャリア同士の高い非干渉性能を実現することができる。

Description

技術分野
本発明は、イメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式およびダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式に関するものである。
背景技術
従来のイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式は、第16図に示すようになっている。すなわち、アンテナなどにより受信した高周波信号が、バンドパスフィルタ41により必要な周波数帯域の信号が取り出された後、高周波増幅器31により増幅され、ミキサ21a,21bに供給される。第1局部発振器11においては、受信した高周波信号を中間周波信号に変換するための信号を発振し、その信号は移相器51により位相が互いに90度ずれた2相の信号に変換され、ミキサ21a,21bに供給される。ミキサ21a,21bにおいては、増幅された高周波信号と、移相器51から出力される2相の信号の混合が行なわれ、それらの信号の周波数の差を周波数とする信号が2相の信号として取り出される。ミキサ21a,21bの出力信号は、バンドパスフィルタ42a,42bに入力され、受信したい信号およびそのイメージ信号のみが通過し、中間周波増幅器入力信号94a,94bが出力される。
中間周波増幅器入力信号94a,94bは、中間周波増幅器である増幅器32a,32bによってそれぞれ増幅されて、中間周波増幅器出力信号95a,95bが生成される。中間周波増幅器出力信号95a,95bは、変調器53において、第2局部発振器13の出力である2相の局部発振器出力信号92a,92bにより変調され、イメージ信号は除去され、所望の受信信号に対するベースバンド信号96a,96bが得られる。ベースバンド信号96a,96bは復調器61に入力され、ディジタル信号が復調される。
イメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式は低IF方式とも呼ばれ、ヘテロダイン方式の利点を持ちながら中間周波フィルタであるバンドパスフィルタ42a,42bの実現が特に小型化の観点から容易であるといった利点を持っている。イメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式においては、2相の中間周波信号である中間周波増幅器入力信号94a,94bをそれぞれ増幅する必要があるが、今までは、それらを別々の増幅器32a,32bにより増幅していた。
しかし、従来のイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式では、中間周波増幅器である増幅器32a,32bにおいて可変利得増幅器を使用する必要があるが、2相の中間周波信号を別々の増幅器32a,32bで増幅するので、二つの可変利得増幅器である増幅器32a,32bの利得を精度良く一致させることが困難であった。このことが原因して、従来のイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式は、高いイメージ信号除去比を実現することが困難であった。
また、従来のダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式は、第17図に示すようになっている。すなわち、アンテナなどにより受信した高周波信号は、バンドパスフィルタ41により必要な周波数帯域の信号が取り出された後、高周波増幅器31により増幅され、ミキサ21a,21bに供給される。第1局部発振器11においては、受信した高周波信号をベースバンド信号に変換するための信号を発振し、その信号は移相器51により位相が互いに90度ずれた2相の信号に変換され、ミキサ21a,21bに供給される。ミキサ21a,21bにおいては、増幅された高周波信号と、移相器51から出力される2相の信号の混合が行なわれ、ベースバンド信号が2相の信号として取り出される。ミキサ21a,21bの出力信号は、バンドパスフィルタ42a,42bに入力され、受信したい帯域の信号のみが通過し、ベースバンド信号98a,98bが出力される。
ベースバンド信号98a,98bは、それぞれ増幅器32a,32bによって増幅されることによって2相のベースバンド出力信号90a,90bが生成される。ベースバンド出力信号90a,90bは、高速フーリエ変換演算器(以下、FFT演算器と記す)62においてサンプリングおよびFFT演算がなされる。FFT演算器62の出力信号は復調器64に送られ、判定されたシンボルが出力データとして出力される。
ダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式は、受信装置の小型化が容易であるといった利点を持っている。ダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式においては、2相のベースバンド信号をそれぞれ増幅する必要があるが、従来は、それらが別々の増幅器32a,32bにより増幅されていた。
ダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式では、ベースバンド増幅器である増幅器32a,32bにおいて可変利得増幅器を使用する必要があるが、2相のベースバンド信号を別々の増幅器32a,32bで増幅するので、二つの可変利得増幅器である増幅器32a,32bの利得を精度良く一致させることがあまり容易ではなかった。直交周波数分割多重(以下、OFDMと記す)により変調された信号を受信する際、これらの利得の不一致はサブキャリア同士の干渉を招いてしまうので、これらの利得をある程度揃えることが必要であり、大変であった。また、これらの利得の不一致誤差がサブキャリア同士の非干渉化性能を悪化させていた。
この現象を説明する。第17図は、従来のダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式の構成を示している。OFDMにより変調された高周波信号は、ミキサ21a,21bによりベースバンド信号98a,98bに変換される。今、fc+f1の周波数のサブキャリアに対して変調してある信号の値をsa、fc−f1の周波数のサブキャリアに対して変調してある信号の値をsbとする。ただし、saおよびsbは複素数である。そして、ベースバンド信号98a,98bに含まれる周波数f1成分は、適当な複素数pa,pbを用いて、それぞれ下記数1となる。
