JPS6337636B2 - - Google Patents

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JPS6337636B2
JPS6337636B2 JP18850580A JP18850580A JPS6337636B2 JP S6337636 B2 JPS6337636 B2 JP S6337636B2 JP 18850580 A JP18850580 A JP 18850580A JP 18850580 A JP18850580 A JP 18850580A JP S6337636 B2 JPS6337636 B2 JP S6337636B2
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JP
Japan
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pseudouridine
uracil
acetyl
culture
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JP18850580A
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JPS57115193A (en
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Tetsuro Fujishima
Takashi Nagata
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Yamasa Shoyu KK
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Yamasa Shoyu KK
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
〔〕 発明の背景 技術分野 本発明は細菌によるプソイドウリジン
(Pseudouridine)およびまたは5′―O―アセチル
プソイドウリジン(5′―O―
Acetylpseudouridine)(以下、これらをプソイ
ドウリジン類と称することもある。)の製造法に
関するものである。より詳しくは、プソイドウリ
ジン類合成能を有するシユウドモナス
(Pseudomonas)属に属する微生物を、少なくと
も特定のウラシル供与体と特定の糖源とを含有
し、該微生物が生育しうる培地中で培養し、培養
物よりプソイドウリジンおよび/または5′―O―
アセチルプソイドウリジンを採取する方法に関す
るものである。さらに、本発明は、プソイドウリ
ジンと同時に生産された5′―O―アセチルプソイ
ドウリジンを加水分解し、プソイドウリジンに変
換して採取する方法も含むものである。 プソイドウリジン(別名、5―リボフラノシル
ウラシル)は、ウラシルの5位の炭素とD―リボ
ースの1位の炭素とが炭素―炭素結合した、いわ
ゆるC―ヌクレオシドであり、この点でN―グリ
コシル結合を有する通常のヌクレオシドとは異
る。天然のプソイドウリジンはβ―D―リボフラ
ノシドであり、転移リボ核酸中に、その全ヌクレ
オチドの1〜5%存在している。 プソイドウリジンは、それ自体医薬として期待
されるが、白血病治療薬としての有用性が認めら
れているプソイドイソシチジンの合成中間体とし
て、また核酸研究における生化学試薬として貴重
な価値を有している。 5′―O―アセチルプソイドウリジンは、プソイ
ドウリジンの5′―O―アセチル体であり、下記の
構造の化合物である。 5′―O―アセチルプソイドウリジンは、加水分
解することにより容易にプソイドウリジンに変換
することができるのでプソイドウリジンの原料と
して、またプソイドウリジンの各種の誘導体を合
成する際の原料として有用である。 従来技術 現在知られているプソイドウリジンの調製法と
しては、リボ核酸(RNA)の分解物より採取
する方法、尿から分離する方法(正常人の場
合、1日の全尿中に約70mgのプソイドウリジンが
存在することが報告されており、特に白血病患者
では正常人の4〜6倍量も存在する。)が一般的
であるが、リボース誘導体からの合成法も開発
されている。また、微生物または原生動物の細
胞自体あるいは抽出酵素によるプソイドウリジン
の製造法も報告されている。例えば、植物病原菌
アグロバクテリウム・ツメフアシエンス
(Agrobacterium tumefaciens)の菌体内より抽
出したプソイドウリジン酸合成酵素によつて無細
胞系でウラシルとリボース―5―りん酸を基質に
プソイドウリジン酸が合成され、さらにこれが酵
素調製物中に混在するフオスフアターゼにより脱
りん酸されてプソイドウリジンを生成することが
報告されている(カナデイアン・ジヤーナル・オ
ブ・バイオケミストリー(Can.J.Biochem.)
Vol.44,pp.259〜272(1966)参照)。また、ある
種の放線菌の培養によりプソイドウリジンが生産
されることも知られている(ヌクレオサイド・ア
ンチバイオチクス(Nucleoside antibiotics)
p.273,R.J.Suhadolnik,John Wiley&sons,
Inc.(1970)、アナルス・オブ・ザ・ニユーヨー
ク・アカデミー・オブ・サイエンス(Ann.N.Y.
