JPH0739168B2 - 複合管状物の製法 - Google Patents

複合管状物の製法

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JPH0739168B2
JPH0739168B2 JP18913990A JP18913990A JPH0739168B2 JP H0739168 B2 JPH0739168 B2 JP H0739168B2 JP 18913990 A JP18913990 A JP 18913990A JP 18913990 A JP18913990 A JP 18913990A JP H0739168 B2 JPH0739168 B2 JP H0739168B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は複写機、ファクシミリ、プリンタのような画像
形成装置の定着用ベルトとして用いられる複合管状物の
製法に関するものである。
<従来の技術> 従来、上記画像形成装置における転写紙等への画像の定
着方法としては、熱、圧力あるいはその両方を組み合わ
せた定着方法が提案されており、具体的には、オーブン
定着法、フラッシュ定着法、圧力定着法、熱ローラ定着
法などがあげられる。なかでも、熱効率、発火の危険
性、定着特性等の観点から上記熱ローラ定着法が広く採
用されている。
上記熱ローラ定着法は第4図に示すように、熱ローラ18
とプレスローラ20を上下に対設し、転写紙14を上記ロー
ラ18、20間を通過させる方法であって、熱ローラ18内蔵
の定着ヒータ10の加熱により転写紙14に被定着物である
感熱インク9を溶融定着させると共に、プレスローラ20
で圧力を加えその定着を強固にし、それによって転写紙
14に上記感熱インク9からなる画像を形成するものであ
る。
この場合、定着後に感熱インク9やそれが定着された転
写紙14が熱ローラ18に付着することを防止するために、
熱ローラ18の表面にフッ素樹脂をコーティングしたり、
さらに上記コーティング層表面にシリコーンオイルを塗
布したりすることが行われている。さらに、上記処理だ
けでは熱ローラ18への感熱インク9や転写紙14の付着を
防止するには不充分であることから、上記処理に加えて
第5図に示すように熱ローラ18の表面に僅かに触れる程
度に分離爪21を設け、感熱インク9やそれの定着した転
写紙14が熱ローラ18に付着することを防止している。
しかしながら、上記のように画像形成装置に分離爪21を
設けると画像形成装置が高価なものになるうえ、装置の
機構が複雑になりトラブルの多発要因となるいう問題を
生じる。
他方、感熱インク9を転写紙14へ定着させるためには、
定着に必要な温度に熱ローラ18の温度を高めなければな
らないが、あまり温度を高く設定しすぎると、感熱イン
ク9自身が若干の粘着性を有していることから、熱ロー
ラ18から感熱インク9を完全に剥離できないケースが発
生する。その結果、転写紙14に形成される画像面の品質
が不充分になるうえ、熱ローラ18からの剥離時の抵抗に
より転写紙14に剥離帯電が生じ塵埃が付着したり、熱ロ
ーラ18および分離爪21に静電気が帯電したりするなどの
問題が生じる。
上記のような諸問題を解決するためには、例えば熱ロー
ラ18、プレスローラ20以外に、第三のロールとして剥離
ローラ(図示せず)を用い、これを上記熱ローラ18の側
方に配設し、熱ローラ18と剥離ローラとの間に、フッ素
樹脂とポリイミド樹脂からなる柔軟な複合管状物製の定
着用ベルトを架け渡し、上記ベルトとプレスローラ20と
の間に感熱インク9付き転写紙14を通すという方式が検
討されている。上記定着用ベルトに用いられるフッ素樹
脂は離型性、耐薬品性、耐熱性に優れており、従来、離
型剤、シール材等に多く用いられている。また、上記ポ
リイミド樹脂は耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、機械的
特性などに優れている。
従って、上記複合管状物からなる定着ベルトを採用する
目的は、上記定着用ベルトにおいて耐熱性および剥離性
に優れたフッ素樹脂層を外層に形成し、耐熱性、電気絶
縁性および機械的特性に優れたポリイミド樹脂層を内層
に形成することにより、簡単にかつ有効に転写剥離性な
どを向上させるというものである。このような複合管状
物の製法については、特開昭61−95361号公報に記載さ
れている。
上記製法はポリイミド樹脂の前駆体溶液に導電性微粉末
を混合して混合液を調製し、これを大径の円筒型内に注
入し加熱しながら遠心成形することにより円筒型の内周
面に円周に沿って薄層を形成し、この薄層からなるエン
ドレスベルト(導電層付)を作る。そして、上記ベルト
の導電層の表面にフッ素樹脂をスプレーコートして誘電
体層を形成し、非感光性誘電体ベルトを作製するという
ものである。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、上記製法のように導電性を有するポリイ
ミド樹脂層の外面にフッ素樹脂ディスパージョン(分散
液)のみをスプレーコートすると、塗布むらを生じやす
い。従って、各層厚が不均一となり、また定着用ベルト
として用いた場合、鮮明な画像が得られにくくなる。
一般に、画像には光沢のある画像と光沢のない画像(艶
消し画像)とがあり、転写機などの用途で高品質の艶消
し画像を得るには、定着用ベルトの外周面が均一に粗面
化されている必要がある。
ところが、上記製法のようにフッ素樹脂ディスパージョ
ンのみをスプレーコートすると、得られるフッ素樹脂層
の外面が平滑となり、光沢のある画像となってしまうの
で、好ましくないものである。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、
外周面が均質に粗面化され、定着用ベルトとして用いた
場合に、高品質の艶消し画像が得られる複合管状物の製
法の提供を目的とする。
<課題を解決するための手段> 上記目的を達成するために検討を重ねた結果、シリンダ
ーの内周面および特定形状の走行体を利用することによ
り、ポリイミド樹脂製管状物内層とフッ素樹脂製管状物
外層からなる均一な厚みを有する複合管状物を得ること
ができ、この外層の外周面を特定範囲の表面粗さに設
定、粗面化することで、優れた特性を発揮する定着用ベ
ルトが得られることを見い出し、本発明を完成するに至
った。
即ち、本発明の第1の製法は、表面粗さ(RZ)1〜10μ
mの内周面を有するシリンダーの内周面に、フッ素樹脂
溶液を塗布してフッ素樹脂製管状外層を形成し、さらに
形成されたフッ素樹脂製管状外層の内周面にポリアミド
酸溶液を塗布し、弾丸状ないしは球状の走行体を上記ポ
リアミド酸溶液の塗布内周面に沿って走行させ、次いで
上記ポリアミド酸をイミド化してポリイミド樹脂製管状
