JPS6354817B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は起毛両面編地に関する。 （従来技術） 従来多くの起毛編地は、裏目を起毛して得られ
る。例えば天竺等の裏目、裏毛やインレイ等の挿
入糸で編成される裏目、シンカーパイルのパイル
糸で編成される裏目等を起毛して得られる。これ
は起毛時、編地が経方向に伸長されると、上記の
各種の裏目が起毛される側に浮き上がつて起毛さ
れ易くなるため、従来一般に裏目を起毛していた
ことによる。両側面とも表目で編成される両面編
地は、どちら側を起毛しても起毛面が表目になる
ので非常に起毛しにくく、特に起毛毛羽密度の高
い、美しい起毛品は両面編地から得ることが困難
であつた。 （発明の目的） 本発明の目的は、従来の係る問題点を解決し、
表目にて構成される両面編地でありながら起毛が
容易な編地構造、糸使いとすることにより、高品
位な起毛面を有する編地を提供することにある。 （発明の構成） 本発明は、両側面が表目により編成され且つ該
表目面の少なくとも一方が起毛されている両面編
地において、該起毛表目面は、シリンダー針およ
びダイヤル針に給糸した糸により編成されたニツ
ト編目(A)と、シリンダー針若しくはダイヤル針の
みに給糸した糸により編成されたニツト編目(B)と
が混在して形成されており、かつ、該ニツト編目
（Ａ，Ｂ）の編目長をそれぞれLA，LBとすると
き、 0.5≦LB／LA≦0.8 の関係にあり、該ニツト編目(B)のカバーフアクタ
ーＦが 0.35Ｆ≦0.42 を満足すると共に前記ニツト編目（Ａ，Ｂ）が芯
鞘構造加工糸からなることを特徴とする起毛両面
編地にある。 本発明に使用する編地は両面編地であつてその
両側面は表目により編成されているものが使用さ
れる。第１図は、本発明に使用する編地の表目を
示す平面図であつて、編地表面では黒く示した部
分１のように編糸は主として経方向に配列されて
いる。該両面編地は、その両側面が表目で形成さ
れ少なくとも一方が起毛されているが、該起毛表
目面には、シリンダー針およびダイヤル針に給糸
した糸により編成されたニツト編目(A)とシリンダ
ー針若しくはダイヤル針のみに給糸した糸により
編成されたニツト編目(B)があり、この二種の編目
(A)と編目(B)は混在している必要がある。該二種の
編目（Ａ，Ｂ）を混在させるためには、具体的に
用いる編組織としてはモツクロデイ，ポンチロー
マ，ミラノリブ等の編方が好ましく例示される。
但しこの例示に限定されるものでない。 尚、これらの編方組織において該ニツト編目
（Ａ，Ｂ）を編成する合計の給糸数に対するニツ
ト編目(B)を編成する給糸数の比率が25％以上であ
ることが好ましい。次に、該ニツト編目(A)とニツ
ト編目(B)の編目長をそれぞれLA，LBとするとき
下記の関係を満足することが必要である。 0.5≦LB／LA≦0.8 …… 即ちLBとLAの比は0.5以上、0.8以下であるこ
とが必要であり、この範囲を外れると、起毛の
際、両面編地が経方向に伸長されて、ニツト編目
(A)とニツト編目(B)とで構成される該起毛表目面に
必要以上の凹凸が生じ、起毛される編目が、ニツ
ト編目(A)若しくはニツト編目(B)に偏向し、起毛後
に仕上げ加工を実施すると、起毛毛羽の密度にバ
ラツキが生じ美しく均一な起毛面が得られない。
ここでLAとLBとで表わす編目長の測定は、編地
表面の50ウエール間に印付けした後、編地からニ
ツト編目(A)、ニツト編目(B)を構成する編糸を解編
し、該編糸の太さに応じて0.1ｇ／ｄの荷重を該
編系の一端に吊し、上記印付けした間に相当する
糸の長さを測定した後ニツト編目（Ａ，Ｂ）の一
つの編目当りの長さに換算することにより得られ
る。該測定は、ニツト編目（Ａ，Ｂ）より各々ｎ
＝３を測定数として測定し、その平均値で、編目
