JPS6354335B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、菓子生地やパン生地その他粘弾性を
持つた生地の延展装置に関する。

＜従来の技術＞ 従来の菓子生地やパン生地等の連続的な延展を
行う装置としては、本出願人の出願した特許第
966792号や第891281号のような装置がある。

これらの延展装置は菓子生地やパン生地、ま
た、油脂の層を有する生地シートを幾層にも重ね
た生地等を薄く延展する時、生地を運行速度の異
なるコンベアベルトの間を通過させることにより
生地を伸張させ、上方に自転公転するローラーを
滑動させて延展するものであるが、このような伸
長効果を期待する装置に於いては、生地引き伸ば
しの前提として押さえ作用とでも言える機能が一
定していなくては効果があらわれない。

入口コンベアが傾斜している従来の装置は、供
給される生地の厚さ（Ｔ）に変化があると、生地
の上方を運行するローラーが、入口コンベアに生
地を押しつける距離ｌや応力、つまり押さえの効
果が変化し、安定した延展効果が現れない欠点が
あつた。（参照特許第891281号） 又、生地の厚さに応じて入口コンベアを上下さ
せる機能を持たせた装置（特願昭59−95816号）
においては生地運搬コンベアを３連以上にする場
合は、それぞれのコンベアの変速機構が複雑なも
のとなつて実用化が困難であつた。

＜問題点を解決するための手段及び作用＞ 本発明は供給される生地の厚さに変化があつて
も、常に均一な押さえの効果を生地に与えかつ、
経済的な機構により常に生地の全体に均一に伸張
の応力を作用させ延展することにより、常に精度
の高い生地シートを生産することを目的としてい
る。

本発明の構成は上記の目的を達成するために、
それぞれ速度の異なる入口コンベア、中間コンベ
ア、及び出口コンベアを順次直列に配設し、それ
らの上方に無端軌跡を自転公転か又は有端軌跡を
自転し滑動する複数のローラーを設けた生地延展
機構において、入口コンベアおよびその中間コン
ベアの搬送面が、前記ローラーの運行軌跡の下側
直線部分との角度αを同時に変更可能にするもの
である。

その角度αの大きさは入口コンベア上に進入し
てくる生地の厚さＴによつて調節され、生地とロ
ーラーの接触長さｌを常に一定にする。

次に、入口コンベアと中間コンベアの運行速度
比は任意に変更可能とし、入口コンベアの速度と
出口コンベアの速度比（V1／V3）は、入口コン
ベアに進入してくる生地の厚みＴと、出口コンベ
ア上の隙間Ｈとの比（Ｔ／Ｈ）に反比例する速
度又はその近似で運行させることにより、生地圧
縮に比例した伸張が発生する。

又、入口コンベアと中間コンベアがその搬送面
の角度を変更するように揺動する揺動軸の位置は
中間コンベアの下流端部と一致か近接させること
により出口コンベアの上面と、その上方を活動す
るローラーとの隙間Ｈと、中間コンベアの下流
端とその隙間H″の大きさの関係比率は、その角
度αの変化に殆ど左右されないから、出口コンベ
アと中間コンベアとの運行速度比V3：V2を一定
にすることが可能となり、従来、生地圧縮倍率の
変更に伴うそれぞれのコンベアの速度比の変更の
ための再入力に、複雑な計算や実験値を当てはめ
る必要がなくなり又、複雑なメカニズムを用いる
ことなく簡便に効果増大を計ろうとするものであ
る。

＜実施例＞ 本発明構成を一実施例に基づいて説明すると、
生地１の運搬装置として、入口コンベア２を設
け、入口コンベア２の下流に連接して中間コンベ
ア３を設け、次に連接して出口コンベア４を設け
ている。

これらのコンベアの上方にはこの３つのコンベ
アにまたがつてローラー自転公転装置５が設けて
ある。ローラー自転公転装置５は、ローラー６が
シヤフト７に遊嵌されるとともに、第１図ａに示
すような公転軌跡を運行する。

入口コンベア２と中間コンベア３はフレーム８
によつて支持されている。

フレーム８はフレームの一端にあるヒンジ９に
よつて図示していない枠体に軸支されており、フ
レーム８はヒンジ９を中心に揺動可能に取り付け
られている。

フレーム８にはラツク１０が固着している。ラ
ツク１０にはシヤフト１１に軸着されたギヤ１２
が噛み合つている。

シヤフト１１の一端はシヤフト１１を回転させ
るための周知のギヤボツクス１３のギヤに軸着し
ている。ギヤボツクス１３にはボツクス内のギヤ
を回転させるハンドル１４が軸着されている。

