JPS6344127Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、塗装機の塗装ガンの首振り装置の改
良に関する。

塗装機、特に自動車の車体の側面を自動的に塗
装する自動塗装機は、搬送されてきた車体の側面
に沿つて上下に彎曲して延びる弓形ガイドレー
ル、およびこの弓形ガイドレールに案内されて上
下動しながら車体の側面を塗装する塗装ガンから
構成されている。この自動塗装機を自動車の塗装
ラインに配置して車体の側面の塗装を行なう際に
は、色彩の異なる塗装を行なうことがあり、その
場合には前の塗料と次の塗料とが混り合わないよ
うにするため、塗装ガンを洗浄する必要がある。
この洗浄は、塗装ガン内に残留する塗料を排出す
ること等によつて行なわれるが、このとき通常は
塗装機が配された塗装ステーシヨンに塗装済み車
体が残された状態であるので、塗装ガンの向きが
塗装時におけるように車体に向いたままで上記洗
浄が行なわれると、この洗浄のために上記塗装ガ
ンから吐出された塗料や洗浄液が塗装済み車体に
付着してしまうという欠点がある。

そこで従来は、ガイドレールに沿つて上下動す
る摺動部材に、上記塗装ガンを上下方向に首振り
自在に取付けるとともに、該摺動部材に首振り用
の駆動シリンダ装置を設け、塗装ガンの洗浄時に
は、上記駆動シリンダ装置を駆動させて上記塗装
ガンを下向きに首振りさせ、これによつて上記欠
点を解消していた。ところが、上記駆動シリンダ
装置は、塗装作業中上記塗装ガンとともに常に移
動しているので、該駆動シリンダ装置に作動流体
を供給するホースが曲つたり、すれたりして切れ
てしまうことがしばしばあつた。

そこで本考案は、上記したような従来装置の欠
点がなく、かつ簡単な構造で塗装ガンを確実に首
振りさせることができる塗装機の塗装ガン首振り
装置を提供することを目的とするものである。

本考案は、支持枠に上下端が支持されたガイド
レールと、このガイドレールに沿つて上下動する
摺動部材に、首振り自在に取付けられて被塗物に
塗装する塗装ガンとを備えた塗装機の塗装ガンの
首振り装置において、前記ガイドレールの下部近
傍に配置され、下部位置にある塗装ガンに当接し
て、該塗装ガンを下向きに首振りする作動バー
を、前記ガイドレールにほぼ沿つて塗装ガンを首
振りする作用位置と、前記塗装ガンの首振りを行
なわない不作用位置との間を移動可能に設けると
ともに、前記作動バーを前記塗装ガンの洗浄時に
前記不作用位置から作用位置に移動させる駆動機
構を前記支持枠に取付けたことを特徴とするもの
である。なお、上記駆動機構としては、シリンダ
装置を使用すればよい。

以上の構造の本考案の塗装機の塗装ガンの首振
り装置は、従来のように摺動部材には取付けられ
てはおらず、支持枠に取付けられているので、当
然のことながら塗装ガンと共には移動せず、従つ
て上記駆動機構に作動流体を供給するためのホー
スが折れ曲つたり、すれたりすることがない。

次に添付図面を参照しつつ本考案の好ましい実
施例による塗装機の塗装ガンの首振り装置につい
て説明する。

添付図面は、本考案を、車体の側面塗装を行な
う自動塗装装置に適用した場合の実施例を示す図
である。

自動塗装装置１は、車体Ａが搬送されるライン
の側方に配置されたガイドレール２を有してい
る。このガイドレール２は、車体Ａの側面に沿つ
て上下に彎曲して延びる弓形をなしており、上下
端において支持枠３に支持されている。この支持
枠３の上下端には、支持部材３２および３３が固
定されている。この支持部材３２および３３の先
端部３２ａおよび３３ａにはねじが形成されてお
り、支持部材３２および３３は、その先端部３２
ａおよび３３ａを第３図（一方の支持部材３３の
み図示する）に示すように、ブロツク状部材４お
よび５にそれぞれ挿入し、さらに先端部にナツト
を螺合して、ブロツク状部材４および５に回動自
在に支持されている。このブロツク状部材４およ
び５には、機枠６に固定されたガイドロツド３４
および３５が嵌挿されており、ブロツク状部材４
および５はガイドロツド３４および３５に移動自
在に取付けられている。また、ブロツク状部材４
および５には機枠６に固定された駆動シリンダ装
置７および８がそれぞれ作動的に連結されてい
る。上記ブロツク状部材４に形成された支持部材
３２の先端部３２ａの挿入孔３６は支持枠３の傾
動時に支持部材３２が該挿入孔３６内で上下動可
能に上下方向の長孔に形成されている。

