JP3074052B2 - 複合管状物 - Google Patents

複合管状物

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JP3074052B2
JP3074052B2 JP03349578A JP34957891A JP3074052B2 JP 3074052 B2 JP3074052 B2 JP 3074052B2 JP 03349578 A JP03349578 A JP 03349578A JP 34957891 A JP34957891 A JP 34957891A JP 3074052 B2 JP3074052 B2 JP 3074052B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複写機,ファクシミ
リ,プリンタ等の画像形成装置の定着ベルト等に用いら
れる複合管状物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、複写機,ファクシミリ,プリ
ンタ等の画像形成装置における転写紙等への画像の定着
システムの一つとして、図3に示すように、駆動ロール
2とロール3との間に導電性粒子を含有するフッ素樹脂
とポリイミド樹脂とからなる柔軟な複合管状物の定着ベ
ルト1を架け渡し、上記駆動ロール2およびロール3間
に配置されている定着ヒーター4により定着ベルト(エ
ンドレスベルト)1を局所的に加熱し、定着ベルト1と
加圧ロール5の間に転写紙6を挿入し、トナー7を定着
させる方式が採用されている。このような定着ベルト
、例えばつぎのようにして製造される。すなわち、ポ
リイミド樹脂前駆体(ポリアミド酸溶液)をシリンダー
(金型)内周面に塗布してシリンダー内に弾丸状ないし
は球状体のような走行体を走行させる。ついで、シリン
ダーから上記ポリアミド酸をイミド化してポリイミド樹
脂製管状物を取り出し、このポリイミド樹脂製管状物の
外周面に導電性物質が分散されたフッ素樹脂溶液をスプ
レーコートして導電性フッ素樹脂層を形成することによ
り定着ベルト1である複合管状物が製造される(特開平
3−130149号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記外
周に導電性フッ素樹脂層を有する複合管状物は、より高
いトナー定着性が要求される分野、例えばカラー複写機
等に用いられる定着ベルトとして用いてもトナーの定着
が不充分で鮮明な複写画像が得られ難いという問題を有
している。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、膜厚が均一でより高い定着性を有する複合管状
物の提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリイミド樹
脂製管状層と、シリコーンゴム製管状層と、フッ素ゴム
製管状層の3層構造からなる複合管状物であって、最内
層が上記ポリイミド樹脂製管状層からなり、中間層がシ
リコーンゴム製管状層およびフッ素ゴム製管状層のいず
れか一層からなり、最外層がシリコーンゴム製管状層お
よびフッ素ゴム製管状層のいずれかの残る層で構成され
ている複合管状物を要旨とする。
【0006】
【作用】すなわち、本発明複合管状物は、外周面にゴ
ム層が形成されているため、従来のものに比べてより高
いトナー定着性を備えたものである。
【0007】本発明の複合管状物は、シリコーンゴム
と、フッ素ゴムと、ポリイミド樹脂の前駆体としてポリ
アミド酸とを用いて製造される。
【0008】上記シリコーンゴムとしては、液状で用い
られ、例えば市販されている室温硬化性シリコーンゴム
(シリコーンRTVゴム)等があげられる。また、上記
フッ素ゴムとしては、溶液状(ディスパージョンを含
む)で用いられ、例えば市販されているFKM(VDF
−HFP系フッ素ゴムの二元系および三元系共重合体)
系ラテックス等があげられる。
【0009】上記ポリアミド酸はテトラカルボン酸二無
水物あるいはその誘導体とジアミンの略等モルを有機極
性溶媒中で反応させることにより得られるもので、通常
溶液状で用いられる。
【0010】上記テトラカルボン酸二無水物としては、
下記の一般式で表されるものがあげられる。
【0011】
【化1】
【0012】〔式中、Rは4価の有機基であり、芳香
族,脂肪族,環状脂肪族,芳香族と脂肪族とを組み合わ
せたもの、またはそれらの置換された基である。〕
【0013】例えば、ピロメリット酸二無水物、3,
3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、2,3,3′,4−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテト
ラカルボン酸二無水物、2,2′−ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−
3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
エチレンテトラカルボン酸二無水物等があげられる。
【0014】上記ジアミンとしては、4,4′−ジアミ
ノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニル
メタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,
3′−ジクロロベンジジン、4,4′−ジアミノジフェ
