JPWO2002055091A1 - 抗アレルギー剤 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の治療及び予防のために使用することができる新規な抗アレルギー剤を提供することである。本発明によれば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む抗アレルギー剤が提供される。
Description
技術分野
本発明は、抗アレルギー剤に関する。より詳細には、本発明は、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に対して有効な医薬品、特定保健用食品、健康食品等として用いることができる抗アレルギー剤に関する。
背景技術
アレルギー反応は、そのメカニズムの違いによりI型からIV型の4つの型に分けられている。その中でアレルギー性鼻炎、気管支喘息及び蕁麻疹などのアレルギー疾患は、通常I型アレルギー反応により起こる。I型アレルギー反応は、即時型アレルギーとも呼ばれ、組織内の肥満細胞や血中好塩基球表面のレセプターにアレルゲン特異的IgE抗体が結合し、次いでアレルゲンがIgE抗体に結合することで、肥満細胞や好塩基球から過剰にヒスタミンやロイコトリエン等のケミカルメディエーターが放出され、様々なアレルギー反応が励起される生体反応である。従って、I型アレルギー疾患の治療には、抗ヒスタミン剤と肥満細胞からのケミカルメディエーターの遊離抑制作用を有する抗アレルギー剤が用いられている。しかし、このような抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤には、副作用が認められる場合が多く、長期間に渡る連用には安全性の問題がある。
また、アレルギー性接触皮膚炎等の疾患は、通常遅延型アレルギーとも呼ばれるIV型アレルギー反応により起こる。IV型アレルギー性疾患の治療にはステロイド剤が用いられる。ステロイド剤は、サイトカインの産生を抑制し、湿疹の治療には特に有効であるが、大量もしくは長期間使用する場合は重篤な副作用を引き起こす可能性が高く、安全性が問題となっている。
上記したアレルギー疾患の中でも、アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻汁分泌亢進および鼻閉を三大主徴とする代表的なI型アレルギー疾患である。くしゃみおよび鼻汁分泌亢進は、抗原−抗体反応の結果遊離されるヒスタミンが大きく関与することが示唆されているのに対し、鼻閉は血管拡張および血管透過性の亢進に基づく浮腫に起因して発症することが推察されている。しかしながら、その詳細な機序は未だ不明な点が多い。
本発明者らは以前に、Al(OH)3に吸着させたスギ花粉抽出抗原をモルモットの鼻腔内に投与することにより経鼻的に感作し、以後スギ花粉粒子を反復吸入させることにより、ヒトの病態に類似すると考えられるアレルギー性鼻炎モデル動物を確立している。このモデル動物においては、主として反応惹起1時間以内にくしゃみの発現が観察されるのみならず、鼻閉の指標としたspecific airway resistance(sRaw)の上昇が反応惹起1および4時間後をピークとして二相性に認められる。さらに、このモデル動物においては、反応惹起の4時間から2日後にはヒスタミン及びleukotriene D4の点鼻に対し顕著に反応する鼻過敏性の亢進が認められる。
これまでの研究により、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリL−乳酸混合物は、抗悪性腫瘍剤として有用であることが報告されている(特開平9−227388号公報および特開平10−130153号公報)。しかしながら、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が有する抗アレルギー作用の評価については報告されていない。
発明の開示
本発明は、例えばアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の治療及び予防のために使用することができる新規な抗アレルギー剤を提供することを解決すべき課題とした。本発明はまた、上記抗アレルギー剤を利用した抗アレルギー飲食品を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決することを目的とした検討を行うために、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を、アレルギー性鼻炎モデル動物に投与し、抗原抗体反応の惹起後に認められるくしゃみ、二相性の鼻閉およびヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼす上記ポリ乳酸混合物の影響について検討を行なった。その結果、本発明で用いたポリ乳酸混合物は、二相性の鼻閉を抑制し、ヒスタミンに対する鼻過敏性の発現も抑制することが判明した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む抗アレルギー剤が提供される。
本発明の抗アレルギー剤は、アレルギー疾患の治療剤又は予防剤として使用することができ、アレルギー疾患がとしては、例えば、アレルギー性鼻炎などのI型アレルギー疾患が挙げられる。
好ましくは、ポリ乳酸中における反復単位である乳酸は実質的にL−乳酸から成る。
好ましくは、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、乳酸を不活性雰囲気下で脱水縮合し、得られた反応液のエタノールおよびメタノール可溶分を逆相カラムクロマトグラフィーに付し、pH2〜3の25〜50重量%のアセトニトリル水溶液で溶離後、pH2〜3の90重量%以上のアセトニトリル水溶液で溶離した画分である。
好ましくは、脱水縮合を窒素ガス雰囲気下、段階的減圧及び昇温により行う。
好ましくは、逆相カラムクロマトグラフィーを、ODSカラムクロマトグラフィーにより行う。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の抗アレルギー剤を含む抗アレルギー飲食品が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、抗アレルギー剤又は抗アレルギー飲食品の製造における、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の使用が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の有効量をヒトなどの哺乳動物に投与することを含む、アレルギーを抑制するための方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施態様および実施方法について詳細に説明する。
本発明の抗アレルギー剤は、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を有効成分として含むものであり、例えば、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の治療剤又は予防剤として使用することができる。
アレルギー疾患とは、外来性の抗原とそれに対応する特異抗体又は感作リンパ球との反応に基づく組織障害を病因とする疾患である。アレルギー反応は、その反応形態によりI型、II型、III型、及びIV型の4型に分類されている。I型アレルギーはIgE抗体が関与する反応で、即時型、IgE依存型、あるいはアナフィラキシー型と呼ばれている。II型アレルギーは細胞障害型又は細胞融解型とも呼ばれ、不適合輸血、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少症などの疾患発症に関与している。外来抗原や自己抗原に対して産生されたIgG抗体あるいはIgM抗体が標的細胞に結合すると、補体系の活性化が引き起こされ標的細胞が障害される。III型アレルギーは、免疫複合体型又はアルサス型と呼ばれており、血清病、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、過敏性肺臓炎などが主な疾患である。血液中のIgG抗体もしくはIgM抗体が、可溶性抗原と結合して免疫複合体を形成することで引き起こされる組織障害である。IV型アレルギーは、遅延型あるいは細胞性免疫型とも呼ばれている。ツベルクリン反応に見られる様に抗原注射後48〜72時間後に紅斑、硬結を特徴とする炎症反応を呈する。
I型アレルギー反応では、発症前の生体内にハウスダスト、ダニ、花粉、真菌、動物の毛垢などが抗原となり、気道、消化管、皮膚などを経て体内に侵入し、IgE抗体が産生される。IgE抗体は、肥満細胞、好塩基球上の高親和性IgE受容体に結合し、それら細胞を感作する。その後再び抗原に暴露され、抗原がIgE抗体に結合すると、高親和性IgE受容体の架橋、細胞の活性化が起こり、脱顆粒や細胞膜脂質からのケミカルメディエーター産生、遊離が生じる。顆粒からはヒスタミン、好酸球遊走因子、好中球遊走因子などが遊離し、新たにケミカルメディエーターとしてプロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、血小板活性化因子などが産生される。これらケミカルメディエーターやサイトカインにより炎症細胞が患部に移動・浸潤する。
I型アレルギー反応を病因とする疾患には、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎などといった一般的な疾患が多い。本発明の抗アレルギー剤は、アレルギー疾患の治療および予防に広く使用することができるが、特にはI型アレルギー反応を病因とする疾患の治療および予防に使用することができる。
本発明の抗アレルギー剤またはそれを含む飲食品は、アレルギー症状の治療のみならず、アレルギー症状の発生の予防及び/又は該症状の軽減を図るための予防的治療を含む用途で用いることができる。
本発明の抗アレルギー剤及び抗アレルギー飲食品においては、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が有効成分として用いられる。
