JP3766453B2 - 透明導電膜およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透明導電膜、特に脱ガスを生じるような基材上に成膜される低抵抗の透明導電膜と、このような透明導電膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、種々の電子部品、画像表示装置等に透明導電膜が使用されており、この透明導電膜は酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2 )等、およびその合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の成膜方法により形成されていた。
【0003】
上記の成膜方法のうち、スパッタリング法では、例えば、ITO酸化物ターゲット材をArイオンでスパッタして基板上にITO膜を形成するものである。このようなITO膜は、成膜時の基材温度および成膜後のアニール温度を200〜300℃として結晶化させることにより低抵抗化がなされ、パターニング特性が付与されていた。
【0004】
しかし、透明導電膜の成膜対象である基材のなかには、成膜時の加熱等が原因で水分や有機成分等のガスを発生する脱ガス現象を生じるものがある。このように基材からの脱ガスがある場合、発生するガスによって透明導電膜中に結晶粒塊が生じて粗密な膜となり、透明導電膜の低抵抗化が阻害される。また、例えば、透明導電膜の成膜対象が液晶ディスプレイ用のカラーフィルタを備えた基材の場合、透明導電膜に生じた上記の結晶粒塊が原因で、透明導電膜の表面と接する液晶の配向状態に悪影響が生じるという問題がある。
【0005】
このため、脱ガスを生じる基材上に予めガスバリアー性の薄膜を形成し、この薄膜上に透明導電膜を形成することが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のガスバリアー性の薄膜は、珪素酸化物等の無機薄膜や合成樹脂等の有機薄膜のような電気絶縁性の薄膜であり、このようなガスバリアー性薄膜を形成することにより、透明導電膜の製造工程が複雑になり、製造コストの上昇を来たしていた。
【0007】
また、通常、透明導電膜はエッチングによるパターニングが行われるが、上述のようにガスバリアー性の薄膜が存在する場合、この薄膜と透明導電膜とを1種のエッチング剤で同時エッチングすることが困難であり、パターニング工程が煩雑になるという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、脱ガスを生じるような耐熱性にとぼしい基材上に成膜される低抵抗の透明導電膜と、このような透明導電膜を簡便に形成することができる製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の透明導電膜は耐熱性にとぼしい基材上に形成され、組成が同一である非晶質性の下層膜と結晶質性の上層膜とを有し、膜厚方向において結晶構造が異なり、前記下層膜はガスバリアー性を有し比抵抗が1×10 -3 〜10×10 -3 Ω・cmの範囲で厚みが100〜500Åの範囲であり、前記上層膜は比抵抗が1×10 -4 〜10×10 -4 Ω・cmの範囲で厚みが100〜2500Åの範囲であるような構成とした。
【0012】
また、本発明の透明導電膜の製造方法は、所望の組成のターゲット材を使用し、基材温度を非晶質性の薄膜形成が可能な温度に設定して基材上にスパッタリング法によって非晶質性の下層膜を形成した後、前記ターゲット材と同一組成のターゲット材を使用し、前記基材温度を高く設定する操作を行い、スパッタリング法によって前記下層膜上に結晶質性の上層膜を形成して透明導電膜とするような構成とした。
【0013】
さらに、本発明の透明導電膜の製造方法は、所望の組成のターゲット材を使用し、非晶質性の薄膜形成が可能な水素分圧に設定して基材上にスパッタリング法によって非晶質性の下層膜を形成した後、前記ターゲット材と同一組成のターゲット材を使用し、前記水素分圧を低く設定する操作を行い、スパッタリング法によって前記下層膜上に結晶質性の上層膜を形成して透明導電膜とするような構成とした。
【0014】
このような本発明の透明導電膜では、非晶質性の下層膜が緻密で粒塊構造をもたないため、比抵抗がやや大きいもののガスバリアー性を備え、結晶質性の上層膜は比抵抗の小さい層であり、上記の下層膜によって、透明導電膜の成膜対象である基材から発生したガスの影響で上層膜中に結晶粒塊を生じることが阻止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の透明導電膜の構成を示す概略断面図である。図1において、透明導電膜1は基材5上に形成されており、非晶質性の下層膜2と結晶質性の上層膜3、および、下層膜2と上層膜3との間に位置し非晶質性と結晶質性の両方の結晶構造が混在する中間層4とを有している。このように、本発明の透明導電膜1は膜厚方向において結晶構造が異なることを特徴とする。
