JPS6339406B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は発泡製品のための表皮材の構造に関す
るものであり、特に発泡製品の製造に際して、開
口縁部若しくは端部が内方へ落ち込まないように
してその上に発泡体が被着するのを効果的に防止
し得る表皮材を提供するものである。

従来より、自動車等のヘツドレスト、アームレ
スト、各種パツド、クツシヨン類、内装材などに
用いられている外被を有する発泡製品は、一般に
当該製品の表面にて外被（スキン）を構成する合
成樹脂製の表皮材と、製品内部若しくは内側に位
置する芯材（インサート）と、該表皮材と該芯材
との間に発泡形成された発泡体層とを有してお
り、通常回転成形またはブローモールデイング法
などによつて所定の形状に成形された表皮材を金
型（モールド）に挿入セツトした後、該金型内に
形成される製品空間内に補強などの目的の芯材を
挿入セツトし、そしてこれら両者の空間に発泡体
原料を注入して加熱などによつて発泡一体化せし
めることにより製造されている。而して、かかる
発泡製品における外被としての表皮材には、その
内側に芯材が挿入セツトされる関係上、大きな開
口部乃至は切欠きが設けられており、またその部
分に延びる平坦な縁部若しくは端部が比較的長く
形成されているため、その自重によつてかかる縁
部若しくは端部が製品の内方に落ち込む（垂れ下
る）、所謂スキン倒れの現象を惹起しており、こ
れが作業能率の低下や製品不良率の増大の大きな
原因となつていたのである。

このため、従来からかかるスキン倒れを解決す
る方法として、例えばバキユームによる吸引を利
用して前記表皮材の開口縁部若しくは端部を金型
に密着せしめたり、接着剤あるいは接着テープに
よつて接着、保持せしめたりする方法などが提案
されているが、いずれも複雑な金型構造が要求さ
れたり、発泡作業工数を増大せしめたり、或はま
た作業が面倒となつて生産性を低下せしめたりす
る等の問題を内在している。また、これら従来の
手法における問題を解消するために、特公昭47−
8154号公報には前記表皮材の開口縁部若しくは端
部を製品取付金具に設けた外被支持片にて内側か
ら金型に押し付けながら発泡成形する方法が明ら
かにされているが、これとても、その適用される
製品がヘツドレストの如き製品取付金具が外部に
突出するものに限定される問題があり、しかも最
終製品において外被（表皮材）と外被支持片が、
そして芯材に、直接当接するようになるため、そ
の部分において発泡製品本来のクツシヨン性能が
損われる問題を内在しているのである。

ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景と
して為されたものであつて、その要旨とするとこ
ろは、前記の如き発泡製品において外被として用
いられる合成樹脂からなる表皮材において、その
開口縁部若しくは端部の内側に内方に向つて突き
出た突出部を一体的に設けて、該発泡製品の内部
若しくは内側に配される芯材への干渉による該空
出部の弾性変形回復作用によつて該発泡製品の製
造時、即ち発泡成形時における前記開口縁部若し
くは端部の内方への落ち込みを阻止するようにし
たことにあり、このような極めて簡単な機構によ
つてかかる表皮材の開口縁部若しくは端部は発泡
成形時に効果的に金型に押し付けられ、密着せし
められ、以てその上に発泡体原料が漏れ出て（オ
ーバーフローして）発泡体が被着するようなこと
は全くなくなつたのであり、また表皮材と芯材と
は突出部によつて弾性的に接触し且つ該突出部以
外のところでは発泡体が介在するので、その部分
におけるクツシヨン性も充分に確保され得るので
ある。

