JPS6341881B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は燻蒸用薬剤を有効に燻蒸させて殺虫、
殺菌、忌避する燻蒸剤に関し、更に詳しくは燻蒸
用薬剤を短時間に集中的に燻蒸せしめ、部屋その
他の限定空間内の害虫の駆除、忌避又は殺菌をす
る燻蒸剤に関する。 従来より殺虫薬剤や殺菌剤を短時間に燻蒸させ
て害虫を駆除したり殺菌する方法としては、該薬
剤を燃焼剤と混合して燃焼剤の燃焼熱及び発煙に
より薬剤を発散させる所謂燻煙剤を用いる方法が
一般的であるが、之は以下の如き欠点を有する。
即ち多量の薬剤を速かに蒸散させるためには、毒
性の強い煙を発生する燃焼剤の燃焼を必須とし、
従つてこの燻煙剤の使用時には上記燃焼剤の発煙
による刺激臭や人体等に対する危険及び火災の危
険等が伴われる。更に重大なことに上記燻煙剤に
よれば燃焼熱による薬剤の熱分解、それによる有
効揮散率の低下即ち効率低下及び経済的損失は避
けられない。 本発明は、上記公知の燻煙剤及び燻煙方法に替
り、多量の薬剤を瞬時に且つ有効に、広範囲に亘
り蒸散せしめ得、しかも発煙を実質的に伴うこと
なく従つてこれによる毒性や刺激臭等の問題を惹
起せず、また火災のおそれのない新しい燻蒸剤を
提供するものである。 即ち本発明はＡ燻蒸用薬剤と、該薬剤と同量以
上のニトロセルロースと、さらに無機質粉及び糖
類のそれぞれ１種以上を含有する燻蒸用薬剤成分
及び Ｂ任意の加熱手段を組合せてなり、該加熱手段
により、関接加熱にて上記ニトロセルロースを分
解させ、燻蒸用薬剤を蒸散せしめるべくしたこと
を特徴とする燻蒸剤に係る。 本発明における燻蒸用薬剤としては、従来より
用いられている殺虫剤、殺菌剤、忌避剤の各種薬
剤がいずれも使用できる。 代表的薬剤としては以下のものを例示できる。 () 殺虫剤 (1) ピレスロイド系殺虫剤 Γ３−アリル−２−メチルシクロペンタ−２
−エン−４−オン−１−イル dl−シス／
トランス−クリサンテマート（一般名アレ
スリン：商品名ピナミン：住友化学工業株
式会社製、以下ピナミンという） Γ３−アリル−２−メチルシクロペンタ−２
−エン−４−オン−１−イル ｄ−シス／
トランス−クリサンテマート（商品名ピナ
ミンフオルテ：住友化学工業株式会社製、
以下ピナミンフオルテという） Γピナミンの幾何光学異性の商品名エキスリ
ン（住友化学工業株式会社製）及び一般名
バイオアレスリン。 ΓＮ−（３，４，５，６−テトラヒドロフタ
リミド）−メチル dl−シス／トランス−
クリサンテマート（一般名フタルスリン：
商品名ネオピナミン：住友化学工業株式会
社製、以下ネオピナミンという） Γ５−ベンジル−３−フリルメチル ｄ−シ
ス／トランス−クリサンテマート（商品名
クリスロンフオルテ：住友化学工業株式会
社製、以下クリスロンフオルテという） Γ３−フエノキシベンジル ３−（２，２−
ジクロロビニル）−２，２−ジメチルシク
ロプロパンカルボキシレート（一般名ペル
メトリン：商品名エクスミン：住友化学工
業株式会社製、以下エクスミンという） Γ３−フエノキシベンジル ｄ−シス／トラ
ンス−クリサンテマート（一般名フエノト
リン：商品名スミスリン：住友化学工業株
式会社製、以下スミスリンという） Γα−シアノ−３−フエノキシベンジル ２
−（４−クロロフエニル）−３−メチルブチ
レート（一般名フエンバレレート、以下フ
エンバレレートという） Γα−シアノ−３−フエノキシベンジル
２，２，３，３−テトラメチルシクロプロ
パンカルボキシレート（一般名フエンプロ
パトリン、以下フエンプロパトリンとい
う） (2) 有機リン系殺虫剤 Γ０，０−ジメチル ０−（２，２−ジクロ
ロ）ビニルホスフエート（以下DDVPと
いう） Γ０，０−ジメチル ０−（３−メチル−４
−ニトロフエニル）チオノフオスフエート Γ０，０−ジエチル ０−２−イソプロピル
−４−メチル−ピリミジル−(6)−チオフオ
スフエート Γ０，０−ジメチル Ｓ−（１，２−ジカル
ボエトキシエチル）−ジチオフオスフエー
ト (3) カーバメート系殺虫剤 ΓＯ−イソプロポキシフエニル メチルカー
バメート（以下バイゴンという） () 殺菌剤 ΓＳ−ｎ−ブチル−S′−ｐ−ターシヤリ−ブチ
ルベンジル Ｎ−３−ピリジルイミドジチオ
カーボネート（商品名デンマート：住友化学
工業株式会社製、以下デンマートという） ΓＮ−（3′，5′−ジクロロフエニール）−１，２
−ジメチル−シクロプロパン−ジカルボキシ
イミド（商品名スミレツクス：住友化学工業
株式会社製、以下スミレツクスという） () 忌避剤 ΓＮ，Ｎ−ジエチル ｍ−トルアミド（以下
DETという） Γジ−ｎ−ブチル サクシネート（以下
DNBSという） Γジ−ｎ−プロピル イソシンコメロネート
（以下DPICという） 上記薬剤の中、殺虫剤としてペルメトリン、レ
スメトリン、フエノトリン、フエンバレレート、
クリスロンフオルテ、フエンブロバトリン、フタ
ルスリン、ピナミンフオルテ、殺菌剤としてスミ
レツクス、デンマート、忌避剤としてDET、
DNBS、DPICに顕著な有用性を認めた。 本発明における上記薬剤には通常用いられてい
る効力増強剤、揮散率向上剤、消臭剤、香料等の
各種添加剤を任意に添加することができる。 効力増強剤としては、ピペロニルブトキサイ
ド、Ｎ−プロピルイゾーム、サイネピリン222、
サイネピリン500、リーセン384、IBTA、Ｓ−
421等が、揮散率向上剤としてはフエネチルイソ
チオシアネート、ハイミツクス酸ジメチル等が、
消臭剤としてはラウリル酸メタクリレート
（LMA）等が、香料としてはシトラール、シトロ
ネラール等が夫々例示できる。 本発明における無機粉末として代表的には、パ
ーライト、ケイソウ土、タルクが例示でき、燻蒸