【0017】
非晶質性の下層膜2は、透光性を有し、比抵抗は1×10-3〜10×10-3Ω・cm程度であり、かつ、ガスバリアー性を備えている。一方、結晶質性の上層膜3は、透光性を有し、比抵抗は1×10-4〜10×10-4Ω・cm程度と小さいものである。また、中間層4は、非晶質性と結晶質性の両方の結晶構造が混在するため、中間層4の比抵抗およびガスバリアー性は下層膜2と上層膜3の中間的なものとなる。
【0018】
上述の透明導電膜1は、下層膜2の組成と上層膜3の組成が異なるものであってよく、また、同一のものであってもよい。下層膜2は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2 )、酸化亜鉛(ZnO)およびその合金(ZnO:Al)等で形成された非晶質性の薄膜であり、上層膜3は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO2 )、酸化亜鉛(ZnO)およびその合金(ZnO:Al)等で形成された結晶質性の薄膜である。
【0019】
このなかで、透明導電膜1を構成する下層膜2の組成と上層膜3の組成が異なる場合の好ましい組み合わせは、下層膜/上層膜がIZO/ITOである。下層膜2を構成するIZOは、ITOからなる結晶質性の上層膜3をスパッタリング法により形成する条件と同一の条件で成膜したときに、粒塊構造をもたない非晶質性の緻密な薄膜となり、比抵抗がやや大きいもののガスバリアー性を備える透明導電膜である。また、下層膜2の組成と上層膜3の組成が同一である場合の好ましい組み合わせは、下層膜/上層膜がITO/ITOである。この場合、スパッタリング法による下層膜2の形成条件と上層膜3の形成条件とを変化させることにより、非晶質性ITOからなる下層膜2と、結晶質性ITOからなる上層膜3が形成される。
【0020】
このような透明導電膜1の厚みは200〜10000Å、好ましくは1000〜3000Å程度であり、下層膜2の厚みは100〜500Å程度、上層膜3の厚みは100〜2500Å、中間層4の厚みは0〜2000Å程度とすることができる。
【0021】
上述の透明導電膜1では、透明導電膜の形成時に基材5から水分、有機成分等のガスが発生しても、非晶質性で緻密な下層膜2のガスバリアー性によって、発生したガスの影響が上層膜3まで及ぶことが阻止されるので、上層膜3中に結晶粒塊が生じることがなく、上層膜3は結晶質性が良好で比抵抗の低いものとなる。
【0022】
尚、上述の透明導電膜1は下層膜2、上層膜3および中間層4からなる層構成であるが、本発明の透明導電膜はこれに限定されるものではない。すなわち、後述するように、非晶質性の下層膜の形成から連続して結晶質性の上層膜の形成を行えば、必然的に中間層が下層膜と上層膜との間に形成された透明導電膜となる。一方、非晶質性の下層膜を形成した後、非連続的に上層膜の形成を行えば、下層膜と上層膜との界面が明確で中間層が存在しない透明導電膜となる。
【0023】
次に、上述のような本発明の透明導電膜の製造方法を説明する。
【0024】
本発明の透明導電膜の製造方法の第1の態様は、下層膜用と上層膜用で異なる組成のターゲット材を用いてスパッタリング法により成膜するものである。すなわち、まず、150〜200℃の温度範囲において非晶質性の薄膜形成が可能なターゲット材を使用し、基材上にスパッタリング法によって非晶質性の下層膜を形成する。続いて、上記ターゲット材とは組成の異なるターゲット材(上層膜用)を使用し、スパッタリング法によって下層膜上に結晶質性の上層膜を形成して透明導電膜とする。この場合、スパッタリング法による透明導電膜の成膜時の基材の温度、真空チャンバー内の雰囲気ガス、雰囲気圧力等の成膜条件は、下層膜用のターゲット材による非晶質性の下層膜形成が可能な条件、上層膜用のターゲット材による結晶質性の上層膜形成が可能な条件とすることができる。例えば、上述のように下層膜の組成と上層膜の組成が異なる場合の好ましい組み合わせとして、下層膜/上層膜がIZO/ITOとした場合、IZOからなる非晶質性の下層膜の成膜条件と、ITOからなる結晶質性の上層膜の成膜条件とをほぼ同一とすることができる。したがって、後述するよな本発明の透明導電膜製造装置を使用することにより、非晶質性の下層膜形成と結晶質性の上層膜形成を連続的に行うことができる。この場合、製造される透明導電膜は、図1に示されるように下層膜2、上層膜3および中間層4からなる層構成である。
【0025】