駆動シリンダ装置７と８それ自体の構造、およ
び駆動シリンダ装置７とブロツク状部材４との接
続構造と、駆動シリンダ装置８とブロツク状部材
５との接続構造とは、それぞれほぼ同じ構造であ
るので、以下の説明においては、駆動シリンダ装
置８自体の構造およびこの駆動シリンダ装置８と
ブロツク状部材５との接続構造のみを説明する。

駆動シリンダ装置８は、第３図に詳細に説明さ
れているように、シリンダ８ａ、このシリンダ８
ａ内に摺動自在に嵌合されたピストン（図示せ
ず）、およびこのピストンに一端が固定され、そ
こから車体Ａの方向に、上記シリンダを貫通して
延びるピストンロツド８ｂからなつている。

ピストンロツド８ｂの先端には、このピストン
ロツドに対して直角方向に延びるピン部材８ｃが
もうけられている。このピン部材８ｃは、上記ブ
ロツク状部材５に形成されたねじ孔５ａに螺合さ
れている。この構造は、上方の駆動シリンダ装置
７およびブロツク状部材４についても同様であ
る。従つて、シリンダ装置７および８の双方また
は一方を作動させることにより、ブロツク状部材
４および５の双方または一方がガイドロツド３４
および３５に案内されて車体Ａの側面に向つて移
動し、これに連れて支持部材３２および３３も移
動して支持枠３を車体Ａに対して横動あるいは傾
動させることができるようになつている。

上記ブロツク状部材４および５には、種々の車
種の車体側面形状に応じてシリンダ装置７および
８による支持枠３の上下端部の移動量を調整する
ストローク調整部材９および１０がそれぞれ設け
られている。このストローク調整部材９および１
０は、上記ブロツク状部材４，５に植設され、シ
リンダ装置７，８の伸縮方向に延び、外周にネジ
が切られたロツド１１，１２を有している。この
ロツド１１，１２は、機枠６に固定されたストツ
パ１３，１４に形成した開口１４ａ（ストツパ１
３に形成した開口は図示せず）を貫通して延び、
このロツド１１，１２のストツパ１３，１４の両
側にはナツト１５ａ，１５ｂおよび１６ａ，１６
ｂがそれぞれ螺合している。ストローク調整部材
９は、ナツト１５ａによつて支持枠３の上端の後
退位置すなわち車体Ａから離れた位置を規定し、
ナツト１５ｂによつて支持枠３の上端の前進位置
すなわち車体Ａに近接した位置を規定するように
なつている。一方、ストローク調整部材１０は、
ナツト１６ａによつて支持枠３の下端の後退位置
を規定し、ナツト１６ｂによつて支持枠３の下端
の前進位置を規定するようになつている。従つ
て、ストローク調整部材９，１０のこれらナツト
１５ａ，１５ｂ，１６ａ，１６ｂのロツド１１，
１２上の位置を適宜設定することにより、上記駆
動シリンダ装置７，８の伸張量あるいは収縮量を
適宜規定し、支持枠３ひいてはガイドレール２の
車体２に対する配置を種々設定することができ
る。

