JP3006428U - 介護用ベッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 被介護者の背起こし及び寝返り等に関する補
助動作を行ない得る介護用ベッドの提供。 【構成】 マットレス用の載置台２を、前部の二枚の支
分載置台２ａ及び後部の二枚の支分載置台２ｂで構成
し、前部の支分載置台２ａ相互をその間のヒンジ３で結
合し、後部の二枚の支分載置台２ｂを、各々その内端付
近に配したヒンジピン５を中心に起伏自在に構成し、か
つ両前後の支分載置台２ａ、２ｂ相互を、各々相互の突
き合わせ端部を中心に、前部の各支分載置台２ａが起伏
自在となるようにヒンジ４で結合し、左右の支分載置台
２ｂには、それらを起伏動作させる起伏駆動機構９ｂを
各々構成し、加えて前部の支分載置台２ａには、その後
端を中心に起伏動作させる起伏駆動機構９ａを構成す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、老人又は疾病により寝たきり、またはそれに近い状態になっている 被介護者の介護に用いる介護用ベッドに関する。

【０００２】 寝たきりの老人等を含む被介護者の介護は、非常に重労働であり、被介護者の 居る家庭では、介護活動を行う者（介助者）もまたその介護活動に伴う甚だしい 疲れのためにしばしば健康を害することがあり、社会問題にもなっている。 介護活動としての主要な作業は、被介護者について、移動させたり、着替えを させたり、又は食事を取らせたりすることであり、その具体的な作業は、自身で は自由に身体を動かすことができない被介護者を、起こしたり、寝かせたり、寝 返りを打たせたり、腰を浮かせたり、運んだりするもので、前記したように、極 めて重労働である。 そしてこのような介護活動を助ける機能は、被介護者が日常的に生活するベッ ドに備えられていることが適当であり、本考案は、そのような介護活動を補助す る機能を備えた介護用ベッドに関するものである。

【０００３】

【従来の技術】

現時点で提案されている介護用ベッドには次のようなものがある。 その一つのタイプのベッドは、食事の際等に上半身を起こし（背起こし）、こ れを維持するのを助けるために、ベッドの上半身対応部位を起伏自在に構成した ものである。 他の一つは床づれ防止のためにベッド全体を横方向に傾けることができるよう にしたものである。このタイプのものには、ベッドの上半身対応部を三分割して 、それぞれ外側を起伏自在にして寝返りを補助するように構成したものもある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、前記したように、介護に必要な作業は、具体的には、自身では自由 に身体を動かすことができない被介護者を、ベッド上で、起こしたり、寝かせた り、寝返りを打たせたり、腰を浮かせたり、運んだりするものである。 しかし前記従来技術の各々では、それぞれ食事の際等に背起こしを行なうこと ができるとか、床づれ防止のために寝返りを容易に打たせるようにした、と云う ように、そのほんの一部の作業を助けることができるに過ぎない。他の多くの作 業を同時に補助し得るものではない。

【０００５】 本考案では、以上のような従来技術の問題点を解決し、多様な介護作業に対応 した補助的機能を有する介護用ベッドを提供することを解決の課題とする。 より具体的に述べれば、被介護者の背起こし及び寝返りの双方に対する補助的 機能を有するものとし、同時にこれらの機能が、着替えとか、担架や車椅子等へ の移動とかの際にも有用となる介護用ベッドを提供することを解決の課題とする ものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の構成の要旨とするところは、 マットレスを載置する載置台を、その幅の中央で縦方向に、長さ方向の途中で 横方向に、それぞれ分割して、四枚の支分載置台を構成し、 前部の支分載置台相互及び後部の支分載置台相互を、各々相互の突き合わせ端 部付近を中心に起伏自在となるようにヒンジ結合し、 左側の支分載置台相互及び右側の支分載置台相互を、各々相互の突き合わせ端 部を中心に、前部の支分載置台が起伏自在となるようにヒンジ結合し、 かつ左右の支分載置台には、各々少なくともその前後の一方に、それらを左右 方向に起伏動作させる起伏駆動機構を構成し、 更に前部の支分載置台には、その後端を中心に起伏動作させる起伏駆動機構を 構成した介護用ベッドであり、これによって前記課題を解決することができる。

【０００７】 以上の載置台は、一般的なベッドの支持フレームを構成して、それに配設する のが適当である。この支持フレームは、詳細な構成は、前記載置台を不都合なく 配設し、かつ前記起伏駆動機構をセットできるものであれば、特定の構成に限定 されない。