また、本発明の透明導電膜の製造方法の第2の態様は、同一組成の下層膜用ターゲット材と上層膜用ターゲット材を用い、成膜条件を変えてスパッタリング法により成膜するものである。すなわち、まず、所望の組成のターゲット材(下層膜用)を使用し、基材温度を非晶質性の薄膜形成が可能な温度に設定して基材上にスパッタリング法によって非晶質性の下層膜を形成する。次いで、同一組成のターゲット材(上層膜用)を使用し、基材温度を高く設定する操作を行い、スパッタリング法によって下層膜上に結晶質性の上層膜を形成して透明導電膜とする。
【0026】
例えば、ITOからなる非晶質性の下層膜と、ITOからなる結晶質性の上層膜を、基材温度を変えることによってスパッタリング法により成膜する場合において、真空チャンバー内の雰囲気ガス、雰囲気圧力をITO膜の結晶化を妨げないような条件に設定し、まず、下層膜の形成時の基材温度を非晶質性の薄膜形成が可能な室温乃至100℃程度の低い範囲で設定することによってITO膜の結晶化を妨げることができ、均一な非晶質性の下層膜が得られる。次に、基材温度を高く設定(150〜200℃)することによって、結晶質性の上層膜を下層膜上に形成することができる。下層膜の形成から上層膜の形成への移行に際しての基材温度の上昇を、同一真空チャンバー内で連続的に行うことにより、図1に示されるように下層膜2、中間層4、上層膜3の順に積層された透明導電膜1が得られる。
【0027】
さらに、本発明の透明導電膜の製造方法の第3の態様は、上述の第2の態様と同様に、同一組成の下層膜用ターゲット材と上層膜用ターゲット材を用い、成膜条件を変えてスパッタリング法により成膜するものであるが、この場合、まず、所望の組成のターゲット材(下層膜用)を使用し、基材温度と水素分圧を所定の条件に設定して基材上にスパッタリング法によって非晶質性の下層膜を形成し、次いで、同一組成のターゲット材(上層膜用)を使用し、水素分圧を低く設定(水素分圧=0を含む)する操作を行い、スパッタリング法によって下層膜上に結晶質性の上層膜を形成して透明導電膜とする。
【0028】
例えば、ITOからなる非晶質性の下層膜と、同じくITOからなる結晶質性の上層膜を、水素分圧を変えることによってスパッタリング法により成膜する場合、基材温度をITOの結晶化を妨げないような温度(150〜200℃)に設定し、まず、下層膜の形成時の真空チャンバー内に水素を導入して水素分圧を高く設定することによってITO膜の結晶化を妨げて均一な非晶質性の下層膜を形成する。次に、水素の導入を停止して水素分圧を低く設定(水素分圧=0を含む)することによって、結晶質性の上層膜を下層膜上に形成することができる。下層膜の形成から上層膜の形成への移行に際しての水素分圧の減少を、同一真空チャンバー内で連続的に行うことにより、図1に示されるように下層膜2、中間層4、上層膜3の順に積層された層構成の透明導電膜1が得られる。尚、上記の水素分圧の設定は、真空チャンバーへの水素ガスの導入量により制御できる。
【0029】
上述の例では、非晶質性の下層膜の形成時と結晶質性の上層膜の形成時において、基材温度を変化させる場合と、水素分圧を変化させる場合とを挙げたが、これらの組み合わせにより透明導電膜を形成してもよい。
【0030】
次に、本発明の透明導電膜の製造方法に使用できる透明導電膜製造装置について説明する。
【0031】
図2は本発明の透明導電膜の製造方法に使用できる透明導電膜製造装置の一例を示す概略構成図である。図2において、透明導電膜製造装置11は、真空チャンバー12と、この真空チャンバー12内を一定方向に往復移動可能な基材ホルダー13と、2個のターゲット材取り付け板14a,14bと、基材ホルダー13に保持した基材を所定温度に加熱するための加熱手段15とを備えている。
【0032】
真空チャンバー12は、2か所のガス供給口12aと2か所のガス排気口12bとを有し、これらはそれぞれ外部のガス供給装置(図示せず)と排気装置(図示せず)に接続されている。この真空チャンバー12は特に制限されるものではなく、従来公知のスパッタリング装置に用いられている真空チャンバーを使用することがでる。
【0033】
基材ホルダー13は、レール、ワイヤー等の任意の案内治具により真空チャンバー12内を往復移動(図示例では横方向に移動)することができ、この基材ホルダー13の移動方向に沿って2個のターゲット材取り付け板14a,14bと加熱手段15が配設されている。図示例では、基材ホルダー13の下方に2個のターゲット材取り付け板14a,14bが所定の間隔で配設され、基材ホルダー13の上方に加熱手段15が配設されている。
【0034】
ターゲット材取り付け板14a,14bは、特に制限されるものではなく、従来公知のスパッタリング装置に用いられているものを使用することがでる。また、ターゲット材取り付け板14a,14bに保持されたターゲット材をスパッタする方式は、従来公知のいずれのスパッタ方式であってもよく、使用する方式によって、ターゲット材取り付け板14a,14bあるいはその近傍に電極、磁石等を配設することができる。
【0035】
次に、下層膜がIZOで上層膜がITOからなる本発明の透明導電膜を、上述の透明導電膜製造装置11を用いて製造する場合について説明する。