ガイドレール２には、摺動部材１７が該ガイド
レール２の前後左右をローラ１７ａで挾んだ状態
で摺動自在に装着されている。この摺動部材１７
の車体Ａとは反対側の面には、弓形のガイドレー
ル２を含む面内において揺動可能に摺動ロツド１
７ｂが取付けられている。この摺動ロツド１７ｂ
上には、移動部材１７ｃが摺動自在に装着されて
おり、この移動部材１７ｃには、摺動部材１７を
ガイドレール２に沿つて移動させるため、機枠６
の上下に張り渡たされた駆動チエーン（図示せ
ず）がその一部において取付けられている。以上
の構造によつて移動部材１７ｃを上記駆動チエー
ンによつて垂直方向に上下動させるだけで、上記
摺動部材１７を弓形ガイドレール２に沿つて上下
方向に弧を描いて移動させることができる。上記
摺動部材１７には、塗装ガン１８が車体Ａの方に
向いた状態で取付けられている。この塗装ガン１
８は、通常状態においては、上記摺動部材１７と
一体になつてガイドレール２に沿つて移動するよ
うになつており、従つてこの塗装ガン１８は、ガ
イドレール１７に沿つて移動する間、水平に対す
る角度状態をわずかづつ変え、車体Ａの彎曲した
側面に対して常に直角方向を向くようになつてい
る。このため、塗装ガン１８は、あらゆる位置に
おいても車体Ａの側面に対して塗料を直角方向か
ら吹き付けることができるので、塗料の車体Ａの
側面への付着率が良好なものとなる。

以上のような構造によれば、車種が変更された
際には、駆動シリンダ装置７および８の双方ある
いは一方を伸張あるいは収縮するように作動させ
て、支持枠３を傾動あるいは横動させ、これによ
つてガイドレール２を変更された車種の車体Ａの
側面にほぼ沿うようにすることができ、かくして
ガイドレール２は、塗装ガン１８を、車体Ａの側
面との距離が常にほぼ一定の状態でしかも塗装面
に直角方向から塗装できるように案内することが
でき、その結果均一な塗膜厚さが得られる塗装が
可能となる。

以上説明したように、上記構造によれば、変更
された車種の車体についても均一な塗膜厚さが得
られる塗装が可能となるが、上記したように車種
が変更された際等においては、色彩も変化する場
合があり、この場合には塗装ガン１８を一旦洗浄
してから用いる必要がある。この洗浄の際、塗装
ガン１８内に残留する前の塗料をこの塗装ガン１
８から吐出させるときや、この塗装ガン１８を洗
浄液で洗浄するとき、この塗料や洗浄液が車体Ａ
に付着しないようにするため、塗装ガン１８を第
１図に想像線で示すように、ガイドレール２の下
部に下向きに首振りする必要がある。このため、
本考案においては、以下に詳細に説明するよう
に、塗装ガン１８が上記摺動部材１７に上下方向
に回動可能に取付けられているとともに、自動塗
装装置１の下部には上記塗装ガンのための首振り
装置Ｂが設けられている。

次にまず第４図を参照して上記塗装ガン１８の
摺動部材１７への取付構造を説明する。

摺動部材１７は、上記したようにガイドレール
２の前後左右をローラ１７ａで挾んだ状態で、該
ガイドレール２上に摺動自在に装着されている。
この摺動部材１７には、ガイドレール２の横方向
であつて車体Ａの前後方向に延びるピン部材１９
が、ビス２０によつて固定されている。このピン
部材１９上には、塗装ガン支持体２１が、その基
部２１ａにおいてベアリング２２によつて該ピン
部材１９のまわりに回転可能に装着されている。
上記塗装ガン１８は、このガン支持体２１の先端
部分２１ｂ上に取付部材２３によつて固着されて
いる。

塗装ガン支持体２１の基部２１ａには、レバー
２４が固定されており、このレバー２４は、後に
説明する目的のため、第１突部２４ａおよび第２
突部２４ｂを備えている。塗装ガン支持体２１
は、その基部２１ａのまわりに配されたコイルバ
ネ２５によつて第１図において時計方向に付勢さ
れている。摺動部材１７には、塗装ガン支持体２
１に平行な状態でストツパピン２６が植設されて
おり、上記レバー２４の第２突部２４ｂがこのス
トツパピン２６に衝当することによつて、塗装ガ
ン支持体２１および塗装ガン１８は、第１図に示
された位置に維持されている。従つて、塗装ガン
支持体２１および塗装ガン１８は、第１図におい
て時計方向にはこれ以上回動することができない
が、反時計方向にはレバー２４の第１突部２４ａ
を操作することによつてコイルバネ２５の力に抗
して回動できるようになつている。