本明細書で言う「ポリ乳酸混合物」とは、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸が任意の割合で存在する混合物を意味する。即ち、「混合物」という用語は、縮合度3〜20の何れかを有するポリ乳酸の混合物であることを意味すると同時に、環状および鎖状のポリ乳酸の混合物を含む概念としても用いられる。このような「ポリ乳酸混合物」は、本明細書中以下に述べるように、乳酸を脱水縮合し、適当な方法で精製することにより得ることができる。なお、本明細書では便宜上「ポリ乳酸混合物」という用語を用いたが、この中には一定の縮合度を有する環状のポリ乳酸または一定の縮合度を有する鎖状のポリ乳酸といった単一成分から成るポリ乳酸も含まれる。
縮合度とは、ポリ乳酸中における反復単位である乳酸単位の数を意味する。例えば、環状のポリ乳酸は下記の構造式を有することが推測されるが、式中のnが縮合度を表す(即ち、n=3〜20)。
本明細書で単に「乳酸」と称する場合、この乳酸にはL−乳酸、D−乳酸またはこれらの任意の割合の混合物の全てが包含される。本発明においては好ましくは、乳酸は実質的にL−乳酸から成る。ここで言う「実質的に」とは、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率[即ち、(L−乳酸単位数/L−乳酸単位数+D−乳酸単位数)×100]が、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上であることを意味する。なお、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率は、出発物質として使用する乳酸中に存在するL−乳酸とD−乳酸の比率に依存する。
縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、特開平9−227388号公報、特開平10−130153号公報、または特願平11−39894号明細書(これらの特許明細書に記載の内容は全て引用により本明細書の開示として含める。)などに記載の製造方法により得ることができる。
より具体的には、例えば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、下記の方法Aにより得ることができる。
方法A:
先ず、乳酸(好ましくは、実質的にL−乳酸から成る乳酸)を不活性雰囲気下で脱水縮合させる。不活性雰囲気としては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、窒素ガスを用いるのが好ましい。
脱水縮合反応は、常圧〜1mmHg程度の減圧下、110〜210℃、好ましくは130〜190℃の温度で行われるが、段階的減圧および段階的昇温によって行うのが特に好ましい。反応時間は適宜設定できるが、例えば1〜20時間反応を行うことができる。段階的減圧および段階的昇温を用いる場合には、反応時間を2以上から成る部分的な反応時間に分け、それぞれの部分において圧力と温度を設定して反応を行う。段階的減圧を用いる場合は、例えば、常圧→150mmHg→3mmHgと減圧することができ、段階的昇温を用いる場合は、例えば、145℃→155℃→185℃と昇温することができる。実際には、これらを組み合わせて、例えば、145℃で常圧で3時間、145℃で150mmHgで3時間、155℃で3mmHgで3時間そして185℃で3mmHgで1.5時間反応を行うことができる。
次いで、この脱水縮合反応により得られた反応混合物にエタノールおよびメタノールを加え、濾過して濾液を乾燥してエタノールおよびメタノール可溶分が得られる。即ち、本明細書で言う「エタノールおよびメタノール可溶分」とはエタノールとメタノールの混合液に可溶な画分を意味する。なお、エタノールおよびメタノール可溶分を得る際には、脱水縮合反応の反応混合物をエタノールおよびメタノールと混合するが、その際のエタノールとメタノールの比率は適宜設定することができ、例えばエタノール:メタノール=1:9である。なお、反応混合物にエタノールとメタノールを添加する順番、方法などは限定されず、適宜選択することができ、例えば、脱水縮合反応の反応混合物に先ずエタノールを添加し、次いでメタノールを添加することができる。
上記で得られたエタノール・メタノール可溶分を逆相カラムクロマトグラフィー、特にオクタデシルシラン(ODS)カラムを用いたクロマトグラフィーに付し、まずpH2〜3の25〜50重量%のアセトニトリル水溶液で溶離する画分を除去し、次いでpH2〜3の90重量%以上のアセトニトリル水溶液、好ましくは99重量%以上のアセトニトリル水溶液で溶離してくる画分を採取すると、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が得られる。
上記のようにして得られた環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ物質で中和し、減圧乾燥後、常法により下記に述べるような所望の形態に製剤化することができる。
本発明で用いる縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を製造するための別法としては、例えば、特願平11−265715号明細書に記載された方法(方法Bとする)または特願平11−265732号明細書に記載された方法(方法Cとする)を挙げることができる(これらの特許明細書に記載の内容は全て引用により本明細書の開示として含める。)。以下、方法Bおよび方法Cについて具体的に説明する。
方法B:
この方法は、ラクチドをRYLi(式中、Rは脂肪族基又は芳香族基を示し、Yは酸素原子又はイオウ原子を示す)で表されるリチウム化合物の存在下で重合させることによって環状乳酸オリゴマーを製造する方法である。重合反応を実施する場合、リチウム化合物(RYLi)の使用割合は、ラクチド1モル当たり、1〜0.1モル、好ましくは0.2〜0.3モルの割合である。反応温度は−100〜0℃、好ましくは−78〜−50℃である。反応は、−78〜−50℃の温度で開始し、徐々に室温にまで昇温させるように実施するのが好ましい。反応は、好ましくは反応溶媒の存在下で実施される。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの他、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン等を用いることができる。反応雰囲気としては、窒素ガスやアルゴン等の不活性ガス雰囲気が用いられる。反応圧力は特に制約されず、好ましくは常圧である。
なお、上記のようにして得られる乳酸オリゴマーの組成(即ち、環状乳酸オリゴマーと鎖状乳酸オリゴマーの混合比率)は、反応助剤として用いるリチウム化合物によって変動する。リチウム化合物として炭素数1〜3のアルキルアルコールのリチウム化合物(ROLi)(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)を用いる場合には、環状乳酸オリゴマーと鎖状オリゴマーとの混合物(環状乳酸オリゴマーの割合:80〜85重量%)が得られる。一方、リチウム化合物としてt−ブチルアルコール等の炭素数4以上のアルキルアルコールのリチウム化合物や、チオフェノール化合物を用いるときには、実質的に環状乳酸オリゴマーのみを選択的に得ることができる。
方法C:
この方法は、(i)乳酸を350〜400mmHgの圧力条件で120〜140℃の範囲の温度に加熱し、脱水縮合反応させるとともに、ラクチドを留出させずに副生水のみを留出除去する第1加熱工程、
(ii)該第1加熱工程終了後、反応生成物を150〜160℃の温度に加熱し、該反応圧力を降圧速度0.5〜1mmHg/分で15〜20mmHgまで降下させるとともに、その降圧に際し、ラクチドの留出を回避させながら副生水のみを留出除去し、該反応圧力が15〜20mmHgに降下後、同圧力条件及び反応温度150〜160℃においてさらに反応を継続して鎖状乳酸オリゴマーを主成分とする脱水縮合物を生成させる第2加熱工程、
(iii)該第2加熱工程終了後、0.1〜3mmHgの圧力条件で150〜160℃で加熱して該鎖状乳酸オリゴマーを環化させ、環状オリゴマーを生成させる第3加熱工程、
からなることを特徴とする方法である。
この方法では先ず、第1加熱工程において、減圧下において乳酸を加熱し、脱水縮合反応させる。この場合の反応時間は3〜12時間、好ましくは5〜6時間である。この第1加熱下での反応は、その反応を円滑に進行させるために、乳酸の脱水縮合により生成する副生水を留去させるが、この場合、乳酸2分子の脱水縮合物であるラクチドが留去しないように実施する。このためには、反応圧力を減圧、好ましくは300〜500mmHg、より好ましくは350〜400mmHgに保持し、この圧力条件下において、100〜140℃、好ましくは130〜140℃の範囲に加熱するのがよい。この第1加熱工程での反応により、主に、乳酸の3〜23分子の脱水縮合物を主成分とする反応生成物が生じる。
上記第1加熱工程の終了後、第2加熱工程において、高められた平均重合度のオリゴマーが得られるように、前記第1加熱工程における反応温度よりも高められた温度、好ましくは145〜180℃、より好ましくは150〜160℃の温度に加熱するとともに、反応圧力を10〜50mmHg、好ましくは15〜20mmHgの圧力に降下させてさらに脱水縮合反応を継続する。
この反応も、前記第1加熱工程の反応の場合と同様に、反応を円滑に進行させるために副生水を留去させるが、ラクチドが留去しない条件で実施する。反応圧力を前記範囲の圧力にまで降下させる速度(降圧速度)は、ラクチドの留出を回避し、且つ反応効率を高めるためには、0.25〜5mmHg/分、好ましくは0.5〜1mmHg/分の範囲に保持することが通常は必要である。前記範囲より低い降圧速度では、その所定圧まで降圧させるのに必要な時間が長くなるため好ましくなく、一方、前記範囲より高い降圧速度では、ラクチドが副生水とともに留去するようになるので好ましくない。
反応圧力が所定圧力にまで降下後、この反応圧力において、さらに反応を継続する。この場合の加熱時間は、3〜12時間、好ましくは5〜6時間である。
前記第2加熱工程での反応により、平均重合度が3〜30、好ましくは3〜23の乳酸オリゴマーが得られるが、この場合のオリゴマー中の環状オリゴマーの割合は、通常、70〜80重量%程度である。
