JPS6139141Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はベルト駆動式無段変速機の駆動ベル
トに関する。

従来、ベルト駆動式無段変速機においては、無
端状の金属帯を多層に重ねて多層構造にしたキヤ
リアに、金属製の強剛性部材（以下ベルトブロツ
クという。）を連続して取りつけて駆動ベルトを
形成し、この駆動ベルトを２個のＶ型ベルト車間
に巻き掛けて、一方のＶ型ベルト車から他方のＶ
型ベルト車へトルクの伝達を行なつている。そし
て、無段変速機の作動時においては、駆動ベルト
のベルトブロツクがＶ型ベルト車のＶ溝を形成す
る部分円錐状の駆動面に当接して移動し、キヤリ
アはＶ型ベルト車の駆動面に当接しない構造にな
つている。

つぎに、従来のベルト駆動式無段変速機につい
て説明すると、第１図、第２図において駆動側の
Ｖ型ベルト車１には部分円錐状の駆動面２ａを有
する固定プーリ２と、このプーリ２と同一の部分
円錐状の駆動面３ａを有する可動プーリ３とがあ
り、両プーリ２及び３はそれぞれの駆動面２ａ及
び３ａを対向させてＶ溝４を形成し、回転軸５に
取りつけられている。そして、可動プーリ３は油
圧等の手段により固定プーリ２方向へ移動させら
れるようになつている。従動側のＶ型ベルト車６
は駆動側のＶ型ベルト車１と略同じ形をしてお
り、その軸心部には回転軸７が取りつけられてい
る。Ｖ型ベルト車１のＶ溝４とＶ型ベルト車６の
Ｖ溝（図示しない）との間に掛装される駆動ベル
ト８は、非常に薄い無端状の金属帯（以下無端金
属帯という。）９ａ，９ｂ，〜９ｊを多層に重ね
て形成した一対のキヤリア９，９に所定の厚さを
有する強鋼性の金属からなるベルトブロツク１０
を連続して取りつけることにより構成されてい
る。

そして、Ｖ型ベルト車１とＶ型ベルト車６との
間に掛装された駆動ベルト８は、Ｖ型ベルト車１
が時計方向に回動すると、駆動ベルト８の各ベル
トブロツク１０がＶ型ベルト車１から連続的に押
し出されてＶ型ベルト車６に達し、このベルト車
６にトルクを伝達して同ベルト車６をＶ型ベルト
車１と同方向に回転させる。ここで、Ｖ型ベルト
車１の回転中において、その可動プーリ３には軸
心方向に油圧等が作用するので、可動プーリ３が
固定プーリ２方向へ押される。このため、ベルト
ブロツク１０はその本体部１１の両側面１１ａ，
１１ａが固定プーリ２の駆動面２ａ及び可動プー
リ３の駆動面３ａにより押圧され、両プーリ２及
び３の円周方向へ押し出される。このため、各ベ
ルトブロツク１０の本体部１１と支持部１２との
間に形成された一対のキヤリア溝１３，１３内に
ある一対のキヤリア９，９が本体部１１の上面で
あるキヤリア溝１３の下面１３ａにより押圧され
る。同様にして、Ｖ型ベルト車６内においても両
キヤリア９，９はベルトブロツク１０のキヤリア
溝１３の下面１３ａにより押圧される。この場
合、キヤリア９の最内側の無端金属帯９ｊと本体
部１１のキヤリア溝１３の下面との間に発生する
摩擦力及び各無端金属帯９ａ，９ｂ…間に発生す
る摩擦力に差があり、無端金属帯９ａ，９ｂ…９
ｊ間に滑りが生ずる。このように、無端金属帯９
ａ，９ｂ…９ｊが相互に滑ると、各無端金属帯間
に摩擦が生じ、やがては無端金属帯の摩耗による
破断等が発生し、駆動ベルトが使用不能になり、
無段変速機も使用できなくなる。

この考案は上記にかんがみ、無端金属帯相互間
あるいは無端金属帯とベルトブロツクとの間の滑
りがあつても、長期にわたり摩耗や破断等を起こ
すことのない、無端金属帯を有する無段変速機用
駆動ベルトの提供を目的とするものである。

つぎに、この考案を図面に示す実施例にもとづ
いて説明する。

第３図、第４図において、無段変速機用の駆動
ベルト１４のキヤリア１５は無端金属帯１５ａ，
１５ｂ，…１５ｊを10枚程積層状にして形成され
ている。そして、各無端金属帯１５ａ，１５ｂ，
…１５ｊにはその下面と両側面に、塗膜１６が被
覆（コーテイング）されている。このように、コ
ーテイングされた塗膜１６の材料は例えばふつ素
樹脂（テフロン）であり、非粘着性と潤滑性とを
有しており、その摩擦係数は無端金属帯の材料で
ある鋼等の摩擦係数の1/10程度である。なお、塗
膜１６の厚さは数10μ程度になつている。

駆動ベルト１４は従来のベルトブロツク１０を
一対のキヤリア１５，１５に連続して取りつける
ことにより形成されている。すなわち、駆動ベル
ト１４は各ベルトブロツク１０のキヤリア溝１
３，１３内にキヤリア１５，１５が位置してい
る。