Figure 2003090368
なお、上記数1において、jは純虚数を表すものとし、は掛け算を表すもので、以下においても同様である。また、Re,Imはそれぞれ{}内の実部,虚部を表すものとし、以下においても同様である。
高周波信号の受信時においてフェージングが発生すると、複素数pa,pbの値は変化する。場合によっては、片方の値が極端に小さくなったりする。増幅器32a,32bのゲインをそれぞれga,gb(ともに実数)とすると、FFT演算器62によって算出されるfc+f1およびfc−f1の成分は、それぞれ下記数2となる。
Figure 2003090368
したがってgaとgbの値を精度よく揃えることができれば、fc+f1の周波数のサブキャリアに対して変調してある信号とfc−f1の周波数のサブキャリアに対して変調してある信号を干渉なく再生することができる。しかし、gaの値とgbの値にずれが存在する場合、干渉が発生し、互いの信号を精度よく分離することができなくなる。
本発明は、高いイメージ信号除去比を簡易な構成で安価に実現することができるイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式を提供することを目的としている。また、本発明は、サブキャリア同士の非干渉化を容易に実現することができるダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式を提供することを他の目的としている。
発明の開示
本発明の第1の特徴は、アンテナなどにより受信され増幅された高周波信号に対して、局部発振された位相の異なる2相の第1局部発振器出力信号を混合して2相の中間周波数信号を形成し、2相の中間周波信号に対して二つの互いに直交する変調用直交信号により変調を掛けた信号を足し合わせて一つの合成信号を作成し、合成信号に対して増幅を行なって中間周波増幅器出力信号を生成し、変調用直交信号によりそれぞれ中間周波増幅器出力信号を変調すると共に局部発振された位相の異なる2相の第2局部発振器出力信号を混合することによりイメージ信号が除去された所望のベースバンド信号を形成し、ベースバンド信号を復調することにある。
なお、互いにイメージ信号となる二つの周波数帯の信号を同時に受信するようにすることもできる。
また、本発明の第2の特徴は、アンテナなどにより受信され増幅された高周波信号に対して、局部発振された位相の異なる2相の第1局部発振器出力信号を混合して2相の中間周波数信号を形成し、2相の中間周波信号に対して二つの互いに直交する変調用直交信号により変調を掛けた信号を足し合わせて一つの合成信号を作成し、合成信号に対して増幅を行ない中間周波増幅器出力信号を生成し、位相の異なる2相の第2局部発振器出力信号に対して変調用直交信号により変調を掛けた信号によってそれぞれ中間周波増幅器出力信号を変調することにより、イメージ信号が除去された所望のベースバンド信号を形成し、ベースバンド信号を復調することにある。
なお、互いにイメージ信号となる二つの周波数帯の信号を同時に受信するようにすることもできる。
また、本発明において、二つの互いに直交する変調用直交信号として互いに位相が90度ずれている矩形波または正弦波を用いることができる。
さらに、本発明において、二つの互いに直交する変調用直交信号として、それぞれ{1,−1,1,−1,1,1,−1,−1}および{1,1,−1,−1,1,−1,1,−1}を系列とする2値信号を用いることもできる。
第1,第2の特徴においては、2相の中間周波信号を一つの増幅器によりそれぞれ増幅することにより、2相の間の中間周波増幅における利得の差をなくすことができ、イメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式において高いイメージ信号除去比を実現することができる。二つの入力信号を一つの増幅器でそれぞれ増幅する手段としては、互いに直交する二つの信号により二つの入力信号に対して変調を掛け、その出力同士を足し合わせた信号を一つの増幅器で増幅し、増幅器の出力信号を先の互いに直交する二つの信号により変調を掛けることにより、それぞれの入力信号に対して増幅された信号を得ることができる。
また、本発明の第3の特徴は、直交周波数分割多重により変調された高周波信号を周波数が受信信号の中心周波数に等しく互いに位相が90度ずれた2相の局部発振器出力信号によりそれぞれ変調することによって2相のベースバンド信号を形成し、2相のベースバンド信号に対して二つの互いに直交する変調用直交信号により変調を掛けた信号を足し合わせて一つの合成信号を作成し、合成信号に対して増幅を行ない合成信号増幅器出力信号を生成し、変調用直交信号によって合成信号増幅器出力信号を変調し、変調された合成信号増幅器出力信号にフーリエ変換を掛けた結果をもとに、直交周波数分割多重に対する復調を行なうことにある。
さらに、本発明の第4の特徴は、直交周波数分割多重により変調された高周波信号を、周波数が受信信号の中心周波数に等しく互いに位相が90度ずれた2相の局部発振器出力信号によりそれぞれ変調することにより2相のベースバンド信号を形成し、2相のベースバンド信号に対して、二つの互いに直交する変調用直交信号により変調を掛けた信号を足し合わせて一つの合成信号を作成し、合成信号に対して増幅を行なって合成信号増幅器出力信号を生成し、合成信号増幅器出力信号に対してフーリエ変換を掛けた結果をもとに、直交周波数分割多重に対する復調を行なうことにある。
なお、二つの互いに直交する変調用直交信号として、それぞれ{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする3値信号を用いることができる。