上記第2加熱工程終了後、第3加熱工程において、反応圧力を0.25〜5mmHg、好ましくは0.5〜1mmHgに保持し、145〜180℃、好ましくは150〜160℃の温度でさらに反応を継続する。反応時間は3〜12時間、好ましくは5〜6時間である。この場合に生じる副生水も留去させる。この場合、ラクチドの留去も回避させることが好ましいが、反応生成物にはラクチドは殆んど含まれないので、その降圧速度を格別遅くする必要はない。
前記第3加熱工程での反応により、平均重合度3〜30、好ましくは3〜23で、かつ環状オリゴマーの割合が90重量%以上、好ましくは99重量%以上の乳酸オリゴマーが生成される。
なお、上記方法A、BおよびCは本発明で用いるポリ乳酸混合物の製造方法の具体例の一部を示したものにすぎず、本発明においては他の方法で製造されたポリ乳酸混合物を用いることもできる。
本発明の抗アレルギー剤は、前記の必須成分に加えてさらに必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、医薬品類、医薬部外品類、化粧品類などの製剤に使用される成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができる。本発明の抗アレルギー剤は、単独の医薬品類として使用できる以外に、医薬品類、医薬部外品類、皮膚・頭髪用化粧品類などに配合して用いることもできる。
本発明の抗アレルギー剤の形態は特に限定されず、経口投与又は非経口投与用の製剤形態の中から目的に最も適した適宜の形態のものを選択することが可能である。
経口投与に適した製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、ドリンク剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、チュアブル剤などを挙げることができ、非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、注射剤(皮下注射、筋肉内注射、又は静脈内注射など)、外用剤、点滴剤、吸入剤、噴霧剤、点鼻剤、点眼剤などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
経口投与に適当な液体製剤、例えば、溶液剤、乳剤、又はシロップ剤などは、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを用いて製造することができる。また、カプセル剤、錠剤、散剤、又は顆粒剤などの固体製剤の製造には、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いることができる。
非経口投与に適当な注射用又は点滴用の製剤は、好ましくは、受容者の血液と等張な滅菌水性媒体に有効成分である上記の物質を溶解又は懸濁状態で含んでいる。例えば、注射剤の場合、塩溶液、ブドウ糖溶液、又は塩水とブドウ糖溶液との混合物からなる水性媒体などを用いて溶液を調製することができる。腸内投与のための製剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪、又は水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができ、座剤として提供される。また、噴霧剤の製造には、有効成分である上記の物質を微細な粒子として分散させることができ、受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分の吸収を容易ならしめる担体を用いることができる。担体としては、具体的には、乳糖又はグリセリンなどが例示される。有効成分である物質及び使用する担体の性質に応じて、エアロゾル又はドライパウダーなどの形態の製剤が調製可能である。これらの非経口投与用製剤には、グリコール類、油類、フレーバー類、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種又は2種以上の飲食品を添加することもできる。
本発明の抗アレルギー剤をアレルギー性鼻炎の治療又は予防のために使用する場合には、点鼻剤の形態で使用することもできる。本発明の点鼻剤には、上記した有効成分であるポリ乳酸混合物の他に通常点鼻剤に用いられる物質、例えば抗炎症剤(グリチルリチン酸二カリウム、サリチル酸メチル、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、サリチル酸グリコール、インドメタシン等)、局所麻酔剤(リドカイン、塩酸リドカイン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、ベンゾカイン、アミノ安息香酸エチル等)、殺菌剤(アクリノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB12等)、清涼化剤(メントール、カンフル、ユーカリ油等)、増粘剤(ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルカルボキシ共重合体、ポリビニルピロリドン・ビニルアセテート共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、天然ガム等)、安定化剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の抗アレルギー剤の投与量及び投与回数は、投与の目的、投与形態、摂取者の年齢、体重又は性別などの条件などを含む種々の要因により適宜設定することができるが、一般的には、有効成分の投与量として一日当り1〜10,000mg/kg、好ましくは10〜2000mg/kg、より好ましくは10〜200mg/kgである。上記投与量の製剤を一日1〜4回程度に分けて投与することが好ましい。
本発明の抗アレルギー剤の投与時期は特に限定されず、抗原が体内に侵入する前でも後でもよく、また体内に侵入した抗原による抗原抗体反応(アレルギー反応)の反応前、反応中または反応後の何れでもよく、これらの期間の二つ以上にまたがって連続的に投与してもよい。
本発明はさらに、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む抗アレルギー飲食品にも関する。即ち、本発明で用いる縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、上記したような単独の製剤の形態で使用するのみならず、飲食品の中に配合して用いることができる。
本発明の抗アレルギー飲食品は、ポリ乳酸混合物を分解させることなく配合し得るものであれば、その配合形態には特に制限はない。
本発明による抗アレルギー飲食品の製品の具体例としては、清涼飲料、ドリンク剤、健康食品、特定保健用食品、機能性食品、機能活性型食品、栄養補助食品、サプレメント、飼料、飼料添加物などと一般に呼称される、飲料を含む健康食品または補助食品が挙げられる。
飲食品の具体例としては、例えば、チューインガム、チョコレート、キャンディー、錠菓、ゼリー、クッキー、ビスケット、ヨーグルト等の菓子類、アイスクリーム、氷菓等の冷菓類、茶、清涼飲料(ジュース、コーヒー、ココア等を含む)、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の飲料、パン、ハム、スープ、ジャム、スパゲティー、冷凍食品など任意の飲食品を挙げることができる。あるいは、本発明で用いるポリ乳酸混合物は調味料又は食品添加剤などに添加して用いることもできる。本発明の抗アレルギー飲食品を摂取することにより抗アレルギー効果が発揮され、実質的に有害な副作用を示さない安全な飲食品を提供することができる。
本発明の抗アレルギー飲食品は、ポリ乳酸混合物を、食品に使われる一般的な原料に直接混合、分散したのち、公知の方法により所望の形態に加工することによって得ることができる。
本発明の抗アレルギー飲食品はあらゆる形態の飲食品を包含するものであり、その種類は特に制限されず、上記したような各種飲食物、あるいは各種栄養組成物、例えば各種の経口又は経腸栄養剤や飲料等に、本発明の抗アレルギー剤を配合して飲食品として提供することができる。このような飲食品の組成としては、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の他に、蛋白質、脂質、糖質、ビタミン及び/又はミネラル類などを含めることができる。飲食品の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、固形、粉末、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。
飲食品中におけるポリ乳酸混合物の含有量は特には限定されないが、一般的には0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%程度である。
飲食品に含まれるポリ乳酸混合物の量は、本発明の目的とする抗アレルギー作用を発揮できる程度に含まれることが好ましく、好ましくは摂取される飲食物1食中に0.1gから10g程度、より好ましくは0.5gから3g程度である。
なお、本出願が主張する優先権の基礎となる日本特許出願である特願2001−4823号の明細書に記載の内容は全て、本明細書の開示の一部として本明細書中に引用するものとする。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によっていかなる点においても限定されることはない。
実施例
製造例1:ポリ乳酸混合物(以下、CPLとも称する)の製造
マントルヒーターに収めたセパラブルフラスコにL−乳酸(D−乳酸も混入しているもの)500mlを入れた。窒素ガス300ml/分の流入及び撹拌を行い、溜出水は保温した下降型接続管を経て還流冷却器付フラスコに導きながら、145℃で3時間加熱した。更に150mmHgに減圧して同温度で3時間加熱した後、3mmHgの減圧下155℃で3時間、最後に3mmHgの減圧下185℃で1.5時間加熱し、反応生成物であるポリ乳酸を得た。