【０００８】 また前記起伏駆動機構は、それぞれ対応する支分載置台を安全に起伏させるこ とのできる構成であれば、特定のそれに限定されない。手動で動作させるもので あっても、駆動源として電動モータや油圧機器等を用いるものであっても良い。

【０００９】

【作用】

本考案は、以上のように構成したので、次のように使用することが出来る。 通常マットレスを載置した載置台を全部水平状態に保持しつつ、その上に被介 護者を寝かせることとする。 食事等で被介護者を起こす必要がある場合には、該当する前記起伏駆動機構を 動作させて前部の二つの支分載置台を起立動作させ、いわゆる背起こしを行なわ せる。こうして被介護者は、上半身に対応する前部の支分載置台が起き上がる背 起こし動作により、上半身を起こされることとなるので、介助者が特別手助けを しなくても上半身を起こすことができることとなる。

【００１０】 食事が終わって寝かせる場合には、該当する起伏駆動機構を逆方向に動作させ て、前部の支分載置台を水平状態に復帰させれば良い。 しかしていずれにしても背起こし及び背起こしから寝る状態への復帰も介助者 の重労働を必要とすることなく容易に行なうことができる。

【００１１】 寝返りを打たせる場合、例えば、右側を下にして寝ている被介護者を左側を下 にするように寝返りを打たせる場合には、対応する起伏駆動機構を動作させて、 上から見て左側の二つの支分載置台を外側から起立方向に上昇させ、ベッド上の 被介護者の身体を左側から右側に回転させ、左側を下にするように寝返り動作さ せることができる。しかしてこのとき介助者は若干の手助けをする程度で殆ど労 力を要しない。この後、左側の支分載置台を元の位置に戻す動作をさせる。予め 、右側に身体を寄せておけば左側の支分載置台を元に戻しても被介護者の身体の 状態に影響はない。逆方向に寝返りを打つのを助ける場合は、逆の側の起伏駆動 機構を動作させて同様のことを行なえば良いことは云うまでもない。 また以上のような寝返り補助動作は、着替えの時にも役に立つこととなる。

【００１２】

【実施例】

以下図面に基づいて本考案の一実施例を説明する。 図１及び図２に示したように、マットレス１を載置する載置台２を、その幅の 中央で縦方向に、長さ方向の途中で横方向に、それぞれ分割して、前部の二枚の 支分載置台２ａ、２ａ及び後部の二枚の支分載置台２ｂ、２ｂを構成する。なお 図１中では、ベッドは、左側が前部であり、右側が後部である。

【００１３】 前記載置台２は、その内、前部の左右の支分載置台２ａ、２ａについては、相 互の突き合わせ端である中央側端部を、これに沿って配したヒンジ３により結合 し、該ヒンジ３のピンを中心にして各々外端側が起伏し得るように構成する。こ れは後述する後部の支分載置台２ｂ、２ｂとともに寝返り補助動作を行なわせる 趣旨である。

【００１４】 また前部の左側の支分載置台２ａと後部の左側の支分載置台２ｂ、及び前部の 右側の支分載置台２ａと後部の右側の支分載置台２ｂを、それぞれについて前者 の後端と後者の前端とで、各々に沿って配したヒンジ４、４により結合し、該ヒ ンジ４、４のピンを中心にして各々前部の支分載置台２ａ、２ａの前端側が起伏 し得るように構成する。これはいわゆる背起こし動作を行なう趣旨である。

【００１５】 更に後部の左右の支分載置台２ｂ、２ｂは、図１及び図３に示したように、各 々に、その突き合わせ端である中央側端に沿ってヒンジピン５、５を平行に配し 、これらをベッド支持枠６の下部水平板６ａから立ち上げた二つのブラケット７ 、７で支持する。かつ前記ヒンジピン５、５は、各支分載置台２ｂ、２ｂの中央 側端から各々垂下したブラケット８、８…に回動自在に取り付ける。 前部の右側の支分載置台２ａと同時に、後部の右側の支分載置台２ｂの起伏動 作を行ない、また前部の左側の支分載置台２ａと同時に、後部の左側の支分載置 台２ｂの起伏動作を行ない得ること、即ち、寝返り補助動作をできるようにする 趣旨である。

