JPWO2002064299A1 - ワイヤ放電加工方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

加工電力供給手段によりワイヤ電極(1a)と被加工物(2)との極間に放電エネルギを供給し、位置決め手段によりワイヤ電極(1a)及び被加工物(2)を相対移動させて、被加工物(2)を加工するワイヤ放電加工装置において、前記極間に加工液(4a)を供給する加工液供給手段、前記極間にミスト(7)を供給するミスト供給手段及び前記極間に気体(8)を供給する気体供給手段並びに被加工物(2)を冷却する冷却用流体である加工液(4a)を供給する冷却用流体供給手段を組み合わせて一体に形成された流体供給手段(12)を備えた。より高精度化及び高品位化に適したワイヤ放電加工を行うことができる。

Description

技術分野
この発明は、ワイヤ電極と被加工物の極間に加工電力を供給し、放電エネルギにより前記被加工物を加工する、ワイヤ放電加工方法及び装置の改良に関するものである。
背景技術
放電加工は金型等の加工技術として確固たる地位を築いており、自動車産業、家電産業、半導体産業等の金型加工の分野において多用されてきた。
第7図は、放電加工のメカニズムの説明図であり、図において、1は電極、2は被加工物、3はアーク柱、4は加工液、5は放電加工により生成された加工屑である。以下の(a)乃至(e)のサイクル(第7図の(a)乃至(e)に対応)を繰返しながら被加工物2の放電による除去加工が進行する。即ち、(a)放電の発生によるアーク柱3の形成、(b)放電の熱エネルギによる局部的溶融及び加工液4の気化、(c)加工液4の気化爆発力の発生、(d)溶融部(加工屑5)の飛散、(e)加工液による冷却、凝固、極間の絶縁回復、である。
この発明は、放電加工の中でも、くり貫き加工、切断加工等に使用されるワイヤ放電加工に関するものである。ワイヤ放電加工は、特に高精度化への要求が強まっており、例えば、半導体業界等で使用される高精度金型の加工では、1〜2μm程度の高い加工精度が要求されるようになってきている。
第8図は、ワイヤ放電加工の加工プロセスの例を示す説明図であり、図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは例えば水である加工液、6はイニシャルホールであり、第8図の(a)は荒加工であるファーストカットを、第8図の(b)は荒加工後の中仕上げ加工であるセカンドカットを、第8図の(c)は最終仕上げ加工であるサードカットの様子を示している。
第8図の(a)のファーストカットの加工例は、イニシャルホール6にワイヤ電極1aを通し、被加工物2をくり貫く加工を示している。このようなファーストカットの場合、後の加工で面粗さ及び精度を仕上げるため、それほど厳しい面粗さ及び精度は要求されず、生産性向上のために特に加工速度を上げることが重要である。ワイヤ放電加工において、加工速度を上げるためには、ワイヤ電極1aと被加工物2の極間からの加工屑の排出を効率的に行うため、加工液4aを前記極間に噴出することが行われる。また、前記極間への加工液4aのかかりのむらを無くし、ワイヤ電極1aの断線を防止するために、図示しない加工槽の中に加工液4aを溜めて被加工物2を浸漬する方法が用いられる。このように、ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に加工液を供給する加工液供給手段が用いられる。
以上のような従来のワイヤ放電加工では、ファーストカット(第8図の(a))後のセカンドカット(第8図の(b))及びサードカット(第8図の(c))等の加工も、加工液4a中で行われる。
ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に電圧が印加されると、プラス極性とマイナス極性は互いに引き合う力が働くため、この静電力により剛性の小さいワイヤ電極1aは被加工物2側に引っ張られることになる。これが、ワイヤ電極1aの振動の原因となり、このような振動により高精度加工が困難になるという問題点があった。
また、放電エネルギにより加工液の気化爆発力が発生した状態(例えば、第7図の(c))では、ワイヤ電極1aには、加工液の気化爆発力により被加工物2と反対方向に大きな力が作用し、振動が発生する。このような振動により、被加工物2の形状に凹凸が生じ、精度の悪化につながるという問題点があった
さらに、ワイヤ放電加工の利用分野である半導体業界等において、例えば、ICリードフレームの金型等の加工においては、形状精度が1μm、面粗さが1μmRmax以下というような被加工物に対して極めて高精度かつ非常に滑らかな面粗さが求められる用途が増加しており、特にこのような用途では、前記のようなワイヤ電極の振動等に起因する問題点が顕著であった。
