JPH0897190A - 透明導電性膜のドライエッチング方法 - Google Patents

透明導電性膜のドライエッチング方法

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JPH0897190A
JPH0897190A JP25269594A JP25269594A JPH0897190A JP H0897190 A JPH0897190 A JP H0897190A JP 25269594 A JP25269594 A JP 25269594A JP 25269594 A JP25269594 A JP 25269594A JP H0897190 A JPH0897190 A JP H0897190A
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gas
etching
conductive film
transparent conductive
substrate
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JP25269594A
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English (en)
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Hideo Takei
日出夫 竹井
Hiroaki Kawamura
裕明 川村
Takahiro Kuroda
高廣 黒田
Yoshifumi Ota
賀文 太田
Kyuzo Nakamura
久三 中村
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Ulvac Inc
Original Assignee
Ulvac Inc
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板上の透明導電性膜へのエッチングレート
を800〜900Å/minまで向上させたドライエッチング方
法を提案する。 【構成】 基板上の透明導電性膜にエッチングガスの高
周波プラズマを用いてエッチングする際、エッチングガ
スとしてヨウ化水素ガスにアルゴンガスを0.5〜50vol%
混合したエッチングガスを用いるドライエッチング方
法。 【効果】 従来のドライエッチング法のようなメタン等
の炭化水素系プラズマを使用していないから、従来法の
ようなエッチング処理室或いは電極上にカーボン系のポ
リマーの堆積がないので、エッチング処理室のクリーニ
ングを頻繁に行うことなく、透明導電性膜へのエッチン
グレートを向上させることが出来ると共に、安定したエ
ッチングレートが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透明導電性膜のドライエ
ッチング方法に関し、更に詳しくは、半導体素子、磁性
体素子、誘電体素子、半導体集積回路等の微細電子部品
等の作製における透明導電性膜のドライエッチング方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体集積回路等の例えばガラス
製基板上に成膜された例えばIn23−10at%SnO2
(ITO)から成る透明導電性膜にエッチング加工を施
す場合は、湿式エッチング方法、またはドライエッチン
グ方法で行われていた。
【0003】湿式エッチング方法としては、特開昭58-1
20780号公報で提案されている「基板の面上に形成され
た酸化スズ或いは酸化インジウム等の金属酸化物より成
る透明導電膜のエッチング法において、前記透明導電膜
の上にメッキ手段によって金属層を形成し、しかる後に
該金属層に酸溶液を作用することで、前記透明導電膜を
除去するエッチング法」が知られており、そして、金属
層を溶解する酸溶液として硫酸−リン酸−酢酸の混合液
を用いる。
【0004】また、特開昭60-217636号公報で提案され
ている「酸性溶液と反応して水素を発生する金属物質を
含んだ酸性溶液の蒸気に、酸化インジウムにスズを添加
した透明導電膜をさらすエッチング法」が知られてお
り、そして、酸性溶液として塩酸、硫酸、硝酸のうち1
種類を用いる。
【0005】また、特公平4-5756号公報で提案されてい
る「基板表面の金属酸化物被膜を所要パターン耐食膜で
被覆することにより形成した金属酸化物被膜の露出部分
を、当該基板を搬送しながら水素で還元処理し、次いで
腐食液でエッチングすることにより金属酸化物被膜より
成る導電膜を所要の形状に形成するようにした金属酸化
物導電性膜のエッチング方法において、上記還元処理が
卑金属を含む塗布液を基板の表面に塗布する工程と、そ
の塗布面に希釈酸を供給する工程とを含んで成る金属酸
化物導電膜のエッチング方法」が知られており、そし
て、エッチングする腐食液として塩酸、塩酸と硫酸の混
合液、あるいは塩化第二鉄と遊離酸から成る混合液を用
いる。
【0006】また、ドライエッチング方法としては、特
開平3-77209号公報で提案されている「透明導電膜をパ
ターンニングするためのエッチング法において、前記エ
ッチングを、透明導電膜を加熱しながら、水素及び一般
式CnHmで表される炭化水素の混合ガスを用いた反応性
ドライエッチングにより行なう透明導電性膜のエッチン
グ方法」が知られており、そして、炭化水素としてメタ
ン、エタン等を用いる。
【0007】基板上の透明導電性膜へのエッチング加工
は、例えば特公平4-5756号公報で提案されているよう
に、エッチング液として塩酸系の溶液を用いて透明導電
性膜にエッチング加工を行なう湿式エッチング法が行な
われていたが、近年、集積回路の微細化に対応して、よ
り高精度な微細加工が実現できるグロー放電プラズマを
