JPWO2002056282A1 - カラー表示装置用電極板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、(1)基板上にカラーフィルタを形成し、次いで略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により前記カラーフィルタが少なくとも部分的に炭化された層を形成し、該部分的に炭化されたカラーフィルタ層の上に透明導電膜(無機導電膜)を形成するカラー表示装置用電極板の製造方法、または(2)基板上にカラーフィルタと有機保護膜を順次形成し、次いで略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により前記有機保護膜上に少なくとも部分的に炭化された層を形成し、該部分的に炭化された有機保護膜上に透明導電膜(無機導電膜)を形成するカラー表示装置用電極板の製造方法、及びこれらの製法で得られた電極板、及び該電極板を用いるカラー表示装置である。本発明により、より簡便な方法でカラーフィルタもしくは有機保護膜の物理的・化学的な損傷を防ぎ、導電膜との密着性を向上させるカラー表示装置用電極板とその製造方法、該表示板を用いるカラー表示装置を提供することが可能になる。
Description
技術分野
本発明は、耐薬品性・密着性に優れたカラー表示装置用電極板およびその製造方法及び前記カラー表示装置用電極板を用いるカラー表示装置に関する。
背景技術
カラー表示装置に用いられる電極板は、一般的にガラス基板上に有機樹脂を材料としたカラーフィルタを形成し、その上から同じく有機樹脂を材料とした有機保護膜を塗布した後、導電性を持つ無機透明電極を形成することによって製造されている。その透明電極の配線は、一般的には一旦一様な透明導電膜を形成した後、ウェットエッチングによって所望の配線の形状を得ている。
上記ウェットエッチングによる配線加工を行う場合、様々な薬品を用いるために、透明導電膜の下地であるカラーフィルタあるいは透明な有機保護膜が薬品によって侵され、侵食を受けるという問題が発生する。また有機樹脂膜上に無機導電膜を形成するために、所定の加工に耐えうるだけの密着性を持たせることが非常に難しい。
そのため、従来ではカラーフィルタあるいは有機保護膜と無機導電膜との間に、他の薄膜(二酸化珪素薄膜が一般的に用いられている)を形成することによって、耐薬品性・密着性を向上させていた。しかし、二酸化珪素薄膜はRFスパッタリング法によって形成されるが、この方法は成膜速度が遅いことが工業上不利な点となっている。また、二酸化珪素薄膜の成膜前のRF−プラズマによりカラーフィルタあるいは有機保護膜が物理的・化学的に損傷を受けることから、後工程(カラーフィルタと有機保護膜をガラス基板上に形成した後に無機導電性膜を形成する工程)で電極板を生産する場合の不安定さの主原因になっている。
さらに、上述の問題を解決するために、本発明者らは、先に酸素イオンあるいはアルゴンイオンを含むガスイオンをカラーフィルタもしくは有機保護膜に衝突させてカラーフィルタもしくは有機保護膜と透明導電膜の間にカラーフィルタもしくは有機保護膜が少なくとも部分的に炭化された層を形成することによって、カラーフィルタもしくは有機保護膜の物理的・化学的な損傷を防ぎ、無機導電膜との密着性を向上させる電極板などの発明をした(特開平10−10518号公報)。また、前記公報に記載された発明には、本発明者らは酸素イオンあるいはアルゴンイオンを含むガスイオンをカラーフィルタもしくは有機保護膜に衝突させる方法として、イオンガンを用いた真空雰囲気中でイオン照射をする実施例を開示している。
前記本発明者らによる特開平10−10518号公報記載の発明により、少なくとも部分的に炭化された層がカラーフィルタもしくは有機保護膜上に形成されることにより、従来必要とされていた二酸化珪素薄膜などの透明無機薄膜をさらにこれらの膜上に形成させることなく、カラーフィルタもしくは有機保護膜の耐薬品性・密着性を飛躍的に向上させることができ、所望のパターンの透明電極膜(無機導電膜)の加工が容易にできるようになった。
しかしながら、前記本発明者らによる前記方法は、真空雰囲気中で処理する工程が含まれているために大量に真空下で電極板材料を処理することが困難であり、生産性の低下が問題となる。また、前記方法は真空下での処理が含まれるため、電極板製造にかかる装置が高価なものとなる。そのため得られる製品の製造コストを上昇させる要因となるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、より簡便な方法でカラーフィルタもしくは有機保護膜の物理的・化学的な損傷を防ぎ、導電膜との密着性を向上させるカラー表示装置用電極板の製造方法を得ることである。また、本発明の課題は、前記カラー表示装置用電極板の製造方法において、ウェットエッチングによる透明導電膜形成時に、より簡便な方法でカラーフィルタもしくは有機保護膜を保護することである。さらにまた、本発明の課題は、カラーフィルタもしくは有機保護膜と無機導電薄膜との間に従来一般的に用いられている二酸化珪素薄膜などの透明無機薄膜を用いないカラー表示用電極板およびそれを用いるカラー表示装置を得ることである。
発明の開示
本発明の上記課題は次の(1)と(2)からなる製造方法とそれらの製造方法によって得られるカラー表示装置用電極板及び前記各カラー表示装置用電極板を用いるカラー表示装置により解決される。
(1)基板上にカラーフィルタと透明導電膜を順次形成してカラー表示装置用電極板を製造するカラー表示装置用電極板の製造方法において、基板上にカラーフィルタを形成し、次いで略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により前記カラーフィルタが少なくとも部分的に炭化された層を形成し、該部分的に炭化されたカラーフィルタ層の上に透明導電膜を形成したカラー表示装置用電極板の製造方法。
(2)基板上にカラーフィルタ、カラーフィルタを保護用の有機保護膜及び透明導電膜を順次形成してカラー表示装置用電極板を製造するカラー表示装置用電極板の製造方法において、基板上にカラーフィルタと有機保護膜を順次形成し、次いで略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により前記有機保護膜上に少なくとも部分的に炭化された層を形成し、該部分的に炭化された有機保護膜上に透明導電膜(無機導電膜)を形成したカラー表示装置用電極板の製造方法。
前記(1)の発明によれば、略大気圧の乾燥雰囲気下で放電を用いた処理を行うことにより、高価な真空処理設備を必要とすることなくカラーフィルタ上に部分的に炭化されたカラーフィルタ層を形成することができ、その結果、カラーフィルタの物理的・化学的な損傷を防ぎ、その上に形成される透明導電膜(無機導電膜)との密着性を向上させることができる。
前記(2)の発明においても、略大気圧の乾燥雰囲気下で放電を用いた処理を行うことにより、高価な真空処理設備を必要とすることなく有機保護膜上に部分的に炭化された有機保護膜層を形成することができ、その結果、有機保護膜の物理的・化学的な損傷を防ぎ、その上に形成される透明導電膜(無機導電膜)との密着性を向上させることができる。
通常の大気圧雰囲気下でカラーフィルタもしくは有機保護膜に放電を用いた炭化処理を行った場合は、カラーフィルタもしくは有機保護膜への化学的損傷を招き、結果として耐アルカリ性に劣るカラー表示装置用電極板となる。しかし、本発明者らは、予め大気圧雰囲気を乾燥させ、その雰囲気中でコロナ放電を用いた処理もしくは常圧プラズマ処理することにより、カラーフィルタもしくは有機保護膜の物理的・化学的な損傷を防ぎ、かつこれらの膜上に形成される透明導電膜との密着性を向上させることができることを見いだし、本発明を完成させた。
本発明者らの見いだした上記現象についての技術的な理由については、現在のところ明瞭に説明することは困難であるが、通常の大気雰囲気に含まれる水分子が、コロナ放電もしくは常圧プラズマにより電離し、カラーフィルタもしくは有機保護膜に対して何らかの物理的もしくは化学的な悪影響を与えているものと推測される。
ここで、略大気圧とは、大気圧および前記放電を開始・継続させやすくするために放電を用いた処理装置の構造上無理のない範囲で減圧した圧力をいう。
略大気圧の乾燥雰囲気を得るには様々な方法が考えられるが、前記装置の放電を用いた処理部の必要部分を覆うような処理槽を設け、その中を吸湿剤を通した乾燥空気もしくはプロセスに用いる乾燥ガスでパージする方法が最も容易である。
また、上記放電を用いた処理としては、放電用の装置の簡便性・汎用性や連続処理が可能であることなどからコロナ放電を用いた処理または常圧プラズマ処理が好適に用いられる。
コロナ放電処理を行う場合には、高周波電源装置、放電電極および誘電体からなる一般的な放電処理装置を用いることができる。コロナ放電の処理条件は、その放電処理装置の構造によって最適な条件が変化する。その出力としては0.1kW以上1.5kW以下、より好ましくは0.2kW以上1.2kW以下が好ましい。極端に過大な放電を用いた処理を行うと、カラーフィルタならびに有機保護膜にダメージを与えることになり、かえって物理的・化学的な耐久性が劣化することがある。
放電用の電極と処理するカラーフィルタ付き基板またはカラーフィルタの上に有機保護膜を被覆した基板との距離は、放電処理用の装置の構造によって最適な条件が変化するが、5mm未満となると、カラーフィルタもしくは有機保護膜にダメージが入り、かえって得られた炭化層を含む膜の物理的・化学的な耐久性が劣化する。放電を用いた処理時間は、カラーフィルタまたは有機保護膜の表面の少なくとも一部を炭化することができる程度の時間であれば特に限定されないが、放電を用いた処理時間が1分を超えると、炭化が進み過ぎる場合がある。
常圧プラズマ処理を行う場合には、電源装置、放電電極、ガス導入管、チャンバー等からなる一般的な放電処理装置を用いることができる。この放電処理装置には、一対の対向する面を設け、前記一対の面の少なくとも一方の面に固体誘電体を配設し、また、前記一対の対向する面の表面近傍に一対の金属電極を配設して、この電極間をカラーフィルタもしくは有機保護膜が通過できる空間を設ける。そして、前記電極間をカラーフィルタもしくは有機保護膜が通過している間に電極間に電圧を印加し、プラズマを発生させる。
