JP2011031572A - 複層シート、エンドレスベルトならびにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フッ素樹脂2aと耐熱性繊維織布2bからなる少なくとも1層の複合材層2とポリイミド系樹脂またはシリコーンゴムからなる表面層3aとを有する複層シート10であって、前記表面層3aが、前記複合材層2に対してなされた表面活性化処理により形成された処理面を介して形成されていることを特徴とする複層シート、及びエンドレスベルト並びにその製造方法。
【選択図】図1
Description
フッ素樹脂よりも耐摩耗性に優れる耐熱性樹脂としてポリイミド系樹脂等が挙げられる。また、フッ素樹脂よりも低摩擦性に劣り、グリップ性に優れ、スリップし難い耐熱性材料としてシリコーンゴム、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。
本発明による複層シートにおける複合材層は、フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなるものである。
本発明による複層シートは、ポリイミド系樹脂またはシリコーンゴムからなる表面層を有するものである。
本発明による複層シートにおいては、前記表面層が前記複合材層に対してなされた表面活性化処理により形成された処理面を介して形成されている。ここで、表面活性化処理とは、前述の本発明による複合材層の表面のフッ素樹脂を処理することによって、その表面張力を低下させて、複合材層のフッ素樹脂と複層シートの表面層として形成されるポリイミド系樹脂またはシリコーンゴムとの接合を可能にし、かつ充分な接合強度を発現させる処理を言う。この表面活性化処理が行なわれない場合には、前記の複合材に、ポリイミド系樹脂またはシリコーンゴムからなる表面層を形成することができず、本発明の目的を達成することができない。
本発明によるエンドレスベルトは、上記の複層シートから形成されたベルト状物の環状体からなることを特徴とするものである。したがって、本発明によるエンドレスベルトは、上記複層シートの優れた特性、例えば、主としてフッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる複合材層に基づく優れた耐熱性、形状安定性、非粘着性および耐久性と、主として表面層であるポリイミド系樹脂に基づく諸特性(例えば、耐摩耗性、耐熱性、耐久性)、シリコーンゴムに基づく諸特性(例えば、耐熱性、非粘着性、グリップ性等)を具備するものである。
(1)複合材の片面にポリイミド樹脂表面層を形成した複層シート
まず、フッ素樹脂とガラス繊維の複合材を得るため、連続塗工装置で平織のガラス繊維布厚み(95μm)にフッ素樹脂(PTFE)の水性懸濁液を含浸し付着させて、80℃で乾燥した後、350℃の温度で焼成して、フッ素樹脂とガラス繊維の複合材(厚み135μm)を得た。
2)摩擦係数:JIS K7218に準拠して実施した。(オリエンテック社製 摩擦摩耗試験機を用い、滑り速度50mm/S、荷重20N(0.1MPa)、試験時間30分、相手材としてSUS304リングを使用して測定。)
3)接触角:JIS K6768に準拠して実施した。(協和界面化学社製の接触角計 CA−D型を用い、試験液として蒸留水を使用して測定。)
(2)複合材の両面にポリイミド樹脂表面層を形成した複層シート
実施例A1と同様にして複層シートを得た。この複層シートのポリイミド樹脂表面層が形成されていない面に、実施例A1と同様の操作にて、表面活性化処理およびポリイミド樹脂表面層の形成を行って、複合材の両面にポリイミド樹脂表面層が形成された複層シート(厚み145μm)を得た(図3)。
(3)複合材の片方の面にポリイミド樹脂表面層が、もう片面の面にシリコーンゴム表面層が形成された複層シート
実施例A1と同様にして複層シートを得た。この複層シートのポリイミド樹脂表面層が形成されていない面に、実施例A1と同様の操作にて表面活性化処理を行った。
(4)実施例A1の複層シートと他のシートとの積層シートおよびエンドレスベルト
実施例A1の複層シート(厚み140μm)とフッ素樹脂とガラス繊維複合材(厚み135μm)を積層して、エンドレスになるようフッ素樹脂層面同士を重ね、加熱プレス機で350℃の温度でこれらを熱融着して、片面にフッ素樹脂表面層が、もう片面にポリイミド樹脂表面層が形成されたエンドレスベルト(厚み275μm)を得た(図7)。
(5)実施例A1の複層シート2枚を積層した両面ポリイミド樹脂のエンドレスベルト
実施例A1の複層シート(厚み140μm)のベルトを2つ用意し、これらをエンドレスになるようフッ素樹脂層面同士を重ね、加熱プレス機で350℃の温度で熱融着して、積層して、両面にポリイミド樹脂表面層が形成されたエンドレスベルト(厚み280μm)を得た(図7)。
実施例A1の複層シートに、表面活性化処理を行わずに液状ポリイミドワニスを塗工したが、接合できず、使用可能な十分な接合強度を有する複層シートを得ることはできなかった。
(6)フッ素樹脂とガラス繊維複合材とシリコーンゴムのエンドレスベルト
フッ素樹脂とガラス繊維の複合材を得るため、連続塗工装置で平織のガラス繊維にフッ素樹脂(PTFE)の水性懸濁液を含浸し付着させて、80℃で乾燥した後、350℃の温度で焼成しフッ素樹脂とガラス繊維の複合材を得た。
(7)実施例B1の複層シート2枚を積層した両面シリコーンゴム層のエンドレスベルト
実施例B1の複層シート(厚み235μm)のベルトを2つ用意し、エンドレスになるよう、フッ素樹脂層面同士を重ね、加熱プレス機で350℃の温度で熱融着し、両面にシリコーンゴム層が形成されたエンドレスベルト(厚み470μm)を得た(図7)。
実施例B1の複層シートに、表面活性化処理を行わずに液状シリコーンを塗工したが、接合できず、使用可能な十分な接合強度を有する複層シートを得ることはできなかった。
実施例A1〜A5において、シリカ付着焼成処理の代わりに金属ナトリウムエッチング処理を行うことによって表面活性化処理層を形成させた以外は実施例A1〜A5と同様にして、本発明による複層シートC1〜C3およびエンドレスベルトC4〜C5を得た。
実施例A1〜A5において、シリカ付着焼成処理の代わりにプラズマ処理を行うことによって表面活性化処理層を形成させた以外は実施例A1〜A5と同様にして、本発明による複層シートD1〜D3およびエンドレスベルトD4〜D5を得た。
2 複合材層
2a フッ素樹脂
2b 耐熱性繊維織布
3a ポリイミド系樹脂からなる表面層
3b シリコーンゴムからなる表面層
4 処理面
5 他のシート
15 エンドレスベルト
Claims (5)
- フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層とポリイミド系樹脂またはシリコーンゴムからなる表面層とを有する複層シートであって、前記表面層が、前記複合材層に対してなされた表面活性化処理により形成された処理面を介して形成されていることを特徴とする、複層シート。
- 前記の表面活性化処理が、無機粒子付着焼成処理、金属ナトリウムエッチング処理、プラズマ放電処理またはコロナ放電処理である、請求項1に記載の複層シート。
- 請求項1に記載の複層シートから形成されたベルト状物の環状体からなることを特徴とする、エンドレスベルト。
- 請求項1に記載の複層シートをベルト状に裁断し、この複層シートのベルト状物の対向する二つ端部を接合して環状体を得ることを特徴とする、エンドレスベルトの製造方法。
- 請求項1に記載の複層シートと他のシートとが積層されたベルト状物を、このベルト状物の前記複層シートについての対向する二つ端部およびこのベルト状物の前記他のシートについての対向する二つ端部をそれぞれ接合ないし近接配置させて環状体を得ることを特徴とする、エンドレスベルトの製造方法。
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