このような液中ワイヤ放電加工の問題点を解決するための方策として、ワイヤ電極と被加工物の極間に加工液を介在させずに大気中でワイヤ放電加工を行う、気中ワイヤ放電加工に関する技術が開示されている(東京農工大学安達他、「気中放電加工によるセカンドカットの高精度化」、型技術、第14巻、第7号、1999年、154頁、日刊工業新聞社)。この技術では、大気中におけるワイヤ放電加工により被加工物切断面の真直精度を向上することができることが開示されており、通常の加工液中でのワイヤ放電加工と比較すると高精度化の観点での意義は大きいが、このような気中でワイヤ放電加工を行う場合、あるいはミスト中でワイヤ放電加工を行う場合においては、加工液による冷却効果(例えば第7図の(e))を利用することができないため、ワイヤ電極と被加工物の極間の冷却が十分に行えず、放電による発熱により被加工物に熱ひずみが生じた状態で加工が進行するため、前記のような被加工物に対して極めて高精度かつ非常に滑らかな面粗さが求められる用途等には対応できないという問題点があった。
発明の開示
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、ワイヤ放電加工の高精度化及び高品位化に適したワイヤ放電加工方法及び装置を得ることを目的とする。
この発明に係るワイヤ放電加工方法は、ワイヤ電極と被加工物の極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工方法において、ミスト中又は気中における加工工程において、前記被加工物を冷却しながら加工を行うものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工方法は、ワイヤ電極と被加工物の極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工方法において、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工の3つの加工の中の少なくとも2つの加工を組み合わせて加工を行い、ミスト中又は気中における加工工程において、前記被加工物を冷却しながら加工を行うものである。
この発明に係るワイヤ放電加工装置は、加工電力供給手段によりワイヤ電極と被加工物の極間に放電エネルギを供給し、位置決め手段により前記ワイヤ電極及び被加工物を相対移動させて、気中又はミスト中にて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、前記被加工物を冷却する冷却用流体を供給する冷却用流体供給手段を備えたものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、加工電力供給手段によりワイヤ電極と被加工物の極間に放電エネルギを供給し、位置決め手段により前記ワイヤ電極及び被加工物を相対移動させて、前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、前記極間に加工液を供給する加工液供給手段、前記極間にミストを供給するミスト供給手段及び前記極間に気体を供給する気体供給手段の中の少なくとも2つの加工用流体を供給する加工用流体供給手段と、前記被加工物を冷却する冷却用流体を供給する冷却用流体供給手段とを備えたものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、加工電力供給手段によりワイヤ電極と被加工物の極間に放電エネルギを供給し、位置決め手段により前記ワイヤ電極及び被加工物を相対移動させて、前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、前記極間に加工液を供給する加工液供給手段、前記極間にミストを供給するミスト供給手段及び前記極間に気体を供給する気体供給手段の中の少なくとも2つの加工用流体を供給する加工用流体供給手段と、前記被加工物を冷却する冷却用流体を供給する冷却用流体供給手段と、生産性及び被加工物に対する要求精度等に応じて、前記加工液供給手段による前記極間への前記加工液の供給、前記ミスト供給手段による前記極間への前記ミストの供給及び前記気体供給手段による前記極間への前記気体の供給の切り換え、並びに前記ミスト供給手段による前記極間への前記ミストの供給時又は前記気体供給手段による前記極間への前記気体の供給時に前記冷却用流体供給手段による前記被加工物への前記冷却用流体の供給を制御する制御手段とを備えたものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記加工用流体供給手段は前記ワイヤ電極に沿って前記加工用流体を前記極間に供給するものであり、前記冷却用流体供給手段は前記加工用流体の外側から前記被加工物に向かって前記冷却用流体を噴出するものである
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記加工用流体供給手段及び前記冷却用流体供給手段を組み合わせて一体に形成された流体供給手段を備えたものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記加工液供給手段は加工液タンク内の加工液をポンプにて前記極間に供給するものであり、前記気体供給手段は空気等の気体をコンプレッサにて加圧して前記極間に供給するものであり、前記ミスト供給手段は前記加工液供給手段により供給される加工液と前記気体供給手段によって供給される気体とを混合してミストを生成して前記極間に供給するものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記冷却用流体供給手段が前記加工液タンク内の加工液をポンプにて加圧して前記極間に供給するものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記コンプレッサにて加圧された気体を冷却する冷却手段を備えたものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記冷却手段が前記加工液タンク内に配設された熱交換器を用いて構成されるものである。