第3,第4の特徴によれば、2相のベースバンド信号を一つの増幅器によりそれぞれ増幅することにより、2相の間のベースバンド増幅における利得の差をなくすことができ、ダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式においてサブキャリア同士の高い非干渉性能を実現することができる。二つの入力信号を一つの増幅器でそれぞれ増幅する手段としては、互いに直交する二つの信号により二つの入力信号に対して変調を掛け、その出力同士を足し合わせた信号を一つの増幅器で増幅し、増幅器の出力信号(合成出力信号)を先の互いに直交する二つの信号により変調を掛けることにより、それぞれの入力信号に対して増幅された信号を得ることができる。
また、前出の互いに直交する二つの信号の信号列を、それぞれ{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする2値信号列とすることより、受信信号のサイン成分およびコサイン成分の増幅におけるクロストークが、受信信号の位相回転として現れるため、実質的に信号受信における信号処理に対して何ら影響を及ぼさなくなる。
さらに、前出の互いに直交する二つの信号の信号列を、それぞれ{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする2値信号列の信号レートを受信するOFDM信号の最大サブキャリア周波数の4倍以上とするので、合成出力信号はベースバンド信号を2値信号列の信号レートの1/4倍だけ周波数がシフトし、片側周波数帯域の信号として扱えるため、合成出力信号に対してフーリエ変換を掛けることによりOFDMに対する復調を行なうことができる。
発明を実施するための最良の形態
1.第1実施例
第1図は、本発明の第1実施例であるイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式の構成を示すブロック図であり、クォドラチャ フェーズ シフト キーング(以下、QPSKと記す)によりディジタル変調された高周波信号を受信する受信装置のうちの、高周波信号を入力してからディジタル信号を出力するまでの部分である。第2図は、第1図における変調器53のブロック図である。中間周波数に対するイメージ信号は変調器53における加算器73a,73bにおいて相殺しているので、高いイメージ信号除去比を得るためには、高周波信号から中間周波増幅器出力信号95a,95bまでの利得を揃える必要がある。
アンテナなどにより受信した高周波信号は、バンドパスフィルタ41により必要な周波数帯域の信号が取り出された後、高周波増幅器31により増幅され、ミキサ21a,21bに供給される。第1局部発振器11においては、受信した高周波信号を中間周波信号に変換するための信号を発振し、その信号は移相器51により位相が互いに90度ずれた2相の信号に変換され、ミキサ21a,21bに供給される。ミキサ21a,21bにおいては、増幅された高周波信号と、移相器51から出力される2相の信号の混合が行なわれ、それらの信号の周波数の差を周波数とする信号が2相の信号として取り出される。ミキサ21a,21bの出力信号は、バンドパスフィルタ42a,42bに入力され、受信したい信号およびそのイメージ信号のみが通過し、中間周波増幅器入力信号94a,94bが出力される。
直交信号発生器12は、中間周波数よりも高い周波数の互いに直交する二つの信号である変調用直交信号91a,91bを出力する。中間周波増幅器入力信号94a,94bは、乗算器22a,22bにおいて、それぞれ変調用直交信号91a,91bによって変調され、変調された二つの信号は加算器71によって足し合わされ、中間周波増幅器である一つの増幅器32によって増幅される。増幅器32の出力信号は、乗算器25a,25bにおいて変調用直交信号91a,91bによって変調され、それぞれローパスフィルタ43a,43bを通過することによって中間周波増幅器出力信号95a,95bが生成される。
変調用直交信号91a,91bは互いに直交しているので、中間周波増幅器出力信号95a,95bは、それぞれ中間周波増幅器入力信号94a,94bに対して増幅を行なったものとなっている。また、二つの信号に対して一つの増幅器32により増幅を行なっているので、中間周波増幅器入力信号94aから中間周波増幅器出力信号95aまでの利得と、中間周波増幅器入力信号94bから中間周波増幅器出力信号95bまでの利得を揃えることができる。
中間周波増幅器出力信号95a,95bは、変調器53において、第2局部発振器13の出力である2相の局部発振器出力信号92a,92bにより変調され、イメージ信号は除去され、所望の受信信号に対するベースバンド信号96a,96bが得られる。中間周波増幅器入力信号94aから中間周波増幅器出力信号95aまでの利得と、中間周波増幅器入力信号94bから中間周波増幅器出力信号95bまでの利得が等しいので、変調器53においてイメージ信号を高い除去率において除去することが可能となる。ベースバンド信号96a,96bは復調器61に入力され、ディジタル信号が復調される。
本発明の第1実施例においては、変調用直交信号91a,91bとして、第3図に示すような、互いに位相が90度ずれた2相の矩形波を用いている。2値信号である矩形波を用いることにより、乗算器22a,22b,25a,25bをアナログスイッチなどにより実現することができるので、中間周波増幅器入力信号94aから中間周波増幅器出力信号95aまでの利得と、中間周波増幅器入力信号94bから中間周波増幅器出力信号95bまでの利得を揃えることがより容易になる。また、直交信号発生器12における変調用直交信号91a,91bの生成も容易なものとなる。
なお、第1実施例においては、ローパスフィルタ43a,43bを使用しているが、ローパスフィルタ43a,43bの代わりにバンドパスフィルタを用いてもよい。また、ローパスフィルタ43a,43bの代わりに、変調用直交信号91a,91bの1周期または整数周期に渡る平均値に比例する値を出力するものであってもよいし、その値に対してローパスまたはバンドパスのフィルタ演算した値を出力するものであってもよい。
また、第1実施例においては、乗算器25a,25bの出力に対してローパスフィルタ43a,43bを通してから信号を変調器53に入力しているが、乗算器25a,25bの出力信号を直接変調器53に入力し、変調器53の出力信号に対してローパスフィルタにより不要な信号成分を除去するようにしてもよい。
