JPS637726Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はベルト駆動式無段変速機の駆動ベル
トを構成するキヤリアに関する。

従来、ベルト駆動式無段変速機においては、無
端状の金属帯を多層状に重ねて多層構造としたキ
ヤリアに、金属製のＶブロツクを連続して取りつ
けて駆動ベルトを形成し、この駆動ベルトを２つ
のＶ型ベルト車間に巻き掛けて、一方のＶ型ベル
ト車から他方のＶ型ベルト車に対してトルクの伝
達を行なつている。そして、無段変速機の作動時
には、駆動ベルトのＶブロツクがＶ型ベルト車の
Ｖ溝を形成する部分円錐状の駆動面に当接して移
動し、キヤリアはＶ型ベルト車の駆動面に当接し
ない構造になつている。

つぎに、従来のベルト駆動式無段変速機につい
て説明すると、第１図，第２図において駆動側の
Ｖ型ベルト車１には部分円錐状の駆動面２ａを有
する固定プーリ２と、このプーリ２と同一の部分
円錐状の駆動面３ａを有する可動プーリ３とがあ
り、両プーリ２及び３はそれぞれの駆動面２ａ及
び３ａを対向させてＶ溝４を形成し、回転軸５に
取りつけられている。そして、可動プーリ３は油
圧等の手段により、回転軸５上を固定プーリ２方
向又はその逆方向へ移動させられるようになつて
いる。従動側のＶ型ベルト車６はＶ型ベルト車１
と略同じ形をしており、その軸心部には回転軸７
が取りつけられている。Ｖ型ベルト車１のＶ溝４
とＶ型ベルト車６のＶ溝（図示せず）とに掛装さ
れる駆動ベルト８は非常に薄い無端状の金属帯
（以下フープという）９ａ，９ｂ，９ｃ…９ｎを
多層に重ねて形成したキヤリア９に所定の厚さを
有するＶブロツク１０をそれぞれ連続して取りつ
けることにより構成されている。

ここで、Ｖブロツク１０はテーパ状の側面１１
ａ，１１ａを有する本体部１１と、この本体部１
１の上面の中央部から垂直上方へ突出した角棒状
の接続部１２と、この接続部１２の上端において
接続部１２に対して直角に形成された支持部１３
とからなつている。そして、Ｖブロツク１０は接
続部１２の両側に一対のキヤリア溝１４，１４が
形成されている。

上記のように形成されたＶブロツク１０は両側
のキヤリア溝１４，１４を一対のキヤリア９，９
に嵌挿することにより、キヤリア９，９に取りつ
けられる。このようにして、両キヤリア９，９に
多数のＶブロツク１０を連続して取りつけると駆
動ベルト８が形成される。

そして、Ｖ型ベルト車１とＶ型ベルト車６とに
掛装された駆動ベルト８は、Ｖ型ベルト車１が第
１図において時計方向へ回動すると、駆動ベルト
８の各Ｖブロツク１０がＶ型ベルト車１から連続
的に押し出されてＶ型ベルト車６に達し、このＶ
型ベルト車６をＶ型ベルト車１と同方向へ回転さ
せる。

ここで、無段変速機の作動中において、キヤリ
ア９がＶブロツク１０のキヤリア溝１４から滑り
落ちるのを防止するために、キヤリア溝１４の底
部であるＶブロツク１０の両側のフープかかり面
１５，１５は中高に形成されている。

従来のＶブロツクではそのフープかかり面が中
高に形成されているにもかかわらず、無段変速機
の作動中において、キヤリアがフープかかり面か
ら滑り落ちて、Ｖ型ベルト車のプーリとＶブロツ
クとの間に巻き込まれたり、Ｖブロツクの角陵部
あるいは接続部に当接したりして、部分的な摩耗
変形が生じ、フープ並びにキヤリアの寿命が著し
く低下するという問題があつた。

この考案は上記にかんがみ、無段変速機の作動
中において、Ｖブロツクのフープかかり面から脱
落するのを防止することのできるキヤリアの提供
を目的とするものである。

この目的を達成するために、この考案の構成は
次のようになされる。すなわち、キヤリアを構成
する各層フープの幅方向に、Ｖブロツクのフープ
あたり面とは逆向きのそりを持たせたものであ
る。

