JPWO2003013844A1 - 樹脂成形体及び積層体並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、樹脂成形体の接着性を改善する。この樹脂成形体(1)は、樹脂が成形されてなり、少なくとも一部の表面に起毛されたフィブリルを有する。フィブリルは、長さが50μm以上、太さが10μm以上であり、表面に100本/cm2以上起毛されている。

Description

技術分野
本発明は、樹脂成形体及びそれを用いた積層体に関する。また、本発明は、そのような樹脂成形体及び積層体の製造方法に関する。
背景技術
樹脂成形体の他の材料に対する接着性を向上させる技術として、主に、化学処理により表面に官能基を導入して親水性を高める方法と、樹脂成形体表面に物理的に粗面を形成する方法とがある。
前者の技術としては、例えば
▲1▼アルカリ金属溶液により化学的に処理して表面に親水基を導入する技術(特開昭63−120745号公報)が既に提案されている。
後者の技術としては、例えば
▲2▼機械加工により表面の粗面化を行う技術(特開平1−294875号公報、特開昭55−84651号公報)が既に提案されている。
また、これら以外に、樹脂成形体の表面の接着性を高めるための技術として、
▲3▼コロナ放電、プラズマ放電、スパッタエッチング等の放電処理により表面に凹凸を形成する技術(特開昭60−32636号公報、特開昭59−217731号公報、特開昭59−191736号公報)や、
▲4▼特定の樹脂を積層させることにより接着性を有する積層体を得る技術(特開平6−171031号公報、特開昭50−36574号公報)が既に提案されている。
▲1▼の技術では、接着強度は比較的高くなるが、樹脂の着色、電気特性の低下、接着活性の低下等の問題が生じる。また、処理液の取扱が面倒である。
▲3▼の技術では、▲1▼に比べ処理面の着色を抑えることができるが、接着強度が低くなり、表面が擦れて凹凸が消失する、また、真空、放電のための大掛かりな設備が必要となる等の問題が生じる。
▲4▼の技術では、物理的な絡み合いを大きく取ることができる点で優れているが、積層体を得るために用いられる不織布とシートとの接着が別途必要となる。
▲2▼の技術では、設備は比較的簡単なもので済むが、樹脂に単に傷、凹みを付けて粗面化するのみである。
発明の開示
本発明の目的は、種々の用途に用いることのできる樹脂成形体及び積層体を得ることにある。本発明の他の目的は、接着性が改善された樹脂成形体及び接着強度に優れた積層体を得ることにある。また、本発明の他の目的は、フィブリルを有する面に、種々の物質を保持させた状態で所定の機能を有する樹脂成形体及び積層体を得ることにある。
請求項1に記載の樹脂成形体は、樹脂が成形されてなる樹脂成形体であって、少なくとも一部の表面に起毛されたフィブリルを有する。
この樹脂成形体では、表面部分の樹脂が起毛されることにより、繊維状のフィブリルが形成されており、フィブリル化された表面に対し様々な処理を施すことが可能となる。
例えばフィブリル化された表面に接着剤を塗布した場合、接着剤はフィブリルの繊維間に良好に保持されるため、従来のような単に表面が凹凸化されたものに比べ接着性が向上される。
また、フィブリル化された表面に他の樹脂等を積層させたり、或いは直接図柄を描いたり、塗料やオイル、グリース等の潤滑剤、その他種々の物質を保持することも可能となる。塗料を保持させる場合の態様としては、例えば、自動車のボディを塗装する際に、ボディをつり下げるために用いられる治具に固定される部材が挙げられる。潤滑剤を保持させる場合の態様としては、例えば、コピー機、プリンタ等の事務機器の用紙搬送部や定着部において、ベルトの内周側から圧接力を作用させるための摺動部材が挙げられる。
請求項2に記載の樹脂成形体は、請求項1の樹脂成形体において、フィブリルは、長さが50μm以上、太さが10μm以上であり、表面に100本/cm以上起毛されている。
この樹脂成形体では、フィブリルが一定以上の繊維長さ等を有するため、表面に単に凹凸が施された場合に比べ、接着剤或いは他の樹脂の保持性能の点で優れているが、このようなフィブリルとして上記のような値を有するものが特に接着性能に優れていることが本発明者らの研究により明らかにされた。
そこで、この樹脂成形体では、具体的にこのような構成のフィブリルを有するものを対象とし、かかる場合に接着性を向上させることとしている。
請求項3に記載の樹脂成形体は、請求項1または2の樹脂成形体において、樹脂はフッ素樹脂である。
フッ素樹脂は、撥水性等に優れているが、接着性は他の樹脂に比べ劣る。このようなフッ素樹脂からなる樹脂成形体では、例えば表面に接着剤を塗布して他の樹脂等を積層させようとする場合、他の樹脂を用いた場合に比べ接着剤を樹脂表面に保持させるのが困難である。
しかし、本発明の樹脂成形体は、起毛されたフィブリルを有しているため、フッ素樹脂からなる成形体においても、表面における接着剤等の保持性能が改善され、このため、接着性能が向上されている。
請求項4に記載の樹脂成形体は、請求項1から3のいずれかの樹脂成形体において、樹脂はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
PTFEは、フッ素樹脂の中でも、その用途が多岐にわたり、他の材料に積層させる等して優れた表面特性を持つ積層体を得ることができる。また、PTFEは、結晶間の滑りからフィブリル化し易い特性を有しており、接着性改善の向上効果が大きい。
ここでは、特に、このようなPTFEを樹脂成形体として用いた場合において、接着性の改善を図ることとしている。
請求項5に記載の積層体は、樹脂成形体と、他材とを備えている。樹脂成形体は、フッ素樹脂が成形されてなり、少なくとも一部の表面に起毛されたフィブリルを有する。他材は、フィブリルを有する樹脂成形体の表面に設けられる。
ここで、他材としては、接着剤、或いは接着性を有しない他の樹脂等が挙げられる。また、他材としては、塗料、インク、グリース等も挙げられる。
接着剤を用いた場合では、前述のように、接着剤はフィブリル間に良好に保持されるため、接着性が向上され、他の材料との接着を容易に行えるようになる。また、樹脂成形体に一旦固定された他材は、フィブリルとの絡み合いにより、樹脂成形体から剥離しにくくなるため、ここでは、接着強度に優れた積層体が得られる。
他の樹脂を用いた場合では、例えば一部をフィブリル間に含浸させる形で積層できるため、一部がフィブリル間に含浸された形で表面に固定することができる。そして、このような積層体は、フィブリルと他材である樹脂との絡み合いにより剥離強度に優れたものとなり、さらに、複数の樹脂の性質を備えたものとなる。
このような他材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が好ましく用いられる。PE、PP等の結晶性ポリマー等は、PTFE等のフッ素樹脂と同様に他の材質に対する接着性が低く、接着性を挙げるためには通常は所定の表面処理を施す必要がある。
しかし、本発明の表面がフィブリル化された樹脂成形体によれば、例えば、フッ素樹脂成形体の表面をフィブリル化させてPE、PP等の接着性に乏しい他の樹脂を、後述するようにヒートプレス等することにより、接着性の低いもの同士を接着することができ、接着強度に優れた積層体を得ることができる。