Acad.Sci.)Vol.255,pp.390〜401(1975)、ザ・
ジヤーナル・オブ・アンチバイオチクス(J.
Antibiotics)Vol.29,pp.818〜823(1976)等参
照)。さらに、原生動物テトラヒメナ・プリホル
ミス(Tetrahymena Puriformis)の細胞内にウ
ラシルとリボース―5―りん酸をプソイドウリジ
ル酸に合成する酵素が存在することが報告されて
いる(ザ・ジヤーナル・オブ・バイオロジカルケ
ミストリー(J.Biol.Chem.)Vol.239,pp.1177〜
1187(1964)参照)。 しかしながら、これらの技術は次の点でプソイ
ドウリジンの工業的製造には採用できない。すな
わち、の方法は、RNA中のその含有量が微量
であるため、RNAを多量に分解しなければなら
ず、採取に当つて極めて煩雑な操作を必要とし、
プソイドウリジンを多量に調製する方法としては
採用できない。の方法も、まず大量に集尿しな
ければならず、これを高度に精製しなければなら
ないので、これらの効率の良い方法が開発されな
ければ実用化は困難である。の方法は、工程が
多岐にわたることが難点である。の方法は、プ
ソイドウリジンの工業的規模での製造に採用でき
る可能性はあるが、前記の従来の技術において
は、酵素を細胞内から抽出し、精製して反応に供
する場合は、酵素の精製操作が煩雑であり、酵素
の基質がウラシルとリボース―5―りん酸に限ら
れる点で実用性が無く、培養細胞を用いる際には
収率が低い欠点があつた。 また、5′―O―アセチルプソイドウリジンが微
生物によつて生産されることは従来知られておら
ず、本発明者らにより初めて見出された事項であ
る。 〔〕 発明の概要 要 旨 本発明は、ウラシル供与体と資化可能な糖源と
を少なくとも含有する培地中で培養した際にプソ
イドウリジンおよび/または5′―O―アセチルプ
ソイドウリジンを生産する能力を有し、シユウド
モナス属に属する微生物を、ウラシル供与体と該
微生物が資化可能な糖源とを少なくとも含有し、
該微生物が生育しうる培地中で培養し、培地中に
生成したプソイドウリジンおよび/または5′―O
―アセチルプソイドウリジンを採取するか、ある
いは培養物中の5′―O―アセチルプソイドウリジ
ンを加水分解してプソイドウリジンのみを採取す
ることを特徴とするプソイドウリジン類の製造法
である。 効 果 本発明においては、従来の微生物を使用する方
法に比べて、プソイドウリジンの生産量が格段に
多く、培養液中の5′―O―アセチルプソイドウリ
ジンを、プソイドウリジンと分離することなく、
そのまま加水分解処理すれば、プソイドウリジン
の収量をさらに向上させることができる。また使
用微生物が一般的な細菌なので保存および培養管
理が容易である。また、培養する際に添加する糖
源として、先行技術で使用されていたリボース―
5―りん酸を使う必要がなく、より安価で入手の
容易な各種の糖および糖誘導体を使用することが
できる。ウラシル供与体としては、従来、通常使
用されていたウラシルの他にウリジン、シトシン
およびシチジンも使用することができ、原料の選
択に幅がある。また、例えばウリジンを使用する
場合には、糖源を使用しなくてもプソイドウリジ
ン類を生産することができる。 以上のとおり、本発明は従来技術にない数多く
のメリツトを有するプソイドウリジン類の製造法
を提供するものである。 〔〕 発明の具体的説明 使用微生物 本発明において使用される微生物は、シユウド
モナス(Pseudomonas)属に属し、ウラシル供
与体と糖源よりプソイドウリジン類を生産する能
力を有する微生物であればよく、その種を問わな
