JPH10263019A - 介護ベッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 労力負担の軽減及び人員の削減を図りなが
ら、自力で起き上がることのできない人を容易に抱え上
げることができる介護ベッドを提供する。 【解決手段】 ベッド本体３の人が仰向けに寝た状態の
臀部に臨む部分に開口８を形成し、該開口８内に座椅子
部１０を出没可能に配置し、該座椅子部１０にこれを上
昇させることにより上記臀部を押し上げる昇降装置１５
を配設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自力で起き上がる
ことができない寝たきりの人や足腰の不自由な人の介護
を容易に行えるようにした介護ベッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】高齢化社会を向かえるにあたって、寝た
きり老人や痴呆性老人、なかでも自力で起き上がること
のできない寝たきりの人や足腰の不自由な人に対する福
祉問題が重要となっている。このような介護を必要とす
る大部分の人は人手に頼っているのが実情である。

【０００３】このため最近では、寝たきりの人のために
上半身を自動的に起こすことのできる特殊ベッドを利用
したり、あるいはベッドからの移動に電動車椅子を利用
したりするケースが増えている。これにより食事や入浴
等を行う際の人手をできるだけ軽減するようにしてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、ベッドに仰
向けに寝ている人を移送する場合、身体とベッドとの間
に手を差し入れて腰部と大腿部とを両手で抱え上げるこ
ととなる。この場合、身体を横に向けたり，腰部を持ち
上げたりして手を差し入れるという作業となることか
ら、複数の人手による大変な労力が必要となる。特に体
重の大きい人であったり，ベッドのクッションが柔らか
であったりした場合には、抱え上げることが困難になる
場合がある。

【０００５】本発明は、このような状況に鑑みてなされ
たもので、労力負担の軽減及び人員の削減を図りなが
ら、自力で起き上がることのできない人を容易に抱え上
げることのできる介護ベッドを提供することを目的とし
ている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、ベッド本体の
人が仰向けに寝た状態の臀部に臨む部分に開口を形成
し、該開口内に座椅子部を出没可能に配置し、該座椅子
部にこれを上昇させることにより上記臀部を押し上げる
昇降装置を配設したことを特徴とする介護ベッドであ
る。

【０００７】ここで、上記昇降装置には、電動モータに
よりロッドを進退させて座椅子部を昇降させるモータ駆
動式，あるいは油圧シリンダにより座椅子部を昇降させ
る油圧駆動式等が採用できる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図１ないし図７は、本発明の
一実施形態による介護ベッドを説明するための図であ
り、図１〜図３はそれぞれ介護ベッドの側面図，平面
図，一部断面正面図、図４は昇降装置の断面図、図５〜
図７はそれぞれ被介護者を移送する搬送車の正面図，側
面図，平面図である。本実施形態では、病院あるいは特
別養護老人ホーム等の福祉施設における寝たきりの被介
護者を移送する場合を例に説明する。

【０００９】図１〜図４において、１は本実施形態の介
護ベッドであり、これは床面上に立設された複数の脚部
２・・上に略水平をなすベッド本体３を載置して構成さ
れている。このベッド本体３は、矩形枠状のベッドフレ
ーム４にクッション５を敷設した構造のもので、ベッド
本体３の長手方向に仰臥した被介護者の上半身が位置す
る上半部３ａと、被介護者の臀部が位置する中央部３ｂ
と、被介護者の下半身が位置する下半部３ｃにそれぞれ
区分けされている。

【００１０】上記上半部３ａはベッドフレーム４に枢支
されたヒンジ６により上方向に回動可能に支持されてお
り、これにより任意の角度に調整固定できるようになっ
ている。また下半部３ｃは上記同様にヒンジ７により下
方向に回動可能に支持されており、これにより任意の角
度に調整固定できるようになっている。なお、上記上半
部３ａ，下半部３ｃは電動モータ，あるいは油圧シリン
ダ等を用いて自動的に回動させてもよく、あるいはラチ
ェット機構を用いて手動により回動させてもよい。