ニルスルフィド−3,3′−ジアミノジフェニルスルホ
ン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジア
ミン、p−フェニレンジアミン、3,3′−ジメチル−
4,4′−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3′
−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジ
ン、4,4′−ジアミノフェニルスルホン、4,4′−
ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジ
フェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−第三ブ
チル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフ
ェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノ
フェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−
5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−
2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジア
ミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロ
ヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメ
チレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレ
ンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピル
テトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、
4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−
ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキ
シエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−
メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘ
キサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレ
ンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−
メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデ
カン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジ
アミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10
−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジ
アミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、
【0015】H2 N(CH2 3 O(CH2 2 O(C
2 )NH2
【0016】H2 N(CH2 3 S(CH2 3
2
【0017】H2 N(CH2 3 N(CH3 )(C
2 3 NH2
【0018】等があげられる。
【0019】さらに、ポリアミド酸の合成時に用いられ
る上記有機極性溶媒は、その官能基がテトラカルボン酸
二無水物またはジアミンと反応しない双極子を有するも
のである。そして、系に対し不活性であり、かつ生成物
であるポリアミド酸に対して溶媒として作用すること以
外に、反応成分の少なくとも一方、好ましくは両者に対
して溶媒として作用しなければならない。特に、上記有
機極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が有
用であり、例えばこれの低分子量のものであるN,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド
等があげられる。これらは蒸発,置換または拡散により
ポリアミド酸およびポリアミド酸成形品から容易に除去
することができる。また、上記以外の有機極性溶媒とし
て、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチル
アセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリ
アミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テト
ラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン
等があげられる。これらは単独で使用してもよいし、併
せて用いても差し支えない。さらに、上記有機極性溶媒
にクレゾール,フェノール,キシレノール等のフェノー
ル類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、
キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トル
エン等を単独でもしくは併せて混合することもできる
が、水の添加は好ましくない。すなわち、水の存在によ
てポリアミド酸が加水分解して低分子量化するため、
ポリアミド酸の合成は実質上無水条件下で行う必要があ
る。
【0020】上記のテトラカルボン酸二無水物(a)と
ジアミン(b)とを有機極性溶媒中で反応させることに
よりポリアミド酸が得られる。その際のモノマー濃度
〔溶媒中における(a)+(b)の濃度〕は、種々の条
件に応じて設定される。しかし、通常、5〜30重量%
(以下「%」と略す)である。また、反応温度は80℃
以下に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜5
0℃であり、反応時間は約0.5〜10時間である。
【0021】このようにして酸二無水物成分原料とジア
ミン成分原料とを有機極性溶媒中で反応させることによ
りポリアミド酸が生成し、その反応の進行に伴い溶液粘
度が上昇する。この発明においては対数粘度が0.5以
上のポリアミド酸を合成し、これを用いることが好まし
い。すなわち、対数粘度が0.5以上のポリアミド酸を
用いて形成されるポリイミド管状物は、熱劣化に対する
信頼性がそれ未満のものに対して特に優れているからで
ある。
【0022】なお、上記ポリアミド酸の対数粘度は、ポ
リアミド酸溶液を毛細管粘度計によて測定し、下記の
式から算出される値である。
【0023】
【数1】
【0024】このようなポリアミド酸溶液は、使用する
際に、粘度が高い場合には適当な溶媒で希釈して粘度を
低くして用いる。例えば、ポリアミド酸溶液の粘度は、
塗布厚み,シリンダーの内径,溶液温度,走行体の形状
等に応じて設定されるが、通常、10〜10000ポイ
ズ(塗布作業時の温度で、B型粘度計での測定値)に設
定される。また、ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸濃
度は、効果の点から上記のように5〜30%に設定する
のが好ましく、特に好ましくは10〜20%である。
【0025】本発明では、シリコーンゴムもしくはフッ
素ゴムと、上記のようにして得られるポリアミド酸の有
機極性溶媒溶液を用い、例えばつぎのような二通りの方
法により2層構造の複合管状物を製造することができ
る。
【0026】上記2層構造の複合管状物の製法の第一の
方法として、例えばつぎのような製法があげられる。す
なわち、まず従来の方法にしたがってポリイミド樹脂製
管状物を作製する。このポリイミド樹脂製管状物の製法
としては、例えばシリンダーの内周面にポリアミド酸を
塗布する。上記塗布方法としては、ポリアミド酸溶液
中に上記シリンダーを浸漬した後引上げ塗布する方法、
シリンダーの片端部付近にポリアミド酸溶液を供給し
弾丸状または球状の走行体をシリンダー内周面に沿って
走行させる方法の二通りがあげられ、状況等に応じて適
宜選択される。上記弾丸状または球状の走行体として
は、金属製,硬質プラスチック製,硬質ガラス製のもの
があげられ、それを走行させる方法としては、圧縮空気
圧,ガス爆発力等を利用し走行体を走行付勢させたり、
牽引ワイヤ等を利用し走行体を引っ張ることや、自重走
行(シリンダーを垂直に立て走行体をその自重により走
行させる)等が行われる。また、上記の方法におい
て、シリンダー内周面にポリアミド酸溶液を塗布した
後、必要により弾丸状または球状の走行体をシリンダー
内周面に沿って走行させてもよい。そして、塗布された
ポリアミド酸を加熱することによりイミド化する。この
イミド化における加熱は、まず温度80〜180℃で2
0〜60分間加熱して溶媒を除去し、ついで温度250
〜400℃で20〜60分間加熱することが行われる。
これによりイミド化時に生じる閉環水等を蒸発させると
ともにイミド化が完全に行われる。このようにしてポリ
イミド樹脂製管状物が得られ、上記ポリイミド樹脂製管
状物を上記シリンダーから取り出す。この場合、上記ポ
リイミド樹脂製管状物の厚みは10〜150μmの範囲
内になるよう形成するのが好ましい。そして、上記ポリ
イミド樹脂製管状物の外周面にシリコーンゴム溶液もし
くはフッ素ゴム溶液を塗布する。このポリイミド樹脂製
管状物の外周面上に溶液を塗布する際に、上記ポリイミ
ド樹脂製管状物の内周径よりやや小さな外周径を有する
シリンダーに上記ポリイミド樹脂製管状物を嵌挿しても
よい。そして、上記溶液の塗布された管状物に円筒体を
外挿配置させる。ついで、上記円筒体または管状物を走
行させるか、もしくは上記両者を互いに反対方向に走行
させて塗布厚みを均一にする。そして、シリコーンゴム
溶液塗布の場合は、温度20〜150℃で1〜24時間
放置し硬化させることによりシリコーンゴム製管状外層
が得られる。また、フッ素ゴム溶液塗布の場合は、温度
80〜150℃で10〜30分間加熱して溶媒を除去
し、ついで温度200〜350℃で1〜60分間加熱を
行うことによりフッ素ゴム製管状外層が得られる。この
場合、上記シリコーンゴム製管状外層およびフッ素ゴム
製管状外層の厚みは1〜300μmの範囲内になるよう
形成するのが好ましい。
【0027】上記2層構造の複合管状物の製法の第二の
方法として、例えばつぎのような製法があげられる。す
なわち、従来公知の方法により得られるポリイミド樹脂
製管状物の外周面にシリコーンゴム溶液もしくはフッ素
