JP5155424B2 - ワイヤ電極切断機能を備えたワイヤカット放電加工機 - Google Patents

ワイヤ電極切断機能を備えたワイヤカット放電加工機 Download PDF

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Description

本発明は、自動ワイヤ結線機能や断線修復機能を備えたワイヤカット放電加工機に関する。
ワイヤ放電加工における自動ワイヤ結線の際に行われるワイヤ切断動作は、ワークを加工する動作中、ワイヤ電極線の断線個所、ワイヤ電極の曲がり個所、あるいはワイヤ電極表面にキズがある個所を切断して除去することで、ワイヤ電極の結線に必要な綺麗なワイヤ電極表面をもつワイヤ電極の先端部を再生するために実行される。
ワイヤ電極の切断動作はアニールによって行われるが、この方法は、アニールするワイヤ電極を一対の通電電極(チャック部電極とディテクト部電極)によりクランプした後に通電し、電気抵抗による発熱のため軟化したワイヤ電極をブレーキローラで巻き戻し方向へ切断張力を発生させ、同時に、上パイプ内冷却エアや冷却水によって発熱位置をノズル出口付近の一定位置に制御しながら引っ張り切断を行うことで切断動作を完了する(特許文献1参照)。
特開平6−304819号公報
図9〜図14は従来技術の問題点を説明する図であり、図9はワイヤ電極の切断開始を説明する図、図10はアニールのための通電開始を説明する図、図11はアニール開始から切断までを説明する図、図12はワイヤ電極の切断終了から結線開始を説明する図、図13はアニール時の微小放電発生を説明する図、図14はワイヤ電極の損傷とガイド詰まりの発生を説明する図である。
図9に示されるように、ワイヤ電極11の切断開始の切断前段階としてワイヤ電極11と上パイプ21内の洗浄を行うためにエアブローを開始する。この時には、チャック部電極20の通電側チャック部電極20aとクランプ側チャック部電極20bとはワイヤ電極11をアンクランプの状態にあり、また、ディテクト部22の第1ディテクト電極22aと第2ディテクト電極22bとはワイヤ電極11をアンクランプの状態にある。
図10に示されるように、チャック部電極20の電極20a,20bによりワイヤ電極11をクランプすると共に、ディテクト部22の電極22a,22bによりワイヤ電極11をクランプする。なお、チャック部電極20(20a,20b)は、アニールトルクの付与が開始されワイヤ電極11を引っ張ることにより相対移動可能な力でクランプする。チャック部電極20(電極20a,電極20b)とディテクト部22(電極22a,電極22b)にワイヤ電極11を介してアニールのための電流の通電を開始する。なお、この通電開始をこれ以降「アニール通電開始」という。ワイヤ電極11は通電により発熱し軟化する。アニール通電開始と同時に、ワイヤ電極11に対してブレーキローラ18の回転トルクにより巻き戻し方向に張力を与える。なお、この張力を与えることをこれ以降「アニールトルク開始」という。なお、アニールのための通電中、ワイヤ電極11の切断位置と真直性を制御するため上パイプ21内の洗浄エアは停止し、切断エアで冷却される。ワイヤ電極11を真直させるため冷却する切断エアは、洗浄エアより単位時間あたりの流量は絞られる。
図11に示されるように、ワイヤ電極11へ付与する引っ張り力を増大するためアニールトルクから切断トルクに切り替える。切断トルクはアニールトルクと同様にワイヤ電極11を巻き戻す方向に引っ張るようにブレーキローラ18の回転トルクを制御する。切断トルクはアニールトルクより大きい。また、上パイプ21内およびワイヤ電極11を洗浄する洗浄エアを切断エアへ切り替える。アニールされ軟化したワイヤ電極11は切断トルクによって更に延伸され、この時にチャック部電極20の通電側チャック部電極20aおよびクランプ側チャック部電極20bと擦れる。ワイヤ電極11とチャック部電極20が擦れることで、チャック部電極20の電極表面にワイヤ電極11由来のワイヤ金属粉が付着する。切断トルクによってワイヤ電極11は巻き上げられ、ディテクト部22(電極22a,電極22b)の箇所で切断される。チャック部電極20とディテクト部22の電極の間のワイヤ電極11のほとんどは上パイプ21内部を貫通した状態にあり、しかも、上パイプ21内を流れる切断エアよって冷却されている。そのため、上パイプ21内でワイヤ電極11は切断されることなくディテクト部22の箇所で切断される。