請求項6に記載の積層体は、請求項5の積層体において、フッ素樹脂はPTFEである。
ここでは、フッ素樹脂として特にPTFEの樹脂成形体を用いた場合において、接着性、接着強度の改善を図ることとしている。
請求項7に記載の積層体は、請求項5または6の積層体において、他材は接着剤である。
この積層体では、他材として接着剤を用いており、これにより、他の材料に対する接着性に優れた積層体を得ることとしている。なお、接着剤としては、酢酸ビニル樹脂、クロロプレンゴム、シアノアクリレート、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂系接着剤等が好ましく用いられる。
請求項8に記載の積層体は、請求項5または6の積層体において、他材は、樹脂成形体の融点未満の融点またはガラス転移点を有する樹脂またはエラストマーである。
この積層体では、このような樹脂またはエラストマーを、例えば樹脂成形体のフィブリル化された表面に載せてヒートプレス等を施すことにより、一部が溶融してフィブリル間に固定され、これにより、剥離強度に優れたものが得られる。
すなわち、ここでは、接着剤を用いずに接着強度に優れた積層体が得られる。
請求項9に記載の積層体は、樹脂成形体と、接着剤またはホットメルト接着性を有する熱可塑性樹脂と、第1基材とを備えている。樹脂成形体は、フッ素樹脂からなり、少なくとも一部の表面に起毛されたフィブリルを有する。樹脂またはエラストマーは、フィブリルを有する樹脂成形体の表面に設けられ、樹脂成形体の融点未満の融点またはガラス転移点を有する。第1基材は、樹脂成形体に樹脂またはエラストマーを介して積層される。
この積層体では、樹脂成形体に形成されたフィブリルにより樹脂等の保持性が向上されているため、第1基材はより強い接着性をもって樹脂成形体に積層されており、この結果、第1基材と樹脂成形体との接着強度が向上されている。
請求項10に記載の積層体は、請求項9の積層体において、第1基材は熱可塑性樹脂である。
ここでは、第1基材として特に熱可塑性樹脂を用いて、多層フィルム等の積層体を得た場合において、接着性の向上を図ることとしている。
この積層体の一態様として、例えば、一方の面にフィブリルを有するシート状のPTFE成形体と、このPTFE成形体に積層される塩化ビニル(PVC)等からなるシート状の第1基材とを備えた積層体が挙げられる。この積層体では、PTFEシートと第1基材との間の接着性が改善されているとともに、PTFEシートの他方の面においては低摩擦性を利用できるようになっている。したがって、この積層体は、例えば、共同溝のような地中に埋設される地中構造物の上面に載置することにより、構造物と地表側との間の揺れから共同溝を保護するための免震構造体として用いることができる。積層体は、PTFEシートを上側にして、また、複数枚敷き並べて使用されるのが好ましい。
請求項11に係る積層体は、請求項10の積層体において、樹脂成形体及び第1基材はシート状に形成されるとともに、第1基材は樹脂成形体の一方の面に積層されている。また、この積層体は、第2基材をさらに備えている。第2基材は、樹脂成形体の他方の面側に配置され、熱可塑性樹脂からなるシート状のものである。
この積層体は、樹脂成形体の低摩擦性により樹脂成形体と第2基材との間の滑り性が向上されている。したがって、この積層体は、例えば、上記のような免震構造体としての使用に適したものとなっている。この場合、平滑な面で滑り性を向上させる方法と、フィブリル面で接触面積を減らして滑り性を向上させる方法のいずれをも採りうる。これらの方向は、使用される条件、例えば荷重などで種種の選択ができる。また、第1基材を地中構造物側に、第2基材を地表側にして配置するのが好ましい。
請求項12に係る積層体は、請求項11の積層体において、第1及び第2基材は、樹脂成形体よりも面積が大きくかつ各外周部が樹脂成形体の外周部の外側に配置されてもよい。外側に配置された場合は、第1及び第2基材は、対向する外周部の少なくとも一部が溶着されていることが好ましい。
第1基材及び第2基材が溶着されていない場合は、樹脂成形体と第2基材との間で滑りが生じるため、その運搬、取り扱い困難であり、また、施工性に欠ける。しかし、この積層体は、第1基材及び第2基材の端部が溶着されて全体として一体化されているため、運搬、取り扱いが容易になり、また、施工性が向上する。一方、施工後は、溶着された部分を切り離すことにより、樹脂成形体と第2基材との間で相対移動可能な状態とすることができる。なお、両基材の溶着部分のすぐ内側には、切り落とし作業を容易にするためのミシン目等が設けられるのが好ましい。
請求項13に記載の積層体は、請求項9の積層体において、基材は熱硬化性樹脂である。
ここでは、基材として特に熱硬化性樹脂を用いて、繊維強化プラスチック(:fiber reinforced plastics FRP)等の積層体を得た場合において、接着性の向上を図ることとしている。
請求項14に記載の積層体は、請求項9の積層体において、基材は金属である。
ここでは、基材として特に金属を用いて、例えば金属製タンクの内周面にライニングとして樹脂成形体を積層した場合や、プリント基盤等において、接着性の向上を図ることとしている。
請求項15に記載の積層体は、請求項9の積層体において、基材は、セラミック、ガラスまたは紙である。
ここでは、基材として特にこのような材質のものを用いた場合において、ガラスでは例えば防汚性を有する電子レンジ回転皿、セラミックでは例えば焼却炉の煙道内壁、排水ピット、紙では例えば薬液の吸収紙を得る場合において、その他耐熱性、耐薬品性を有する積層体等を得る場合において、接着強度の向上を図ることとしている。
請求項16に記載の積層体は、請求項5から15のいずれかの積層体において、フィブリルを有する部分に、図柄が表示されている。
樹脂成形体は、起毛されてフィブリルが形成されることにより、接着性が改善されるのみでなく、例えば表面に塗料、顔料、インク等が付着し易くなるが、このような性質を利用して、フィブリル化された表面に、文字、図形、絵等の図柄を描くことにより、一定の表示機能を有する積層体等を得ることができる。また、フィブリル化された部分に予め文字、図形等を描いておき、その上から透明な樹脂を積層して表示部分が外部から認識可能な積層体を得ることができる。さらに、この樹脂成形体は、プリンタ等によりフィブリル化された部分に図柄を印刷することも可能である。
したがって、ここでは、フィブリル化された樹脂成形体を用いることにより、種々の用途を有する積層体が得られる。
なお、本発明で図柄という場合は、文字、図形、記号、絵等をいい、これらが単一色で構成されたものに限らず、模様、色彩を伴って構成されたものも含む。
請求項17に係る積層体は、樹脂成形体と、潤滑剤と、多孔質体とを備えている。樹脂成形体は、フッ素樹脂からなり、少なくとも一部の表面に起毛されたフィブリルを有する。潤滑剤は、フィブリルに保持される。多孔質体は、フィブリルを有する樹脂成形体の表面側に配置される。