したがつてハンドル１４を回転させるとギヤボ
ツクス１３のギヤが回転し、シヤフト１１に軸着
したギヤ１２が回転する。

ギヤ１２に噛み合うラツク１０が回転しフレー
ム８が揺動するので中間コンベア３と入口コンベ
ア２も揺動し、ローラー自転公転装置５のローラ
ー運行の下側直線部分と入口コンベア２、中間コ
ンベア３の生地搬送面との角度αが変わり、隙間
Ｈが変更できる。

入口コンベア２は可変速の駆動装置１５によつ
て運行する。また中間コンベア３と出口コンベア
４は、一個の駆動装置１６から一定の速度比で回
転するように、伝達装置を介して運行する。

２８は駆動装置１５，１６の回転速度を変化さ
せるインバータを内蔵した制御盤であり、両者の
速度比で制御盤に入力された値をインバータが周
波数に変換して駆動装置１５，１６に伝え、実速
を出力する。

次に、第３図に示す第２実施例について説明す
ると、第１実施例と同じ構成の入口コンベア２、
中間コンベア３、出口コンベア４の上方にまたが
り、前記コンベアの進行方向にそつて往復運動す
るローラー２１を設けている。

ローラー２１はシヤフト２２に自由回転的に装
嵌されている。ローラー２１を複数並列に並べシ
ヤフト２２の両端部に固定アーム２３を軸着さ
せ、そしてそれらのシヤフト２２の両端に摺動部
材２４を取りつける。

２５はクランクアームであり円板２６の回転面
に設けたピン２７にクランクアーム２５の片端を
遊嵌させてクランクアーム２５の一端は固定アー
ム２３に遊嵌して設けている。

モーターの駆動によつてクランクアーム２５が
クランク運動を行うことにより、固定アーム２３
は直線運動を行い、ローラーはコンベア上を運行
する生地の上を転がり往復運動をする。

次にこれらの生地延展の作用について説明する
と、入口コンベア２上を運行してくる生地１の厚
みＴに応じて生地１がローラー６に最初に接触す
る位置と、入口コンベア２との隙間Ｈを、ハンド
ル１４を回転して、入口コンベア２を上下させ、
第１図中にｌで示したように、ローラー６が生地
と接触する一定の長さを確保する。

この長さｌとは、下流におけるローラーやベル
トの活動による引つ張り入力に対向する一定の押
さえ効果を確保するためであり、この効果を前提
として、生地１はコンベア上を運行する時、入口
コンベア２、中間コンベア３、出口コンベア４の
それぞれの運行速度差とローラ６の転動圧とによ
つて伸張する。

この時の生地流動は V1×Ｔ×W1＝V3×ｔ×W3 となる。Ｖ、Ｔ、Ｗは第１図に示したようにそれ
ぞれコンベア速度、生地厚み及び生地の幅を示
す。

入口コンベアの運行速度V1は V1＝V3×ｔ×W3／Ｔ×W1 となるか、又は、生地の弾性等により多少の誤差
が生じるが、その値は上式の近似値となる。

生地延展は生地１の伸張による生地の横断面積
の減少とコンベアの傾斜によるスキマの減少が均
衡し、ローラー７の運行による転動圧によつて生
地の中のテンスルストレスは平均化し、生地は破
れたりすることはなく、均一に延展される。

また、中間コンベア３の搬送面はハンドル１４
の回転でフレーム８の揺動にしたがい入口コンベ
アと共に傾きが変化し、隙間が変わるのであるが
揺動中心であるヒンジ９が中間コンベア３の下流
端部に近接させることにより、フレーム８が揺動
しても中間コンベア３の下流端部の隙間H″はほ
とんど寸法に変化が無く、従つて10倍程度の延展
作業の範囲内であれば中間コンベア３と出口コン
ベア４の速度比は一定比率としても下記の条件で
実用的には充分満足できることが判つた。

つまり、中間コンベア３の中央部分の隙間
H′の変化に対しては、入口コンベア２の隙間Ｈ
との比によつてそれぞれ中間コンベア３、入口コ
ンベア２の適性速度を把握することができるの
で、このデータは前記の定数比例との間に差異が
許される範囲であるかどうかのチエツクとして用
いることで安全操作を可能としたのである。

更に、生地が伸張する際本発明においては、出
口コンベア４と中間コンベア３との渡りにおい
て、搬送面の鋭角的な変化や、アンバランスなベ
ルト速度の変化がないので乱流等の発生はなく生
地伸張平均して行われる。

＜発明の効果＞ 以上のような構成から生まれる本発明の効果
は、本発明は出口コンベアと中間コンベアの速度
比は一定であるから簡単に固定のギヤで比例させ
た一つの速度グループを作ることができる。

