JPS646092B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (a) 産業上の利用分野 この発明はシートの重送防止装置に関するもの
であり、特に複写機、電子フアイル、フアクシミ
リ、印刷機等のようにシート原稿の入力機構に高
い信頼性を必要とする装置に用いるシートの重送
防止装置に関するものである。

(b) 従来の技術および発明が解決しようとする課
題 従来より給紙台板に積載された複数枚のシート
原稿を一枚ずつ分離して搬送するのに種々の手段
が提供されている。例えばコーナ分離爪を用いる
方法があるが、この方法は、シート原稿間の密着
力が大きい場合には分離することが不可能であ
り、また原稿端部に損傷を生ずることがあるとい
う欠点がある。また逆転ローラ等の摩擦部材を用
いる方法があるが、この方法ではシート原稿の厚
さが変化するとそれに合わせて微妙な調整を行な
わねばならず、この調整を行なわなかつたりある
いは調整が不適当である場合にはシート原稿が重
送され易くなるという欠点がある。さらに原稿を
汚したり傷めたりすることがあり、また紙粉の存
在やローラ材質の経時変化に起因する摩擦係数の
変化によつて分離能力が低下してしまうというの
も上記方法における欠点である。またさらにサク
シヨンエアボツクスとローラ、ベルト等とを併用
する方法もあるが、この方法では２枚より多くの
シート原稿が一度に給送されたような場合に、給
送しようとするシート原稿のみを分離することが
できず、また原稿を傷め易く汚し易い等の多くの
欠点を有しているため、上記のようにシート原稿
の入力機構に高い信頼性を要求される装置には不
向である。

本発明は上記に鑑みなされたものであつて、従
来のように摩擦部材を用いて強制的に重送を防ご
うとするのではなく、エア吸引式にすると共にそ
の吸引口を形成するケーシングの下側先端部を先
細にした重送防止用シート原稿吸着防止装置を用
いることによつて、原稿を傷めることなく、しか
も複数枚のシート原稿が同時に搬送されるのを確
実に防止することのできる信頼性の高いシートの
重送防止装置を提供しようとするものである。

(c) 課題を解決するための手段 この発明のシートの重送防止装置は、積載され
たシート材の端部付近を上部からエア吸引して持
ち上げるエア吸引口を有するシート材吸着装置
と、このシート材吸着装置が所定の給紙位置にあ
るとき、最上位の給送しようとするシート材の次
位以下のシート材を吸引するエア吸引口を有する
重送防止用シート材吸着装置を備えたシートの重
送防止装置において、 前記重送防止用シート材吸着装置は前記シート
材吸着装置がシート材を持ち上げているとき、前
記積載されているシート材と前記持ち上げられて
いるシート材との間に挿入されるサクシヨンエア
ケーシングを備え、このサクシヨンエアケーシン
グの挿入方向の先端部が先細に形成されていると
ともに、前記シート材吸着装置により持ち上げら
れているシート材の裏面に当接する傾斜した開口
部からなるエア吸引口を備えていることを特徴と
している。

(d) 作用 この発明のシートの重送防止装置においては、
シート材吸着装置は積載されたシート材をエア吸
引口によつて吸引し、重送防止用シート材吸着装
置はシート材吸着装置が所定の給紙位置にあると
き、エア吸引口によつて最上位の給送をしようと
するシート材の次位以下のシート材を吸引する
が、重送防止用シート材吸引装置に設けられてい
るサクシヨンエアケーシングは、シート材吸着装
置により持ち上げられているシート材と積載され
ているシート材との間に挿入される方向に先細形
状である。このため、シート材吸着装置から落下
してくるシート材や極度にカールしている次位シ
ート材の端部との接触面積が小さくなり、そのた
めシート材を汚したり傷めたりすることがない。
また、サクシヨンエアケーシングに設けられてい
るエア吸引口は、シート材吸着装置により持ち上
げられているシート材の裏面に当接するように傾
斜しているため、サクシヨンエアケーシングが挿
入されたとき、次位以下のシート材の対して無理
なく吸引力を作用させることができ、吸引に伴う
シート材の損傷を防止することができる。

(e) 実施例 以下に本発明の一実施例につき図面を参照しつ
つ詳細に説明するが、第１図は本発明による重送
防止用シート原稿吸着装置の略示側面図、第２図
はその略示正面図、第３図はその吸引口部分の拡
大斜視図、第４図は作動説明図、第５図は作動回
路説明図をそれぞれ示しており、各図面とも同一
の部品には同一の符号を付している。

本発明のシートの重送防止装置は、シート原稿
吸着装置と重送防止用シート原稿吸着装置とより
成るものであるが、まず最初に特徴的な重送防止
用シート原稿吸着装置について説明する。

第１図及び第４図において、Ｊは重送防止用シ
ート原稿吸着装置全体を示しており、これはサク
シヨンエアケーシング１を有している。サクシヨ
ンエアケーシング１の内部には負圧室２が形成さ
れており、またケーシング１はその一部において
前方へ突出しているエア吸引口３を形成してい
る。そしてこのエア吸引口３を形成しているケー
シング１の下側先端部１２は鋭利な角錐状に形成
されている。