得られたポリ乳酸は100℃に保ち、エタノール100mlに続いてメタノール400mlをそれぞれ加えた後放冷した。これをメタノール500ml中に加え、よく撹拌して静置した後濾過して精製した。その濾液を減圧乾燥してアセトニトリルに溶解し、全量を200ml(原液)とした。
この原液を、予め平衡化した逆相ODSカラム(TSK gel ODS−80TM)にかけ、0.01M塩酸を含む30%、50%および100%アセトニトリル(pH2.0)でステップワイズに溶離し、アセトニトリル100%溶出画分であるポリ乳酸(縮合度3〜20)を得た。得られた物質の質量スペクトルを図1に示す。図1中の規則的なフラグメントイオンピークから明らかなように、得られたポリ乳酸の混合物は、環状縮合体を主体とし、直鎖状縮合体が少量混在した状態になっている。
試験例1:
(試験方法)
1.実験動物
4週齢のHartley系雄性モルモット(日本エスエルシー)を使用した。
2.薬物
使用した薬物は製造例1で製造したポリ乳酸混合物(CPL)である。CPLは100mg/mlとなるようにグリセリンを用いて溶解させた後、精製水を添加し、100mg/2mlとした。
3.抗原およびアジュバント
感作には、既報(Takeshi Nabe他,Jpn.J.Pharmacol.75:243−251(1997);及びTakeshi Nabe他,Inflamm.Res.47:369−374(1998))に従って作製したスギ花粉抽出抗原を用いた。抗原吸入による反応惹起にはスギ花粉をそのまま用いた。アジュバントは、以前の報告(Takeshi Nabe他,Allergol.Intl.46:261−267(1997))に従って作製したaluminum hydroxide gel(Al(OH)3)を使用した。
スギ花粉抽出抗原とAl(OH)3の吸着は既報(Takeshi Nabe他,Jpn.J.Pharmacol.75:243−251(1997);及びTakeshi Nabe他,Inflamm.Res.47:369−374(1998))に従い、攪拌下のAl(OH)3の生理食塩水懸濁液(200mg/ml)にスギ花粉抽出抗原(200μgタンパク質/ml)の生理食塩水溶液を同量滴下することにより行なった。
4.感作および反応惹起
感作および抗原吸入による反応惹起は図2に示す方法で行なった。すなわち、Al(OH)3に吸着させたスギ花粉抽出抗原をモルモットの両鼻孔に1日2回、7日間連続で点鼻することにより感作を行い、以後、1週間に1回、定量的な花粉吸入器(Takeshi Nabe他,Jpn.J.Pharmacol.75:243−251(1997)に記載したもの)を用いて、自発呼吸下のモルモットにスギ花粉粒子を反復吸入させることにより、反応惹起を23回目まで繰り返した。
5.くしゃみの測定
くしゃみ回数は、スギ花粉吸入直後から1時間後まで、モルモットの症状を観察することにより測定した。なお、くしゃみの発現は1時間以降においてはほとんど認められないことは既報の通りである(Takeshi Nabe他,Inflamm.Res.47:369−374(1998))。
6.呼吸機能の測定
スギ花粉吸入による反応惹起後の鼻腔抵抗の指標としたspecific airway resistance(sRaw)の測定は、two−chambered,double−flow plethysmograph法を利用した多機能呼吸測定装置(Pulmos−I,M.I.P.S)を用いて行なった。
7.ヒスタミンの点鼻に対する反応性の測定
ヒスタミンの点鼻に対する反応性の測定は、既報(Nobuaki,Mizutani他,Eur.Respir.J.,14,1368−1375(1999))に準じて行なった。すなわち、23回目の反応惹起2日後に、10−4および10−2Mのヒスタミン溶液を10μl/nostril(20μl/animal)で両鼻腔内に20分間隔で順次点鼻した。反応の指標としたsRawは、それぞれの点鼻10分後に測定した。
8.薬物の投与(図2)
CPL(100mg/2ml/kg)は反応惹起23回目の6日前から1日1回連日経口投与した。最終投与は、23回目の反応惹起の2時間前とした。なお、コントロール群には50%グリセリン溶液を同様に経口投与した。
なお、コントロール群およびCPL投与群は、22回目の反応惹起時後のsRawの上昇の程度を観察することにより、反応の程度が同程度になるように2群に分けた(表1および図3)。図3において、各点は、15又は16頭のモデル動物の平均±S.E.を示す。
9.統計学的解析
統計学的解析には、Bonferroni’s multiple testを用い、危険率5%未満を有意とした。
(評価の結果)
1.二相性の鼻腔抵抗の上昇に及ぼすCPLの影響
図4は、反応惹起後の鼻腔抵抗の指標としたsRawの上昇に及ぼすCPLの影響についての成績を示す。図4において、CPL(100mg/kg/回/日)を7日間に渡り連続的に経口投与した。最後の投与は23回目の抗原吸入投与の2時間前に行なった。各点は、15又は16頭のモデル動物の平均±S.E.を示す。コントロールからの有意差は、星印1個はp<0.05、星印2個はp<0.01である。
図4から分かるように、コントロール群では、反応惹起1時間後においてsRawの上昇を示す即時性の鼻閉が認められ、3〜4時間後に再びsRawの上昇を示す遅発性反応が認められた。この二相性の鼻閉に対し、CPLは即時性および遅発性反応のいずれに対しても、全時間帯にわたって抑制もしくはその傾向を示した。
表2は、図3の成績を反応惹起の直後〜3時間後ならびに3〜10時間後におけるそれぞれの鼻腔抵抗の上昇の反応曲線下面積(AUC)で表示した成績を示す。CPLは即時相および遅発相の鼻閉に対し、それぞれ約60%および50%の有意な(p<0.01)抑制を示した。
2.くしゃみの発現に及ぼすCPLの影響
感作モルモットの反応惹起直後から1時間後までのくしゃみの発現に及ぼすCPLの影響についての成績を図5に示す。図5において、CPL(100mg/kg/回/日)を7日間連続的に経口投与した。最後の投与は23回目の抗原吸入投与の2時間前に行なった。各棒は、15又は16頭のモデル動物の平均±S.E.を示す。
図5から分かるように、コントロール群では、反応惹起0〜10分および10分〜1時間においていずれも約6回のくしゃみの発現が認められた。これに対し、CPL投与群では、若干の抑制傾向を示すにすぎなかった。
3.ヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼすCPLの影響
図6は、ヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼすCPLの影響についての
成績を示す。実験は23回目の花粉吸入投与の2日後に行なった。CPL(100mg/kg/回/日)を7日間に渡り連続的に経口投与した。最後の投与は23回目の抗原吸入投与の2時間前に行なった。各点は、11〜16頭のモデル動物の平均±S.E.を示す。非感作群からの有意差は、星印1個はp<0.05、星印2個はp<0.01であることを示し、十字印はコントロール群からの有意差がp<0.05であることを示す。
図6から分かるように、非感作モルモットでは、ヒスタミンの点鼻に対し、10−2Mで若干のsRawの上昇を示すにすぎなかったが、感作−惹起モルモットでは10−4Mより濃度依存的なsRawの上昇を示した。この鼻過敏性の亢進に対し、CPLは10−4Mにおける反応を有意に(p<0.05)抑制し、10−2Mの反応に対しても抑制傾向を示した。
(試験例のまとめ)
CPLのモルモットアレルギー性鼻炎モデルにおけるくしゃみ、二相性の鼻閉並びにヒスタミンの点鼻に対する鼻過敏性の発現に及ぼす影響を検討した。CPL(100mg/2ml/kg、po)の7日間連続投与はくしゃみの発現に対して明らかな抑制を示さなかったが、二相性の鼻閉に対しては即時性および遅発性のいずれも明らかに抑制し、ヒスタミンに対する鼻過敏性の発現も抑制した。
産業の利用の可能性
本発明の抗アレルギー剤は、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の治療及び予防のために使用することができる。
また、本発明において有効成分として用いられるポリ乳酸混合物は、生体成分に由来する乳酸の低縮合体であることから、生体適合性が高く、アレルギー症の治療に従来から用いられている抗ヒスタミン剤、肥満細胞からのケミカルメディエーターの遊離抑制作用を有する抗アレルギー剤、あるいはステロイドホルモン等に見られる副作用がない。
【図面の簡単な説明】
図1は、製造例1で得られたポリ乳酸混合物の質量スペクトルを示す。
図2は、試験例1の実験手順の流れ図を示す。図2において、(A)はスギ花粉抽出物での鼻腔内吸入による感作(0.6μg蛋白質/0.6mgAl(OH)3/動物)を示し、(B)はスギ花粉の吸入による投与/感作(約3.6mg/動物/回)を示し、(C)はCPL(100mg/2ml/kg)又はビヒクル(2ml/kg)の経口投与を示し、(D)は2群(A及びB)に分割を示し、(E)は抗原投与により誘発された二相性鼻腔抵抗及びくしゃみに及ぼすCPLの影響の評価を示し、(F)はヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼすCPLの評価を示す。
図3は、感作モルモットにおいて22回目のスギ花粉吸入投与により誘発されたspecific airway resistance(sRaw)の経時変化を示す。
図4は、感作モルモットにおいて23回目のスギ花粉吸入投与により誘発されるspecific airway resistance(sRaw)の二相性の増加に対するCPLの影響を示す。
図5は、感作モルモットにおいて23回目のスギ花粉吸入投与により誘発されるくしゃみに対するCPLの影響を示す。
図6は、感作モルモットにおけるヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼすCPLの影響を示す。
本発明は、抗アレルギー剤に関する。より詳細には、本発明は、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に対して有効な医薬品、特定保健用食品、健康食品等として用いることができる抗アレルギー剤に関する。
背景技術
