JPH08676A - 医療用ベッドのステップつき安全さく - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 医療用ベッドにおける昇降用ステップを付設
した転落防止用の安全さくを、患者自身によって開閉で
きるようにする。 【構成】 医療用ベッド１０のベッド面に垂直な支軸に
よって回動可能に支承され、ベッドの側縁に平行な閉位
置と、ベッドの側縁にほぼ垂直な開位置との間を回動す
る、少なくとも一つの安全さく１７と、少なくとも一方
の安全さくの下部に取り付けられて、安全さくが開いた
とき、ベッド側方の床面近くに設置される昇降用のステ
ップ２１とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、病院等における医療用
ベツドに係り、特に、病入が容易にベッドを昇降するた
めのステップを付設した安全さくを、開閉可能に設けた
医療用ベツドに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、病院等における医療用ベツド
は、床からの高さが、マットレスの厚みを含めると約８
０ｃｍに作られており、住宅やホテルなどのベッドに比
して、かなり大きくなっている。

【０００３】これは、回診に際して、医師が一々腰をお
ろすことなく、起立した姿勢で病人を診察できるよう
に、高さを大きくしてある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ベッドの就床面が高い
ことは、病入がベッドを昇降するのが困難になる不都合
がある。

【０００５】特に、身体が衰弱して起居が不自由な病人
や老齢者などは、自分自身ではベッドを昇降することが
ほとんど不可能で、介護者の補助を必要としている。

【０００６】患者がまったく動作不能な重症者ではな
く、短距離であれば自身で歩行可能な場合は、図７に示
すように、病室（１）内のベッド（２）の近傍に置いた
便器（３）を使用して排便したり、あるいは、車椅子
（４）を用いて廊下へ出たりすることがある。

【０００７】このような比較的軽症の患者であっても、
ベッドが高い場合には、単独で昇降するとができず、そ
の都度、介護者の補助が必要になっているケースは、か
なり多い。

【０００８】介護者が常時病室内にいてくれればよい
が、所用などで不在のときに、患者がベツドから降りる
必要が生じた場合には、問題がある。

【０００９】このような場合、一般的に患者が呼鈴等で
看護婦を呼ぶようにしているが、待ちきれずに失禁した
り、あるいは単独でベッドを降りようと試みることがあ
る。

【００１０】身体不自由な患者が、独りでベッドを昇降
することは、常に転落の危険をともない、打撲や骨折な
どの傷害を蒙るおそれが大きい。

【００１１】かかる不都合を解消するためには、ベッド
の側方に適宜の高さの踏み台を設置することが考えられ
るが、この種の踏み台は、医師の回診時や各種の看護作
業の邪魔にならないように、小型軽量で手軽に移動可能
なものが多い。

【００１２】したがって、ともすれば、患者がベッドか
ら降りたいときに、踏み台が所定位置から移動してい
て、役に立たないこともある。

【００１３】また、医療用ベッドには、患者の転落を防
止する安全さくを備えたものも知られており、この種の
安全さくは、たとえばベッドのフレームの側面の受け孔
に、安全さくの下部に突出した支軸を挿入して、着脱可
能に装着できるように構成されている。

【００１４】安全さくは、通常、鋼管などで枠状に形成
されて、かなりの重量があるので、上記のような着脱構
造の安全さくは、衰弱した患者が自身で着脱することが
ほとんど不可能である。

【００１５】本発明は、これらの不都合を解消するため
に、必要時に、患者自身の操作によって、ベッドの側面
に枢着した安全さくを開閉することができ、かつ、安全
さくの適所にステップを付設して、安全さくを開位置と
したときに、ステップが所要の位置に設置されるように
した医療用ベツドのステップつき安全さくを提供するこ
とを目的とする。

【００１６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明は、次のとおりに構成されている。

【００１７】請求項１に記載した発明は、医療用ベッド
のベッド面に垂直な回転軸により支えられ、ベッドの側
縁に平行に近接した閉位置と、ベッドの側縁にほぼ垂直
な開位置との間を回動する、少なくとも一つの安全さく
と、少なくとも一方の安全さくの下部に取り付けられ
て、さくが開いたとき、ベッド側方の床面近くに設置さ
れる昇降ステップとを備えることを特徴とする医療用ベ
ッドのステップつき安全さく、である。

