JPS6354633B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 発明の技術分野 この発明は手巻きウインチ用の自動尻手取り装
置、特に携帯用の手巻きウインチへ簡便に取付け
て同ウインチより取出されるワイヤを巻付け・繰
出す自動尻手取り装置に関する。

(ロ) 従来技術と問題点 架空送電線工事、その他のワイヤの緊線延線作
業等で使用する手巻きウインチとしては、通称
「B.Vウインチ」と称する携帯用のウインチ〔以
下単にウインチと称す〕が知られている。このウ
インチ１は第１図で示すように、主にドラム２、
駆動ギア３、ピニオン３ａ、シヤフト４、ハンド
ル５、駆動ギヤ停止用の爪６、全体のフレーム７
及びロツド８等から構成されており、ドラム２の
片方の側面には駆動ギヤ３がシヤフト４上で同一
的に設けられ、シヤフト４の端部へ組合わせるハ
ンドル５を回動させることによりドラム２に巻回
したワイヤ９を巻付けるようにしている。尚、駆
動ギヤ３はフレーム７に架設されたシヤフトに設
けられているピニオン３ａに歯合して減速され、
荷重を受けるようにされている。そして、このウ
インチ１により一定の張力でワイヤ９を牽引する
場合、ワイヤ９をドラム２に適宜回数巻回させる
ことにより、ワイヤ９とドラム２との摩擦力で張
力を減衰させて牽引側Ａより尻手側Ｂへワイヤ９
を取出すものである。そしてワイヤ９を巻取る
際、駆動ギヤ３に常時係合させているピニオン３
ａが駆動ギヤ３を減速せしめ、同じくこの駆動ギ
ヤ３に係合している爪６が巻取り方向にはスムー
ズに廻り、又、逆回転方向には駆動ギヤ３に歯合
して駆動ギヤ３の逆回転を防止し、安全をはかつ
ている。

しかしながら、このようなウインチ１では出
側、即ち尻手側Ｂでの「尻手取り」が必須であ
り、ウインチ操作を行なうのに巻き手と尻手を取
る者との複数の人数の手間が必要であり、又、尻
手を取る作業には意外と熟練を要し誰でもいいと
いうものでもないので、携帯用の手巻きウインチ
の特性である簡便性がこの点で障害とされてい
た。

(ハ) 発明の目的 この発明はこのような従来の問題点に着目して
なされてもので、携帯用の手巻きウインチの簡便
性を更に発揮させるため、このウインチに簡単に
組合せて用いることのできる、それでいてワイヤ
の尻手を自動的に取ることのできる手巻きウイン
チ用の自動尻手取り装置を、提供せんとすること
を目的としている。

(ニ) 発明の構成 具体的には、手巻きウインチの駆動ギアに歯合
する従動ギア、従動ギアに連結されたシヤフト、
シヤフトに回動自在に装着されたドラム、及びシ
ヤフトとドラムとを介在し従動ギアからシヤフト
へ伝達される回転力をドラムに伝達するクラツチ
よりなり、手巻きウインチからのワイヤを複数回
巻き付けて尻手取りを行うワイヤ巻付け部と、ワ
イヤをドラムに押し付ける押し付けローラを有す
るワイヤ押し付け手段と、及びワイヤ巻き付け部
及びワイヤ押し付け手段を保持し手巻きウインチ
に対し全体を着脱自在に位置決めするフレームと
からなる手巻きウインチ用の自動尻手取り装置で
あつて、クラツチが、キイ・キイ溝構造にてシヤ
フトより回転力の伝達を受ける一方で、ドラムに
設けられた受け孔に係入するピンを介してドラム
へ回転力の伝達を行うようにされ、且つキイ溝及
び受け孔のいずれか一方或いはいずれにもキイ乃
至ピンの係入に対する遊びが設けられてなる手巻
きウインチ用の自動尻手取り装置を提供するもの
である。

