JP2005231215A - 粗化処理した基材を用いた積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性であっても接着性の良くない即ち難接着性の耐熱性樹脂である基材に被着体を積層した接着強度に優れた積層体及びその積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】難接着性の耐熱性樹脂からなる基材(A)の少なくとも一方の面にそのままでは基材(A)の樹脂とは接合し得ない接着機能のある有機物質または無機物質からなる被着体(B)を積層してなる積層体であって、基材(A)の接合面が粗化処理により起毛状にされるとともに、中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)が5〜100μmの範囲にされることを特徴とする積層体、及び基材(A)に被着体(B)を積層する際に、あらかじめ被着体(B)を形成する樹脂を溶剤に均一に分散又は溶解して塗布液を作製し、次に、その塗布液を基材(A)の起毛状にされた面に塗布し、その後、溶剤を揮発させて積層体を作製することを特徴とする積層体の製造方法などを提供した。
【選択図】 なし
【解決手段】難接着性の耐熱性樹脂からなる基材(A)の少なくとも一方の面にそのままでは基材(A)の樹脂とは接合し得ない接着機能のある有機物質または無機物質からなる被着体(B)を積層してなる積層体であって、基材(A)の接合面が粗化処理により起毛状にされるとともに、中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)が5〜100μmの範囲にされることを特徴とする積層体、及び基材(A)に被着体(B)を積層する際に、あらかじめ被着体(B)を形成する樹脂を溶剤に均一に分散又は溶解して塗布液を作製し、次に、その塗布液を基材(A)の起毛状にされた面に塗布し、その後、溶剤を揮発させて積層体を作製することを特徴とする積層体の製造方法などを提供した。
【選択図】 なし
Description
本発明は、粗化処理した基材を用いた積層体及びその積層体の製造方法に関し、更に詳しくは、難接着性の耐熱性樹脂である基材をウエットブラスト法などによって粗化処理した適度の表面粗さがある接着性に優れた基材に、被着体を積層した接着強度に優れた積層体及びその積層体の製造方法に関する。
従来、難接着性の合成樹脂などの基材の表面の濡れ性などを上げ、接着性を向上する技術として、コロナ放電処理やプラズマ放電処理などの電気的放電処理が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、コロナ放電処理は、処理にムラがあり、接着性にバラツキが生じるという難点があり、さらに、処理後数日で、処理効果が薄れるため、歩留まりの管理が難しい等の不具合がある。また、プラズマ放電処理は、処理が強力なため、表面酸化が激しく、基材の劣化などの問題がある。
しかし、コロナ放電処理は、処理にムラがあり、接着性にバラツキが生じるという難点があり、さらに、処理後数日で、処理効果が薄れるため、歩留まりの管理が難しい等の不具合がある。また、プラズマ放電処理は、処理が強力なため、表面酸化が激しく、基材の劣化などの問題がある。
また、基材の表面を粗化にして、接着性を向上する技術として、エンボス加工や微粒子を添加する方法などが知られている(例えば、特許文献2、3参照)。さらに、砂などを噴射して物理的に表面を荒らすサンドブラスト処理や薬品処理を施すケミカルエッチング処理なども知られている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、基材の表層に微粒子を添加する方法では、その表面は、濡れ性が低く、被接着体のはじきが起き、例えば均一に塗布できない上に、被接着体の接着性は低いという問題がある。さらに、基材と異質の不活性粒子等の粒子を添加し、延伸することにより表面突起を形成するので、突起の下の粒子周りにボイドが生じ易く、そのボイドにより、形成された突起が破壊され易くなったり、例えば、フィルム表面が削り取られ易くなったり、フィルム表面が傷つき易くなったりする問題が生じる。
また、エンボス加工による表面の粗面化では、表面粗さRa(中心線平均粗さ)値は同じでも、凹凸が滑らかであるために、接着性がそれ程向上しないという問題がある。
さらに、サンドブラスト処理やケミカルエッチング処理では、工程が複雑でコストが大きいことや耐スクラッチ性に欠けることなどの問題がある。
しかし、基材の表層に微粒子を添加する方法では、その表面は、濡れ性が低く、被接着体のはじきが起き、例えば均一に塗布できない上に、被接着体の接着性は低いという問題がある。さらに、基材と異質の不活性粒子等の粒子を添加し、延伸することにより表面突起を形成するので、突起の下の粒子周りにボイドが生じ易く、そのボイドにより、形成された突起が破壊され易くなったり、例えば、フィルム表面が削り取られ易くなったり、フィルム表面が傷つき易くなったりする問題が生じる。
また、エンボス加工による表面の粗面化では、表面粗さRa(中心線平均粗さ)値は同じでも、凹凸が滑らかであるために、接着性がそれ程向上しないという問題がある。
さらに、サンドブラスト処理やケミカルエッチング処理では、工程が複雑でコストが大きいことや耐スクラッチ性に欠けることなどの問題がある。
難接着性又は非粘着性の合成樹脂としては、フッ素系樹脂などが知られ、例えば、前記の特許文献1では、フッ素樹脂と接着剤との密着性が悪いため、フッ素樹脂側の接着表面を改質して、接着剤との密着性を高める対応がなされ、その対応方法として、官能基を有する有機化合物を含む不活性ガス雰囲気中で放電処理することにより、改質されたフッ素樹脂表面に接着剤層を介して被着体を積層するフッ素樹脂積層体の製造方法において、接着剤として、前記有機化合物が有する官能基と同じ又は親和性の官能基をもつ単量体を重合して得られた重合体を用いることを特徴とするフッ素樹脂積層体の製造方法が開示されている。