このような構成を有するキヤリアを持つた駆動
ベルトが一対のＶ型ベルト車に掛装された後、Ｖ
型ベルト車により張力を与けられると、キヤリア
は引き伸ばされてＶブロツクのフープかかり面に
沿う形まで逆向きに湾曲させられるので、キヤリ
アは元の形にもどろうとしてその下面中央部がフ
ープかかり面に強く当接する。このため、キヤリ
アが平らな時に比べ、Ｖブロツクのフープかかり
面におけるキヤリアに対する圧力は中央部程大き
くなり、両端部程小さくなる。従つて、キヤリア
がすこしずれても、キヤリアをフープかかり面の
中央部へもどす力（調心力）が働き、キヤリアが
フープかかり面からずれにくくなるので、そのフ
ープがプーリとＶブロツクとの間に巻き込まれた
り、部分的な摩耗を生じたりすることを防止でき
て、キヤリアの寿命を長くすることができる。

つぎに、この考案を図面に示す実施例にもとづ
いて説明する。

第３図，第４図において、Ｖブロツク１０のキ
ヤリア溝１４に嵌挿されたキヤリア１６の各フー
プ１６ａ，１６ｂ…１６ｎはＶブロツク１０のフ
ープかかり面１５の中高の湾曲方向と逆向きに湾
曲させられてフープかかり面１５に対しそりを持
たせられている。このキヤリア１６はその各フー
プ１６ａ，１６ｂ…１６ｎの湾曲面（内側面）の
半径をRa，Rb…Rnとすると、最内層のフープ１
６ａから外層になるに従つて順次小さくなるよう
に形成されている。すなわち、Ra＞Rb＞Rc…＞
Rnとなつている。

上記の構成を有するキヤリア１６を有する駆動
ベルト８が一対のＶ型ベルト車１及び６に掛装さ
れた後、駆動ベルト８に張力が加えられると、キ
ヤリア１６の各フープ１６ａ，１６ｂ…１６ｎ
は、そりが反転して、第３図に２点鎖線で示すよ
うに、Ｖブロツク１０のフープかかり面１５に沿
つて湾曲する。この時、各フープ１６ａ，１６ｂ
…１６ｎの中央部には各フープ１６ａ，１６ｂ…
１６ｎが元の形状に戻ろうとするための反力Ｆが
生じる。このため、キヤリア１６には、キヤリア
が平らな場合に比べ、その中央部に反力が集中す
る。つまり、キヤリア１６のフープかかり面１５
における調心力は中央で大きく、両端部で小さく
なるので、キヤリア１６が小さな変位（ずれ）を
しても、大きな調心力が働きずれにくくなる。

ここで、駆動ベルト８に対して、Ｖ型ベルト車
１及び６により張力が与えられた時、キヤリア１
６の各フープ１６ａ，１６ｂ…１６ｎに作用する
張力は外層のフープ程弱くなる。このため、この
実施例においては、各フープの湾曲部の曲率半径
を外層のフープになる程小さくしたことにより、
キヤリア１６に張力が与えられた時各フープによ
り生じる反力の大きさを略等しくすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のベルト駆動式無段変速機の要部
正面図、第２図は第１図の−線断面図、第３
図，第４図はこの考案の一実施例を示し第３図は
第２図に対応する図（但しプーリを除く）、第４
図は第３図のキヤリア部の拡大図である。 １……Ｖ型ベルト車、４……Ｖ溝、６……Ｖ型
ベルト車、８……駆動ベルト、１０……Ｖブロツ
ク、１１……本体部、１１ａ……側面、１４……
キヤリア溝、１５……フープかかり面、１６……
キヤリア、１６ａ，１６ｂ…１６ｎ……フープ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 無端状のフープを多層状に重ねて形成されたキ
   ヤリアと、本体部及び凸状に湾曲したフープかか
   り面を有するキヤリア溝を含みキヤリア溝を介し
   て前記キヤリアの周方向に移動可能にキヤリアに
   対して連続して取りつけられた多数のＶブロツク
   とからなり、一対のＶ型ベルト車に巻き掛けられ
   てＶブロツクの本体部側面がＶ型ベルト車のＶ溝
   を形成する駆動面に当接して両Ｖ型ベルト車間に
   トルク伝達を行なう無段変速機用駆動ベルトであ
   つて、前記キヤリアの各フープは幅方向にＶブロ
   ツクのフープかかり面の湾曲の向と逆向きに湾曲
   していることを特徴とする無段変速機用駆動ベル
   ト。