前記電極間に印加される電界は、交流波形の他、パルス化された電界などを用いてもよい。常圧プラズマ処理の場合における放電処理条件は、その放電処理装置の構造によって最適な条件が変化するが、極端に過大な放電を用いた処理を行うと、カラーフィルタまたは有機保護膜にダメージを与えることになり、かえって物理的・化学的な耐久性が劣化する可能性がある。
常圧プラズマ処理に用いられる処理ガスは特に限定されないが、例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素、空気、酸素などが例示される。アルゴン、ヘリウムなどの希ガスが、カラーフィルタおよび有機保護膜に対して化学的な作用を及ぼすことが少なく安定に処理できるので、より好ましい。これらは、単独で用いても2種以上のガスを混合して用いてもよい。
加速電圧は、5kV以上20kV以下、より好ましくは8kV以上15kV以下である。極端に過大な放電を用いた処理を行うと、カラーフィルタならびに有機保護膜にダメージを与えることになり、かえって物理的・化学的な耐久性が劣化する可能性がある。処理時間は、前記処理対象膜の表面を炭化する程度の時間であれば特に限定されないが、放電を用いた処理時間が1分を超えると炭化が進み過ぎる場合がある。
上記(1)及び(2)の本発明では、透明導電膜と部分的に炭化された層との密着性を向上させる目的で、該透明導電膜と該部分的に炭化された層の間に、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物の少なくともいずれかの化合物からなる密着層を配することが望ましい。
本発明のカラー表示装置用電極板の透明導電膜と部分的に炭化された層の間に、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかの化合物からなる密着層を配することにより、透明導電膜と部分的に炭化された層との密着性が向上するので、前記密着層を配さない場合と比較して、ウェットエッチングによる電極配線パターンを形成したときの前記配線パターン端部の形状精度がより確実に向上する。すなわち、上記放電を用いた処理の最適な処理条件のマージンが広がることを意味する。
金属の酸化物、窒化物、酸窒化物の少なくともいずれかの化合物からなる密着層として、二酸化珪素、酸化タンタル、酸化アルミニウム、窒化珪素、酸窒化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど透明金属酸化膜、透明金属窒化膜、透明金属酸窒化膜が例示される。密着層の成膜方法としては、真空蒸着法や直流マグネトロンスパッタリング法、高周波マグネトロンスパッタリング法などが用いられる。成膜時に与える部分的に炭化された層への影響や基板の大面積化に対する適用のしやすさなどを考慮すると、直流マグネトロンスパッタリング法を用いた二酸化珪素、酸化タンタル、窒化珪素、酸窒化珪素の密着層の成膜方法が好ましい。カソードに印加する電圧は、連続的に印加しても、パルス的に印加しても良く、選択した密着層の成分に応じて前記電荷印加法のいずれかを適宜選択する。
また、上記(1)及び(2)の本発明では、炭化されている層におけるX線光電子分光法によるカルボキシル基に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)を炭化されていないカラーフィルタ又は有機保護膜のそれよりも大きくしても良い。
本発明のカラー表示装置用電極板において、炭化されている層の前記比率(IC−C/ICOO)が炭化されていないカラーフィルタ又は有機保護膜のそれよりも大きいことが、炭化層が形成されたことを意味する。
本発明でいう部分的な炭化層は、必ずしも一様に炭化されている層である必要は無く、要求される水準以上の耐薬品性を持てば、炭化層は不均一な厚さであってもよい。しかし、炭化層が極端に厚い場合、炭化層による可視光の吸収が発生して透過率が減少するために好ましくない。また、極端に炭化が進んだ場合、該炭化層とその上に形成される薄膜層との密着性が乏しくなるため好ましくない。
本発明が対象とするカラーフィルタは、成膜方法や着色方法によらず所定の波長の光を透過させる樹脂であれば、いかなる樹脂でもかまわない。また、本発明が対象とする有機保護膜は、一般的にはアクリル系、ポリイミド系、エポキシ系の樹脂、またはこれらの混合物が用いられるが、目的となる保護性能が満足されるものであればいかなる樹脂でもかまわない。
本発明において用いることができる透明導電膜としては、インジウム、スズ、亜鉛のうち少なくとも2種以上を含む複合酸化物、スズやアルミニウムをドープした酸化亜鉛、または電気抵抗の低い金、銀、銅、白金のうち少なくとも1種以上を含む金属膜を酸化インジウムなどの透明金属酸化膜で挟んだものなどが用いられるが、目的となる透明性を有する導電膜であれば、いかなる材料でも使用でき、材料は特に限定されない。
本発明のカラー表示装置用電極板は図1〜図4に示す断面を有する。また、本発明のカラー表示装置用電極板においては、カラーフィルタ若しくは有機保護膜と透明電極との間の少なくとも部分的に炭化された層又はカラーフィルタ若しくは有機保護膜と密着層との間の少なくとも部分的に炭化された層が、その下部の基体を物理的・化学的損傷から保護するように働く。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
ガラス基板上にゼラチンからなるカラーフィルタを常法により形成し、カラーフィルタ付きガラス基板を作製した。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.22であった。
このガラス基板に対し、0.5kWの電界中で30秒コロナ放電処理を施した。その際、コロナ放電処理を行う前に、処理部を囲い内部を乾燥空気によってパージして、内部の水分を除去した。電極と基板との間の距離は10mmとした。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は17.91であり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製した前記カラーフィルタ付きガラス基板に対し、同様に0.5kWの電界中で30秒コロナ放電処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法により90重量%酸化インジウム−10重量%酸化スズの複合酸化物(以下、ITOという)を300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、20分以上浸漬させてもITOの剥離は認められなかった。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。この性能は後で示す比較例1、3より著しく向上したものであった。
実施例2〜5
コロナ放電の処理条件を表1に記載の条件にした以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ付きガラス基板を得た。
これらカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表1に示す通りであり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製した前記カラーフィルタ付きガラス基板に対し、コロナ放電の処理条件を表1に記載の条件にしてコロナ放電処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例1、3と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、ほぼ所望の形状を有する電極を得ることができた。
但し、炭化処理の最も照射条件が過酷な実施例5の場合、比較例1、3と比較して明らかにカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性が比較例1、3より遙かに改善されている。しかし、実施例5は、炭化処理の照射条件が最も穏やかな実施例2に比べてカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性の低下が原因と考えられるパターン端部での極めてわずかな剥離が目視により確認された。
実施例6
ガラス基板上にゼラチンからなるカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ付きガラス基板を作製した。その上からアクリル系の有機樹脂であるポリグリシジルメタクリレートに硬化剤として無水トリメシン酸を添加し、200℃で1時間焼成した。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.93であった。
このガラス基板に対し、0.5kWの電界中で30秒コロナ放電処理を施した。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は24.40であり、有機保護膜の表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製した前記カラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板に対し、同様に0.5kWの電界中で30秒コロナ放電処理を施した。その際、コロナ放電を行う前に、処理部を囲い内部を乾燥空気によってパージして、内部の水分を除去した。電極と基板との間の距離は10mmとした。その後、直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、20分以上浸漬させてもITOの剥離は認められなかった。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、ほぼ所望の形状を有する電極を得ることができた。この性能は後述の比較例2、4に比べて著しく向上したものであった。
実施例7〜10