【００１１】上記中央部３ｂには、幅方向に延びる長方
形状の開口８が形成されており、この開口８内には座椅
子部１０が出没可能に配置されている。この座椅子部１
０は、底板１１にクッション１２を載置した構造のもの
で、該クッション１２が被介護者の臀部に当接してい
る。

【００１２】上記座椅子部１０には昇降装置１５が配設
されており、この昇降装置１５は上記左，右の脚部２，
２間に架設されたクロスプレート１６上に配置されてい
る。上記昇降装置１５は昇降駆動部１７と左，右一対の
サイドガイド１８，１８とを備えている。この各サイド
ガイド１８は、円筒状のガイド部材１９内にシャフト２
０を進退自在に挿入してなり、該ガイド部材１９の上端
縁には上記シャフト２０の外周面に摺接する軸受メタル
２１が装着されている。上記ガイド部材１９はクロスプ
レート１６に固定されており、シャフト２０の上端は座
椅子部１０の底板１１に固定されている。

【００１３】上記昇降駆動部１７は、シリンダケース２
３内に電動モータ２４を収容し、該モータ２４の駆動軸
２５にネジシャフト２６を同軸をなすように結合したも
ので、該駆動軸２５及びネジシャフト２６は軸受２７を
介してシリンダケース２３に支持されている。このネジ
シャフト２６にはナットユニット２８が螺着されてお
り、該ナットユニット２８には複数本のロッド２９の下
端が締結されている。この各ロッド２９の上端部はシリ
ンダケース２３から上方に突出しており、突出端には座
金３０が固定されている。

【００１４】上記ロッド２９の座金３０は座椅子部１０
の底板１１に固定されており、上記シリンダケース２３
の下端部はブラケット３１を介してクロスプレート１６
に固定されている。また上記電動モータ２４には電源ケ
ーブル２４ａが接続されており、該ケーブル２４ａの延
長端は昇降スイッチ（不図示）に接続されている。

【００１５】上記昇降駆動部１７は、昇降スイッチの操
作により電動モータ２４がネジシャフト２６を回転させ
るとナットユニット２８が軸方向に移動し、これに伴っ
てロッド２９が昇降する構造のもので、これにより上記
座椅子部１０がベッド本体３から上方に突出して被介護
者の臀部を押し上げることとなる（図１参照）。

【００１６】図５〜図７において、４０は被介護者を移
送する搬送車である。この搬送車４０は、バッテリ電源
により車輪４１を駆動するモータ駆動式のもので、介護
者が搭乗するステップ４２の前部に昇降機構４２を配置
し、該昇降機構４２に逆Ｕ字状の支持部材４３を固定
し、該支持部材４３に２本のフォーク４４，４４を着脱
可能に装着して構成されている。この各フォーク４４は
支持部材４３に対して水平方向に調整可能となってい
る。また一方のフォーク４４には背もたれ部材４５が着
脱可能に装着されており、該背もたれ部材４５はハンド
ル４６により角度調整可能になっている。

【００１７】上記搬送車４０には操向ハンドル４７，ア
クセルペダル４８，前後進切替えレバー４９，昇降レバ
ー５０，操作スイッチ５１がそれぞれ配設されており、
これらを操作することにより上記介護ベッド１から被介
護者を移送するものである。また上記搬送車４０はステ
ップ４２に介護者が搭乗した状態で被介護者が目視でき
る寸法，及び形状に設計されている。

【００１８】次に本実施形態の作用効果について説明す
る。本実施形態の介護ベッド１において被介護者を移送
するには、被介護者を仰向けに寝させた状態で座椅子部
１０を上昇させて臀部を押し上げる。すると臀部が持ち
上がることにより被介護者の腰部，及び大腿部とベット
本体３との間に隙間が形成されることとなる（図１参
照）。この状態でベッド本体３の側方から搬送車４０の
各フォーク４４，４４を上記隙間に挿入する。

