JP3065172B2 - 発酵法によるアデノシンの製造法 - Google Patents

発酵法によるアデノシンの製造法

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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発酵法によるアデノシン
の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、発酵法によるアデノシン製造法に
関しては、通常の炭素源や窒素源から直接アデノシンを
生産する方法として、イソロイシン要求性を有するバチ
ルス・ズブチリスを用いる方法(昭和39年度日本農芸
化学会大会)、キサンチン、ヒスチジン及びスレオニン
要求性を有し、かつ8−アザキサンチン耐性を有するバ
チルス・ズブチリスを用いる方法(Agric. Biol. Che
m., 35, 1906 (1971))、あるいはバチルス属に属し、
生育のためにグアニンを要求し、8−アザアデニン及び
/又は6−メチルアミノプリンに耐性を有する変異株を
用いる方法(特開昭60−78593号公報)等が知ら
れている。しかしながら、これらの製造法は、いずれも
アデノシンの生産性が低く、工業生産においてより有利
なアデノシンの製造法の開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
法より安価かつ効率的な発酵法によるアデノシンの製造
法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来法よ
り工業的に有利な発酵法によるアデノシンの製造法を開
発するために鋭意研究を重ねた結果、バチルス属に属す
るグアニン要求性のアデノシン生産菌にチオアデニルサ
ルフェート耐性を付与することにより、アデノシンの生
産能が飛躍的に向上することを見いだし、この知見に基
づいて本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、バチルス属に属し、
生育のためにグアニンを要求し、チオアデニルサルフェ
ート耐性及びアデノシン生産能を有する変異株を液体培
地中に培養し、培養液中にアデノシンを生成蓄積せし
め、これを採取することを特徴とする発酵法によるアデ
ノシンの製造法を提供するものである。
【0006】本発明において用いられる変異株は、バチ
ルス属に属し、生育のためにグアニンを要求し、チオア
デニルサルフェート耐性及びアデノシン生産能を有する
ものであり、具体的に例示すると以下のような菌株が挙
げられる。バチルス・ズブチリス AJ12708(F
ERM P−12952)
【0007】また、上記菌株にイソロイシン要求性、8
−アザキサンチン耐性、8−アザアデニン耐性及び6−
メチルアミノプリン耐性等の性質を付与することによ
り、更にアデノシン生産能の高い菌株を得ることができ
るが、そのような菌株の本発明の変異株に含まれる。
【0008】このような本発明の変異株は、バチルス属
に属するグアニン要求性のアデノシン生産菌を親株と
し、これに通常の変異誘導操作、例えば紫外線、X線等
の照射、あるいはN−メチル−N′−ニトロ−N−ニト
ロソグアニジン(以下、NGと略す)、亜硝酸等の化学
薬剤処理を施し、変異処理した菌体を親株が生育できな
いような濃度のチオアデニルサルフェートを含有する寒
天平板培地で培養し、該平板培地上に生育するコロニー
を分離することによって得ることができる。
【0009】バチルス属に属するグアニン要求性のアデ
ノシン生産菌は公知のものを使用すればよいが、具体例
としては以下のような菌株が使用される。バチルス・ズ
ブチリス AJ12707(FERM P−1295
1)
【0010】次に本発明で使用する変異株の取得法及び
チオアデニルサルフェートに対する耐性度を以下の実験
例にて示す。
【0011】実験例 バチルス・ズブチリス ATCC6643より誘導した
グアニン要求性のアデノシン生産菌AJ12707を天
然斜面培地で培養し、生育した菌体を100mMリン酸
緩衝液(pH7.0)に懸濁し(1ml当り109〜1
10個の菌体を含む)、これに250μg/ml濃度と
なるようにNGを加えて34℃で30分間保持した。こ
のようにしてNG処理した菌体を同緩衝液で充分洗浄し
た後、500μg/mlのチオアデニルサルフェートを
含む表1に示す組成の最少寒天平板培地に塗布し、34