利用した例えば特開平3-77209号公報で提案されている
ドライエッチング法が導入されつつある。
【0008】ドライエッチング法は、プラズマ中に生成
される化学的に活性なハロゲン系のイオンが直進性を有
するため、透明導電性膜から成る被加工物表面に対し垂
直に入射して、加工形状がマスクパターンに忠実な加工
特性を持つ。従って、湿式エッチング法で問題となって
いるマスク下部の食い込み(アンダーカット)や、マス
クと透明導電性膜の密着不良から生ずるパターンの欠
落、エッチング液のしみ込み等の現象が発生しないとい
う利点を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平3-77209号
公報で提案されている気体プラズマを利用するドライエ
ッチング法は、水素および炭化水素との混合ガスを用い
て透明導電性膜を加熱しながら透明導電性膜にエッチン
グを行なう反応性ドライエッチングである。
【0010】しかしながら、前記提案のドライエッチン
グ法(特開平3-77209号公報)は次のような問題点を有
する。
【0011】 例えば「基板、それとも透明導電性
膜」の大きさが300mm×300mmの場合、エッチングレート
が500Å/min以下程度と生産性が悪い。実用に供しよう
とした場合のエッチングレートは700Å/min〜1000Å/
min程度でなければ生産性が低く、生産コスト的に不利
である。
【0012】 所定マスクパターン以外の透明導電性
膜表面上にIn(透明導電性膜がIn23−10at%Sn
2の場合)とカーボン系の残渣物が発生して所定形状
のパターンが得られにくい。
【0013】 プラズマ反応室或いは電極上にカーボ
ン系のポリマーが堆積してエッチングの再現性を劣化さ
せる。
【0014】 従って、エッチング処理室(プラズマ
反応室ともいう)のクリーニング(O2、圧力0.2Torr、
流量300sccm、電力密度1W/cm2とした条件下でのO2
ラズマクリーニングの場合は通常約1時間毎)を頻繁に
行なう必要があり、生産性を低下させて実用的ではな
い。
【0015】本発明は、かかる上記の問題点を解消した
透明導電性膜のドライエッチング方法を提供することを
目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成すべく鋭意検討した結果、高周波プラズマを利用し
て基板上の透明導電性膜のエッチングを行なう際のエッ
チングガスとして、炭化水素の代わりにハロゲン化物ガ
ス、例えばヨウ化水素(HI)ガスを用いることによ
り、基板上全面に透明導電性膜がついている大きさが30
0mm×300mmの場合にエッチングレートを600Å/min程度
まで向上させ得ることが可能になることが分かった。
【0017】また、透明導電性膜のエッチングを行なう
際のエッチングガスである例えばヨウ化水素ガス中にヘ
リウム(He)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の不活性
ガスをヨウ化水素に対し、0.5〜50vol%混入させること
により、エッチングレートを800〜900Å/minまで向上
させ得ることが分かった。
【0018】更に、基板を加熱することにより、透明導
電性膜を温度80℃〜100℃とすることによって、エッチ
ングレートを更に1500Å/minまで向上させ得ることが
分かった。
【0019】本発明の透明導電性膜のドライエッチング
方法はかかる検討の結果なされたものであって、ハロゲ
ンガス或いはハロゲン化物ガスを含むエッチングガスの
高周波プラズマを利用して、基板上のSnO2或いはI
23或いはZnOを主成分とする透明導電性膜をエッ
チング加工する方法において、前記エッチングガスはア
ルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスから成る群よ
り選択された少なくとも1種を0.5〜50vol%含むガスで
あることを特徴とする。
【0020】また、前記エッチングガスをアルゴンガ
ス、ヘリウムガス等の不活性ガスから成る群より選択さ
れた少なくとも1種を5〜20vol%含むガスとしてもよ
い。
【0021】また、前記エッチングガスをヘリウムガス
を含むガスとしてもよい。
【0022】また、前記透明導電性膜の表面を有機物フ
ォトレジスト、酸化シリコン、非晶質シリコンおよびチ
ッ化シリコンから成る群より選択された一材料で構成さ
れた所定形状のパターンマスクで部分的に被覆してエッ
チングするようにしてもよい。
【0023】また、前記透明導電性膜を40〜130℃に加
熱してエッチングするようにしてもよい。
【0024】また、前記透明導電性膜を60〜120℃に加
熱してエッチングするようにしてもよい。
【0025】また、前記ハロゲンガス或いはハロゲン化
物ガスを臭素、臭化水素、ヨウ素、ヨウ化水素から成る
群より選択された少なくとも1種としてもよい。
【0026】本発明の透明導電成膜エッチング方法は、
今までのようなエッチングを行なう際の雰囲気ガスとし
て炭化水素プラズマを使用していないので、スパッタ収
率(Sputter Yield)が極めて低く、化学的に安定なSnx
Cy、InxCy、ZnxCy等のエッチング生成物が発生
せず、残渣のないエッチングが可能となった。
【0027】即ち、従来法では生成されたエッチングの
残渣が透明導電膜のマスクとなって、エッチングすべき
個所の透明導電性膜の残渣として残ることになるが、本
発明法では、透明導電成膜のエッチング生成物は主とし
て金属ヨウ化物としてガス化するため、基本的に残渣が
ない。
【0028】たとえ、反応室内の絶縁物、フォトレジス
ト等から少量の炭素が生じてもヨウ素や水素、酸素の化
合物としてガス化するため残渣とはならない。
【0029】また、基板温度を上昇させ、基板上の透明
導電性膜の温度を高めることにより、各種の反応物の蒸
