JPWO2002028581A1 - ワイヤ放電加工方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
加工液(4a)中での加工、ミスト(7)中での加工及び気体(8)中での加工の3つの加工の中の少なくとも2つの加工を組み合わせて加工を行い、加工液(4a)中での加工以外の加工開始前及びワイヤ電極(1a)を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置(20)の動作後の少なくともどちらかの時点で、供給流体を加工液(4a)と圧力気体(12)とに切り替え可能に構成された圧力気体噴出手段である加工液ノズル(13a、13b)により、被加工物(2)に付着した加工液(4a)等の液体及び被加工物(2)の加工面に滴下する恐れのある加工液ノズル(13a)等に付着した液体の除去を行う。各々の加工の本来の特性を活かすことができるため、高精度加工に適した信頼性の高いワイヤ放電加工方法及び装置を得ることができる。
Description
技術分野
この発明は、ワイヤ電極と被加工物との極間に加工電力を供給し、放電エネルギにより前記被加工物を加工する、ワイヤ放電加工方法及び装置の改良に関するものである。
背景技術
放電加工は金型等の加工技術として確固たる地位を築いており、自動車産業、家電産業、半導体産業等の金型加工の分野において多用されてきた。
第8図は、放電加工のメカニズムの説明図であり、図において、1は電極、2は被加工物、3はアーク柱、4は加工液、5は放電加工により生成された加工屑である。以下の(a)乃至(e)のサイクル(第8図の(a)乃至(e)に対応)を繰返しながら被加工物2の放電による除去加工が進行する。すなわち、(a)放電の発生によるアーク柱3の形成、(b)放電の熱エネルギによる局部的溶融及び加工液4の気化、(c)加工液4の気化爆発力の発生、(d)溶融部(加工屑5)の飛散、(e)加工液による冷却、凝固、極間の絶縁回復、である。
この発明は、放電加工の中でも、くり貫き加工、切断加工等に使用されるワイヤ放電加工に関するものである。ワイヤ放電加工は、特に高精度化への要求が強まっており、例えば、半導体業界等で使用される高精度金型の加工では、1〜2μm程度の高い加工精度が要求されるようになってきている。
第9図は、ワイヤ放電加工の加工プロセスの例を示す説明図であり、図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは加工液である水、6はイニシャルホールであり、第9図の(a)は荒加工であるファーストカットを、第9図の(b)は荒加工後の中仕上げ加工であるセカンドカットを、第9図の(c)は最終仕上げ加工であるサードカットの様子を示している。
第9図の(a)のファーストカットの加工例は、イニシャルホール6にワイヤ電極1aを通し、被加工物2をくり貫く加工を示している。このようなファーストカットの場合、後の加工で面粗さ及び精度を仕上げるため、それほど厳しい面粗さ及び精度は要求されず、生産性向上のために特に加工速度を上げることが重要である。ワイヤ放電加工において、加工速度を上げるためには、極間からの加工屑の排出を効率的に行うため、水4aを極間に噴出することが行われる。また、極間への水4aのかかりのむらを無くし、ワイヤ電極1aの断線を防止するために、図示しない加工槽の中に水4aを溜めて被加工物2を浸漬する方法が用いられる。このように、極間に加工液を供給する加工液供給手段が用いられる。
以上のような従来のワイヤ放電加工方法では、ファーストカット(第9図の(a))後のセカンドカット(第9図の(b))及びサードカット(第9図の(c))等の加工も、加工液である水4a中で行われる。
第10図は、極間の電圧及び電流波形の一例を示したものであり、図において、Vは極間電圧、Iは極間電流、tは時間である。第10図のタイミングT1における状態は、ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に電圧がかかった状態である。極間に電圧が印加されるとプラス極性とマイナス極性は互いに引き合う力が働くため、この静電力により剛性の小さいワイヤ電極1aは被加工物2側に引っ張られることになる。これが、ワイヤ電極1aの振動の原因となり、このような振動により高精度加工が困難になるという問題点があった。
また、第10図のタイミングT2における状態は、放電エネルギにより加工液の気化爆発力が発生した状態(例えば、第8図の(c))であり、ワイヤ電極1aには、加工液の気化爆発力により被加工物2と反対方向に大きな力が作用し、振動が発生する。このような振動により、被加工物2の形状に凹凸が生じ、精度の悪化につながるという問題点があった。
ワイヤ放電加工の利用分野である半導体業界等において、例えば、ICリードフレームの金型等の加工においては、形状精度が1μm、面粗さが1μmRmax以下というような被加工物に対して極めて高精度かつ非常に滑らかな面粗さが求められる用途が増加しており、特にこのような用途では、前記のようなワイヤ電極の振動等に起因する問題点が顕著であった。
発明の開示
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、高精度加工に適した信頼性の高いワイヤ放電加工方法及び装置を得ることを目的とする。
この発明に係るワイヤ放電加工方法は、ワイヤ電極と被加工物との極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工方法において、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工の3つの加工の中の少なくとも2つの加工を組み合わせて加工を行い、加工液中での加工以外の加工開始前及び前記ワイヤ電極を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置の動作後の少なくともどちらかの時点で、前記被加工物に付着した加工液等の液体及び前記被加工物の加工面に滴下する恐れのある加工液等の液体の少なくともどちらかを除去するものである。