またサクシヨンエアケーシング１の下部には回
転軸支持板４が取着され、回転軸支持板４には回
転軸５が固定されている。そしてこの回転軸５は
駆動台板７上に設けられたベアリング等の軸受部
材６に回転自在に支持されている。したがつて、
サクシヨンエアケーシング１は回転軸５を中心と
して図中矢線Ａ方向に回転することになるが、そ
の回転範囲はストツパ（図示せず）により規制さ
れている。上記したユニツト全体は図中矢線Ｂ方
向に自由に往復動するようなされているが、これ
は駆動台板７にスライダ８を固定し、一方このス
ライダ８をスライド軸固定板１０に固定されたス
ライド軸９に取付け、駆動台板７にモータ取付板
１４を介して固定されたモータ１１を駆動するこ
とによつて行なう。

第２図は同装置をその正面から見た概略図であ
り、第１図において矢線Ａで示したサクシヨンエ
アケーシング１の回転運動は、サクシヨンエアケ
ーシング１の下部に固定されているラツチアング
ル１８と、ソレノイド取付板１７に取着されたソ
レノイド１６とをラツチ１９によつて連結し、該
ソレノイド１６のON−OFFの切替えによつて行
なう。なお、１５は第１図において矢線Ｂで示し
たユニツト全体の往復運動を行なうためのギアで
あり、このギア１５はギア取付板１３に取着され
ている。また２０はサクシヨンブロア（図示せ
ず）とサクシヨンエアケーシング１とを結ぶダク
トである。

次に第４図及び第５図に基づいて本実施例のシ
ートの重送防止装置の作動説明を行なう。

第４図において、２１はシート原稿吸着装置
を、２２はシート原稿搬送装置を、２３は矢線Ｃ
方向に上下動自在に設けられた給紙台板を、２４
は原稿搬送ガイドを、２５は給紙台板２３上に載
置された複数枚のシート原稿をそれぞれ示してい
る。また、２５′はシート原稿のうち給送しよう
とするシート原稿すなわち最上位のシート原稿
を、２５″は該最上位のシート原稿２５′の次位の
シート原稿を示している。

まず第４図ａにおいて、シート原稿の給送開始
を指示すると給紙台板２３は、その上に載置され
た複数枚のシート原稿２５′のうち最上位のシー
ト原稿２５′がシート原稿吸引装置２１の原稿吸
着面である吸引口に接するまで矢線Ｃ方向に沿つ
て上昇してくる。なおこの時、重送防止用シート
原稿吸着装置Ｊは実線で示す待機位置にあり、吸
引動作はなされていない。

次に同図ｂで示すように最上位のシート原稿２
５′がシート原稿吸着装置２１に吸着され、図に
示す所定の位置すなわち給紙位置まで上昇して停
止する。

そして次に重送防止用シート原稿吸着装置Ｊが
吸引動作を開始し、該シート原稿吸着装置２１に
吸着された最上位シート原稿２５′の裏面にその
吸引口が密着するまで前進し、その後実線で示す
所定の位置すなわちシート原稿吸着検出位置まで
後退する。この重送防止用シート原稿吸着装置Ｊ
の前進及び後退は第５図に示す位置制御回路によ
り行なわれる。そしてこの位置でシート原稿が重
送防止用シート原稿吸着装置Ｊの吸引口に吸着さ
れているか否かを検出するが、これはシート原稿
が重送防止用シート原稿吸着装置Ｊの吸引口に吸
着されている場合と吸着されていない場合とのサ
クシヨンブロアの負荷電流の変化を検出するシー
ト原稿吸着検出回路（第５図参照）によつて行な
う。なおこの場合、重送防止用シート原稿吸着装
置Ｊの吸引力（負圧）は、シート原稿吸着装置２
１の吸引力より弱く設定してあるため、重送防止
用シート原稿吸着装置Ｊがシート原稿吸着装置２
１に吸着されている最上位のシート原稿を引き落
すことはない。そして重送防止用シート原稿吸着
装置Ｊにシート原稿が吸着されていない場合、す
なわちシート原稿が１枚だけの場合には第４図ｄ
に示すように重送防止用シート原稿吸着装置Ｊの
ケーシング１先端で次位以下のシート原稿を押え
込む動作に入る。

一方、シート原稿吸着装置２１によつて２枚以
上のシート原稿が引き上げられている場合には第
４図ｂで示すように重送防止用シート原稿吸着装
置Ｊの吸引口に次位のシート原稿２５″が吸着さ
れ、最上位のシート原稿２５′と次位のシート原
稿２５″とが分離される。なお重送防止用シート
原稿吸着装置Ｊの吸引力は用紙間吸着力よりも大
きく設定してある。そして上記の状態を第５図に
示すシート原稿吸着検出回路で検出し、シート原
稿２５″が元の位置に落下し易くするための吸引
動作を一旦停止する。