このように、フッ素系樹脂などは、耐熱性、耐薬品性などに優れているものの、難接着性であるため、接着性を上げ、フッ素樹脂などの積層体を作製する試みが種々なされているが、未だ簡単で汎用性があり、接着強度(密着強度)の優れた積層法が見出されていない。
そのため、フッ素樹脂などの難接着性基材を用いても、簡単で汎用性があり、接着強度(密着強度)の優れた積層体を作製する方法が強く望まれている。
尚、本発明に係るウエットブラスト法については、特許文献5、6等に開示があり、特に、特許文献6では、金属部材を樹脂部材と接合する前に、金属部材面にウエットブラスト加工を施すことが開示されている。
このように、フッ素系樹脂などは、耐熱性、耐薬品性などに優れているものの、難接着性であるため、接着性を上げ、フッ素樹脂などの積層体を作製する試みが種々なされているが、未だ簡単で汎用性があり、接着強度(密着強度)の優れた積層法が見出されていない。
そのため、フッ素樹脂などの難接着性基材を用いても、簡単で汎用性があり、接着強度(密着強度)の優れた積層体を作製する方法が強く望まれている。
尚、本発明に係るウエットブラスト法については、特許文献5、6等に開示があり、特に、特許文献6では、金属部材を樹脂部材と接合する前に、金属部材面にウエットブラスト加工を施すことが開示されている。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、耐熱性であっても、接着性の良くない、即ち難接着性の耐熱性樹脂である基材に、被着体を積層した接着強度に優れた積層体及びその積層体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意検討した結果、難接着性の耐熱性樹脂の基材を、粗化処理、例えばウエットブラスト処理により、その樹脂基材の表面について、起毛状にし、中心線平均粗さ(Ra)を0.05〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)を5〜100μmの範囲に粗化すると、濡れ指数(JIS K6768)が40mN/m以上になって、接着させる被着体をはじくことなく、均一に塗布することができ、かつ強固に付着させることも可能となり、その結果、基材と被着体との接着強度が100gf/25mm(1N/25mm)以上にもなって、接着性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、難接着性の耐熱性樹脂からなる基材(A)の少なくとも一方の面に、そのままでは基材(A)の樹脂とは接合し得ない接着機能のある有機物質または無機物質からなる被着体(B)を積層してなる積層体であって、基材(A)の接合面が粗化処理により起毛状にされるとともに、中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)が5〜100μmの範囲にされることを特徴とする積層体が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、基材(A)は、液晶性を有する樹脂からなることを特徴とする積層体が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、被着体(B)は、ポリアミドイミド樹脂からなることを特徴とする積層体が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、基材(A)は、液晶性を有する樹脂からなることを特徴とする積層体が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、被着体(B)は、ポリアミドイミド樹脂からなることを特徴とする積層体が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、基材(A)と被着体(B)との密着強度は、100gf/25mm(1N/25mm)以上であることを特徴とする積層体が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、被着体(B)の上に、さらに被着体(B)の有機物質または無機物質とは容易に接合し得る別の物質からなる被着体(C)を積層してなる積層体が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、被着体(C)は、銅板であることを特徴とする積層体が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、被着体(B)の上に、さらに被着体(B)の有機物質または無機物質とは容易に接合し得る別の物質からなる被着体(C)を積層してなる積層体が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、被着体(C)は、銅板であることを特徴とする積層体が提供される。
一方、本発明の第7の発明によれば、基材(A)に被着体(B)を積層する際に、あらかじめ被着体(B)を形成する樹脂を溶剤に均一に分散又は溶解して塗布液を作製し、次に、その塗布液を基材(A)の起毛状にされた面に塗布し、その後、溶剤を揮発させて積層体を作製することを特徴とする第1〜6のいずれかの発明の積層体の製造方法が提供される。
本発明は、上記した如く、難接着性の耐熱性樹脂からなる基材(A)の少なくとも一方の面に、そのままでは基材(A)の樹脂とは接合し得ない接着機能のある有機物質または無機物質からなる被着体(B)を積層してなる積層体であって、基材(A)の接合面が粗化処理により起毛状にされるとともに、中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)が5〜100μmの範囲にされることを特徴とする積層体などに係るものであるが、その好ましい態様として、次のものが包含される。
(1)第1の発明において、粗化処理は、ウエットブラスト処理であることを特徴とする積層体。
(2)第1の発明において、基材(A)の形状がシート状、フィルム状、平面状、又は曲面状であることを特徴とする積層体。
(3)第1の発明において、粗化処理前における基材(A)の濡れ指数(JIS K6768)が40mN/m未満であることを特徴とする積層体。