図12はワイヤ電極11の切断終了から結線開始を説明する図である。ワイヤ電極11の切断が終了するとワイヤ電極11を巻き取り方向15にワイヤ送りを開始する。この時、ワイヤ電極11とチャック部電極20(電極20a,電極20b)が擦れることにより、チャック部電極20(20a,20b)表面にワイヤ金属粉が付着する。
上述した従来技術では、アニールされたワイヤ電極11がブレーキローラ18のアニールトルクにより巻き戻し方向14へ引っ張られる際、発熱したワイヤ電極11が通電のためクランプしているチャック部電極20(通電側チャック部電極20a,クランプ側チャック部電極20b)の表面と擦れ合い、チャック部電極20の表面にワイヤ金属粉を付着させる。そのため、複数回(200〜300回前後)の切断動作を繰り返すとチャック部電極20の表面にワイヤ金属粉が溜まり、その表面が凹凸に荒れてしまう。そのような状態のチャック部電極20の電極表面で切断動作を行うと、切断電流通電時にワイヤ電極11とチャック部電極20の電極表面が密着せず不安定な接触状態となってチャタリングが発生し微小放電が多発する(図13参照)。
微小放電によりチャック部電極20の電極表面に多数の放電痕が形成されると共に、アニールされたワイヤ電極11の表面に放電痕の深い傷が転写されてしまう。放電痕の深い傷が転写されたワイヤ電極11は、結線動作中に傷の部分で上ダイスガイド24、下ダイスガイド25のワイヤガイド部分でワイヤ詰まりを頻発し、結線成功率が大幅に下がるという問題がある(図14参照)。特にワイヤ電極11が軟線の場合にはこの問題が顕著である。また、アニール方式のワイヤ切断装置は、チャック部電極20の表面にワイヤ金属粉がある程度必ず付着するのは避けられないが、微小放電による放電痕が形成された場合は200〜300回前後の切断回数で使用できなくなり、寿命が短くなるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、ワイヤ切断機構を用いてワイヤ電極を切断する際に、ワイヤ金属粉の発生を防止することにより、通電電極の損傷を防止すると共に自動結線の成功率低下を防止するワイヤカット放電加工機を提供することである。
本願の請求項1に係る発明は、ワイヤ電極を被加工物の上方でガイドする上ワイヤガイドと、前記ワイヤ電極を前記被加工物の下方でガイドする下ワイヤガイドと、前記上ワイヤガイドの上方であって前記ワイヤ電極の走行経路に設けられた前記ワイヤ電極を挟持する第1ワイヤ電極切断用通電電極と、該第1ワイヤ電極切断用通電電極よりも下流側に設けられた第2ワイヤ電極切断用通電電極と、前記ワイヤ電極に所定の張力を与える張力付与部を備え、前記第1ワイヤ電極切断用通電電極および前記第2ワイヤ電極切断用通電電極を介して前記ワイヤ電極に通電して加熱すると共に、前記張力付与部により張力を与えることにより前記ワイヤ電極を切断する機能を有するワイヤカット放電加工機において、前記第1ワイヤ電極切断用通電電極と前記ワイヤ電極が接触する部分を冷却する冷却部を備えたことを特徴とするワイヤ電極切断機能を有するワイヤカット放電加工機である。
請求項2に係る発明は、前記冷却部は圧縮空気を供給することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ電極切断機能を有するワイヤカット放電加工機である。
請求項3に係る発明は、前記冷却部は冷却水を供給することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ電極切断機能を有するワイヤカット放電加工機である。