内層を形成して複合管状物を得、そののちシリンダーか
らフッ素樹脂製管状外層の外周面の表面粗さ(RZ)が1
〜10μmである複合管状物を取り出すことを特徴とする
ものである。
また、本発明の第2の製法は、シリンダーの内周面にポ
リアミド酸溶液を塗布し、弾丸状ないしは球状の走行体
を上記ポリアミド酸溶液の塗布内周面に沿って走行さ
せ、次いで上記ポリアミド酸をイミド化してポリイミド
樹脂製管状内層を形成し、形成後シリンダーから上記ポ
リイミド樹脂製管状内層を取り出したのち、この管状内
層を平均粒径5μm以下の粒体を均一に分散したフッ素
樹脂溶液に浸漬し、ポリイミド樹脂製管状内層の外周面
に外周面の表面粗さ(RZ)が1〜10μmであるフッ粗樹
脂製管状外層を形成することを特徴とするものである。
さらに、本発明の第3の製法は、シリンダーの内周面に
ポリアミド酸溶液を塗布し、弾丸状ないしは球状の走行
体を上記ポリアミド酸溶液の塗布内周面に沿って走行さ
せ、次いで上記ポリアミド酸をイミド化してポリイミド
樹脂製管状内層を形成し、形成後シリンダーから上記ポ
リイミド樹脂製管状内層に取り出したのち、この管状内
層の外周面に平均粒径5μm以下の粒体を均一に分散し
たフッ素樹脂溶液をスプレーコートすることによって、
外周面の表面粗さ(RZ)が1〜10μmであるフッ素樹脂
管状外層を形成することを特徴とするものである。
本発明においてはフッ素樹脂と、ポリイミド樹脂の前駆
体としてのポリアミド酸とを用いて複合管状物を製造す
る。
上記フッ素樹脂は溶液状(ディスパージョンも含む)で
用いられ、例えば、市販されているポリ四フッ化エチレ
ン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレ
ン共重合体樹脂(FEP)、四フッ化エチレン/パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)など
があげられ、通常はディスパージョン状態で用いられ
る。そして、上記フッ素樹脂溶液の粘度は、塗布厚み、
溶液の温度に応じて、フッ素樹脂溶液、例えば界面活性
剤や増粘剤などを添加することにより調節され、通常、
0.1〜100ポイズ(塗布作業時の温度でB型粘度計での測
定値)に設定される。このようなフッ素樹脂溶液の濃度
は、通常、5〜80重量%(以下「%」と略す)、より好
ましくは20〜60%に設定される。
なお、上記フッ素樹脂溶液として導電性物質を含有した
ものを用いると、得られる複合管状物を、例えば複写機
などの定着用ベルトして用いた場合に効果的であって好
ましい。上記導電性物質としては、カーボン、グラファ
イト、金属粉末などの導電性粉末や導電性を有する有機
化合物、無機化合物があげられ、特に、カーボン、グラ
ファイト、金属粉末などの導電性粉末を用いることが好
ましい。上記導電性物質の含有量は、フッ素樹脂層中0.
5〜50%の範囲に設定することが好ましい。
また、導電性を有さない粒体としては、ガラスビーズ、
架橋シリコーン樹脂、セラミック樹脂、ポリイミド樹
脂、二酸化ケイ素、ベンゾグアナミン樹脂などからなる
粒体が用いられる。
上記ポリアミド酸はテトラカルボン酸二無水物あるいは
その誘導体と、ジアミンの略等モルを有機極性溶媒中で
反応させることにより得られるもので、通常は溶液状で
用いられる。
上記テトラカルボン酸二無水物としては、下記の一般式
で示されるものがあげられる。
例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタ
レンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテト
ラカルボン酸二無水物、2,2′−ビス(3,4−ジカルボキ
シフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10
−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカボキシ
フェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン
酸二無水物などがあけられる。
また、上記ジアミンとしては、4,4′−ジアミノジフェ
ニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,
3′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジクロロベン
ジジン、4,4′−アミノジフェニルスルフィド、3,3′−
ジアミノフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレ
ン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニルジアミン、ベ
ンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメト
キシベンジジン、4,4′−ジアミノフェニルスルホン、
4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミ
ノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−ter−
ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−ter−ブチ
ルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−ア
ミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,2−ジメチル
−5−アミノペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−
2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミ
ン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘ
キシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチ
レンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレン
ジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテ
トラメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジア
ミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−
ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシ
エタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メト
キシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメ
チレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミ
ン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノ
ナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−
ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサ
ン、1,10−ジアミノ−ジメチルデカン、1,12−ジアミノ
オクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、H2N(CH23O
(CH22O(CH2)NH2、H2N(CH23S(CH23NH2、H2N
(CH23N(CH3)(CH23NH2などがあげられる。
さらに、ポリアミド酸の合成時に用いられる上記有機極
性溶媒は、その官能基がテトラカルボン酸二無水物また
はジアミンと反応しない双極子を有するものである。そ
して系に対して不活性であり、かつ生成物であるポリア
ミド酸に対して溶媒として作用すること以外に、反応成
分の少なくとも一方、好ましくは両者に対して溶媒とし
て作用しなければならない。特に、上記有機極性溶媒と
しては、N,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例え
ばこれの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどがあげられる。
これらは蒸発、置換または拡散によりポリアミド酸およ
びポリアミド酸成形品から容易に除去することができ
る。
また、上記以外の有機極性溶媒として、N,N−ジエチル
ホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメ
チルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘ
キサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロ
リドン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチレン
スルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどがあげ
られる。これらは単独で使用してもよいし、併せて用い
ても差し支えない。さらに、上記有機極性溶媒にクレゾ
ール、フェノール、キシレノールなどのフェノール類、
ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレ
ン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンな
どを単独で、もしくは併せて混合することもできるが、
水の添加は好ましくない。即ち、水の存在によってポリ
アミド酸が加水分解して低分子量化するため、ポリアミ
ド酸の合成は実質上無水条件下で行う必要がある。
上記テトラカルボン酸二無水物(a)と、ジアミン
(b)とを有機極性溶媒中で反応させることによるポリ
アミド酸が得られる。その際のモノマー濃度(溶媒中に
おける(a)+(b)の濃度)は、種々の条件に応じて
設定される。しかし、通常は5〜30%である。また、反
応温度は、80℃以下に設定することが好ましく、より好
ましくは5〜50℃であり、反応時間は約0.5〜10時間で
ある。
このようにしてカルボン酸二無水物成分とジアミン成分
とを有機極性溶媒中で反応させることによりポリアミド
酸が生成し、その反応の進行に伴い溶液粘度が上昇す
る。この発明においては対数粘度が0.5以上のポリアミ
ド酸を合成し、これを用いることが好ましい。即ち、対
数粘度が0.5以上のポリアミド酸を用いて形成されるポ
リイミド管状物は、熱劣化に対する信頼性がそれ未満の
ものに対して特に優れているからである。
なお、上記ポリアミド酸の対数粘度は、ポリアミド酸溶
液を毛細管粘度計によって測定し、下記の式から算出さ
れる値である。
(t0:溶媒の落下時間;t1:溶液の落下時間;C:濃度(g/d
l)) このようなポリアミド酸溶液は、使用する際に粘度が高
い場合には適当な溶媒で希釈して粘度を低くして用い
る。例えば、シリンダー内周面に形成されたフッ素樹脂
管状外層の内周面にポリアミド酸溶液を塗布する場合に
は、ポリアミド酸溶液の粘度は、塗布厚み、シリンダー
の内径、溶液温度、走行体の形状などに応じて設定され
るが、通常、10〜10000ポイズ(塗布作業時の温度で、
B型粘度計での測定値)に設定される。また、ポリアミ
ド酸溶液中のポリアミド酸濃度は、効果の点から5〜30
%に設定するのが好ましく、より好ましくは10〜20%で
ある。
本発明はフッ素樹脂ディスパージョンおよび上記のよう
にして得られたポリアミド酸の有機極性溶媒の溶液を用
い、例えば次のような方法によってフッ素樹脂層とポリ
イミド樹脂層とからなる複合管状物を製造する。即ち、
まず、第1の方法として、内周面の表面粗さが1〜10μ
mで内径10〜500mmの金属、ガラス等からなる耐熱性シ
リンダー(離型効果向上のため内周面にシリコーン樹脂
等を塗布してもよい)の内周面にフッ素樹脂溶液を塗布
する。このフッ素樹脂溶液に平均粒径5μm以下の粒体
を均一に分散させたものを用いると、外周面が均質に粗
面化されて好ましい。
塗布方法としては、フッ素樹脂溶液中に上記シリンダ
ーを浸漬したのち、引き上げ塗布する方法、シリンダ
ーの片端部付近にフッ素樹脂溶液を供給し、弾丸状また
は球状の走行体をシリンダー内周面に沿って走行させる
方法、フッ素樹脂溶液をシリンダー内周面にスプレー
コートする方法などがあげられ、状況等に応じて適宜選
択される。
上記弾丸状または球状の走行体としては、金属製、硬質
プラスチック製、硬質ガラス製のものがあげられ、それ
を走行させる方法としては、圧縮空気圧、ガス爆発力等
を利用し走行体を走行させたり、牽引ワイヤ等を利用し
走行体を引っ張ることや、自重走行(シリンダーを垂直
に立て、走行体をその自重により走行させる)などが行
われる。また、上記の方法において、シリンダー内周
面にフッ素樹脂溶液を塗布した後、必要に応じて弾丸状
または球状の走行体をシリンダー内周面に沿って走行さ
せてもよい。そして、その後、加熱乾燥を行う。この
際、膜圧を均一化せしめるには、シリンダーを垂直また
は水平に保持することが好ましい。