気圧を高くすることで透明導電膜のガス化が容易にな
り、残渣の主因となる炭化物が容易に排気され、透明導
電膜への所定のパターン形成を可能とし、再現性の良い
実用的なエッチングを行なうことが出来る。
【0030】このように、本発明の透明導電性膜のドラ
イエッチング方法は、従来のドライエッチング法におけ
る問題点である、残渣をなくし、エッチング処理室内の
クリーニングの回数を低減して生産性を向上させること
が出来るものである。
【0031】
【作用】エッチング時のエッチングガスとしてハロゲン
ガス或いはハロゲン化物ガス中にアルゴンガス、ヘリウ
ムガス等の不活性ガスのいずれか1種を混合したガス雰
囲気中で基板上のSnO2或いはIn23或いはZnO
を主成分とする透明導電性膜に高周波プラズマを用いて
エッチングを行なうようにしたので、残渣がなく、再現
性の良い、実用的な透明導電性膜のエッチングレートが
向上したエッチングを行なえる。
【0032】これらの理由について更に詳しく述べる。 1. ハロゲンガス或いはハロゲン化物ガス中へのアルゴ
ンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスの混合作用、効果 透明導電性膜のエッチングはイオン衝突エネルギーのし
きい値電圧を必要としている。ハロゲン化物ガス、例え
ばヨウ化水素(HI)単独では放電インピーダンスが低
く、エッチングに必要なしきい値電圧を得るためには i)低圧にする、 ii)投入電力を上げる、 等の手段が必要である。
【0033】しかしi)ではエッチングに必要なエッチン
グ種を減ずるためエッチングレートが低下する、ii)で
は基板最表面が発熱してレジストの熱変形を伴い、正常
なパターンが得られない、また、プラズマダメージも相
対的に多くなるので、装置的に大きな電源を必要として
経済的ではない、等の不利益を生ずる。
【0034】ハロゲンガス或いはハロゲン化物ガスにH
e、Ar等の不活性ガスを混合することによって、 A)混合ガスの電離電圧を上げ、放電インピーダンスを上
げることが出来る。また、不活性ガスは安定準位状態か
ら準安定状態に移行するエネルギーをヨウ化水素(H
I)解離のエネルギーとして使用することが出来るの
で、 B)結果的にヨウ素イオン(I+)とヨウ素ラジカル(I
*)、水素イオン(H+:透明導電性膜の還元作用促進)
の個数を増加させる、 即ち、前記A)、B)の2つの効果でエッチングレートの向
上に寄与する。
【0035】2.基板の温度上昇 基板を加熱して基板上の透明導電性膜の温度を上昇させ
ることにより、透明導電性膜を構成する金属酸化物中の
金属Sn、In、Znのヨウ化物の蒸気圧を高め、これ
らのガス化を容易にすることで、エッチングレートを向
上させる。また、エッチング処理室内に堆積する副生成
物が極めて少ないので、クリーニング回数が少なく、生
産性向上に有用である。
【0036】
【実施例】本発明においてハロゲン或いはハロゲン化物
ガスを含むエッチングガス中に混合するアルゴンガス、
ヘリウムガス等の不活性ガスから成る群より選択された
少なくとも1種を0.5〜50vol%としたのは、混合する不
活性ガス量が0.5vol%に満たない場合は混合の効果が不
明確でエッチングレートの上昇が極めて少ないからであ
り、また、混合する不活性ガス量が50vol%を超える場
合はエッチャントが希釈され、混合効果が逆効果とな
り、エッチングレートが低下するからである。
【0037】また、混合する不活性ガス量を5〜20vol%
とすることにより前述の効果が明確になり、エッチング
レートが10%〜20%上昇することが出来る。
【0038】エッチング時において透明導電性膜を加熱
する温度を40〜130℃としたのは、温度が40℃に満たな
い場合は反応生成物の蒸気圧が低く、エッチングレート
が向上しないからであり、また、温度が130℃を超えた
場合は有機物フォトレジストが熱変形して所定のパター
ンが得られないからである。
【0039】また、透明導電性膜の加熱温度を60〜120
℃とすることにより反応生成物の蒸気圧を高め、所定の
マスク形状を実用レベルの生産性で形成することが出来
る。
【0040】本発明の透明導電性膜のドライエッチング
方法を図面に基づいて説明する。図1は本発明の透明導
電性膜のドライエッチング方法を実施するための装置の
1例を示し、図中、1は真空ポンプ等に接続された真空
排気系2と、ガスボンベ等のエッチングガス源に接続さ
れたエッチングガス導入系3を有するエッチング処理室
を示す。
【0041】該エッチング処理室1内にカソード(下部
電極:陰極)4と、アノード(上部電極:陽極)5を対
向して設け、カソード4にプラズマ発生用の高周波電源
6を接続した。
【0042】また、上部電極5は電極(アース電位にす
る場合が多い)とその前面にシャワープレートを兼ねた
中空の電極に構成し、その中空部に前記ガス導入系3を
接続して、該シャワープレートに設けた多数のガス噴出
口から例えばヨウ化水素(HI)ガスとアルゴン(A
r)ガスの混合ガスから成るエッチングガスを基板7上
の透明導電性膜に均一に噴射させ、エッチングを行うよ
うにした。更に、アノード5は電極間隔コントローラ8
によりカソード4とアノード5との間隔を調節自在と
し、任意の電極間距離を保持出来るようにした。
【0043】また、表面に例えばIn23を主成分とす
る透明導電性膜が成膜された例えば硬質ガラス製の基板
7を位置調整自在の基板昇降ピン9で保持するようにし
た。また、例えばフォトレジスト等のマスク材により予
め所定形状のパターンが形成された基板7上の透明導電
性膜付きの基板7を保持するための基板クランプ10を
位置調整自在のマスクホイスト11で保持するようにし
た。そして、基板クランプ10の位置調整により基板7
とカソード4間に0.3mm程度の隙間を形成する。カソー