【００１８】請求項２に記載した発明は、閉位置または
開位置に回動した安全さくを、それぞれの位置にクラン
プする係止装置を備えることを特徴とする請求項１に記
載の医療用ベッドのステップつき安全さく、である。

【００１９】請求項３に記載した発明は、安全さくが閉
位置にあるとき、昇降ステップがベッド下部と床との間
の空間に収容されることを特徴とする請求項１に記載の
医療用ベッドのステップつき安全さく、である。

【００２０】請求項４に記載した発明は、昇降ステップ
が弾性体を介して、安全さくに上下に移動可能に取り付
けられて、常時は床から離間し、下向きの荷重がかかっ
たときに下方に移動して、床面に接触することを特徴と
する請求項１に記載の医療用ベッドのステップつき安全
さく、である。

【００２１】

【作用】医療用ベッドに垂直な回転軸で枢着した安全さ
くを、患者自身で開閉操作でき、かつ、開閉した両位置
で固定し得るように設置するとともに、安全さくの下部
に、開いた位置で、ベッド側方の床面近くに設置される
ステップを付設して、患者が介護者の補助を受けなくて
も、ベッドを昇降でき、かつ、開いた位置の安全さくを
伝わって、病室内に設置した便器や車椅子等に移動でき
るようにする。

【００２２】

【実施例】図１は、本発明の一実施例の安全さくを備え
る医療用ベッドの斜視図である。

【００２３】ベッド（１０）は、周知の医療用ベッドに
準じて、フレーム（１１）の上にマットレス（１２）を
載置し、フレーム（１１）の四隅に固設した支脚（１
３）により、床上に設置されている。

【００２４】ベッド（１０）の一側縁には、長さ方向の
安全さく（１４）が設置され、頭部側及び脚部側の縁端
には、それぞれ幅方向の安全さく（１５）が設置されて
いる。幅方向の安全さく（１５）の長さは、フレーム
（１１）の幅より小さく、長さ方向の安全さく（１４）
の側に片寄せて設置されている。

【００２５】これらの安全さく（１４）（１５）は、通
常の医療用ベッドに準じて、鋼管等で枠状に形成され、
フレーム（１１）に着脱可能に、もしくは固定的に装着
されている。

【００２６】安全さく（１４）の逆側の側縁における左
右一対の支脚（１３）の上部に、それぞれ垂直軸回りに
回転可能なスリーブ（１６）を同軸に設置し、開閉する
安全さく（１７）が支承されている。

【００２７】開閉する安全さく（１７）（以下、単に安
全さく（１７）という）は、スリーブ（１６）の両側
に、それぞれ上下一対の枠材（１８）と（１９）とが、
水平方向に逆向きに突設され、各枠材（１８）（１９）
の先端に、円筒状に形成した係止装置（２０）を、それ
ぞれ垂直方向に取り付けて構成されている。

【００２８】各枠材の中、長い方の枠材（１８）は、安
全さく（１７）をベッド（１０）の側縁に沿った閉位置
としたときに、先端の係止装置（２０）が、ほぼベッド
（１０）の長さ方向の中央近くになる寸法とし、一方、
短い方の枠材（１９）は、安全さく（１７）をベッド
（１０）の側縁に直交する開位置としたときに、先端の
係止装置（２０）が、幅方向の安全さく（１５）の端に
近接する寸法にしてある。

【００２９】長い方の枠材（１８）の下方のものには、
昇降用のステップ（２１）が取り付けられている。これ
については後述する。

【００３０】図２は、安全さく（１７）の回転軸の構成
を示す断面図で、スリーブ（１６）は、支脚（１３）の
上部に同心に延設された支軸（２２）に回転可能に嵌着
され、各枠材（１８）（１９）の基端は、溶接等により
スリーブ（１６）に固着されている。

【００３１】支軸（２２）の上端には、キャップ（２２
ａ）を螺着して、スリーブ（１６）の上下位置を保持
し、また、スリーブ（１６）の下端には、プラスチック
ス等の適宜のなめらかな材質の減摩ワッシャ（２３）を
装着して、安全さく（１７）を軽く開閉できるようにし
てある。

【００３２】図３は、係止装置（２０）の構成を示す断
面図である。枠材（１８）と（１９）とにそれぞれ設置
した係止装置（２０）は同一構造であるため、図３には
その１個のみを示す。

【００３３】軸受筒（２４）には、上端部にメネジ孔
が、下端部にガイド孔が、同軸に形成されて、枠材（１
９）（または（１８））の先端に、溶接により垂直に固
着されている。