この積層体では、フィブリルに保持された潤滑剤は多孔質体を通じて滲み出るようになっており、例えば、摺動部材として用いた場合に、少量の潤滑剤であっても比較的長時間にわたり保持できる。したがって、この積層体では、被摺動面との間での摺動抵抗を減らせるとともに、摺動部材周辺への潤滑剤の付着等を防止することができる。この積層体は、例えば、コピー機、プリンタ等の用紙搬送部、定着部で用いられるベルトの摺動部材としての使用に適したもとなっている。
請求項18に記載の樹脂成形体の製造方法は、第1工程と、第2工程とを備えている。第1工程では、少なくとも一部に平滑面を有する樹脂成形体を準備する。第2工程では、樹脂成形体の平滑面を引掻くことで起毛させ、長さ50μm以上、太さ1μm以上、好ましくは10μm以上のフィブリルを形成する。
樹脂成形体の表面は、平滑な状態では特に接着剤を保持させるのが困難であるが、本発明者らの研究により、このような平滑面を適当な手段で引掻くことにより、表面を起毛させて接着剤の保持性等を向上させうることが見出された。
したがって、この方法によれば、接着性等に優れた樹脂成形体を得ることができる。
請求項19に記載の樹脂成形体の製造方法は、請求項18に記載の製造方法において、第2工程では、ニードル・ロールを用いて樹脂成形体の表面を引掻く。
ここでは、樹脂表面を引掻くための具体的な手段としてニードル・ロールを用いる場合を対象としている。
請求項20に記載の積層体の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを備えている。第1工程では、少なくとも一部に平滑面を有する樹脂成形体を準備する。第2工程では、樹脂成形体の平滑面を引掻くことで起毛させる。第3工程では、フィブリルの繊維間に接着剤を流し込み、接着剤をフィブリルの繊維間に固定する。
この方法では、樹脂成形体のフィブリル化された部分に接着剤が固定されるため、基材が強固に積層された積層体が得られる。
発明を実施するための最良の形態
[積層体]
図1に、本発明の一実施形態が採用された積層体1を示す。
この積層体1は、樹脂成形体3と、他材5と、基材7とを備えている。
樹脂成形体3は、シート状に成形された樹脂であり、図2に示すように、片面に、後述する方法により起毛されたフィブリルを有している。フィブリルは、本実施形態では、長さが50μm以上、太さが1μm以上、好ましくは10μm以上であり、表面に100本/cm以上起毛されている。
本発明の樹脂成形体3はフィブリル化できる樹脂であれば特に限定されない。このような樹脂としては、フェノール、尿素、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ、ジアリルフタレート、ポリウレタン、シリコーン、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)樹脂、液晶ポリマー(:liquid crystal polymer LCP)、フッ素樹脂等を挙げることができる。
上記樹脂の中で好ましい樹脂として、フッ素樹脂が挙げられるが、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PFEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−エチレン共重合体(THE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
さらに、上記フッ素樹脂の中でより好ましい樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のホモまたは変性のモールディングパウダー及びファインパウダーが挙げられる。
PTFEは、前述のように、フィブリル化し易い樹脂として知られているが、モールディングパウダーは、焼成によってフィブリル化しなくなることも知られており、長さ50μm以上のフィブリルが形成されることは見出されていなかった。
また、樹脂成形体3には、充填材、顔料、安定剤、紫外線吸収剤等の添加剤が混入等されたものであってもよい。
充填材としては、ニッケル、アルミニウム等の金属類、カーボンブラック、炭素繊維等の炭素質物質類、シリカ、アルミナ等の酸化物類、ガラス、ガラス繊維等のケイ酸塩類、その他水酸化物類、硫酸塩類、チタン酸塩、窒化物類、炭化物、硫化物類、リン酸塩類、フェライト類、有機繊維等を挙げることができる。
充填材の形状は、特に限定されず、繊維状、粒状、ウィスカー形状等のものが使用可能である。
充填材は、フィブリル化されない表面或いはフィブリルに電気特性、寸法安定性、低摩擦性等の所望の機能を持たせるために、表面フィブリル化の前に予め樹脂中に充填してもよく、また、他材5及び基材7との接着界面での所望の機能を得るために表面フィブリル化後にフィブリル化された部分に散布してもよい。
他材5は、樹脂成形体3のフィブリル化された側の面に設けられ、本実施形態では、接着剤、またはホットメルト接着性を有する熱可塑性樹脂等が用いられる。
基材7は、樹脂成形体1に他材5を介して積層されている。本実施形態では、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属、セラミック、ガラス、紙等が用いられる。
このように構成された積層体1は、接着剤等が樹脂成形体3のフィブリル間に良好に保持されているため、接着性能が向上されており、この結果、基材7が樹脂成形体3に対し強固に積層されている。
このような積層体1の用途としては、高周波部品、防湿フィルム、滑りシート、コイル・トランスの耐熱絶縁、半田マスキング、耐火・耐熱電線被覆、離型シート、包装用ヒートシール、非粘着ベルト、ライニング材、スラストワッシャ、パッキン、ガスケット、ホース、配管、ベローズ、スライディングパッド、ラッピング、ダイヤフラム、ラベル、フラットケーブル、テント膜、カーテンウォール、ジョイント材、内装材等が挙げられる。
ライニング材として用いる場合は、排煙ダクトのライニング、排水ピットのライニング、塗装ブースのライニング、共同溝の防食・絶縁ライニング、トンネル内面コンクリートの防食(主として排気ガスによる腐食防止)ライニング、反応塔内面のライニング、反応槽内面のライニング、貯留槽内面のライニング、輸送タンク類の内面のライニング、液体コンテナの内面のライニング、化学薬品や電子機器の容器の内面ライニング、厨房機器のライニング、ゴミ処理装置のライニング、建築物の防水ライニング、石油備蓄用のフローティングタンクや移送用配管の外周、他に上下水道処理場のオゾン処理槽のライニング等に好ましく用いられる。オゾン処理槽内では、水中にオゾンが多量にバブリングされ、水から出たオゾンは上部に最高2000ppm程度滞留している。このような高濃度オゾンは、処理槽内面を劣化させてしまうため、耐オゾン性を有するライニング材が用いられる。
ジョイント材として用いる場合は、排煙ダクト等のフレキシブルジョイント等に好ましく用いられる。
内装材として用いる場合は、車輌、船舶、航空機等の内装材、大型建築物や住宅の内装材や、クリーンルームの内装材等にも好ましく用いられる。
また、共同溝等の埋設物に対しては、地震発生時に滑り性から埋設物を保護する用途、例えば免震構造材等にも用いられる。
また、オイル・グリースを保持したり、フッ素樹脂の低摩擦性を機能とした摺動部品としても用いられる。