以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を更
に詳細に説明する。

先ず、第１図はアームレスト製造用の金型内に
表皮材と芯材を挿入セツトした状態を示す横断面
略図である。発泡製品の製造には、先ず、上型１
と下型２とからなる金型において、該上型１が回
動されて型が開放された状態において下型２の空
所３内に、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂などの合
成樹脂を用いてインジエクシヨン法、ブローモー
ルデイング法などにて得られた通常の軟質乃至は
半硬質の表皮材４が挿入セツトされて、該空所３
内壁に表皮材４が完全に添わされる。ついで、該
表皮材４の開口部４ａからは所定形状の一般に硬
質の芯材５が該表皮材４内に挿入され、図示はし
ないが下型２から空所３内に突出せしめられたピ
ンなどによつて表皮材４から離れた所定位置に保
持されてセツトせしめられるようになつている。
そして、ウレタン原液などの発泡体原料が、この
ように表皮材４と芯材５とが挿入セツトされた状
態下で公知の注入機にて注入され、その後上型１
を閉じるか、或は該上型１を閉じた後に、金型を
貫通して製品空所３内に至る原料注入口（図示せ
ず）を通じて注入せしめられることによつて、そ
の発泡が行なわれ、以て該表皮材４と芯材５との
間に所定の発泡体層が形成せしめられるのであ
る。

ところで、かかる表皮材４が下型２の空所３に
挿入セツトされると、先述したように、金型合せ
面に位置するその開口部４ａの囲りの水平方向の
平坦な開口縁部若しくは端部（以下スキン端末と
略称する）４ｂが、第２図に示される如く片持ち
となつて、その自重により垂れ下り（破線にて示
す）、内方に落ち込む問題を生ずるのである。こ
のため、本発明にあつては、例えば第３図ａ及び
ｂに示されるように、表皮材４のスキン端末４ｂ
の内側に内方に向つて突出するリブ４ｃなどの突
出部を一体的に設けたのである。しかも、このリ
ブ４ｃの高さl₂は、スキン端末４ｂと芯材５との
間の距離l₁より大きくされており（l₂＞l₁）、それ
故表皮材４に続いて芯材５が挿入セツトされる
と、該スキン端末４ｂのリブ４ｃは芯材５に干渉
（当接）して弾性変形せしめられ、そしてその回
復作用、所謂スプリングバツク作用によつて、か
かるスキン端末４ｂは下からの押し上げ力を受け
ることとなり、そのため該スキン端末４ｂが内方
に落ち込むことは全くないのである。

かかる状態は、本発明に従う上記構成の表皮材
を用いた発泡製品の製造工程を示す第４図ａ乃至
ｄにおいてよく示されている。すなわち、上型１
を閉める前の状態を示す第４図ａにおいて、下型
２に挿入セツトされた表皮材４のスキン端末４ｂ
は、続いて挿入セツトされる芯材４の端面にリブ
４ｃが当接、干渉することにより、押し上げられ
る。ついで、上型１が閉じられる一方、ウレタン
原液６が注入されて発泡せしめられる発泡初期
〔第４図ｂ〕では、上型１の締付け力によつてリ
ブ４ｃは該上型１と芯材５との間において弾性変
形し、そしてその回復作用によつてスキン端末４
ｂを上型１に押し付けて密着せしめ、その状態で
発泡が続けられるのである。従つて、発泡の進行
によつてウレタン６が膨張して上昇し、金型の密
閉空間（製品空間）を満たしても、スキン端末４
ｂが内方に落ち込むことなく上型１にしつかりと
押し付けられているため、ウレタン６が該スキン
端末４ｂの表面に回り込んで（ウレタン漏れ）、
そこに被着するようなことは全くなく、それ故ス
キン端末４ｃのウレタン漏れによる不良品の発生
率を著しく低下せしめ得るのである。また、発泡
が完了した後、第４図ｃの状態から上型１を開放
して成形された発泡製品を脱型しても、発泡完了
時までに発泡体層となるウレタン６が表皮材４
に、そしてそのスキン端末４ｂに接着するように
なるので、上型１と下型２によつて成形された製
品形状はそのまま維持され得るのである。即ち、
第４図ｄに示されるように、リブ４ｃが弾性変形
されたままの状態で接着され、それが元に戻るよ
うなこともなく、従つてスキン端末４ｂがリブ４
ｃの弾性変形回復作用によつて製品面から突出さ
せられるようなこともないのである。