なお、上記加熱乾燥はディスパージョン中の水を除去
し、シリンダー内周面にフッ素樹脂製管状外層を形成す
るために行われるが、水の蒸発によるボイド形成、残存
水分量によるポリアミド酸溶液の塗布時または塗布後の
白化(白濁)減少、イミド化時の反応阻害およびイミド
化後のフッ素樹脂とポリイミドの密着性などを考慮した
うえで温度条件等が設定され、加熱乾燥を行う。完全に
水を蒸発させるために、必要により温度を100℃以上に
設定してもよい。このようにしてフッ素樹脂塗膜(外
層)が得られる。
次に、得られるフッ素樹脂塗膜の内周面にポリアミド酸
溶液を塗布する。この場合、乾燥状態を経てポリアミ
ド酸溶液を塗布する工程に進む、乾燥、シンタリング
(焼結)を経てポリアミド酸溶液を塗布する工程へ進む
という経路の何れを選択してもよい。このポリアミド酸
溶液の塗布方法は、シリンダーの片端部付近にポリアミ
ド酸溶液を供給し、弾丸状または球状の走行体をシリン
ダー内周面に沿って前記と同様の方法により走行させる
ことにより行われる。そして、塗布されたポリアミド酸
を加熱することによりイミド化する。このイミド化にお
ける加熱は、まず温度を80〜180℃で20〜60分間加熱し
て溶媒を除去し、次いで温度250〜400℃で20〜60分間加
熱することが行われる。これによりイミド化時に生じる
閉環水などを蒸発させると共に,イミド化が完全に行わ
れる。その結果、シリンダー内にフッ素樹脂性管状外層
の内周面にポリイミド樹脂性管状内層が積層状態に形成
された本発明の複合管状物が形成される。
本発明において内層と外層との層間接着強度を向上させ
るためには、フッ素樹脂層の内周面をナトリウム錯塩処
理することが好ましく、層間剥離を起こさず耐久性の優
れた複合管状物が得られる。なお、上記のようにして得
られた複合管状物において、ポリイミド層の厚みを10〜
150μmの範囲、フッ素樹脂層の厚みを1〜20μmの範
囲にするのが好ましい。また、フッ素樹脂層の表面粗さ
(RZ)は使用するシリンダーの内周面の表面粗さもしく
は分散する粒体の平均粒径に依存し、1〜10μmの範囲
に設定される。
第2の方法は、上記フッ素樹脂およびポリアミド酸の有
機極性溶媒溶液を用いて、例えば次のようにして複合管
状物を製造する。即ち、まず、シリンダーの内周面に対
してポリアミド酸溶液を塗布する。塗布方法としては、
ポリアミド酸溶液中に上記シリンダーを浸漬したの
ち、引き上げ塗布する方法、シリンダーの片端部付近
にポリアミド酸溶液を供給し、弾丸状または球状の走行
体をシリンダー内周面に沿って走行させる方法の二通り
があげられ、状況に応じて適宜選択される。
上記走行体の材質および走行体を走行させる方法として
は、前述と同様のものがあげられる。また、上記の方
法において、シリンダー内周面にポリアミド酸溶液を塗
布した後、必要により弾丸状または球状の走行体をシリ
ンダー内周面に沿って走行させてもよい。そして、塗布
されたポリアミド酸を加熱することによりイミド化す
る。このイミド化における加熱は、まず温度80〜180℃
で20〜60分間加熱して溶媒を除去し、次いで温度250〜4
00℃で20〜60分間加熱することが行われる。これにより
イミド化時に生じる閉環水などを蒸発させると共に、イ
ミド化が完全に行われる。このようにしてポリイミド樹
脂製管状内層が得られる。この場合、上記ポリイミド樹
脂製管状内層の厚みが10〜150μmの範囲内になるよう
に形成するのが好ましい。
次に、得られたポリイミド管状内層をシリンダーから取
り出し、平均粒径5μm以下の粒体0.5〜50重量%(対
フッ素樹脂固形分)を均一に分散したフッ素樹脂溶液に
浸漬することによりポリイミド管状物の外周面にフッ素
樹脂溶液を塗布する。そして、温度80〜180℃で10〜30
分間加熱して溶媒を除去し、次いで温度350〜450℃で1
〜60分間シンタリング(焼結)を行う。このような方法
により均質に粗面化された外表面を有し、厚みが1〜10
μm、表面粗さ(RZ)が1〜10μmのフッ素樹脂製管状
外層が得られる。
なお、上記表面粗さ(RZ)とは、得られたフッ素樹脂管
状物表面の10箇所の表面粗さ(RZ)を測定し、それを平
均して求められる。ところで、上記フッ素樹脂溶液に浸
漬した際に、ポリイミド管状物の内周面にフッ素樹脂溶
液が付着することになるが、これは布などで拭き取ると
よい。
第3の方法は上記第2の方法と同様の操作を行い、10〜
150μm厚のポリイミド樹脂製管状内層をシリンダー内
周面に形成し、形成後シリンダーから取り出したのち、
この外周面に平均粒径5μm以下の粒体を均一に分散し
たフッ素樹脂溶液(前出)をスプレーコートして均一に
塗布する。次いで、温度350〜450℃で1〜60分間シンタ
リングを行い、厚み1〜20μm、表面粗さ(RZ)1〜10
μmのフッ素樹脂製外層を有する本発明の複合管状物を
得る。スプレーコートに使用するスプレーガンは特に制
限はないが、均一にコーティングするにはノズル径は小
さい方が好ましく、通常0.1〜2mmφのものを用いる。ま
た、スプレー圧は低すぎると乾きが悪くクラックやピン
ホールを生じやすくなり、一方、高すぎるとノズル先端
での詰まりが発生しやすくなり、好ましくない。通常、
スプレー圧は1.0〜5.0Kg/cm2の範囲で行う。
上記第2の方法および第3の方法において、内層と外層
との層間接着強度を向上させるためには、ポリイミド樹
脂製内層の外周面を処理したのち、外層を形成すること
が好ましい。処理方法としてはアルカリ処理、プライマ
ー処理、超音波処理、エッチング処理などのウエット処
理や、コロナ処理、プラズマ処理、UV(紫外線)処理、
電子線処理、レーザー処理などのドライ処理があげら
れ、これらの処理は単独もしくは組み合わせて用いる。
なお、上記処理のうちアルカリ処理、プライマー処理、
コロナ処理、プラズマ処理、UV処理が作業性の点で好ま
しく用いられる。
なお、以上のような方法により得られる複合管状物は、
通常、第1図に示すような内層にポリイミド層16、外層
にフッ素樹脂層17が形成されたものであるが、上記のよ
うなフッ素樹脂層およびポリイミド層の2層に限らず、
例えば3層、4層等の樹脂層を重ねた多層構造に形成し
てもよい。
このようにして得られる複合管状物は、各層の厚みが特
定範囲内で均一に形成されており、かつフッ素樹脂層の
表面が均質に粗面化されているので、艶消し画像形成用
の定着用ベルト等に極めて有用である。
ちなみに、本発明の製法にて得られた複合管状物を用い
た応用例を第2図に示す。図面は、複合管状物をエンド
レスベルト1として用いた画像形成装置の定着機構部の
模式図であり、感熱インク9が完全に定着していない状
態の転写紙14が定着ヒータ19とプレスローラ20との間に
挿入され加熱・加圧により感熱インク9が転写紙14に定