【0036】
まず、基材ホルダー13に所望の基材Sを保持し、また、真空チャンバー12内に位置するターゲット材取り付け板14aに下層膜(IZO)用のターゲット材T1 を取り付け、ターゲット材取り付け板14bに上層膜(ITO)用のターゲット材T2 を取り付ける。そして、ガス排気口12bにより真空チャンバー12内を所定の圧力まで減圧した後、ガス供給口12aからアルゴン(Ar)ガス等の雰囲気ガスを所定圧になるまで真空チャンバー12内に供給する。
【0037】
次に、図2に実線で示される位置(図の左側、ターゲット材取り付け板14aの上方)に基材ホルダー13を位置せしめ、加熱手段15により基材Sを150〜200℃の範囲内で所定の温度に加熱し、ターゲット材T1 およびターゲット材T2 のスパッタを開始するとともに、基材ホルダー13を図面右方向に所定の速度で移動させる。基材ホルダー13がターゲット材T1 の上方に位置する初期の状態では、ターゲット材T1 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)のみが基材Sに到達することができ、基材S上にIZOからなる非晶質性の下層膜が形成される。そして、基材ホルダー13が図面右方向に移動するにしたがって、ターゲット材T2 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)も基材Sに到達するようになる。このため、IZOとITOが混在した中間層が上記の下層膜上に形成される。さらに基材ホルダー13が右方向に移動して図2に仮想線で示される位置(図の右側、ターゲット材取り付け板14bの上方)に達すると、ターゲット材T1 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)は基材Sに到達することができず、ターゲット材T2 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)のみが基材Sに到達する。これにより、中間層上にITOからなる結晶質性の上層膜が形成され、図1に示されるように下層膜2、中間層4および上層膜3の順に積層された層構成の透明導電膜1が形成される。
【0038】
上述のように透明導電膜製造装置11を用いることによって、ガスバリアー性を有する非晶質性の下層膜形成から、良好な比抵抗を有する上層膜形成を連続的に行うことができ、基材Sが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムや、顔料、樹脂等からなるカラーフィルタ基板や液晶高分子複合膜等のような耐熱性にとぼしく脱ガスを生じるような基材であっても、この脱ガスの影響を下層膜により遮断して、結晶質性の良好な上層膜を形成することができる。
【0039】
図3は本発明の透明導電膜の製造方法に使用することができる透明導電膜製造装置の他の例を示す概略構成図である。図3において、透明導電膜製造装置21は、真空チャンバー22と、この真空チャンバー22内を一定方向に往復移動可能な基材ホルダー23と、2個のターゲット材取り付け板24a,24bと、基材ホルダー23に保持した基材を所定温度に加熱するための加熱手段25とを備えている。この透明導電膜製造装置21は、加熱手段25が加熱手段15と異なる点を除いて、上述の透明導電膜製造装置11と同様の構成である。そして、透明導電膜製造装置21における加熱手段25は、基材温度を独立して設定することができる複数の加熱手段からなり、図示例では、基材ホルダー23の移動方向に沿って2個の加熱手段25aと25bが配設されている。
【0040】
次に、下層膜と上層膜がともにITOからなる透明導電膜を、上述の透明導電膜製造装置21を使用し製造する場合について説明する。
【0041】
まず、基材ホルダー23に所望の基材Sを保持し、また、真空チャンバー22内に位置するターゲット材取り付け板24aに下層膜(ITO)用のターゲット材T1 を取り付け、ターゲット材取り付け板24bに上層膜(ITO)用のターゲット材T2 (ターゲット材T1 と同組成)を取り付ける。そして、ガス排気口22bにより真空チャンバー22内を所定の圧力まで減圧した後、ガス供給口22aからアルゴン(Ar)ガス等の雰囲気ガスを所定圧になるまで真空チャンバー22内に供給する。
【0042】