この発明に係るワイヤ放電加工方法及び装置は以上のように構成されているため、気中又はミスト中におけるワイヤ放電加工において、被加工物の冷却を効果的に行うことができ、被加工物の熱ひずみを抑制することができるため、高精度化及び高品位化に適したワイヤ放電加工を行うことができるという効果を奏する。また、生産性及び被加工物に対する要求精度等に応じて、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工を組み合わせて行うことにより要求仕様に適切に対応することができるという効果を奏する。
発明を実施するための最良の形態
実施の形態1.
第1図は、この発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工方法の一例を示す説明図であり、図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは例えば水である加工液、6はイニシャルホール、7は水等のミスト、8は空気等の気体であり、第1図の(a)は荒加工であるファーストカットを、第1図の(b)は荒加工後の中仕上げ加工であるセカンドカットを、第1図の(c)は最終仕上げ加工であるサードカットを示している。ファーストカット、セカンドカット及びサードカットは便宜上のものであり、必ずしもワイヤ放電加工が3回の加工で終了するものではない。被加工物への要求精度が低い加工では、ファーストカットのみ、あるいは、ファーストカットとセカンドカットのみで終了する場合もあり、被加工物への要求精度が高い加工では、7回、8回と加工を行う場合もある。
次に、加工方法の概略について説明する。第1図の(a)のファーストカットは、イニシャルホール6にワイヤ電極1aを通し、被加工物2をくり貫く加工である。ファーストカットでは、後の加工で面粗さ及び精度を仕上げるため、それほど厳しい面粗さ及び精度は要求されず、生産性向上のために特に加工速度を上げることが重要であり、背景技術の第8図と同様にワイヤ電極1aと被加工物2の極間に加工液を供給する加工液供給手段により、加工液4aを前記極間に介在させて加工を行う。この加工液供給手段としては、加工槽の中に加工液4aを溜めて被加工物2を浸漬する手段及び前記極間に加工液4aを噴出する手段の中の少なくともどちらかが用いられる。
通常のワイヤ放電加工では、ファーストカット後も、加工液供給手段により前記極間に加工液を供給して加工が進められるが、背景技術に示したようにワイヤ電極の振動等の問題があるため、高精度加工には適さない。
この発明は、仕上げ加工において、前記極間に加工液を介在させずに加工を行い、被加工物の精度及び面粗さを改善するものである。
第1図の(b)の中仕上げ加工であるセカンドカットでは、ワイヤ電極1aの振動を抑えて加工形状精度を改善するために、加工液4a中での加工ではなく、ミスト7中での加工を行うものである。ミスト7中での加工速度は加工液4a中での加工と比べてそれほど遜色はなく、静電力によるワイヤ電極1aの振動が抑制されるため加工精度が向上する。ミスト7中での加工は、例えば図示しないミスト供給手段によりワイヤ電極1aと被加工物2の極間にミストを噴出することにより行うことができる。
また、第1図の(c)の最終仕上げ加工であるサードカットの場合には、気体8中での放電を使用することにより、さらにワイヤ電極1aの振動を抑制することができる。気体8中での加工は、大気中又は図示しない気体供給手段によりワイヤ電極1aと被加工物2の極間に所定の成分の気体を噴出することにより行うことができる。
以上のようなミスト7中及び気体8中の放電加工により高い精度が得られる理由は、以下の通りである。ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に電圧が印加されたときに前記極間に作用する静電力は前記極間の誘電率に比例するため、同じ極間距離として計算すると、前記極間の介在物が加工液4aである場合に比べて、前記極間の介在物がミスト7又は気体8である場合は、前記静電力が数十分の一となる(例えば、誘電率は真空中が最も小さく、水中では真空中の約80倍である)。また、放電による気化爆発力は前記極間に介在する液体により生ずるため、前記極間にミスト7又は気体8しか存在しない場合には、ワイヤ電極1aは気化爆発力の影響をほとんど受けない。
従って、ミスト7中又は気体8中の放電により高精度なワイヤ放電加工を行うことができ、生産性及び被加工物に対する要求精度等に応じて、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工を組み合わせて行うことにより要求仕様に適切に対応することができる。