コロナ放電の処理条件を表1に記載の条件にした以外は実施例6と同様にしてカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を得た。
これら有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表1の通りであり、有機保護膜の表面が炭化されたことを確認した。但し、最も照射条件が過酷な実施例10の場合、明らかな着色が有機保護膜の表面に認められた。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製した前記カラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板に対し、コロナ放電の処理条件を表1に記載の条件にして同様にコロナ放電処理を施した。その後、直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例2、4と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、ほぼ所望の形状を有する電極を得ることができた。但し、炭化処理の最も照射条件が過酷な実施例10の場合、比較例2、4と比較して明らかに有機保護膜の部分的炭化が進んでいるためにITOとの密着性が比較例2、4より遙かに改善されている。しかし、実施例10は炭化処理の照射条件が最も穏やかな実施例7に比べてカラーフィルタの有機保護膜の部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性の低下が原因と考えられるパターン端部での極めてわずかな剥離が目視により確認された。
実施例11
ガラス基板上に常法によりゼラチンからなるカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ付きガラス基板を作製した。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.22であった。
このガラス基板に対し、処理ガスとしてアルゴンを用い、大気圧下で印加電圧11kV、周波数6kHzのパルス電界を印加、固体誘電体としてアルミナを用いて20秒間プラズマ処理を施した。その際、プラズマ処理を行う前に処理部を囲い、内部を乾燥空気によってパージして、内部の水分を除去した。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は19.12であり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板に対し、同様に処理ガスとしてアルゴンを用い、大気圧下で印加電圧11kV、周波数6kHzのパルス電界を印加、固体誘電体としてアルミナを用いて20秒間プラズマ処理を施した。その後、直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、20分以上浸漬させてもITOの剥離は認められなかった。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。これらの性能は後で示す比較例1、5に比べて著しく向上したものであった。
実施例12〜15
プラズマ処理の処理条件を表2に記載の条件にした以外は実施例11と同様にしてカラーフィルタ付きガラス基板を得た。
これらカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表2の通りであり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板に対し、プラズマ処理の処理条件を表2に記載の条件にして同様にプラズマ処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例1、5と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。但し、最も照射条件が過酷な実施例15の場合、比較例1、5と比較して明らかにカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性が比較例1、5より遙かに改善されている。しかし、実施例15は炭化処理の照射条件が最も穏やかな実施例12に比べてカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性の低下が原因と考えられるパターン端部での極めてわずかな剥離が目視により確認された。
実施例16
ガラス基板上にゼラチンからなるカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ付きガラス基板を作製した。その上からアクリル系の有機樹脂であるポリグリシジルメタクリレートに硬化剤として無水トリメシン酸を添加して塗布し、200℃で1時間焼成した。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.93であった。
このガラス基板に対し、処理ガスとしてアルゴンを用い、大気圧下で印加電圧11kV、周波数6kHzのパルス電界を印加、固体誘電体としてアルミナを用いて20秒間プラズマ処理を施した。その際、プラズマ処理を行う前に、処理部を囲い内部を乾燥空気によってパージして、内部の水分を除去した。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は24.30であり、有機保護膜の表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板に対し、同様に大気圧下で印加電圧11kV、周波数6kHzのパルス電界を印加、固体誘電体としてアルミナを用いて20秒間プラズマ処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚みで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、20分以上浸漬させてもITOの剥離は認められなかった。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。これらの性能は後で示す比較例2、6に比べて著しく向上したものであった。
実施例17〜20
プラズマ処理の処理条件を表2に記載の条件にした以外は実施例16と同様にしてカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を得た。
この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表2の通りであり、有機保護膜の表面が炭化されたことを確認した。但し、最も照射条件が過酷な実施例18の場合、明らかな着色が有機保護膜の表面に認められた。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板に対し、プラズマ処理の処理条件を表2に記載の条件にしてプラズマ処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例2、6と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。但し、最も照射条件が過酷な実施例20の場合、比較例2、6と比較して明らかに部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性が比較例2、6より遙かに改善されている。しかし、実施例20は炭化処理の照射条件が最も穏やかな実施例17に比べてカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、密着性の低下が原因と考えられるパターン端部での極めてわずかな剥離が目視により確認された。
実施例21
コロナ放電の処理条件を実施例5(ウェットエッチングによる電極形成において、パターン端部での極めてわずかな剥離が見られたもの)と同様にしてカラーフィルタ付き基板を得た。
これらカラーフィルタの表面の比率(IC−C/ICOO)は実施例5と同じく23.84であり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
別に新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板に対し、金属シリコンをターゲットとして、酸素を反応性ガスとして用いた反応性直流マグネトロンスパッタリング法によりSiO2からなる表3に示す密着層を10nmの厚みで成膜し、その上から直流マグネトロンスパッタリング法によりITOを300nmの厚みで形成した。これらの基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例7と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、実施例5と比較してパターン端部でのわずかな剥離も見られない、所望の形状を有する電極を得ることができた。この理由については、実施例5ではコロナ放電処理を激しく行ったために、炭化層とITOとの界面での密着性が少し失われたのに対して、本実施例においては該界面に密着層を挿入したので実施例5において低下した密着性を補うように密着層が作用しているものと推測される。
実施例22
コロナ放電の処理条件を実施例10(ウェットエッチングによる電極形成において、パターン端部での極めてわずかな剥離が見られたもの)と同様にしてカラーフィルタ及び有機保護膜付き基板を得た。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ及び有機保護膜付きの表面の比率(IC−C/ICOO)は実施例10と同じく29.59であり、有機保護膜表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ及び有機保護膜付きガラス基板に対し、金属タンタルをターゲットとして、酸素を反応性ガスとして用いた反応性直流マグネトロンスパッタリング法によりTa2O5からなる表3に示す密着層を10nmの厚みで成膜し、その上から直流マグネトロンスパッタリング法によりITOを300nmの厚みで形成した。これらの基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例8と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、実施例10と比較してパターン端部でのわずかな剥離も見られない、所望の形状を有する電極を得ることができた。この理由については、実施例10ではコロナ放電処理を激しく行ったために、炭化層とITOとの界面での密着性が失われたのに対して、本実施例においては、該界面に密着層を挿入したので、実施例10において低下した密着性を補う形で密着層が作用しているものと推測される。