アレルギー反応は、そのメカニズムの違いによりI型からIV型の4つの型に分けられている。その中でアレルギー性鼻炎、気管支喘息及び蕁麻疹などのアレルギー疾患は、通常I型アレルギー反応により起こる。I型アレルギー反応は、即時型アレルギーとも呼ばれ、組織内の肥満細胞や血中好塩基球表面のレセプターにアレルゲン特異的IgE抗体が結合し、次いでアレルゲンがIgE抗体に結合することで、肥満細胞や好塩基球から過剰にヒスタミンやロイコトリエン等のケミカルメディエーターが放出され、様々なアレルギー反応が励起される生体反応である。従って、I型アレルギー疾患の治療には、抗ヒスタミン剤と肥満細胞からのケミカルメディエーターの遊離抑制作用を有する抗アレルギー剤が用いられている。しかし、このような抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤には、副作用が認められる場合が多く、長期間に渡る連用には安全性の問題がある。
また、アレルギー性接触皮膚炎等の疾患は、通常遅延型アレルギーとも呼ばれるIV型アレルギー反応により起こる。IV型アレルギー性疾患の治療にはステロイド剤が用いられる。ステロイド剤は、サイトカインの産生を抑制し、湿疹の治療には特に有効であるが、大量もしくは長期間使用する場合は重篤な副作用を引き起こす可能性が高く、安全性が問題となっている。
上記したアレルギー疾患の中でも、アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻汁分泌亢進および鼻閉を三大主徴とする代表的なI型アレルギー疾患である。くしゃみおよび鼻汁分泌亢進は、抗原−抗体反応の結果遊離されるヒスタミンが大きく関与することが示唆されているのに対し、鼻閉は血管拡張および血管透過性の亢進に基づく浮腫に起因して発症することが推察されている。しかしながら、その詳細な機序は未だ不明な点が多い。
本発明者らは以前に、Al(OH)3に吸着させたスギ花粉抽出抗原をモルモットの鼻腔内に投与することにより経鼻的に感作し、以後スギ花粉粒子を反復吸入させることにより、ヒトの病態に類似すると考えられるアレルギー性鼻炎モデル動物を確立している。このモデル動物においては、主として反応惹起1時間以内にくしゃみの発現が観察されるのみならず、鼻閉の指標としたspecific airway resistance(sRaw)の上昇が反応惹起1および4時間後をピークとして二相性に認められる。さらに、このモデル動物においては、反応惹起の4時間から2日後にはヒスタミン及びleukotriene D4の点鼻に対し顕著に反応する鼻過敏性の亢進が認められる。
これまでの研究により、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリL−乳酸混合物は、抗悪性腫瘍剤として有用であることが報告されている(特開平9−227388号公報および特開平10−130153号公報)。しかしながら、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が有する抗アレルギー作用の評価については報告されていない。
発明の開示
本発明は、例えばアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の治療及び予防のために使用することができる新規な抗アレルギー剤を提供することを解決すべき課題とした。本発明はまた、上記抗アレルギー剤を利用した抗アレルギー飲食品を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決することを目的とした検討を行うために、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を、アレルギー性鼻炎モデル動物に投与し、抗原抗体反応の惹起後に認められるくしゃみ、二相性の鼻閉およびヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼす上記ポリ乳酸混合物の影響について検討を行なった。その結果、本発明で用いたポリ乳酸混合物は、二相性の鼻閉を抑制し、ヒスタミンに対する鼻過敏性の発現も抑制することが判明した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む抗アレルギー剤が提供される。
本発明の抗アレルギー剤は、アレルギー疾患の治療剤又は予防剤として使用することができ、アレルギー疾患がとしては、例えば、アレルギー性鼻炎などのI型アレルギー疾患が挙げられる。
好ましくは、ポリ乳酸中における反復単位である乳酸は実質的にL−乳酸から成る。
好ましくは、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、乳酸を不活性雰囲気下で脱水縮合し、得られた反応液のエタノールおよびメタノール可溶分を逆相カラムクロマトグラフィーに付し、pH2〜3の25〜50重量%のアセトニトリル水溶液で溶離後、pH2〜3の90重量%以上のアセトニトリル水溶液で溶離した画分である。
好ましくは、脱水縮合を窒素ガス雰囲気下、段階的減圧及び昇温により行う。
好ましくは、逆相カラムクロマトグラフィーを、ODSカラムクロマトグラフィーにより行う。
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の抗アレルギー剤を含む抗アレルギー飲食品が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、抗アレルギー剤又は抗アレルギー飲食品の製造における、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の使用が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の有効量をヒトなどの哺乳動物に投与することを含む、アレルギーを抑制するための方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施態様および実施方法について詳細に説明する。
本発明の抗アレルギー剤は、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を有効成分として含むものであり、例えば、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の治療剤又は予防剤として使用することができる。
アレルギー疾患とは、外来性の抗原とそれに対応する特異抗体又は感作リンパ球との反応に基づく組織障害を病因とする疾患である。アレルギー反応は、その反応形態によりI型、II型、III型、及びIV型の4型に分類されている。I型アレルギーはIgE抗体が関与する反応で、即時型、IgE依存型、あるいはアナフィラキシー型と呼ばれている。II型アレルギーは細胞障害型又は細胞融解型とも呼ばれ、不適合輸血、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少症などの疾患発症に関与している。外来抗原や自己抗原に対して産生されたIgG抗体あるいはIgM抗体が標的細胞に結合すると、補体系の活性化が引き起こされ標的細胞が障害される。III型アレルギーは、免疫複合体型又はアルサス型と呼ばれており、血清病、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、過敏性肺臓炎などが主な疾患である。血液中のIgG抗体もしくはIgM抗体が、可溶性抗原と結合して免疫複合体を形成することで引き起こされる組織障害である。IV型アレルギーは、遅延型あるいは細胞性免疫型とも呼ばれている。ツベルクリン反応に見られる様に抗原注射後48〜72時間後に紅斑、硬結を特徴とする炎症反応を呈する。
I型アレルギー反応では、発症前の生体内にハウスダスト、ダニ、花粉、真菌、動物の毛垢などが抗原となり、気道、消化管、皮膚などを経て体内に侵入し、IgE抗体が産生される。IgE抗体は、肥満細胞、好塩基球上の高親和性IgE受容体に結合し、それら細胞を感作する。その後再び抗原に暴露され、抗原がIgE抗体に結合すると、高親和性IgE受容体の架橋、細胞の活性化が起こり、脱顆粒や細胞膜脂質からのケミカルメディエーター産生、遊離が生じる。顆粒からはヒスタミン、好酸球遊走因子、好中球遊走因子などが遊離し、新たにケミカルメディエーターとしてプロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエン、血小板活性化因子などが産生される。これらケミカルメディエーターやサイトカインにより炎症細胞が患部に移動・浸潤する。
I型アレルギー反応を病因とする疾患には、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎などといった一般的な疾患が多い。本発明の抗アレルギー剤は、アレルギー疾患の治療および予防に広く使用することができるが、特にはI型アレルギー反応を病因とする疾患の治療および予防に使用することができる。
本発明の抗アレルギー剤またはそれを含む飲食品は、アレルギー症状の治療のみならず、アレルギー症状の発生の予防及び/又は該症状の軽減を図るための予防的治療を含む用途で用いることができる。
本発明の抗アレルギー剤及び抗アレルギー飲食品においては、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が有効成分として用いられる。
本明細書で言う「ポリ乳酸混合物」とは、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸が任意の割合で存在する混合物を意味する。即ち、「混合物」という用語は、縮合度3〜20の何れかを有するポリ乳酸の混合物であることを意味すると同時に、環状および鎖状のポリ乳酸の混合物を含む概念としても用いられる。このような「ポリ乳酸混合物」は、本明細書中以下に述べるように、乳酸を脱水縮合し、適当な方法で精製することにより得ることができる。なお、本明細書では便宜上「ポリ乳酸混合物」という用語を用いたが、この中には一定の縮合度を有する環状のポリ乳酸または一定の縮合度を有する鎖状のポリ乳酸といった単一成分から成るポリ乳酸も含まれる。
縮合度とは、ポリ乳酸中における反復単位である乳酸単位の数を意味する。例えば、環状のポリ乳酸は下記の構造式を有することが推測されるが、式中のnが縮合度を表す(即ち、n=3〜20)。