(4)第1の発明において、基材(A)は、フッ素樹脂であることを特徴とする基材。
(5)第1の発明において、被着体(B)は、耐熱性接着剤であることを特徴とする積層体。
(2)第1の発明において、基材(A)の形状がシート状、フィルム状、平面状、又は曲面状であることを特徴とする積層体。
(3)第1の発明において、粗化処理前における基材(A)の濡れ指数(JIS K6768)が40mN/m未満であることを特徴とする積層体。
(4)第1の発明において、基材(A)は、フッ素樹脂であることを特徴とする基材。
(5)第1の発明において、被着体(B)は、耐熱性接着剤であることを特徴とする積層体。
本発明の基材(A)と被着体(B)とからなる積層体は、基材(A)として、難接着性でありながら、少なくとも一つの面が粗化処理により起毛状にされ、かつその中心線平均粗さ(Ra)を0.01〜1μm、その凹凸の平均間隔(Sm)を5〜100μmの範囲としたものを用いることにより、基材(A)の粗化処理面の濡れ指数(JIS K6768)が40mN/m以上になって、優れた接着性を有することができ、その結果、基材(A)と被着体(B)との接着強度が100gf/25mm(1N/25mm)以上であって、さらに、所望により種々の被着体(C)を積層することができ、種々の用途に用いることができる積層体を得ることができる。本発明の積層体は、特に、電子部品分野で好適に用いることができる。
以下、本発明の粗化処理した基材を用いた積層体及びその積層体の製造方法について、各項目毎に詳細に説明する。
1.基材(A)
本発明に係るの基材は、難接着性の耐熱性樹脂であって、少なくとも一つの面が粗化処理により起毛状にされ、かつその中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜1μmの範囲であり、その凹凸の平均間隔(Sm)が5〜100μmの範囲であることを特徴とするものである。
上記粗化処理とは、基材の表面を微小に傷つけることや削りとることなどにより、表面粗度を上げる加工処理であり、具体的手法としては、バフ布研磨やドライブラスト、ウェットブラスト(WETブラスト)、ショットブラスト、炭酸ガスブラストなどが挙げられるが、好ましい粗化処理は、ウエットブラスト処理(WETブラスト処理)である。
本発明に係るの基材は、難接着性の耐熱性樹脂であって、少なくとも一つの面が粗化処理により起毛状にされ、かつその中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜1μmの範囲であり、その凹凸の平均間隔(Sm)が5〜100μmの範囲であることを特徴とするものである。
上記粗化処理とは、基材の表面を微小に傷つけることや削りとることなどにより、表面粗度を上げる加工処理であり、具体的手法としては、バフ布研磨やドライブラスト、ウェットブラスト(WETブラスト)、ショットブラスト、炭酸ガスブラストなどが挙げられるが、好ましい粗化処理は、ウエットブラスト処理(WETブラスト処理)である。
本発明に用いられる基材は、特定の形状に限定されず、また、難接着性の耐熱性樹脂であれば、特定の材質に限定されない。例えば、基材の形状は、射出成形された電子機器のハウジング、異型押出し成形されたパイプ、ブロー成形された容器などの立体的形状を有する成形品などが挙げられ、中でも連続して成形されるシート状又はフィルム状の基材は、その成形加工性、粗化処理性など生産性が高く、産業上有益である。
基材の形状については、粗化処理が可能であれば、平面(平坦)状でも曲面形状でもよい。また、これらの形状が組み合わされた立体的な形状でもよい。
基材の材質は、難接着性の耐熱性樹脂で、粗化処理可能なものであれば、特に限定されないが、難接着性の耐熱性樹脂以外の、例えば、木材、ガラス、セラミック、金属などを用いることもできる。
基材の形状については、粗化処理が可能であれば、平面(平坦)状でも曲面形状でもよい。また、これらの形状が組み合わされた立体的な形状でもよい。
基材の材質は、難接着性の耐熱性樹脂で、粗化処理可能なものであれば、特に限定されないが、難接着性の耐熱性樹脂以外の、例えば、木材、ガラス、セラミック、金属などを用いることもできる。
また、本発明では、基材の表面を微小に傷つけることや削りとることにより、起毛状にすることができ、かつその表面の中心線平均粗さ(Ra)を0.01〜1μm、好ましくは0.03〜0.8μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μmの範囲とすることができる。さらに、本発明に係る基材では、上記粗化処理された面は、その凹凸の平均間隔(Sm)が5〜100μm、好ましくは10〜75μm、さらに好ましくは15〜65μmの範囲である。このことにより、その表面の濡れ性が向上し、被着体(B)を均一に塗布することが可能となり、接着力を上げることができる。Raが0.01μm未満では、被着体との接着強度が出ず、一方、Raが1μm超では、被着体を含む塗布膜の厚みムラが生じたり、被着体形成後の積層体表面の平滑性が失われてしまうため、好ましくない。
本発明に係る粗化処理された基材を、図面(粗化処理された面の上方から撮影した拡大図)により、説明すると、ウエットブラスト処理前(図3参照。)は、基材の表面は滑らかであるが、ウエットブラスト処理加工後の表面(図1、2参照。)は、起毛状になり、その粗化処理によりえぐられた部分の一部が、起毛状になった部分によって覆われた状態になっている。
このウエットブラスト処理により、粗化処理前の濡れ指数(JIS K6768)が40mN/m未満、好ましくは、38mN/m未満のものを、40mN/m(dyne/cm)以上にすることができ、接着性が良好となる。
このウエットブラスト処理により、粗化処理前の濡れ指数(JIS K6768)が40mN/m未満、好ましくは、38mN/m未満のものを、40mN/m(dyne/cm)以上にすることができ、接着性が良好となる。
本発明に係る基材は、発明の目的から、前記した如く、難接着性の耐熱性樹脂が好ましく、難接着性の耐熱性樹脂としては、フッ素樹脂や液晶性を有する樹脂[液晶ポリマー(LCP)]などが挙げられ、液晶性を有する樹脂がより好ましい。