請求項4に係る発明は、前記冷却部はヒートポンプ交換器であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ電極切断機能を有するワイヤカット放電加工機である。
本発明により、ワイヤ切断機構を用いてワイヤ電極を切断する際にワイヤ金属粉の発生を防止することにより、通電電極の損傷を防止すると共に自動結線の成功率低下を防止するワイヤカット放電加工機を提供できる。
ワイヤカット放電加工機の自動ワイヤ電極送り機構を説明する図である。 チャック電極部が取り付けられた箇所を拡大して説明する図である。 本発明に係るワイヤ電極の切断開始を説明する図である。 本発明に係る通電と同時にエアブロー開始を説明する図である。 本発明に係るアニール開始から切断まで、および、エアブローが継続されることを説明する図である。 本発明に係るワイヤ電極の切断終了から結線開始、および、エアブロー終了を説明する図である。 本発明に係るワイヤ電極に金属粉の付着および微小放電を抑制することを説明する図である。 本発明に係るワイヤ電極の損傷を抑制できることを説明する図である。 従来技術のワイヤ電極の切断開始を説明する図である。 従来技術のアニールのための通電開始を説明する図である。 従来技術のアニール開始から切断までを説明する図である。 従来技術のワイヤ電極の切断終了から結線開始を説明する図である。 従来技術のアニール時の微小放電発生を説明する図である。 従来技術のワイヤ電極の損傷とガイド詰まりの発生を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1はワイヤカット放電加工機の自動ワイヤ電極送り機構を説明する図であり、上方機枠部1と下方機枠部2とが対向して配置されている。
上方機枠部1は、ワイヤボビン10、ガイドローラ12,13,16,17、ブレーキローラ18、上ガイドローラ19、チャック部電極20、上パイプ21、ディテクト部22、エアブロー23、上ダイスガイド24を備えている。下方機枠部2は、下ダイスガイド25、下ガイドローラ26、誘導パイプ27、ピンチローラ28、フィードローラ29を備えている。ワイヤボビン10から引き出されたワイヤ電極11は、ガイドローラ12,13,16,17を経て、ブレーキローラ18、上ガイドローラ19、上ダイスガイド24、下ダイスガイド25、下ガイドローラ26、フィードローラ29に張架されている。符号28はピンチローラである。
ブレーキローラ18は図示しないトルクモータによって駆動され、ブレーキローラ18の自由回転に制動が掛けられている。フィードローラ29は図示しないフィードモータによって駆動され、設定された速度でワイヤ電極11を走行させる。図示しない被加工物(ワーク)は上ダイスガイド24と下ダイスガイド25の間に位置するように配置される。ワイヤ電極11と図示しないワークとの間に電圧を印加し、ワイヤ電極11とワークの間に放電を生じさせ、ワークに対して所望の形状を加工することができる。
ワイヤ切断機構は、上ダイスガイド24の上方に配置された上パイプ21と、この上パイプ21の入り口側に配置されたチャック部電極20と出口側に配置されたディテクト部22を含んで構成される。チャック部電極20(電極20a,電極20b)とディテクト部(電極22a,電極22b)は、ワイヤ電極11をクランプできるようにソレノイドなどの図示しない駆動部によりワイヤ電極11に対して相対移動可能である。すなわち、チャック部電極20とディテクト部22は、ワイヤ電極11の切断作動時に駆動部によってワイヤ電極11に向かって接近動作し、また、ワイヤ電極11の切断作動の終了にともない、同時にワイヤ電極11から離れる方向に移動する。