着される。定着後、エンドレスベルト1の有する剥離性
(オフセット性)により転写紙14はエンドレスベルト1
から容易に剥離して排紙される。その結果、転写紙14に
形成された画像は鮮明な艶消し画像であり品質に優れて
いる。
<発明の効果> 以上のように、本発明はフッ素樹脂溶液をシリンダー内
周面に塗布してフッ素樹脂製管状外層を作製し、さらに
その内周面にポリアミド酸溶液を塗布し、弾丸状または
球状の走行体をポリアミド酸溶液の塗布面上を走行させ
複合管状物を製造するか、もしくはポリアミド酸溶液を
シリンダー内周面に塗布して弾丸状または球状の走行体
をポリアミド酸溶液の塗布面上を走行させポリイミド樹
脂製管状内層を作製し、シリンダーからポリイミド樹脂
製管状内層を取り出してその外周面に平均粒径5μm以
下の粒体を均一に分散したフッ素樹脂溶液を浸漬塗布、
またはスプレーコートして複合管状物を製造するので、
溶液の塗布むらが生じず、しかも得られる複合管状物の
各層の厚みむらもなく特定の範囲内に形成される。
また、シリンダーを用いるので、周長精度が良好であ
り、かつフッ素樹脂製管状外層表面が極めて均一に形成
されている。このような複合管状物は、エンドレスベル
トに形成でき、熱転写プリンター用ベルト、複写機やフ
ァクシミリ、プリンターなどの搬送用あるいは定着用ベ
ルト、シリコンウエハの搬送用ベルトなどに好適に用い
られる。
さらに、フッ素樹脂製外層に導電性の粒体を分散させる
ことにより、帯電防止効果が付与されて、定着用ベルト
として用いた場合に塵埃や異物などの付着を防止でき、
優れた効果を発揮する。
<実施例> 以下、本発明の実施例を示し、さらに具体的に説明す
る。
実施例1 3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
と、p−フェニレンジアミンの略等モルを、N−メチル
−2−ピロリドン(以下、NMPと略す。モノマー濃度20
重量%)に溶解し、温度20℃で5時間反応させて回転粘
度35000ポイズ(B型粘度計にて測定)、対数粘度2.8の
ポリアミド酸溶液を作製した。次いで、この溶液100重
量部に対して、NMPを33重量部添加して希釈し、さらに5
0℃に加温して粘度1500ポイズのポリアミド酸溶液を調
製した。
一方、内径50mm、肉厚5mm、長さ500mmで内周面が表面粗
さ(RZ)2μmに粗面化されたステンレス製シリンダー
を、フッ素樹脂ディスパージョン(TE−334J、デュポン
社製、固形分濃度60重量%)と、カーボンブラックディ
スパージョン(固形分濃度16.5重量%、平均粒径0.35μ
m、フッ素樹脂固形分に対して5重量%)とを混合した
導電性フッ素樹脂溶液中に浸漬し、30mm/分の速度で引
き上げ、次いでこのシリンダーを100℃で60分間、さら
に400℃で5分間加熱、乾燥してフッ素樹脂管状物をシ
リンダー内周面に形成した。
次に、フッ素樹脂管状物が形成されたステンレス製シリ
ンダーを前期ポリアミド酸溶液に浸漬し、ポリアミド酸
溶液を塗布して引き上げた。その後、シリンダー内を外
径49.2mmの弾丸状走行体を用いて自重走行法により速度
50mm/分で走行させポリアミド酸溶液をフッ素樹脂管状
物の内面に塗布した。
塗布後、温度70℃で60分間加熱し、さらに70℃から300
℃まで速度0.8℃/分で昇温し、300℃で60分間加熱して
溶媒の除去、閉環水の除去、イミド化を行い、そののち
室温まで冷却し、2層の複合管状物を得た。そして、こ
の複合管状物をステンレス製シリンダーから剥離して取
り出した。外径50mmで、長さは両耳端を切り捨てて450m
mとし、外周面に導電性フッ素樹脂層を有するポリイミ
ド複合管状物を得た。
なお、上記複合管状物の全厚みは40μmであり、そのう
ちポリイミド層の厚みは30μm、フッ素樹脂層の厚みは
10μmで表面粗さ(RZ)は1.8μm、表面抵抗は4×104
Ω/□であった。
この複合管状物は塗布むらがなく、各層の厚みはほぼ均
一であり、外周面にはシリンダー内周面の均質粗面が転
写されていた。
この複合管状物を第3図に示すようなインク再生型熱転
写プリンタの定着用ベルト(エンドレスベルト)1とし
て用いたところ、感熱インク9の定着後の紙離れのよい
(所謂、オフセット性の良好な)定着システムとするこ
とができた。なお、得られた画像は均質な絹目状表面を
有していた。
第3図においては2はプラテンローラ、3は駆動ロー
ラ、4はバックアップローラ、5,6,10はローラ、8はイ
ンクタンク、9は感熱インク、11はインクタンクカバ
ー、15はヒータである。
実施例2 ピロメリット酸二無水物と、4,4′−ジアミノジフェニ
ルエーテルの略等モルを、NMP(モノマー濃度20重量
%)に溶解し、温度20℃で5時間反応させて回転粘度28
000ポイズ、対数粘度2.4のポリアミド酸溶液を作製し
た。次いで、この溶液を50℃に加温して回転粘度1500ポ
イズに調製した。
以上のようにして得たポリアミド酸溶液を用いた以外
は、実施例1と同様にして外径50mm、長さ450mmの複合
管状物を得た。この複合管状物は全厚み40μmであり、
そのうちポリイミド層の厚みは30μm、導電性フッ素樹
脂層の厚みは10μm、塗布むらがなく、各層の厚みは略
均一であり、表面粗さ(RZ)は1.9μm、表面抵抗は5
×104Ω/□であった。
この複合管状物は実施例1と同様に、第3図に示すイン
ク再生型熱転写プリンタの定着用ベルトとして用いたと
ころ、実施例1と同様の結果が得られ、得られた画像は
均質な絹目状表面をしていた。
実施例3 3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルの略等モル
を、NMP(モノマー濃度20重量%)に溶解し、温度20℃
で5時間反応させて回転粘度25000ポイズ、対数粘度2.3
のポリアミド酸溶液を作製した。次いで、この溶液を50
℃に加温して回転粘度1500ポイズに調製した。
以上のようにして得たポリアミド酸溶液を用いた以外
は、実施例1と同様にして外径50mm、長さ450mmの複合
管状物を得た。この複合管状物は全厚み40μmであり、
そのうちポリイミド層の厚みは30μm、導電性フッ素樹
脂層の厚みは10μm、塗布むらがなく、各層と厚みは略
均一であり、表面粗さ(RZ)は1.8μm、表面抵抗は3
×104Ω/□であった。
この複合管状物を実施例1と同様に、第3図に示すイン
ク再生型熱転写プリンタの定着用ベルトとして用いたと
ころ、実施例1と同様の結果が得られ、得られた画像は
均質な絹目状表面を有していた。
実施例4 内径123mm、肉厚3mm、長さ500mmの内周面が平滑なガラ
ス管を実施例1にて調製したポリアミド酸溶液に浸漬
し、ポリアミド酸を内周面に塗布して引き上げた。
その後、上記ガラス管内に外径122.6mmの弾丸状走行体
を用いて自重走行法により速度50mm/分で走行させ、ポ