フッ素樹脂としては、成形体、例えばフィルムやシート状などの成形体を製造し得るものであれば特に限定されず、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)またはその変性物、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体(TFE/VDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)などが挙げられる。中でも、好ましい具体的なものとしては、ダイキン工業(株)製のETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン・コポリマー、四フッ化エチレン−エチレン共重合体)系の「ネオフロンEFEP」、FEP(フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)系の「ネオフロンFEP」、PFA(四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体)系の「ネオフロンPFA」などがあり、これらは、いずれも非粘着性に優れ、即ち難接着性である。
フッ素樹脂としては、成形体、例えばフィルムやシート状などの成形体を製造し得るものであれば特に限定されず、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)またはその変性物、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体(TFE/VDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)などが挙げられる。中でも、好ましい具体的なものとしては、ダイキン工業(株)製のETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン・コポリマー、四フッ化エチレン−エチレン共重合体)系の「ネオフロンEFEP」、FEP(フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)系の「ネオフロンFEP」、PFA(四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体)系の「ネオフロンPFA」などがあり、これらは、いずれも非粘着性に優れ、即ち難接着性である。
2.被着体(B)
本発明の積層体は、上記基材(A)の粗化処理された面に、被着体(B)を積層してなるものである。
被着体(B)としては、さらに、他の被着体(C)を積層することを考慮すれば、接着機能を有していれば、特に限定されず、例えば、無機系接着剤、有機系接着剤など各種接着剤や熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられ、接着機能を有している樹脂が好ましい。
無機系接着剤としては、ケイ酸ソーダ、各種セメント、低融点ガラス、ケイ酸塩系反応型接着剤、リン酸塩系反応型接着剤などが挙げられる。
また、有機系接着剤としては、天然樹脂系接着剤や合成樹脂系接着剤が挙げられる。合成樹脂系接着剤としては、熱可塑性樹脂系接着剤(例えば、酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、エチレン・酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド系、セルロース樹脂系、α−オレフィン樹脂系、水性高分子−イソシアネート系などの熱可塑性樹脂系接着剤)、熱硬化性樹脂系接着剤(例えば、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル系、ウレタン樹脂系、ポリイミド系、ポリベンズイミダゾール系などの熱硬化性樹脂系接着剤)、エラストマー(弾性体)系接着剤(例えば、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレンブタジエンゴム系、ポリサルファイド系、ブチルゴム系、シリコーン系、変性シリコーン系、アクリルゴム系、ウレタンゴム系などのエラストマー系接着剤)などが挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PAR(ポリアリレート樹脂)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、アラミド(芳香族ポリアミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)、PPE(ポリフェニルエーテル)、脂環PO(脂環ポリオレフィン)などが挙げられる。
さらに、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、PI(ポリイミド)、ケイ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
中でも、ポリアミドイミド樹脂が、特に好ましい。
本発明の積層体は、上記基材(A)の粗化処理された面に、被着体(B)を積層してなるものである。
被着体(B)としては、さらに、他の被着体(C)を積層することを考慮すれば、接着機能を有していれば、特に限定されず、例えば、無機系接着剤、有機系接着剤など各種接着剤や熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられ、接着機能を有している樹脂が好ましい。
無機系接着剤としては、ケイ酸ソーダ、各種セメント、低融点ガラス、ケイ酸塩系反応型接着剤、リン酸塩系反応型接着剤などが挙げられる。