この発明に係るワイヤ放電加工装置は、ワイヤ電極と被加工物との極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、前記極間に加工液を供給する加工液供給手段及び前記極間にミストを供給するミスト供給手段の少なくともどちらかと、加工液中での加工以外の加工開始前及び前記ワイヤ電極を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置の動作後の少なくともどちらかの時点で、前記被加工物に付着した加工液等の液体及び前記被加工物の加工面に滴下する恐れのある加工液等の液体の少なくともどちらかの除去を行う圧力気体噴出手段と、前記被加工物と前記圧力気体噴出手段との相対移動を行う位置決め手段とを備えたものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、ワイヤ電極と被加工物との極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、前記極間に加工液を供給する加工液供給手段、前記極間にミストを供給するミスト供給手段及び前記極間に気体を供給する気体供給手段の中の少なくとも2つの供給手段と、加工液中での加工以外の加工開始前及び前記ワイヤ電極を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置の動作後の少なくともどちらかの時点で、前記被加工物に付着した加工液等の液体及び前記被加工物の加工面に滴下する恐れのある加工液等の液体の少なくともどちらかの除去を行う圧力気体噴出手段と、前記被加工物と前記圧力気体噴出手段との相対移動を行う位置決め手段とを備えたものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記圧力気体噴出手段が、供給流体を前記加工液と前記圧力気体とに切り替え可能に構成された加工液ノズルであるものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記位置決め手段による前記被加工物と前記圧力気体噴出手段との相対移動を前記被加工物加工用の加工プログラムにより行うものである。
この発明に係るワイヤ放電加工方法及び装置は以上のように構成されており、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工を組み合わせると共に各々の加工の本来の特性を活かすことができるため、高精度加工に適した信頼性の高いワイヤ放電加工方法及び装置を得ることができるという効果を奏する。
発明を実施するための最良の形態
第1図は、この発明の実施の形態に係るワイヤ放電加工方法の一例を示す説明図であり、図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは加工液である水、6はイニシャルホール、7は水等のミスト、8は空気等の気体であり、第1図の(a)は荒加工であるファーストカットを、第1図の(b)は荒加工後の中仕上げ加工であるセカンドカットを、第1図の(c)は最終仕上げ加工であるサードカットを示している。ファーストカット、セカンドカット及びサードカットは便宜上のものであり、必ずしもワイヤ放電加工が3回の加工で終了するものではない。被加工物への要求精度が低い加工では、ファーストカットのみ、あるいは、ファーストカットとセカンドカットのみで終了する場合もあり、被加工物への要求精度が高い加工では、7回、8回と加工を行う場合もある。
次に、加工方法の概略について説明する。第1図の(a)のファーストカットは、イニシャルホール6にワイヤ電極1aを通し、被加工物2をくり貫く加工である。ファーストカットでは、後の加工で面粗さ及び精度を仕上げるため、それほど厳しい面粗さ及び精度は要求されず、生産性向上のために特に加工速度を上げることが重要であり、背景技術の第9図と同様に極間に加工液を供給する加工液供給手段により、加工液である水4aを極間に介在させて加工を行う。この加工液供給手段としては、加工槽の中に水4aを溜めて被加工物2を浸漬する手段及び極間に水4aを噴出する手段の中の少なくともどちらかが用いられる。
通常のワイヤ放電加工では、ファーストカット後も、加工液供給手段により極間に加工液を供給して加工が進められるが、背景技術に示したようにワイヤ電極の振動等の問題があるため、高精度加工には適さない。この発明は、仕上げ加工において、極間に加工液を介在させずに加工を行い、被加工物の精度及び面粗さを改善するものである。
第1図の(b)の中仕上げ加工であるセカンドカットでは、ワイヤ電極1aの振動を抑えて加工形状精度を改善するために、加工液4a中での加工ではなく、ミスト7中での加工を行うものである。ミスト7中での加工速度は加工液4a中での加工と比べてそれほど遜色はなく、静電力によるワイヤ電極1aの振動が抑制されるため加工精度が向上する。ミスト7中での加工は、例えば図示しないミスト供給手段によりワイヤ電極1aと被加工物2の極間にミストを噴出することにより行うことができる。
また、第1図の(c)の最終仕上げ加工であるサードカットの場合には、気体8中での放電を使用することにより、さらにワイヤ電極1aの振動を抑制することができる。気体8中での加工は、大気中又は図示しない気体供給手段によりワイヤ電極1aと被加工物2の極間に所定の成分の気体を噴出することにより行うことができる。
以上のようなミスト7中及び気体8中の放電加工により高い精度が得られる理由は、以下の通りである。極間に電圧が印加されたときにワイヤ電極1aと被加工物2に作用する静電力は極間の誘電率に比例するため、同じ極間距離として計算すると、極間の介在物が水4aである場合に比べて、極間の介在物がミスト7又は気体8である場合は、前記静電力が数十分の一となる(例えば、誘電率は真空中が最も小さく、水中では真空中の約80倍である)。また、放電による気化爆発力は極間に介在する液体により生ずるため、極間にミスト7又は気体8しか存在しない場合には、ワイヤ電極1aは気化爆発力の影響をほとんど受けない。