本明細書で単に「乳酸」と称する場合、この乳酸にはL−乳酸、D−乳酸またはこれらの任意の割合の混合物の全てが包含される。本発明においては好ましくは、乳酸は実質的にL−乳酸から成る。ここで言う「実質的に」とは、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率[即ち、(L−乳酸単位数/L−乳酸単位数+D−乳酸単位数)×100]が、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上であることを意味する。なお、ポリ乳酸混合物中におけるL−乳酸単位の比率は、出発物質として使用する乳酸中に存在するL−乳酸とD−乳酸の比率に依存する。
縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、特開平9−227388号公報、特開平10−130153号公報、または特願平11−39894号明細書(これらの特許明細書に記載の内容は全て引用により本明細書の開示として含める。)などに記載の製造方法により得ることができる。
より具体的には、例えば、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、下記の方法Aにより得ることができる。
方法A:
先ず、乳酸(好ましくは、実質的にL−乳酸から成る乳酸)を不活性雰囲気下で脱水縮合させる。不活性雰囲気としては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、窒素ガスを用いるのが好ましい。
脱水縮合反応は、常圧〜1mmHg程度の減圧下、110〜210℃、好ましくは130〜190℃の温度で行われるが、段階的減圧および段階的昇温によって行うのが特に好ましい。反応時間は適宜設定できるが、例えば1〜20時間反応を行うことができる。段階的減圧および段階的昇温を用いる場合には、反応時間を2以上から成る部分的な反応時間に分け、それぞれの部分において圧力と温度を設定して反応を行う。段階的減圧を用いる場合は、例えば、常圧→150mmHg→3mmHgと減圧することができ、段階的昇温を用いる場合は、例えば、145℃→155℃→185℃と昇温することができる。実際には、これらを組み合わせて、例えば、145℃で常圧で3時間、145℃で150mmHgで3時間、155℃で3mmHgで3時間そして185℃で3mmHgで1.5時間反応を行うことができる。
次いで、この脱水縮合反応により得られた反応混合物にエタノールおよびメタノールを加え、濾過して濾液を乾燥してエタノールおよびメタノール可溶分が得られる。即ち、本明細書で言う「エタノールおよびメタノール可溶分」とはエタノールとメタノールの混合液に可溶な画分を意味する。なお、エタノールおよびメタノール可溶分を得る際には、脱水縮合反応の反応混合物をエタノールおよびメタノールと混合するが、その際のエタノールとメタノールの比率は適宜設定することができ、例えばエタノール:メタノール=1:9である。なお、反応混合物にエタノールとメタノールを添加する順番、方法などは限定されず、適宜選択することができ、例えば、脱水縮合反応の反応混合物に先ずエタノールを添加し、次いでメタノールを添加することができる。
上記で得られたエタノール・メタノール可溶分を逆相カラムクロマトグラフィー、特にオクタデシルシラン(ODS)カラムを用いたクロマトグラフィーに付し、まずpH2〜3の25〜50重量%のアセトニトリル水溶液で溶離する画分を除去し、次いでpH2〜3の90重量%以上のアセトニトリル水溶液、好ましくは99重量%以上のアセトニトリル水溶液で溶離してくる画分を採取すると、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が得られる。
上記のようにして得られた環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ物質で中和し、減圧乾燥後、常法により下記に述べるような所望の形態に製剤化することができる。
本発明で用いる縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を製造するための別法としては、例えば、特願平11−265715号明細書に記載された方法(方法Bとする)または特願平11−265732号明細書に記載された方法(方法Cとする)を挙げることができる(これらの特許明細書に記載の内容は全て引用により本明細書の開示として含める。)。以下、方法Bおよび方法Cについて具体的に説明する。
方法B:
この方法は、ラクチドをRYLi(式中、Rは脂肪族基又は芳香族基を示し、Yは酸素原子又はイオウ原子を示す)で表されるリチウム化合物の存在下で重合させることによって環状乳酸オリゴマーを製造する方法である。重合反応を実施する場合、リチウム化合物(RYLi)の使用割合は、ラクチド1モル当たり、1〜0.1モル、好ましくは0.2〜0.3モルの割合である。反応温度は−100〜0℃、好ましくは−78〜−50℃である。反応は、−78〜−50℃の温度で開始し、徐々に室温にまで昇温させるように実施するのが好ましい。反応は、好ましくは反応溶媒の存在下で実施される。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの他、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン等を用いることができる。反応雰囲気としては、窒素ガスやアルゴン等の不活性ガス雰囲気が用いられる。反応圧力は特に制約されず、好ましくは常圧である。
なお、上記のようにして得られる乳酸オリゴマーの組成(即ち、環状乳酸オリゴマーと鎖状乳酸オリゴマーの混合比率)は、反応助剤として用いるリチウム化合物によって変動する。リチウム化合物として炭素数1〜3のアルキルアルコールのリチウム化合物(ROLi)(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)を用いる場合には、環状乳酸オリゴマーと鎖状オリゴマーとの混合物(環状乳酸オリゴマーの割合:80〜85重量%)が得られる。一方、リチウム化合物としてt−ブチルアルコール等の炭素数4以上のアルキルアルコールのリチウム化合物や、チオフェノール化合物を用いるときには、実質的に環状乳酸オリゴマーのみを選択的に得ることができる。
方法C:
この方法は、(i)乳酸を350〜400mmHgの圧力条件で120〜140℃の範囲の温度に加熱し、脱水縮合反応させるとともに、ラクチドを留出させずに副生水のみを留出除去する第1加熱工程、
(ii)該第1加熱工程終了後、反応生成物を150〜160℃の温度に加熱し、該反応圧力を降圧速度0.5〜1mmHg/分で15〜20mmHgまで降下させるとともに、その降圧に際し、ラクチドの留出を回避させながら副生水のみを留出除去し、該反応圧力が15〜20mmHgに降下後、同圧力条件及び反応温度150〜160℃においてさらに反応を継続して鎖状乳酸オリゴマーを主成分とする脱水縮合物を生成させる第2加熱工程、
(iii)該第2加熱工程終了後、0.1〜3mmHgの圧力条件で150〜160℃で加熱して該鎖状乳酸オリゴマーを環化させ、環状オリゴマーを生成させる第3加熱工程、
からなることを特徴とする方法である。
この方法では先ず、第1加熱工程において、減圧下において乳酸を加熱し、脱水縮合反応させる。この場合の反応時間は3〜12時間、好ましくは5〜6時間である。この第1加熱下での反応は、その反応を円滑に進行させるために、乳酸の脱水縮合により生成する副生水を留去させるが、この場合、乳酸2分子の脱水縮合物であるラクチドが留去しないように実施する。このためには、反応圧力を減圧、好ましくは300〜500mmHg、より好ましくは350〜400mmHgに保持し、この圧力条件下において、100〜140℃、好ましくは130〜140℃の範囲に加熱するのがよい。この第1加熱工程での反応により、主に、乳酸の3〜23分子の脱水縮合物を主成分とする反応生成物が生じる。
上記第1加熱工程の終了後、第2加熱工程において、高められた平均重合度のオリゴマーが得られるように、前記第1加熱工程における反応温度よりも高められた温度、好ましくは145〜180℃、より好ましくは150〜160℃の温度に加熱するとともに、反応圧力を10〜50mmHg、好ましくは15〜20mmHgの圧力に降下させてさらに脱水縮合反応を継続する。
この反応も、前記第1加熱工程の反応の場合と同様に、反応を円滑に進行させるために副生水を留去させるが、ラクチドが留去しない条件で実施する。反応圧力を前記範囲の圧力にまで降下させる速度(降圧速度)は、ラクチドの留出を回避し、且つ反応効率を高めるためには、0.25〜5mmHg/分、好ましくは0.5〜1mmHg/分の範囲に保持することが通常は必要である。前記範囲より低い降圧速度では、その所定圧まで降圧させるのに必要な時間が長くなるため好ましくなく、一方、前記範囲より高い降圧速度では、ラクチドが副生水とともに留去するようになるので好ましくない。
反応圧力が所定圧力にまで降下後、この反応圧力において、さらに反応を継続する。この場合の加熱時間は、3〜12時間、好ましくは5〜6時間である。
前記第2加熱工程での反応により、平均重合度が3〜30、好ましくは3〜23の乳酸オリゴマーが得られるが、この場合のオリゴマー中の環状オリゴマーの割合は、通常、70〜80重量%程度である。
上記第2加熱工程終了後、第3加熱工程において、反応圧力を0.25〜5mmHg、好ましくは0.5〜1mmHgに保持し、145〜180℃、好ましくは150〜160℃の温度でさらに反応を継続する。反応時間は3〜12時間、好ましくは5〜6時間である。この場合に生じる副生水も留去させる。この場合、ラクチドの留去も回避させることが好ましいが、反応生成物にはラクチドは殆んど含まれないので、その降圧速度を格別遅くする必要はない。
前記第3加熱工程での反応により、平均重合度3〜30、好ましくは3〜23で、かつ環状オリゴマーの割合が90重量%以上、好ましくは99重量%以上の乳酸オリゴマーが生成される。
なお、上記方法A、BおよびCは本発明で用いるポリ乳酸混合物の製造方法の具体例の一部を示したものにすぎず、本発明においては他の方法で製造されたポリ乳酸混合物を用いることもできる。