ド4上には基板7端より内側約3mmの位置にOリングが
あり、ヘリウム(He)ガスが5〜8Torrの圧力で封入さ
れる。
【0044】このヘリウム(He)ガスは熱伝導率の悪
いガラスやセラミック基板を効率よく電極温度に保持す
るための伝達の媒体となる。
【0045】また、カソード4の内部に設けた循環水路
12内に例えばブラインの温媒を循環させてカソード4
を加熱し、その加熱により基板7を所定温度に加熱する
ようにした。尚、図中、符号13はヘリウム(He)ガ
ス導入ライン、14は高周波電源6に接続したコンデン
サー、15は高周波電源6に接続したアース、16は絶
縁物を夫々示す。
【0046】図1に示す装置はLCD用枚葉ドライエッ
チヤーであり、RIE方式を基本とした最大450mm角基
板の処理が可能な装置である。
【0047】次に本発明の透明導電成膜のドライエッチ
ング方法の具体的実施例を比較例と共に説明する。尚、
本発明の実施例は図1に示す装置を用いてエッチングを
行った。
【0048】I.実験1(エッチングレート) 実施例1 表面に厚さ150μmのIn23−10at%SnO2(以下I
TOと称する)から成る透明導電性膜と、該透明導電性
膜の絶縁物として厚さ150nmの酸化シリコン(SiO2
から成る下地膜を成膜した縦460mm×横360mm×厚さ1.1m
mのガラス製基板7(コーニング社製、7059)を基
板昇降ピン9に保持すると共に、カソード4と基板7と
の間に約0.3mmの微少ギャップを設定した。
【0049】エッチング処理室1内を真空排気2系によ
り真空度0.1mTorrとし、基板温度を80℃とした後、エッ
チング処理室1内にガス導入系3よりヨウ化水素(H
I)ガスにアルゴン(Ar)ガスを混合したエッチング
ガスを圧力50mTorr、流量350sccmで導入し、高周波電源
6よりカソード4に周波数13.56MHz、出力2.5kW、また
は3.0kWを印加して高周波プラズマ雰囲気中で透明導電
性膜のエッチングを行なった。
【0050】そしてエッチングガス中のヨウ化水素ガス
に対するアルゴンガス量を0vol%から80vol%に種々変
化させて、エッチングガス中の各アルゴンガス量毎のエ
ッチングレートを測定し、その結果を図2(出力2.5kW
の場合は白丸で表し、出力3.0kWの場合は黒丸で表し
た)に示した。
【0051】図2から明らかなように、ヨウ化水素ガス
中のアルゴンガス量が0.5vol%から50vol%の範囲にお
いてエッチングレートがアルゴンガスを全く含まないヨ
ウ化水素ガスのみの場合、およびアルゴンガス量が50vo
l%を超えた場合におけるエッチングレートに比して向
上していることが確認された。また、ヨウ化水素ガス中
のアルゴンガス量を5vol%から20vol%とすることによ
りエッチングレートが10%〜20%上昇することが確認さ
れた。
【0052】実施例2 透明導電膜の絶縁物となる下地膜として酸化シリコン
(SiO2)または窒化シリコン(SiN)を用い、エ
ッチングガスとしてヨウ化水素ガスに対するアルゴンガ
ス量を15vol%とした混合ガスを用い、エッチングガス
圧力を20mTorrから60mTorrに種々変化させ、また、カソ
ードに印加する高周波の周波数を13.56MHzとし、出力を
3kWとした以外は前記実施例1と同様の方法で透明導電
性膜のエッチングを行なった。
【0053】そして各エッチングガス圧力毎のエッチン
グレート、並びに各エッチングガス圧力毎の酸化シリコ
ン(SiO2)と窒化シリコン(SiN)に対するエッ
チングレート比(選択比)を夫々測定し、その結果を図
3(エッチングガス圧力とエッチングレートとの関係は
黒丸で表し、また、エッチングガス圧力と選択比との関
係は白三角[酸化シリコン(SiO2)]並びに白丸
[窒化シリコン(SiN)]で表した)に示した。
【0054】比較例1 透明導電膜の絶縁物となる下地膜として酸化シリコン
(SiO2)または窒化シリコン(SiNx)を用い、エ
ッチングガスとしてメタン(CH4)ガス流量を200scc
m、塩化水素 (HCl)ガス流量を86sccmとし、メタン
(CH4)ガスと塩化水素(HCl)ガスの混合ガス
(CH4+30%HCl)を用い、エッチングガス圧力を7
mTorrから40mTorrに種々変化させ、また、電極間距離を
70mmとし、高周波の出力を3.0kWとし、基板温度を室温
(30℃)とした以外は前記実施例1と同様の方法で透明
導電膜のエッチングを行った。
【0055】そして各エッチングガス圧力毎のエッチン
グレート、並びに各エッチングガス圧力毎の酸化シリコ
ン(SiO2)と窒化シリコン(SiNx)に対するエッ
チングレート比(選択比)を夫々測定し、その結果を図
4(エッチングガス圧力とエッチングレートとの関係は
黒丸で表し、また、エッチングガス圧力と選択比との関
係は白三角[酸化シリコン(SiO2)]並びに黒三角
[窒化シリコン(SiNx)]で表した)に示した。
【0056】図3と図4のエッチングガス圧力とエッチ
ングレートとの関係から明らかなように、実施例2(本
発明法)ではエッチングレートは800〜900Å/minであ
るのに対し、比較例1(従来法)では500Å/min程度以
下のエッチングレートしか得られなかった。従って、ヨ
ウ化水素ガスにアルゴンガスを混合した高周波プラズマ
を用いた本発明の実施例2のエッチングレートは、従来
法の比較例1のエッチングレートに比較して大幅に向上
していることが確認された。
【0057】また、図3と図4のエッチングガス圧力と
選択比との関係から明らかなように、実施例2(本発明
法)では透明導電性膜の下地膜の絶縁物である窒化シリ
コン膜に対する選択比13〜8であり、酸化シリコン膜
に対する選択比10.5〜7.5であるのに対し、比較例1
(従来法)では10以下であった。従って、ヨウ化水素ガ
スにアルゴンガスを混合した高周波プラズマを用いた本