従って、ミスト7中又は気体8中の放電により高精度なワイヤ放電加工を行うことができ、生産性及び被加工物に対する要求精度等に応じて、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工を組み合わせて行うことにより要求仕様に適切に対応することができる。
このように、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工を組み合わせてワイヤ放電加工を行う場合においては、加工液中からミスト中への切り替え、加工液中から気中への切り替え及びミスト中から気中への切り替えが行われることになる。
第2図は、加工液中での荒加工後加工液を排出した状態を示す説明図であり、この後気中放電加工を行う場合について説明する。第2図において、2は被加工物、4bは残留加工液、9は定盤、10は加工槽であり、残留加工液4bは被加工物2の上面及び加工面等に付着している。このように被加工物2に残留加工液4bが付着した状態のまま気中放電加工を行っても、気中放電の本来の加工特性を得ることができないため、被加工物2に付着した残留加工液4bの除去を適切に行う必要がある。特に気中放電においては、被加工物2に残留加工液4bがわずかに付着した場合でも本来の気中放電の加工特性は得られないため、被加工物2に付着した残留加工液4bの除去の必要性が高い。
また、第2図においては、被加工物2に残留加工液4bが付着している場合について説明したが、被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した残留加工液4bが気中放電加工中に被加工物2の加工面に滴下する場合もあり、被加工物2だけではなく加工液ノズル等に付着した残留加工液4bの除去も行う必要がある。
また、加工液中からミスト中への加工工程の切り替え又はミスト中から気中への加工工程の切り替えを行う場合においても、被加工物2に付着した加工液等の除去を行う必要がある。
ワイヤ放電加工の自動化を図るために必要なワイヤ自動結線装置が一般的に用いられている。このワイヤ自動結線装置は、結線動作時に水を噴出して剛性の低いワイヤ電極1aを水柱にて保持して自動結線を行うものであり、イニシャルホールから加工を開始する場合及び加工中にワイヤ電極1aの断線が発生した場合に用いられるものである。
第3図は、ワイヤ自動結線装置動作後の被加工物の写真であるが、自動結線時に噴出した水が被加工物上面に飛散した状態で残留することがわかる。従って、このようなワイヤ自動結線装置動作により被加工物に付着した水の除去も必要となる。
第4図は、この発明の実施の形態に係るワイヤ放電加工装置を示す構成図であり、図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは加工液である水、9は被加工物2を固定する定盤、11はワイヤボビン、12は圧力気体、13a及び13bは加工液ノズル、14はキャプスタンローラ、15はピンチローラ、16は被加工物2の水平方向(X方向)の駆動を行うためのXテーブル、17は被加工物2の水平方向(Y方向)の駆動を行うためのYテーブル、18はXテーブル16を駆動する図示しない駆動モータを制御するX軸サーボアンプ、19はYテーブル17を駆動する図示しない駆動モータを制御するY軸サーボアンプ、20はワイヤ自動結線装置、21は制御手段である。キャプスタンローラ14及びピンチローラ15によりワイヤ電極1aを挟持して牽引し、ワイヤ電極1aを走行させながら、被加工物2とワイヤ電極1aとの間に図示しない加工用電源装置から加工電力を供給し、位置決め手段であるXテーブル及びYテーブル等によりワイヤ電極1aと被加工物2とを相対移動させながら被加工物2の加工を行う。
また、第5図は、加工液ノズルの構成図であり、加工液ノズル13aを例にとって説明する。加工液ノズル13bの構成及び動作は、加工液ノズル13aと同様である。第5図において、22は切り替え手段であり、第4図と同一符号は同一又は相当部分を示している。切り替え手段22は、例えば電磁弁等からなる。この切り替え手段22を制御手段21(第4図)により切り替えることにより、加工液ノズル13aへの水4a又は圧力気体12の供給を切り替える。
第1図の(a)のような荒加工においては、加工液ノズル13aに水4aが供給されるように制御手段21により切り替え手段22を切り替え、加工液ノズル13aからワイヤ電極1aと被加工物2の極間に水4aを供給しながら加工を行う。
また、第1図の(b)のような中仕上げ加工の開始前においては、第1図の(a)の荒加工後、加工液を加工槽から排出し、加工液ノズル13aに圧力気体12が供給されるように制御手段21により切り替え手段22を切り替え、加工液ノズル13aから圧力気体12を噴出して、被加工物2に付着した残留加工液の除去を行うと共に被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した残留加工液の除去を行う。
また、第1図の(c)のような最終仕上げ加工の開始前においても、同様に加工液ノズル13aから圧力気体12を噴出して、被加工物2へのミスト7の付着による液体の除去を行うと共に被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した液体の除去を行う。
