JPS6341207Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車における車輪懸架装置の支持構
造に関するものである。

第１図に示すように円筒状のクロスメンバー１
の内部にトーシヨンバー２を挿通して該トーシヨ
ンバー２の中央側端部をクロスメンバー１に回転
方向に固定なる如く支持させると共にその側方端
部はゴム等の弾性材よりなる円環状のブツシユ３
にてクロスメンバー１に回動可能に支持させ、該
トーシヨンバー２の側方端部にアウタアーム４の
基端部を固定し、クロスメンバー１に設けたブラ
ケツト１ａに基端部を枢着したインナアーム５に
アウタアーム４の先端部を結合して、該インナア
ーム５先端にホイール６を取付け、ホイール６の
上下方向の揺動をトーシヨンバー２の捩れ反力に
て弾力的に支持した所謂トレーリングアーム方式
のものは、自動車の特に後輪懸架装置として一般
に用いられている。（実開昭54−144518号公報参
照）。

このようなサスペンシヨン装置は、クロスメン
バー１の両端部に設けたブラケツト７を車体フレ
ーム或はフロア等の車体部材にボルト等にて締付
固定することにより、車体に組付けられるが、そ
の場合路面からの振動、騒音の車体側への伝達を
低減する為の何らかの手段を講じる必要がある。

一般的にはクロスメンバー１と車体部材間にゴ
ム等の弾性材を介装する手段が用いられるのが普
通であるが、このような従来構成では振動、騒音
の低減と言う目的は一応満足させ得るが、サスペ
ンシヨン装置の横方向剛性が介装された弾性材に
より低くなり、操安性を悪化させてしまうと言う
欠点があり、操安性の悪化をも防止しようとする
と構造が極めて複雑となり、組付作業性の悪化、
コストアツプ等の問題を生ずる。

本考案は上記のような従来の種々の問題をすべ
て解消し得る支持構造を提供するもので、クロス
メンバー１の両端部附近において該クロスメンバ
ー１とトーシヨンバー２間に介装されるブツシユ
３を車体前後方向には硬く上下方向にのみ柔かい
ばね特性を有する弾性材にて構成し、上下方向振
動は該ブツシユ３にて吸収軽減するよう構成する
と共に、クロスメンバー１の両端取付部と車体部
材間に介装される弾性支持体を、車体前後方向に
おいて柔かく車体幅方向にはほとんど変形変位し
ない構造としたことを特徴とするものである。

即ちブツシユ３は第２図に示すように上下方向
にすぐり３ａ，３ａを設け、該すぐり３ａ，３ａ
によつて該ブツシユ３は前後方向には硬く上下方
向にのみ柔かいばね特性を持ち、これにより車輪
側からの上下振動は該ブツシユ３により的確に吸
収され、ロードノイズの大幅な低減をはかり得
る。

更に本考案ではクロスメンバー１の両端取付部
と車体部材間に介装される弾性支持体８を、第３
図に示すように両側に側面フランジ部８１ａ，８
１ａを折曲形成したコ字状断面のアウタパネル８
１内に、同じく側面フランジ部８２ａ，８２ａを
折曲形成したコ字状断面のインナパネル８２を、
その頂面８１ｂ，８２ｂが対向するよう嵌装組合
せ、該頂面８１ｂと８２ｂ間にゴム等の弾性材８
３を介装し、側面フランジ部８１ａと８２ａ間に
はナイロンプレート等の硬質の合成樹脂プレート
８４を介装した構成とする。

上記アウタパネル８１の頂面８１ｂには前記ブ
ラケツト７への取付孔８１ｃが設けられ、又イン
ナパネル８２の頂面８２ｂに設けた車体部材への
取付孔８２ｃの周縁突出部８２ｄが所定の間隙を
もつて嵌挿される孔８１ｄが形成され、前記弾性
材８３は頂面８１ｂと８２ｂ間より孔８１ｄと突
出部８２ｄ間にまで至り、該８１ｄと８２ｄ間に
おいては弾性材８３はアウタパネル８１側にのみ
接着され突出部８２ｄ側には隙間ａをもつて対向
した構造となつている。

前記側面フランジ部８１ａ，８２ａ間に介装さ
れた合成樹脂プレート８４は対向する両フランジ
部８１ａ，８２ａのいずれか一方、例えば図示の
ようにアウタ側のフランジ部８１ａにのみ接着さ
れ、他方例えばインナ側のフランジ部８２ａ内面
とは僅小隙間ｂをもつて対向する構造となつてお
り、該合成樹脂プレート８４と弾性材８３とは両
者のつき合せ部において接着されている。