発明の実施例2の選択比は、エッチング分布±10%以内
を満足する実用的な条件で比較すると、HI/Ar系で
は12〜10に対して、CH4/HCl系では6以下であり、
従来法の比較例1の選択比に比較して1.6倍以上である
ことが確認された。
【0058】実施例3 エッチングガスとしてヨウ化水素(HI)ガスにアルゴ
ン(Ar)ガスを15vol%混合したエッチングガスを用
い、エッチングガス圧力を40mTorr、流量を400sccmと
し、カソードに印加する高周波の周波数を13.56MHzと
し、また、カソード4の循環水路12内に温水を温媒と
して循環させて基板7を介して透明導電膜を加熱した以
外は前記実施例1と同様の方法で透明導電性膜のエッチ
ングを行なった。
【0059】そして、透明導電性膜を温度35℃から130
℃に種々変化させると共に、カソードに印加する高周波
の出力を2.5kW、または3.0kWとした場合における透明導
電性膜の各温度におけるエッチングレートを測定し、そ
の結果を図5(出力2.5kWの場合は黒丸で表し、出力3.0
kWの場合は白丸で表した)に示した。
【0060】図5から明らかなように、透明導電膜を温
度40℃から130℃の範囲で加熱することにより、加熱し
ない場合に比してエッチングレートを向上させ得ること
が確認された。また、透明導電性膜の温度を60℃から12
0℃とすることによりエッチングレートが約20%以上向
上し、所定のパターンが形成されたことが確認された。
【0061】実施例4 エッチングガスとしてヨウ素(I)ガスにアルゴン(A
r)ガスを混合したエッチングガス用い、混合するアル
ゴンガス量を0vol%から80vol%に種々変化させた以外
は前記実施例1と同様の方法で基板上の透明導電性膜の
エッチングを行なった。
【0062】そして各アルゴンガス量毎のエッチングレ
ートを測定し、その結果を表1に示した。
【0063】実施例5 エッチングガスとして臭化水素(HBr)ガスにアルゴ
ン(Ar)ガスを混合したエッチングガスを用い、混合
するアルゴンガス量を0vol%から80vol%に種々変化さ
せた以外は前記実施例1と同様の方法で基板上の透明導
電性膜のエッチングを行なった。
【0064】そして各アルゴンガス量毎のエッチングレ
ートを測定し、その結果を表1に示した。
【0065】実施例6 エッチングガスとして臭素(Br)ガスにアルゴン(A
r)ガス混合したエッチングガスを用い、混合するアル
ゴンガス量を0vol%から80vol%に種々変化させた以外
は前記実施例1と同様の方法で基板上の透明導電性膜の
エッチングを行なった。
【0066】そして各アルゴンガス量毎のエッチングレ
ートを測定し、その結果を表1に示した。
【0067】実施例7 エッチングガスとしてヨウ化水素(HI)ガスにヘリウ
ム(He)ガスを混合したエッチングガスを用い、混合
するヘリウムガス量を0vol%から80vol%に種々変化さ
せた以外は前記実施例1と同様の方法で基板上の透明導
電性膜のエッチングを行なった。
【0068】そして各ヘリウムガス量毎のエッチングレ
ートを測定し、その結果を表1に示した。
【0069】実施例8 エッチングガスとして臭化水素(HBr)ガスにヘリウ
ム(He)ガスを混合したエッチングガスを用い、混合
するヘリウムガス量を0vol%から80vol%に種々変化さ
せた以外は前記実施例1と同様の方法で基板上の透明導
電性膜のエッチングを行なった。
【0070】そして各ヘリウムガス量毎のエッチングレ
ートを測定し、その結果を表1に示した。
【0071】
【表1】 実施例9 エッチングガスとしてヨウ化水素(HI)ガスにアルゴ
ン(Ar)ガスとヘリウム(He)ガスから成る混合ガ
ス(混合比率Ar:He=5vol:10vol)を混合したエ
ッチングガスを用い、混合する混合ガス(アルゴンガス
とヘリウムガス)量を0vol%から80vol%に種々変化さ
せた以外は前記実施例1と同様の方法で基板上の透明導
電性膜のエッチングを行なった。
【0072】そして各混合ガス(アルゴンガスとヘリウ
ムガス)量毎のエッチングレートを測定し、その結果を
表2に示した。
【0073】実施例10 エッチングガスとして臭化水素(HBr)ガスにアルゴ
ン(Ar)ガスとヘウム(He)ガスから成る混合ガス
(混合比率Ar:He=5vol:10vol)量を0vol%から8
0vol%に種々変化させた以外は前記実施例1と同様の方
法で基板上の透明導電性膜のエッチングを行なった。
【0074】そして各混合ガス(アルゴンガスとヘリウ
ムガス)量毎のエッチングレートを測定し、その結果を
表2に示した。
【0075】
【表2】 実施例11 透明導電性膜としてITOの代わりにSnO2を用いた
以外は前記実施例1と同様の方法で透明導電性膜のエッ
チングを行なった。
【0076】そして各アルゴンガス量毎のエッチングレ
ートを測定し、その結果を表3に示した。
【0077】実施例12 透明導電膜としてITOの代わりにZnOを用い、ま
た、エッチングガスとして臭化水素(HBr)ガスにア
ルゴン(Ar)ガスを15vol%混合したエッチングガス
を用い、エッチングガス圧力を50mTorr、流量350sccmと
し、カソードに印加する高周波を周波数13.56MHz、出力
3kWとした以外は前記実施例1と同様の方法で透明導電
膜のエッチングを行った。
【0078】そして各アルゴンガス量毎のエッチングレ
ートを測定し、その結果を表3に示した。
【0079】
【表3】 表1、表2、表3から明らかなように、本発明の各実施
例はエッチングガス中のアルゴンガス量またはヘリウム
ガス量、或いはアルゴンガスとヘリウムガスの混合ガス
量が0.5vol%から50vol%の範囲においてエッチングレ
ートがアルゴンガス、ヘリウムガス、或いはこれらの混
合ガスを全く含まないヨウ素、ヨウ化水素、臭素、臭化