(ホ) 実施例 以下この発明を図面に基づいて説明する。第２
図〜第５図はこの発明の一実施例を示す図であ
る。〔尚、以下において従来と同一乃至共通する
部分については同一符号をもつて示し重複する説
明は省略する。〕 この手巻きウインチ１用の自動尻手取り装置２
０はウインチ１の出側に組合されるもので主にワ
イヤ巻付け部２１、ワイヤ押付け手段２２及びフ
レーム２３とから構成されている。以下順に説明
すると、ワイヤ巻付け部２１は従動ギヤ２４、シ
ヤフト２５、クラツチ２６及びドラム２７から構
成される。従動ギヤ２４はウインチ１の回転に相
応して回転するようにウインチ１の駆動ギヤ３と
歯合させられるもので、この従動ギヤ２４はウイ
ンチ１のドラム２のワイヤ巻取り速さより自動尻
手取り装置２０のドラム２７のワイヤ巻取り速さ
の方が大きくなるように、歯数を設定しており、
従つて自動尻手取り装置２０側を速く廻すように
してある。シヤフト２５の一端にはギヤ係止ボル
ト２８により従動ギヤ２４が、又、他端にはクラ
ツチ係止ボルト２９によりクラツチ２６が各々固
定され更にシヤフト２５の中央部にはワイヤ９を
巻付けるためのドラム２７が配せられている。
尚、このドラム２７はフレーム２３によつて「片
持ち」の状態とされている。クラツチ２６への回
転力の伝達はシヤフト２５のクラツチ２６側へ突
出して備えられたピン式のキイ３０を介して行な
われるもので、クラツチ２６はこのピン式のキイ
３０に対応するキイ溝３１を内周面側の長手方向
に備えている。そしてクラツチ２６のドラム２７
対応面には回転力伝達用のピン３２が設けてあり
又、ドラム２７には面の対応部位にこのピン３２
を係入される受け孔３４が設けられている。この
孔３４は遊びのある、余裕のある径としてあり、
ウインチ１の停止時に駆動ギヤ３停止用の爪６に
かかる迄の逆転時にワイヤ巻付け部２１のドラム
２７の逆転量をその径の遊び分だけ少なくし尻手
側ワイヤのゆるみを少なくしている。尚、この実
施例では、ピン３２と受け孔３４との係入関係に
遊びを設けているが、この遊びをキイ３０とキイ
溝３１との係入関係に設けるようにし、あるいは
両者に設けるようにしてもよい。

次にワイヤ押付け手段２２を説明すると、主に
押付けローラ３５と、この押付けローラ３５を常
時下方へ押下げようとする「圧縮バネ」としての
スプリング３６と、このスプリング３６の力を調
整するためのロツクボルト３７及び押付けローラ
３５を支えるローラシヤフト３８とから構成され
る。ローラシヤフト３８は一方で、後述する支柱
フレーム４４の縦方向の長孔３９内にその両端が
係入されており又、他方でスプリング３６を収容
しているケーシング４０の下部を支持している。
尚、６０はガイドでケーシング４０の上部と係合
しロツクボルト３７の下端が常時スプリング押え
６１に当接し得るようにしている。

フレーム２３は大別するとワイヤ巻付け部２１
を支える支持フレーム４１と、自動尻手取り装置
２０全体をウインチ１に着脱自在にして係止する
ための取付フレーム４２とから構成される。支持
フレーム４１はベースフレーム４３と、強度を保
持する支柱フレーム４４とから成り、この支柱フ
レーム４４は第５図で示すようにその下部４５が
ベースフレーム４３上で傾斜状態にして立設され
ている。支持フレーム４１の中央部４６は第１軸
受部４７を形成してワイヤ巻付け部２１を片持ち
支持している。「片持ち」状態としたのはワイヤ
９をドラム２７へ図中右側より〔第３図の右側〕
巻付け容易とするためであり、又傾斜状態とした
のはワイヤ９の繰出しにベースフレーム４３が干
渉せぬようにするためである。又、支持フレーム
４１の上部４８は第２軸受部４９を形成してロー
ラシヤフト３８を両持ち支持するようにしてあ
る。

一方取付フレーム４２は上取付フレーム５１及
び下取付フレーム５２から形成され、上取付フレ
ーム５１の先端にはウインチ１のロツド８と係合
せしめる係止用フツク５３が設けられ、基端は支
持フレーム４１の上部４８と接続されている。尚
５４は長さ調整ボルトである。下取付フレーム５
２は左右一対のフレームとされ、先端はウインチ
１のフレーム７と下取付フレーム５２の長手方向
で長さの微調整が可能なようになつていてボルト
５５で係止され、基端はベースフレーム４３へ接
続されている。そしてフツク５３によりウインチ
１のロツド８へ係止自在な上取付フレーム５１
と、ボルト５５でウインチ１のフレーム７に対し
左右一対で微調整自在に固定されている下取付フ
レーム５２とは自動尻手取り装置２０全体をウイ
ンチ１に対して３点支持の状態で一体的に組合せ
るものであり、又、必要に応じてウインチ１から
自動尻手取り装置２０を着脱自在とするものであ
る。

次に作用を説明する。この自動尻手取り装置２
０がウインチ１にフレーム２３を介して取付けら
れている状態に於いて、ウインチ１の尻手を取る
場合、支柱フレーム４４の上部４８に備えられて
いるロツクボルト３７を緩めスプリング３６の押
付け力を解除して長孔３９を利用し、押付けロー
ラ３５をローラシヤフト３８ごと上方〔第３図Ｃ
方向〕へと手で押上げる。ところでドラム２７は
支柱フレーム４４に対して「片持ち」支持されて
いるためドラム２７にワイヤ９を巻付けるのが容
易な状態となつているので、押付けローラ３５を
上方へ後退させた状態に於いて、ドラム２７にワ
イヤ９を適宜回数巻回させた後、先とは逆に支持
フレーム４１の上部４８に備えられているロツク
ボルト３７を締付けると押付けローラ３５がスプ
リング３６によりドラム２７に巻付けられたワイ
ヤ９に押付けられることになる。