又、入口コンベアの速度V1は、 Ｈ×V3＝Ｈ×V1の式から簡単にV1を引き出
すことができることによつて、以下に述べるよう
な大きな効果をもたらしたのである。

つまり、パン生地や菓子生地等のような一般に
脆弱で性状の一定していない粘弾性物質を厳密な
数字で延展しようとする場合は、可能な限り多数
のコンベアで少しづつ伸長したほうが良い結果が
得られる。

即ち、自転して運行するローラーの下に配置す
るコンベアは可能な限り沢山の速度の異なるコン
ベアを配列して緩慢な伸長力を与える方が正確で
かつ大きな延展効果を得ることができるのであ
る。

もし、そのコンベアの数が二つで果たされるよ
うな性質の生地であれば、その二つのコンベアの
速度比は供給する生地の厚さと延展しようとする
厚さの比、つまり装置の入口の隙間と出口の隙間
の比によつて単純に設定することができるが、３
つ以上の速度の異なるコンベアを用意して行わな
くてはならない性質の生地、例えば弾性の条件に
よつたり又は非常に薄くしたい場合の条件があれ
ば３段階または、４段階の速度のコンベアによつ
て生地を伸長しなくてはならない。

この場合、出口と入口のコンベア速度に対して
中間のコンベアの速度の決定は、粘弾性物質の幅
広い範囲の材料にすべて対応できる一つの計算式
は存在していないので最終的には、実験によつて
生地の性質ごとに決められなくてはならなかつ
た。

また、同一生地であつても延展倍率が変われば
中間の速度の値は別の条件を加味しなくてはなら
ないから、それは殆ど乱数表に近い資料により装
置の製作が行われていたのである。

従つてそのクラツチ機構は非常に複雑になつて
いたのである。

本発明はこれらを解決して単純な変速計算式を
用いてデリケートな生地の延展をも正確におこな
えるようにしたのである。

本発明の実施例では、中間コンベアと出口コン
ベアとを一直線で搬送面を形成するように示して
いるが、生地の延展に際しては、第２実施例のよ
うに両コンベアの渡りにおいては、乱流を起こさ
ない程度の若干の角度を有していても本発明の技
術範囲を逸脱するものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の構成を示す一部断面の側面図
第２図は本発明の構成を示す一部断面の正面図第
３図は本発明のその他の実施例の側面図。 １……生地、２……入口コンベア、３……中間
コンベア、４……出口コンベア、５……ローラー
自転公転装置、６……ローラー、８……フレー
ム、１０……ラツク、１２……ギヤ、１３……ギ
ヤボツクス、１５，１６……駆動装置、２１……
ローラー、２２……シヤフト、２３……固定アー
ム、２４……摺動部材、２５……クランクアー
ム、２６……円板、２７……ピン、２８……制御
盤。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ それぞれ速度を変更させる事を可能にした入
   口コンベア、中間コンベア、及び出口コンベアを
   順次直列に配設し、それらの上方に自転して運行
   する複数のローラーを設けた生地延展機構におい
   て、前記入口コンベアおよび中間コンベアが形成
   する各々の搬送面と、前記ローラーの運行軌跡の
   下側直線部分との間のそれぞれの角度を変更可能
   にしたことを特徴とする菓子生地等の延展装置。 ２ 前記複数の運行ローラーは、無端軌跡を自転
   公転する特許請求の範囲第１項記載の菓子生地等
   の延展装置。 ３ 前記複数の運行ローラーは、有端軌跡を往復
   自転する特許請求の範囲第１項記載の菓子生地等
   の延展装置。 ４ それぞれ速度を変更させる事を可能にした入
   口コンベア、中間コンベア、及び出口コンベアを
   順次直列に配設し、それらの上方に自転して運行
   する複数のローラーを設けた生地延展機構におい
   て、中間コンベアと入口コンベアが形成する各々
   の搬送面を前記ローラーの下側直線部分に対して
   揺動可能に設け揺動の中心が中間コンベアの下流
   端部に一致か又は近接していることを特徴とする
   菓子生地等の延展装置。 ５ 前記入口コンベアと前記中間コンベアとの運
   行速度比を調節可能にするとともに前記中間コン
   ベアと前記出口コンベアとの運行速度比を一定に
   した特許請求の範囲第４項記載の菓子生地等の延
   展装置。 ６ 前記複数の運行ローラーは、無端軌跡を自転
   公転する特許請求の範囲第４項記載の菓子生地等
   の延展装置。 ７ 前記複数の運行ローラーは、有端軌跡を往復
   自転する特許請求の範囲第４項記載の菓子生地等
   の延展装置。