このように、残留加工液等の除去を行うための圧力気体噴出手段として、加工液ノズル13a及び13bに圧力気体12を供給する構成により、この圧力気体12の加工液ノズル13a及び13bからの噴出により、被加工物2に付着した残留加工液等の除去及び被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した残留加工液等の除去を効果的に行うことができる。例えば、加工液ノズル13aからの圧力気体12の噴出により、被加工物2に付着した残留加工液等の除去及び加工液ノズル13a内に付着した液体等の除去を行うことができ、加工液ノズル13bからの圧力気体12の噴出により、加工液ノズル13aの周囲他に付着した被加工物2の加工面に滴下する恐れのある残留加工液等を除去を行うことができる。
従って、被加工物2に付着した残留加工液等及び被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した残留加工液等の滴下による加工特性の劣化を効果的に抑制することができ、信頼性の高い加工を行うことができる。
また、残留加工液等の除去を行うための圧力気体噴出手段としては、第5図のような加工液ノズルから圧力気体を噴出する構成に限定されるものではなく、加工液ノズルとは別に圧力気体噴出手段を設けることもできる。
さらに、第1図の(c)のような気中放電加工において、ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に所定の成分の気体を噴出する気体供給手段を用いる場合には、この気体供給手段を残留加工液等の除去を行うための圧力気体噴出手段と併用することもできる。
第6図は、圧力気体噴出手段による被加工物に付着した残留加工液等の除去動作の説明図であり、圧力気体噴出手段として加工液ノズルを用いる場合を示している。第6図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、13aは圧力気体噴出手段として用いられる加工液ノズルである。加工液ノズル13aと被加工物2との相対移動は、例えば第4図におけるXテーブル16及びYテーブル17等からなる位置決め手段を用いることができる。
第6図の(a)に示すように荒加工である加工液中での加工後、第6図の(b)に示すように、加工液ノズル13aの直径に応じたステップ移動量を与えて、被加工物2の上面全体を加工液ノズル13aが走査するように、前記位置決め手段により加工液ノズル13aと被加工物2とを相対移動させ、加工液ノズル13aから圧力気体12を噴出することにより、被加工物2の上面に付着した残留加工液を除去することができる。次に、第6図の(c)に示すように、加工軌跡をなぞるように加工液ノズル13aを被加工物2と相対移動させ、加工液ノズル13aから圧力気体12を噴出することにより、加工面に付着した残留加工液等を除去することができる。また、このような加工液ノズル13aからの圧力気体12の噴出により、加工液ノズル13a内に付着した残留加工液等の除去も同時に行うことができる。
また、加工液ノズル13aの周囲他に付着した被加工物2の加工面に滴下する恐れのある残留加工液等の除去は、加工液ノズル13bからの圧力気体12の噴出により同様に行うことができる。
さらに、第4図におけるワイヤ自動結線装置20を動作させた場合に第3図のように被加工物2に付着した水の除去は、加工液ノズル13aからの圧力気体12の噴出により同様に行うことができる。
以上のような方法により、被加工物2の上面及び加工面に付着した残留加工液等及び被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した被加工物2の加工面に滴下する恐れのある残留加工液等の除去を行った後に、ミスト中放電加工又は気中放電加工を行うことにより、本来の加工特性を得ることができる。
以上の説明においては、被加工物2上面の残留加工液の除去を第6図の(b)のように圧力気体噴出手段である加工液ノズル13aを被加工物2の上面全体を走査させて行ったが、第7図に示すように被加工物2を加工した加工プログラムを使用してオフセット量を変えながら圧力気体噴出手段である加工液ノズル13aを被加工物2と相対移動させて行ってもよい。
このように加工プログラムを使用することにより、短時間で効率的に残留加工液等を除去することができる。従って、加工無駄時間を減らすことができ、加工生産性を向上することができる。
産業上の利用可能性
以上のように、この発明に係るワイヤ放電加工方法は、特に高精度放電加工作業に用いられるのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施の形態に係るワイヤ放電加工方法の一例を示す説明図である。
第2図は、加工液中での荒加工後加工液を排出した状態を示す説明図である。
第3図は、ワイヤ自動結線装置動作後の被加工物の写真である。
第4図は、この発明の実施の形態に係るワイヤ放電加工装置を示す構成図である。
第5図は、加工液ノズルの構成図である。
第6図は、圧力気体噴出手段による被加工物に付着した残留加工液等の除去動作の説明図である。
第7図は、圧力気体噴出手段による被加工物上面の残留加工液の除去動作を示す説明図である。
第8図は、放電加工のメカニズムの説明図である。
第9図は、ワイヤ放電加工の加工プロセスの例を示す説明図である。
第10図は、極間の電圧及び電流波形の一例を示す図である。
この発明は、ワイヤ電極と被加工物との極間に加工電力を供給し、放電エネルギにより前記被加工物を加工する、ワイヤ放電加工方法及び装置の改良に関するものである。
背景技術
放電加工は金型等の加工技術として確固たる地位を築いており、自動車産業、家電産業、半導体産業等の金型加工の分野において多用されてきた。
第8図は、放電加工のメカニズムの説明図であり、図において、1は電極、2は被加工物、3はアーク柱、4は加工液、5は放電加工により生成された加工屑である。以下の(a)乃至(e)のサイクル(第8図の(a)乃至(e)に対応)を繰返しながら被加工物2の放電による除去加工が進行する。すなわち、(a)放電の発生によるアーク柱3の形成、(b)放電の熱エネルギによる局部的溶融及び加工液4の気化、(c)加工液4の気化爆発力の発生、(d)溶融部(加工屑5)の飛散、(e)加工液による冷却、凝固、極間の絶縁回復、である。