用薬剤の吸着担体として働きかつ、ニトロセルロ
ースの危険性を減じるものである。 本発明における糖類としては二糖類のラクトー
ス、マルトース、サツカロース、多糖類のデンプ
ン セルロースや、その誘導体であるメチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロースなどが例示
でき、燻蒸用薬剤の燻蒸助剤として働くとともに
ニトロセルロースの危険性を減じるものである。 本発明において、ニトロセルロースの量は燻蒸
用薬剤と同量以上であればよい、ニトロセルロー
スの混合割合の増大に伴い次第に燻蒸用薬剤の有
効揮散率は向上するがあまりに多くなつても効果
は向上しない。さらに、無機粉末及び糖類の混合
割合は任意であるが無機粉末は10〜50％、糖類は
５〜30％が好ましい。また、上記燻蒸用薬剤、無
機粉末、ニトロセルロース、糖類の混合形態は特
に制限されないが、作業性及び得られる駆除剤の
製造及び使用の簡便性を考慮すると、適当な顆粒
状、塊状、ペレツト状、ペースト状、シート状等
としたりまた熱熔融性の樹脂袋等に混合封入する
のが好ましく、之等各使用形態に応じて各種バイ
ンダー、溶剤等を使用できる。 本発明において加熱手段としては上記混合物よ
りなる燻蒸用薬剤成分を間接的に加熱することに
よつて混合物を燃焼させることなく該混合物中の
ニトロセルロースを分解させ得る温度を提供でき
る各種のものを利用できる。具体的には以下の如
き熱源を有利に使用できる。 (1) 加水反応により発熱する化合物 例えば酸化カルシウム、塩化マグネシウム、
塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等
水を添加するのみで発熱反応する物質を例示で
きる。 (2) 通電により発熱する電気的熱源 例えばニクロム線等の電熱線、シート状ヒー
ター、半導体を利用するヒーター等を例示でき
る。 (3) 酸化反応により発熱する金属もしくは金属化
合物と助剤等との組み合せ、 例えば鉄粉と酸化剤（塩素酸アンモニウム
等）とを混合する方式、金属と該金属よりイオ
ン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを混
合する方式、鉄と硫酸カリウム、硫化鉄、金属
塩化物、硫酸鉄等の少なくとも１種との混合物
を水及び酸素と接触させる方式、鉄よりイオン
化傾向大なる金属と鉄よりイオン化傾向小なる
金属のハロゲン化物との混合物を水と接触させ
る方式、金属と重硫酸塩との混合物を水と接触
させる方式、アルミニウムとアルカリ金属硝酸
塩との混合物に水を加える方式等を例示でき
る。 (4) 金属硫化物の酸化反応を利用するもの、 例えば硫化ソーダと炭化鉄との混合物を酸素
と接触させる等の方式を例示できる。 これら熱源の中、特に酸化カルシウムの加水
反応によるものは安価であるとともに発熱量も非
常に多いので使い捨ての発熱源として有利であ
る。また、通電による発熱を利用する場合に
は、熱源を繰り返し使用しうるような構造にする
事により燻蒸用薬剤成分のみを交換しうるなど安
価に利用しうる。さらに酸素と接触させて発熱
させる金属硫化物利用の発熱源は、酸素不透過性
構造内に密封しておき、一部を開封するのみにて
発熱しうる簡便性を有している。 本発明では上記各種熱源を通電、混合、もしく
は水及び／又は空気と接触させることにより発熱
せしめ、該熱量を利用して上記燻蒸用薬剤成分を
間接的に加熱する。間接加熱は例えば上記燻蒸用
薬剤成分を適当な容器に収容し、該容器と熱源を
組み合せることにより行なわれる。より好ましく
は熱源の熱量を有効利用するために熱源を密閉型
外容器内に収容し、該外容器に燻蒸用薬剤成分を
収容した内容器を、その底壁及び側壁の少なくと
も１部を隔壁として収納するのがよい。上記熱源
の発熱による混合物の間接加熱にすれば、燻蒸用
薬剤成分は何ら着火燃焼を生起されることなく如
熱され、ニトロセルロース及び糖類は熱分解反応
する。本発明においてはこのニトロセルロースの
熱分解反応生成ガスにより、混合物中の燻蒸用薬
剤は強制放散されると共に、その揮散を促進さ
れ、しかも熱分解や変性等の起る高温に全くさら
されることなく極めて短時間に急激且つ有効に蒸
散される。 従つて本発明によれば部屋その他の限定空間内
に棲息する蚊、蠅、蚤、南京虫、イエダニ、ゴキ
ブリ等の衛生害虫及び農業用害虫を極めて効果的
に駆除でき、また、同空間内を害虫より忌避で
き、あるいは殺菌できる。しかも本発明は従来の
如く燃焼剤の燃焼を利用するものではなく、刺激
臭や煙等の発生や火災の危険をも実質的に伴わ
ず、安全且つ簡便に実施できる利点がある。 以下本発明を更に詳しく説明するため実施例及
び比較例を挙げる。尚各例における燻蒸用薬剤の
有効揮散率は、密閉容器内で燻蒸用薬剤を燻蒸せ
しめ、容器内空気をベンゼン中に通じて空気中の
薬剤をベンゼン中に捕集し、これを濃縮後ガスク
ロマトグラフイーにより測定し、初期燻蒸用薬剤
重量に対する百分率で表わしたものである。 実施例１〜24及び比較例１〜６ 第１表に記した各成分の相当する量100部（表
中、ニトロセルロースは乾燥物の量であり、用い
たニトロセルロースは同量の水を含んでいる）に
さらに水約20部を加え、混練、造粒、乾燥して本
実施例の燻蒸用薬剤成分を得た。この燻蒸用薬剤
成分を第１図に示した二重円筒状容器の内容器１
内に20ｇを収容し、また外容器２内には酸化カル
シウム（粒度１〜９メツシユ）90ｇを入れ、有孔
底蓋３をし、本発明の燻蒸剤を得た。得られた燻
蒸剤の有孔底蓋３部を約30mlの水に浸漬し燻蒸用
薬剤を燻蒸させて有効揮散率を測定した。結果は
第３表に示した。なお本実施例の比較例を第２表
にその揮散率測定結果を第４表に示した。