本発明の抗アレルギー剤は、前記の必須成分に加えてさらに必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、医薬品類、医薬部外品類、化粧品類などの製剤に使用される成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができる。本発明の抗アレルギー剤は、単独の医薬品類として使用できる以外に、医薬品類、医薬部外品類、皮膚・頭髪用化粧品類などに配合して用いることもできる。
本発明の抗アレルギー剤の形態は特に限定されず、経口投与又は非経口投与用の製剤形態の中から目的に最も適した適宜の形態のものを選択することが可能である。
経口投与に適した製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、ドリンク剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、チュアブル剤などを挙げることができ、非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、注射剤(皮下注射、筋肉内注射、又は静脈内注射など)、外用剤、点滴剤、吸入剤、噴霧剤、点鼻剤、点眼剤などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
経口投与に適当な液体製剤、例えば、溶液剤、乳剤、又はシロップ剤などは、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを用いて製造することができる。また、カプセル剤、錠剤、散剤、又は顆粒剤などの固体製剤の製造には、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いることができる。
非経口投与に適当な注射用又は点滴用の製剤は、好ましくは、受容者の血液と等張な滅菌水性媒体に有効成分である上記の物質を溶解又は懸濁状態で含んでいる。例えば、注射剤の場合、塩溶液、ブドウ糖溶液、又は塩水とブドウ糖溶液との混合物からなる水性媒体などを用いて溶液を調製することができる。腸内投与のための製剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪、又は水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができ、座剤として提供される。また、噴霧剤の製造には、有効成分である上記の物質を微細な粒子として分散させることができ、受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分の吸収を容易ならしめる担体を用いることができる。担体としては、具体的には、乳糖又はグリセリンなどが例示される。有効成分である物質及び使用する担体の性質に応じて、エアロゾル又はドライパウダーなどの形態の製剤が調製可能である。これらの非経口投与用製剤には、グリコール類、油類、フレーバー類、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種又は2種以上の飲食品を添加することもできる。
本発明の抗アレルギー剤をアレルギー性鼻炎の治療又は予防のために使用する場合には、点鼻剤の形態で使用することもできる。本発明の点鼻剤には、上記した有効成分であるポリ乳酸混合物の他に通常点鼻剤に用いられる物質、例えば抗炎症剤(グリチルリチン酸二カリウム、サリチル酸メチル、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、サリチル酸グリコール、インドメタシン等)、局所麻酔剤(リドカイン、塩酸リドカイン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、ベンゾカイン、アミノ安息香酸エチル等)、殺菌剤(アクリノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB12等)、清涼化剤(メントール、カンフル、ユーカリ油等)、増粘剤(ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルカルボキシ共重合体、ポリビニルピロリドン・ビニルアセテート共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、天然ガム等)、安定化剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の抗アレルギー剤の投与量及び投与回数は、投与の目的、投与形態、摂取者の年齢、体重又は性別などの条件などを含む種々の要因により適宜設定することができるが、一般的には、有効成分の投与量として一日当り1〜10,000mg/kg、好ましくは10〜2000mg/kg、より好ましくは10〜200mg/kgである。上記投与量の製剤を一日1〜4回程度に分けて投与することが好ましい。
本発明の抗アレルギー剤の投与時期は特に限定されず、抗原が体内に侵入する前でも後でもよく、また体内に侵入した抗原による抗原抗体反応(アレルギー反応)の反応前、反応中または反応後の何れでもよく、これらの期間の二つ以上にまたがって連続的に投与してもよい。
本発明はさらに、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む抗アレルギー飲食品にも関する。即ち、本発明で用いる縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物は、上記したような単独の製剤の形態で使用するのみならず、飲食品の中に配合して用いることができる。
本発明の抗アレルギー飲食品は、ポリ乳酸混合物を分解させることなく配合し得るものであれば、その配合形態には特に制限はない。
本発明による抗アレルギー飲食品の製品の具体例としては、清涼飲料、ドリンク剤、健康食品、特定保健用食品、機能性食品、機能活性型食品、栄養補助食品、サプレメント、飼料、飼料添加物などと一般に呼称される、飲料を含む健康食品または補助食品が挙げられる。
飲食品の具体例としては、例えば、チューインガム、チョコレート、キャンディー、錠菓、ゼリー、クッキー、ビスケット、ヨーグルト等の菓子類、アイスクリーム、氷菓等の冷菓類、茶、清涼飲料(ジュース、コーヒー、ココア等を含む)、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の飲料、パン、ハム、スープ、ジャム、スパゲティー、冷凍食品など任意の飲食品を挙げることができる。あるいは、本発明で用いるポリ乳酸混合物は調味料又は食品添加剤などに添加して用いることもできる。本発明の抗アレルギー飲食品を摂取することにより抗アレルギー効果が発揮され、実質的に有害な副作用を示さない安全な飲食品を提供することができる。
本発明の抗アレルギー飲食品は、ポリ乳酸混合物を、食品に使われる一般的な原料に直接混合、分散したのち、公知の方法により所望の形態に加工することによって得ることができる。
本発明の抗アレルギー飲食品はあらゆる形態の飲食品を包含するものであり、その種類は特に制限されず、上記したような各種飲食物、あるいは各種栄養組成物、例えば各種の経口又は経腸栄養剤や飲料等に、本発明の抗アレルギー剤を配合して飲食品として提供することができる。このような飲食品の組成としては、縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物の他に、蛋白質、脂質、糖質、ビタミン及び/又はミネラル類などを含めることができる。飲食品の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、固形、粉末、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。
飲食品中におけるポリ乳酸混合物の含有量は特には限定されないが、一般的には0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%程度である。
飲食品に含まれるポリ乳酸混合物の量は、本発明の目的とする抗アレルギー作用を発揮できる程度に含まれることが好ましく、好ましくは摂取される飲食物1食中に0.1gから10g程度、より好ましくは0.5gから3g程度である。
なお、本出願が主張する優先権の基礎となる日本特許出願である特願2001−4823号の明細書に記載の内容は全て、本明細書の開示の一部として本明細書中に引用するものとする。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によっていかなる点においても限定されることはない。
実施例
製造例1:ポリ乳酸混合物(以下、CPLとも称する)の製造
マントルヒーターに収めたセパラブルフラスコにL−乳酸(D−乳酸も混入しているもの)500mlを入れた。窒素ガス300ml/分の流入及び撹拌を行い、溜出水は保温した下降型接続管を経て還流冷却器付フラスコに導きながら、145℃で3時間加熱した。更に150mmHgに減圧して同温度で3時間加熱した後、3mmHgの減圧下155℃で3時間、最後に3mmHgの減圧下185℃で1.5時間加熱し、反応生成物であるポリ乳酸を得た。
得られたポリ乳酸は100℃に保ち、エタノール100mlに続いてメタノール400mlをそれぞれ加えた後放冷した。これをメタノール500ml中に加え、よく撹拌して静置した後濾過して精製した。その濾液を減圧乾燥してアセトニトリルに溶解し、全量を200ml(原液)とした。
この原液を、予め平衡化した逆相ODSカラム(TSK gel ODS−80TM)にかけ、0.01M塩酸を含む30%、50%および100%アセトニトリル(pH2.0)でステップワイズに溶離し、アセトニトリル100%溶出画分であるポリ乳酸(縮合度3〜20)を得た。得られた物質の質量スペクトルを図1に示す。図1中の規則的なフラグメントイオンピークから明らかなように、得られたポリ乳酸の混合物は、環状縮合体を主体とし、直鎖状縮合体が少量混在した状態になっている。
試験例1:
(試験方法)
1.実験動物
4週齢のHartley系雄性モルモット(日本エスエルシー)を使用した。
2.薬物
使用した薬物は製造例1で製造したポリ乳酸混合物(CPL)である。CPLは100mg/mlとなるようにグリセリンを用いて溶解させた後、精製水を添加し、100mg/2mlとした。