その他の用途としては、プリント配線基板、クッキングシート、離型シート等が挙げられる。
[樹脂成形体及び積層体の用途]
以下、樹脂成形体及び積層体の主な用途について説明する。
(1)自動車のボディ等の塗装工程で用いられる治具に固定される部材
自動車のボディを電着塗装等により塗装する工程は、一般に、図4に示すように、金属製の治具51で自動車のボディ53をつり下げた状態で、塗料55を満たした槽57内にボディ53を治具51ごと浸漬し電着塗装を行った後、槽57からボディ53を引き上げて炉59内で乾燥、焼き付けを施すことにより行われる。
しかし、治具51は、ボディ53と共に塗料を満たした槽57内に浸漬されるため、その後の乾燥、焼き付け工程で、治具51に付着した塗料55がボディ53に垂れ落ちる等して、塗装面の外観が損なわれてしまう場合がある。一方、塗装終了後は、繰り返し治具51を使用するために、予め治具51に付着し焼き付けられた塗料55を剥がす必要があるが、治具51の金属面に付着した塗料55を剥がすのは容易ではない。
そこで、ここでは、本発明の樹脂成形体を、治具51を被覆するようかつフィブリルが外側に配置されるよう治具51に固定することにより、これらの点の改善を図っている。すなわち、この樹脂成形体では、フィブリル化された部分で塗料55を保持することで、ボディ53への塗料55の垂れ落ちを防げるとともに、塗装終了後においては、フッ素樹脂の非粘着性により塗料55を剥がす作業を容易に行えるようにしている。したがって、ここでは、塗料の保持と塗料の剥離という2つの相反する機能を備えた樹脂成形体として使用することができる。
また、この樹脂成形体は、内側(治具51側)もフィブリル化されている場合は、接着剤等により治具1の金属面に接着できるため、この場合は、外側では塗料55の保持性を高められ、内側では接着性が改善されたものとなっている。
なお、ここで説明したような樹脂成形体は、電着塗装、ディッピング塗装等の浸漬式による塗装の他に、スプレー塗装等、治具が被塗物と共に塗装されてしまう塗装方法にも適用できる。また、被塗物は、特に自動車のボディに限定されるものではなく、他のものであってもよい。
(2)コピー機等の用紙搬送部に用いられる摺動部材
コピー機、プリンタ等の画像形成装置は、一般に、用紙を搬送するための搬送ベルトを備えている。この種の搬送ベルト61は、通常、図5に示すように、1対のローラ63,65の間に掛け渡されている。この場合、用紙は、搬送ベルト61の上方部分で搬送されるため、搬送ベルト61の下方部分に対し所定の圧接力を与えて、搬送ベルト61全体にテンションを与える必要がある。そこで、搬送ベルト61の内周側に配置された摺動部材67でベルト61を下方に押圧する技術が既に提案されている。この技術では、摺動部材67と搬送ベルト61との間の摩擦を下げるために摺動部材67には通常、オイル、グリース等の潤滑剤が塗布されている。
しかし、潤滑剤の量が多すぎると、搬送ベルト61から用紙に付着するおそれがあり、潤滑剤の量が少なすぎると、摩擦を有効に下げることができない。また、摺動部材67の摺動面が平滑な場合は、潤滑剤の保持力に問題がある。
そこで、ここでは、フィブリルに適量の潤滑剤を保持させた樹脂成形体を、摺動部材としてフィブリルを搬送ベルト61側にして配置することにより、少量の潤滑剤を比較的長時間に渡り保持でき、これにより、用紙に潤滑剤が付着するのを抑え、摩擦を有効に低減できるようにしている。そして、ここでは、潤滑剤の作用のみでなく、フッ素樹脂の低摩擦性によっても摺動抵抗が低減されている。
樹脂成形体の搬送ベルト61に対する耐摩耗性は、樹脂成形体中に充填される上述の充填材により維持される。また、樹脂成形体の搬送ベルト61に対する摺動により摩擦熱が生じる場合があるが、フッ素樹脂の耐熱性の性質により耐久性が維持される。
さらに、潤滑剤を保持したフィブリル側に多孔質体を配置して使用する場合にも、潤滑剤を多孔質体から滲み出させることができ、同様の作用効果が得られる。
なお、ここで説明したような樹脂成形体は、コピー機、プリンタ等の画像形成装置内に配置された定着部の定着ローラに用紙を圧接させるための定着ベルトにおいても、同様に適用できる。また、画像形成装置に限らず、他の事務機器における同様な機構にも適用できる。
(3)免震構造材
地下鉄等が配置される地中構造物、或いは電話線、水道管等の共同溝のような地中に埋設される地中構造物には、地震の揺れによる疲労、破壊等を回避するための手段が求められている。特に、近年の地中構造物は、大型化されたものが埋設され、構造物に作用する揺れの大きさが増大する傾向にある。
ここでは、このような構造物の上面に、例えば、PVC/PTFE/PVCの3層構造或いはSUS/PTFE/ゴムのような異なる基材からなる3層構造から選択された積層体を用いることができる。この積層体では、PTFE成形体の一方の面はフィブリル化され、他方の面は、平滑な面で滑り性を向上させる方法と、フィブリル面で接触面積を減らし滑り性を向上させる方法のいずれをも採りうる。そして、下方のPVC成形体やゴム成形体に、PTFE成形体がフィブリルを有する側を下方にして接着剤等を介して積層されており、その上方に第2のPVC成形体やSUSが配置されている。
この積層体によれば、例えば、地表側の揺れを受ける上方のPVC成形体と、構造物側の揺れを受けるPVC及びPTFE成形体との間に、PTFEの低摩擦性により滑り性が生じている。したがって、上方のPVC成形体等とPTFE成形体との間で、地震による揺れの一部を拡散させることができる。
また、この積層体では、樹脂成形体が汎用性樹脂等と積層されていることで、運搬、取り扱い、或いは構造物上部への敷き並べ等が容易になる。
なお、上方のPVC成形体等を有しない2層構造(PVC/PTFE)の積層体を用いた場合も、同様の作用効果が得られる。また、PTFEは、構造物上部に直接積層されたり、ゴム成形体と重ねて積層されてもよい。また、滑り性を生じさせている面には、水や砂などの異物が介在した場合に生じる弊害を取り除くために、また滑り性をコントロールするために、フィブリルを活用することができる。これにより、異物の排出や、接触面積の低減を図ることができる。
(4)ライニング材
槽やタンクの内面のように、各種ガス、液体と接触する部分は、必要に応じて防食、絶縁、防水、非粘着、防汚を目的としたライニング施行が行われる。
このようなライニング施工に際し、シート状に形成した本発明の樹脂成形体を用いた場合は、そのフィブリル面に接着剤を塗布し、槽やタンクの内面に貼り付けることでライニングを施すことができる。
また、比較的大きい槽やタンクでは、シート状成形体同士の繋ぎ目部分の接着性も考慮する必要があるが、この場合は、例えば、図6に示すテープ状の成形体73を用いて、図7に示すようにシート状成形体71同士を接合することができる。
このテープ状成形体73は、ここでは、幅方向の両端部75がシート状成形体71の幅方向端部を狭持可能な形状に形成されるとともに、一方の面(テープ状成形体73に狭持されたシート状成形体71のフィブリル面と同じ側の面)がフィブリル化されている。このフィブリル面に接着剤を塗布することで、シート状成形体71のみでなくテープ状成形体73も槽、タンク等に接着することができる。