第1実施例においては、中間周波増幅器入力信号94a,94bを得るのに、高周波信号から1回の周波数変換を行なっているが、複数回の周波数変換により高周波信号から中間周波増幅器入力信号94a,94bを得るようにしてもよい。
さらに、第1実施例においては、変調用直交信号91a,91bとして2相の矩形波を用いていたが、中間周波増幅器入力信号94a,94bの周波数帯域以下の周波数成分を含まない平均値ゼロの互いに直交する信号であればよく、互いに周波数が異なる二つの信号を用いてもよい。また、信号波形は矩形でなくてもよく、正弦波であってもよい。さらに、変調用直交信号91a,91bとして、第4図に示すものを用いてもよい。これは、{1,−1,1,−1,1,1,−1,−1}を系列とする信号と、それに対して半周期ずれた信号である{1,1,−1,−1,1,−1,1,−1}を系列とする信号である。第3図に示す変調用直交信号を用いた場合、二つの信号の相関がゼロとなる時間差は1点であるので、増幅器32によって位相遅れなどが発生すると、信号の干渉が発生してしまう。しかし、第4図に示す変調用直交信号を用いた場合、信号の波形は複雑になるが、二つの信号の相関がゼロとなる時間差の範囲が広いため、増幅器32によって発生する位相遅れに起因する信号の干渉は発生しにくい。
また、第1実施例においては、受信周波数が第1局部発振器11の出力周波数と第2局部発振器13の出力周波数の和となるように、変調器53が構成されていたが、受信周波数が第1局部発振器11の出力周波数と第2局部発振器13の出力周波数の差となるように変調器53を構成してもよい。また、イメージ信号の強度などの状況に応じて、受信周波数を第1局部発振器11の出力周波数と第2局部発振器13の出力周波数の和と差で切り換えるようにしてもよい。
また、第1実施例は、QPSKによりディジタル変調された高周波信号を受信するものであったが、別の変調方式により変調された高周波信号に対する受信装置に本発明を適用してもよく、π/4シフトQPSKや周波数シフトキーング(以下、FSKと記す)によりディジタル変調された高周波信号に対する受信装置や、周波数変調(FM)などによりアナログ変調された高周波信号に対する受信装置に適用してもよい。また、直接拡散による符号分割通信の高周波信号に対する受信装置に適用してもよい。
2.第2実施例
第5図は、本発明の第2実施例であるイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式の構成を示すブロック図であり、隣り合う三つの周波数帯の高周波信号を同時に受信するものである。受信する信号の周波数スペクトルを第6図に示す。三つの周波数帯の信号は、それぞれディジタル信号が変調されているものである。中心周波数をfcとする中央の周波数帯域の信号はダイレクトコンバージョン方式で受信し、両サイドの中心周波数をfc+fsとする帯域の信号と中心周波数をfc−fsとする帯城の信号をイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式により受信する。ただし、第1局部発振器11の発振周波数はfcであり、第2局部発振器13の発振周波数はfsである。第7図は、第5図における変調器54の具体例である。
受信した高周波信号は、バンドパスフィルタ41、高周波増幅器31を経て、ミキサ21a,21bにおいて、周波数fcの2相の信号により変調される。ローパスフィルタ45a,45bでは、周波数1.5×fs以下の信号のみが通過するようになっているので、ローパスフィルタ45a,45bの出力信号には、受信したい三つの周波数帯域の信号のみが含まれることになる。ローパスフィルタ45a,45bの出力信号は、それぞれ変調用直交信号91a,91bにより変調され、一つの増幅器32において増幅された後、乗算器25a,25bにおいて再び変調用直交信号91a,91bによりそれぞれ変調されることにより、ローパスフィルタ45a,45bの出力信号に対して増幅された信号がそれぞれ得られる。
乗算器25a,25bの出力信号において、周波数がfs/2以下の信号成分は、第6図における真中の周波数帯の信号成分であるので、ローパスフィルタ46a,46bによって周波数がfs/2以下の信号成分が取り出され、復調器61cによりデジタル信号に復調される。
一方、第6図における両側の周波数帯の信号成分は、乗算器25a,25bの出力信号において、周波数がfs/2から1.5×fsの間の信号成分となっている。そこで、バンドパスフィルタ44a,44bにより周波数がfs/2から1.5×fsの間の信号成分を取りだし、変調器54により、第6図における右側の周波数帯の信号成分をベースバンド信号96a,96bとして取りだし、同時に第6図における左側の周波数成分をベースバンド信号96c,96dとして取り出している。
第2実施例においては、隣り合う三つの周波数帯の信号を受信していたが、隣り合う二つの周波数帯の信号を受信するものであってもよい。その際、片方の周波数帯域の信号をダイレクトコンバージョン方式で受信し、他方をイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式で受信してもよいが、第1局部発振器11の発振周波数を二つの周波数帯の中心周波数の平均とし、第2局部発振器13の発振周波数を二つの周波数帯の中心周波数の差の半分として、二つの周波数帯の双方ともイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式で受信するとよい。また、隣り合わない二つの周波数帯の信号を受信するものであってもよい。その際、第1局部発振器11の発振周波数を二つの周波数帯の中心周波数の平均、第2局部発振器13の発振周波数を二つの周波数帯の中心周波数の差の半分とし、二つの周波数帯の間の不要信号を遮断するために、第5図におけるローパスフィルタ45a,45bをバンドパスフィルタと置き換える。さらに、第2局部発振器13の出力信号として、複数の周波数の出力信号を用意することにより、三つ以上の周波数帯の信号をイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式で受信してもよい。
3.第3実施例