長LA，LBを求める。 さらに、ニツト編目(B)のカバーフアクターＦは 0.35≦Ｆ≦0.42 …… の関係を満足することが必要である。 ここでカバーフアクターＦは次式で定義され
る。 Ｆ＝１／√・LB …… Ｎ：編糸の太さ（メートル番手） LB：前記側定法で側定したニツト編目(B)の編目
長（cm） 式で計算されるカバーフアクターＦが式を
満足しない場合は編地の起毛性が著しく低下し、
高品位の起毛両面編地が得られない。 本発明に用いる編地は、このような編地構造に
加えて前記のニツト編目（Ａ，Ｂ）を構成し起毛
される糸として、芯鞘構造の加工糸を用いること
が重要である。本発明に用いる芯鞘構造加工糸
は、その糸長差が３％以上あるものが好ましく糸
長の短かい糸が主として芯部を糸長の長い糸が主
として鞘部を構成する芯鞘構造を有するものであ
る。かかる芯鞘構造加工糸は延伸性若しくは伸度
の異なる２種以上の熱可塑性合成繊維を同時に仮
撚加工するか、若しくは乱流噴射流体処理（タス
ラン加工）して得られるものが好ましく例示され
る。 又、該延伸性、若しくは伸度の異なる２種以上
の合成繊維としては紡糸速度のそれぞれ異なるも
のを組合せて用いることができる。例えば紡糸速
度が1500ｍ／分未満の未延伸糸，紡糸速度1500
ｍ／分〜4500ｍ／分の高配向未延伸糸，紡糸速度
4500ｍ／分を超える超高速により得られる未延伸
糸をそれぞれ組合して用いるものや、さらに前記
の未延伸糸と、それぞれの延伸糸を組合せて用い
るものが有効に例示される。又、繊維の種類とし
てはポリエステル，ナイロン，アクリル，ポリプ
ロピレン等が好適に例示される。かくして得られ
る両面編地の起毛加工は、公知の起毛加工技術に
より実施すればよく、例えば針布による起毛，エ
メリー起毛と針布起毛との組合せ加工等適時実施
すればよい。尚、起毛はシリンダー針編目面，又
はダイヤル針編目面を起毛する片面起毛と、その
両面を起毛する両面起毛のいずれでもよい。 （発明の作用） 両面編地は、その構造上両側面（表，裏）が共
に第１図に示すような表目により構成されている
ものである。このような表目からなる編地面を起
毛する場合は第１図の１に示すような経方向成分
の編糸を起毛することになる。しかも該起毛加工
に際しては、編地は起毛機上で経方向に張力が付
与されるから、編地表面の糸はますます起毛針布
の作用方向と平行になり、起毛性は非常に悪く、
起毛毛羽密度の高い均一で美しい起毛面を有した
起毛両面編地を作ることが困難である。 本発明の編地はニツト編目(A)とニツト編目(B)と
が混在する表面を起して得られるため非常に均一
で優美な起毛面を有するものである。 これは、ニツト編目(A)とニツト編目(B)とが、そ
の編目構造上から起毛機上で付与される張力に対
して異なる変形とし表面上に微好な凹凸を生じ起
毛性が向上するためと考えられている。 即ち、起毛加工の際に編地が経方向に伸長され
た場合、伸長する力はその大部分がニツト編目(A)
にかかりニツト編目(B)には殆んどかからないの
で、ニツト編目(A)の糸は凹み、ニツト編目(B)は表
面に浮き出て来る傾向にある。特にニツト編目(A)
とニツト編目(B)との編目長LA，LBの比が式を
満足する場合は、前記の凹凸が起毛加工に適した
ものとなる。即ち、LB／LA＜0.5の場合は起毛
機上で張力が付与されてもニツト編目(B)が表面に
浮き出ることが少なく、起毛は主としてニツト編
目(A)に対して行われ、その結果起毛斑を生ずるこ
ととなる。一方、LB／LA＞0.8の場合は、ニツ
ト編目(B)の糸を強く起毛することになり、同様に
起毛斑を生ずる。LB／LAの比が式を満足する
場合はニツト編目(B)が、編地表面に好ましく浮き
出て来ると同時に、ニツト編目(A)を構成する糸の
表目部分とニツト編目(B)を構成する糸の表目部分
との経方向への配列程度（即ち経方向との平行
性）が異なりニツト編目（Ａ，Ｂ）への起毛針布