実施例23、24
カラーフィルタ及びカラーフィルタと有機保護膜はそれぞれ実施例21および実施例22と同様にしてカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を得た。
これらカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板表面に表3に示す条件でコロナ放電処理を施し、X線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は23.84と29.59であり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を直ちに真空槽に導入し、金属シリコンをターゲットとして実施例23においては窒素、実施例24においては酸素と窒素の混合ガスをそれぞれ反応性ガスとして用いた反応性直流マグネトロンスパッタリング法によりSi3N4、SiOXNYからなる表3に示す密着層をそれぞれ施し、次いで、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例9、10と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。
実施例25〜28
カラーフィルタ及びカラーフィルタと有機保護膜をそれぞれ実施例15または実施例20(ウェットエッチングによる電極形成において、パターン端部での極めてわずかな剥離が見られたもの)と同様にしてカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を得た。
これらカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板表面に表4に示す条件でプラズマ処理を施し、X線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表4に示す通りであり、カラーフィルタおよび有機保護膜表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を真空槽に導入し、表4に示す密着層を施し、次いで直流マグネトロンスパッタリング法によりITOを300nmの厚さで形成した。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、実施例15または20と比較してパターン端部でのわずかな剥離も見られない、所望の形状を有する電極を得ることができた。この理由については、実施例15または20ではプラズマ処理を激しく行ったために、炭化層とITOとの界面での密着性が失われたのに対して、実施例25〜28においては該界面に密着層を挿入したので、実施例15または20において低下した前記密着性を補うように密着層が作用しているものと推測される。
比較例1
コロナ放電ならびにプラズマ処理を施さなかった以外は実施例1と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.22であった。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例2
コロナ放電ならびにプラズマ処理を施さなかった以外は実施例6と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.93であった。
この基板を真空槽から取り出し、40℃5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例3
乾燥空気による処理雰囲気のパージを行わなかった以外は実施例1と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.12であり、乾燥空気雰囲気下でコロナ放電処理を施したカラーフィルタの表面と比較して炭化されていないことが確認された。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例4
乾燥空気による処理雰囲気のパージを行わなかった以外は実施例6と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.58であり、乾燥空気雰囲気下でコロナ放電処理を施した有機保護膜の表面と比較して炭化されていないことが確認された。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例5
乾燥空気による処理雰囲気のパージを行わなかった以外は実施例11と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.01であり、乾燥アルゴン雰囲気下でプラズマ処理を施したカラーフィルタの表面と比較して炭化されていないことが確認された。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例6
乾燥空気による処理雰囲気のパージを行わなかった以外は実施例16と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.91であり、乾燥アルゴン雰囲気下でプラズマ処理を施した有機保護膜の表面と比較して炭化されていないことが確認された。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例7〜10
表5に示す材料を密着層として用い、コロナ放電ならびにプラズマ処理を施さなかった以外はそれぞれ、実施例21〜24に対応する条件によりカラー表示装置用電極板を得た。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
耐アルカリ性評価
40℃の5質量%水酸化ナトリウム水溶液中に20分浸漬させ、剥離がおこるかどうかで判断した。
目視でまったく剥離が認められないもの ◎(合格)
極めてわずかに膜浮き(膨らみ)が認められるもの ○(合格)
膜が明らかに剥離しているもの ×(不合格)
パターニング性評価
塩酸および塩化鉄水溶液を用いた10分間のウェットエッチングによる70μmライン/20μmスペースピッチの電極形成を施したときのライン形状から判断した。
正確な電極パターンが形成されたもの ◎(合格)
電極パターンがややオーバーエッチングのもの ○(合格)
電極パターンの端部が極めてわずかな剥離があるもの △(合格)
電極パターンが明らかに剥離しているもの ×(不合格)
産業上の利用可能性
本発明によれば、少なくとも部分的に炭化した表面を持つカラーフィルタまたは有機保護膜を持つカラー表示装置用電極板を用いることにより、後工程で必要となる耐薬品性・密着性を飛躍的に向上させることができる。少なくとも部分的に炭化した表面は、コロナ放電または略大気圧下でのプラズマ処理により形成することができる。それによって従来真空雰囲気中で処理を行うため大量に処理することが困難であり、また高価な真空処理装置が不要となり、その結果製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のカラー表示装置用電極板の一実施形態を示す断面図である。
図2は、本発明のカラー表示装置用電極板の一実施形態を示す断面図である。
図3は、本発明のカラー表示装置用電極板の一実施形態を示す断面図である。
図4は、本発明のカラー表示装置用電極板の一実施形態を示す断面図である。
本発明は、耐薬品性・密着性に優れたカラー表示装置用電極板およびその製造方法及び前記カラー表示装置用電極板を用いるカラー表示装置に関する。
背景技術
カラー表示装置に用いられる電極板は、一般的にガラス基板上に有機樹脂を材料としたカラーフィルタを形成し、その上から同じく有機樹脂を材料とした有機保護膜を塗布した後、導電性を持つ無機透明電極を形成することによって製造されている。その透明電極の配線は、一般的には一旦一様な透明導電膜を形成した後、ウェットエッチングによって所望の配線の形状を得ている。
上記ウェットエッチングによる配線加工を行う場合、様々な薬品を用いるために、透明導電膜の下地であるカラーフィルタあるいは透明な有機保護膜が薬品によって侵され、侵食を受けるという問題が発生する。また有機樹脂膜上に無機導電膜を形成するために、所定の加工に耐えうるだけの密着性を持たせることが非常に難しい。
そのため、従来ではカラーフィルタあるいは有機保護膜と無機導電膜との間に、他の薄膜(二酸化珪素薄膜が一般的に用いられている)を形成することによって、耐薬品性・密着性を向上させていた。しかし、二酸化珪素薄膜はRFスパッタリング法によって形成されるが、この方法は成膜速度が遅いことが工業上不利な点となっている。また、二酸化珪素薄膜の成膜前のRF−プラズマによりカラーフィルタあるいは有機保護膜が物理的・化学的に損傷を受けることから、後工程(カラーフィルタと有機保護膜をガラス基板上に形成した後に無機導電性膜を形成する工程)で電極板を生産する場合の不安定さの主原因になっている。
さらに、上述の問題を解決するために、本発明者らは、先に酸素イオンあるいはアルゴンイオンを含むガスイオンをカラーフィルタもしくは有機保護膜に衝突させてカラーフィルタもしくは有機保護膜と透明導電膜の間にカラーフィルタもしくは有機保護膜が少なくとも部分的に炭化された層を形成することによって、カラーフィルタもしくは有機保護膜の物理的・化学的な損傷を防ぎ、無機導電膜との密着性を向上させる電極板などの発明をした(特開平10−10518号公報)。また、前記公報に記載された発明には、本発明者らは酸素イオンあるいはアルゴンイオンを含むガスイオンをカラーフィルタもしくは有機保護膜に衝突させる方法として、イオンガンを用いた真空雰囲気中でイオン照射をする実施例を開示している。