図2はチャック部電極20が取り付けられた箇所を拡大して説明する図である。チャック部電極20の上流側の近傍には失敗検出ブロック30が配設されており、失敗検出ブロック30は失敗検出電極31を備え、該失敗検出電極31はワイヤ電極11の結線作業が成功したか否かを検出する検出電極である。ワイヤ電極11とチャック部電極20の接触部に冷却用の圧縮空気を噴射するため、図示しないエアシリンダバルブからの圧縮空気を、エアパイプ32を経由してチャック部電極20に供給する。エアパイプ32の一端は失敗検出ブロック30に貫通孔を設け、チャック部電極20にその孔を通して直接冷却用の圧縮空気を噴射することができる。チャック部電極20を冷却する媒体としては圧縮空気だけでなく冷却水を用いてもよい。
上述の本発明に係るワイヤカット放電加工機において、ワイヤ電極11の切断動作中に、ワイヤ電極11とチャック部電極20に生じる電極表面の放電痕及びワイヤ電極11への放電痕傷転写から、ワイヤ電極11及びチャック部電極20の表面を保護するために、以下の方法を行う。
(1)微小放電の発生は、アニールされ高温となるワイヤ電極11とワイヤ金属粉が表面に付着するチャック電極20との間で発生するチャタリングに起因するものと考えられているため、アニールによる切断動作に影響のない方法で局部的に微小放電を抑制することが望ましい。(2)微小放電の抑制には原因物質であるワイヤ金属粉の発生の抑制がチャック部電極20の表面への付着軽減のために効果的である。(3)ワイヤ金属粉は、アニールで高温・軟化したワイヤ電極11がブレーキローラ18により巻き戻し方向14へ引っ張られチャック部電極20の表面で擦られるため発生する。そこで、アニール過剰によるワイヤ電極11の軟化を防ぎ、ワイヤ電極11とチャック部電極20の表面の接触箇所を局部的に冷却する。
ワイヤ電極11を切断するためのアニール開始時、チャック部電極20にクランプされたワイヤ電極11は通電による発熱のため軟化し、巻き取り方向15の切断張力のためにチャック部電極20の表面と擦れて金属粉が生成されやすい状態になる。そこで、チャック部電極20の付近にエアパイプ32を新設し、直接冷却用エアブローを実施することで、チャック部電極20に接するワイヤ電極11とチャック部電極20を局部的に冷却し、ワイヤ電極11の表面を硬化させワイヤ金属粉のチャック部電極20への付着を抑制する。
冷却用エアブローノズルは、チャック部電極20のクランプとワイヤ径路上に連続して位置するワイヤ弛みを検出する失敗検出ブロック30に貫通孔を設け、チャック部電極20にその孔を通して直接冷却エア噴射する。エアブローは、ワイヤ振動、騒音を抑えるため常時噴射ではなくアニール通電時のみ作動することが望ましく、チャック電極20のクランプ開閉動作エアシリンダと連動させてエアの噴射を行う。
エアブロー噴射時期の制御はワイヤ電極11のアニールのための通電及び切断張力を発生させるための支点としてワイヤ電極11をクランプする一対の通電電極であるチャック部電極20とディテクト部22の電極による通電時切断動作シーケンスの中で、エアソレノイドバルブにより制御されるエアシリンダバルブの開閉動作に連動して行われる。本エアブロー装置は、エアソレノイドバルブ(図示せず)から通電電極閉鎖作動エアシリンダバルブ(図示せず)へ送給されるエア供給パイプより分岐したエアによりエアブロー用エアシリンダバルブが連動して作動し、バルブが開放されてエアブロー噴射が実行される。エアブローの停止は、切断動作が終了し通電電極閉鎖作動エアシリンダバルブへのエア供給が停止した段階に連動してエアブロー噴射も停止する。
エアブローの実施の結果、チャック部電極20へのワイヤ金属粉付着及び微小放電の発生は大幅に抑制されることがランニング試験により確認され、本発明による有効性が実証された。例えば、従来技術のエアブローを行わない場合には、標準ワイヤ電極による自動結線連続ランニング試験による電極寿命は200回前後であったが、本発明に係るエアブロー実施後では、標準ワイヤ電極による自動結線連続ランニング試験による電極寿命は2,000回を超えることが確認できた。