【００１６】 図１及び図２に示したように、前部の支分載置台２ａ、２ａには、各々同期し て、それらの前端側を起伏させる起伏駆動機構９ａ、９ａを構成する。 特に図２に示したように、上記起伏駆動機構９ａは、支分載置台２ａの裏面に 固設した作動レバー１０であって、前後の支分載置台２ａ、２ｂを結合するヒン ジ４のヒンジピンの付近から斜め後方に垂下する作動レバー１０と、該作動レバ ー１０の後端に当接するナット部材１１であって、前後方向に延びるスクリュウ 部材１２に螺合したナット部材１１と、前記スクリュウ部材１２を正逆回転駆動 する電動モータ１３とを基本的構成要素として構成したものである。

【００１７】 なお前記スクリュウ部材１２は、ベッド支持枠６の下部水平板６ａから立ち上 げたブラケット１４、１４に回動自在に支持してあり、前記電動モータ１３も前 記下部水平板６ａに固設してある。また前記ナット部材１１は、前記ブラケット １４、１４間に固設したガイド棒１５により回転方向の動きが規制され、スクリ ュウ部材１２の軸方向にのみ動き得るようになっている。 なおまた前記起伏駆動機構９ａ、９ａは全く同様の構成となっている。

【００１８】 したがって前記電動モータ１３、１３を同期して所定方向に回転（正回転）さ せると、前記スクリュウ部材１２、１２が同期して同方向に回転し、これに螺合 しかつ回転が規制されている前記ナット部材１１、１１が、図２中左方向に移動 し、前記作動レバー１０、１０の下部を左方向に押すこととなる。しかして前記 前部の支分載置台２ａ、２ａは、前記ヒンジ４、４を中心に前部側が上昇する背 起こし動作をすることとなる。前記電動モータ１３、１３を逆方向に回転させれ ば、前記支分載置台２ａ、２ａの前端側を下降させ、元の状態に復帰させること ができる。

【００１９】 後部の支分載置台２ｂ、２ｂにも、各々起伏駆動機構９ｂ、９ｂを構成する。 両起伏駆動機構９ｂ、９ｂは、相互に対向する向きであり、かつ前記起伏駆動機 構９ａ、９ａに対して直交する向きに設置してある。なお、以上のように、起伏 駆動機構９ｂ、９ｂは、向きが異なるのみで、全く同一の構成なので、以下に一 方のみを説明する。また前記起伏駆動機構９ａとも同様の構成である（同一部分 は同一符号で示す）。

【００２０】 図３に示したように、起伏駆動機構９ｂは、起伏駆動機構９ａと同様であり、 支分載置台２ｂの裏面に固設した作動レバー１０であって、対応する側の支分載 置台２ｂのヒンジピン５の付近から反対側に向かって斜め側方に垂下する作動レ バー１０と、該作動レバー１０の下端に当接するナット部材１１であって、左右 方向に延びるスクリュウ部材１２に螺合したナット部材１１と、前記スクリュウ 部材１２を正逆回転駆動する電動モータ１３とを基本的構成要素として構成した ものである。他の構成もまた前記起伏駆動機構９ａと全く同様である。

【００２１】 しかして左側後部の支分載置台２ｂの下方に設置した起伏駆動機構９ｂの動作 を説明すると、次の通りである。 即ち、該当する起伏駆動機構９ｂの電動モータ１３を所定方向に回転（正回転 ）させると、前記スクリュウ部材１２が同方向に回転し、これに螺合し回転が規 制されている前記ナット部材１１が、図３中左方向に移動し、前記作動レバー１ ０の下端を左方向に押すこととなる。それ故、左側後部の支分載置台２ｂは、図 ３中左側のヒンジピン５を中心に左側が上昇する寝返り補助動作をすることとな る。前記前部左側の支分載置台２ａも、後部左側の支分載置台２ｂとその間のヒ ンジ４で結合しているので、同時に左側が上昇する寝返り補助動作をすることと なる。 前記電動モータ１３を逆方向に回転させれば、前記支分載置台２ｂ、２ａの左 側を下降させ、元の状態に復帰させることとなる訳である。

【００２２】 以上の起伏駆動機構９ａ、９ａ、９ｂ、９ｂの電動モータ１３の動作は、ベッ ド側部に図示しないキーボードをセットしておき、そのキー操作によってオンオ フ制御し得るようにする。また各電動モータ１３の動作限界は、前記ナット部材 １１の移動限界にセンサを配置して、その限界に至った際に出力される信号によ り、前記キーボードの操作いかんに拘らず、電動モータ１３の継続する回転動作 をその時点で停止させるように構成する。キーボードによる逆方向への操作は当 然可能とする。