前記本発明者らによる特開平10−10518号公報記載の発明により、少なくとも部分的に炭化された層がカラーフィルタもしくは有機保護膜上に形成されることにより、従来必要とされていた二酸化珪素薄膜などの透明無機薄膜をさらにこれらの膜上に形成させることなく、カラーフィルタもしくは有機保護膜の耐薬品性・密着性を飛躍的に向上させることができ、所望のパターンの透明電極膜(無機導電膜)の加工が容易にできるようになった。
しかしながら、前記本発明者らによる前記方法は、真空雰囲気中で処理する工程が含まれているために大量に真空下で電極板材料を処理することが困難であり、生産性の低下が問題となる。また、前記方法は真空下での処理が含まれるため、電極板製造にかかる装置が高価なものとなる。そのため得られる製品の製造コストを上昇させる要因となるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、より簡便な方法でカラーフィルタもしくは有機保護膜の物理的・化学的な損傷を防ぎ、導電膜との密着性を向上させるカラー表示装置用電極板の製造方法を得ることである。また、本発明の課題は、前記カラー表示装置用電極板の製造方法において、ウェットエッチングによる透明導電膜形成時に、より簡便な方法でカラーフィルタもしくは有機保護膜を保護することである。さらにまた、本発明の課題は、カラーフィルタもしくは有機保護膜と無機導電薄膜との間に従来一般的に用いられている二酸化珪素薄膜などの透明無機薄膜を用いないカラー表示用電極板およびそれを用いるカラー表示装置を得ることである。
発明の開示
本発明の上記課題は次の(1)と(2)からなる製造方法とそれらの製造方法によって得られるカラー表示装置用電極板及び前記各カラー表示装置用電極板を用いるカラー表示装置により解決される。
(1)基板上にカラーフィルタと透明導電膜を順次形成してカラー表示装置用電極板を製造するカラー表示装置用電極板の製造方法において、基板上にカラーフィルタを形成し、次いで略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により前記カラーフィルタが少なくとも部分的に炭化された層を形成し、該部分的に炭化されたカラーフィルタ層の上に透明導電膜を形成したカラー表示装置用電極板の製造方法。
(2)基板上にカラーフィルタ、カラーフィルタを保護用の有機保護膜及び透明導電膜を順次形成してカラー表示装置用電極板を製造するカラー表示装置用電極板の製造方法において、基板上にカラーフィルタと有機保護膜を順次形成し、次いで略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により前記有機保護膜上に少なくとも部分的に炭化された層を形成し、該部分的に炭化された有機保護膜上に透明導電膜(無機導電膜)を形成したカラー表示装置用電極板の製造方法。
前記(1)の発明によれば、略大気圧の乾燥雰囲気下で放電を用いた処理を行うことにより、高価な真空処理設備を必要とすることなくカラーフィルタ上に部分的に炭化されたカラーフィルタ層を形成することができ、その結果、カラーフィルタの物理的・化学的な損傷を防ぎ、その上に形成される透明導電膜(無機導電膜)との密着性を向上させることができる。
前記(2)の発明においても、略大気圧の乾燥雰囲気下で放電を用いた処理を行うことにより、高価な真空処理設備を必要とすることなく有機保護膜上に部分的に炭化された有機保護膜層を形成することができ、その結果、有機保護膜の物理的・化学的な損傷を防ぎ、その上に形成される透明導電膜(無機導電膜)との密着性を向上させることができる。
通常の大気圧雰囲気下でカラーフィルタもしくは有機保護膜に放電を用いた炭化処理を行った場合は、カラーフィルタもしくは有機保護膜への化学的損傷を招き、結果として耐アルカリ性に劣るカラー表示装置用電極板となる。しかし、本発明者らは、予め大気圧雰囲気を乾燥させ、その雰囲気中でコロナ放電を用いた処理もしくは常圧プラズマ処理することにより、カラーフィルタもしくは有機保護膜の物理的・化学的な損傷を防ぎ、かつこれらの膜上に形成される透明導電膜との密着性を向上させることができることを見いだし、本発明を完成させた。
本発明者らの見いだした上記現象についての技術的な理由については、現在のところ明瞭に説明することは困難であるが、通常の大気雰囲気に含まれる水分子が、コロナ放電もしくは常圧プラズマにより電離し、カラーフィルタもしくは有機保護膜に対して何らかの物理的もしくは化学的な悪影響を与えているものと推測される。
ここで、略大気圧とは、大気圧および前記放電を開始・継続させやすくするために放電を用いた処理装置の構造上無理のない範囲で減圧した圧力をいう。
略大気圧の乾燥雰囲気を得るには様々な方法が考えられるが、前記装置の放電を用いた処理部の必要部分を覆うような処理槽を設け、その中を吸湿剤を通した乾燥空気もしくはプロセスに用いる乾燥ガスでパージする方法が最も容易である。
また、上記放電を用いた処理としては、放電用の装置の簡便性・汎用性や連続処理が可能であることなどからコロナ放電を用いた処理または常圧プラズマ処理が好適に用いられる。
コロナ放電処理を行う場合には、高周波電源装置、放電電極および誘電体からなる一般的な放電処理装置を用いることができる。コロナ放電の処理条件は、その放電処理装置の構造によって最適な条件が変化する。その出力としては0.1kW以上1.5kW以下、より好ましくは0.2kW以上1.2kW以下が好ましい。極端に過大な放電を用いた処理を行うと、カラーフィルタならびに有機保護膜にダメージを与えることになり、かえって物理的・化学的な耐久性が劣化することがある。
放電用の電極と処理するカラーフィルタ付き基板またはカラーフィルタの上に有機保護膜を被覆した基板との距離は、放電処理用の装置の構造によって最適な条件が変化するが、5mm未満となると、カラーフィルタもしくは有機保護膜にダメージが入り、かえって得られた炭化層を含む膜の物理的・化学的な耐久性が劣化する。放電を用いた処理時間は、カラーフィルタまたは有機保護膜の表面の少なくとも一部を炭化することができる程度の時間であれば特に限定されないが、放電を用いた処理時間が1分を超えると、炭化が進み過ぎる場合がある。
常圧プラズマ処理を行う場合には、電源装置、放電電極、ガス導入管、チャンバー等からなる一般的な放電処理装置を用いることができる。この放電処理装置には、一対の対向する面を設け、前記一対の面の少なくとも一方の面に固体誘電体を配設し、また、前記一対の対向する面の表面近傍に一対の金属電極を配設して、この電極間をカラーフィルタもしくは有機保護膜が通過できる空間を設ける。そして、前記電極間をカラーフィルタもしくは有機保護膜が通過している間に電極間に電圧を印加し、プラズマを発生させる。
前記電極間に印加される電界は、交流波形の他、パルス化された電界などを用いてもよい。常圧プラズマ処理の場合における放電処理条件は、その放電処理装置の構造によって最適な条件が変化するが、極端に過大な放電を用いた処理を行うと、カラーフィルタまたは有機保護膜にダメージを与えることになり、かえって物理的・化学的な耐久性が劣化する可能性がある。
常圧プラズマ処理に用いられる処理ガスは特に限定されないが、例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素、空気、酸素などが例示される。アルゴン、ヘリウムなどの希ガスが、カラーフィルタおよび有機保護膜に対して化学的な作用を及ぼすことが少なく安定に処理できるので、より好ましい。これらは、単独で用いても2種以上のガスを混合して用いてもよい。
加速電圧は、5kV以上20kV以下、より好ましくは8kV以上15kV以下である。極端に過大な放電を用いた処理を行うと、カラーフィルタならびに有機保護膜にダメージを与えることになり、かえって物理的・化学的な耐久性が劣化する可能性がある。処理時間は、前記処理対象膜の表面を炭化する程度の時間であれば特に限定されないが、放電を用いた処理時間が1分を超えると炭化が進み過ぎる場合がある。
上記(1)及び(2)の本発明では、透明導電膜と部分的に炭化された層との密着性を向上させる目的で、該透明導電膜と該部分的に炭化された層の間に、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物の少なくともいずれかの化合物からなる密着層を配することが望ましい。
本発明のカラー表示装置用電極板の透明導電膜と部分的に炭化された層の間に、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかの化合物からなる密着層を配することにより、透明導電膜と部分的に炭化された層との密着性が向上するので、前記密着層を配さない場合と比較して、ウェットエッチングによる電極配線パターンを形成したときの前記配線パターン端部の形状精度がより確実に向上する。すなわち、上記放電を用いた処理の最適な処理条件のマージンが広がることを意味する。
金属の酸化物、窒化物、酸窒化物の少なくともいずれかの化合物からなる密着層として、二酸化珪素、酸化タンタル、酸化アルミニウム、窒化珪素、酸窒化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど透明金属酸化膜、透明金属窒化膜、透明金属酸窒化膜が例示される。密着層の成膜方法としては、真空蒸着法や直流マグネトロンスパッタリング法、高周波マグネトロンスパッタリング法などが用いられる。成膜時に与える部分的に炭化された層への影響や基板の大面積化に対する適用のしやすさなどを考慮すると、直流マグネトロンスパッタリング法を用いた二酸化珪素、酸化タンタル、窒化珪素、酸窒化珪素の密着層の成膜方法が好ましい。カソードに印加する電圧は、連続的に印加しても、パルス的に印加しても良く、選択した密着層の成分に応じて前記電荷印加法のいずれかを適宜選択する。
また、上記(1)及び(2)の本発明では、炭化されている層におけるX線光電子分光法によるカルボキシル基に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)を炭化されていないカラーフィルタ又は有機保護膜のそれよりも大きくしても良い。
