JP4820411B2 - 駆動ベルト - Google Patents
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Description
プーリディスクはベルトの横方向エレメントに締付け力を加える。この締付け力は一方では、各プーリと駆動ベルト間で摩擦によるトルク伝達を可能にし、他方では各プーリの回転軸線に対して半径方向外側へ横方向エレメントを付勢する。横方向エレメントの実際の半径方向移動はキャリヤによって制限され、締付け力は横方向エレメントによってキャリヤに、それぞれの間の垂直力を介して伝達される。これによって、キャリヤは張力をかけられ、横方向エレメントによって駆動プーリから被駆動プーリへのトルク伝達を可能にする。その際、横方向エレメントはキャリヤの周囲に沿って前方へ他の横方向エレメントを押し、キャリヤによって支持および案内される。駆動ベルトの他方の側で、横方向エレメントはその間に存在する非常に小さな押圧力で、もしかすると零の押圧力で、被駆動プーリから駆動プーリへ戻される。
長手方向ベルトクリアランスはベルトの組み立てを非常に容易にするが、変速効率に対して不利な影響を及ぼすことが従来技術で認められた。この不利な影響は次のように理解される。横方向エレメントが駆動プーリに走入するときに、横方向エレメントは駆動プーリによって保持される前に或る抵抗に打ち勝たなければならない。すなわち、変速機内の力の相互作用に起因して、駆動プーリのディスクの間で横方向エレメントを積極的に押す必要がある。更に、このようなエレメントが駆動プーリに摩擦接触すると、エレメントは駆動プーリの回転によって前方へ加速される。この2つの作用によって、駆動プーリのベルト長手方向曲がり軌道の第1部分すなわち入口部分において、動的クリアランスが蓄積される傾向がある。これは、この曲がり軌道の一部だけしか、エレメント間の押圧力を発生するために使用できないことを意味する。ベルト長手方向曲がり軌道の後方の第2部分は、エレメントが互いに接触する、この曲がり軌道の活動的な部分である。このような活動的な部分では、横方向エレメントは駆動プーリの回転と相対的に後方へスリップする。それによって、入口部分において蓄積された、隣接するエレメントの間のクリアランスが除去される。しかしながら、このようなスリップによって、エネルギーが浪費され、変速機効率が不利な影響を受ける。
このような目的が原理的には、例えば特許文献JP−A−63/266247と特許文献WO−A−98/04847で既に提案された静的クリアランスの量の低減によって達成されることは明らかである。しかしながら、これらの解決策は、このようなベルトの組み立てを困難にするという問題のために望ましくない。
請求項の方法を適用することにより、ベルトの直線軌道部分において、キャリヤが横方向エレメントの上側部分と下側部分の間に少なくともある程度押し込まれる。これにより、特にベルト軌道のたるんだ部分、すなわちエレメントが被駆動プーリから駆動プーリに戻る直線軌道部分において、横方向エレメントが被駆動ブーリを離れるときに、この位置でキャリヤの長手方向速度が横方向エレメントの長手方向速度を上回るためキャリヤとの摩擦が横方向エレメントを加速し、それにより、回転方向前方への横方向エレメントの搬送が補助される。その結果、動的クリアランスの少なくとも一部が被駆動プーリの近くにおいて前記のたるんだ軌道部分に位置し、それによって駆動プーリの入口部分における横方向エレメントの間のクリアランスが減少する。少なくとも理論的に最も極端な状況では、動的クリアランス全体が被駆動プーリからちょうど離れようとする横方向エレメントの間に位置する程度まで、横方向エレメントは被駆動プーリから離れる方向に加速される。
更に、本発明によれば、横方向エレメントおよび/またはキャリヤの表面粗さを増大させて、その間に大きな摩擦を生じることにより、エレメントのキャリヤ受け入れ溝内へのキャリヤの上記の押し込みが改善される。しかしながら、伝達効率の観点からは、このような方法は原則的に好ましくない。というのは、大きな摩擦力は一般的に、機械的エネルギーを熱として消失するので、大きな効率低下を意味するからである。
本発明の上記側面および以下の詳細な説明から明らかになる他の側面が、添付の図に示される。