【表】

【表】

【表】 実施例の燻蒸用薬剤成分製造と同様にして比較
例の各処方を得た。 実験 各実施例についてそれぞれ有効揮散率を測定し
た。

【表】

【表】 実験 比較実験を行なつた結果は第４表の通りであ
る。

【表】

【表】 上記比較試験より明らかなように、直接着火し
た場合はいずれも実験の結果に比し1/2以下で
あつた。又、一部本実施例と同様に間接加熱をし
ても、実施例に比し著じるしく劣つていた。 以上より、本発明の燻蒸剤は非常に有効である
ことが明らかである。 比較例 ７〜９ 実施例の燻蒸用薬剤成分製造と同様にして下記
第５表の各比較例処方を得た。

【表】 実験 上記各処方を用いて行なつた比較実験の結果を
下記第６表に示す。

【表】 【図面の簡単な説明】

第１図は本発明燻蒸剤の使用形態の１つの具体
例を示すものであり、４は発熱性物質及び５は燻
蒸用薬剤成分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ Ａ 燻蒸用剤と、該薬剤と同量以上のニトロ
   セルロースと、さらに無機質粉及び糖類のそれ
   ぞれ１種以上を含有する燻蒸用薬剤成分及び Ｂ 任意の加熱手段を組み合せてなり、該加熱手
   段による間接加熱にて上記ニトロセルロースを
   分解させ、燻蒸用薬剤を蒸散せしめるべくした
   ことを特徴とする燻蒸剤。 ２ 燻蒸用薬剤が、殺虫剤、殺菌剤、忌避剤から
   なる群から選ばれた少なくとも１種である特許請
   求の範囲第１項に記載の燻蒸剤。 ３ 加熱手段が加水発熱、電熱、空気酸化発熱よ
   り選ばれた１種である特許請求の範囲第１項に記
   載の燻蒸剤。