第2図は、この発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置を示す構成図であり、図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは例えば水である加工液、7はミスト、8は気体、9は被加工物2を固定する定盤、11はワイヤボビン、12は流体供給手段、13はキャプスタンローラ、14はピンチローラ、15は被加工物2の水平方向(X方向)の駆動を行うためのXテーブル、16は被加工物2の水平方向(Y方向)の駆動を行うためのYテーブル、17はXテーブル15を駆動する図示しない駆動モータを制御するX軸サーボアンプ、18はYテーブル16を駆動する図示しない駆動モータを制御するY軸サーボアンプ、19は制御手段である。キャプスタンローラ13及びピンチローラ14によりワイヤ電極1aを挟持して牽引し、ワイヤ電極1aを走行させながら、ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に図示しない加工電力供給手段から加工電力を供給し、位置決め手段であるXテーブル及びYテーブル等によりワイヤ電極1aと被加工物2とを相対移動させながら被加工物2の加工を行う。
第3図は、この発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置の流体供給手段12の構成を示す説明図であり、第3図の(a)は縦断面図、第3図の(b)は第3図の(a)のA−A断面図である。第3図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは例えば水である加工液、7はミスト、8は気体、12は流体供給手段、12aは流体供給手段12にワイヤ電極1aの通る穴の外側に同心円状に形成された冷却用流体である加工液4aを被加工物2に噴出するための溝、20及び21はカプラである。
第4図は、流体供給手段12への流体供給方法の説明図であり、図において、4aは例えば水である加工液、22は加工液タンク、23は加圧気体をワイヤ電極1aと被加工物2の極間に供給するためのコンプレッサ、24は加工液タンク22内の加工液4aの温度を制御する温度制御装置、25乃至27はバルブ、28は温度制御装置24により温度制御された加工液4aを供給するポンプである。ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に気体8又はミスト7を供給して気中又はミスト中にてワイヤ放電加工を行う場合には、カプラ21から加工液4aを流体供給手段12に供給することにより、流体供給手段12の溝12aから、冷却用流体である加工液4aを前記極間の近傍にワイヤ電極1aの同心円状に噴出する。このような冷却用流体の噴出は、ワイヤ電極1aの同心円状に限定されるものではなく、加工用流体として前記極間に供給される気体8又はミスト7の外側から被加工物2に噴出するものであればよい。
このような気中又はミスト中にてワイヤ放電加工を行う場合に、気体8又はミスト7をコンプレッサ23により高圧にして前記極間に供給すれば、前記極間に加工液4aが進入することなく、前記極間の近傍に冷却加工液を供給して被加工物を冷却することができ、加工熱による被加工物の熱ひずみを効果的に低減することができる。
次に、実加工時の動作について説明する。ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に加工液4aを供給し加工する場合には、バルブ25を閉、バルブ26を開、バルブ27を閉とし、カプラ20に加工用流体である加工液4aを送る。また、前記極間に気体8を供給し加工する場合には、バルブ25を開、バルブ26を閉、バルブ27を開とし、カプラ20に加工用流体である加圧気体8を、カプラ21に冷却用流体である加工液4aを送る。さらに、前記極間にミスト7を供給し加工する場合には、バルブ25、26及び27をすべて開とし、コンプレッサ23からの加圧気体8と加工液4aにより加工用流体であるミスト7を生成してカプラ20に送り、カプラ21に冷却用流体である加工液4aを送る。このようなバルブ25乃至27の開閉の切り換えは制御手段19により行う。
以上のように、流体供給手段12は、加工液供給手段、ミスト供給手段及び気体供給手段としての機能(加工用流体供給手段)並びに被加工物を冷却する冷却用流体供給手段としての機能を有するものである。
以上のような構成により、必要とされる加工速度、加工精度等に応じて、ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に、加工液4a、ミスト7又は気体8が選択的に供給されると共に、気中又はミスト中のワイヤ放電加工においては、被加工物2を効果的に冷却することができる。従って、被加工物の熱ひずみの抑制により、より高精度かつ非常に滑らかな面粗さが求められる用途等にも対応することができる。
以上においては、流体供給手段12が、加工用流体供給手段としての機能及び冷却用流体供給手段としての機能を有する場合について説明したが、加工用流体供給手段及び冷却用流体供給手段を分離して別々に設けることもできる。
実施の形態2.