また、有機系接着剤としては、天然樹脂系接着剤や合成樹脂系接着剤が挙げられる。合成樹脂系接着剤としては、熱可塑性樹脂系接着剤(例えば、酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、エチレン・酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド系、セルロース樹脂系、α−オレフィン樹脂系、水性高分子−イソシアネート系などの熱可塑性樹脂系接着剤)、熱硬化性樹脂系接着剤(例えば、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル系、ウレタン樹脂系、ポリイミド系、ポリベンズイミダゾール系などの熱硬化性樹脂系接着剤)、エラストマー(弾性体)系接着剤(例えば、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレンブタジエンゴム系、ポリサルファイド系、ブチルゴム系、シリコーン系、変性シリコーン系、アクリルゴム系、ウレタンゴム系などのエラストマー系接着剤)などが挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PAR(ポリアリレート樹脂)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、アラミド(芳香族ポリアミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)、PPE(ポリフェニルエーテル)、脂環PO(脂環ポリオレフィン)などが挙げられる。
さらに、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、PI(ポリイミド)、ケイ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
中でも、ポリアミドイミド樹脂が、特に好ましい。
3.積層体の製造方法
本発明において、積層体の製造方法としては、上記基材(A)の粗化処理された面への被着体(B)の積層は、従来公知の方法をそのまま採用することができる。
その積層方法としては、塗布法、硬化法、溶解法(1)、溶解法(2)、溶解法(3)などが挙げられ、好ましくは塗布法である。
塗布法は、先ず、基材(A)に被着体(B)を積層する際に、あらかじめ被着体(B)を形成する樹脂を溶剤に均一に分散又は溶解して塗布液を作製し、次に、その塗布液を基材(A)の起毛状にされた面に塗布し、その後、溶剤を揮発させて積層体を作製する方法である。
また、硬化法は、UV/EBにより反応性を有するモノマーに開始剤を添加したもの(B)を起毛状の基材(A)に塗布した後、UV/EBを照射、固化することで、積層体を作製する方法である。
さらに、溶解法(1)は、被着体(B)を加熱、溶解したものをTダイなどから押出し、基材(A)の起毛状にされた面に塗布したものを冷却固化させ、積層体を作製する方法である。溶解法(2)は、フィルム状の被着体(B)を基材(A)の起毛状にされた面に重ね、加熱ロール若しくはプレス機で(A)、(B)を挟み込み(B)を熱溶解、圧着させた後、冷却固化させ、積層体を作製する方法である。溶解法(3)は、いわゆる粉体塗装と呼ばれ、高温加熱した基材(A)の起毛状にされた面に、粉体状の樹脂の被着体(B)を吹き付けることにより、基材(A)の表面上で被着体(B)が溶解皮膜を形成し、冷却固化させ、積層体を作製する方法である。
本発明において、積層体の製造方法としては、上記基材(A)の粗化処理された面への被着体(B)の積層は、従来公知の方法をそのまま採用することができる。
その積層方法としては、塗布法、硬化法、溶解法(1)、溶解法(2)、溶解法(3)などが挙げられ、好ましくは塗布法である。
塗布法は、先ず、基材(A)に被着体(B)を積層する際に、あらかじめ被着体(B)を形成する樹脂を溶剤に均一に分散又は溶解して塗布液を作製し、次に、その塗布液を基材(A)の起毛状にされた面に塗布し、その後、溶剤を揮発させて積層体を作製する方法である。
また、硬化法は、UV/EBにより反応性を有するモノマーに開始剤を添加したもの(B)を起毛状の基材(A)に塗布した後、UV/EBを照射、固化することで、積層体を作製する方法である。
さらに、溶解法(1)は、被着体(B)を加熱、溶解したものをTダイなどから押出し、基材(A)の起毛状にされた面に塗布したものを冷却固化させ、積層体を作製する方法である。溶解法(2)は、フィルム状の被着体(B)を基材(A)の起毛状にされた面に重ね、加熱ロール若しくはプレス機で(A)、(B)を挟み込み(B)を熱溶解、圧着させた後、冷却固化させ、積層体を作製する方法である。溶解法(3)は、いわゆる粉体塗装と呼ばれ、高温加熱した基材(A)の起毛状にされた面に、粉体状の樹脂の被着体(B)を吹き付けることにより、基材(A)の表面上で被着体(B)が溶解皮膜を形成し、冷却固化させ、積層体を作製する方法である。
溶剤としては、用いる被着体(B)の樹脂に応じて、被着体(B)を形成する樹脂を均一に分散又は溶解するものであれば、特に限定されない。例えば、トルエンやNMP(n−メチル−2−ピロリドン)、DMAc(ジメチルアセトアシド)などを用いることができる。
また、塗布液の塗布方法も、特に限定されず、リバースロールコーター、ブレードコーター、スプレーコーター、グラビアコーター、エアナイフコーター、マイヤーバーコーター、カーテンコーター、ダイコーターなどの各種コーターによる塗布方法や、ディピング塗装(浸漬塗装)、吹き付け塗装などの各種塗布方法などにより行われる。塗布量は、原液(又は被着体樹脂)の濃度、粘度、塗布速度などを調整することにより、所望の量に制御することができる。
このようにして、得られた積層体は、基材(A)と被着体(B)との接着強度が100gf/25mm(1N/25mm)以上であって、接着性に優れたものである。
また、塗布液の塗布方法も、特に限定されず、リバースロールコーター、ブレードコーター、スプレーコーター、グラビアコーター、エアナイフコーター、マイヤーバーコーター、カーテンコーター、ダイコーターなどの各種コーターによる塗布方法や、ディピング塗装(浸漬塗装)、吹き付け塗装などの各種塗布方法などにより行われる。塗布量は、原液(又は被着体樹脂)の濃度、粘度、塗布速度などを調整することにより、所望の量に制御することができる。
このようにして、得られた積層体は、基材(A)と被着体(B)との接着強度が100gf/25mm(1N/25mm)以上であって、接着性に優れたものである。