なお、テープ状成形体73の形状等は、シート状成形体71同士の接合に適していればよく、図6に示すものに特に限定されない。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は、準備工程と、起毛工程と、積層工程とを備えている。
準備工程では、両側に平滑面を有するシート状に成形された樹脂成形体を用意する。
例えば、本実施形態では、WO98/41386号パンフレットに示されるように、PTFEモールディングパウダーを圧縮成形して予備成形体を作成し、これを焼成して得られるブロック状成形品をスカイブ加工してシート状の樹脂成形体を得ることができるが、PTFEファインパウダーに潤滑剤を添加して熟成させたものをペースト押出しし、次いでカレンダー成形によりシート状の樹脂成形体を得る等の他の方法によっても得ることができる。
また、PTFEモールディングパウダー及びファインパウダーとは、テトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体、または他のフルオロモノマーで変性されたPTFEである。
変性PTFEは、溶融加工できないというPTFEの特性を有するものである。変性PTFEにおけるTFEと他のフルオロモノマーとのモル比は、95:5〜99.999:0.001程度である。変性PTFEの具体例としては、例えばPAVEで変性したPAVE変性PTFE、またはヘキサフルオロプロピレン(HFP)で変性したHFP変性PTFE等が挙げられる。PAVEとしては、式(I):
Figure 2003013844
(式中、Rは、炭素原子及びフッ素原子を必須としており、水素原子を有しておらず、酸素原子を有していてもよい有機基)で示される化合物が挙げられる。
式(I)におけるR基は、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、炭素数4〜9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基、
式(II):
Figure 2003013844
Figure 2003013844
(式中、mは0〜4の整数)、または
式(III):
Figure 2003013844
(式中、mは0〜4の整数)で示される基であってもよい。
この他、押出成形、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形など通常公知な加工方法で得られた平滑面を有する成形体を用いることができる。また、成形体は、連続的な加工を行うことができる点で、シート状またはチューブ状であるのが好ましい。
起毛工程では、樹脂成形体の一方の平滑面を引掻くことで起毛させ、長さ50μm以上、太さ10μm以上のフィブリルを形成する。本実施形態では、平滑面を引掻くための手段として、ニードル・ロール(多数の細い針が周面に植込まれたロール、図8の25参照)が用いられる。ニードル形状については特に限定されない。例えば、鋸刃のような形状のものをロールに巻き付けニードル・ロールとしたものや、ロール上に彫刻を施しニードル・ロールとしたものも使用することができる。本発明においてニードルとは、先端が凸状となったものが複数存在する状態で、成形体表面からフィブリルを起毛できるものであれば、特に限定されない。ニードル・ロールは、高速回転した状態で樹脂成形体の片面側に押し付けられることにより、樹脂成形体の表面を引掻き、粗面化と起毛とを同時に行うこととなる。起毛工程では、ニードルロールによる起毛と研磨等の粗面化方法とを併用してもよい。このような方法は、特に、厚さ100μm程度の薄いフィルムをフィブリル化させる場合に有効である。なお、起毛工程では、後述するようにアルカリ金属による処理等、他の表面処理法を併用してもよい。また、予め基材との親和性を向上させるため、添加剤を加えた状態で成形体として形成されたものであってもよい。
積層工程では、後述するように、フィブリル間に接着剤を流し込んで均一に塗布し、これにより、接着剤をフィブリル間に固定してもよく、また、ホットメルト接着等の他の接着手段により接着してもよい。
このような製造方法によれば、従来のように単に粗面化処理を施した場合とは異なり、多数の長い繊維(フィブリル)が樹脂成形体から直接伸びたものが得られる。そして、このような樹脂成形体は、接着剤等をフィブリル間に物理的に絡まった状態で保持させることができ、これにより、さらに基材を強固に積層することができ、樹脂成形体と基材との接着強度を高く維持することができる。
[他の実施形態]
(a)上記実施形態では、他材として接着剤等を用いたが、他材15として接着性を有しない樹脂、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂を用い、図3に示すように、これを樹脂成形体13に積層して積層体11を構成してもよい。
この場合は、他材15の一部がフィブリル間に含浸された形で設けられることとなり、樹脂成形体と他材との間での接着強度が向上される。
(b)本発明の樹脂成形体及び積層体の形状は、シート状、フィルム状、プレート状、テープ状やパイプ状、円柱状、角柱状等どのような形状であってもよく、特に限定されない。テープ状の場合は、シート状の成形体同士を接合できるよう、例えば他の部分と異なる形状に形成された部分を有してもよい。
(c)樹脂成形体は、シート状、フィルム状である場合は、両面がフィブリル化されたものであってもよい。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
<樹脂成形体の作成>
ここでは、PTFEモールディングパウダーを用いて、上記製造方法により、厚み0.3〜0.5mm、幅150〜200mmのPTFEシート(樹脂成形体)を用意した。
<表面フィブリル化処理>
上記PTFEシートのサンプル23を、図6に示すように、繰出しロール21及び巻取りロール27間にセットし、サンプル23の下面にのみニードル・ロール25が接触するように設定して片面のみフィブリル化させた。なお、サンプル23の両面に対しフィブリル化する場合は、上面側のニードル・ロール25も接触させることにより行える。
フィブリル化は、表1に示すように、3通りの条件で行った。
Figure 2003013844
なお、フィブリル化の方法は、表1に示す条件に限定されるものではない。
また、他の表面処理方法を用いてもよい。例えば、研磨、サンドブラスト、ワイヤーブラシによる粗面化や高圧液体噴射などの機械的処理、化学品処理、ポリマーブレンド、表面架橋、官能基導入、スパッタエッチングなどの各種放電処理、紫外線、電子線処理、イオン注入等の方法を用いてもよい。なかでも、後述するアルカリ金属による表面処理方法が好ましく用いられる。このような表面処理は、フィブリル化処理の前後のいずれに行われてもよい。
<接着剤等の塗布>
以下の4通りの態様で、接着剤を塗布し或いは他の樹脂を積層させた。
・クロロプレンゴム系接着剤による接着:「ボンド G−17」(コニシ社製)(実施例1〜3、比較例1〜4)
・エポキシ樹脂系接着剤による接着:「クイック30」(コニシ社製)(実施例4、比較例5)
・シアノアクリレート樹脂系接着剤による接着:「アロンアルファ」(東亞合成社製)(実施例5〜7、比較例6〜8)
