JPS6340330Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はエンジンを車体上の所定位置に取付
けるエンジンのマウント装置に関する。

車体は、車室、エンジンルーム、トランクルー
ム等の空間を変形させることなく保持し得ると共
に、エンジンやサスペンシヨン等の車両構成部材
を車体との相対位置関係を正しく確保した状態で
取付け得るよう、所定の剛性を必要とする。特
に、エンジンのすえ付け部はその重量、形状等が
大きく、車両の基本構造を決定する要因となるた
め、車体へのエンジンのすえ付けに用いられるエ
ンジンマウント装置は車両に最適な構成のものを
使用する必要がある。即ち、エンジンマウント装
置はエンジンの重量を支持する剛性と、受けた重
量を車体側に分散させ得る形状とを必要とする。

ところで、フロントエンジン・フロントドライ
ブ車（以後単にＦ・Ｆ車と記す）は動力伝達系が
フロントホイールに連結される関係上、フロント
エンジン・リヤドライブ車（以後単にＦ・Ｒ車と
記す）のように車体前後方向に長く、エンジンや
クラツチおよび変速機等を整列させることが少な
く、車幅方向（以後単に横向きと記す）に長くエ
ンジン等を配置することが多い。たとえば、第１
図に示すようなＦ・Ｆ車の場合、車体１の前部の
エンジンルーム２内に、横向きにエンジン３の長
手方向を整列させる。このエンジン３は長手方向
両端に連結金具４，５を装備し、これによりエン
ジン重量を車体側に伝える。しかし、この連結金
具４，５の車体側係止部６は、その内の一方が
（第１図では左側）車体側のサイドフレーム７を
外れ、比較的剛性の低い、鋼板部、たとえばフロ
ントホイルハウスインナ８の中央部等となること
が多い。このため、車体側係止部６を補強し、エ
ンジンの取付位置精度や車体の剛性を確保する必
要が生じる。従来、この部位にはエンジンマウン
ト装置が取付けられ、これにより、車体側係止部
６の強化をも図つている。しかし、エンジン取付
位置精度をより高めることが望まれており、この
ため、より剛性の優れたエンジンマウント装置が
望まれている。

この考案は、エンジン取付位置精度の高い、か
つ、車体の剛性をも補強し得る車体のエンジンマ
ウント装置を提供することを目的とする。

この考案による車体のエンジンマウント装置
は、車体の前後方向に伸びるアツパフレームおよ
びロアフレームと、これら両フレーム間に一体的
に取付けられるフロントホイルハウスインナとの
三者にわたりエンジンマウントリンフオースメン
トを固定し、このエンジンマウントリンフオース
メントに対し、エンジンルームに向けて突出する
取付片の形成されたブラケツトの基端部を固定
し、上記エンジンマウントリンフオースメントは
これに対向するフロントホイルハウスインナとで
閉断面を形成し、上記取付片がエンジン側重量を
受ける構成である。

この考案によれば、エンジンマウントリンフオ
ースメントによりエンジンの重量を分散させて車
体側に伝達でき、これにより、車体の剛性を強化
し、エンジン取付位置精度をより高めることがで
きる。

以下、この考案を添付図面と共に説明する。

第２図にはこの考案の一実施例としての車体の
エンジンマウント装置（以後単にエンジンマウン
ト装置と記す）９を用いた自動車１０の前部車体
を示した。この自動車１０はエンジンルーム１１
内にエンジン１２をその長手方向が横向きＡとな
るよう配置したＦ・Ｆ車である。エンジン１２の
長手方向の両端部には連結金具１３，１４が突設
され、これらによりエンジン重量Ｗは概略２分さ
れて車体側に支持される。この内、一方の右側の
連結金具（以後変速機側金具と記す）１３は車体
として前部剛性を強化するよう用いられ、かつ、
車体の前後方向に長いロアフレーム１５に連結さ
れる。このロアフレーム１５は第３図に示すよう
に十分な剛性を有した形状を呈ており、この側面
に固着されたコの字形ブラケツト１６の一対の取
付片１６１間に変速機側金具１３の目玉状部１３
１が嵌合し、両者はボルト止めされる。他方の連
結金具１４は第２図に示すようにエンジン１２の
一端の上部より突出しており、変速機側金具１３
より高位置に配置される。この連結金具１４がエ
ンジンマウント装置９を介し車体側に取付けられ
る。即ち、第４図に示すように、車体側に形成さ
れる連結金具１４（第５図に示した）の係止部と
なるエンジンマウント装置９は、車体の前後方向
Ｂに長いロアフレーム１６と、これにほぼ平行
で、かつ、エンジンルーム１１の上部側壁の剛性
を強化するアツパフレーム１７と、これら上下の
両フレーム１６，１７に上下端を溶接された鋼板
製のフロントホイルハウスインナ１８との三者に
わたり、それそれに溶接されるエンジンマウント
リンフオースメント１９を有する。更に、第５図
に示すように、このエンジンマウントリンフオー
スメント１９のエンジンルーム１１側と対向する
縦長壁面１９１には、エンジンルーム１１側に向
け突出する一対の縦向きの取付片２０１の形成さ
れたブラケツト２０が溶接され（第５図参照）、
これとエンジンマウントリンフオースメント１９
とでエンジンマウント装置９が形成される。ロア
フレーム１６はフロントホイルハウスインナ１８
に溶接されることにより閉断面を形成しており、
これにより車体下部の剛性を確保し、図示しない
サスペンシヨン装置等からの外力を受け、これを
車体側に直接分散させている。一方、アツパフレ
ーム１７は二枚のＬ字型長板を互いに溶接して閉
断面を形成しており、これにより、エンジンルー
ム上部の剛性を確保し、フロントフエンダ２１を
取付部としても利用される。このような両フレー
ム１６，１７に下端と上端を溶接されると共に、
断面コの字形を呈するエンジンマウントリンフオ
ースメント１９はその中間の縦長部をフロントホ
イルハウスインナ１８を溶接されることにより、
閉断面を形成している（第６図参照）。ブラケツ
トの一対の取付片２０１は両者を水平方向に貫通
できる連結ボルト２２を通す穴２０２（第４図参
照）がそれぞれ形成される。このため、両取付片
２０１間に連結金具１４の目玉状部１４１を嵌合
し、これに連結ボルト２２を挿通させ、ナツト止
めすることにより、ブラケツト２０にエンジン１
２を連結支持できる。