第8図は、本発明の第3実施例であるイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式の構成を示すブロック図であり、QPSKによりディジタル変調された高周波信号を受信する受信装置のうちの、高周波信号を入力してからディジタル信号を出力するまでの部分である。基本的な動作は本発明の第1実施例と同じである部分が多いが、第1実施例においては一旦中間周波増幅器出力信号95a,95bを生成してからベースバンド信号96a,96bを得ているのに対し、第3実施例においては、増幅器32の出力信号から中間周波増幅器出力信号95a,95bを生成せずにベースバンド信号96a,96bを得ているところが異なっている。以下、第3実施例について、その動作が第1実施例と相違する点を説明する。
説明のため、増幅器32の出力信号をx(t)、変調用直交信号91a,91bをそれぞれma(t),mb(t)、局部発振器出力信号92a,92bをそれぞれva(t),vb(t)とする。
第1実施例において、ローパスフィルタ43a,43bが変調器53の出力側に設置された場合、ベースバンド信号96a,96bは下記数3および数4により表わされる信号ya(t),yb(t)に対してローパスフィルタを掛けたものとなる。
Figure 2003090368
数3、数4ともに、第1項および第2項に共通因子x(t)を持つ。また、乗算の順番は入れ替えても結果は同じであるので、下記数5、数6により定義する信号wa(t),wb(t)を用いて、ya(t),yb(t)を下記数7、数8のように求めることができる。
Figure 2003090368
Figure 2003090368
そこで、第3実施例においては、ベースバンド信号検出用変調信号93a,93bとしてwa(t),wb(t)を変調器52において生成し、数7,数8の演算を乗算器23a,23bにおいて行なうようにしている。変調器52は、数5,数6の演算を行なうものであるが、その具体例を第9図に示す。
変調用直交信号91a,91bとして2相の矩形波などの2値信号を用い、局部発振器出力信号92a,92bとして2相の矩形波を用いることにより、ベースバンド信号検出用変調信号93a,93bは、{−a,0,a}(ただし、aは定数)の3値信号となるので、乗算器23a,23bはアナログスイッチ等で実現することができる。さらに、変調用直交信号91a,91bを局部発振器出力信号92a,92bに同期させることにより、乗算器23a,23bおよびローパスフィルタ43a,43bをスイッチトキャパシタ回路により実現することができる。
なお、第3実施例においては、中間周波増幅器入力信号94a,94bを得るのに、高周波信号から1回の周波数変換を行なっているが、複数回の周波数変換により高周波信号から中間周波増幅器入力信号94a,94bを得るようにしてもよい。
また、第3実施例においては、変調用直交信号91a,91bとして2相の矩形波を用いていたが、中間周波増幅器入力信号94a,94bの周波数帯域以下の周波数成分を含まない平均値ゼロの互いに直交する信号であればよく、互いに周波数が異なる二つの信号を用いてもよい。また、矩形波でなくてもよく、正弦波であってもよい。また、変調用直交信号91a,91bとして、第4図に示す信号を用いてもよい。
さらに、第3実施例は、QPSKによりディジタル変調された高周波信号を受信するものであったが、別の変調方式により変調された高周波信号に対する受信装置に本発明を適用してもよく、π/4シフトQPSKやFSKによりディジタル変調された高周波信号に対する受信装置や、FMなどによりアナログ変調された高周波信号に対する受信装置に適用してもよい。また、直接拡散による符号分割通信の高周波信号に対する受信装置に適用してもよい。
4.第4実施例
第10図は、本発明の第4実施例であるイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式の構成を示すブロック図であり、隣り合う三つの周波数帯の高周波信号を同時に受信するものである。受信する信号の周波数スペクトルは第6図に示すものと同じである。三つの周波数帯の信号は、それぞれディジタル信号が変調されているものである。中心周波数をfcとする中央の周波数帯域の信号はダイレクトコンバージョン方式で受信し、両サイドの中心周波数をfc+fsとする帯域の信号と中心周波数をfc−fsとする帯域の信号をイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式により受信する。ただし、第1局部発振器11の発振周波数はfcであり、第2局部発振器13の発振周波数はfsである。第11図は、第10図における変調器55の具体例である。
受信した高周波信号は、バンドパスフィルタ41、高周波増幅器31を経て、ミキサ21a,21bにおいて、周波数fcの2相の信号により変調される。ローパスフィルタ45a,45bでは、周波数1.5×fs以下の信号のみが通過するようになっているので、ローパスフィルタ45a,45bの出力信号には、受信したい三つの周波数帯域の信号のみが含まれることになる。ローパスフィルタ45a,45bの出力信号は、それぞれ変調用直交信号91a,91bにより変調され、増幅器32において増幅される。
増幅器32の出力信号は、乗算器23e,23fにおいて、再び変調用直交信号91a,91bにより変調されると、その出力信号の周波数がfs/2以下の信号成分は、第6図における真中の周波数帯のベースバンド信号であるので、ローパスフィルタ46a,46bによって周波数がfs/2以下の信号成分が取り出され、復調器61cによりデジタル信号に復調される。
一方、第6図における右側の周波数帯の信号成分は、乗算器23a,23bにおいてベースバンド信号検出用変調信号93a,93bにより変調され、そのベースバンド信号が取り出される。その際、第6図における中央の周波数帯の信号成分が混入されているが、その信号成分の周波数はfs/2以上であるので、ローパスフィルタ43a,43bによって周波数がfs/2未満の信号成分のみが取り出され、第6図における右側の周波数帯の信号成分に対するベースバンド信号として復調器61aに入力され、ディジタル信号が復調される。第6図における左側の周波数帯の信号成分も同様に、乗算器23c,23dにおいてベースバンド信号検出用変調信号93c,93dにより変調され、ローパスフィルタ43c,43dによって周波数がfs/2未満の信号成分のみが取り出され、第6図における左側の周波数帯の信号成分に対するベースバンド信号として復調器61bに入力され、ディジタル信号が復調される。