つぎに、この実施例の作用について説明する。

駆動ベルト１４の無段変速機の一対のＶ型ベル
ト車１及び６に巻き掛けて、Ｖ型ベルト車１を駆
動すると、従来と同様にＶ型ベルト車１から送り
出された各ベルトブロツク１０がＶ型ベルト車６
を回転させる。そして、両Ｖ型ベルト車１と６と
の間において、駆動ベルト１４には従来と同様に
潤滑用のオイルが提供される。

そして、Ｖ型ベルト車１内においてキヤリア１
５がベルトブロツク１０のキヤリア溝１３の下面
１３ａに押圧された状態で、その無端金属帯１５
ａと１５ｂとの間に滑りが生じると、無端金属帯
１５ａの下面の塗膜１６と無端金属帯１５ｂとの
間に形成された油膜により、塗膜１６と無端金属
帯１５ｂとの間に発生する摩擦力が低下させられ
る。若し、何らかの理由により塗膜１６と無端金
属帯１５ｂとの間の油膜が十分に形成されない場
合においても、塗膜１６は非常に滑りやすい材料
からできているため、塗膜１６と無端金属帯１５
ｂとの間に発生する摩擦力は従来の無端金属帯同
志の滑り時に発生する摩擦力より非常に小さくな
る。同様にして、キヤリア１５の他の無端金属帯
１５ｂ，１５ｃ，…１５ｊ間において発生する摩
擦力も各無端金属帯にコーテイングされた塗膜１
６により低減させられる。そして、キヤリア１５
の最内側の無端金属帯１５ｊとベルトブロツク１
０のキヤリア溝１３の上面１３ａとの間に発生す
る摩擦力（この摩擦力は各無端金属帯間に発生す
る摩擦力より大きい）は無端金属帯１５ｊ下面の
塗膜１６により低減させられる。

第５図は樹脂をコーテイングされた無端金属帯
の第２実施例を示す。この無端金属帯１７は第１
実施例の無端金属帯１５ａ，１５ｂ等と同様に、
その下面に樹脂の塗膜１８が形成されている。こ
の塗膜１８はその表面に突起状のものを押しあて
ることにより、無数の小さな凹み１９が形成され
ている。そして、このような塗膜１８を有する複
数の無端金属帯を積層状にしてキヤリア（図示し
ない）を形成すると、キヤリアにオイルが供給さ
れた時、塗膜１８の凹み１９は油だまりとなつて
オイルを保持する。従つて、この実施例において
は無端金属帯間の油膜の形成が第１実施例の場合
より容易になる。

この考案は上記のように、無端金属帯を多層状
に重ねて形成されたキヤリアと、このキヤリアを
挿通するキヤリア溝とを有し、このキヤリア溝を
介してキヤリアに連続して取りつけられた多数の
ベルトブロツクとからなり、キヤリアの最内側の
無端金属帯の内周面がベルトブロツクのキヤリア
溝下面に接触する無段変速機の駆動ベルトは各無
端金属帯同志または最内側の無端金属帯とキヤリ
ア溝下面とを各無端金属帯に設けた摩擦係数の小
さな材料よりなる被膜を介して接触させることと
したことにより、無段変速機の作動中における無
端金属帯同志または無端金属帯とベルトブロツク
との間に生ずる摩擦力を低減して、無端金属帯の
寿命すなわちキヤリアの寿命を延ばすことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のベルト駆動式無段変速機の要部
正面図、第２図は第１図の−線断面図、第３
図〜第５図はこの考案の実施例を示し、第３図は
第１実施例のキヤリアに取りつけられたベルトブ
ロツクの正面図、第４図は第３図のキヤリアの拡
大図、第５図は第２実施例の無端金属帯の一部を
示す斜視図である。 １０……ベルトブロツク、１３……キヤリア
溝、１３ａ……キヤリア溝下面、１４……駆動ベ
ルト、１５……キヤリア、１５ａ，１５ｂ，〜１
５ｊ……無端金属帯、１６……塗膜、１７……無
端金属帯、１８……塗膜、１９……凹み。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 複数の無端金属帯を多層状に重ねて形成され
   たキヤリアと、キヤリア溝を有しこのキヤリア
   溝を介して前記キヤリアの周方向に移動可能に
   キヤリアに対し連続して取りつけられた多数の
   ベルトブロツクとからなり、キヤリアの最内側
   の無端金属帯の内周面がキヤリア溝下面に接触
   する無段変速機用の駆動ベルトであつて、前記
   キヤリアの各無端金属帯同志または最内側の無
   端金属帯とキヤリア溝下面とは、各無端金属帯
   に設けたふつ素樹脂等の非粘着性と潤滑性とを
   有する低摩擦材料よりなる塗膜を介して接触し
   ていることを特徴とする駆動ベルト。 (2) キヤリアの各無端金属帯に設けたふつ素樹脂
   等の非粘着性と潤滑性とを有する低摩擦材料よ
   りなる塗膜には油だまり用の凹みが多数設けら
   れていることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の駆動ベルト。