4.被着体(C)
本発明の積層体には、所望に応じて、さらに、被着体(B)の上に、被着体(C)を積層することができる。被着体(C)の積層は、被着体(B)と同様の上記積層方法のほか、従来公知の方法をそのまま採用することができ、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、プレス成形法が採用できる。
被着体(C)としては、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択される。例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの合成樹脂;紙、布、木材、金属、セラミックなどの天然材料;それらの加工品である合成紙、合板などがあげられる。被着体(C)の具体的な好ましいものとしては、銅板などの金属板などが挙げられる。
本発明の積層体には、所望に応じて、さらに、被着体(B)の上に、被着体(C)を積層することができる。被着体(C)の積層は、被着体(B)と同様の上記積層方法のほか、従来公知の方法をそのまま採用することができ、例えばウェットラミネート法、ドライラミネート法、プレス成形法が採用できる。
被着体(C)としては、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択される。例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの合成樹脂;紙、布、木材、金属、セラミックなどの天然材料;それらの加工品である合成紙、合板などがあげられる。被着体(C)の具体的な好ましいものとしては、銅板などの金属板などが挙げられる。
以下に、本発明の粗化処理した基材を用いた積層体を、実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の実施例で作られた粗化処理した基材は、その粗化処理した面(比較例においては粗化処理していない面)の起毛状の有無を観察するとともに、その表面粗さ[中心線平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(Sm)]及び濡れ性(濡れ指数)を測定し評価した。
次に、上記基材に被着体を積層するために、その被着体を溶剤に溶解した塗布液を上記基材に塗布した際の濡れ状態を観察し、塗布液のはじきが無く均一な濡れ状態は、「均一」、塗布液のはじきが有る状態は、「はじき有り」と評価した。
さらに、上記塗布液の溶剤を蒸発させて作製した積層体は、密着強度(接着強度又は剥離強度)を測定して、接着性評価を行った。
これらのうち、上記の表面粗さ(Ra、Sm)と密着強度の測定方法、評価方法を以下に示す。
本発明の実施例で作られた粗化処理した基材は、その粗化処理した面(比較例においては粗化処理していない面)の起毛状の有無を観察するとともに、その表面粗さ[中心線平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(Sm)]及び濡れ性(濡れ指数)を測定し評価した。
次に、上記基材に被着体を積層するために、その被着体を溶剤に溶解した塗布液を上記基材に塗布した際の濡れ状態を観察し、塗布液のはじきが無く均一な濡れ状態は、「均一」、塗布液のはじきが有る状態は、「はじき有り」と評価した。
さらに、上記塗布液の溶剤を蒸発させて作製した積層体は、密着強度(接着強度又は剥離強度)を測定して、接着性評価を行った。
これらのうち、上記の表面粗さ(Ra、Sm)と密着強度の測定方法、評価方法を以下に示す。
[表面粗さ(中心線平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(Sm))]
本発明の実施例で作られた粗化処理した基材について、その粗化処理した面の表面粗さ[中心線平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(Sm)]を、JIS B0601に準拠し、表面粗さ形状測定機[(株)東京精密製サーフコム1400A]で測定した。
本発明の実施例で作られた粗化処理した基材について、その粗化処理した面の表面粗さ[中心線平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(Sm)]を、JIS B0601に準拠し、表面粗さ形状測定機[(株)東京精密製サーフコム1400A]で測定した。
[基材(A)と被着体(B)との密着強度(接着強度又は剥離強度)]
積層体(フィルム)の表面にセロテープ(登録商標)を貼り、2.5cmW×15cmLの短冊状に切り出し、引張り試験機を使用して速度1000mm/minで180°剥離を行ったときの平均応力を密着強度とした。密着強度が5N/m(125gf/25mm)以上を合格(○)とした。
積層体(フィルム)の表面にセロテープ(登録商標)を貼り、2.5cmW×15cmLの短冊状に切り出し、引張り試験機を使用して速度1000mm/minで180°剥離を行ったときの平均応力を密着強度とした。密着強度が5N/m(125gf/25mm)以上を合格(○)とした。
[実施例1]
基材としてダイキン工業(株)製のフッ素樹脂ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン・コポリマー)「ネオフロンEFEP0050」フィルムを用い、基材表面に、WETブラストによる粗化処理を行い(図1、2参照。)、その粗化処理した面は、起毛状であり、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=40μmである素材を得た。その基材表面の濡れ指数は、ぬれ試薬で測定したところ、41mN/mであった。尚、WETブラストによる粗化処理は、(株)ニッチュー製のウェットブラストマシンAH−10で行なった。
次に被着体であるポリフェニレンエーテル(PPE)をトルエンに溶解し、固形分濃度10%になるように調整を行い、塗布液とした。この塗布液をダイコーターにて、トルエン乾燥後の被着体厚みが10μmになるように、基材表面に塗布したところ、はじき無く均一に塗布することができた。このようにして、積層体を得た。尚、PPEは、旭化成(株)製の「ザイロンS201A」を用いた。