なお、本発明の第4実施例においては、隣り合う三つの周波数帯の信号を受信していたが、隣り合う二つの周波数帯の信号を受信するものであってもよい。その際、片方の周波数帯域の信号をダイレクトコンバージョン方式で受信し、他方をイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式で受信してもよいが、第1局部発振器11の発振周波数を二つの周波数帯の中心周波数の平均とし、第2局部発振器13の発振周波数を二つの周波数帯の中心周波数の差の半分として、二つの周波数帯の双方ともイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式で受信するとよい。また、隣り合わない二つの周波数帯の信号を受信するものであってもよい。その際、第1局部発振器11の発振周波数を二つの周波数帯の中心周波数の平均、第2局部発振器13の発振周波数を二つの周波数帯の中心周波数の差の半分とし、二つの周波数帯の間の不要信号を遮断するために、第10図におけるローパスフィルタ45a,45bをバンドパスフィルタと置き換える。さらに、第2局部発振器13の出力信号として、複数の周波数の出力信号を用意することにより、三つ以上の周波数帯の信号をイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式で受信してもよい。
5.第5実施例
第12図は、第5実施例であるダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式の構成を示すブロック図であり、OFDMにより変調された高周波信号を受信する受信装置のうちの、高周波信号を入力してからシンボルデータを出力するまでの部分である。
アンテナなどにより受信した高周波信号は、バンドパスフィルタ41により必要な周波数帯域の信号が取り出された後、高周波増幅器31により増幅され、ミキサ21a,21bに供給される。第1局部発振器11においては、受信した高周波信号をベースバンド信号に変換するための信号を発振し、その信号は移相器51により位相が互いに90度ずれた2相の信号に変換され、ミキサ21a,21bに供給される。ミキサ21a,21bにおいては、増幅された高周波信号と、移相器51から出力される2相の信号の混合が行なわれ、ベースバンド信号が2相の信号として取り出される。ミキサ21a,21bの出力信号は、バンドパスフィルタ42a,42bに入力され、受信したい帯域の信号のみが通過し、ベースバンド信号98a,98bが出力される。
直交信号発生器12は、サブキャリアの最高周波数よりも高い周波数の互いに直交する二つの信号である変調用直交信号91a,91bを出力する。この例においては、第13図に示すような{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする3値信号を用いる。これらの信号のサンプリング周波数はFFT演算器62におけるサンプリング周波数の2倍とする。
ベースバンド信号98a,98bは、乗算器22a,22bにおいて、それぞれ変調用直交信号91a,91bによって変調され、変調された二つの信号は加算器71によって足し合わされ、一つの増幅器32によって増幅される。増幅器32の出力信号は、乗算器25a,25bにおいて変調用直交信号91a,91bによってそれぞれ変調され、それぞれローパスフィルタ43a,43bを通過することによって2相のベースバンド出力信号90a,90bが生成される。
変調用直交信号91a,91bは互いに直交しているので、ベースバンド出力信号90a,90bは、それぞれベースバンド信号98a,98bに対して増幅を行なったものとなっている。また、二つの信号に対して一つの増幅器32により増幅を行なっているので、ベースバンド信号98aからベースバンド出力信号90aまでの利得と、ベースバンド信号98bからベースバンド出力信号90bまでの利得を揃えることができる。
変調用直交信号91a,91bとして、前述のように第13図に示すような{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする3値信号を用いると、乗算器22a,22bはアナログスイッチにより実現することができ、ローパスフィルタ43a,43bはサンプルホールドまたはアナログスイッチと積分器の組み合わせにより実現することができる。
ベースバンド出力信号90a,90bは、FFT演算器62においてサンプリングおよびFFT演算がなされる。ベースバンド出力信号90aの値が実部、ベースバンド出力信号90bの値が虚部として扱われる。このとき、ベースバンド信号98aからベースバンド出力信号90aまでの利得と、ベースバンド信号98bからベースバンド出力信号90bまでの利得が揃っているので、サブキャリア同士の干渉を抑制することができる。FFT演算器62の出力信号は復調器64に送られ、判定されたシンボルが出力データとして出力される。
変調用直交信号91a,91bとして、前述のように第13図に示すような{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする3値信号を用いることに対しては、ベースバンド信号98aからベースバンド出力信号90aまでの増幅と、ベースバンド信号98bからベースバンド出力信号90bまでの増幅におけるクロストークの実質的な影響をなくすことができるといった利点がある。すなわち、増幅器32の位相遅れが増幅する周波数帯において十分に小さい場合は、このようなクロストークは十分に小さいが、そうでない場合はクロストークが発生する。
ベースバンド信号98aからベースバンド出力信号90aまでの増幅率およびベースバンド信号98bからベースバンド出力信号90bまでの増幅率がともに等しくgcであるとする。ベースバンド信号98aからベースバンド出力信号90bまでのクロストーク増幅率をjgd(gdは実数、クロストーク増幅率は純虚数となる)とすると、変調用直交信号91a,91bの性質より、ベースバンド信号98bからベースバンド出力信号90aまでのクロストーク増幅率は−jgdとなる。すると、ベースバンド出力信号90a,90bに含まれている周波数f1成分は、それぞれ下記数9となる。