リアミド酸溶液をガラス管内周面に均一に塗布した。塗
布した後、温度70℃で60分間乾燥したのち、70℃から30
0℃まで0.8℃/分で昇温し、さらに温度300℃で60分間
加熱して溶媒の除去、閉環水等の除去、イミド化を行
い、室温まで冷却しポリイミド管状物を得た。
次に、ガラス管両端部の開口部に栓をし、予めガラス管
開口部付近に設けられた小貫通孔から空気を圧送するこ
とにより、得られたポリイミド管状物をガラス管から剥
離し、上記ポリイミド管状物を引き抜き、取り出した。
このポリイミド管状物は、外径123mm、肉厚16μm、長
さ450mmのものであった。
次に、実施例1にて用いた導電性フッ素樹脂溶液に、上
記ポリイミド管状物を浸漬し、速度100mm/分で引き上げ
た。その後、風乾で10分間、温度100℃にて10分間乾燥
させて、ポリイミド管状物の内周面に付着した導電性フ
ッ素樹脂溶液を水で濡らしたウエスで拭き取った。
次いで、この管状物を温度400℃で5分間加熱して、外
周面に導電性フッ素樹脂層を有する複合管状物を得た。
なお、上記複合管状物の全厚みは24μmであり、そのう
ち導電性フッ素樹脂層の厚みは8μmで、表面粗さ
(RZ)は均質で1.2μmであり、表面抵抗は5×104Ω/
□であった。
この複合管状物は塗布むらがなく、各層の厚みは略均一
であった。
また、この複合管状物は実施例1と同様に、第3図に示
すインク再生型熱転写プリンタの定着用ベルト(エンド
レスベルト)として用いたところ、オフセット性が良好
であり、得られた画像は艶消しの品質のよいものであっ
た。
実施例5 実施例4で用いたカーボンブラックディスパージョンの
代わりに、シリコーン樹脂球状粒体(東芝シリコーン社
性、トスパール120、平均粒径2.05μm)5重量%(対
フッ素樹脂固形分)を用い、さらに実施例3で作製した
ポリアミド酸を用いた以外は、実施例4と同様にして複
合管状物を得た。なお、上記複合管状物の全厚みは23μ
mで外層のフッ素樹脂層の厚みは7μmで、表面粗さ
(RZ)は1.5μm、表面抵抗は1.0×1012Ω/□であっ
た。
この複合管状物を実施例1と同様に、第3図に示すイン
ク再生型熱転写プリンタの定着用ベルト(エンドレスベ
ルト)として用いたところ、オフセット性が良好で、得
られた画像は艶消しの品質のよいものであった。
実施例6 実施例5で用いたシリコーン樹脂球状粒体の代わりに、
ベンゾグアナミン樹脂球状粒体(日本触媒化学工業社
製、エポスターM30、平均粒径3.25μm)を用いた以外
は、実施例5と同様にして塗布むらのない複合管状物を
得た。なお、上記複合管状物の全厚みは23μmであり、
外層のフッ素樹脂層の厚みは7μmで、表面粗さ(RZ
は2.1μm、表面抵抗は1.0×105Ω/□であった。
この複合管状物を実施例1の同様に、第3図に示すイン
ク再生型熱転写プリンタの定着用ベルト(エンドレスベ
ルト)として用いたところ、オフセット性は良好で、得
られた画像は艶消しの品質のよいものであった。
実施例7 実施例3にて作製したポリアミド酸を用いた以外は、実
施例4と同様にして塗布むらのない複合管状物を得た。
この複合管状物の全厚みは24μmであり、外層の導電性
フッ素樹脂層の厚みは8μm、表面粗さ(RZ)は1.4μ
m、表面抵抗は7×104Ω/□であった。
この複合管状物を実施例1と同様に、第3図に示すイン
ク再生型熱転写プリンタの定着用ベルト(エンドレスベ
ルト)として用いたところ、オフセット性は良好で、得
られた画像は艶消しの品質のよいものであった。
実施例8 内径50mm、肉厚5mm、長さ500mmで内周面を平滑に仕上げ
たステンレス製シリンダーを、実施例2にて調製したポ
リアミド酸溶液に浸漬し、シリンダー内周面にポリアミ
ド酸溶液を塗布して引き上げた。
その後、上記シリンダー内を外径49.4μmの弾丸状走行
体を用いて自重走行法により速度50mm/分で走行させ、
ポリアミド酸溶液をシリンダー内周面に均一に塗布し
た。塗布した後、温度70℃で60分間乾燥し、70℃から30
0℃まで0.8℃/分で昇温したのち、さらに温度300℃で6
0分間加熱して溶媒の除去、閉環水の除去、イミド化を
行い、室温まで冷却してポリイミド管状分を得た。
次に、シリンダー両端開口部に栓をし、予めシリンダー
開口部付近に設けられた小貫通孔から通気を圧送するこ
とにより、得られたポリイミド管状物をシリンダーから
剥離し、上記ポリイミド管状物を引き抜き、取り出し
た。このポリイミド管状物は、外径50mm、肉厚30μm、
長さ450mmのものであった。
この管状物の外面に実施例1にて用いたフッ素樹脂溶液
をエアースプレーガンを用いてスプレーコートし、その
後風乾で10分間、100℃で10分間、400℃で5分間加熱
し、外周面に導電性フッ素樹脂層を有する塗布むらのな
い複合管状物を得た。なお、スプレーコートは吐出量を
少なくし、エアー圧を2Kg/cm2以上として5回繰り返し
スプレーを行い、所定の膜厚とした。(1回で全厚みを
形成すると、乾燥不充分のため膜厚のバラツキが生じ
る。) この複合管状物の全厚みは38μmであり、外層の導電性
フッ素樹脂層の厚みは8μm、表面粗さ(RZ)と3.3μ
m、表面抵抗は3×104Ω/□であった。
また、この複合管状物を第2図に示すような画像形成装
置の定着用ベルト(エンドレスベルト)1として用いた
ところ、感熱インク9の定着後のアフセット性が良好な
定着システムとなり、得られた画像は艶消しの品質のよ
いものであった。
実施例9 実施例1には作製したポリアミド酸を用いた以外は、実
施例8の同様にして外周面に導電性フッ素樹脂層を有す
る塗布むらのない複合管状物を得た。
この複合管状物の全厚みは37μmであり、外層の導電性
フッ素樹脂層の厚みは7μm、表面粗さ(RZ)は4.1μ
m、表面抵抗1×104Ω/□であった。
この複合管状物を実施例8と同様に、第2図に示すよう
な画像形成装置の定着用ベルト(エンドレスベルト)と
して用いたところ、感熱インクの定着後のオフセット性
が良好な定着システムとすることができ、得られた画像
は艶消しの品質のよいものであた。
実施例10 内径50mm、長さ500mmで内周面の表面粗さ(RZ)が2μ
mに粗面化されたステンレス製シリンダーを実施例1に
て作製したフッ素樹脂溶液に浸漬し、速度30mm/分で引
き上げ、次いでこのシリンダーを温度100℃で60分間加
熱し、さらに400℃で5分間加熱して導電性フッ素樹脂
管状物を形成した。
次に、金属ナトリウム23g、ナフタリン128g、テトラヒ
ドロフラン1000mlの組成からなるナトリウム錯塩溶液
に、上記導電性フッ素樹脂層が形成されたシリンダーを
1分間浸漬し、アセトン洗浄、水洗、乾燥を行った。
次に、このシリンダーを実施例1にて作製したポリアミ
ド酸溶液に浸漬し、シリンダー内周面にポリアミド酸溶