この発明は、放電加工の中でも、くり貫き加工、切断加工等に使用されるワイヤ放電加工に関するものである。ワイヤ放電加工は、特に高精度化への要求が強まっており、例えば、半導体業界等で使用される高精度金型の加工では、1〜2μm程度の高い加工精度が要求されるようになってきている。
第9図は、ワイヤ放電加工の加工プロセスの例を示す説明図であり、図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは加工液である水、6はイニシャルホールであり、第9図の(a)は荒加工であるファーストカットを、第9図の(b)は荒加工後の中仕上げ加工であるセカンドカットを、第9図の(c)は最終仕上げ加工であるサードカットの様子を示している。
第9図の(a)のファーストカットの加工例は、イニシャルホール6にワイヤ電極1aを通し、被加工物2をくり貫く加工を示している。このようなファーストカットの場合、後の加工で面粗さ及び精度を仕上げるため、それほど厳しい面粗さ及び精度は要求されず、生産性向上のために特に加工速度を上げることが重要である。ワイヤ放電加工において、加工速度を上げるためには、極間からの加工屑の排出を効率的に行うため、水4aを極間に噴出することが行われる。また、極間への水4aのかかりのむらを無くし、ワイヤ電極1aの断線を防止するために、図示しない加工槽の中に水4aを溜めて被加工物2を浸漬する方法が用いられる。このように、極間に加工液を供給する加工液供給手段が用いられる。
以上のような従来のワイヤ放電加工方法では、ファーストカット(第9図の(a))後のセカンドカット(第9図の(b))及びサードカット(第9図の(c))等の加工も、加工液である水4a中で行われる。
第10図は、極間の電圧及び電流波形の一例を示したものであり、図において、Vは極間電圧、Iは極間電流、tは時間である。第10図のタイミングT1における状態は、ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に電圧がかかった状態である。極間に電圧が印加されるとプラス極性とマイナス極性は互いに引き合う力が働くため、この静電力により剛性の小さいワイヤ電極1aは被加工物2側に引っ張られることになる。これが、ワイヤ電極1aの振動の原因となり、このような振動により高精度加工が困難になるという問題点があった。
また、第10図のタイミングT2における状態は、放電エネルギにより加工液の気化爆発力が発生した状態(例えば、第8図の(c))であり、ワイヤ電極1aには、加工液の気化爆発力により被加工物2と反対方向に大きな力が作用し、振動が発生する。このような振動により、被加工物2の形状に凹凸が生じ、精度の悪化につながるという問題点があった。
ワイヤ放電加工の利用分野である半導体業界等において、例えば、ICリードフレームの金型等の加工においては、形状精度が1μm、面粗さが1μmRmax以下というような被加工物に対して極めて高精度かつ非常に滑らかな面粗さが求められる用途が増加しており、特にこのような用途では、前記のようなワイヤ電極の振動等に起因する問題点が顕著であった。
発明の開示
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、高精度加工に適した信頼性の高いワイヤ放電加工方法及び装置を得ることを目的とする。
この発明に係るワイヤ放電加工方法は、ワイヤ電極と被加工物との極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工方法において、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工の3つの加工の中の少なくとも2つの加工を組み合わせて加工を行い、加工液中での加工以外の加工開始前及び前記ワイヤ電極を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置の動作後の少なくともどちらかの時点で、前記被加工物に付着した加工液等の液体及び前記被加工物の加工面に滴下する恐れのある加工液等の液体の少なくともどちらかを除去するものである。
この発明に係るワイヤ放電加工装置は、ワイヤ電極と被加工物との極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、前記極間に加工液を供給する加工液供給手段及び前記極間にミストを供給するミスト供給手段の少なくともどちらかと、加工液中での加工以外の加工開始前及び前記ワイヤ電極を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置の動作後の少なくともどちらかの時点で、前記被加工物に付着した加工液等の液体及び前記被加工物の加工面に滴下する恐れのある加工液等の液体の少なくともどちらかの除去を行う圧力気体噴出手段と、前記被加工物と前記圧力気体噴出手段との相対移動を行う位置決め手段とを備えたものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、ワイヤ電極と被加工物との極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、前記極間に加工液を供給する加工液供給手段、前記極間にミストを供給するミスト供給手段及び前記極間に気体を供給する気体供給手段の中の少なくとも2つの供給手段と、加工液中での加工以外の加工開始前及び前記ワイヤ電極を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置の動作後の少なくともどちらかの時点で、前記被加工物に付着した加工液等の液体及び前記被加工物の加工面に滴下する恐れのある加工液等の液体の少なくともどちらかの除去を行う圧力気体噴出手段と、前記被加工物と前記圧力気体噴出手段との相対移動を行う位置決め手段とを備えたものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記圧力気体噴出手段が、供給流体を前記加工液と前記圧力気体とに切り替え可能に構成された加工液ノズルであるものである。