第5図は、この発明の実施の形態2に係るワイヤ放電加工装置の流体供給手段12への流体供給方法の説明図であり、ワイヤ放電加工装置の構成は実施の形態1の第2図と同様であり、ワイヤ放電加工装置の流体供給手段12の構成は実施の形態1の第3図と同様である。第5図において、実施の形態1の第4図と同一符号は同一又は相当部分を示しており、29は冷却器である。また、バルブ25乃至27の開閉の切り換え等の動作は実施の形態1と同様である。
第5図において、コンプレッサ23とバルブ25の間に冷却器29を配置したことにより、ワイヤ電極と被加工物の極間に気体を供給して放電加工を行う場合には、冷却器で冷却された気体が前記極間に供給される。また、前記極間にミストを供給して加工する場合には、冷却器で冷却された加圧気体を使ってミストが生成される。従って、従来の温度制御されていない気体を使用した場合に比べ、気体又はミストを前記極間に噴射して加工する場合において、被加工物加工部の冷却効率を向上させることができる。
実施の形態3.
第6図は、この発明の実施の形態3に係るワイヤ放電加工装置の流体供給手段12への流体供給方法の説明図であり、ワイヤ放電加工装置の構成及び動作等は実施の形態1及び2と同様である。第6図において、実施の形態1の第4図及び実施の形態2の第5図と同一符号は同一又は相当部分を示しており、30は熱交換器である。
第6図は、実施の形態1の第4図におけるコンプレッサ23とバルブ25の間に熱交換器30を追加し、この熱交換器30を加工液タンク22内に設置したものである。加工液タンク22内の加工液4aは温度制御装置24によって、室温又はそれ以下の温度に制御されているので、コンプレッサ23で加圧された空気8が、加工槽22内の温度制御された加工液4aによって冷却される。従って、実施の形態2と同様の被加工物加工部の冷却効率向上効果がある。さらに、実施の形態2の第5図の冷却器29の機能をより簡単な構成で実現できるため、コスト低減を図ることができるという効果もある。
産業上の利用可能性
以上のように、この発明に係るワイヤ放電加工方法及び装置は、特に高精度かつ高品位な放電加工作業に用いられるのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工方法の一例を示す説明図である。
第2図は、この発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置を示す構成図である。
第3図は、この発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置の流体供給手段の構成を示す説明図である。
第4図は、この発明の実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置の流体供給手段への流体供給方法の説明図である。
第5図は、この発明の実施の形態2に係るワイヤ放電加工装置の流体供給手段への流体供給方法の説明図である。
第6図は、この発明の実施の形態3に係るワイヤ放電加工装置の流体供給手段への流体供給方法の説明図である。
第7図は、放電加工のメカニズムの説明図である。
第8図は、ワイヤ放電加工の加工プロセスの例を示す説明図である。
【0004】
発明の開示
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、ワイヤ放電加工の高精度化及び高品位化に適したワイヤ放電加工方法及び装置を得ることを目的とする。
この発明に係るワイヤ放電加工方法は、ワイヤ電極と被加工物の極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工方法において、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工の3つの加工の中の少なくとも2つの加工を組み合わせて加工を行い、ミスト中又は気中における加工工程において、前記被加工物を冷却しながら加工を行うものである。
この発明に係るワイヤ放電加工装置は、加工電力供給手段によりワイヤ電極と被加工物の極間に放電エネルギを供給し、位置決め手段により前記ワイヤ電極及び被加工物を相対移動させて、前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、前記極間に加工液を供給する加工液供給手段、前記極間にミストを供給するミスト供給手段及び前記極間に気体を供給する気体供給手段の中の少なくとも2つの加工用流体を

Claims (11)

  1. ワイヤ電極と被加工物の極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工方法において、
    ミスト中又は気中における加工工程において、前記被加工物を冷却しながら加工を行うことを特徴とするワイヤ放電加工方法。
