JPS6356771B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、マエタケ、シメジ、エノキダケ、
ナメコ、ヒラタケ、タモギダケなどの茸の培養方
法および茸培養容器に関する。

従来より、ポリプロピレンなどのボトルあるい
は袋に大鋸屑などの茸培養基を入れて殺菌し、茸
菌を種づけし、茸菌の必要とする空気を雑菌が入
らないように供給するために瓶あるいは袋の開口
部を綿で封をして、培養されてきた。

しかし、この開口部の封は熟練技術が必要であ
り、雑菌の侵入などの危険性があるため、これら
従来技術の欠点を解決したものとして、マイクロ
ポーラスフイルムなどを使用した茸培養袋が上市
され使用されてきている。（例えば、本発明者に
よる特公昭57−42287によるものなど） 上記のマイクロポーラスフイルムを通気性シー
トとして用いたプラスチツクフイルム袋より成る
茸培養袋は従来技術によるものに比べて、より容
易、確実に茸培養ができるものである。しかし、
本発明者はさらに培養袋への培養基の充填がより
容易であり、しかもより茸培養の能率を向上させ
るため茸培養容器並びに茸培養方法について鋭意
研究し、さらに改良を加えて本発明に到達したも
のである。

茸培養容器に用いられるプラスチツクフイルム
袋は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエス
テル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、などのフイル
ムが用いられ好ましくは、透湿度が低く酸素透過
度が高いポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ンビニルアセテートなどオレフイン系フイルムで
厚さが10μ〜80μのものが用いられる。

またプラスチツクフイルム袋の一部分として用
いられる多孔性シートとしては、マイクロポーラ
スフイルム、特殊不織布、高密度連続気泡ウレタ
ンフオーム、など通気性があり、かつバクテリア
などの雑菌を通さないものが用いられ、好ましく
は耐熱性が高くプラスチツクフイルム袋との接着
性に優れているプラスチツクフイルム袋と同質系
のマイクロポーラスフイルムあるいは特殊不織布
が用いられる。

また、プラスチツクフイルム袋に多孔性シート
を設ける方法は、製袋する前でも、製袋後でもよ
く、多孔性シートの大きさは多孔性シートの通気
性によつても異なるが培養基容量１のプラスチ
ツクフイルム袋に対して、有効面積で0.5〜100cm²
が好ましい。

また本発明で用いられる段ボールは培養基とプ
ラスチツクフイルム袋の側面との間に空隙を作
り、通気性を良くすることによつて菌糸の発育を
速進させるためのものである。プラスチツクフイ
ルム袋と段ボールとの接触面あるいはプラスチツ
クフイルム袋と培養基との間に空隙が30〜80％程
度（段ボールの見掛体積に対して）設けられるも
ので、かかる段ボールとしては片面段ボール、両
面段ボール、パルプ波形シート、表面に凹凸部が
設けられたパルプモルデイング板などの厚さ２〜
６mm（表面が凹凸部のときは凸部の厚さ）で、吸
湿性のあるものが用いられる。

段ボール類に吸湿性が要求される理由は、段ボ
ールに吸湿性があると、培養基より適度な水分が
移動して、段ボール自体が培養基として働くた
め、培養基とプラスチツクフイルムとの間に設け
られた空気層によつて菌糸の発育がより促進され
るためである。

また、段ボールの形状は、プラスチツクフイル
ム袋の内側にフイツトするものであれば特に限定
しないが、箱型容器状あるいは筒型容器状が好ま
しく、袋の内部に折りたたんで挿入しておくと、
輸送上かさばらないので好都合である。なお、段
ボール類は、プラスチツク袋の側面にのみ設けて
も、菌糸発育促進の効果は大きいが、底部にも設
けておくと茸培養容器に培養基を充填するときの
作業性が良好となるので好ましい。

また、本発明で用いられる茸菌の培養基として
は、従来方法の瓶栽培あるいは袋栽培で用いられ
ているものと同様のものが用いられる。すなわ
ち、茸菌の種類によつても異なるが広葉樹あるい
は広葉樹と針葉樹の混合された大鋸屑に１〜３割
の米ぬかあるいはとうもろこしぬか等を混ぜて、
水分を59〜68％に調整し滅菌したものが用いられ
る。

次に本発明の茸培養容器を用いた茸培養方法及
び茸の栽培について述べる。

まず、茸培養容器の段ボールの内側に培養基を
充填する（段ボールケースの内部にあらかじめ培
養基を充填したものをプラスチツクフイルム袋の
内部に挿入してもよい。）次いで開口部を仮封し、
95゜〜125℃で３〜１時間加熱殺菌し、冷却後所望
の茸菌を種づけし、茸菌の種類に応じて、最適温
度で培養する。