い。本発明の目的に特に好適な菌株の一例とし
て、本発明者らによつて千葉県銚子市新生町地内
より分離されたシユウドモナス(Pseudomonas)
THD―9が挙げられる。 このようなプソイドウリジン類生産菌のスクリ
ーニングは次のように行つた。すなわち、1%ウ
リジンおよび2%粉末ブイヨンを含む培地をA培
地とし、25mMウラシル、100mMD―リボース
および2%粉末ブイヨンを含む培地をB培地と
し、この二種類の培地に自然界より分離した細菌
を植菌し、28℃で24時間振盪培養した。培養終了
後、培養液を遠心分離し、その上澄液を高速液体
クロマトグラフイーによつて分析し、プソイドウ
リジンの生産性を検討した。その結果、前記のシ
ユウドモナスTHD―9株がA,B両培地でプソ
イドウリジンの高い生産性を示した。 この菌株の菌学的性質は次のとおりである。 a 形態 (1) 細胞の形態および大きさ:桿状,0.9〜1.3×
2.5〜3.0μm (2) 運動性、鞭毛の着生状態:運動性あり,極鞭
毛を有する (3) 胞子の形成:なし (4) グラム染色性:陰性 b 各種培地における生育状態 (1) 肉汁寒天平板培養(28℃,48時間) 集落の形状:凸円状(convex) 周縁:円形(circular) 大きさ:2〜4mm 色調:湿潤で半透明な黄褐色 (2) 肉汁寒天斜面培養(28℃,48時間) 生育:良好 生育の形:やや拡布状(spreading) 色素の生成:不明 (3) 肉汁液体培養(28℃,48時間) 生育:膜の形成なく、全液混濁し、やや沈
澱を生じる (4) 肉汁ゼラチン穿刺培養(20℃,6日間) 生育:上部に層状に生育するが、培養後期
にやや沈渣を生ずる ゼラチン液化力:強い (5) リトマス・ミルク(28℃,4日間) リトマス反応:酸性 ペプトン化力:強い 凝固性:なし c 生理的性質 (1) 硝酸塩の還元(28℃,5日):還元性あり (2) 硫化水素の生成(28℃,5日):生成する (3) 澱粉の加水分解:分解力あり (4) 色素の生成:グルタメート寒天培地およびキ
ングらの寒天培地における生育で黄褐色の色素
を培地中に生成する (5) オキシダーゼ:陽性 (6) カタラーゼ:陽性 (7) 生育PH範囲:PH5〜10 (8) 生育温度範囲:15〜35℃ (9) 酸素に対する態度:好気的 (10) O―Fテスト(Hugh Leifson法による):O
型 (11) 糖類から酸の生成 陽性:D―リボース,L―アラビノース,
D―グルコース,D―フラクトー
ス,D―ガラクトース,シユークロ
ース 陰性:D―キシロース,D―ソルボース,
乳糖 (12) 糖類からガスの生成 陽性:D―リボース,L―アラビノース,
D―グルコース,D―フラクトー
ス,D―マンノース,シユークロー
ス 陰性:D―キシロース,D―ガラクトー
ス,D―ソルボース,乳糖 以上の菌学的性質をバージエーズ・マニユア
ル・オブ・デイタミネーテイブ・バクテリオロジ
ー(Bergey's Manual of Determinative
Bacteriology)第7版および第8版の分類基準
により検索すると本菌株はその生理的性質および
極鞭毛を有し、かつ運動性のある好気的グラム陰
性桿菌であることからシユウドモナス属に属する
細菌と同定された。なお本菌株は、上記分類基準
により検索しても公知の種で一致するものがない
ので新菌種と考えられるが、確定するには、さら
に詳細に検索しなければならないので、仮にシユ
ウドモナスTHD―9と命名した。本菌株は、工
業技術院微生物工業技術研究所に対し、昭和55年
11月18日付けで保管委託申請を行い、微生物受託
番号として微工研菌寄第5775号(FERM―PNo.
