JPS64906Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は浴槽を昇降することによりストレツチ
ヤー上の身体障害者（以下患者という）をストレ
ツチヤーと浴槽間を移乗しないで患者に何ら不安
感を抱かせることなく順次一貫した入浴作業が迅
速に行なえるようにした身体障害者用入浴装置に
関するものである。

従来患者を入浴させる装置として洗い台と浴槽
との間にローラコンベア等の移送機構を設け、ス
トレツチヤー上の担架をローラコンベア等の上部
において移送移乗していたため、患者に移送移乗
時のシヨツクや危険性が有り、又洗い台と浴槽と
の間に移送機構を必要とするため、この移送機構
の部分がデツトスペースと成り、省スペース化が
計れなかつた。又、多くの患者を入浴させる際に
介助者はストレツチヤーを浴槽に接続したり、更
に担架を移送移乗したりするために手間を要し、
又労力と神経を使い単に入浴させるということだ
けで疲労を覚えねばならなかつた。

本考案は上記の欠点を一掃した装置で患者はベ
ツトから搬送されて入浴し、又ベツトへ帰るまで
同一ストレツチヤーに仰臥した状態で入浴が迅
速、且つ安全に行なえる装置を提供することを目
的としたものである。

すなわち本考案は、寝台８の上半身支持部８ａ
をやゝ傾斜させ、下半身支持部８ｂを平担面と
し、該寝台８の前方の前方突出部６ａ及び寝台８
の後方の後方突出部６ｂを上方へ逆Ｕ字型に突出
して形成された平行なパイプ体より構成された寝
台８を兼るストレツチヤー６と、浴槽１ａの底壁
下部に昇降機構２を有する昇降浴槽１からなる身
体障害者用入浴装置である。

また寝台８の下半身支持部８ｂの両側には逆Ｕ
字型に形成したパイプ材の両下端が軸支されるホ
ルダー１０が立設され、該ホルダー１０の立設中
途部から上方は上半身支持部８ａ側に向つてくの
字形に屈曲され、該ホルダー１０は上方に持ち上
げられて扇状に回動して後方突出部６ｂ側に格納
されるものである。

以下本考案の実施例を図面に従つて説明する。
１は平面視略長方形で短尺側の一側壁の下方が内
側に向つて傾斜してなる浴槽１ａと、該浴槽１ａ
を支えて浴槽１ａを昇降させる昇降機構２と、該
昇降機構２を設置する昇降基台３とからなる昇降
浴槽である。この昇降浴槽１と適宜間隔を有して
操作部４が昇降基台３に連結される。該操作部４
には昇降機構２を昇降作動させる昇降スイツチ５
その他各種バルブが設置されている。

ストレツチヤー６はパイプ材を平行に配置して
四脚をもつ枠体に形成してなり、このストレツチ
ヤー６の脚部にはキヤスター７を有し又床面より
伸長した上方端は寝台８の前方及び後方において
逆Ｕ字型の前方突出部６ａ，６ａ後方突出部６
ｂ，６ｂを形成し、該前方突出部６ａと後方突出
部６ｂを結ぶ平面の上面の略半分はやゝ傾斜させ
上半身支持部８ａとし残りの略半分を上半身支持
部８ａの低位側と同高の平担な下半身支持部８ｂ
として寝台８が形成される。

前記下半身支持部８ｂの両側の枠体の前後には
回動自在なローラー９が側方に突出して設けられ
る。更に下半身支持部８ｂの両側の枠体の適宜位
置には逆Ｕ字型のホルダー１０が垂直に軸支さ
れ、このホルダー１０は立設中途部から上方は上
半身支持部８ａ側に向つてくの字形に屈曲され、
しかもこのホルダー１０は後方突出部６ｂ側に持
ち上げられて扇状に回動するように軸支されてい
る。又、上半身支持部８ａ及び下半身支持部８ｂ
には夫々患者固定用の保護バン１１が取着され
る。

前記昇降浴槽１の両側には適宜な間隔をもつて
二台の長方形平板を上面に有して水滴を受ける洗
い台１２，１２が並例に設置され、前記ストレツ
チヤー６の前後の脚の間隔は洗い台１２の長手方
向即ち前後方向の長さよりもやゝ長くなしてい
る。