次に、図3に実線で示される位置(図の左側、ターゲット材取り付け板24aの上方)に基材ホルダー23を位置せしめ、加熱手段25aは基材Sを室温〜100℃程度の比較的低温とするように設定し、また、加熱手段25bは基材Sを150〜200℃程度の比較的高温とするように設定する。次に、ターゲット材T1 およびターゲット材T2 のスパッタを開始するとともに、基材ホルダー23を図面右方向に所定の速度で移動させる。基材ホルダー23がターゲット材T1 の上方に位置する初期の状態では、ターゲット材T1 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)のみが基材Sに到達することができ、このとき基材Sの温度はITOの結晶化を生じる温度になっていないため、基材S上にITOからなる非晶質性の下層膜が形成される。そして、基材ホルダー23が図面右方向に移動するにしたがって、基材Sの温度が徐々に上昇し、また、ターゲット材T2 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)も基材Sに到達するようになる。このため、非晶質性のITOと結晶質性のITOが混在した中間層が上記の下層膜上に形成される。さらに基材ホルダー23が右方向に移動して図3に仮想線で示される位置(図の右側、ターゲット材取り付け板24bの上方)に達すると、ターゲット材T2 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)のみが基材Sに到達し、ターゲット材T1 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)は基材Sに到達することができなくなる。この状態では、基材Sは加熱手段25bにより所定の高温に加熱されているため、中間層上にITOからなる結晶質性の上層膜が形成され、図1に示されるように下層膜2、中間層4および上層膜3の順に積層された層構成の透明導電膜1が形成される。
【0043】
上述のように透明導電膜製造装置21を用いることによって、基材温度を連続的に変化(低温から高温)させて、ガスバリアー性を有する非晶質性の下層膜形成から、良好な比抵抗を有する上層膜形成までを連続的に行うことができ、基材Sが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムや、顔料、樹脂等からなるカラーフィルタ基板や液晶高分子複合膜等のような耐熱性にとぼしく脱ガスを生じるような基材であっても、この脱ガスの影響を下層膜により遮断して、結晶質性の良好な上層膜を形成することができる。
【0044】
図4は本発明の透明導電膜の製造方法に使用できる透明導電膜製造装置の他の例を示す概略構成図である。図4において、透明導電膜製造装置31は、真空チャンバー32と、この真空チャンバー32内を一定方向に往復移動可能な基材ホルダー33と、2個のターゲット材取り付け板34a,34bと、基材ホルダー33に保持した基材を所定温度に加熱するための加熱手段35とを備えている。この透明導電膜製造装置31は、水素ガス供給口32cがガス排気口32bの近傍に設けられている点を除いて、上述の透明導電膜製造装置11と同様の構成である。上記の水素ガス供給口32cは、2個あるガス排気口32bのうち、図面左側のガス排気口32bの近傍に配設されている。
【0045】
次に、下層膜と上層膜がともにITOからなる透明導電膜を、上述の透明導電膜製造装置31を使用し製造する場合について説明する。
【0046】
まず、基材ホルダー33に所望の基材Sを保持し、また、真空チャンバー32内に位置するターゲット材取り付け板34aに下層膜(ITO)用のターゲット材T1 を取り付け、ターゲット材取り付け板34bに上層膜(ITO)用のターゲット材T2 (ターゲット材T1 と同組成)を取り付ける。そして、ガス排気口32bにより真空チャンバー32内を所定の圧力まで減圧した後、ガス供給口32aからアルゴン(Ar)ガス等の雰囲気ガスを所定圧になるまで真空チャンバー32内に供給する。
【0047】
次に、図4に実線で示される位置(図の左側、ターゲット材取り付け板34aの上方)に基材ホルダー33を位置せしめ、加熱手段35により基材Sを150〜200℃の範囲内で所定の温度に加熱する。次いで、水素ガス供給口32cから水素ガスを所定の導入量(10〜100sccm)で導入する。これにより、導入された水素ガスは図面左下側から真空チャンバー32内に拡散するとともに、図面左下に配設されたガス排気口32bにより排気されるので、ターゲット材T1 の上方領域が所定の水素分圧を示すことになる。一方、ターゲット材T2 の上方領域には水素ガスがほとんど拡散しないため、この領域の水素分圧は低い(水素分圧=0を含む)ものとなる。そして、ターゲット材T1 およびターゲット材T2 のスパッタを開始するとともに、基材ホルダー33を図面右方向に所定の速度で移動させる。基材ホルダー33がターゲット材T1 の上方に位置する初期の状態では、ターゲット材T1 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)のみが基材Sに到達することができ、このときターゲット材T1 と基材Sとの間には水素ガスが存在しているため、ITOの結晶化が妨げられ、基材S上にITOからなる非晶質性の下層膜が形成される。