また、この発明に係るワイヤ放電加工装置は、前記位置決め手段による前記被加工物と前記圧力気体噴出手段との相対移動を前記被加工物加工用の加工プログラムにより行うものである。
この発明に係るワイヤ放電加工方法及び装置は以上のように構成されており、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工を組み合わせると共に各々の加工の本来の特性を活かすことができるため、高精度加工に適した信頼性の高いワイヤ放電加工方法及び装置を得ることができるという効果を奏する。
発明を実施するための最良の形態
第1図は、この発明の実施の形態に係るワイヤ放電加工方法の一例を示す説明図であり、図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは加工液である水、6はイニシャルホール、7は水等のミスト、8は空気等の気体であり、第1図の(a)は荒加工であるファーストカットを、第1図の(b)は荒加工後の中仕上げ加工であるセカンドカットを、第1図の(c)は最終仕上げ加工であるサードカットを示している。ファーストカット、セカンドカット及びサードカットは便宜上のものであり、必ずしもワイヤ放電加工が3回の加工で終了するものではない。被加工物への要求精度が低い加工では、ファーストカットのみ、あるいは、ファーストカットとセカンドカットのみで終了する場合もあり、被加工物への要求精度が高い加工では、7回、8回と加工を行う場合もある。
次に、加工方法の概略について説明する。第1図の(a)のファーストカットは、イニシャルホール6にワイヤ電極1aを通し、被加工物2をくり貫く加工である。ファーストカットでは、後の加工で面粗さ及び精度を仕上げるため、それほど厳しい面粗さ及び精度は要求されず、生産性向上のために特に加工速度を上げることが重要であり、背景技術の第9図と同様に極間に加工液を供給する加工液供給手段により、加工液である水4aを極間に介在させて加工を行う。この加工液供給手段としては、加工槽の中に水4aを溜めて被加工物2を浸漬する手段及び極間に水4aを噴出する手段の中の少なくともどちらかが用いられる。
通常のワイヤ放電加工では、ファーストカット後も、加工液供給手段により極間に加工液を供給して加工が進められるが、背景技術に示したようにワイヤ電極の振動等の問題があるため、高精度加工には適さない。この発明は、仕上げ加工において、極間に加工液を介在させずに加工を行い、被加工物の精度及び面粗さを改善するものである。
第1図の(b)の中仕上げ加工であるセカンドカットでは、ワイヤ電極1aの振動を抑えて加工形状精度を改善するために、加工液4a中での加工ではなく、ミスト7中での加工を行うものである。ミスト7中での加工速度は加工液4a中での加工と比べてそれほど遜色はなく、静電力によるワイヤ電極1aの振動が抑制されるため加工精度が向上する。ミスト7中での加工は、例えば図示しないミスト供給手段によりワイヤ電極1aと被加工物2の極間にミストを噴出することにより行うことができる。
また、第1図の(c)の最終仕上げ加工であるサードカットの場合には、気体8中での放電を使用することにより、さらにワイヤ電極1aの振動を抑制することができる。気体8中での加工は、大気中又は図示しない気体供給手段によりワイヤ電極1aと被加工物2の極間に所定の成分の気体を噴出することにより行うことができる。
以上のようなミスト7中及び気体8中の放電加工により高い精度が得られる理由は、以下の通りである。極間に電圧が印加されたときにワイヤ電極1aと被加工物2に作用する静電力は極間の誘電率に比例するため、同じ極間距離として計算すると、極間の介在物が水4aである場合に比べて、極間の介在物がミスト7又は気体8である場合は、前記静電力が数十分の一となる(例えば、誘電率は真空中が最も小さく、水中では真空中の約80倍である)。また、放電による気化爆発力は極間に介在する液体により生ずるため、極間にミスト7又は気体8しか存在しない場合には、ワイヤ電極1aは気化爆発力の影響をほとんど受けない。
従って、ミスト7中又は気体8中の放電により高精度なワイヤ放電加工を行うことができ、生産性及び被加工物に対する要求精度等に応じて、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工を組み合わせて行うことにより要求仕様に適切に対応することができる。
このように、加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工を組み合わせてワイヤ放電加工を行う場合においては、加工液中からミスト中への切り替え、加工液中から気中への切り替え及びミスト中から気中への切り替えが行われることになる。
第2図は、加工液中での荒加工後加工液を排出した状態を示す説明図であり、この後気中放電加工を行う場合について説明する。第2図において、2は被加工物、4bは残留加工液、9は定盤、10は加工槽であり、残留加工液4bは被加工物2の上面及び加工面等に付着している。このように被加工物2に残留加工液4bが付着した状態のまま気中放電加工を行っても、気中放電の本来の加工特性を得ることができないため、被加工物2に付着した残留加工液4bの除去を適切に行う必要がある。特に気中放電においては、被加工物2に残留加工液4bがわずかに付着した場合でも本来の気中放電の加工特性は得られないため、被加工物2に付着した残留加工液4bの除去の必要性が高い。
また、第2図においては、被加工物2に残留加工液4bが付着している場合について説明したが、被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した残留加工液4bが気中放電加工中に被加工物2の加工面に滴下する場合もあり、被加工物2だけではなく加工液ノズル等に付着した残留加工液4bの除去も行う必要がある。