本発明の茸培養容器は、従来品に比べて菌糸の
蔓延速度が早く従来の培養容器に比べて培養期間
が10〜20％短縮される。

更に茸培養容器の一部に段ボールを使用するこ
とによつて、従来鋭角度のあるオガ屑、細片等の
使用はプラスチツクフイルム袋に穴をあけるため
使用が制限されてきたが、本発明の方法によれば
木片類の形状は余り考慮することなく使用でき、
かつ木材資源の利用を大巾に広げることが可能と
なる。

培養基（あるいは段ボール）の表面全体に菌糸
がまん延し培養が完了すると、次に茸の種類に応
じて最適な温度、湿度、光線を与えて茸の栽培を
行なう。茸の栽培には、より多量の空気が必要と
なるため茸培養容器の上部は開口されるが、菌糸
がまん延したものは抵抗力が強く雑菌に侵される
ことはない。

次に本発明を実施例にもとづいて説明する。

実施例 １ 厚さ60μで巾が32cmのチユーブ状のポリプロピ
レンフイルムをガセツトタイプ製袋機により、両
サイドを６cmづつ折込み、底部をインパルスシー
ラーにより熱シールして、長さ45cm、仕上り巾20
cmのポリプロピレン袋を作成した。

この袋の中央よりやや上部片面に直径３cmの穴
を穿孔し、この削除部分を覆うように４cm四方に
切断された小孔の大きさが0.02〜0.4μ、空孔率45
％のマイクロポーラスフイルム（商品名 ジユラ
ガード＃4510、米国セラニーズ社製造）をインパ
ルスシーラーにより熱接着し、約７cm²の多孔性シ
ートを設けて茸培養袋を得た。さらに茸培養袋の
内部に厚さ３mmの吸湿タイプの両面ダンボール
（空隙約70％）で作られた15cm角で深さが18cmの
ダンボール容器（側面及び底部のみで上部はな
し）を挿入し茸培養容器を得た。

これに大鋸屑４、米ぬか１、水分62％の培養基
約３（重量約1.8Kg）を入れて125℃で約1.5時
間加熱殺菌し、さらに20℃に冷却した。次に、ま
えたけ菌を培養基に接種し、容器の開口部を封印
して約22℃で40日間培養したところ、上部の培養
基表面及び段ボールの表面及び全面が白い菌糸で
おおわれていた。

さらに茸培養容器の上部を開口し、湿度約85
％、温度約15℃で約20日間栽培したところ、約
500ｇのまえたけが得られた。従来の栽培容器に
比べて菌糸の培養期間が約１割短縮されており、
しかも極めて良質のまえたけが得られた。

実施例 ２ 実施例１と同様の茸培養袋の内部に、厚さ２mm
で高さ約１mmの凸部を有するパルプモルデングシ
ート（商品名 ピロシート 丸三製紙(株)製造）の
凹凸面を外側にして直径約9.5cmで長さ約18cmの
円筒を作成し、これを茸培養袋に挿入して茸培養
容器を得た。なお、茸培養袋とパルプモルデング
凹部との間に発生した空隙は約40％であつた。こ
れを実施例１と同様に茸の培養〜栽培に用いたと
ころ実施例１と同様に極めて良好であつた。

このように本発明による茸培養容器は、茸菌の
発育速度が早く、菌糸のまん延状況が良好である
ため雑菌に侵されることもなく、茸菌の培養及び
栽培が素人にも手軽にしかも比較的短期間に効率
よく行うことができるものである。また茸培養容
器の内部に設けられた段ボールによつて、培養基
を充填するときプラスチツク袋を傷付けたり、破
損させることもないため、従来使用できなかつた
木細片類も使用可能になつた。従つて木材資源の
利用範囲が大巾に拡大され、不足気味のオガ屑類
の供給が容易となるなどの大きな利点がある。
又、培養基の充填作業が確実かつ能率的に行なえ
るものである。

さらに段ボールは、菌糸の発育を促進させる空
気の流通空隙を設けると共に、段ボールが培養基
の一部分として機能するなど極めて優れた茸培養
容器である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プラスチツクフイルム袋の一部分が多孔性シ
   ートである茸培養袋と培養基との間に吸湿性段ボ
   ールシートを介して茸を培養することを特徴とす
   る茸培養方法。 ２ プラスチツクフイルム袋の一部分が多孔性シ
   ートである茸培養袋の内面側部あるいは内面底部
   に吸湿性段ボールを設けたことを特徴とする茸培
   養容器。 ３ 吸湿性段ボールが、片面段ボール、両面段ボ
   ール、パルプモルデング凹凸成型板、パルプ波板
   シートより選ばれたものである特許請求の範囲第
   ２項記載の茸培養容器。