3.抗原およびアジュバント
感作には、既報(Takeshi Nabe他,Jpn.J.Pharmacol.75:243−251(1997);及びTakeshi Nabe他,Inflamm.Res.47:369−374(1998))に従って作製したスギ花粉抽出抗原を用いた。抗原吸入による反応惹起にはスギ花粉をそのまま用いた。アジュバントは、以前の報告(Takeshi Nabe他,Allergol.Intl.46:261−267(1997))に従って作製したaluminum hydroxide gel(Al(OH)3)を使用した。
スギ花粉抽出抗原とAl(OH)3の吸着は既報(Takeshi Nabe他,Jpn.J.Pharmacol.75:243−251(1997);及びTakeshi Nabe他,Inflamm.Res.47:369−374(1998))に従い、攪拌下のAl(OH)3の生理食塩水懸濁液(200mg/ml)にスギ花粉抽出抗原(200μgタンパク質/ml)の生理食塩水溶液を同量滴下することにより行なった。
4.感作および反応惹起
感作および抗原吸入による反応惹起は図2に示す方法で行なった。すなわち、Al(OH)3に吸着させたスギ花粉抽出抗原をモルモットの両鼻孔に1日2回、7日間連続で点鼻することにより感作を行い、以後、1週間に1回、定量的な花粉吸入器(Takeshi Nabe他,Jpn.J.Pharmacol.75:243−251(1997)に記載したもの)を用いて、自発呼吸下のモルモットにスギ花粉粒子を反復吸入させることにより、反応惹起を23回目まで繰り返した。
5.くしゃみの測定
くしゃみ回数は、スギ花粉吸入直後から1時間後まで、モルモットの症状を観察することにより測定した。なお、くしゃみの発現は1時間以降においてはほとんど認められないことは既報の通りである(Takeshi Nabe他,Inflamm.Res.47:369−374(1998))。
6.呼吸機能の測定
スギ花粉吸入による反応惹起後の鼻腔抵抗の指標としたspecific airway resistance(sRaw)の測定は、two−chambered,double−flow plethysmograph法を利用した多機能呼吸測定装置(Pulmos−I,M.I.P.S)を用いて行なった。
7.ヒスタミンの点鼻に対する反応性の測定
ヒスタミンの点鼻に対する反応性の測定は、既報(Nobuaki,Mizutani他,Eur.Respir.J.,14,1368−1375(1999))に準じて行なった。すなわち、23回目の反応惹起2日後に、10−4および10−2Mのヒスタミン溶液を10μl/nostril(20μl/animal)で両鼻腔内に20分間隔で順次点鼻した。反応の指標としたsRawは、それぞれの点鼻10分後に測定した。
8.薬物の投与(図2)
CPL(100mg/2ml/kg)は反応惹起23回目の6日前から1日1回連日経口投与した。最終投与は、23回目の反応惹起の2時間前とした。なお、コントロール群には50%グリセリン溶液を同様に経口投与した。
なお、コントロール群およびCPL投与群は、22回目の反応惹起時後のsRawの上昇の程度を観察することにより、反応の程度が同程度になるように2群に分けた(表1および図3)。図3において、各点は、15又は16頭のモデル動物の平均±S.E.を示す。
9.統計学的解析
統計学的解析には、Bonferroni’s multiple testを用い、危険率5%未満を有意とした。
(評価の結果)
1.二相性の鼻腔抵抗の上昇に及ぼすCPLの影響
図4は、反応惹起後の鼻腔抵抗の指標としたsRawの上昇に及ぼすCPLの影響についての成績を示す。図4において、CPL(100mg/kg/回/日)を7日間に渡り連続的に経口投与した。最後の投与は23回目の抗原吸入投与の2時間前に行なった。各点は、15又は16頭のモデル動物の平均±S.E.を示す。コントロールからの有意差は、星印1個はp<0.05、星印2個はp<0.01である。
図4から分かるように、コントロール群では、反応惹起1時間後においてsRawの上昇を示す即時性の鼻閉が認められ、3〜4時間後に再びsRawの上昇を示す遅発性反応が認められた。この二相性の鼻閉に対し、CPLは即時性および遅発性反応のいずれに対しても、全時間帯にわたって抑制もしくはその傾向を示した。
表2は、図3の成績を反応惹起の直後〜3時間後ならびに3〜10時間後におけるそれぞれの鼻腔抵抗の上昇の反応曲線下面積(AUC)で表示した成績を示す。CPLは即時相および遅発相の鼻閉に対し、それぞれ約60%および50%の有意な(p<0.01)抑制を示した。
2.くしゃみの発現に及ぼすCPLの影響
感作モルモットの反応惹起直後から1時間後までのくしゃみの発現に及ぼすCPLの影響についての成績を図5に示す。図5において、CPL(100mg/kg/回/日)を7日間連続的に経口投与した。最後の投与は23回目の抗原吸入投与の2時間前に行なった。各棒は、15又は16頭のモデル動物の平均±S.E.を示す。
図5から分かるように、コントロール群では、反応惹起0〜10分および10分〜1時間においていずれも約6回のくしゃみの発現が認められた。これに対し、CPL投与群では、若干の抑制傾向を示すにすぎなかった。
3.ヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼすCPLの影響
図6は、ヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼすCPLの影響についての
成績を示す。実験は23回目の花粉吸入投与の2日後に行なった。CPL(100mg/kg/回/日)を7日間に渡り連続的に経口投与した。最後の投与は23回目の抗原吸入投与の2時間前に行なった。各点は、11〜16頭のモデル動物の平均±S.E.を示す。非感作群からの有意差は、星印1個はp<0.05、星印2個はp<0.01であることを示し、十字印はコントロール群からの有意差がp<0.05であることを示す。
図6から分かるように、非感作モルモットでは、ヒスタミンの点鼻に対し、10−2Mで若干のsRawの上昇を示すにすぎなかったが、感作−惹起モルモットでは10−4Mより濃度依存的なsRawの上昇を示した。この鼻過敏性の亢進に対し、CPLは10−4Mにおける反応を有意に(p<0.05)抑制し、10−2Mの反応に対しても抑制傾向を示した。
(試験例のまとめ)
CPLのモルモットアレルギー性鼻炎モデルにおけるくしゃみ、二相性の鼻閉並びにヒスタミンの点鼻に対する鼻過敏性の発現に及ぼす影響を検討した。CPL(100mg/2ml/kg、po)の7日間連続投与はくしゃみの発現に対して明らかな抑制を示さなかったが、二相性の鼻閉に対しては即時性および遅発性のいずれも明らかに抑制し、ヒスタミンに対する鼻過敏性の発現も抑制した。
産業の利用の可能性
本発明の抗アレルギー剤は、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の治療及び予防のために使用することができる。
また、本発明において有効成分として用いられるポリ乳酸混合物は、生体成分に由来する乳酸の低縮合体であることから、生体適合性が高く、アレルギー症の治療に従来から用いられている抗ヒスタミン剤、肥満細胞からのケミカルメディエーターの遊離抑制作用を有する抗アレルギー剤、あるいはステロイドホルモン等に見られる副作用がない。
【図面の簡単な説明】
図1は、製造例1で得られたポリ乳酸混合物の質量スペクトルを示す。
図2は、試験例1の実験手順の流れ図を示す。図2において、(A)はスギ花粉抽出物での鼻腔内吸入による感作(0.6μg蛋白質/0.6mgAl(OH)3/動物)を示し、(B)はスギ花粉の吸入による投与/感作(約3.6mg/動物/回)を示し、(C)はCPL(100mg/2ml/kg)又はビヒクル(2ml/kg)の経口投与を示し、(D)は2群(A及びB)に分割を示し、(E)は抗原投与により誘発された二相性鼻腔抵抗及びくしゃみに及ぼすCPLの影響の評価を示し、(F)はヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼすCPLの評価を示す。
図3は、感作モルモットにおいて22回目のスギ花粉吸入投与により誘発されたspecific airway resistance(sRaw)の経時変化を示す。
図4は、感作モルモットにおいて23回目のスギ花粉吸入投与により誘発されるspecific airway resistance(sRaw)の二相性の増加に対するCPLの影響を示す。
図5は、感作モルモットにおいて23回目のスギ花粉吸入投与により誘発されるくしゃみに対するCPLの影響を示す。
図6は、感作モルモットにおけるヒスタミンに対する鼻過敏性の発現に及ぼすCPLの影響を示す。
Claims (9)
- 縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物を含む抗アレルギー剤。
- アレルギー疾患の治療剤又は予防剤として使用する、請求項1に記載の抗アレルギー剤。
- アレルギー疾患がI型アレルギー疾患である、請求項2に記載の抗アレルギー剤。
- アレルギー疾患がアレルギー性鼻炎である、請求項2又は3に記載の抗アレルギー剤。
- ポリ乳酸中における反復単位である乳酸が実質的にL−乳酸から成る、請求項1から4の何れか1項に記載の抗アレルギー剤。
- 縮合度3〜20の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が、乳酸を不活性雰囲気下で脱水縮合し、得られた反応液のエタノールおよびメタノール可溶分を逆相カラムクロマトグラフィーに付し、pH2〜3の25〜50重量%のアセトニトリル水溶液で溶離後、pH2〜3の90重量%以上のアセトニトリル水溶液で溶離した画分である、請求項1から5の何れか1項に記載の抗アレルギー剤。
- 脱水縮合を窒素ガス雰囲気下、段階的減圧及び昇温により行う、請求項6に記載の抗アレルギー剤。
- 逆相カラムクロマトグラフィーを、ODSカラムクロマトグラフィーにより行う請求項6又は7に記載の抗アレルギー剤。
- 請求項1から8の何れかに記載の抗アレルギー剤を含む抗アレルギー飲食品。
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