5775)が付与されている。 また、シユウドモナスTHD―9はプソイドウ
リジン類生産能の高い菌株であるが、このような
プソイドウリジン類高生産株を、通常の微生物突
然変異処理、たとえば紫外線、X線、γ線照射な
どの物理的処理、ニトロソグアニジンなどの薬剤
により化学的処理または遺伝子操作処理すること
によつて得られたプソイドウリジン類の生産能の
さらに高い菌株も本発明に好適に用いられる。さ
らに、元来はプソイドウリジン類生産能の低い菌
株であつても、上記のような処理によつて生産能
を高めれば本発明に好適に使用できる。 すなわち、本発明は、基本的にはウラシル供与
体と糖源とからプソイドウリジンおよび/または
5′―O―アセチルプソイドウリジンを生産すると
いうシユウドモナス属微生物の有する生産機能を
利用する発明であり、この生産機能を利用する方
法である限り本発明の範囲に包含される。したが
つて、例えば遺伝子操作技術によつてシユウドモ
ナス属微生物のこのような生産機能に関する遺伝
情報を他属微生物に移入させ、該微生物を利用し
てプソイドウリジンおよび/または5′―O―アセ
チルプソイドウリジンを生産する方法なども本発
明に含まれる。 ウラシル供与体 本発明においてウラシル供与体とは、ウラシル
自体のほかに、本発明に使用されるシユウドモナ
ス属微生物により代謝されてウラシルを生成し、
リボースとの結合によつてプソイドウリジン類を
形成するようなピリミジン塩基誘導体である。具
体的には、シユウドモナスTHD―9の場合、こ
のようなウラシル供与体としては、ウラシル、ウ
リジン、シトリンまたはシチジンが適当である。
好適なウラシル供与体の種類は、糖源との組合せ
により異るが、収率、経済性などを考慮するとウ
ラシルまたはウリジンが特に好ましい。本発明に
おいては、前記使用微生物の培養に際し、これら
ウラシル供与体の一種または二種以上を糖源とと
もに培地に添加する。 糖 源 本発明において使用される糖源とは、リボー
ス、リボース誘導体あるいは本発明において使用
される前記微生物により代謝されてリボースもし
くはリボース誘導体に導かれ得る糖類もしくは糖
誘導体である。具体的には、このような糖源とし
ては、使用する微生物の資化能力によつて選択さ
れるが、リボース、アラビノース、ガラクトー
ス、フラクトース、グルコース、マンノース、シ
ユークロース、リボース―1―りん酸、リボース
―5―りん酸、グルコース―1―りん酸、グルコ
ース―6―りん酸、ガラクトース―1―りん酸、
ウリジンまたはシチジンが適当である。好適な糖
源の種類は、ウラシル供与体との組合せにより異
なるが、収率、経済性などを考慮すると、リボー
ス、アラビノース、ガラクトース、マンノースま
たはシユークロースが特に好ましい。なお、ウリ
ジンおよびシチジンは、ウラシル供与体としてだ
けでなく、糖源としても機能するので、ウラシル
供与体としてこれらのヌクレオシドを使用する場
合は培養に際して培地中に必ずしも他の糖源を添
加する必要はない。本発明においては、前記使用
微生物の培養に際し、これら糖源の一種または二
種以上を前記ウラシル供与体とともに培地に添加
する。 以下に糖源を各種変えて培養した際のプソイド
ウリジンの生成率(%)および5′―O―アセチル
プソイドウリジンの生成率(%)を示す。なお、
本発明においてプソイドウリジン生成率(%)ま
たは5′―O―アセチルプソイドウリジン生成率
(%)とは、培地に添加したウラシル供与体のプ
ソイドウリジンまたは5′―O―アセチルプソイド
ウリジンへの変換率(%)を指称する。また、第
1表に示すデータは、使用微生物としてシユウド
モナスTHD―9を用い、ウラシル供与体として
25mMのウラシルを含み、糖源として第1表に示
す各種糖を100mM含む2%ブイヨン培地中で28
℃,4日間培養し、培地中に生産されたプソイド
ウリジンおよび5′―O―アセチルプソイドウリジ
ンを定量して得た結果から算出したものである。