このようにワイヤ９を巻付け、押付け手段２２
によりワイヤ９に押圧力を付与してからウインチ
１のハンドル５を巻取り方向〔第１図矢示Ｘ方
向〕へ手で廻すと、ウインチ１の駆動ギヤ３は爪
６で邪魔されず巻取り方向へスムーズに廻り、駆
動ギヤ３と歯合している従動ギヤ２４がギヤ比に
応じて回転するために従動ギヤ２４を有するワイ
ヤ巻付け部２１のドラム２７が自動的に回転して
尻手をとるものである。即ち回転力は、第５図で
示すようにウインチ１の駆動ギヤ３→自動尻手取
り装置２０の従動ギヤ２４→シヤフト２５→ピン
式のキイ３０→キイ溝３１→クラツチ２６→キイ
３２→ドラム２７…と伝達され、ドラム２７上で
ワイヤ９は巻取られた分、矢示Ｄ方向へ巻込まれ
た自動的な尻手取りを行なうものである。

この間、押付けローラ３５はスプリング３６に
よるその押付け力をドラム２７上のワイヤ９へ付
与し一方駆動ギヤ３と従動ギヤ２４とのギヤ比を
調整してあることから常時ウインチ１側のドラム
２と自動尻手取り装置２０側のドラム２７間でワ
イヤ９に好適なテンシヨンが付与されるものであ
る。このときドラム２７に巻取られるワイヤ９が
強く巻かれ過ぎるとウインチ１と自動尻手取り装
置２０間〔第５図〕でテンシヨンがかかり過ぎる
ことになるが、押付けローラ３５の表面を予め適
度にすべる材質、例えばウレタンにて形成してお
くことによりワイヤ９をドラム２７が巻込む際に
適度にスリツプして巻取らせることができるもの
である。

ウインチ１の回転を停止させれば、爪６が駆動
ギヤ３に歯合して即座にロツクするものの、歯合
に伴う逆転量分駆動ギヤ３は停止に先立つて逆回
転することになるが、クラツチ２６のピン３２は
孔径に余裕のある受け孔３４に係入しているた
め、駆動ギヤ３の逆転量はその径の遊び分だけ少
なくなり尻手側ワイヤのゆるみを少なくして尻手
取り状態に影響を与えないようにしてある。

そして自動尻手取りの必要がなくなつた場合、
フレーム２３をウインチ１側より外すことで容易
にこの自動尻手取り装置２０をウインチ１から分
離できる。即ちフツク５３及びボルト５５を介し
て上下両取付フレーム５１，５２をウインチ１側
より離脱させればよい。

(ヘ) 発明の効果 この発明に係る手巻きウインチ用の自動尻手取
り装置は以上説明してきたごとく、駆動力伝達用
として、キイ・キイ溝構造にてシヤフトより回転
力の伝達を受ける一方で、ドラムに設けられた受
け孔に係入するピンを介してドラムへ回転力の伝
達を行うクラツチを用い、そしてこのようなクラ
ツチによる駆動力伝達に関し上述の遊びを設け、
ウインチ停止時における尻手力の緩みを緩和する
ようにしているものなので、簡単且つコンパクト
な構造を達成して得ており、携帯用の手巻きウイ
ンチ本来の特性である簡便性をより一層十分に発
揮させつつ、確実な自動尻手取り処理をできると
いう効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はウインチの従来例を示す概略斜視図、
第２図はこの発明の一実施例を示す自動尻手取り
装置の概略斜視図、第３図は第２図中、矢示方
向より見た正面図、第４図は第２図矢示−線
に沿う要部断面図、そして第５図は自動尻手取り
装置をウインチに取付けた場合の自動尻手取り状
態を示す作用説明図である。 １…ウインチ、２，２７…ドラム、３…駆動ギ
ヤ、４，２５…シヤフト、７，２３…フレーム、
９…ワイヤ、２０…自動尻手取り装置、２１…ワ
イヤ巻付け部、２２…ワイヤ押付け手段、２４…
従動ギヤ、２６…クラツチ、３５…押付けロー
ラ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 手巻きウインチの駆動ギアに歯合する従動ギ
   ア、従動ギアに連結されたシヤフト、シヤフトに
   回動自在に装着されたドラム、及びシヤフトとド
   ラムとを介在し従動ギアからシヤフトへ伝達され
   る回転力をドラムに伝達するクラツチよりなり、
   手巻きウインチからのワイヤを複数回巻き付けて
   尻手取りを行うワイヤ巻付け部と、 ワイヤをドラムに押し付ける押し付けローラを
   有するワイヤ押し付け手段と、及び ワイヤ巻き付け部及びワイヤ押し付け手段を保
   持し手巻きウインチに対し全体を着脱自在に位置
   決めするフレームとからなる手巻きウインチ用の
   自動尻手取り装置であつて、 上記クラツチが、キイ・キイ溝構造にてシヤフ
   トより回転力の伝達を受ける一方で、ドラムに設
   けられた受け孔に係入するピンを介してドラムへ
   回転力の伝達を行うようにされ、且つ 前記キイ溝及び受け孔のいずれか一方或いはい
   ずれにもキイ乃至ピンの係入に対する遊びが設け
   られている事を特徴とする手巻きウインチ用の自
   動尻手取り装置。