【００２３】 ところで前記ベッド支持枠６は、ベッドの四隅に対応する四本の脚部６ｂ、６ ｂ…と、それらの下部途中に、相互を結合すべく固設した前記下部水平板６ａと 、脚部６ｂ、６ｂ…の下端に配したキャスタ６ｃ、６ｃ…と、前後端に立ち上げ た前後フレーム６ｄ、６ｄと、図示しないサイドフレームと、前部の支分載置台 ２ａ、２ａの前端を載せて受け止める受部６ｅと、後部の支分載置台２ｂ、２ｂ の後端を載せて受け止める受部６ｆとで構成したものである。

【００２４】 また四枚の支分載置台２ａ、２ａ、２ｂ、２ｂからなる載置台２の上には前記 マットレス１を載置するのは云うまでもない。

【００２５】 この介護用ベッドに被介護者を寝かせておいた場合には、必要に応じて右側の 起伏駆動機構９ｂを動作させれば、右側の支分載置台２ａ、２ｂの右端側を昇降 させて寝返り補助動作を行なうことができるし、左側のそれを動作させれば、左 側の支分載置台２ａ、２ｂの左端側を昇降させて寝返り補助動作を行なうことが できる。またこのような動作は着替えの際にも役に立つものである。

【００２６】 前部の起伏駆動機構９ａ、９ａを動作させれば、前部の支分載置台２ａ、２ａ の前端側を昇降させる背起こし、背降ろし動作をさせることができる。背起こし 動作は、食事その他の場合に用いるものである。

【００２７】 以上のような寝返り補助動作及び背起こし動作に於いて、介助者は、ごく僅か に手助けをする程度で、それ以上の労力を必要としないので、被介護者も気分的 に楽になるであろうし、介助者も重労働から解放されることとなる。

【００２８】

【考案の効果】

本発明の介護用ベッドによれば、これを使用している被介護者の寝返り、及び 背上げが容易に行なえるので、被介護者自身にとって都合が良いばかりでなく、 これを助ける介助者も重労働から解放される。したがって病院その他の施設又は 寝たきりとなった老人や重病の病人等の居る家庭で使用するのに好都合である。 また本発明の実施例の介護用ベッドによれば、被介護者がスイッチのオンオフ 等多少の動きが可能であれば、自らその動作を助けるために利用することも可能 となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例の介護用ベッドの概略平面説明図。

【図２】後部の支分載置台用のヒンジピン及びこれに結
合するブラケット等を省略した一実施例の介護用ベッド
の概略側面説明図。

【図３】右側の起伏駆動機構を省略した一実施例の介護
用ベッドの部分概略背面図。

【符号の説明】

１ マットレス ２ 載置台 ２ａ 支分載置台 ２ｂ 支分載置台 ３ ヒンジ ４ ヒンジ ５ ヒンジピン ６ ベッド支持枠 ６ａ 下部水平板 ６ｂ 脚部 ６ｃ キャスタ ６ｄ 前後フレーム ６ｅ 受部 ６ｆ 受部 ７ ブラケット ８ ブラケット ９ａ 起伏駆動機構 ９ｂ 起伏駆動機構 １０ 作動レバー １１ ナット部材 １２ スクリュウ部材 １３ 電動モータ １４ ブラケット １５ ガイド棒

【手続補正書】

【提出日】平成６年６月２８日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 マットレスを載置する載置台を、その幅
   の中央で縦方向に、長さ方向の途中で横方向に、それぞ
   れ分割して、四枚の支分載置台を構成し、 前部の支分載置台相互及び後部の支分載置台相互を、各
   々相互の突き合わせ端部付近を中心に起伏自在となるよ
   うにヒンジ結合し、 左側の支分載置台相互及び右側の支分載置台相互を、各
   々相互の突き合わせ端部を中心に、前部の支分載置台が
   起伏自在となるようにヒンジ結合し、 かつ左右の支分載置台には、各々少なくともその前後の
   一方に、それらを左右方向に起伏動作させる起伏駆動機
   構を構成し、 更に前部の支分載置台には、その後端を中心に起伏動作
   させる起伏駆動機構を構成した介護用ベッド。