積層体の基材と被着体との接着強度(180度剥離試験)は、250gf/25mm(2.5N/25mm)であり、強固に接着していることが確認された。その評価結果を表1に示す。
基材としてダイキン工業(株)製のフッ素樹脂ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン・コポリマー)「ネオフロンEFEP0050」フィルムを用い、基材表面に、WETブラストによる粗化処理を行い(図1、2参照。)、その粗化処理した面は、起毛状であり、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=40μmである素材を得た。その基材表面の濡れ指数は、ぬれ試薬で測定したところ、41mN/mであった。尚、WETブラストによる粗化処理は、(株)ニッチュー製のウェットブラストマシンAH−10で行なった。
次に被着体であるポリフェニレンエーテル(PPE)をトルエンに溶解し、固形分濃度10%になるように調整を行い、塗布液とした。この塗布液をダイコーターにて、トルエン乾燥後の被着体厚みが10μmになるように、基材表面に塗布したところ、はじき無く均一に塗布することができた。このようにして、積層体を得た。尚、PPEは、旭化成(株)製の「ザイロンS201A」を用いた。
積層体の基材と被着体との接着強度(180度剥離試験)は、250gf/25mm(2.5N/25mm)であり、強固に接着していることが確認された。その評価結果を表1に示す。
[実施例2]
シート状基材としてLCP成形品を用い、塗布がバーコーターを用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。基材の粗化処理した面は、起毛状であり、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=30μmであった。その評価結果を表1に示す。尚、LCP成形品は、ユニチカ(株)の「ロドランLC−5000」をプレス機により、100mm角、厚さ2mmのプレートに作成したものである。
シート状基材としてLCP成形品を用い、塗布がバーコーターを用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。基材の粗化処理した面は、起毛状であり、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=30μmであった。その評価結果を表1に示す。尚、LCP成形品は、ユニチカ(株)の「ロドランLC−5000」をプレス機により、100mm角、厚さ2mmのプレートに作成したものである。
[実施例3]
基材としてETFEフィルムを用い、基材表面に、WETブラストによる粗化処理を行い、その粗化処理した面は、起毛状であり、その表面粗さがRa=0.20μm、Sm=40μmであった。被着体にはポリアミドイミド(PAI)を用い、固形分濃度15%になるようにNMP(n−メチル−2−ピロリドン)にて希釈して塗布した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。その評価結果を表1に示す。尚、PAIは、東特塗料(株)製「AI505−30」を用いた。
基材としてETFEフィルムを用い、基材表面に、WETブラストによる粗化処理を行い、その粗化処理した面は、起毛状であり、その表面粗さがRa=0.20μm、Sm=40μmであった。被着体にはポリアミドイミド(PAI)を用い、固形分濃度15%になるようにNMP(n−メチル−2−ピロリドン)にて希釈して塗布した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。その評価結果を表1に示す。尚、PAIは、東特塗料(株)製「AI505−30」を用いた。
[実施例4]
基材としてLCP形成品を用い、被着体にはPAIを用い、固形分濃度15%になるようにNMPにて希釈して塗布した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。基材の粗化処理した面は、起毛状であり、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=30μmであった。その評価結果を表1に示す。尚、PAIは、東特塗料(株)製「AI505−30」を用いた。。
基材としてLCP形成品を用い、被着体にはPAIを用い、固形分濃度15%になるようにNMPにて希釈して塗布した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。基材の粗化処理した面は、起毛状であり、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=30μmであった。その評価結果を表1に示す。尚、PAIは、東特塗料(株)製「AI505−30」を用いた。。
[比較例1]
WETブラストによる粗化処理を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。基材の粗化処理していない面は、起毛状でなく、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=120μmであった。また、基材表面の濡れ指数は、ぬれ試薬で測定したところ、38mN/m以下であった。塗布を行ったが、液がはじき、均一に塗布することができなかった。積層体の基材と被着体との接着強度(180度剥離試験)は、50gf/25mm(0.5N/25mm)以下であり、十分な接着力が得られなかった。その評価結果を表1に示す。