水素ガスのみの場合、およびアルゴンガス量またはヘリ
ウムガス量、或いはアルゴンガスとヘリウムガスの混合
ガス量が50vol%超えた場合におけるエッチングレート
に比して向上していることが確認された。また、エッチ
ングガス中のアルゴンガス量またはヘリウムガス量、或
いはアルゴンガスとヘリウムガスの混合ガス量を5vol%
から20vol%とすることによりエッチングレートが10%
〜25%の向上が確認された。
【0080】実施例13 透明導電性膜としてITOの代わりにSnO2を用い、
また、エッチングガスとしてヨウ化水素(HI)ガスに
アルゴン(Ar)ガス量を15vol%混合したエッチング
ガスを用い、エッチングガス圧力を50mTorr、流量を360
sccmとし、カソードに印加する高周波の周波数を13.56M
Hzとし、出力を3kWとし、また、透明導電性膜を加熱し
た以外は前記実施例1と同様の方法で透明導電性膜のエ
ッチングを行なった。
【0081】そして、透明導電性膜の加熱をカソード内
に温水を温媒として循環させて基板の温度を上昇させて
行い、基板上の透明導電性膜の温度を35℃から205℃に
種々変化させた場合におけるエッチングレートを測定
し、その結果を表4に示した。
【0082】実施例14 透明導電性膜としてITOの代わりにZnOを用い、ま
た、エッチングガスとして臭化水素(HBr)ガスガス
にアルゴン(Ar)ガスを15vol%混合したエッチング
ガスを用い、エッチングガス圧力を50mTorr、流量を360
sccmとし、カソードに印加する高周波の周波数を13.56M
Hzとし、出力を3kWとし、また、透明導電性膜を加熱し
た以外は前記実施例1と同様の方法で透明導電性膜のエ
ッチングを行なった。
【0083】そして、透明導電性膜の加熱をカソード内
に温水を温媒として循環させて基板の温度を上昇させて
行い、基板上の透明導電性膜の温度を35℃から205℃に
種々変化させた場合におけるエッチングレートを測定
し、その結果を表4に示した。
【0084】
【表4】 表4から明らかなように、透明導電膜を温度40℃から13
0℃の範囲で加熱することにより、加熱しない場合に比
してエッチングレートを向上させ得ることが確認され
た。また、透明導電性膜の温度を60℃から120℃とする
ことによりエッチングレートが約10%〜25%向上するこ
とが確認された。
【0085】前記各実施例では高周波電源の周波数を1
3.56MHzとしたが、代わりに50kHz〜1MHz程度の高周波電
源を用いてもよい。
【0086】II.実験2(エッチング残渣) 実施例15 基板の大きさを縦300mm×横300mm×厚さ1.1mmとし、エ
ッチングガスとしてヨウ化水素(HI)ガスにアルゴン
(Ar)ガスを15vol%混合したエッチングガスを用
い、エッチングガス圧力を50mTorr、流量375sccmとし、
カソードに印加する高周波の周波数を13.56MHzとし、出
力を3kWとし、また、基板を80℃に加熱し、エッチング
時間を1分45秒とし、また、透明導電性膜の上に所定間
隔で所定幅のスリットが形成された厚さ1.2μmの有機物
フォトレジスト(東京応化工業株式会社製、商品名 OFP
R-800)から成るマスク材料で被覆した以外は前記実施
例1と同様の方法で透明導電膜のエッチングを行った。
【0087】そして、エッチング後の透明導電性膜の表
面を走査電子顕微鏡(略称SEM:倍率×30,000)で観
察し、その結果を図6(断面SEM写真)に示した。
尚、観察個所は基板中央と基板端から20mmないし100mm
の9点で行い、図6の観察個所は概してエッチング速度
の遅い基板端から100mmの個所で行った。
【0088】比較例2 基板の大きさを縦300mm×横300mm×厚さ1.1mmとし、エ
ッチングガスとしてメタン(CH4)ガスに塩化水素
(HCl)ガスを30vol%混合したエッチングガスを用
い、エッチングガス圧力を20mTorr、流量250sccmとし、
カソードに印加する高周波の周波数を13.56MHzとし、出
力を3kWとし、また、基板を加熱せず、エッチング時間
を4分とし、また、透明導電性膜の上に所定間隔で所定
幅のスリットが形成された厚さ1.2μmの有機物フォトレ
ジスト(東京応化工業株式会社製、商品名 OFPR-800)
から成るマスク材料で被覆した以外は前記実施例1と同
様の方法で透明導電膜のエッチングを行った。
【0089】そして、エッチング後の透明導電性膜の表
面を走査電子顕微鏡(略称SEM:倍率×15,000)で観
察し、その結果を図7(断面SEM写真)に示した。
尚、観察個所は基板端から50mmの個所で行った。
【0090】図6、図7から明らかなように、実施例1
5(本発明)ではエッチング生成物が金属ヨウ化物とし
てガス化し、排気されるため、レジストマスク以外の表
面に残渣が発生せず、透明導電性膜に所定のパターンが
形成されているのに対し、比較例2(従来法)ではエッ
チングガスとしてメタンガス(CH4)を用いた炭化水
素系のプラズマを使用しているため、InxCyの蒸気圧
が極めて低く、スパッタ収率(Sputter Yield)も極め
て低い、InxCyが生成され、レジストマスクの表面に
エッチング残渣が発生して、透明導電性膜に所定のパタ
ーンが形成されていないことが分かる。
【0091】実施例16 透明導電性膜上に載置するマスク材料として有機物フォ
トレジストの代わりに酸化シリコン(SiOx、x=1〜
2)を用いた以外は前記実施例15と同様の方法で透明
導電性膜にエッチングを行った後、透明導電性膜の表面
を走査電子顕微鏡(略称SEM:倍率×5,000)で観察
したところ、前記実施例15のマスク材料(有機物フォ
トレジスト)と同様に基板の表面に透明導電性膜の残渣
が発生せず、透明導電性膜に所定のパターンが形成され
ていることが分かった。
【0092】また、透明導電性膜上に載置するマスク材