【表】 ウラシル供与体および糖源の培地への添加量 ウラシル供与体および糖源の培地への添加量
は、特に限定されない。その好適な範囲は、これ
らの化合物の種類によつて異り、一概には決定で
きない。その培地中での濃度は、通常、ウラシル
供与体は20〜50mM、糖源は20〜300mMの範囲
が適当である。すなわち、ウラシル供与体と糖源
とのモル比は、1:1〜1:15程度が適当であ
る。特に1:2〜1:10が好適な範囲である。な
お、ウラシルは、その溶解度は40mM付近である
が、逐次添加することにより、40mM以上添加す
ることも可能である。 第2表に、ウラシル供与体と糖源との比率を各
種変えた2%ブイヨン培地中でシユウドモナス
THD―9を前記と同様に28℃,2日間培養し、
培地中に生産されたプソイドウリジンを分析して
得た結果を示す。なお、ウラシル供与体としてウ
ラシル25mMおよび糖源としてD―リボースまた
はL―アラビノースをそれぞれ50〜250mM含む
培地を用いた。ちなみに、いずれの糖を用いた場
合もウリジンの生成はほとんど見られなかつた。
また、5′―O―アセチルプソイドウリジンの分析
は行わなかつた。
【表】 また、本発明においては、ウラシル供与体およ
び糖源としてウリジン、シチジンなどのピリミジ
ンヌクレオシドを単独で培地に添加した場合もプ
ソイドウリジンが生成されるが、この場合、ピリ
ミジンヌクレオシドは一旦、核酸塩基部分と糖部
分に分解された後、プソイドウリジン合成酵素に
よつてプソイドウリジンが合成されると考えられ
る。したがつて、添加されたピリミジンヌクレオ
シド―分子は、ウラシル―分子およびリボース―
分子に相当するものと考えられる。 次に、ウラシル供与体および糖源としてウリジ
ンを単独に、40〜200mM含む2%ブイヨン培地
中でシユウドモナスTHD―9を前記と同様に培
養し、生成されたプソイドウリジンおよびウラシ
ルを定量した結果を第3表に示す。なお、プソイ
ドウリジンおよびウラシルの生成率(%)とは、
ウリジンのプソイドウリジンおよびウラシルへの
変換率(%)である。
【表】 以上のとおり、ウラシル供与体および糖源とし
てヌクレオシド単独を使用してもプソイドウリジ
ンは生成されるが、通常は他の糖源も添加するこ
とが好ましい。 他の培地成分 本発明の製造法の実施に際しては、培地は少な
くとも前記のウラシル供与体および糖源を含有
し、本発明で使用できるシユウドモナス属に属す
る微生物が生育しうるものであればよい。すなわ
ち、前記成分以外は、シユウドモナス属微生物の
培養に通常使用される成分を含有する培地でよ
い。 具体的には、窒素源としては、肉エキス、ペプ
トン、酵母エキス、大豆粉、ミルクカゼイン、各
種カザミノ酸等のアミノ酸もしくはその混合物、
コーンスチープリカー、コツトンシードミールお
よび各種動物,植物,微生物の尿素などの有機窒
素化合物ならびに硝酸アンモニウム,硫酸アンモ
ニウム等のアンモニウム塩および硝酸ナトリウム
等の硝酸塩、などの無機窒素化合物の一種または
二種以上が使用される。炭素源としては、前記糖
源のほか、本発明使用微生物の資化しうる糖類ま
たはその誘導体、グリセロール,イノシトール,
マンニトール,エタノール,メタノール等のアル
コール類、酢酸,くえん酸等の有機酸類、糖蜜,
麦,〓,米などの天然炭水化物などの一種または
二種以上が使用される。さらに、必要に応じてマ
グネシウム塩,マンガン塩,鉄塩,亜鉛塩,ナト
リウム塩,カルシウム塩等の金属塩,りん酸塩な
どの微量塩類、植物油,界面活性剤等の消泡剤、
サイアミン,リボフラビン,ニコチン酸,パント
テン酸,ビオチン,P―アミノ安息香酸等の発育
素を添加してもよい。 培養方法および培養条件 培養方法は、本発明使用微生物が良好に生育し
得る限り、特に限定されない。通常は、前記各種
培地成分を含有する液体培地中で、振盪培養また
は通気撹拌培養などの好気的培養法により培養さ