ゴム溶液をスプレーガン等でスプレーコートして均一に
塗布する。ついで、シリコーンゴム溶液塗布の場合は、
温度20〜150℃で1〜24時間放置し硬化させるこ
とによりシリコーンゴム製管状外層が得られる。また、
フッ素ゴム溶液塗布の場合は、温度80〜150℃で1
0〜30分間加熱して溶媒を除去し、ついで温度200
〜350℃で1〜60分間加熱を行うことによりフッ素
ゴム製管状外層が得られる。なお、上記スプレーコート
に用いられるガンは特に限定するものではないが、均一
にコーティングするにはノズル径は小さい方が好まし
く、通常、ノズル径0.1〜2mmのものが用いられる。
また、通常、スプレー圧は1.0〜5.0kg/cm2 の範
囲内に設定される。すなわち、スプレー圧は低すぎると
スプレー塗布された溶液の乾きが悪くなり形成される外
層にクラックやピンホールを生じやすく、逆にスプレー
圧が高くなりすぎるとノズル先端に溶液の詰まりが発生
しやすく塗布作業の観点から好ましくない。
【0028】上記第一の方法および第二の方法におい
て、ポリイミド樹脂製管状物の外周面にフッ素ゴム製管
状外層もしくはシリコーンゴム製管状外層を形成するに
先立て、上記内層(ポリイミド樹脂製管状物)と外層
(フッ素ゴム製管状外層もしくはシリコーンゴム製管状
外層)の層間接着強度を向上させるために、ポリイミド
樹脂製管状物の外周面を表面処理した後、外層を形成す
ることが好ましい。上記表面処理方法としては、アルカ
リ処理,プライマー処理,超音波処理,エッチング処理
等のウェット処理、コロナ処理,プラズマ処理,紫外線
(UV)照射処理,電子処理,レーザー処理等のドライ
処理があげられ、これらの処理方法は単独でもしくは組
み合わせて行われる。なお、上記処理のなかでもアルカ
リ処理,プライマー処理,コロナ処理,プラズマ処理,
UV照射処理が作業性の点で好ましい。
【0029】上記製法により得られる複合管状物は、図
1に示すように、ポリイミド樹脂製管状内層(ポリイミ
ド樹脂製管状物)9の外周に、シリコーンゴム製管状外
層もしくはフッ素ゴム製管状外層8が形成されたもので
ある。
【0030】本発明の複合管状物は、3層構造である。
すなわち、図2に示すように、ポリイミド樹脂製管状物
9の外周に、シリコーンゴム製管状層(中間層)10が
形成され、さらに上記シリコーンゴム製管状層10の外
周にフッ素ゴム製管状層(最外層)11が形成されたも
のがあげられる。また、上記ポリイミド樹脂製管状物9
の外周に、上記構成とは逆に、フッ素ゴム製管状層(中
間層)が形成され、上記フッ素ゴム製管状層の外周にシ
リコーンゴム製管状層(最外層)が形成された3層構造
のものもあげられる。
【0031】上記3層構造の複合管状物は、例えば前記
2層構造の複合管状物の製法におけるポリイミド樹脂製
管状物9の外周面にシリコーンゴム製管状外層もしくは
フッ素ゴム製管状外層を形成するという方法を再度繰り
返し行うことにより得られる。なお、この3層構造の複
合管状物において、中間層と最外層の層間接着強度を向
上させるために、中間層を形成して、上記と同様の表面
処理方法を用いて中間層の外周面を表面処理した後、最
外層を形成することが好ましい。
【0032】このようにして得られる本発明の複合管状
物は、各層の厚みが均一に形成され ており、ポリイミド
樹脂製管状物9の外周にシリコーンゴム製もしくはフッ
素ゴム製の管状層が形成され、その最外層の表面が平滑
であるため、例えば高画質の画像形成装置の定着用ベル
ト等に極めて有用である。また、トナーのオフセット防
止用には、外周面に形成された上記シリコーンゴム製も
しくはフッ素ゴム製の最外層にシリコーンオイルを含浸
させることが好ましい。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明の複合管状物
リイミド樹脂製管状内層の外周面にゴム弾性を有する
管状外層が層形成されており、従来のようにポリイミド
樹脂製管状内層の外周にフッ素樹脂層が形成された管状
物に比べて定着性に優れている。したがって、本発明の
複合管状物は、エンドレスに形成でき、例えばカラー複
写機やファクシミリ、プリンター等の定着用ベルト等に
好適に用いられる。
【0034】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0035】
【実施例】3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンの略等モル
を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解(モ
ノマー濃度20%)し、温度20℃で5時間反応させて
回転粘度35000ポイズ(B型粘度計にて測定)、対
数粘度2.8のポリアミド酸溶液を作製した。ついで、
この溶液100重量部(以下「部」と略す)に対して、
NMPを33部添加して希釈し、さらに50℃に加温し
て粘度150ポイズのポリアミド酸溶液に調整した。
【0036】上記ポリアミド酸溶液を、内径50mm,肉
厚5mm,長さ500mmで内周面を平滑に仕上げられたス
テンレス製シリンダーの内周面に塗布し、外径49.4
mmの弾丸状走行体を用いて自重走行方法により速度50
mm/分で走行させて、ポリアミド酸溶液をシリンダー内
周面に均一に塗布した。塗布した後、温度70℃で60
分間乾燥させ、さらに70℃から300℃まで0.8℃
/分の速度で昇温した。その後、300℃で60分間加
熱して溶媒の除去,閉環水の除去,イミド化を行い、室