料として有機物フォトレジストの代わりにチッ化シリコ
ン(SiNx、x=1〜1.33)、非晶質シリコン(a−S
i)を用いた以外は前記実施例15と同様の方法で透明
導電性膜にエッチングを行った後、透明導電性膜の表面
を走査電子顕微鏡(略称SEM)で観察し、その結果を
チッ化シリコンの場合は図8(A)(断面SEM写真:倍
率×25,000)に示し、非晶質シリコンの場合は図8(B)
(断面SEM写真:倍率×30,000)に示した。図8
(A)、(B)から明らかなように、いずれのマスク材
料とも、前記実施例15のマスク材料(有機物フォトレ
ジスト)と同様に基板の表面に透明導電性膜の残渣が発
生せず、透明導電性膜に所定のパターンが形成されてい
ることが分かった。
【0093】III.実験3(エッチングの再現性、および
プラズマ反応室のクリーニング) 実施例17 基板の大きさを縦300mm×横300mm×厚さ1.1mmとし、エ
ッチングガスとしてヨウ化水素(HI)ガスにアルゴン
(Ar)ガスを15vol%混合したエッチングガスを用
い、エッチングガス圧力を50mTorr、流量375sccmとし、
カソードに印加する高周波の周波数を13.56MHzとし、出
力を3kWとし、また、基板を80℃に加熱し、 エッチン
グ時間を1分30秒とした以外は前記実施例1と同様の方
法で透明導電膜のエッチングを400枚連続して行っ
た。
【0094】また、各エッチング毎に金属顕微鏡(倍率
×50)で全面観察し、また、25枚毎にSEMで表面
観察を行った。尚、エッチングレートはエンドポイント
の波形から算出した。
【0095】そして、透明導電性膜のエッチングレート
と処理枚数の関係を調べ、その結果を図9(白丸で表し
た)に示した。
【0096】比較例3 基板の大きさを縦300mm×横300mm×厚さ1.1mmとし、エ
ッチングガスとしてメタン(CH4)ガスに塩化水素
(HCl)ガスを30vol%混合したエッチングガスを用
い、エッチングガス圧力を20mTorr、流量250sccmとし、
カソードに印加する高周波の周波数を13.56MHzとし、出
力を3kWとし、また、基板を加熱せず、エッチング時間
を3分とした以外は前記実施例1と同様の方法で透明導
電膜のエッチングを365枚連続して行った。
【0097】また、各エッチング毎に金属顕微鏡(倍率
×100)で表面観察を行った。尚、エッチングレート
はエンドポイントの波形から算出した。
【0098】エッチングレートが低下した時点でチャン
バー内を酸素(O2)ガス、流量200sccm、高周波入力電
力2kW、2時間のクリーニング処理を行った後、チャン
バー内および電極表面をアセトンまたはメタノールのふ
き取りによる清浄化処理を行った。
【0099】そして、透明導電性膜のエッチングレート
と処理枚数の関係を調べ、その結果を図9(黒丸で表し
た)に示した。
【0100】図9から明らかなように、実施例17(本
発明)ではエッチングガスとしてヨウ化水素(HI)ガ
スとアルゴン(Ar)ガスの混合ガスを用いているた
め、従来法のようなカーボン系のポリマーの堆積がない
ので、エッチングレートが非常に安定となる。従って、
エッチング処理室のクリーニング周期は透明導電性膜へ
のエッチング処理400枚以上と大幅に延長することが
出来るのに対し、比較例3(従来法)ではエッチングガ
スとしてCH4を用いた炭化水素系のプラズマを使用し
ているため、エッチング処理室、或いは電極上にカーボ
ン系のポリマーが堆積し、エッチングレートが非常に不
安定になる。従って、堆積したポリマーを除去するため
に、プラズマ反応室のクリーニングを頻繁に行う必要が
あり、クリーニング周期は透明導電性膜へのエッチング
処理30枚前後毎と極めて短い。
【0101】VI.実験4(ハロゲンガス或いはハロゲン
化物ガスを2種以上混合) 前記実施例1〜14では不活性ガス(アルゴンガス、ヘ
リウムガス或いはアルゴンとヘリウムの混合ガス)を混
入するハロゲンガス或いはハロゲン化物ガスとしてヨウ
化水素ガス、ヨウ素ガス、臭化水素ガス、臭素ガスのい
ずれかを単独で用いたが、以下の実験ではハロゲンガス
或いはハロゲン化物ガスとして、これらを2種以上混合
したガスを用い、これに不活性ガスを混入してエッチン
グガスとし、エッチングレート並びにエッチング残渣を
調べることとした。
【0102】実施例18 ハロゲンガス或いはハロゲン化物ガスとしてヨウ化水素
(HI)ガスと臭素(Br)ガスの混合ガス(混合比率
HI:Br=70vol:30vol)を用い、これに混入する不
活性ガスとしてアルゴン(Ar)ガスを用い、アルゴン
ガス量を15vol%とした以外は実施例1と同様の方法で
基板上の透明導電性膜のエッチングを行ったところ、従
来法に比較してエッチングレートは向上し、残渣のない
安定したエッチングが可能であった。
【0103】実施例19 ハロゲンガス或いはハロゲン化物ガスとしてヨウ素
(I)ガスと臭化水素(HBr)ガスの混合ガス(混合
比率I:HBr=60vol:40vol)を用い、これに混入す
る不活性ガスとしてヘリウム(He)ガスを用い、ヘリ
ウムガス量を15vol%とし、基板上の透明導電性膜温度
を80℃とした以外は実施例3と同様の方法で基板上の透
明導電性膜にエッチングを行ったところ、従来法に比較
してエッチングレートは向上し、残渣のない安定したエ
ッチングが可能であった。
【0104】
【発明の効果】本発明の透明導電性膜のドライエッチン
グ方法によるときは、従来のドライエッチング法のよう
なメタン等の炭化水素系プラズマを使用せずに、エッチ
ングガスとしてハロゲンガス或いはハロゲン化物ガスを
含むガスを用い、高周波プラズマを使用しているため、
従来法のようなプラズマ反応室或いは電極上にカーボン
系のポリマーの堆積がないので、プラズマ反応室のクリ
ーニングを頻繁に行うことなく、透明導電性膜へのエッ