・ホットメルト接着:PE、PP、PVC、THEを積層(実施例8〜13、比較例9〜13)
[クロロプレンゴム系接着剤の塗布]
・塗布方法
接着剤を、トルエンで希釈し、充分に粘度を下げた状態でサンプルシート上に流し、バーコータを用いてシート上に均一に塗布した。触診で乾燥していることを確認後、同様な方法でさらに2回サンプル上に塗布を行った。
バーコータ:RDS70(設定膜厚 0.16mm)
・塗布条件
希釈材:トルエン
希釈比率:接着剤/トルエン=1/1〜4/1
乾燥時間:1day
乾燥時の荷重:19.6kPa
プレス時間:1〜5min
プレス時の荷重:98.1kPa
プレス温度:100〜120℃
なお、乾燥時の荷重とは、積層サンプルとした状態でサンプルを固定するための荷重である(以下、同様)。
[エポキシ樹脂系接着剤の塗布]
塗布方法は、上記酢酸ビニル系接着剤の場合と同様である。
・塗布条件
混合比率(重量比):主剤/硬化剤=1/1
乾燥時間:1day
乾燥時の荷重:19.6kPa
プレス時間:1min
プレス時の荷重:98.1kPa
プレス温度:100℃
[シアノアクリレート樹脂系接着剤の塗布]
サンプルシートの片側のフィブリル化された表面に、アロンアルファを5mm間隔程度に塗布してフィブリル化シートを重ね、ゴムロールで接着剤が全面に広がるようにした。この後、合わせたシートの上に錘を載せ硬化させた。
・塗布条件
硬化時間:5min
荷重:98.1kPa
温度:RT(室温)
[ホットメルト接着]
サンプルシートのフィブリルされた表面にホットメルトシート(PE、PP、PVC、THE)を載せ、ホットメルトシートの融点以上でヒートプレスした。
・接着条件
加熱温度:170℃(PE)、200℃(PP)、180℃(PVC)、240℃(THE)
加熱時間:60sec
圧力:98.1kPa
冷却時間:60sec
<アルカリ金属での表面処理>
SUSトレイ上に、表面処理剤「テトラエッチA」(潤工社製)を流し込み、処理を行うPTFEシート(実施例3、比較例2,4,11,14,17)を6〜10秒間ディッピングした。シートを取出し、アルコール液中に入れて活性を止め、蒸留水で洗浄を行った。洗浄後のシートは風乾し、評価サンプルとした。<スパッタエッチングでの表面処理>
40cm角の電極間に、処理を行うPTFEシート(比較例3,10,13,16)を置き、アルゴンガス中で以下の条件で処理し、評価サンプルとした。
・処理条件
周波数:13.56MHz
出力:400W
エッチング時間:10sec
<フィブリル化本数の測定方法>
フィブリル化表面の任意の場所10ヶ所において視野範囲φ2のマイクロスコープで観察し、フィブリルの本数を測定するとともに、10ヶ所での測定平均値から単位面積当りの本数を算出した(実施例1及び2)。
<フィブリル長さ及び径の測定方法>
サンプルを10mm幅にスリットし、さらに0.5mmの厚さでカット(10本)した。この場合の測定対象となる面積は、下式のように算出される。
Figure 2003013844
カットされたサンプルの断面をビデオマイクロスコープを用いて50倍で観察し、長さ及び径を測定した。
<接着性評価方法>
サンプルの接着性を評価するために、以下の碁盤目試験、T字剥離試験、90°剥離試験を行った。
[碁盤目試験]
まず、サンプル(実施例1及び比較例1)上に接着剤(ボンドG−17)をバーコータで塗布し、乾燥させた。風乾後、カッターナイフで1cm間隔で碁盤目状に切込みを入れた(縦、横それぞれに6本の筋を入れて、25個の桝目を作った)。次に、幅50mmのクラフトテープを碁盤目状の切込み部分に貼付けて充分に押し付けた後、クラフトテープを剥がし、シート面に接着剤が残っている状態を観察した。
試験結果を表2に示す。
Figure 2003013844
[T字剥離試験]
ここでは、図9に示すように、サンプル33/接着剤等35/サンプル33の順に積層されたシートを、以下の測定装置及び試験条件により剥離強度を測定した。
なお、この試験は、実施例11〜13及び比較例18を除く他の実施例及び比較例のサンプルについて行った。
・測定装置
万能試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)
・試験条件
サンプル幅:10mm
初期サンプル長:20mm
クロスヘッド速度:50mm/min
[90°剥離試験]
図10に示すように、サンプル43/接着剤等(図示せず)/SUS(SUS304)板47の順に積層されたシートを、以下の測定装置及び試験条件により剥離性を測定した。また、SUS板47の処理条件及び寸法は以下の通りである。
なお、この試験は、実施例1〜4及び比較例1,2,5について行った。
・測定装置
万能試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)
・試験条件
サンプル幅:10mm
初期サンプル長:20mm
クロスヘッド速度:50mm/min
・SUS板の処理条件及び寸法
処理条件:ショットブラスト(エメリ#80−100)による酸化被膜除去
寸法:1.5mm×100mm×50mm
<被印刷特性の評価>
ここでは、プリンタによりサンプル(実施例11〜13及び比較例18)のフィブリル化表面に対し印刷を行い、被印刷特性の評価を行った。
プリンタ:キャノン社製「BJ850」
印刷方法:上記プリンタにより、表面フィブリル化シートの表面にインクジェットで写真画像を印刷した。インクが乾燥した後、触診により色落ちを確認した。次いで、印刷面にホットメルトするシートを被せ、各シートの融点以上の温度でラミネートし、このときの色落ち、変色等を確認した。
被印刷特性の評価結果を、表3に示す。
Figure 2003013844
<実施例及び比較例の比較>
以下、実施例及び比較例のサンプルの材質、フィブリル化条件、接着の態様または接着剤の種類等について説明する。
[クロロプレンゴム系接着剤で接着した場合の比較]
・実施例1
回転焼成法(WO98/41386号パンフレット明細書の実施例2に記載の方法)により焼成し切削して得た変性PTFEシート(幅200mm、長さ20m、厚さ0.5mm)の一方の表面に、図で示される装置を用いてフィブリル化を行った。この時のフィブリル化条件は表1に示す条件1であり、得られたフィブリルは、径φ10〜200、長さ50μm〜50mmのものが1cm当たり414本であった。得られたフィブリル化シートの表面に前述の塗布方法でクロロプレンゴム系(ボンドG−17)を塗布し、接着剤の塗布されたシートを用いて、碁盤目試験、T字剥離試験、90°剥離試験を行った。
なお、以下の実施例及び比較例は、特に異なる条件等を示した場合を除き、実施例1と同様に作成し、試験、評価を行った。
・実施例2
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)の一方の表面を条件2に従ってフィブリル化し、フィブリル化表面にクロロプレンゴム系接着剤(ボンドG−17)を塗布し、次いでT時剥離試験、90°剥離試験を行った。シート表面のフィブリル本数は217本/cmであった。
・実施例3