また、加工液中からミスト中への加工工程の切り替え又はミスト中から気中への加工工程の切り替えを行う場合においても、被加工物2に付着した加工液等の除去を行う必要がある。
ワイヤ放電加工の自動化を図るために必要なワイヤ自動結線装置が一般的に用いられている。このワイヤ自動結線装置は、結線動作時に水を噴出して剛性の低いワイヤ電極1aを水柱にて保持して自動結線を行うものであり、イニシャルホールから加工を開始する場合及び加工中にワイヤ電極1aの断線が発生した場合に用いられるものである。
第3図は、ワイヤ自動結線装置動作後の被加工物の写真であるが、自動結線時に噴出した水が被加工物上面に飛散した状態で残留することがわかる。従って、このようなワイヤ自動結線装置動作により被加工物に付着した水の除去も必要となる。
第4図は、この発明の実施の形態に係るワイヤ放電加工装置を示す構成図であり、図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、4aは加工液である水、9は被加工物2を固定する定盤、11はワイヤボビン、12は圧力気体、13a及び13bは加工液ノズル、14はキャプスタンローラ、15はピンチローラ、16は被加工物2の水平方向(X方向)の駆動を行うためのXテーブル、17は被加工物2の水平方向(Y方向)の駆動を行うためのYテーブル、18はXテーブル16を駆動する図示しない駆動モータを制御するX軸サーボアンプ、19はYテーブル17を駆動する図示しない駆動モータを制御するY軸サーボアンプ、20はワイヤ自動結線装置、21は制御手段である。キャプスタンローラ14及びピンチローラ15によりワイヤ電極1aを挟持して牽引し、ワイヤ電極1aを走行させながら、被加工物2とワイヤ電極1aとの間に図示しない加工用電源装置から加工電力を供給し、位置決め手段であるXテーブル及びYテーブル等によりワイヤ電極1aと被加工物2とを相対移動させながら被加工物2の加工を行う。
また、第5図は、加工液ノズルの構成図であり、加工液ノズル13aを例にとって説明する。加工液ノズル13bの構成及び動作は、加工液ノズル13aと同様である。第5図において、22は切り替え手段であり、第4図と同一符号は同一又は相当部分を示している。切り替え手段22は、例えば電磁弁等からなる。この切り替え手段22を制御手段21(第4図)により切り替えることにより、加工液ノズル13aへの水4a又は圧力気体12の供給を切り替える。
第1図の(a)のような荒加工においては、加工液ノズル13aに水4aが供給されるように制御手段21により切り替え手段22を切り替え、加工液ノズル13aからワイヤ電極1aと被加工物2の極間に水4aを供給しながら加工を行う。
また、第1図の(b)のような中仕上げ加工の開始前においては、第1図の(a)の荒加工後、加工液を加工槽から排出し、加工液ノズル13aに圧力気体12が供給されるように制御手段21により切り替え手段22を切り替え、加工液ノズル13aから圧力気体12を噴出して、被加工物2に付着した残留加工液の除去を行うと共に被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した残留加工液の除去を行う。
また、第1図の(c)のような最終仕上げ加工の開始前においても、同様に加工液ノズル13aから圧力気体12を噴出して、被加工物2へのミスト7の付着による液体の除去を行うと共に被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した液体の除去を行う。
このように、残留加工液等の除去を行うための圧力気体噴出手段として、加工液ノズル13a及び13bに圧力気体12を供給する構成により、この圧力気体12の加工液ノズル13a及び13bからの噴出により、被加工物2に付着した残留加工液等の除去及び被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した残留加工液等の除去を効果的に行うことができる。例えば、加工液ノズル13aからの圧力気体12の噴出により、被加工物2に付着した残留加工液等の除去及び加工液ノズル13a内に付着した液体等の除去を行うことができ、加工液ノズル13bからの圧力気体12の噴出により、加工液ノズル13aの周囲他に付着した被加工物2の加工面に滴下する恐れのある残留加工液等を除去を行うことができる。
従って、被加工物2に付着した残留加工液等及び被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した残留加工液等の滴下による加工特性の劣化を効果的に抑制することができ、信頼性の高い加工を行うことができる。
また、残留加工液等の除去を行うための圧力気体噴出手段としては、第5図のような加工液ノズルから圧力気体を噴出する構成に限定されるものではなく、加工液ノズルとは別に圧力気体噴出手段を設けることもできる。
さらに、第1図の(c)のような気中放電加工において、ワイヤ電極1aと被加工物2の極間に所定の成分の気体を噴出する気体供給手段を用いる場合には、この気体供給手段を残留加工液等の除去を行うための圧力気体噴出手段と併用することもできる。
第6図は、圧力気体噴出手段による被加工物に付着した残留加工液等の除去動作の説明図であり、圧力気体噴出手段として加工液ノズルを用いる場合を示している。第6図において、1aはワイヤ電極、2は被加工物、13aは圧力気体噴出手段として用いられる加工液ノズルである。加工液ノズル13aと被加工物2との相対移動は、例えば第4図におけるXテーブル16及びYテーブル17等からなる位置決め手段を用いることができる。