次いで第４図ａに実線で示す待機位置までもど
り、シート原稿２５″が落下して元の位置にもど
るのに必要な所定の時間が経過した後で再び吸引
動作を開始すると共に上記と同様な検出動作に入
る。第４図ｂに示すようにシート原稿吸着装置２
１によつて引き上げられたシート原稿が２枚だけ
の場合には、上記と同様にしてシート原稿吸着装
置２１に吸着されているシート原稿が１枚だけで
あることを確認した後で第４図ｄで示す次位以下
のシート原稿を押え込む動作に移る。

またシート原稿吸着装置２１によつて引き上げ
られているシート原稿が２枚より多い場合には、
このシート原稿吸着装置２１に吸着しているシー
ト原稿が１枚になるまで第４図ｃで示すように上
記と同様な動作を繰り返す。

しかしながら、上記のような作動中に、重送防
止用シート原稿吸着装置Ｊが第４図ｂに実線で示
すシート原稿吸着位置にあり、しかもその吸引口
にシート原稿が吸着しているにもかかわらず、用
紙間吸着力が非常に大きいために、重送防止用シ
ート原稿吸着装置Ｊが待機位置（第４図ａ）まで
もどつても吸着されていたシート原稿が元の位置
に落下しない場合には上記の動作を複数回繰り返
す。それでも引き落せない場合には、重送防止用
シート原稿吸着装置Ｊの吸引力を増加させると共
に、シート原稿吸着位置においても吸引動作を停
止させることなく、それよりさらに一定時間すな
わち重送防止用シート原稿吸着装置が後退してい
る間も吸引動作を継続する。上記のようにしても
なお次位のシート原稿２５″を引き落せない場合
には全ての動作を停止してその旨を通報する。

以上のようにして、シート原稿吸着装置２１に
吸着されているシート原稿が給送すべき最上位の
シート原稿２５′の１枚のみになつた状態で、第
４図ｃ，ｄに示すようにシート原稿搬送装置２２
が最上位のシート原稿２５′をかみ込んで矢線Ｅ
方向へと搬送を始める。この際、重送防止用シー
ト原稿吸着装置Ｊは、そのケーシングの下側先端
において次位以下のシート原稿を押え込んでお
り、次位以下のシート原稿が搬送されている最上
位のシート原稿に同伴搬送されるのを防止してい
る。

最上位のシート原稿が搬送された後、重送防止
用シート原稿吸着装置Ｊは第４図ａに実線で示す
待機位置へともどる。そして次位以下のシート原
稿についても上記と同様な動作を繰り返して順次
シート原稿を搬送していく。

以上に本発明の一実施例を示したが、本発明に
おいては上記のように、吸引口を形成するケーシ
ングの下側先端部を鋭利な角錐状すなわち先細に
形成してあるので、重送防止用シート原稿吸着装
置Ｊがその待機位置から前進する際に上方のシー
ト原稿吸着装置２１から落下してくるシート原稿
や極度にカールをしている次位シート原稿の端部
との接触面積が極めて小さくなり、そのためシー
ト原稿を傷めるのを防止することができる。また
図の実施例のように吸引口を形成するケーシング
の下縁を前方ほど下方へ傾斜させる。すなわち逃
げの部分を設けるとシート原稿端部との接触面積
をより小さくできるので好ましい。

(f) 発明の効果 このようにこの発明によれば、原稿を汚したり
傷めたりすることなく、しかも確実にシート原稿
をはじめとする各種シート材の重送を防止するこ
とのできる重送防止装置を提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による重送防止用シート原稿吸
着装置の略示側面図、第２図はその略示正面図、
第３図はその吸引口部分の拡大斜視図、第４図は
作動説明図、第５図は作動回路説明図である。 図中、１はサクシヨンエアケーシング、２は負
圧室、３はエア吸引口、１２はケーシング先端、
２１はシート原稿吸着装置、２２はシート原稿搬
送装置、２３は給紙台板、２４は原稿搬送ガイ
ド、２５，２５′，２５″はシート原稿、Ｊは重送
防止用シート原稿吸着装置である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 積載されたシート材の端部付近を上部からエ
   ア吸引して持ち上げるエア吸引口を有するシート
   材吸着装置と、このシート材吸着装置が所定の給
   紙位置にあるとき、最上位の給送しようとするシ
   ート材の次位以下のシート材を吸引するエア吸引
   口を有する重送防止用シート材吸着装置を備えた
   シートの重送防止装置において、 前記重送防止用シート材吸着装置は前記シート
   材吸着装置がシートを持ち上げているとき、前記
   積載されているシート材と前記持ち上げられてい
   るシート材との間に挿入されるサクシヨンエアケ
   ーシングを備え、このサクシヨンエアケーシング
   の挿入方向の先端部が先細に形成されているとと
   もに、前記シート材吸着装置により持ち上げられ
   ているシート材の裏面に当接する傾斜した開口部
   からなるエア吸引口を備えていることを特徴とす
   るシートの重送防止装置。