  2. ワイヤ電極と被加工物の極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工方法において、
    加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工の3つの加工の中の少なくとも2つの加工を組み合わせて加工を行い、ミスト中又は気中における加工工程において、前記被加工物を冷却しながら加工を行うことを特徴とするワイヤ放電加工方法。
  3. 加工電力供給手段によりワイヤ電極と被加工物の極間に放電エネルギを供給し、位置決め手段により前記ワイヤ電極及び被加工物を相対移動させて、気中又はミスト中にて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、
    前記被加工物を冷却する冷却用流体を供給する冷却用流体供給手段を備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  4. 加工電力供給手段によりワイヤ電極と被加工物の極間に放電エネルギを供給し、位置決め手段により前記ワイヤ電極及び被加工物を相対移動させて、前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、
    前記極間に加工液を供給する加工液供給手段、前記極間にミストを供給するミスト供給手段及び前記極間に気体を供給する気体供給手段の中の少なくとも2つの加工用流体を供給する加工用流体供給手段と、
    前記被加工物を冷却する冷却用流体を供給する冷却用流体供給手段とを備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  5. 加工電力供給手段によりワイヤ電極と被加工物の極間に放電エネルギを供給し、位置決め手段により前記ワイヤ電極及び被加工物を相対移動させて、前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、
    前記極間に加工液を供給する加工液供給手段、前記極間にミストを供給するミスト供給手段及び前記極間に気体を供給する気体供給手段の中の少なくとも2つの加工用流体を供給する加工用流体供給手段と、
    前記被加工物を冷却する冷却用流体を供給する冷却用流体供給手段と、
    生産性及び被加工物に対する要求精度等に応じて、前記加工液供給手段による前記極間への前記加工液の供給、前記ミスト供給手段による前記極間への前記ミストの供給及び前記気体供給手段による前記極間への前記気体の供給の切り換え、並びに前記ミスト供給手段による前記極間への前記ミストの供給時又は前記気体供給手段による前記極間への前記気体の供給時に前記冷却用流体供給手段による前記被加工物への前記冷却用流体の供給を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  6. 請求の範囲4又は5において、前記加工用流体供給手段は前記ワイヤ電極に沿って前記加工用流体を前記極間に供給するものであり、前記冷却用流体供給手段は前記加工用流体の外側から前記被加工物に向かって前記冷却用流体を噴出するものであることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  7. 請求の範囲6において、前記加工用流体供給手段及び前記冷却用流体供給手段を組み合わせて一体に形成された流体供給手段を備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  8. 請求の範囲4又は5において、前記加工液供給手段は加工液タンク内の加工液をポンプにて前記極間に供給するものであり、前記気体供給手段は空気等の気体をコンプレッサにて加圧して前記極間に供給するものであり、前記ミスト供給手段は前記加工液供給手段により供給される加工液と前記気体供給手段によって供給される気体とを混合してミストを生成して前記極間に供給するものであることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  9. 請求の範囲8において、前記冷却用流体供給手段が前記加工液タンク内の加工液をポンプにて加圧して前記極間に供給するものであることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  10. 請求の範囲8において、前記コンプレッサにて加圧された気体を冷却する冷却手段を備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  11. 請求の範囲10において、前記冷却手段が前記加工液タンク内に配設された熱交換器を用いて構成されるものであることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
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