の作用程度が同程度か若しくはニツト編目(B)を編
成する糸にやや強く作用する。一方、起毛加工の
後に機上より取り外した場合張力の解除に伴つて
ニツト編目(B)の浮き出しも元に戻る。この際、ニ
ツト編目(A)とニツト編目(B)の起毛の程度がバラン
スして斑のない起毛面が得られる。 さらにニツト編目(B)のカバーフアクターＦが
式を満足するとき前記のかかる作用・効果が一層
顕著なものとなる。該カバーフアクターＦがＦ＞
0.42の場合は通常の両面編地に好ましく使用され
ているものであり、この両面編地は高密度でコン
パクトな表面になり、起毛しない場合には外衣と
して適切であるが、起毛針が編糸を編地中から引
張り出し難く起毛性は非常に悪くなる。又、Ｆ＜
0.35の場合には編地密度が粗くなり、経方向に伸
ばされ易くなるため、編目が起毛の際、ニツト編
目(B)が経長になつて起毛性が低下すると共に、編
地が余りにもルーズなため、外衣として不適であ
る。 本発明の編地は表目からなる両面編地であつて
も起毛性の良好な構造に編成されていることに加
えて、前記の芯鞘構造加工糸を編糸として使用す
るので起毛性がさらに向上し、相乗効果がある。
即ち、鞘部の繊維が編地内でも適度なふくらみを
保つので起毛針布が作用し易く、したがつて起毛
性が良く芯部の繊維は、起毛により切断されるこ
とが少ないため編地の反撥性を損うことがない。
又、両面を起毛する場合は、表裏で起毛品位の差
がない優れた起毛編地が得られる。 （実施例） 22ゲージ，30インチの両面編機を用いて、次表
の如き各種編地を試作した。ここで用いた芯鞘構
造加工糸とは、紡糸速度3500ｍ／分で得られたポ
リエチレンテレフタレートの高配向未延糸
（75de／15fil）と、紡糸速度1000ｍ／分で得られ
たポリエチレンテレフタレートの未延糸
（150de／48fil）とを加工後のデニールが170deと
なるよう同時延伸仮撚加工して該低速紡糸による
未延伸が該高配向未延糸の囲りに捲回した構造の
加工糸であり、仮撚加工糸は、通常の方法により
得られるポリエステルの仮撚加工糸（150de／
48fil）を用いた。編成後、シリンダー針編目側
面を針布起毛した。

【表】

【表】 第１表から分つように、通常の仮撚加工糸を用
いた編地では編目長LA，LB及びカバーフアクタ
ーＦが式，式を満足する編地構造なつても、
起毛性が悪く、一方、芯鞘構造加工糸を用いたも
のでは起毛性は良好であつた。しかし、芯鞘構造
加工糸を用いたといえども式，式の範囲外で
は起毛性が低下し、かつ起毛品位も低下し均一で
美しい、起毛毛羽密度の高い起毛品が得られな
い。さらに、カバーフアクターＦが0.35に満たな
い場合は特に反撥性がなくなる。 起毛性、起毛面の品位，編地の反撥性いずれも
良好であるためには式，式を同時に満足する
編地構造であり、かつ芯鞘構造加工糸で編成され
た起毛両面編地の場合であることが分る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に使用する編地の表目を示す
平面図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 両側面が表目により編成され且つ該表目面の
   少なくとも一方が起毛されている両面編地におい
   て、該起毛表目面は、シリンダー針およびダイヤ
   ル針に給糸した糸により編成されたニツト編目(A)
   と、シリンダー針若しくはダイヤル針のみに給糸
   した糸により編成されたニツト編目(B)とが混在し
   て形成されており、かつ該ニツト編目（Ａ，Ｂ）
   の編目長をそれぞれLA，LBとするとき、 0.5≦LB／LA≦0.8 の関係にあり、該ニツト編目(B)のカバーフアクタ
   ーＦが 0.35Ｆ≦0.42 を満足すると共に前記ニツト編目（Ａ，Ｂ）が芯
   鞘構造加工糸からなることを特徴とする起毛両面
   編地。