温まで冷却してポリイミド樹脂製管状物を得た。
【0037】ついで、シリンダー両端開口部を栓して、
予めシリンダー開口部付近に設けられた小貫通孔から空
気を圧送することによて、ポリイミド樹脂製管状物を
シリンダーから剥離させ取り出した。なお、上記ポリイ
ミド樹脂製管状物は、両端を切捨て、外径50mm,内径
49.94mm,長さ450mm,厚み30μmの管状物と
した。
【0038】このようにして得られたポリイミド樹脂製
管状物の外周面に、フッ素ゴム溶液(ダイエルラテック
ス,GLS−213,ダイキン社製)をエアースプレー
ガンにてスプレーコートした。その後、温度100℃で
15分加熱して、さらに100℃から300℃まで2℃
/分の速度で昇温して、その後300℃で5分間加熱
し、室温まで冷却してポリイミド樹脂製管状物の外周面
にむらのない厚み100μmのフッ素ゴム製管状層を形
成した。ついで、上記フッ素ゴム製管状層の外周面にシ
リコーン系プライマーを均一にスプレーコートし、30
分間風乾してプライマー層を形成した。そして、RTV
シリコーンゴム(KE−1400,信越化学工業社製)
に硬化剤(CAT−1400,信越化学工業社製)を添
加した溶液を固形分濃度30%になるよう1,1,1−
トリクロロエタンを用いて希釈して調整し、上記プライ
マー処理したフッ素ゴム製管状層の外周面にスプレーガ
ンにて上記調整液をスプレーコートした。その後、温度
25℃,湿度50%RHで12時間放置して外周面にむ
らのない3層構造の複合管状物を得た。なお、スプレー
コートは吐出量を少なくし、エアー圧を2kg/cm 2 以上
として30回繰り返してスプレーコートを行い所定の膜
厚とした(1回で所定の厚みを形成すると乾燥不充分の
ために膜厚にばらつきが生じる)。この複合管状物の総
厚みは250μmであり、そのうちシリコーンゴム製管
状層の厚みは120μmであった。
【0039】また、トナーのオフセト防止として、上
記3層構造の複合管状物の最外層であるシリコーンゴム
製管状層にシリコーンオイル(KF−96−100C
S,信越化学工業社製)を温度115℃,8時間の条件
で含浸させた。この複合管状物を、図3に示すようなカ
ラー画像定着装置の定着用ベルト(エンドレスベルト)
1として用いたところ、トナーの定着性が良好なカラー
定着システムが得られ、得られた画像は品質の優れたも
のであった。
【0040】
【比較例】実施例と同様にして作製したポリイミド樹脂
製管状物の外周面に、フッ素樹脂製プライマーを均一に
エアースプレーガンにてスプレーコートし、10分間風
乾した後、100℃で30分間乾燥した。このようにし
てポリイミド樹脂製管状物の外周にフッ素樹脂製プライ
マー層を形成した。そして、上記フッ素樹脂製プライマ
ー層の外周面にフッ素樹脂ディスパージョン(TE−3
34J,デュポン社製、固形分濃度60%)とカーボン
ブラックディスパージョン(固形分濃度16.5%,平
均粒径0.35μm,フッ素樹脂固形分に対して5%)
と混合した導電性フッ素樹脂溶液をエアースプレーガン
を用いてスプレーコートし、その後風乾で10分、10
0℃で10分、さらに400℃で5分間加熱した。この
ようにして外周面に導電性フッ素樹脂層を有する塗布む
らのない複合管状物を得た。なお、スプレーコートは吐
出量を少なくし、エアー圧2kg/cm2 以上に設定して5
回繰り返しスプレーコートを行い、所定の膜厚とした。
【0041】この複合管状物を、図3に示すようなカラ
ー画像定着装置の定着用ベルト(エンドレスベルト)1
として用いたところ、トナーの定着性が悪くトナーの溶
融不良でトナー粒子間にエアーギャップが生じ、空気と
の界面での光の散乱によりトナー色素本来の色調が損な
われた画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】層構造の複合管状物の断面図である。
【図2】本発明の3層構造の複合管状物の断面図であ
る。
【図3】カラー画像形成装置の定着機構部の模式図であ
る。
【符号の説明】
8 シリコーンゴム製管状外層もしくはフッ素ゴム製管
状外層 9 ポリイミド樹脂製管状物 10 シリコーンゴム製管状層 11 フッ素ゴム製管状層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 正雄 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (72)発明者 富田 俊彦 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−9625(JP,A) 特開 平3−33785(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29D 29/00 - 29/10 G03G 15/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミド樹脂製管状層と、シリコーン
    ゴム製管状層と、フッ素ゴム製管状層の3層構造からな
    る複合管状物であって、最内層が上記ポリイミド樹脂製
    管状層からなり、中間層がシリコーンゴム製管状層およ
    びフッ素ゴム製管状層のいずれか一層からなり、最外層
    がシリコーンゴム製管状層およびフッ素ゴム製管状層の
    いずれかの残る層で構成されていることを特徴とする複
    合管状物。
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