支持枠３の垂直部材３ａの下部には、首振り装
置Ｂが設けられており、この首振り装置Ｂは、第
５図に示されているように、該垂直部材３ａと平
行に設けられた案内ロツド２７および該垂直部材
３ａに、上端２８ａにおいて枢軸２８ｃのまわり
に回動可能に枢着された作動バー２８を備えてい
る。上記案内ロツド２７上には、摺動体２９が摺
動自在に装着されている。この摺動体２９と作動
バー２８の下方部分２８ｂの間には、レバー３０
が接続されて、スライダクランク機構を構成して
いる。支持枠３の上部部材３ｂには、シリンダ装
置３１が吊り下げられた状態で装着されており、
このシリンダ装置３１のピストンロツド３１ａの
下端は、上記摺動体２９に取り付けられている。

以上の構成において、シリンダ装置３１が作動
して収縮すると、ピストンロツド３１ａが上昇し
て、摺動体２９を上昇させる。すると、レバー３
０の摺動体２９に枢着された端部も上昇し、その
結果レバー３０は、作動バー２８を、第１図に想
像線で示すように、その下方部分２８ｂがガイド
レール２に比較的近接してガイドレール２にほぼ
沿つた位置となるまで、第１図において時計方向
に揺動させる。作動バー２８は、この位置におい
てカムとしての作用をなすものである。この作動
バー２８は摺動部材１７がガイドレール２に沿つ
て下降してガイドレール２の下部で停止するとシ
リンダ装置３１で時計方向に揺動され、塗装ガン
支持体２１に固着されたレバー２４の第１突部２
４ａの先端に接触して、上記第１突部２４ａひい
ては塗装ガン支持体２１をコイルバネ２５の作用
に抗して、塗装ガン１８が第１図に想像線で示さ
れた配置すなわち下向きの配置となるまで、反時
計方向に回動させる。塗装ガン１８の洗浄は、該
塗装ガン１８が上記想像線で示された状態で行な
われる。従つて、この洗浄の際に、洗浄液や塗料
が車体Ａに付着することなく、良好な状態で洗浄
を行なうことができる。また、作動バー２８を作
動させるための駆動シリンダ装置３１が、支持枠
３に取り付けられているので、移動することがな
く、従つてこの駆動シリンダ３１へ作動流体を供
給するホースが折れ曲つたり、すれたりして、切
れてしまうことがない。

また、塗装ガン１８の停止位置が異なつて塗装
ガン１８が自動でガイドレール２の下部付近まで
下降するような場合においても、作動バー２８は
ガイドレール２にほぼ沿つた位置まで揺動される
ので停止位置が異つても確実に塗装ガン１８を下
向きに首振りさせることができる。

なお、上記した実施例においては、作動バー２
８を揺動させるタイプのものについて説明した
が、この作動バー２８は作用位置と不作用位置と
の間を平行移動するタイプのものであつてもよ
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例による塗装ガンの首
振り装置を組込んだ自動塗装装置の正面図、第２
図は、第１図に示した自動塗装装置の側面図、第
３図は、第１図の線Ａ−Ａに沿う断面図、第４図
は、第１図の自動塗装装置の摺動部材を拡大して
示す一部断面図、第５図は、本考案の実施例によ
る首振り装置の主要部を示した第２図の線Ｂ−Ｂ
に沿う断面図である。 Ａ……車体、Ｂ……塗装ガンの首振り装置、１
……自動塗装装置、２……ガイドレール、３……
支持枠、２８……作動バー、３１……駆動シリン
ダ装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 支持枠に上下端が支持されたガイドレールと、
   このガイドレールに沿つて上下動する摺動部材
   に、首振り自在に取付けられて被塗物に塗装する
   塗装ガンとを備えた塗装ガンの首振り装置におい
   て、前記ガイドレールの下部近傍に配置され、下
   部位置にある塗装ガンに当接して、該塗装ガンを
   下向きに首振りする作動バーを、前記ガイドレー
   ルにほぼ沿つて塗装ガンを首振りする作用位置
   と、前記塗装ガンの首振りを行なわない不作用位
   置との間を移動可能に設けるとともに、前記作動
   バーを前記塗装ガンの洗浄時に前記不作用位置か
   ら作用位置に移動させる駆動機構を前記支持枠に
   取付けたことを特徴とする塗装ガンの首振り装
   置。