以上のように構成された弾性支持体８を第１図
に示すようにクロスメンバー１の両端に固着され
たブラケツト７に当て、取付孔８１ｃよりボルト
をねじ込んでアウタパネル８１をブラケツト７に
固定し、取付孔８２ｃの突出部８２ｄ先端よりボ
ルトを挿し込んでインナパネル８２を車体部材９
に固定することにより、クロスメンバー１がその
両端を弾性材８３を介して車体に結合支持された
構造とすることができる。

この結合状態においては、クロスメンバー１に
かかる前後方向振動は弾性材８３の剪断方向の弾
性変形により吸収されるので、路面の細かい凹凸
等により生ずる振動、騒音等の著しい低減をはか
り得ると共に、車輪懸架装置の横方向荷重に対し
ては、硬質の合成樹脂プレート８４及び両フラン
ジ部８１ａ，８２ａにより強固に支持されるの
で、横方向剛性は的確に保持され、操向安定性の
大幅な向上をはかり得る。

この弾性支持体８では上下方向の振動に対して
は弾性材８３の圧縮、伸張方向の変形で受けるこ
とになり、そのばね特性は剪断方向変形の場合に
比し硬く上下方向振動の吸収は充分には行い難い
が、該上下方向振動はクロスメンバー１とトーシ
ヨンバー２間に介装されているブツシユ３にて充
分吸収されているので、結局上記弾性支持体８と
ブツシユ３の組合せにて車体前後方向及び上下方
向には柔で、車体横方向には剛となる理想的な懸
架装置支持を得ることができるものである。

以上のように本考案によれば車輪懸架装置とし
て横剛性を損なうことなく前後、上下のコンプラ
イアンスを独立に大きくすることができ、騒音の
低減及び乗り心地の著しい向上をはかることがで
きるもので、構造簡単なることと相俟つて実用上
多大の効果をもたらし得るものである。

【図面の簡単な説明】

附図は本考案の実施例を示すもので、第１図は
車輪懸架装置の一半平面図、第２図は第１図のＡ
−Ａ断面図、第３図は第１図の弾性支持体の具体
的構造例で、イ図は平面図、ロ図は正面図、ハ図
はイ図のＢ−Ｂ断面図である。 １……クロスメンバー、２……トーシヨンバ
ー、３……ブツシユ、３ａ……すぐり、４……ア
ウタアーム、５……インナアーム、６……ホイー
ル、８……弾性支持体、８１……アウタパネル、
８２……インナパネル、８１ａ，８２ａ……側面
フランジ部、８１ｂ，８２ｂ……頂面、８１ｃ，
８２ｃ……取付孔、８１ｄ……孔、８２ｄ……突
出部、８３……弾性材、８４……合成樹脂プレー
ト、９……車体部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 筒状をなすクロスメンバー内にトーシヨンバ
   ーを嵌装して懸架アームを該トーシヨンバーの
   一端に結合し、車輪の上下揺動をトーシヨンバ
   ーの捩り反力にて支持するようにしたトレーリ
   ングアーム方式の車輪懸架装置において、トー
   シヨンバーとクロスメンバー間に介装されるゴ
   ム等の弾性材よりなる円環状のブツシユを上下
   方向には柔かく前後方向には硬いばね特性を有
   する構造とすると共に、クロスメンバーと該ク
   ロスメンバーを支持する車体部材間に介装され
   る弾性支持体を、それぞれ頂面の両側にフラン
   ジ部を下方に向けて折曲成形したアウタパネル
   とインナパネルを両頂面間に弾性材を接着等に
   より固着して介装させた状態にて嵌装組合せる
   と共に、アウタパネルとインナパネルのフラン
   ジ部間に硬質の合成樹脂プレートを一方のフラ
   ンジ部にのみ固着し他方のフランジ部とは近接
   対向した状態にて介装し、アウタパネルの頂面
   の前後端部に取付孔を設け、インナパネルの頂
   面の中央部に取付孔を設けると共に該取付孔の
   周縁突出部を上方に向けて突出形成し、該周縁
   突出部が所定の隙間をもつて嵌挿される孔を上
   記アウタパネルの頂面中央部に形成した構造に
   構成したことを特徴とする自動車用車輪懸架装
   置の支持構造。 (2) 弾性材よりなる円環状ブツシユは、上下方向
   にすぐりが形成されていることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の自動車用車
   輪懸架装置の支持構造。