チングレートを向上させることが出来ると共に、安定し
たエッチングレートが得られる等の効果がある。
【0105】また、ハロゲンガス或いはハロゲン化物ガ
スに混合するアルゴンガス、ヘリウムガスまたはアルゴ
ンとヘリウムの混合ガスのガス量を5〜20vol%としてエ
ッチングを行うときは、エッチングレートを更に10%〜
25%向上させることが出来る。
【0106】また、透明導電性膜の表面に有機物フォト
レジスト、酸化シリコン、非晶質シリコン、チッ化シリ
コンから成る群より選択された一材料で構成されたパタ
ーンのマスクで部分的に被覆してエッチングを行うとき
は、所定マスクパターン以外の透明導電性膜表面に従来
法のようなカーボン系の残渣物の発生がないので、透明
導電性膜に所定形状のパターンを形成することが出来
る。
【0107】また、透明導電性膜を40〜130℃に加熱
した状態でエッチングを行うときは、透明導電性膜への
エッチングレートを更に向上させることが出来る。
【0108】また、透明導電性膜を60〜120℃に加
熱した状態でエッチングを行うときは、透明導電性膜へ
のエッチングレートを更に20%〜30%向上させることが出
来る。
【0109】また、ハロゲンガス或いはハロゲン化物ガ
スとして臭素、臭化水素、ヨウ素、ヨウ化水素から成る
群より選択された少なくとも1種を用いるときは、エッ
チングレートを700Å/min以上とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法を実施するためのエッチング装置
の1例の説明線図、
【図2】 本発明方法の1実施例におけるエッチングガ
ス中のアルゴンガス量とエッチングレートとの関係を示
す特性値図、
【図3】 本発明方法の1実施例におけるエッチングガ
ス圧力とエッチングレートとの関係を示す特性線図と、
エッチングガス圧力と対SiO2、対SiNの選択比と
の関係を示す特性線図、
【図4】 従来法におけるエッチングガス圧力とエッチ
ングレートとの関係を示す特性線図と、エッチングガス
圧力と対SiO2、対SiNの選択比との関係を示す特
性線図、
【図5】 本発明方法の1実施例における透明導電性膜
の温度とエッチングレートとの関係を示す特性線図、
【図6】 本発明方法の1実施例におけるエッチング後
の基板上の透明導電性膜のパターン断面状態を表す図面
代用写真、
【図7】 従来法におけるエッチング後の基板上の透明
導電性膜のパターン断面状態を表す図面代用写真、
【図8】 本発明方法の他の実施例におけるエッチング
後の基板上の透明導電性膜のパターン断面状態を表す図
面代用写真であり、(A)はマスク材料としてチッ化シ
リコンを用いた場合であり、(B)はマスク材料として
非晶質シリコンを用いた場合である、
【図9】 本発明方法と従来法におけるエッチング安定
性の比較、透明導電性膜のエッチング枚数とエッチング
レートとの関係を示す特性値図。
【符号の説明】
1 エッチング処理室、 2 真空排気系、3
ガス導入系、 4 カソード、 5 アノー
ド、6 高周波電源、 7 基板、 10
基板クランプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/304 341 D 31/04 (72)発明者 太田 賀文 千葉県山武郡山武町横田523 日本真空技 術株式会社千葉超材料研究所内 (72)発明者 中村 久三 千葉県山武郡山武町横田523 日本真空技 術株式会社千葉超材料研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲンガス或いはハロゲン化物ガスを
    含むエッチングガスの高周波プラズマを利用して、基板
    上のSnO2或いはIn23或いはZnOを主成分とす
    る透明導電性膜をエッチング加工する方法において、前
    記エッチングガスはアルゴンガス、ヘリウムガス等の不
    活性ガスから成る群より選択された少なくとも1種を0.
    5〜50vol%含むガスであることを特徴とする透明導電性
    膜のドライエッチング方法。
  2. 【請求項2】 前記エッチングガスはアルゴンガス、ヘ
    リウムガス等の不活性ガスから成る群より選択された少
    なくとも1種を5〜20vol%含むガスであることを特徴と
    する請求項第1項に記載の透明導電性膜のドライエッチ
    ング方法。
  3. 【請求項3】 前記エッチングガスはヘリウムガスを含
    むガスであることを特徴とする請求項第1項または第2
    項に記載の透明導電性膜のドライエッチング方法。
  4. 【請求項4】 前記透明導電性膜の表面を有機物フォト
    レジスト、酸化シリコン、非晶質シリコンおよびチッ化
    シリコンから成る群より選択された一材料で構成された
    所定形状のパターンマスクで部分的に被覆してエッチン
    グすることを特徴とする請求項第1項ないし第3項のい
    ずれか1項に記載の透明導電性膜のドライエッチング方
    法。
  5. 【請求項5】 前記透明導電性膜を40〜130℃に加熱す
    ることを特徴とする請求項第4項に記載の透明導電性膜
    のエッチング方法。
  6. 【請求項6】 前記透明導電性膜を60〜120℃に加熱す
    ることを特徴とする請求項第5項に記載の透明導電性膜
    のエッチング方法。
  7. 【請求項7】 前記ハロゲンガス或いはハロゲン化物ガ
    スは臭素、臭化水素、ヨウ素、ヨウ化水素から成る群よ
    り選択された少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の透明導
    電性膜のドライエッチング方法。
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