れる。 培養条件も、使用する微生物および培地の種類
により適宜選択しなければならないが、通常は培
養開始時のPHを6〜8に調整し、15〜35℃、好ま
しくは28℃前後の温度条件下で2〜4日間培養す
る。 5′―O―アセチルプソイドウリジンの加水分解 5′―O―アセチルプソイドウリジンをプソイド
ウリジンに加水分解する方法は特に限定されず、
アルカリ性条件下もしくは酸性条件下での化学的
な加水分解または酵素による加水分解など、公知
の加水分解処理法がいずれも適用できる。通常の
場合、アルカリ加水分解が好適である。アルカリ
性条件下で行う場合は、水酸化ナトリウム、アン
モニア、水酸化リチウムもしくは水酸化カリウム
などの無機塩基、トリエチルアミンなどの有機塩
基またはアニオン交換樹脂などの存在下、反応さ
せればよい。酸性条件下で行う場合は、硫酸、過
塩素酸もしくは塩酸などの鉱酸、トシル酸などの
有機酸またはカチオン交換樹脂の存在下、反応さ
せればよい。 なお、加水分解処理は5′―O―アセチルプソイ
ドウリジン生成後の任意の工程段階において実施
されるが、通常、5′―O―アセチルプソイドウリ
ジンを含有する培養液から菌体を除去した後、未
精製培養物あるいは部分精製物について行なわれ
る。培養物中に共存するプソイドウリジンを分離
した後行なう必要はなく、そのまま加水分解処理
すればよい。 プソイドウリジンの分離精製法 培養終了後、培養液より菌体を遠心分離、濾過
などの常法によつて分離し、必要に応じて前記の
とおり加水分解処理を行い、プソイドウリジンの
分離精製を行う。 プソイドウリジンの分離精製法は、通常のヌク
レオシドの分離精製法に従つて行えばよい。たと
えば、吸着クロマトグラフイー、分配クロマトグ
ラフイー、液体クロマトグラフイー、イオン交換
クロマトグラフイーなどのクロマトグラフイー、
向流分配法または再結晶法など一般的分離精製法
を適宜に組合せて行えばよい。具体的な一例とし
ては、培養液より遠心分離によつて菌体を除去し
た後、必要に応じてPHを調整して加水分解処理を
行い、陰イオン交換樹脂に吸着させ、塩化ナトリ
ウム水溶液で溶出し、プソイドウリジン含有区分
を集めて脱塩した後、濃縮し、析出したプソイド
ウリジンを濾別し、親水性有機溶媒によつて再結
晶する方法が好適である。 5′―O―アセチルプソイドウリジンの分離精製法 5′―O―アセチルプソイドウリジンを分離精製
する方法は特に限定されないが、5′―O―アセチ
ルプソイドウリジンが加水分解されるような方法
および条件は避けなければならない。 通常、アルカリ性(約PH9以上)にならないよ
うな条件下で分離精製法は行なわれる。このよう
な条件下で行う方法としては、シリカゲルカラム
による分別精製法が好適である。 プソイドウリジンおよび5′―O―アセチルプソイ
ドウリジンの分析法 プソイドウリジンおよび5′―O―アセチルプソ
イドウリジンの分析は、高速液体クロマトグラフ
イーによつて行つた。装置は島津高速液体クロマ
トグラフLC―3A型を使用し、カラムはゾルバツ
クス(Sorbax)ODS4.6mm×250mmを、溶出剤は
20mM酢酸緩衝液(PH4.5)を含む10%メタノー
ル溶液を使用し、流速1ml/min、測定波長
260nm、カラム操作温度は室温で行つた。 その結果、プソイドウリジンは保持時間3分付
近に、5′―O―アセチルプソイドウリジンは保持
時間6.4分付近に、ウラシルは保持時間3.5分付近
に、ウリジンは保持時間4分付近に溶出され、検
量線よりそれぞれの量を算出した。 次に、本発明を実施例によつて具体的に説明す
る。ただし、これらの実施例は本発明の実施の一
態様を示すものにすぎず、本発明の使用微生物、
培地成分、培養方法、プソイドウリジン類の分離
精製法などはこれらによつて限定されるものでは
ない。 実施例 1 ウラシル40mM、D―リボース240mMおよび
粉末ブイヨン2%を添加した培養液3に、あら