そして、基材ホルダー33が図面右方向に移動するにしたがって、水素分圧が徐々に減少し、また、ターゲット材T2 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)も基材Sに到達するようになる。このため、非晶質性のITOと結晶質性のITOが混在した中間層が上記の下層膜上に形成される。さらに基材ホルダー33が右方向に移動して図4に仮想線で示される位置(図の右側、ターゲット材取り付け板34bの上方)に達すると、ターゲット材T2 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)のみが基材Sに到達し、ターゲット材T1 から放出された飛来物(ラジカル、イオン等)は基材Sに到達することができなくなる。この状態では、ターゲット材T2 と基材Sとの間に水素ガスがほとんど存在しないため、ITOの結晶化が生じ、中間層上にITOからなる結晶質性の上層膜が形成され、図1に示されるように下層膜2、中間層4および上層膜3の順に積層された層構成の透明導電膜1が形成される。
【0048】
上述のように透明導電膜製造装置31を用いた透明導電膜の製造では、水素分圧を連続的に変化(高圧から低圧(0も含む))させることによって、ガスバリアー性を有する非晶質性の下層膜形成から、良好な比抵抗を有する上層膜形成までを連続的に行うことができ、基材Sが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムや、顔料、樹脂等からなるカラーフィルタ基板や液晶高分子複合膜等のような耐熱性にとぼしく脱ガスを生じるような基材であっても、この脱ガスの影響を下層膜により遮断して、結晶質性の良好な上層膜を形成することができる。尚、例えば、基材ホルダー33が上述したようなターゲット材取り付け板34aと34bの略中間に達した時点で水素ガス供給口32cからの水素ガスの供給を停止してもよい。また、水素ガス供給口32cの位置および数は、上述の例に限定されるものではない。
【0049】
上述したような透明導電膜製造装置では、透明導電膜を構成する上層膜の結晶化をより向上させるために、上層膜の形成時に基材Sに対して光を照射したり、基材Sを振動させるようにしてもよい。基材Sに対して光を照射する場合、波長が150〜400nm程度の紫外光が好ましく使用することができ、真空チャンバー内に、超高圧、高圧、中圧、低圧の金属蒸気ガス、希ガス、水素を用いた光源、例えば、高圧水銀ランプ等の光源を配設して、基材Sの表面を照射することができる。一方、基材Sを振動させる場合、800kHz〜10MHz程度の振動が好ましく、基材ホルダーにPZT、ZnO等の超音波振動子等を接続することができる。
【0050】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
顔料分散法により液晶ディスプレイ用のカラーフィルタを一方の面に形成した厚み1.1mmのガラス基材を、図2に示されるような本発明の透明導電膜製造装置の基材ホルダー上にカラーフィルタ側がターゲット材取り付け板に対向するように保持した。また、第1のターゲット材取り付け板(図2のターゲット材取り付け板14aに相当)にターゲット材(In2 O3 −ZnO燒結体(ZnO30重量%))を取り付け、第2のターゲット材取り付け板(図2のターゲット材取り付け板14bに相当)にターゲット材(In2 O3 −SnO2 燒結体(SnO2 10重量%))を取り付けた。尚、第1のターゲット材取り付け板と第2のターゲット材取り付け板との間隔は12cmとした。
【0051】
次に、基材ホルダーを第1のターゲット材取り付け板の上方に位置させ、下記の成膜条件で成膜を開始した。そして、成膜開始と同時に基材ホルダーを第2のターゲット材取り付け板方向(図2において右方向)へ移動(移動速度400mm/分)させ、成膜開始から約130秒後に成膜を完了し、ガラス基材のカラーフィルタ上に厚さ1700Åの透明導電膜(試料1)を作製した。
【0052】
(成膜条件)
・雰囲気ガス : Ar=100sccm,O2 =2sccm
・雰囲気圧力 : 5×10-3Torr
・導入パワー : DC3.9W/cm2
・成膜レート : IZO=15Å/秒、ITO=12Å/秒
・基材温度 : 170℃
(実施例2)
実施例1と同様のガラス基材を、図3に示されるような本発明の透明導電膜製造装置の基材ホルダー上にカラーフィルタ側がターゲット材取り付け板に対向するように保持した。また、第1のターゲット材取り付け板(図3のターゲット材取り付け板24aに相当)および第2のターゲット材取り付け板(図3のターゲット材取り付け板24bに相当)にターゲット材(In2 O3 −SnO2 燒結体(SnO2 10重量%))を取り付けた。尚、第1のターゲット材取り付け板と第2のターゲット材取り付け板との間隔は12cmとした。
【0053】