℃で4日間培養した。平板上に生育したコロニーのうち
大きなものをチオアデニルサルフェート耐性株として採
取した。このようにして得られた耐性株の内には親株よ
りアデノシン生産能の優れたものが多く見いだされ、そ
の1株としてAJ12708を取得した。
【0012】
【表1】
【0013】かくして得られた本発明の変異株並びにそ
の親株のチオアデニルサルフェートに対する耐性度を次
の方法により調べた。表2に示す組成の最少培地に表3
の各濃度のチオアデニルサルフェートを添加して試験管
に4mlずつ分注し加熱殺菌した後、表2に示した最少
培地でよく洗浄した各菌株の菌体を接種し、34℃で2
0時間振盪培養を行った。培養終了後、培養液の560
nmにおける吸光度を測定した。表3には各培地での生
育度を相対値で示した。
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】本発明で使用する液体培地は、炭素源、窒
素源、無機塩類、グアニン及びその他必要に応じてアミ
ノ酸、ビタミン、核酸等の有機微量栄養素を含有する通
常の栄養培地である。炭素源としては、使用する変異株
が利用可能なものであればよく、グルコース、シュクロ
ース、フラクトース、マルトース等の糖類、これら糖類
を含有する澱粉糖化液、甘藷糖蜜、甜菜糖蜜、ハイテス
トモラセス等が使用され、更には酢酸等の有機酸類、エ
タノール、グリセリン等のアルコール類も使用される。
窒素源としては、アンモニアガス、アンモニア水、アン
モニウム塩類、尿素、硝酸塩類等が使用され、その他補
助的に使用される有機窒素源として、油粕類、大豆加水
分解液、コーンスティープリカー、酵母エキス、ペプト
ン等が挙げられる。無機塩類としては、リン酸塩、マグ
ネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が適宜
使用される。又、栄養要求物質としてのグアニンは、グ
アニン、グアニン鉱酸塩、グアノシン、グアニル酸、リ
ポ核酸等のいずれも使用できる。また本発明の変異株に
アミノ酸等の要求性を付与することにより更にアデノシ
ンの収量が向上することもあるが、その場合にはその要
求物質を補添することが必要である。
【0017】微生物の培養は通常pH4ないし10、温
度20ないし40℃の範囲で好気的条件下で行われる。
培養液のpH調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ
性物質、更には尿素、炭酸カルシウム、アンモニアガス
などによって行う。かくして2ないし5日間培養するこ
とにより、培養液中に著量のアデノシンが生成蓄積され
る。
【0018】培養液からアデノシンを採取する方法は公
知の方法に従って行えばよく、例えば菌体を分離除去
し、イオン交換樹脂処理法あるいは濃縮冷却晶析法、膜
分離法、その他の方法を組み合わせることにより行なわ
れる。不純物を除くためには常法の活性炭吸着法及び再
結法を用いて精製してもよい。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0020】実施例1 表4に示す組成の培地20mlを500ml振盪フラス
コに分注し、加熱殺菌した。これに予め天然寒天斜面培
地上で生育させたバチルス・ズブチリス AJ1270
7及びAJ12708を一白金耳量接種し、34℃にて
72時間振盪培養を行った。培養終了後、培養液中に生
成蓄積したアデノシンの量を高速液体クロマトグラフィ
ーにより定量した結果は表5に示す通りであった。
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:125)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バチルス属に属し、生育のためにグアニ
    ンを要求し、チオアデニルサルフェート耐性及びアデノ
    シン生産能を有する変異株を液体培地中に培養し、培養
    液中にアデノシンを生成蓄積せしめ、これを採取するこ
    とを特徴とする発酵法によるアデノシンの製造法。
JP12383992A 1992-05-15 1992-05-15 発酵法によるアデノシンの製造法 Expired - Fee Related JP3065172B2 (ja)

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