第6図の(a)に示すように荒加工である加工液中での加工後、第6図の(b)に示すように、加工液ノズル13aの直径に応じたステップ移動量を与えて、被加工物2の上面全体を加工液ノズル13aが走査するように、前記位置決め手段により加工液ノズル13aと被加工物2とを相対移動させ、加工液ノズル13aから圧力気体12を噴出することにより、被加工物2の上面に付着した残留加工液を除去することができる。次に、第6図の(c)に示すように、加工軌跡をなぞるように加工液ノズル13aを被加工物2と相対移動させ、加工液ノズル13aから圧力気体12を噴出することにより、加工面に付着した残留加工液等を除去することができる。また、このような加工液ノズル13aからの圧力気体12の噴出により、加工液ノズル13a内に付着した残留加工液等の除去も同時に行うことができる。
また、加工液ノズル13aの周囲他に付着した被加工物2の加工面に滴下する恐れのある残留加工液等の除去は、加工液ノズル13bからの圧力気体12の噴出により同様に行うことができる。
さらに、第4図におけるワイヤ自動結線装置20を動作させた場合に第3図のように被加工物2に付着した水の除去は、加工液ノズル13aからの圧力気体12の噴出により同様に行うことができる。
以上のような方法により、被加工物2の上面及び加工面に付着した残留加工液等及び被加工物2上部に配置された加工液ノズル等に付着した被加工物2の加工面に滴下する恐れのある残留加工液等の除去を行った後に、ミスト中放電加工又は気中放電加工を行うことにより、本来の加工特性を得ることができる。
以上の説明においては、被加工物2上面の残留加工液の除去を第6図の(b)のように圧力気体噴出手段である加工液ノズル13aを被加工物2の上面全体を走査させて行ったが、第7図に示すように被加工物2を加工した加工プログラムを使用してオフセット量を変えながら圧力気体噴出手段である加工液ノズル13aを被加工物2と相対移動させて行ってもよい。
このように加工プログラムを使用することにより、短時間で効率的に残留加工液等を除去することができる。従って、加工無駄時間を減らすことができ、加工生産性を向上することができる。
産業上の利用可能性
以上のように、この発明に係るワイヤ放電加工方法は、特に高精度放電加工作業に用いられるのに適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施の形態に係るワイヤ放電加工方法の一例を示す説明図である。
第2図は、加工液中での荒加工後加工液を排出した状態を示す説明図である。
第3図は、ワイヤ自動結線装置動作後の被加工物の写真である。
第4図は、この発明の実施の形態に係るワイヤ放電加工装置を示す構成図である。
第5図は、加工液ノズルの構成図である。
第6図は、圧力気体噴出手段による被加工物に付着した残留加工液等の除去動作の説明図である。
第7図は、圧力気体噴出手段による被加工物上面の残留加工液の除去動作を示す説明図である。
第8図は、放電加工のメカニズムの説明図である。
第9図は、ワイヤ放電加工の加工プロセスの例を示す説明図である。
第10図は、極間の電圧及び電流波形の一例を示す図である。
Claims (5)
- ワイヤ電極と被加工物との極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工方法において、
加工液中での加工、ミスト中での加工及び気中での加工の3つの加工の中の少なくとも2つの加工を組み合わせて加工を行い、加工液中での加工以外の加工開始前及び前記ワイヤ電極を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置の動作後の少なくともどちらかの時点で、前記被加工物に付着した加工液等の液体及び前記被加工物の加工面に滴下する恐れのある加工液等の液体の少なくともどちらかを除去することを特徴とするワイヤ放電加工方法。 - ワイヤ電極と被加工物との極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、
前記極間に加工液を供給する加工液供給手段及び前記極間にミストを供給するミスト供給手段の少なくともどちらかと、
加工液中での加工以外の加工開始前及び前記ワイヤ電極を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置の動作後の少なくともどちらかの時点で、前記被加工物に付着した加工液等の液体及び前記被加工物の加工面に滴下する恐れのある加工液等の液体の少なくともどちらかの除去を行う圧力気体噴出手段と、
前記被加工物と前記圧力気体噴出手段との相対移動を行う位置決め手段とを備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。 - ワイヤ電極と被加工物との極間に放電を発生させて前記被加工物を加工するワイヤ放電加工装置において、
前記極間に加工液を供給する加工液供給手段、前記極間にミストを供給するミスト供給手段及び前記極間に気体を供給する気体供給手段の中の少なくとも2つの供給手段と、
加工液中での加工以外の加工開始前及び前記ワイヤ電極を水柱にて保持して自動結線を行うワイヤ自動結線装置の動作後の少なくともどちらかの時点で、前記被加工物に付着した加工液等の液体及び前記被加工物の加工面に滴下する恐れのある加工液等の液体の少なくともどちらかの除去を行う圧力気体噴出手段と、
前記被加工物と前記圧力気体噴出手段との相対移動を行う位置決め手段とを備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。 - 請求の範囲2又は3において、前記圧力気体噴出手段が、供給流体を前記加工液と前記圧力気体とに切り替え可能に構成された加工液ノズルであることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
- 請求の範囲2又は3において、前記位置決め手段による前記被加工物と前記圧力気体噴出手段との相対移動を前記被加工物加工用の加工プログラムにより行うことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
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