Figure 2003090368
Figure 2003090368
したがって、実際にFFT演算器62において算出される周波数f1およびf1のスペクトルは、それぞれ下記数10となり、本来FFT演算器62において算出されるべき値に対して位相が∠(gc+jgd)だけ回転することになる。
Figure 2003090368
もともと、paおよびpbの位相角は不明であり、等価器によりその値を推定しないといけないものである。クロストークによって回転する位相角は、paおよびpbの位相角に対してすべて足される形で影響しかつ一定の値となるので、等価器において∠pa(gc+jgd)および∠pb(gc+jgd)の値を推定するようにすれば、クロストークの影響は実質的になくなる。
なお、第5実施例においては、変調用直交信号91a,91bとして第13図に示すような{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする3値信号を用いていたが、他の種類の直交信号を用いても良く、第3図に示すような位相が互いに4分の1周期ずれた矩形波を用いても良く、第4図に示すような波形の信号を用いても良い。
6.第6実施例
第14図は、本発明の第6実施例であるダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式の構成を示すブロック図であり、OFDMにより変調された高周波信号を受信する受信装置のうちの、高周波信号を入力してからシンボルデータを出力するまでの部分である。
アンテナなどにより受信した高周波信号は、バンドパスフィルタ41により必要な周波数帯域の信号が取り出された後、高周波増幅器31により増幅され、ミキサ21a,21bに供給される。第1局部発振器11においては、受信した高周波信号をベースバンド信号に変換するための信号を発振し、その信号は移相器51により位相が互いに90度ずれた2相の信号に変換され、ミキサ21a,21bに供給される。ミキサ21a,21bにおいては、増幅された高周波信号と、移相器51から出力される2相の信号の混合が行なわれ、ベースバンド信号が2相の信号として取り出される。ミキサ21a,21bの出力信号は、バンドパスフィルタ42a,42bに入力され、受信したい帯域の信号のみが通過し、ベースバンド信号98a,98bが出力される。
ベースバンド信号98a,98bは、乗算器22a,22bにおいて、それぞれ変調用直交信号91a,91bによって変調され、変調された二つの信号は加算器71によって足し合わされ、一つの増幅器32によって増幅される。
直交信号発生器12は、サブキャリアの最高周波数よりも高い周波数の互いに直交する二つの信号である変調用直交信号91a,91bを出力する。この例においては、第13図に示すような{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする3値信号を用いる。これらの信号のサンプリング周波数はFFT演算器62におけるサンプリング周波数の2倍とする。すると、第15図(a)に示すようなベースバンド信号のスペクトルに対して、ベースバンド合成信号のスペクトルは第15図(b)に示すようになる。スペクトルの対称性より、スカラー信号であるベースバンド合成信号のスペクトルからベースバンド信号のスペクトルを算出することができる。すなわち、ベースバンド合成信号をサンプリング周波数fgでサンプリングしてからFFTを掛けることにより、ベースバンド合成信号のスペクトルを算出し、そのデータを周波数方向にfg/2だけずらすことにより、ベースバンド信号のスペクトルを得ることができる。この際に行なうFFT演算は、実数のスカラー信号に対して行なうので、複素数信号に対するFFT演算より効率良く行なうことができる。FFT演算器63の出力信号は復調器64に送られ、判定されたシンボルが出力データとして出力される。
なお、第6実施例においては、変調用直交信号91a,91bは第13図に示すような{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする3値信号を用いていたが、第3図に示すような互いに位相が4分の1周期ずれた矩形波の信号を用いても良いし、互いに位相が4分の1周期ずれた正弦波の信号を用いても良い。
産業上の利用可能性
本発明のイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式は、2相の中間周波信号を一つの増幅器によりそれぞれ増幅することにより、高いイメージ信号除去比を実現することができる。また、本発明のダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式は、2相のベースバンド信号を一つの増幅器によりそれぞれ増幅することにより、サブキャリア同士の高い非干渉性能を実現することができる。そのため、これら両受信方式は、中間周波回路における表面波フィルタの使用を回避することができ、携帯電話などの無線装置における受信装置を小型化するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1実施例であるイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式の構成を示すブロック図である。
第2図は、第1実施例における変調器を示すブロック図である。
第3図は、変調用直交信号の第1の例と、二つの変調用直交信号の相互相関関数を示す信号波形図である。
第4図は、変調用直交信号の第2の例と、二つの変調用直交信号の相互相関関数を示す信号波形図である。
第5図は、本発明の第2実施例であるイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式の構成を示すブロック図である。
第6図は、第2実施例における受信信号を示す信号波形図である。
第7図は、第2実施例における変調器を示すブロック図である。