かじめ前培養したシユウドモナスTHD―9を植
菌し、28℃で45時間振盪培養した。培養終了後の
培養液を高速液体クロマトグラフイーによつて分
析したところ、プソイドウリジンの生成率は
77.89%、5′―O―アセチルプソイドウリジンの
生成率は6.20%であつた。 培養液から遠心分離によつて菌体を除去した
後、OD260=100となるように培養液を稀釈し、
水酸化ナトリウムでPH12.5に調整して5′―O―ア
セチルプソイドウリジンを加水分解した。この稀
釈液を陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA―
402(塩素型)(商品名:ローム・アンド・ハース
社製)カラム1.5に吸着させ、水洗を3CV行つ
た後、0.05M塩化ナトリウム水溶液で溶出した。
溶出液をPH2.0に調節し、活性炭アドスター(商
品名:二村化学(株)製)カラム1.3に吸着させ、
エタノール・アンモニア水で溶出し、減圧濃縮
後、エタノールによつて再結晶を行い、採取した
結晶を乾燥してプソイドウリジンの結晶製品14.8
g(水分含量0.19%,窒素含量より求めた純度
99.39%)を得た。この製品は下記の理化学的性
質を示し、これらのデータは市販プソイドウリジ
ン(β―型)標品のそれと全く一致した。 (1) 元素分析 C9H12N2O6として 計算値:C,44.26%;H,4.95%; N,11.47% 実測値:C,44.15%;H,4.96%; N,11.46% (2) 分子量 244.2 (3) 融点 223℃((株)柳本製作所製微量融点測定
装置による) (4) 紫外線吸収スペクトル
【表】 (5) 過ヨウ素酸・ベンチジン反応 陽性 (6) ペーパークロマトグラフイー Rf値:0.37 展開溶剤:イソ酪酸―アンモニア水―水(66:
1:33) 実施例 2 ウラシル40mM、L―アラビノース200mMお
よび2%粉末ブイヨンを含む培養液1に、あら
かじめ前培養したシユウドモナスTHD―9の培
養液20mlを植菌し、28℃で2日間振盪培養した。
培養終了時のプソイドウリジンおよび5′―O―ア
セチルプソイドウリジンの生成率を実施例1と同
様に測定したところそれぞれ58.89%および25.41
%であつた。 菌体分離後、培養液を実施例1と同様に処理
し、プソイドウリジン5.1g(水分含量0.19%,
窒素より求めた純度100.37%,融点222℃)を得
た。 実施例 3 ウラシル40mMとL―アラビノース240mMを
使うほかは実施例2と同様に培養し、ウラシル
1.4g、プソイドウリジン3.8gおよび5′―O―ア
セチルプソイドウリジン3.3gをそれぞれ含む培
養液1を得た。 これを遠心分離によつて除菌した後、PH6.0に
調整して85mlに濃縮し、エタノール350mlを加え
た。生成した粘物質の沈澱を遠心分離によつて除
き、濃縮した。シラツプ状となつたところでメタ
ノール100mlを加えて濃縮した後、メタノール50
mlを加えて溶解し、シリカゲル(メルク社製;ク
ロマト用シリカゲル60)35gを加えて濃縮乾固し
た。これを、さらに五酸化りんを用いて真空脱水
し、シリカゲルカラムに供した。 シリカゲル250gを充填したカラムを常法によ
り調製し、その上に目的物を吸着した前記シリカ
ゲルを載せた。このカラムからクロロホルム:エ
タノール(15:1)でウラシルを溶出し、次いで
クロロホルム:エタノール(5:1)で5′―O―
アセチルプソイドウリジンを溶出した。なお、プ
ソイドウリジンは全く溶出されなかつた。 溶出した5′―O―アセチルプソイドウリジン分
画を集めて濃縮し、エタノールを用いて結晶化
し、5′―O―アセチルプソイドウリジンの球状結
晶1.1gを得た。この標品の理化学的性質を、参
考例に示す合成法により調製した5′―O―アセチ
ルプソイドウリジンのそれと比較し、以下に示
す。 (1) 融点 155℃(本発明品) 156℃(合成品) (2) 赤外線吸収スペクトル 本発明品、合成品とも1740cm-1付近にアセチ