【００３４】係上軸（２５）は、軸受筒（２４）の下部
のガイド孔に嵌挿される軸部（２５）と、上部のメネジ
孔に螺着されるネジ部（２６）とを設け、上端にローレ
ットを施したハンドル（２７）が固設されている。

【００３５】安全さく（１７）を開位置または閉位置に
設置したとき、各係止装置（２０）の係止軸（２５）の
下端（２８）が対向するフレーム（１１）の個所に、そ
れぞれ係止孔（２９）が設けられている。

【００３６】安全さく（１７）を開位置または閉位置に
設置して、ハンドル（２７）を回して係止軸（２５）を
下降させ、下端（２８）を係止孔（２９）に挿入する
と、安全さく（１７）は、それぞれの位置に固定され
る。

【００３７】ハンドル（２７）を逆回転して、係止軸
（２５）の先端（２８）を鎖線示の位置に上昇させて、
係止孔（２９）から離脱させると、安全さく（１７）
は、係止状態から解放されて、開位置と閉位置との間に
回動させることができる。

【００３８】図４は、昇降用のステップ（２１）を、安
全さく（１７）を開位置とした状態で示す立面図であ
る。

【００３９】この実施例におけるステップ（２１）は、
安全さく（１７）の枠材（１８）の下方のものに取り付
けた台座に支承されている。

【００４０】台座は、上縁を粋材（１８）に溶接した垂
直部材（３０）と、垂直部材（３０）の下縁から水平に
突設した水平部材（３１）とで形成されている。

【００４１】この実施例のステップ（２１）は、鋼板等
の金属板を用いて、二段の踏み板を有する中空の箱状に
形成されているが、材質や踏み板の段数等は、適宜に選
定可能であることは云うまでもない。

【００４２】ステップ（２１）の下面には、複数個（こ
の実施例では４個）の脚軸（３２）が、下向きに突設さ
れている。各脚軸（３２）は、図５に示すように、下端
にゴム足（３３）を装着し、上端のボルト部（３４）を
ステップ（２１）の底板に設けたボルト孔に挿通して、
ステップ（２１）の内部でナットを螺着して固定されて
いる。

【００４３】台座の水平部材（３１）とステップ（２
１）の底板との間に、各脚軸（３２）の周囲にコイルス
プリング（３５）を介装して、ステップ（２１）を上方
に付勢してある。

【００４４】すなわち、常時は、ステップ（２１）は、
スプリング（３５）により上昇して、ゴム足（３３）が
床面から距離（ｄ）の高さに離間し、かつ、安全さく
（１７）が閉位置に移動した状態では、ベツド（１０）
の下部に収納される高さ位置に支承されている。

【００４５】患者がベッド（１０）を降りようとすると
きには、まず、安全さく（１７）を開位置に設定して、
係止装置（２０）により固定する。このときステップ
（２１）は、ベツド（１０）の下部の収納位置から、側
方の床面上の使用位置に移動する。

【００４６】患者がステップ（２１）に足を乗せると、
下向きの荷重が加わって、各スプリング（３５）が圧縮
されるため、ステップ（２１）が下降し、各ゴム足（３
３）が床面に当接圧着される。

【００４７】この状態で、ステップ（２１）は、安定に
床面に設置され、かつ、安全さく（１７）が昇降時の手
すりとして機能するため、身体不自由な患者でも転倒な
どの危険なしに、きわめて安全にベッド（１０）を昇降
することができる。

【００４８】さらに、図６に示すように、病室（１）内
に設置した便器（３）や、引き寄せ用の紐（５）を付し
た車椅子（４）などに移動する場合にも、安全さく（１
７）を開位置に設置して固定すれば、これを伝わって移
動することができるので、介護者の補助を受けることな
く、安全かつ容易に移動することができる。

【００４９】以上、図示の実施例に基づいて本発明を説
明したが、本発明は上述内容に限定されるものではな
く、各種の変形応用を含むものとして理解すべきであ
る。

【００５０】たとえば、図１に示した実施例では、左右
一対の安全さく（１７）を、ベッド（１０）の頭部側と
脚部側とに対称的に設けているが、いずれか一方のみ
（頭部側とするのが望ましい）でもよく、また、左右の
安全さく（１７）の長さ寸法を異ならせてあってもよ
い。