図1は、本発明による駆動ベルトを使用する変速機の概略的な斜視図である。
図2は、駆動ベルトの断面図である。
図3は、静的な長手方向ベルトクリアランスの特徴を概略的に示すものである。
図4は、動的な長手方向ベルトクリアランスの特徴を示す、作動中の図1の変速機の概略的な断面図である。
図5は、変速機プーリの間における直線軌道部分内の本発明による駆動ベルトの断面図である。
図6は、図5の一部の拡大図である。
図7は、図6の駆動ベルトを備えた作動中の変速機の概略的な断面図である。
作動中のプーリの変形に起因して、横方向エレメント20は駆動プーリ1に走入するときに、すなわち駆動プーリのディスクに摩擦接触するときに抵抗を受ける。この走入抵抗に打ち勝つために、たるんだ直線部分IVのこの位置で横方向エレメント20の間に、少なくとも或る程度の圧縮力を発生させなければならない。それによって、この軌道部分において、エレメントの連続する列が形成される。その結果として、駆動プーリ1上の長手方向曲がり部分Iの第1部分または入口部分Epに位置する横方向エレメント20の間に、動的クリアランスCdが蓄積される傾向がある。この現象は図4に示してある。
従って、駆動プーリ1における入口部分Epの長さを制限すると有利である。この入口部分では、エレメントの間に長手方向クリアランスCdが存在し、その発生全部を除去することが好ましい。本発明は、横方向エレメント20が被駆動プーリ2から離れるときに、横方向エレメントを前方へ加速することにより、このような目的を達成する。この加速は、図5に示すようにベルトのたるんだ軌道部分IIIにおいて横方向エレメント20の上側部分21と下側部分23の間にキャリヤ10をくさび状に押込むことによって達成される。これに関して、溝の高さShがキャリヤの前記の実際の厚さTcとキャリヤの有効厚さTcEFFの間の値になるように、キャリヤ10の設計とベルト3のエレメント20の設計が互いに適合させられる。このキャリヤの有効厚さTc EFF は、キャリヤのバンドが横方向に湾曲すること、すなわちキャリヤの長手方向に対して横方向に湾曲することによって決定される。
それ故、この実施形態では、駆動プーリ1上においてエレメント20の間に遊びはなく、入口部分Epは全く存在しない。従って、上記圧縮部分Cpは駆動プーリ1上の長手方向曲がり部分I全体を実質的にカバーし、それにより、変速機の有効性および効率が改善される。
Claims (5)
- 複数の連続するバンド(11)の少なくとも1つの積層体からなる無端のキャリヤ(10)を具備し、前記バンドの少なくとも1つが横方向に湾曲し、この湾曲が前記バンド(11)の長手方向の直線区間で測定したクラウニング半径Rcrによって定義され、更に前記キャリヤ(10)の周囲に沿って移動可能な複数の横方向エレメント(20)を具備し、前記横方向エレメントがそれぞれ、前記キャリヤ(10)の半径方向内側に位置する下側部分(23)と、前記キャリヤ(10)の半径方向外側に位置する上側部分(21)とを有し、前記下側部分と前記上側部分の間に、半径方向高さShを有する凹部(24)が形成され、前記キャリヤ(10)が前記凹部内に取付けられている、無段変速機用の駆動ベルト(3)において、
前記凹部(24)の外側で半径方向に測定したキャリヤ(10)の有効厚さTcEFFが、前記ベルト(3)のほぼ全ての横方向エレメント(20)について、前記凹部(24)の前記半径方向高さShよりも大きいことを特徴とする駆動ベルト(3)。 - 前記キャリヤ(10)の半径方向外側に向いた表面の表面粗さが、前記キャリヤ(10)の半径方向内側に向いた表面の表面粗さを上回っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動ベルト(3)。
- 前記凹部(24)の上方に位置する前記上側部分(21)の半径方向内側に向いた表面の表面粗さが、前記凹部(24)の下方に位置する前記下側部分(23)の半径方向外側に向いた表面の表面粗さを上回っていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の駆動ベルト(3)。
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