ル基の吸収を示し、両スペクトラムは一致した
(第1図参照。)。 (3) 紫外線吸収スペクトル(PH2)
【表】 (4) その他 薄層クロマトグラフイー(クロロホルム:エ
タノール=5:1)のRf値および高速液体ク
ロマトグラフイー(前記)の保持時間において
両者は一致した。 参考例 プソイドウリジン4.16gを約60℃のジメチルホ
ルムアミド80mlに溶解した後、40℃に冷却し、こ
れにアセトン―塩酸溶液を加えた。次いで2,
2′―ジメトキシプロパン12.8mlを加えて一夜反応
させた後、重炭酸ソーダ1gを添加し、さらに2
時間撹拌した。その後、さらに2時間静置し、生
成した沈澱物を濾過除去し、濾液を真空濃縮し、
イソプロパノールを添加して結晶化し、5―
(2,3―ジ―O―イソプロピリデン―β―D―
リボフラノシル)ウラシルの結晶3.5gを得た。 この結晶3.4gをピリジン30mlに溶解し、無水
酢酸2mlを加えて反応させた。薄層クロマトグラ
フイーによつてアセチル化が完了したのを確認し
た後、反応液を濃縮した。 この濃縮液に88%ギ酸100mlを加え、室温で一
夜撹拌した後、濃縮してギ酸を除去し、エタノー
ルから結晶化して5′―O―アセチルプソイドウリ
ジンの結晶1.8gを得た。 実施例 4 実施例1と同様に、ウリジン40mMおよびL―
アラビノース240mMを含むブイヨン培地(以下、
A培地と称する。)ならびにシチジン40mMおよ
びL―アラビノース240mMを含むブイヨン培地
(以下、B培地と称する。)をそれぞれ調製した。
それぞれの培地1にシユウドモナスTHD―9
の前培養液50mlを植菌し、28℃で48時間振盪培養
した。培養終了後、培養液中のプソイドウリジン
および5′―O―アセチルプソイドウリジンの含量
を高速液体クロマトグラフイーによつて分析した
結果、プソイドウリジンの生成率は、A培地では
48.88%、B培地では37.61%であつた。また、
5′―O―アセチルプソイドウリジンの生成はA,
B両培地とも認められなかつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明および合成による5′―O―アセ
チルプソイドウリジンの赤外線吸収スペクトラム
を示す。図中、Aは本発明品、Bは合成品のスペ
クトラムをそれぞれ示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ウラシル供与体と資化可能な糖源とを少なく
    とも含有する培地中で培養した際にプソイドウリ
    ジンおよび/または5′―O―アセチルプソイドウ
    リジンを生産する能力を有し、シユウドモナス属
    に属する微生物を、ウラシル供与体と該微生物が
    資化可能な糖源とを少なくとも含有し、該微生物
    が生育しうる培地中で培養し、培地中に生成した
    プソイドウリジンおよび/または5′―O―アセチ
    ルプソイドウリジンを採取することを特徴とする
    プソイドウリジン類の製造法。 2 ウラシル供与体と資化可能な糖源とを少なく
    とも含有する培地中で培養した際にプソイドウリ
    ジンおよび5′―O―アセチルプソイドウリジンを
    生産する能力を有し、シユウドモナス属に属する
    微生物を、ウラシル供与体と該微生物が資化可能
    な糖源とを少なくとも含有し、該微生物が生育し
    うる培地中で培養し、プソイドウリジンおよび
    5′―O―アセチルプソイドウリジンを同時に生産
    させ、プソイドウリジンを分離し、または分離せ
    ずに5′―O―アセチルプソイドウリジンを加水分
    解してプソイドウリジンに変換して採取すること
    を特徴とするプソイドウリジン類の製造法。
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