更にこのストレツチヤー６の両側の枠体に取着
した左側のローラー９の突端と右側のローラー９
の突端との距離は浴槽１ａの相対面する長尺側の
内壁間の距離よりもわずか狭くなしている。

又この寝台８の高さは最下降位の昇降浴槽１及
び洗い台１２の高さよりやゝ高い高さになしてい
る。浴槽１ａが昇降機構２により上昇されて最上
昇位にあるとき寝台８は浴槽１ａ内に浸入するよ
う位置し、またこのときストレツチヤー６の前方
突出部６ａ及び後方突出部６ｂは浴槽１ａの相対
する前後の短尺側の縁部上面よりもわずか高位に
あつて浴槽縁部をおおうようにストレツチヤー６
の脚の長さが決められる。

洗い台１２の四隅の脚の洗い台１２前後方向の
端部にある二本ずつの脚下方にはこの二本の脚間
にわたつて平板上にクツシヨン材を貼着した洗い
台プロテクター１３，１３が取着されている。

また前記ストレツチヤー６の前後方向の両側部
の脚の下方には短手方向の脚間にわたつて前後方
向側の斜め下方向に突出したコ字形のパイプ材で
なるガイド１４，１４がそれぞれ取着されてい
る。昇降基台３の長手方向即ち前後方向の両側面
にはクツシヨン材でなる基台プロテクター１５，
１５が夫々貼着されている。

以上の如き構成よりなる本考案入浴装置は次の
如く用いるものである。

室内ベツト（図示省略）に、寝台８付のストレ
ツチヤー６が横付けされると介助者により室内ベ
ツト上の患者が寝台８上に移載される。この時ホ
ルダー１０は移載の邪魔にならぬよう後方突出部
６ｂ側へ格納しておき、移載後患者の安全搬送の
ために寝台８に保護バンド１１にて患者を固定す
る。

前記ホルダー１０を上半身支持部８ａ側に傾斜
させた所定の角度まで回動させ、患者に掌握させ
る。

然る後、ストレツチヤー６は浴室に搬送され、
該ストレツチヤー６の寝台８を洗い台１２上に移
動するとき洗い台１２をストレツチヤー６の脚で
挾むように移動する。このとき洗い台１２の両側
の洗い台プロテクター１３，１３相互間距離より
ストレツチヤー６の両側のガイド１４，１４相互
間の距離がわずか長い為、ストレツチヤー６のガ
イド１４，１４は洗い台１２の洗い台プロテクタ
ー１３，１３に接近するように案内される。患者
に洗い台１２で洗い流し作業をなした後患者をス
トレツチヤー６で浴槽１ａ上に搬送する。

前述した洗い台１２上にストレツチヤー６を移
動する作業と同様に昇降基台３の基台プロテクタ
ー１５，１５はストレツチヤー６のガイド１４，
１４と微少な間隔をもつて案内されてストレツチ
ヤー６は浴槽１ａ上の適宜位置に移動する。スト
レツチヤー６が昇降浴槽１より短手方向に多少ず
れてもローラー９が浴槽１ａの内壁に当接するこ
とにより正常な位置に修正され、またストレツチ
ヤー６には逆Ｕ字型の前方突出部６ａ、後方突出
部６ｂを形成しているので浴槽１ａ上昇時に支障
なく寝台８は浴槽１ａ内に充分浸入される。操作
部４に設けた昇降スイツチ５により昇降機構２を
作動して浴槽１ａを上昇させて患者を浴槽１ａ浴
湯内に沈め入浴させる。入浴を終えると、ふたた
び操作部４に設けた昇降スイツチ５により浴槽１
ａを下降させる。入浴をすませた患者は昇降浴槽
１上からストレツチヤー６で他の洗い台１２上へ
搬送され患者は再度清潔に洗われる。そして清拭
した後洗い台１２上からストレツチヤー６により
ベツトその他の所定の場所へ搬送される。即ち第
１図に示す洗い台１２、浴槽１及び洗い台１２の
配置において、患者及びストレツチヤー６を洗い
台１２から浴槽１へ、浴槽１から洗い台１２へと
順送する。尚洗い台１２，１２は昇降浴槽１の両
側に対称的に設けられているので、どちらの洗い
台１２，１２から入浴作業を開始してもよい。