第8図は、本発明の第3実施例であるイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式の構成を示すブロック図である。
第9図は、第3実施例における変調器を示すブロック図である。
第10図は、本発明の第4実施例であるイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式の構成を示すブロック図である。
第11図は、第4実施例における変調器を示すブロック図である。
第12図は、第5実施例であるダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式の構成を示すブロック図である。
第13図は、第5実施例における変調用直交信号を示すグラフである。
第14図は、第6実施例であるダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式の構成を示すブロック図である。
第15図は、第6実施例における信号スペクトルを示す信号波形図である。
第16図は、従来のイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式の構成を示すブロック図である。
第17図は、従来のダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式の構成を示すブロック図である。

Claims (9)

  1. アンテナなどにより受信され増幅された高周波信号に対して、局部発振された位相の異なる2相の第1局部発振器出力信号を混合して2相の中間周波数信号を形成し、該2相の中間周波信号に対して二つの互いに直交する変調用直交信号により変調を掛けた信号を足し合わせて一つの合成信号を作成し、該合成信号に対して増幅を行なって中間周波増幅器出力信号を生成し、前記変調用直交信号によりそれぞれ前記中間周波増幅器出力信号を変調すると共に局部発振された位相の異なる2相の第2局部発振器出力信号を混合することによりイメージ信号が除去された所望のベースバンド信号を形成し、該ベースバンド信号を復調することを特徴とするイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式。
  2. 互いにイメージ信号となる二つの周波数帯の信号を同時に受信することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式。
  3. アンテナなどにより受信され増幅された高周波信号に対して、局部発振された位相の異なる2相の第1局部発振器出力信号を混合して2相の中間周波数信号を形成し、該2相の中間周波信号に対して二つの互いに直交する変調用直交信号により変調を掛けた信号を足し合わせて一つの合成信号を作成し、該合成信号に対して増幅を行ない中間周波増幅器出力信号を生成し、位相の異なる2相の第2局部発振器出力信号に対して前記変調用直交信号により変調を掛けた信号によってそれぞれ前記中間周波増幅器出力信号を変調することにより、イメージ信号が除去された所望のベースバンド信号を形成し、該ベースバンド信号を復調することを特徴とするイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式。
  4. 互いにイメージ信号となる二つの周波数帯の信号を同時に受信することを特徴とする請求の範囲第3項に記載のイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式。
  5. 前記二つの互いに直交する変調用直交信号として互いに位相が90度ずれている矩形波または正弦波を用いることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか1項に記載のイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式。
  6. 前記二つの互いに直交する変調用直交信号として、それぞれ{1,−1,1,−1,1,1,−1,−1}および{1,1,−1,−1,1,−1,1,−1}を系列とする2値信号を用いることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか1項に記載のイメージ信号キャンセル型ヘテロダイン受信方式。
  7. 直交周波数分割多重により変調された高周波信号を周波数が受信信号の中心周波数に等しく互いに位相が90度ずれた2相の局部発振器出力信号によりそれぞれ変調することによって2相のベースバンド信号を形成し、該2相のベースバンド信号に対して二つの互いに直交する変調用直交信号により変調を掛けた信号を足し合わせて一つの合成信号を作成し、該合成信号に対して増幅を行ない合成信号増幅器出力信号を生成し、前記変調用直交信号によって前記合成信号増幅器出力信号を変調し、変調された該合成信号増幅器出力信号にフーリエ変換を掛けた結果をもとに、直交周波数分割多重に対する復調を行なうことを特徴とするダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式。
  8. 直交周波数分割多重により変調された高周波信号を、周波数が受信信号の中心周波数に等しく互いに位相が90度ずれた2相の局部発振器出力信号によりそれぞれ変調することにより2相のベースバンド信号を形成し、該2相のベースバンド信号に対して、二つの互いに直交する変調用直交信号により変調を掛けた信号を足し合わせて一つの合成信号を作成し、該合成信号に対して増幅を行なって合成信号増幅器出力信号を生成し、前記合成信号増幅器出力信号に対してフーリエ変換を掛けた結果をもとに、直交周波数分割多重に対する復調を行なうことを特徴とするダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式。
  9. 前記二つの互いに直交する変調用直交信号として、それぞれ{0,1,0,−1}および{1,0,−1,0}を系列とする3値信号を用いることを特徴とする請求の範囲第7項または第8項に記載のダイレクトコンバージョン直交周波数分割多重受信方式。
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