【００１９】次いでベッド本体３の上半部３ａ，下半部
３ｃを回動させて上半身，下半身を起こして着座姿勢と
し、被介護者の背申に背もたれ部４５を当接する。この
状態で昇降機構４２を介して各フォーク４４を上昇させ
ることにより、被介護者を坐った姿勢で抱え上げること
となる（図４，図５参照）。このようにして被介護者を
所定の場所に移送する。例えば、入浴させる場合には被
介護者を抱え上げた状態でバスタブ内に移送することと
なる。この場合、バスタブの周壁を搬送車４０の支持部
材４３内に挿入させることによりバスタブの底部まで被
介護者を浸すことが可能となる。

【００２０】このように本実施形態によれば、ベッド本
体３に被介護者の臀部に臨む部分に開口８を形成し、該
開口８内に座椅子部１０を昇降可能に配置したので、該
座椅子部１０を上昇させて臀部を押し上げることによ
り、腰部，及び大腿部とベッド本体３との間に隙間が形
成されることとなり、この隙間に手を差し入れることに
より被介護者を抱え上げることができる。これにより一
人で介護を行うことが可能となり、労力負担の軽減を図
ることができるとともに、人員の削減を図ることができ
る。

【００２１】また本実施形態では、被介護者の移送に搬
送車４０を用いたので、介護を行う際の労力負担及び人
手をさらに軽減でき、安全にかつ確実に移送を行うこと
ができる。ひいては病院や福祉施設での人手不足に充分
対応できるとともに、家族に対する負担を解消できる。

【００２２】なお、上記実施形態では、搬送車４０によ
り被介護者を移送した場合を説明したが、本発明は人手
により移送する場合にも適用でき、この場合においても
労力負担及び人員の軽減を図ることができる。また本介
護ベッド１は病院や福祉施設に限られるものではなく、
家庭においても使用できる。

【００２３】また上記実施形態では、昇降装置１５に電
動モータ２４を用いたが、本発明はこれに限られるもの
ではなく、油圧シリンダにより座椅子部を昇降駆動する
よにしてもよく、あるいはチェーン，ベルト駆動により
座椅子部を昇降させてもよい。

【００２４】さらに上記実施形態では、ベッド本体３に
幅方向に延びる長方形状の座椅子部１０を配置したが、
本発明の座椅子部の形状はこれに限られるものではな
く、円形でもよく、要は臀部を持ち上げることができる
大きさ，形状であれば何れのものでもよい。

【００２５】

【発明の効果】以上のように本発明に係る介護ベッドに
よれば、ベッド本体の臀部に臨む部分に開口を形成し、
該開口内に座椅子部を出没可能に配置するとともに、該
座椅子部により臀部を押し上げるようにしたので、これ
によりベッド本体と腰部及び大腿部との間に手を差し入
れる隙間が形成されることとなり、自力で起き上がるこ
とのできない人を容易に抱え上げることができ、労力負
担を軽減できるとともに、人員を削減できる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態による介護ベッドを説明す
るための側面図である。

【図２】上記介護ベッドの平面図である。

【図３】上記介護ベッドの一部断面正面図である。

【図４】上記介護ベッドの昇降装置の断面図である。

【図５】上記介護ベッドの被介護者を移送する搬送車の
正面図である。

【図６】上記搬送車の側面図である。

【図７】上記搬送車の平面図である。

【符号の説明】 １ 介護ベッド ３ ベッド本体 ８ 開口 １０ 座椅子部 １５ 昇降装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベッド本体の人が仰向けに寝た状態の臀
   部に臨む部分に開口を形成し、該開口内に座椅子部を出
   没可能に配置し、該座椅子部にこれを上昇させることに
   より上記臀部を押し上げる昇降装置を配設したことを特
   徴とする介護ベッド。