次に、図3〜図8を用いてワイヤ電極11の切断動作を説明する。図3はワイヤ電極の切断開始を説明する図、図4は通電と同時にエアブロー開始を説明する図、図5はアニール開始から切断まで、および、エアブローが継続されることを説明する図、図6はワイヤ電極の切断終了から結線開始、および、エアブロー終了を説明する図、図7はワイヤ電極に金属粉の付着および微小放電を抑制することを説明する図、図8はワイヤ電極の損傷を抑制できることを説明する図である。
図3に示されるように、チャック部電極20(電極20a,20b)を保護するためエアパイプ32を、ワイヤ電極11とチャック部電極20(電極20a,20b)の接触部を冷却できるように取り付ける。エアパイプ32(図2参照)の一端に取り付けられている。ワイヤ電極11の切断開始の切断前段階としてワイヤ電極11と上パイプ21内の洗浄を行うためにエアブローを開始する。この時には、チャック部電極20の通電側チャック部電極20aとクランプ側チャック部電極20bとはワイヤ電極11をアンクランプの状態にあり、ディテクト部22の第1ディテクト電極22aと第2ディテクト電極22bとはワイヤ電極11をアンクランプの状態にある。
図4に示されるように、チャック部電極20の電極20a,20bによりワイヤ電極11をクランプすると共に、ディテクト部22の電極22a,22bによりワイヤ電極11をクランプする。なお、チャック部電極20は、ブレーキローラ18にアニールトルクが付与され、ワイヤ電極11を引っ張ることにより相対移動可能な力でクランプする。チャック部電極20(電極20a,電極20b)とディテクト部22(電極22a,電極22b)にワイヤ電極11を介してアニールのための電流の通電を開始する。アニール通電開始と同時にワイヤ電極11とチャック部電極20(電極20a,電極20b)の接触部を局部的に冷却するためにエアパイプ32から供給される圧縮空気によりエアブローを開始する。アニール通電開始と同時に、ワイヤ電極11に対してブレーキローラ18の回転トルクにより巻き戻し方向に張力を与える。なお、アニールのための通電中、ワイヤ電極11の切断位置と真直性を制御するため上パイプ21内の洗浄エアは停止し、切断エアで冷却される。
図5に示されるように、ワイヤ電極11を引っ張る力をアニールトルクから切断トルクに切り替える。切断トルクはワイヤ電極11を切断するためにワイヤ電極11を引っ張る力を与えるためのブレークローラ18の回転トルクである。切断トルクはアニールトルクと同様にワイヤ電極11を巻き戻す方向に引っ張るようにブレーキローラ18の回転トルクを制御する。切断トルクはアニールトルクより大きい。切断トルクによってワイヤ電極11は巻き上げられディテクト部22(電極22a,電極22b)の箇所で切断される。チャック部電極20とディテクト部22の電極の間のワイヤ電極11のほとんどは上パイプ21内部を貫通した状態にあり、しかも、上パイプ21内を流れる切断エアよって冷却されている。そのため、上パイプ21内でワイヤ電極11は切断されることなくディテクト部22の箇所で切断される。通電中はエアパイプ32から圧縮空気を供給することによりエアブローを継続し、ワイヤ電極11とチャック部電極20の接触部を局部的に冷却する。ワイヤ電極11とチャック部電極20がエアブローにより局部的に冷却されることから、この部分でワイヤ電極11表面を硬化させ、ワイヤ電極11とチャック部電極20とが擦れてもワイヤ金属粉の発生が抑制される。
図6はワイヤ電極11の切断終了から結線開始を説明する図である。ワイヤ電極11の切断が完了すると同時に、エアパイプ32からの圧縮空気の供給を停止し、チャック部電極20とワイヤ電極11の接触部の局部的な冷却を終了する。ワイヤ電極11の切断が終了するとワイヤ電極11を巻き取り方向15にワイヤ送りを行い、ワイヤ電極11の結線動作を開始する。エアパイプ32から供給される圧縮空気によりチャック部電極20とワイヤ電極の接触部を局部的に冷却されることによりワイヤ金属粉の付着が抑制されている。