液を塗布して引き上げた。その後、シリンダー内を外径
49.2mmの弾丸状走行体を用いて自重走行法により速度50
mm/分で走行させ、ポリアミド酸溶液をフッ素樹脂管状
物の内面に均一に塗布した。
塗布後、温度70℃で60分間加熱し、さらに70℃から300
℃まで速度0.8℃/分で昇温し、温度300℃で60分間加熱
して溶媒の除去、閉環水の除去、イミド化を行い、室温
まで冷却し塗布むらのない複合管状物を得た。そして、
この複合管状物をシリンダーから剥離させて取り出し
た。外径50mmで、長さは両耳端を繰り捨てて450mmと
し、外周面に導電性フッ素樹脂層を有するポリイミド管
状物を得た。
なお、上記複合管状物の全厚みは40μmであり、ポリイ
ミド層の厚みは30μm、導電性フッ素樹脂層の厚みは10
μmで、表面粗さ(RZ)は1.9μm、表面抵抗は5×104
Ω/□であった。
この複合管状物は層間接着強度が極めて強固であり、第
2図に示すような画像形成装置の定着用ベルト(エンド
レスベルト)として用いたところ、オフセット性が良好
で艶消し状の画像が得られた。また、連続通紙試験にお
いて10万枚を超える優れた耐久性を発揮するものであっ
た。
実施例11 内径123mm、肉厚3mm、長さ500mmで内周面が平滑なガラ
ス管をシリンダーとして用い、これを実施例3にて調製
したポリアミド酸溶液中に浸漬し、シリンダー内周面に
ポリアミド酸溶液を塗布して引き上げた。そののちシリ
ンダー内に外径122.6mmの弾丸状走行体を用いて自重走
行法により速度50mm/分で走行させて、ポリアミド酸溶
液をシリンダー内周面に均一に塗布した。
塗布後、温度70℃で60分間乾燥し、さらに70℃から300
℃まで0.8℃/分の速度で昇温して、そののち300℃で60
分間加熱して溶媒の除去、閉環水の除去、イミド化を行
い、室温まで冷却してポリイミド管状物を得た。
次いで、シリンダーの両端開口部に栓をして、予めシリ
ンダー開口部付近に設けられた小貫通孔から空気を圧送
することによってポリイミド管状物をシリンダーから剥
離して取り出した。なお、管状物は両耳を切り捨てて、
外径123mm、長さ450mm、厚さ16μmの管状物とした。
このようにして得られたポリイミド管状物の外周面を、
ローラー電極を用い、100Wで1分間コロナ放電処理を施
した。
処理を施したポリイミド管状物を実施例1にて調製した
導電性フッ素樹脂溶液中に浸漬し、速度100mm/分で引き
上げた。外周面にフッ素樹脂溶液が塗布された管状物を
風乾で10分間、温度100℃で10分間乾燥し、さらに内周
面に付着したフッ素樹脂を水で濡らしたウエスにて拭き
取った。そののち、400℃で5分間加熱を行い、外周面
に導電性フッ素樹脂層を有し、塗布むらのない複合管状
物を得た。この複合管状物の全厚みは24μmであり、そ
のうち導電性フッ素樹脂層の厚みは8μm、表面粗さ
(RZ)は1.6μm、表面抵抗は6×104Ω/□であった。
この複合管状物は層間接着強度が強固であり、第2図に
示すような画像形成装置の連続通紙試験において5万枚
を超える耐久性を示した。また、第3図に示すようなイ
ンク再生型熱転写プリンタの定着用ベルト(エンドレス
ベルト)として用いたところ、オフセット性が良好で艶
消し状の画像が得られた。
実施例12 内径50μm、肉厚5mm、長さ500mmで内周面を平滑に仕上
げたステンレス製シリンダーを、実施例2にて調製した
ポリアミド酸溶液中に浸漬し、シリンダー内周面にポリ
アミド酸溶液を塗布して引き上げた。そののちシリンダ
ー内に外径49.4mmの弾丸状走行体を用いて自重走行法に
より速度50mm/分で走行させて、ポリアミド酸溶液をシ
リンダー内周面に均一に塗布した。
塗布後、温度70℃で60分間乾燥し、さらに70℃から300
℃まで0.8℃/分の速度で昇温して、そののち300℃で60
分間加熱して溶媒の除去、閉環水の除去、イミド化を行
い、室温まで冷却してポリイミド管状物を得た。
次いで、シリンダーの両端開口部に栓をして、予めシリ
ンダー開口部付近に設けられた小貫通孔から空気を圧送
することによってポリイミド管状物をシリンダーから剥
離して取り出した。なお、管状物は両耳を切り捨てて、
外径50mm、長さ450mm、厚さ30μmの管状物とした。
このようにして得られたポリイミド管状物を、2N水酸化
ナトリウム溶液中に10分間浸漬し、そののち水洗、アセ
トン洗浄、風乾して管状物の外周面にアルカリ処理を施
した。
処理を施したポリイミド管状物を実施例8と同様にして
スプレーコートし、外周面に導電性フッ素樹脂層を有
し、塗布むらのない複合管状物を得た。この管状物の全
厚みは38μmであり、そのうち導電性フッ素樹脂層の厚
みは8μm、表面粗さ(RZ)は3.5μm、表面抵抗は2
×104Ω/□であった。
この複合管状物は層間接着強度が強固であり、第2図に
示すような画像形成装置の定着用ベルト(エンドレスベ
ルト)として用いたところ、連続通紙試験において10万
枚を超える耐久性を示した。また、オフセット性が良好
で艶消し状の画像が得られた。
実施例13 内径50mm、肉厚5mm、長さ500mmで内周面を平滑に仕上げ
たステンレス製シリンダーを実施例1にて調製したポリ
アミド酸溶液中に浸漬し、シリンダー内周面にポリアミ
ド酸溶液を塗布して引き上げた。そののち、シリンダー
内に外径49.4mmの弾丸状走行体を用いて自重走行法によ
り速度50mm/分で走行させて、ポリアミド酸溶液をシリ
ンダー内周面に均一に塗布した。
塗布後、温度70℃で60分間乾燥し、さらに70℃から300
℃まで0.8℃/分の速度で昇温して、そののち300℃で60
分間加熱して溶媒の除去、閉環水の除去、イミド化を行
い、室温まで冷却してポリイミド管状物を得た。
次いで、シリンダーの両端開口部に栓をして、予めシリ
ンダー開口部付近に設けられた小貫通孔から空気を圧送
することによって、ポリイミド管状物をシリンダーから
剥離して取り出した。なお、管状物は両耳を切り捨て
て、外径50mm、長さ450mm、厚さ30μmの管状物とし
た。
このようにして得られたポリイミド管状物の外周面に、
フッ素樹脂系プライマーを均一にスプレーコートし、10
分間風乾したのち、100℃で30分間乾燥してプライマー
層を外周面に形成した。
処理を施したポリイミド管状物を実施例8と同様にして
スプレーコートし、外周面に導電性フッ素樹脂層を有
し、塗布むらのない複合管状物を得た。この複合管状物
の全厚みは40μmであり、そのうち導電性フッ素樹脂層
の厚みは10μm、表面粗さ(RZ)は3.9μm、表面抵抗
は2×104Ω/□であった。
この複合管状物は層間接着強度が強固であり、第2図に
示すような画像形成装置の定着用ベルト(エンドレスベ
ルト)として用いたところ、連続通紙試験において10万
枚を超える耐久性を示した。また、オフセット性が良好