第２図に示したエンジンマウント装置９は横向
きＡのエンジン１２の重量Ｗの内、左側にほぼ２
分された重量を受ける。この場合、連結金具１４
の上下位置がロアフレーム１５とアツパフレーム
１７とのほぼ中間位置となつているが、これに対
向する車体の係止部側となるフロントホイルハウ
スインナ１８はエンジンマウント装置９によりそ
の剛性を強化され、容易にエンジン重量を受け、
これをロアおよびアツパフレーム１６，１７や、
フロントホイルハウスインナ１８自体に分散さ
せ、支持させることができる。特に、エンジンマ
ウントリンフオースメント１９が閉断面を形成す
ることより、エンジンルーム１１回りの剛性をも
十分強化できる。更に、エンジンマウントリンフ
オースメントの縦長壁面１９１にブラケツト２０
は重ね合わされ溶接される構成であり、ブラケツ
ト２０の取付位置の自由度が大きく、即ち、この
ブラケツト２０に連結されるエンジン１２の車体
に対する相対的な取付位置の自由度が大きい。更
にまた、エンジン１２からは重量と共に振動が車
体側に伝わるが、この振動を、一端、エンジンマ
ウント装置９が受け、これをブラケツト２０やエ
ンジンマウントリンフオースメント１９が弱めて
からロアおよびアツパアーム１６，１７やフロン
トホイルハウスインナ１８に伝えることになり、
振動低減作用をも有する。

第２図に示したエンジンマウント装置９はエン
ジン側の連結金具１４と連結ボルト２２とを直接
接触させていたが、これら両者間に円筒状のマウ
ントゴムを装着すればより、防振性が改良され
る。更にブラケツト２０は取付片２０１を一対有
していたが、これに代え、第７図ａに示すよう
に、一つの取付片２６１とし、これで二又状の連
結金具２３をボルト２４で連結する構成としたブ
ラケツト２６を用いてもよい。更に第７図ｂに示
すように、取付片２５１を分割したブラケツト２
５を用いてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のＦ・Ｆ車の概略斜視図、第２図
はこの考案の一実施例としてのエンジンマウント
装置を装着した自動車の概略正面図、第３図は同
上自動車の前部右側車体の要部斜視図、第４図は
同上自動車の前部左側車体に装着されるエンジン
マウント装置の斜視図、第５図は第４図のＸ−Ｘ
線断面図、第６図はＹ−Ｙ線断面図、第７図ａ，
ｂはこの考案の各々異なる他の実施例としてのエ
ンジンマウント装置に用いられるブラケツトの平
面図をそれぞれ示している。 ９……エンジンマウント装置、１６……ロアフ
レーム、１７……アツパフレーム、１８……フロ
ントホイルハウスインナ、１９……エンジンマウ
ントリンフオースメント、２０……ブラケツト、
Ｂ……前後方向、Ｗ……重量、１１……エンジン
ルーム、２０１……取付片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体の前後方向に伸びるアツパフレームおよび
   ロアフレームと、これら両フレーム間に一体的に
   取付けられるフロントホイルハウスインナとの三
   者にわたりエンジンマウントリンフオースメント
   を固定し、このエンジンマウントリンフオースメ
   ントに対し、エンジンルームに向けて突出する取
   付片の形成されたブラケツトの基端部を固定し、
   上記エンジンマウントリンフオースメントはこれ
   に対向するフロントホイルハウスインナとで閉断
   面を形成し、上記取付片がエンジン側重量を受け
   る構成の車体のエンジンマウント装置。