次に、基材ホルダーを第1のターゲット材取り付け板の上方に位置させ、下記の成膜条件で成膜を開始した。そして、成膜開始と同時に基材ホルダーを第2のターゲット材取り付け板方向(図3において右方向)へ移動(移動速度400mm/分)させ、成膜開始から約140秒後に成膜を完了し、ガラス基材のカラーフィルタ上に厚さ1700Åの透明導電膜(試料2)を作製した。
【0054】
(成膜条件)
・雰囲気ガス : Ar=100sccm,O2 =2sccm
・雰囲気圧力 : 5×10-3Torr
・導入パワー : DC3.9W/cm2
・成膜レート : 12Å/秒
・基材温度 : 第1のターゲット材取り付け板の上方位置=80℃
第2のターゲット材取り付け板の上方位置=170℃
(実施例3)
実施例1と同様のガラス基材を、図4に示されるような本発明の透明導電膜製造装置の基材ホルダー上にカラーフィルタ側がターゲット材取り付け板に対向するように保持した。また、第1のターゲット材取り付け板(図4のターゲット材取り付け板34aに相当)および第2のターゲット材取り付け板(図4のターゲット材取り付け板34bに相当)にターゲット材(In2 O3 −SnO2 燒結体(SnO2 10重量%))を取り付けた。尚、第1のターゲット材取り付け板と第2のターゲット材取り付け板との間隔は12cmとした。
【0055】
次に、基材ホルダーを第1のターゲット材取り付け板の上方に位置させ、水素ガス供給口から水素ガスを導入しながら下記の成膜条件で成膜を開始した。そして、成膜開始と同時に基材ホルダーを第2のターゲット材取り付け板方向(図4において右方向)へ移動(移動速度400mm/分)させ、成膜開始から約140秒後に成膜を完了し、ガラス基材のカラーフィルタ上に厚さ1700Åの透明導電膜(試料3)を作製した。
【0056】
(成膜条件)
・雰囲気ガス : Ar=100sccm,O2 =2sccm
・H2 導入量 : 10sccm
・雰囲気圧力 : 5×10-3Torr
・導入パワー : DC3.9W/cm2
・成膜レート : 12Å/秒
・基材温度 : 170℃
(比較例1)
まず、実施例1と同様のガラス基材のカラーフィルタ上にスパッタリング法により珪素酸化物(SiO2 )のバリアー膜(厚み500Å)を形成した。
【0057】
その後、従来のスパッタリング装置を使用しターゲット材(In2 O3 −SnO2 燒結体(SnO2 10重量%))を用いて、上記のバリアー膜上に下記の条件で厚さ1700Åの透明導電膜(比較試料1)を作製した。
【0058】
(成膜条件)
・雰囲気ガス : Ar=100sccm,O2 =2sccm
・雰囲気圧力 : 5×10-3Torr
・導入パワー : DC3.9W/cm2
・成膜レート : 12Å/秒
・基材温度 : 170℃
(比較例2)
実施例1と同様のガラス基材のカラーフィルタ上に、従来のスパッタリング装置を使用しターゲット材(In2 O3 −ZnO燒結体(ZnO30重量%))を用いて、下記の条件で厚さ1700Åの透明導電膜(比較試料2)を作製した。
【0059】
(成膜条件)
・雰囲気ガス : Ar=100sccm,O2 =2sccm
・雰囲気圧力 : 5×10-3Torr
・導入パワー : DC3.9W/cm2
・成膜レート : 15Å/秒
・基材温度 : 170℃
(比較例3)
実施例1と同様のガラス基材のカラーフィルタ上に、従来のスパッタリング装置を使用しターゲット材(In2 O3 −SnO2 燒結体(SnO2 10重量%))を用いて、下記の条件で厚さ1700Åの透明導電膜(比較試料2)を作製した。
【0060】
(成膜条件)
・雰囲気ガス : Ar=100sccm,O2 =2sccm
・雰囲気圧力 : 5×10-3Torr
・導入パワー : DC3.9W/cm2
・成膜レート : 12Å/秒
・基材温度 : 170℃
(比較例4)
基材温度を80℃とした他は、比較例1と同様にして厚さ1700Åの透明導電膜(比較試料4)を作製した。
【0061】
上記のように作製した試料1〜3および比較試料1〜4について、層構成、組成、結晶構造、比抵抗および配向膜適性を測定、評価して、結果を下記の表1に示した。
【0062】
(層構成の評価)
透明導電膜を構成する各層の成膜条件と膜厚等の膜形状を把握しながら積層を行い、積層後の透明導電膜の表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して評価した。
【0063】
(結晶構造の評価)
X線回折法により、結晶質性を示す2θ=30.08°(222)、および、2θ=35.12°(400)における回折ピークが存在するか否かにより結晶質性か非晶質性かを評価した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)にて粒塊の有無を評価した。
【0064】
(比抵抗値の測定)
四端子測定法により測定を行った。
【0065】