本発明のカラー表示装置用電極板において、炭化されている層の前記比率(IC−C/ICOO)が炭化されていないカラーフィルタ又は有機保護膜のそれよりも大きいことが、炭化層が形成されたことを意味する。
本発明でいう部分的な炭化層は、必ずしも一様に炭化されている層である必要は無く、要求される水準以上の耐薬品性を持てば、炭化層は不均一な厚さであってもよい。しかし、炭化層が極端に厚い場合、炭化層による可視光の吸収が発生して透過率が減少するために好ましくない。また、極端に炭化が進んだ場合、該炭化層とその上に形成される薄膜層との密着性が乏しくなるため好ましくない。
本発明が対象とするカラーフィルタは、成膜方法や着色方法によらず所定の波長の光を透過させる樹脂であれば、いかなる樹脂でもかまわない。また、本発明が対象とする有機保護膜は、一般的にはアクリル系、ポリイミド系、エポキシ系の樹脂、またはこれらの混合物が用いられるが、目的となる保護性能が満足されるものであればいかなる樹脂でもかまわない。
本発明において用いることができる透明導電膜としては、インジウム、スズ、亜鉛のうち少なくとも2種以上を含む複合酸化物、スズやアルミニウムをドープした酸化亜鉛、または電気抵抗の低い金、銀、銅、白金のうち少なくとも1種以上を含む金属膜を酸化インジウムなどの透明金属酸化膜で挟んだものなどが用いられるが、目的となる透明性を有する導電膜であれば、いかなる材料でも使用でき、材料は特に限定されない。
本発明のカラー表示装置用電極板は図1〜図4に示す断面を有する。また、本発明のカラー表示装置用電極板においては、カラーフィルタ若しくは有機保護膜と透明電極との間の少なくとも部分的に炭化された層又はカラーフィルタ若しくは有機保護膜と密着層との間の少なくとも部分的に炭化された層が、その下部の基体を物理的・化学的損傷から保護するように働く。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
ガラス基板上にゼラチンからなるカラーフィルタを常法により形成し、カラーフィルタ付きガラス基板を作製した。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.22であった。
このガラス基板に対し、0.5kWの電界中で30秒コロナ放電処理を施した。その際、コロナ放電処理を行う前に、処理部を囲い内部を乾燥空気によってパージして、内部の水分を除去した。電極と基板との間の距離は10mmとした。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は17.91であり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製した前記カラーフィルタ付きガラス基板に対し、同様に0.5kWの電界中で30秒コロナ放電処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法により90重量%酸化インジウム−10重量%酸化スズの複合酸化物(以下、ITOという)を300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、20分以上浸漬させてもITOの剥離は認められなかった。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。この性能は後で示す比較例1、3より著しく向上したものであった。
実施例2〜5
コロナ放電の処理条件を表1に記載の条件にした以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ付きガラス基板を得た。
これらカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表1に示す通りであり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製した前記カラーフィルタ付きガラス基板に対し、コロナ放電の処理条件を表1に記載の条件にしてコロナ放電処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例1、3と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、ほぼ所望の形状を有する電極を得ることができた。
但し、炭化処理の最も照射条件が過酷な実施例5の場合、比較例1、3と比較して明らかにカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性が比較例1、3より遙かに改善されている。しかし、実施例5は、炭化処理の照射条件が最も穏やかな実施例2に比べてカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性の低下が原因と考えられるパターン端部での極めてわずかな剥離が目視により確認された。
実施例6
ガラス基板上にゼラチンからなるカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ付きガラス基板を作製した。その上からアクリル系の有機樹脂であるポリグリシジルメタクリレートに硬化剤として無水トリメシン酸を添加し、200℃で1時間焼成した。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.93であった。
このガラス基板に対し、0.5kWの電界中で30秒コロナ放電処理を施した。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は24.40であり、有機保護膜の表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製した前記カラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板に対し、同様に0.5kWの電界中で30秒コロナ放電処理を施した。その際、コロナ放電を行う前に、処理部を囲い内部を乾燥空気によってパージして、内部の水分を除去した。電極と基板との間の距離は10mmとした。その後、直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、20分以上浸漬させてもITOの剥離は認められなかった。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、ほぼ所望の形状を有する電極を得ることができた。この性能は後述の比較例2、4に比べて著しく向上したものであった。
実施例7〜10
コロナ放電の処理条件を表1に記載の条件にした以外は実施例6と同様にしてカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を得た。
これら有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表1の通りであり、有機保護膜の表面が炭化されたことを確認した。但し、最も照射条件が過酷な実施例10の場合、明らかな着色が有機保護膜の表面に認められた。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製した前記カラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板に対し、コロナ放電の処理条件を表1に記載の条件にして同様にコロナ放電処理を施した。その後、直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例2、4と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、ほぼ所望の形状を有する電極を得ることができた。但し、炭化処理の最も照射条件が過酷な実施例10の場合、比較例2、4と比較して明らかに有機保護膜の部分的炭化が進んでいるためにITOとの密着性が比較例2、4より遙かに改善されている。しかし、実施例10は炭化処理の照射条件が最も穏やかな実施例7に比べてカラーフィルタの有機保護膜の部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性の低下が原因と考えられるパターン端部での極めてわずかな剥離が目視により確認された。
実施例11
ガラス基板上に常法によりゼラチンからなるカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ付きガラス基板を作製した。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.22であった。
このガラス基板に対し、処理ガスとしてアルゴンを用い、大気圧下で印加電圧11kV、周波数6kHzのパルス電界を印加、固体誘電体としてアルミナを用いて20秒間プラズマ処理を施した。その際、プラズマ処理を行う前に処理部を囲い、内部を乾燥空気によってパージして、内部の水分を除去した。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は19.12であり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板に対し、同様に処理ガスとしてアルゴンを用い、大気圧下で印加電圧11kV、周波数6kHzのパルス電界を印加、固体誘電体としてアルミナを用いて20秒間プラズマ処理を施した。その後、直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、20分以上浸漬させてもITOの剥離は認められなかった。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。これらの性能は後で示す比較例1、5に比べて著しく向上したものであった。
実施例12〜15
プラズマ処理の処理条件を表2に記載の条件にした以外は実施例11と同様にしてカラーフィルタ付きガラス基板を得た。
これらカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表2の通りであり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板に対し、プラズマ処理の処理条件を表2に記載の条件にして同様にプラズマ処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例1、5と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。但し、最も照射条件が過酷な実施例15の場合、比較例1、5と比較して明らかにカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性が比較例1、5より遙かに改善されている。しかし、実施例15は炭化処理の照射条件が最も穏やかな実施例12に比べてカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性の低下が原因と考えられるパターン端部での極めてわずかな剥離が目視により確認された。
実施例16
ガラス基板上にゼラチンからなるカラーフィルタを形成し、カラーフィルタ付きガラス基板を作製した。その上からアクリル系の有機樹脂であるポリグリシジルメタクリレートに硬化剤として無水トリメシン酸を添加して塗布し、200℃で1時間焼成した。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.93であった。
このガラス基板に対し、処理ガスとしてアルゴンを用い、大気圧下で印加電圧11kV、周波数6kHzのパルス電界を印加、固体誘電体としてアルミナを用いて20秒間プラズマ処理を施した。その際、プラズマ処理を行う前に、処理部を囲い内部を乾燥空気によってパージして、内部の水分を除去した。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は24.30であり、有機保護膜の表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板に対し、同様に大気圧下で印加電圧11kV、周波数6kHzのパルス電界を印加、固体誘電体としてアルミナを用いて20秒間プラズマ処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚みで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、20分以上浸漬させてもITOの剥離は認められなかった。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。これらの性能は後で示す比較例2、6に比べて著しく向上したものであった。
実施例17〜20
プラズマ処理の処理条件を表2に記載の条件にした以外は実施例16と同様にしてカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を得た。
この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表2の通りであり、有機保護膜の表面が炭化されたことを確認した。但し、最も照射条件が過酷な実施例18の場合、明らかな着色が有機保護膜の表面に認められた。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板に対し、プラズマ処理の処理条件を表2に記載の条件にしてプラズマ処理を施した。その後直ちに、このガラス基板を真空槽に導入し、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例2、6と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。但し、最も照射条件が過酷な実施例20の場合、比較例2、6と比較して明らかに部分的炭化が進んでいるために、ITOとの密着性が比較例2、6より遙かに改善されている。しかし、実施例20は炭化処理の照射条件が最も穏やかな実施例17に比べてカラーフィルタの部分的炭化が進んでいるために、密着性の低下が原因と考えられるパターン端部での極めてわずかな剥離が目視により確認された。
実施例21
コロナ放電の処理条件を実施例5(ウェットエッチングによる電極形成において、パターン端部での極めてわずかな剥離が見られたもの)と同様にしてカラーフィルタ付き基板を得た。
これらカラーフィルタの表面の比率(IC−C/ICOO)は実施例5と同じく23.84であり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
別に新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板に対し、金属シリコンをターゲットとして、酸素を反応性ガスとして用いた反応性直流マグネトロンスパッタリング法によりSiO2からなる表3に示す密着層を10nmの厚みで成膜し、その上から直流マグネトロンスパッタリング法によりITOを300nmの厚みで形成した。これらの基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例7と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、実施例5と比較してパターン端部でのわずかな剥離も見られない、所望の形状を有する電極を得ることができた。この理由については、実施例5ではコロナ放電処理を激しく行ったために、炭化層とITOとの界面での密着性が少し失われたのに対して、本実施例においては該界面に密着層を挿入したので実施例5において低下した密着性を補うように密着層が作用しているものと推測される。
実施例22
コロナ放電の処理条件を実施例10(ウェットエッチングによる電極形成において、パターン端部での極めてわずかな剥離が見られたもの)と同様にしてカラーフィルタ及び有機保護膜付き基板を得た。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ及び有機保護膜付きの表面の比率(IC−C/ICOO)は実施例10と同じく29.59であり、有機保護膜表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ及び有機保護膜付きガラス基板に対し、金属タンタルをターゲットとして、酸素を反応性ガスとして用いた反応性直流マグネトロンスパッタリング法によりTa2O5からなる表3に示す密着層を10nmの厚みで成膜し、その上から直流マグネトロンスパッタリング法によりITOを300nmの厚みで形成した。これらの基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例8と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、実施例10と比較してパターン端部でのわずかな剥離も見られない、所望の形状を有する電極を得ることができた。この理由については、実施例10ではコロナ放電処理を激しく行ったために、炭化層とITOとの界面での密着性が失われたのに対して、本実施例においては、該界面に密着層を挿入したので、実施例10において低下した密着性を補う形で密着層が作用しているものと推測される。
実施例23、24
カラーフィルタ及びカラーフィルタと有機保護膜はそれぞれ実施例21および実施例22と同様にしてカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を得た。
これらカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板表面に表3に示す条件でコロナ放電処理を施し、X線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は23.84と29.59であり、カラーフィルタ表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を直ちに真空槽に導入し、金属シリコンをターゲットとして実施例23においては窒素、実施例24においては酸素と窒素の混合ガスをそれぞれ反応性ガスとして用いた反応性直流マグネトロンスパッタリング法によりSi3N4、SiOXNYからなる表3に示す密着層をそれぞれ施し、次いで、直流マグネトロンスパッタ法によりITOを300nmの厚さで形成した。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、後で示す比較例9、10と比較して、相対的に耐アルカリ性が向上していた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、所望の形状を有する電極を得ることができた。
実施例25〜28
カラーフィルタ及びカラーフィルタと有機保護膜をそれぞれ実施例15または実施例20(ウェットエッチングによる電極形成において、パターン端部での極めてわずかな剥離が見られたもの)と同様にしてカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を得た。
これらカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板表面に表4に示す条件でプラズマ処理を施し、X線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は表4に示す通りであり、カラーフィルタおよび有機保護膜表面が炭化されたことを確認した。
上記の現象を確認した後、別の新しく作製したカラーフィルタ付きガラス基板およびカラーフィルタと有機保護膜付きガラス基板を真空槽に導入し、表4に示す密着層を施し、次いで直流マグネトロンスパッタリング法によりITOを300nmの厚さで形成した。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬したところ、実施例15または20と比較してパターン端部でのわずかな剥離も見られない、所望の形状を有する電極を得ることができた。この理由については、実施例15または20ではプラズマ処理を激しく行ったために、炭化層とITOとの界面での密着性が失われたのに対して、実施例25〜28においては該界面に密着層を挿入したので、実施例15または20において低下した前記密着性を補うように密着層が作用しているものと推測される。
比較例1