【００５１】また、図示の実施例では、左右一対の安全
さく（１７）にそれぞれステップ（２１）を付設してい
るが、これは、いずれか一方のみ（同じく頭部側とする
のが望ましい）としてもよい。

【００５２】特に、図１に鎖線で示すように、下部に浴
槽（４０）を収容しておき、側方へ引き出して患者を入
浴させるようにした医療用ベッドの場合は、浴槽（４
０）の深さ寸法を頭部側で浅くして、頭部側の下方にス
ペースを形成し、頭部側の安全さく（１７）に取り付け
たステップ（２１）を収容するようにできるが、脚部側
では、そのようなスペースを設けることが困難であるた
め、ステップ（２１）を頭部側のみに付設することにな
る。

【００５３】安全さく（１７）やステップ（２１）を頭
部側と脚部側との両方に設けた場合でも、患者が使用す
る頻度は、頭部側の方が多いため、上記のように、安全
さく（１７）あるいはステップ（２１）を頭部側のみに
設けた場合にも、実用上、支障は生じない。

【００５４】

【発明の効果】

（１）ヘッド（１０）上の患者自身の操作によって、安
全さく（１７）の開閉、及びステップ（２１）の設置を
行うことができる。

【００５５】（２）したがって、単独ではベッドを昇降
することが困難な患者であっても、用便等に際して、い
ちいち介護者の補助を受けることなく、ベッドを昇降す
ることが可能になる。

【００５６】（３）ステップ（２１）は、常時は床面か
ら離間して、安全さく（１７）の開閉を妨げず、、患者
が乗ると下降して、ゴム足を介して床面に支承され、安
定に昇降することができる。

【００５７】（４）開位置に固定した安全さく（１７）
は、ステップ（２１）の昇降時に安定した手すりとして
機能し、また、病室内に設置し便器や車椅子に移動する
際にも、開位置とした安全さくを利用することにより、
患者が転倒する事故を防止して、きわめて安全に移動す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のステップつき安全さくを備
える医療用ベッドの斜視図である。

【図２】安全さくの回転軸部を示す断面図である。

【図３】安全さくの係止装置を示す断面図である。

【図４】昇降用のステップを示す立面図である。

【図５】ステップの支脚を示す部分断面図である。

【図６】図１の医療用ベッドを設置した病室の概略平面
図である。

【図７】従来の医療用ベツドを設置した病室の概略平面
図である。

【符号の説明】

（１） 病室 （２） ベッド （３） 便器 （４） 車椅子 （５） 引き寄せ用紐 （１０） ベッド （１１） フレーム （１２） マットレス （１３） 支脚 （１４） 安全さく （１５） 安全さく （１６） スリーブ （１７） 安全さく （１８）（１９） 棒材 （２０） 係止装置 （２１） ステップ （２２） 支軸 （２２ａ） キャップ （２３） 減摩ワツシャ （２４） 軸受筒 （２５） 係止軸 （２６） ネジ部 （２７） ハンドル （２８） 先端 （２９） 係止孔 （３０） 垂直部材 （３１） 水平部材 （３２） 脚軸 （３３） ゴム足 （３４） ボルト （３５） スプリング （４０） 浴槽

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】医療用ベッドのベッド面に垂直な回転軸に
   より支えられ、ベッドの側縁に平行に近接した閉位置
   と、ベッドの側縁にほぼ垂直な開位置との間を回動す
   る、少なくとも一つの安全さくと、少なくとも一方の安
   全さくの下部に取り付けられて、さくが開いたとき、ベ
   ッド側方の床面近くに設置される昇降ステップとを備え
   ることを特徴とする医療用ベッドのステップつき安全さ
   く。
2. 【請求項２】閉位置または開位置に回動した安全さく
   を、それぞれの位置にクランプする係止装置を備えるこ
   とを特徴とする請求項１に記載の医療用ベッドのステッ
   プつき安全さく。
3. 【請求項３】安全さくが閉位置にあるとき、昇降ステッ
   プがベッド下部と床との間の空間に収容されることを特
   徴とする請求項１に記載の医療用ベッドのステップつき
   安全さく。
4. 【請求項４】昇降ステップが弾性体を介して、安全さく
   に上下に移動可能に取り付けられて、常時は床から離間
   し、下向きの荷重がかかったときに下方に移動して、床
   面に接触することを特徴とする請求項１に記載の医療用
   ベッドのステップつき安全さく。