なお、本発明に従つて上記表皮材４に設けられ
るリブ４ｃは、該表皮材４の開口部４ａの垂れ下
がりの惹起され易いスキン端末４ｂ部分におい
て、その弾性変形回復作用が有効に作用し得るよ
う適宜の間隔を隔てて適数個設けられることとな
る。また、スキン端末４ｂと芯材５との間の距離
l₁に対するリブ４ｃの高さl₂の程度は、リブ４ｃ
の材質などによるスキン端末４ｂに作用する弾性
変形回復作用に応じて適宜決定され、更に同様に
リブ４ｃの厚さやその幅、その形状なども適宜に
決定されることとなる。

尤も、本発明は、上記例示のもののみに何等限
定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しな
い限りにおいて当業者の知識に基づき種々なる変
更、改良等を加え得るものである。例えば、本発
明は上記例示のアームレストのみに限定されるも
のでは決してなく、外被としての表皮材と該表皮
材の内部若しくは内側に芯材を有する発泡製品の
モールド製造において、モールドの密閉空間に一
方の開口した表皮材を挿入しその開口部に表皮材
の端末を有するものの製造においても非常に有効
な方法であつて、例えばヘツドレストや他のパツ
ド類、車両内装品などにも好適に適用し得るもの
である。また、本発明に従う突出部としての上例
のリブ（突出片）４ｃは挿入せしめられる芯材に
効果的に干渉してそこに有効な弾性変形回復作用
を惹起せしめるうえにおいて最も好ましいもので
あるが、これに代えて所定高さの突条を開口部４
ａの周方向に（第３図ａのリブ４ｃに対して垂直
な方向に位置して）スキン端末４ｂの内側に設け
ても何等差支えない。

このように、本発明は、内部若しくは内側に芯
材を有し、且つ表面に外被を有する発泡製品にお
いて、該外被を構成する表皮材の開口部端末の内
側に所定の内方突出部を一体的に設けることによ
り、該突出部が芯材に干渉することによるその弾
性変形回復作用を惹起せしめ、それによつてかか
る表皮材の開口部端末の自重による垂れ下がりを
阻止するようにしたものであつて、これによつて
従来のスキン倒れが効果的に解消され、また内部
発泡体の外部への露出が防止され得たのであり、
更に単に表皮材に突出部を一体的に形成せしめる
だけの極めて簡単な手段であるため、従来の如き
金型加工上の問題や発泡作業上の問題などが悉く
解消され得、生産性の向上、不良率の減少などに
大きく寄与するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は表皮材及び芯材を金型に挿入セツトし
た状態を示す横断面図、第２図は金型に挿入セツ
トされた表皮材のスキン倒れの現象を説明するた
めの断面図、第３図ａは本発明に従う表皮材のリ
ブを説明するための第２図と同様な断面図、第３
図ｂは第３図ａにおける左方からの視図、第４図
ａ乃至ｄは本発明に従う表皮材を用いた発泡製品
の製造工程を示す断面図で、それぞれ上型を閉め
る前の状態、発泡初期、発泡完了時、脱型後の製
品形態を示すものである。 １：上型、２：下型、３：空所、４：表皮材、
４ａ：開口部、４ｂ：スキン端末、４ｃ：リブ、
５：芯材、６：ウレタン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 発泡製品における外被として用いられる合成
   樹脂製の表皮材にして、該表皮材の開口縁部若し
   くは端部の内側に内方に向つて突き出た突出部を
   一体的に有し、前記発泡製品の内部若しくは内側
   に配される芯材への干渉による該突出部の弾性変
   形回復作用によつて該発泡製品の製造時における
   前記開口縁部若しくは端部の内方への落ち込みが
   阻止されるようにしたことを特徴とする発泡製品
   のための表皮材の構造。