で艶消し状の画像が得られた。
比較例1 シリンダーを内周面が平滑に仕上げられたステンレス性
シリンダー(寸法は同じ)とした以外は、実施例1と同
様にして複合管状物を得た。
この管状物は塗布むらはなく、全厚みは37μm、導電性
フッ素樹脂層の厚みは7μm、表面粗さ(RZ)は0.2μ
m、表面抵抗は2×104Ω/□であり、第3図に示すイ
ンク再生型熱転写プリンタの定着用ベルトとして用いた
ところ、オフセット性は良好であったが、得られた画像
の表面は光沢状であった。
比較例2 フッ素樹脂溶液からカーボンブラックディスパージョン
を除き、フッ素樹脂ディスパージョンのみとした以外
は、実施例4と同様にして外周面にフッ素樹脂層を有す
る複合管状物を得た。
この管状物は塗布むらがなく、全厚みは22μm、フッ素
樹脂層の厚みは6μm、表面粗さ(RZ)は0.3μm、表
面抵抗は1×1012Ω/□以上であり、第3図に示すイン
ク再生型熱転写プリンタの定着用ベルトとして用いたと
ころ、オフセット性は良好であったが、得られた画像の
表面は光沢状であった。
比較例3 フッ素樹脂溶液からカーボンブラックディスパージョン
を除き、フッ素樹脂ディスパージョンのみとした以外
は、実施例9と同様にして外周面フッ素樹脂層を有する
複合管状物を得た。
この管状物は塗布むらがなく、全厚みは36μm、フッ素
樹脂層の厚みは6μm、表面粗さ(RZ)は0.4μm、表
面抵抗は1×1012Ω/□以上であり、第2図に示す画像
形成装置の定着用ベルトとして用いたところ、オフセッ
ト性は良好であったが、得られた画像は光沢状の表面を
有していた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製法によって得られた複合管状物の横
断面図、第2図は本発明の製法によって得られた複合管
状物をエンドレスベルトとして用いた画像形成装置の定
着機構部の模式図、第3図は本発明の製法によって得ら
れた複合管状物を、定着用ベルトとして用いたインク再
生型熱転写プリンタの使用模式図、第4図および第5図
は従来の画像形成装置の定着機構部の模式図である。 1……エンドレスベルト、16……フッ素樹脂層、 17……ポリイミド層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石坂 整 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 原田 千秋 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 植村 剛正 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 佐々木 泰三 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 中村 正雄 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 本堂 守 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 道本 忠憲 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 岩元 登志明 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 審査官 内田 淳子 (56)参考文献 特開 昭61−95361(JP,A) 特開 昭61−174057(JP,A) 特開 昭63−8776(JP,A) 特開 昭62−168182(JP,A)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面粗さ(RZ)1〜10μmの内周面を有す
    るシリンダーの内周面に、フッ素樹脂溶液を塗布してフ
    ッ素樹脂製管状外層を形成し、さらに形成されたフッ素
    樹脂製管状外層の内周面にポリアミド酸溶液を塗布し、
    弾丸状ないしは球状の走行体を上記ポリアミド酸溶液の
    塗布内周面に沿って走行させ、次いで上記ポリアミド酸
    をイミド化してポリイミド樹脂製管状内層を形成して複
    合管状物を得、そののちシリンダーからフッ素樹脂製管
    状外層の外周面の表面粗さ(RZ)が1〜10μmである複
    合管状物を取り出すことを特徴とする複合管状物の製
    法。
  2. 【請求項2】形成したフッ素樹脂製管状外層の内周面
    に、ナトリウム錯塩を接触させて処理したのちポリイミ
    ド樹脂製管状内層を形成する請求項1記載の複合管状物
    の製法。
  3. 【請求項3】シリンダーの内周面にポリアミド酸溶液を
    塗布し、弾丸状ないしは球状の走行体を上記ポリアミド
    酸溶液の塗布内周面に沿って走行させ、次いで上記ポリ
    アミド酸をイミド化してポリイミド樹脂製管状内層を形
    成し、形成後シリンダーから上記ポリイミド樹脂製管状
    内層を取り出したのち、この管状内層を平均粒径5μm
    以下の粒体を均一に分散したフッ素樹脂溶液に浸漬し、
    ポリイミド樹脂製管状内層の外周面に外周面の表面粗さ
    (RZ)が1〜10μmであるフッ素樹脂製管状外層を形成
    することを特徴とする複合管状物の製法。
  4. 【請求項4】シリンダーの内周面にポリアミド酸溶液を
    塗布し、弾丸状ないしは球状の走行体を上記ポリアミド
    酸溶液の塗布内周面に沿って走行させ、次いで上記ポリ
    アミド酸をイミド化してポリイミド樹脂製管状内層を形
    成し、形成後シリンダーから上記ポリイミド樹脂製管状
    内層を取り出したのち、この管状内層の外周面に平均粒
    径5μm以下の粒体を均一に分散したフッ素樹脂溶液を
    スプレーコートすることによって、外周面の表面粗さ
    (RZ)が1〜10μmであるフッ素樹脂製管状外層を形成
    することを特徴とする複合管状物の製法。
  5. 【請求項5】フッ素樹脂溶液に平均粒径5μm以下の粒
    体が均一に分散してなる請求項1、3、4の何れかに記
    載の複合管状物の製法。
  6. 【請求項6】粒体が導電性粒体である請求項5記載の複
    合管状物の製法。
  7. 【請求項7】形成したポリイミド樹脂製管状内層の外周
    面に、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プ
    ラズマ処理、UV処理のうち少なくとも1つの処理を施し
    たのち、フッ素樹脂製管状外層を形成する請求項1、
    3、4の何れかに記載の複合管状物の製法。
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