(配向膜適性の評価)
ポリイミド塗布用の溶剤であるn−メチルプロテイド(NMP)を滴下してカラーフィルタの色材が流出するか否か評価した。
【0066】
【表1】
表1に示されるように、試料1〜3は、いずれも上層膜が良好な結晶質性をもち、低い比抵抗と良好な配向膜適性を有するものであった。これにより、下層膜が有効なバリアー性を発現していることが確認された。
【0067】
一方、比較試料1は、比抵抗は低いものの透明導電膜の下にSiO2 膜が存在し、このSiO2 膜は導電性とは無縁な材料であるため、工程だけが増加することになる。また、比較試料2は、比抵抗が液晶ディスプレイ用の透明導電膜の実用レベル(3.0×10-4Ω/cm以下)に達しないものであった。さらに、カラーフィルタ上にITOを直接形成した比較試料3は、結晶粒塊が存在し、比抵抗が不十分なものであった。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば透明導電膜は非晶質性の下層膜と結晶質性の上層膜とを有し、膜厚方向において結晶構造が異なり、非晶質性の下層膜は緻密で粒塊構造をもたないので、比抵抗がやや大きいもののガスバリアー性を備え、透明導電膜の成膜対象から発生したガスの影響が上層膜にまで及ぶことが上記の下層膜によって阻止され、上層膜は結晶質性で粒塊構造をもたないで比抵抗の小さい層であるため、透明導電膜全体として低抵抗化が可能である。また、下層膜と上層膜の組成が同一の場合、1種のエッチング剤によって透明導電膜のパターニングが可能であり、一方、下層膜と上層膜との組成が異なる場合であっても、透明導電性材料のエッチング適性の近似性から1種のエッチング剤によるパターニングも可能となり、パターニング特性に優れた透明導電膜が得られる。
【0069】
さらに、下層膜用と上層膜用で異なる組成のターゲット材を用いてスパッタリング法により連続的に成膜するか、あるいは同組成のターゲット材を使用し下層膜形成時の条件と上層膜形成時の条件とを変化させてスパッタリング法により連続的に成膜するので、製造工程を複雑にすることなく上記のような電気特性およびパターニング特性に優れた透明導電膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電膜の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の透明導電膜の製造方法に使用できる透明導電膜製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の透明導電膜の製造方法に使用できる透明導電膜製造装置の他の例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の透明導電膜の製造方法に使用できる透明導電膜製造装置の他の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…透明導電膜
2…下層膜
3…上層膜
4…中間層
5…基材
11,21,31…透明導電膜製造装置
12,22,32…真空チャンバー
13,23,33…基材ホルダー
14a,14b,24a,24b,34a,34b…ターゲット材取り付け板
15,25(25a,25b),35…加熱手段
S…基材
T1 ,T2 …ターゲット材
Claims (3)
- 耐熱性にとぼしい基材上に形成され、組成が同一である非晶質性の下層膜と結晶質性の上層膜とを有し、膜厚方向において結晶構造が異なり、前記下層膜はガスバリアー性を有し比抵抗が1×10 -3 〜10×10 -3 Ω・cmの範囲で厚みが100〜500Åの範囲であり、前記上層膜は比抵抗が1×10 -4 〜10×10 -4 Ω・cmの範囲で厚みが100〜2500Åの範囲であることを特徴とする透明導電膜。
- 所望の組成のターゲット材を使用し、基材温度を非晶質性の薄膜形成が可能な温度に設定して基材上にスパッタリング法によって非晶質性の下層膜を形成した後、前記ターゲット材と同一組成のターゲット材を使用し、前記基材温度を高く設定する操作を行い、スパッタリング法によって前記下層膜上に結晶質性の上層膜を形成して透明導電膜とすることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
- 所望の組成のターゲット材を使用し、非晶質性の薄膜形成が可能な水素分圧に設定して基材上にスパッタリング法によって非晶質性の下層膜を形成した後、前記ターゲット材と同一組成のターゲット材を使用し、前記水素分圧を低く設定する操作を行い、スパッタリング法によって前記下層膜上に結晶質性の上層膜を形成して透明導電膜とすることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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