WETブラストによる粗化処理を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。基材の粗化処理していない面は、起毛状でなく、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=120μmであった。また、基材表面の濡れ指数は、ぬれ試薬で測定したところ、38mN/m以下であった。塗布を行ったが、液がはじき、均一に塗布することができなかった。積層体の基材と被着体との接着強度(180度剥離試験)は、50gf/25mm(0.5N/25mm)以下であり、十分な接着力が得られなかった。その評価結果を表1に示す。
[比較例2]
基材として、LCPに無機粒子を添加し、成形品(フィルム又はシート状)を作製した。基材の粗化処理していない面は、起毛状でなく、その表面粗さがRa=0.30μm、Sm=80μmであった。また、成形品(基材)表面の濡れ指数は、ぬれ試薬で測定したところ、38mN/m以下であった。実施例2と同じく塗布を行ったが、液がはじき、均一に塗布することができなかった。積層体の基材と被着体との接着強度(180度剥離試験)は、50gf/25mm(0.5N/25mm)以下であり、十分な接着力が得られなかった。その評価結果を表1に示す。尚、無機粒子は、平均粒子径10μmのシリカ粒子を用いた。
基材として、LCPに無機粒子を添加し、成形品(フィルム又はシート状)を作製した。基材の粗化処理していない面は、起毛状でなく、その表面粗さがRa=0.30μm、Sm=80μmであった。また、成形品(基材)表面の濡れ指数は、ぬれ試薬で測定したところ、38mN/m以下であった。実施例2と同じく塗布を行ったが、液がはじき、均一に塗布することができなかった。積層体の基材と被着体との接着強度(180度剥離試験)は、50gf/25mm(0.5N/25mm)以下であり、十分な接着力が得られなかった。その評価結果を表1に示す。尚、無機粒子は、平均粒子径10μmのシリカ粒子を用いた。
[比較例3]
基材としてLCP成形品を用い、WETブラストによる粗化処理を行なわなかった。基材の粗化処理していない面は、起毛状でなく、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=100μmであった。また、成形品(基材)表面の濡れ指数は、ぬれ試薬で測定したところ、38mN/m以下であった。実施例2と同じく塗布を行ったが、液がはじき、均一に塗布することができなかった。基材と被着体との接着強度(180度剥離試験)は、50gf/25mm(0.5N/25mm)以下であり、十分な接着力が得られなかった。その評価結果を表1に示す。
基材としてLCP成形品を用い、WETブラストによる粗化処理を行なわなかった。基材の粗化処理していない面は、起毛状でなく、その表面粗さがRa=0.10μm、Sm=100μmであった。また、成形品(基材)表面の濡れ指数は、ぬれ試薬で測定したところ、38mN/m以下であった。実施例2と同じく塗布を行ったが、液がはじき、均一に塗布することができなかった。基材と被着体との接着強度(180度剥離試験)は、50gf/25mm(0.5N/25mm)以下であり、十分な接着力が得られなかった。その評価結果を表1に示す。
表1の結果から、明らかなように、基材(A)について粗化処理を行なった実施例1〜4の積層体は、基材(A)と被着体(B)の接着強度が高く、接着性評価は合格であり、一方、粗化処理を行なわなかった比較例1〜3の積層体は、接着強度が低く、接着性評価は不合格であった。
本発明の積層体は、例えばフッ素樹脂や液晶ポリマー(LCP)が有する防汚性、撥水撥油性、耐薬品性、耐紫外線性、耐候性、耐熱性などに優れた特性を具備することになり、壁紙、家具、家電製品のキャビネット素材、風呂、台所、トイレなどの水回りなどの屋内用に、また、屋根材、テント地、窓ガラス保護材、幌、看板、防音壁(布)などの屋外用に、さらに、エレベーターや車輌、飛行機などの内装もしくは外装用に、そのほかコンベアベルト、カーテンウォール、移送用シューター、ダクト、パーテーションボード、薬品容器、樹脂燃料ホースなどの自動車用部品、半導体や医薬、食品用搬送ホースなどの産業用、イス、ベンチ、テーブルなどの屋外家具用などの多種多様な製品に適用することができる。
Claims (7)
- 難接着性の耐熱性樹脂からなる基材(A)の少なくとも一方の面に、そのままでは基材(A)の樹脂とは接合し得ない接着機能のある有機物質または無機物質からなる被着体(B)を積層してなる積層体であって、
基材(A)の接合面が粗化処理により起毛状にされるとともに、中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜1μm、凹凸の平均間隔(Sm)が5〜100μmの範囲にされることを特徴とする積層体。 - 基材(A)は、液晶性を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 被着体(B)は、ポリアミドイミド樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 基材(A)と被着体(B)との密着強度は、100gf/25mm(1N/25mm)以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 被着体(B)の上に、さらに被着体(B)の有機物質または無機物質とは容易に接合し得る別の物質からなる被着体(C)を積層してなる請求項1に記載の積層体。
- 被着体(C)は、銅板であることを特徴とする請求項5に記載の積層体。
- 基材(A)に被着体(B)を積層する際に、あらかじめ被着体(B)を形成する樹脂を溶剤に均一に分散又は溶解して塗布液を作製し、次に、その塗布液を基材(A)の起毛状にされた面に塗布し、その後、溶剤を揮発させて積層体を作製することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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JP2004043859A JP2005231215A (ja) | 2004-02-20 | 2004-02-20 | 粗化処理した基材を用いた積層体及びその製造方法 |
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