コロナ放電ならびにプラズマ処理を施さなかった以外は実施例1と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.22であった。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例2
コロナ放電ならびにプラズマ処理を施さなかった以外は実施例6と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.93であった。
この基板を真空槽から取り出し、40℃5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例3
乾燥空気による処理雰囲気のパージを行わなかった以外は実施例1と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.12であり、乾燥空気雰囲気下でコロナ放電処理を施したカラーフィルタの表面と比較して炭化されていないことが確認された。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例4
乾燥空気による処理雰囲気のパージを行わなかった以外は実施例6と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.58であり、乾燥空気雰囲気下でコロナ放電処理を施した有機保護膜の表面と比較して炭化されていないことが確認された。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例5
乾燥空気による処理雰囲気のパージを行わなかった以外は実施例11と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。このカラーフィルタの表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.01であり、乾燥アルゴン雰囲気下でプラズマ処理を施したカラーフィルタの表面と比較して炭化されていないことが確認された。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例6
乾燥空気による処理雰囲気のパージを行わなかった以外は実施例16と同様の方法によりカラー表示装置用電極板を得た。この有機保護膜の表面をX線光電子分光法により測定したところ、検出されたC1sの信号を解析して得られた、COO結合に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は4.91であり、乾燥アルゴン雰囲気下でプラズマ処理を施した有機保護膜の表面と比較して炭化されていないことが確認された。この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
比較例7〜10
表5に示す材料を密着層として用い、コロナ放電ならびにプラズマ処理を施さなかった以外はそれぞれ、実施例21〜24に対応する条件によりカラー表示装置用電極板を得た。
この基板を真空槽から取り出し、40℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した。浸漬後5分間経過したところでITOの剥離が目視によって認められた。また、上記方法により作製した電極板に対して塩酸及び塩化鉄水溶液を用いたウェットエッチングによる電極形成を行ったところ、パターンのエッジから薬液が染み込んでいる様子が観察され、その結果エッジでITOの剥離が起こり、所望の形状を有する電極を得ることができなかった。
耐アルカリ性評価
40℃の5質量%水酸化ナトリウム水溶液中に20分浸漬させ、剥離がおこるかどうかで判断した。
目視でまったく剥離が認められないもの ◎(合格)
極めてわずかに膜浮き(膨らみ)が認められるもの ○(合格)
膜が明らかに剥離しているもの ×(不合格)
パターニング性評価
塩酸および塩化鉄水溶液を用いた10分間のウェットエッチングによる70μmライン/20μmスペースピッチの電極形成を施したときのライン形状から判断した。
正確な電極パターンが形成されたもの ◎(合格)
電極パターンがややオーバーエッチングのもの ○(合格)
電極パターンの端部が極めてわずかな剥離があるもの △(合格)
電極パターンが明らかに剥離しているもの ×(不合格)
産業上の利用可能性
本発明によれば、少なくとも部分的に炭化した表面を持つカラーフィルタまたは有機保護膜を持つカラー表示装置用電極板を用いることにより、後工程で必要となる耐薬品性・密着性を飛躍的に向上させることができる。少なくとも部分的に炭化した表面は、コロナ放電または略大気圧下でのプラズマ処理により形成することができる。それによって従来真空雰囲気中で処理を行うため大量に処理することが困難であり、また高価な真空処理装置が不要となり、その結果製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のカラー表示装置用電極板の一実施形態を示す断面図である。
図2は、本発明のカラー表示装置用電極板の一実施形態を示す断面図である。
図3は、本発明のカラー表示装置用電極板の一実施形態を示す断面図である。
図4は、本発明のカラー表示装置用電極板の一実施形態を示す断面図である。
Claims (14)
- 基板上にカラーフィルタと透明導電膜を順次形成してカラー表示装置用電極板を製造するカラー表示装置用電極板の製造方法において、
基板上にカラーフィルタを形成し、次いで略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により前記カラーフィルタが少なくとも部分的に炭化された層を形成し、該部分的に炭化されたカラーフィルタ層の上に透明導電膜を形成したことを特徴とするカラー表示装置用電極板の製造方法。 - 前記部分的に炭化されたカラーフィルタ層上に金属の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかの化合物からなる密着層を形成し、さらにその上に透明導電膜を形成したことを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置用電極板の製造方法。
- 炭化されたカラーフィルタ層におけるX線光電子分光法によるカルボキシル基に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)が炭化されていないカラーフィルタ層のそれよりも大きくなるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のカラー表示装置用電極板の製造方法。
- 基板上にカラーフィルタ、カラーフィルタ保護用の有機保護膜及び透明導電膜を順次形成してカラー表示装置用電極板を製造するカラー表示装置用電極板の製造方法において、
基板上にカラーフィルタと有機保護膜を順次形成し、次いで略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により前記有機保護膜上に少なくとも部分的に炭化された層を形成し、該部分的に炭化された有機保護膜上に透明導電膜を形成したことを特徴とするカラー表示装置用電極板の製造方法。 - 前記部分的に炭化された有機保護膜上に金属の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかの化合物からなる密着層を形成し、さらにその上に透明導電膜を形成したことを特徴とする請求項4記載のカラー表示装置用電極板の製造方法。
- 部分的に炭化されている有機保護膜におけるX線光電子分光法によるカルボキシル基に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)が炭化されていない有機保護膜のそれよりも大きくなるようにしたことを特徴とする請求項4または5記載のカラー表示装置用電極板の製造方法。
- カラーフィルタ上に透明導電膜が形成されたカラー表示装置用電極板において、該カラーフィルタと該透明導電膜の間に、略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により形成される、前記カラーフィルタが少なくとも部分的に炭化された層を有することを特徴とするカラー表示装置用電極板。
- 前記透明導電膜と前記部分的に炭化された層の間に、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかの化合物からなる密着層を配したことを特徴とする請求項7記載のカラー表示装置用電極板。
- 炭化されたカラーフィルタ層におけるX線光電子分光法によるカルボキシル基に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は炭化されていないカラーフィルタ層のそれよりも大きくしたことを特徴とする請求項7または8記載のカラー表示装置用電極板。
- 請求項7ないし9のいずれかに記載のカラー表示装置用電極板を用いることを特徴とするカラー表示装置。
- カラーフィルタおよびカラーフィルタを保護する目的で該カラーフィルタ上に形成されている有機保護膜上に透明導電膜が形成されたカラー表示装置用電極板において、該有機保護膜と該透明導電膜の間に、略大気圧の乾燥雰囲気下での放電を用いた処理により形成される、前記有機保護膜が少なくとも部分的に炭化された層を有することを特徴とするカラー表示装置用電極板。
- 前記透明導電膜と前記部分的に炭化された有機保護膜の間に、金属の酸化物、窒化物、酸窒化物のいずれかの化合物からなる密着層を配したことを特徴とする請求項11記載のカラー表示装置用電極板。
- 炭化されている有機保護膜におけるX線光電子分光法によるカルボキシル基に基因する信号(ICOO)に対するC−C結合に基因する信号(IC−C)の比率(IC−C/ICOO)は炭化されていない有機保護膜のそれよりも大きくしたことを特徴とする請求項11または12記載のカラー表示装置用電極板。
- 請求項11ないし13のいずれかに記載のカラー表示装置用電極板を用いることを特徴とするカラー表示装置。
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