上述した本発明の実施形態では、ワイヤ電極11とチャック部電極20の接触部を局部的に冷却するために該接触部に対して圧縮空気や冷却水を冷却媒体として用いている。前記接触部を冷却する方法としてこれに限定されない。例えば、失敗検出ブロック30にヒートポンプを配管しチャック部電極20を冷却してもよい。
図7は本発明に係るワイヤ電極に金属粉の付着および微小放電を抑制することを説明する図である。アニールされたワイヤ電極11がブレーキローラ18により巻き戻し方向14へ引っ張られる際、圧縮空気によりエアブローすることによりワイヤ電極11の表面が硬化し、発熱したワイヤ電極11が通電のためクランプしているチャック部電極20(通電側チャック部電極20a,クランプ側チャック部電極20b)の表面と擦れ合っても、チャック部電極20の表面にワイヤ金属粉が付着する量を大幅に減少できる。そのため、多数回の切断動作を繰り返してもチャック部電極20の表面にワイヤ金属粉が溜まることがなく、その表面が凹凸に荒れない。そのような状態のチャック部電極20の電極表面で切断動作を行うと、切断電流通電時にワイヤ電極11とチャック部電極20の電極表面が密着し安定した接触状態となってチャタリングが発生せず微小放電が抑制される。
図8は本発明に係るワイヤ電極の損傷を抑制できることを説明する図である。チャック部電極20の電極表面に微小放電による多数の放電痕が形成されず、チャック部電極20の電極損傷が効果的に抑制されるため、チャック部電極20の長寿命化できると共にアニールされたワイヤ電極11の表面への放電痕の転写の減少させることができる。
1 上方機枠部
2 下方機枠部

10 ワイヤボビン
11 ワイヤ電極
12 ガイドローラ
13 ガイドローラ
14 巻き戻し方向
15 巻き取り方向
16 ガイドローラ
17 ガイドローラ
18 ブレーキローラ
19 上ガイドローラ
20 チャック部電極
20a 通電側チャック部電極
20b クランプ側チャック部電極
21 上パイプ
22 ディテクト部
22a 第1ディテクト電極
22b 第2ディテクト電極
23 エアブロー
24 上ダイスガイド
25 下ダイスガイド
26 下ガイドローラ
27 誘導パイプ
28 ピンチローラ
29 フィードローラ
30 失敗検出ブロック
31 失敗検出電極
32 エアパイプ
33 エアブローノズル

Claims (4)

  1. ワイヤ電極を被加工物の上方でガイドする上ワイヤガイドと、前記ワイヤ電極を前記被加工物の下方でガイドする下ワイヤガイドと、前記上ワイヤガイドの上方であって前記ワイヤ電極の走行経路に設けられた前記ワイヤ電極を挟持する第1ワイヤ電極切断用通電電極と、該第1ワイヤ電極切断用通電電極よりも下流側に設けられた第2ワイヤ電極切断用通電電極と、前記ワイヤ電極に所定の張力を与える張力付与部を備え、前記第1ワイヤ電極切断用通電電極および前記第2ワイヤ電極切断用通電電極を介して前記ワイヤ電極に通電して加熱すると共に、前記張力付与部により張力を与えることにより前記ワイヤ電極を切断する機能を有するワイヤカット放電加工機において、
    前記第1ワイヤ電極切断用通電電極と前記ワイヤ電極が接触する部分を冷却する冷却部を備えたことを特徴とするワイヤ電極切断機能を有するワイヤカット放電加工機。
  2. 前記冷却部は圧縮空気を供給することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ電極切断機能を有するワイヤカット放電加工機。
  3. 前記冷却部は冷却水を供給することを特徴とする請求項1に記載のワイヤ電極切断機能を有するワイヤカット放電加工機。
  4. 前記冷却部はヒートポンプ交換器であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ電極切断機能を有するワイヤカット放電加工機。
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