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)の一方の表面を条件1に従ってフィブリル化し、アルカリ金属による表面処理を行った後、フィブリル化表面にクロロプレンゴム系接着剤(ボンドG−17)を塗布し、次いでT字剥離試験、90°剥離試験を行った。
・比較例1
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)をフィブリル化せずに一方の表面にクロロプレンゴム系接着剤(ボンドG−17)を塗布した後、碁盤目試験、T字剥離試験、90°剥離試験を行った。
・比較例2
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)をフィブリル化せずにアルカリ金属による表面処理を行い、一方の表面にクロロプレンゴム系接着剤(ボンドG−17)を塗布した後、T字剥離試験、90°剥離試験を行った。
・比較例3
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずにアルカリ金属による表面処理を行い、一方の表面にクロロプレンゴム系接着剤(ボンドG−17)を塗布した後、T字剥離試験を行った。
・比較例4
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずにスパッタエッチングによる表面処理を行い、一方の表面にクロロプレンゴム系接着剤(ボンドG−17)を塗布した後、T字剥離試験を行った。
以上、実施例1〜3、比較例1〜4の剥離試験結果を表4に示す。
なお、以下の表において、「MD」とは、フィブリル化の処理方向(シートの送り方向)をいい、「CD」とは、これと直行する方向をいう。また、剥離強度は、積分平均値で示し、n数は各測定でn=4として算出した。「測定限界以下」とは、剥離強度が0.5N/cm以下であり、数値を測定できなかったことを示す(以下の表においても同様)。
Figure 2003013844
なお、サンプル表面のフィブリル化本数が100本/cm未満のサンプルシートでは、積層した基材が容易に剥がれ、剥離強度に劣ることが分かった。
[エポキシ樹脂系接着剤により接着した場合の比較]
・実施例4
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)の一方の表面に条件1に従ってフィブリル化を行い、エポキシ樹脂系接着剤(クイック30)を塗布した後、T字剥離試験、90°剥離試験を行った。
・比較例5
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)をフィブリル化せずに、一方の表面にエポキシ樹脂系接着剤(クイック30)を塗布し、T字剥離試験、90°剥離試験を行った。
以上、実施例4及び比較例5の剥離試験結果を表5に示す。
Figure 2003013844
[シアノアクリレート樹脂系接着剤により接着した場合の比較]
・実施例5
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)の一方の表面を条件1に従ってフィブリル化し、シアノアクリレート系樹脂接着剤(アロンアルファ)を塗布し、T字剥離試験を行った。
・実施例6
変性PTFEシート(厚さ0.3mm)の一方の表面を条件1に従ってフィブリル化し、シアノアクリレート系樹脂接着剤(アロンアルファ)を塗布し、T字剥離試験を行った。
・実施例7
PTFEシート(厚さ0.3mm)の一方の表面を条件1に従ってフィブリル化し、シアノアクリレート系樹脂接着剤(アロンアルファ)を塗布した後、T字剥離試験を行った。
・比較例6
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)をフィブリル化せずに、一方の表面にシアノアクリレート系樹脂接着剤(アロンアルファ)を塗布した後、T字剥離試験を行った。
・比較例7
変性PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずに、一方の表面にシアノアクリレート系樹脂接着剤(アロンアルファ)を塗布した後、T字剥離試験を行った。
・比較例8
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずに、一方の表面にシアノアクリレート系樹脂接着剤(アロンアルファ)を塗布した後、T字剥離試験を行った。
以上、実施例5,12,13、比較例4,17,18の剥離試験結果を表7に示す。
Figure 2003013844
[ホットメルト接着を行った場合の比較]
・実施例8
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)の一方の表面を条件1に従ってフィブリル化し、フィブリル化表面に170℃でPEをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・実施例9
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)の一方の表面を条件1に従ってフィブリル化し、フィブリル化表面に200℃でPPをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・実施例10
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)の一方の表面を条件1に従ってフィブリル化し、フィブリル化表面に180℃でPVCをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・比較例9
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)をフィブリル化せずに、170℃でPEをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・比較例10
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずにアルカリ金属による表面処理を行い、170℃でPEをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・比較例11
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずにスパッタエッチングによる表面処理を行い、170℃でPEをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・比較例12
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)をフィブリル化せずに、200℃でPPをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・比較例13
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずにアルカリ金属による表面処理を行い、200℃でPPをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・比較例14