又、洗い台１２は一台のみ用いてもよくこの場
合は入浴前の予洗と入浴後の後洗を一台の洗い台
１２で行うのである。

叙上の如き構成と作用の本考案装置の効果は、
ストレツチヤーには前方突出部及び後方突出部を
上方へ逆Ｕ字型に突出して形成しているため、浴
槽の縁にストレツチヤーが衝突することなく安全
に昇降浴槽を上昇操作でき、かつ寝台を浴槽内に
深く浸入でき患者は充分に浴湯中に漬ることがで
き満足な入浴ができるようになつた。

更にストレツチヤーは昇降浴槽を短手方向に移
動し跨越する構成としている為、昇降浴槽、スト
レツチヤーの接続機構、レール機構を用いないで
ストレツチヤーを順送でき装置構成を簡潔にして
製造コストを低廉にした。また担架をレール機構
上で移乗したり及び担架を上下動させたりするこ
となく入浴できるため、振動や騒音を無くして患
者に不安感を抱かせることなく担架脱落の危険性
もなく安全に入浴できる。さらに介助者もレール
機構の整合、担架脱落防止具の操作等の作業手数
を省略して楽に一貫した入浴作業が行なえること
となつた。またストレツチヤーを多数使用しスト
レツチヤーの長手方向の両端を二人の介助者が操
作すれば順送りで多人数の患者を連続して効果的
に入浴させることができ、介助者も楽に多人数の
患者の入浴作業ができるものである。

また患者が入浴中にストレツチヤーは浴槽を覆
つた状態で存在する構成としているので従来の様
に空荷のストレツチヤーが浴室の空間を占領しな
いので浴室を広く効果的に使用でき省空間の効果
を有し、あるいは空荷のストレツチヤーを一々浴
室外に出しておくという手数を省く効果を有して
いるのである。

また、寝台には扇状回動するホルダーを設けて
患者が入浴時このホルダーを掌握するようになし
ている為、患者は恐怖感、不安感等を抱くことな
く楽な気持で入浴ができるようになつた。このホ
ルダーは寝台に設けている為、入浴時に有役であ
ることはもちろんであるが加えて病室などから浴
室への搬送時にも患者はホルダーを掌握すること
ができるので安心して楽な気持で搬送されるよう
になつたのである。

また、昇降浴槽とストレツチヤーとを固定レー
ルで接続したり、あるいは昇降浴槽のレールとス
トレツチヤーのレールとの高さを合わせたりする
据付設置時の工事、調整に要する手数を大幅に減
縮し、また経年変化によるレール高さのくい違い
等も皆無であつて保守を簡略化し、さらに昇降浴
槽の装備や洗い台の装置の組み合せの時システム
としての装置間の機能調整が不要である為、極め
て容易に装置の組み合わせの変更、増設、交換等
ができるので製造者にも使用者にも有利な入浴装
置である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
洗い台を併設した場合の全体斜視図、第２図は浴
槽を上昇させたときの縦断面図である。 １……昇降浴槽、１ａ……浴槽、２……昇降機
構、６……ストレツチヤー、６ａ……前方突出
部、６ｂ……後方突出部、８……寝台、８ａ……
上半身支持部、８ｂ……下半身支持部。１０……
ホルダー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 寝台８の上半身支持部８ａをやや傾斜させ下半
   身支持部８ｂを平坦面とし、該寝台８の前方の前
   方突出部６ａ及び寝台８の後方の後方突出部６ｂ
   を上方へ逆Ｕ字型に突出して形成された平行なパ
   イプ材より四脚を有する枠体が構成されてなり寝
   台８を兼ねるストレツチヤー６と、平面視長方形
   の浴槽１ａの底壁下部に昇降機構２を有する昇降
   浴槽１と、逆Ｕ字型に形成したパイプ材の両下端
   が下半身支持部８ｂの両側に軸支され下半身支持
   部８ｂに立設されるホルダー１０とからなり、前
   記四脚の下端には夫々キヤスター７が設けられ、
   前記ホルダー１０は立設中途部から上方は上半身
   支持部８ａ側に向かつてくの字形に屈曲され、ホ
   ルダー１０の上端は上方に持ち上げられて扇状に
   回動して後方突出部６ｂ側に格納され、前記スト
   レツチヤー６は浴槽１ａの短手方向に移動して昇
   降浴槽１を跨越することを特徴とする順送式身体
   障害者用入浴装置。