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずにスパッタエッチングによる表面処理を行い、200℃でPPをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・比較例15
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)をフィブリル化せずに、180℃でPVCをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・比較例16
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずにアルカリ金属による表面処理を行い、180℃でPVCをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
・比較例17
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずにスパッタエッチングによる表面処理を行い、180℃でPVCをホットメルト接着した後、T字剥離試験を行った。
以上、実施例8〜10及び比較例9〜17の剥離試験結果を表7に示す。
Figure 2003013844
・実施例11
PTFEシート(厚さ0.3mm)の一方の表面を条件1に従ってフィブリル化し、フィブリル化表面にプリンタで図柄を印刷した後、180℃でPEをホットメルト接着し、被印刷特性の評価を行った。
・実施例12
PTFEシート(厚さ0.3mm)の一方の表面を条件1に従ってフィブリル化し、フィブリル化表面にプリンタで図柄を印刷した後、240℃でTHEをホットメルト接着し、被印刷特性の評価を行った。
・実施例13
変性PTFEシート(厚さ0.5mm)の一方の表面を条件3に従ってフィブリル化し、フィブリル化表面にプリンタで図柄を印刷した後、310℃でPFAをホットメルト接着し、被印刷特性の評価を行った。
・比較例18
PTFEシート(厚さ0.3mm)をフィブリル化せずに一方の表面にプリンタで図柄を印刷した。
産業上の利用可能性
本発明によれば、樹脂成形体の少なくとも一部の表面がフィブリル化されることにより、種々の用途に用いることのできる樹脂成形体及びそれを利用した積層体を得ることができる。
例えば、樹脂成形体のフィブリル化された部分に他材を塗布等した場合には、他材はフィブリル間に保持されるため、接着性が向上されるとともに、接着強度に優れた積層体を得ることができる。また、例えば、フィブリルを有する面に種々の物質を保持させた場合には、種々の機能を有する樹脂成形体及び積層体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施形態による積層体を示す断面図である。
第2図は、前記積層体の樹脂成形体の断面を示す顕微鏡写真である。
第3図は、本発明の他の実施例による積層体を示す断面図である。
第4図は、前記積層体が用いられる塗装工程の説明図である。
第5図は、前記積層体が用いられる用紙搬送装置の概略図である。
第6図は、複数の前記樹脂成形体を連結するための本発明の他の樹脂成形体の斜視図である。
第7図は、第6図の他の樹脂成形体を用いて複数の樹脂成形体を連結した状態を示す斜視図である。
第8図は、樹脂成形体にフィブリル化を施すための装置概略図である。
第9図は、T字剥離試験の概要を示す説明図である。
第10図は、90°剥離試験の概要を示す説明図である。

Claims (20)

  1. 樹脂が成形されてなる樹脂成形体であって、少なくとも一部の表面に起毛されたフィブリルを有する樹脂成形体。
  2. 前記フィブリルは、長さが50μm以上、太さが10μm以上であり、前記表面に100本/cm以上起毛されている、請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 前記樹脂はフッ素樹脂である、請求項1または2に記載の樹脂成形体。
  4. 前記樹脂はポリテトラフルオロエチレンである、請求項1から3のいずれかに記載の樹脂成形体。
  5. フッ素樹脂が成形されてなり、少なくとも一部の表面に起毛されたフィブリルを有する樹脂成形体と、
    前記フィブリルを有する前記樹脂成形体の表面に設けられる他材と、
    を備えた積層体。
  6. 前記フッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレンである、請求項5に記載の積層体。
  7. 前記他材は接着剤である、請求項5または6に記載の積層体。
  8. 前記他材は、前記樹脂成形体の融点未満の融点またはガラス転移点を有する樹脂またはエラストマーである、請求項5または6に記載の積層体。
  9. フッ素樹脂からなり、少なくとも一部の表面に起毛されたフィブリルを有する樹脂成形体と、
    前記フィブリルを有する前記樹脂成形体の表面に設けられ、前記樹脂成形体の融点未満の融点またはガラス転移点を有する樹脂またはエラストマーと、
    前記樹脂成形体に前記樹脂またはエラストマーを介して積層される第1基材と、
    を備えた積層体。
  10. 前記第1基材は熱可塑性樹脂である、請求項9に記載の積層体。
  11. 前記樹脂成形体及び第1基材はシート状に形成されるとともに、前記第1基材は前記樹脂成形体の一方の面に積層されており、
    前記樹脂成形体の他方の面側に配置され、熱可塑性樹脂からなるシート状の第2基材をさらに備えた、
    請求項10に記載の積層体。
  12. 前記第1及び第2基材は、前記樹脂成形体よりも面積が大きくかつ各外周部が前記樹脂成形体の外周部の外側に配置されるとともに、対向する外周部の少なくとも一部が溶着されている、請求項11に記載の積層体。
  13. 前記基材は熱硬化性樹脂である、請求項9に記載の積層体。
  14. 前記基材は金属である、請求項9に記載の積層体。
  15. 前記基材は、セラミック、ガラスまたは紙である、請求項9に記載の積層体。
  16. 前記樹脂成形体は、フィブリルを有する部分に図柄が表示されている、請求項5から15のいずれかに記載の積層体。
  17. フッ素樹脂からなり、少なくとも一部の表面に起毛されたフィブリルを有する樹脂成形体と、
    前記フィブリルに保持される潤滑剤と、
    前記フィブリルを有する前記樹脂成形体の表面側に配置される多孔質体と、
    を備えた積層体。
  18. 少なくとも一部に平滑面を有する樹脂成形体を準備する第1工程と、
    前記樹脂成形体の平滑面を引掻くことで起毛させ、長さ50μm以上、太さ10μm以上のフィブリルを形成する第2工程と、
    を備えた樹脂成形体の製造方法。
  19. 前記第2工程では、ニードル・ロールを用いて前記樹脂成形体の表面を引掻く、請求項18に記載の樹脂成形体の製造方法。
  20. 少なくとも一部に平滑面を有する樹脂成形体を準備する第1工程と、
    前記樹脂成形体の平滑面を引掻くことで起毛させる第2工程と、
    前記フィブリルの繊維間に接着剤を流し込み、前記接着剤を前記フィブリルの繊維間に固定する第3工程と、
    を備えた積層体の製造方法。
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