JPS6111598B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPS6111598B2
JPS6111598B2 JP8891483A JP8891483A JPS6111598B2 JP S6111598 B2 JPS6111598 B2 JP S6111598B2 JP 8891483 A JP8891483 A JP 8891483A JP 8891483 A JP8891483 A JP 8891483A JP S6111598 B2 JPS6111598 B2 JP S6111598B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
genus
deoxyribose
compound
culture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP8891483A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS59213397A (ja
Inventor
Tetsuro Fujishima
Masami Morozumi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamasa Shoyu KK
Original Assignee
Yamasa Shoyu KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamasa Shoyu KK filed Critical Yamasa Shoyu KK
Priority to JP8891483A priority Critical patent/JPS59213397A/ja
Publication of JPS59213397A publication Critical patent/JPS59213397A/ja
Publication of JPS6111598B2 publication Critical patent/JPS6111598B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
発明の背景 技術分野 本発明は、5−置換−2′−デオキシウリジン誘
導体の酵素的な製造法に関する。さらに具体的に
は、本発明は、このヌクレオシドの塩基部分すな
わち5−置換ウラシル化合物と糖部分すなわち2
−デオキシリボース化合物とを特定の属に属する
微生物の酵素作用下に結合させて、このヌクレオ
シドを製造する方法に関する。 5−置換−2′−デオキシウリジン誘導体は抗腫
瘍活性または抗ウイルス活性を示すことで知られ
ている一群の化合物であつて、それ自身医薬とし
てあるいは医薬原料として使用しうる有用なもの
である。具体的には、たとえば、5−フルオロ−
2′−デオキシウリジンは抗腫瘍活性を、5−トリ
フルオロメチル−2′−デオキシウリジンは抗ウイ
ルス活性を、持つものとして腫瘍ないしウイルス
病の治療の分野での利用が期待されている化合物
である。 先行技術 ピリミジンデオキシリボヌクレオシドを対応塩
基化合物と対応デオキシリボース化合物との酵素
的反応によつてつくることは、特開昭56−102794
号公報によつて公知である。この公知方法では、
酵素は微生物由来のものであるところ、この微生
物は10種の特定の属に属するものである。 また、同様な反応は、特公昭35−16478号(お
よび特公昭42−3497号公報)によつても知られて
いる。 発明の概要 本発明は、特定の属に属する微生物に由来する
酵素の作用の下に対応塩基化合物と対応デオキシ
リボース化合物とを反応させて5−置換2′−デオ
キシウリジン誘導体を製造する方法に関する。 従つて、本発明によるデオキシウリジン誘導体
の製造法は、(A)下式()で示されるウラシル化
合物と(B)下記の群から選んだ2−デオキシリボー
ス化合物とを、(C)下記の群から選んだ属に属する
微生物に由来するヌクレオシドホスホリラーゼ源
の存在下に反応させて下式()で示される5−
置換−2′−デオキシウリジン誘導体を生成させる
こと、を特徴とするものである。 (ここで、Xはハロゲン、ハロメチル基、低級ア
ルキル基、またはニトロ基を、Yは水素またはリ
ボース残基を、示す) (Xは、前記と同意義である) 2−デオキシリボース化合物 (イ) 2′−デオキシリボヌクレオシド、 (ロ) 2′−デオキシリボヌクレオチドおよびその塩
ならびに (ハ) 2−デオキシリボース−1−りん酸およびそ
の塩 微生物 (1) アクロモバクター(Achromobacter)属 (2) アルテロモナス(Alteromonas)属 (3) アースロバクター(Arthrobacter)属 (4) ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属 (5) セルロモナス(Cellulomonas)属 (6) コリネバクテリウム(Corynebacterium)属 (7) フラボバクテリウム(Flavobacterium)属 (8) クルチア(Kurthia)属 (9) ミクロコツカス(Micrococcus)属 (10) プロタミノバクター(Protaminobacter)属 (11) シユウドモナス(Pseudomonas)属 (12) サルシナ(Sarcina)属 (13) スタフイロコツカス(Staphylococcus)属
および (14) ビブリオ(Vibrio)属 発明の具体的説明 〔A〕 ウラシル化合物 本発明による酵素的製造法の出発原料ないし
酵素反応基質の一つは、前記一般式〔〕で表
わされるウラシル化合物である。本発明による
反応はこのピリミジン塩基の1−位の窒素原子
に2−デオキシリボース化合物のβ−D−デオ
キシリボフラノシル基を転移させることからな
るものである。 5−位の置換基は、核酸化学の分野で利用さ
れうる任意のものでありうる。具体的には、た
とえば、ハロゲン、ハロメチル基、低級アルキ
ル基、ニトロ基、その他がある。これらのうち
の代表例は、フルオロ、ヨード、ブロモ、トリ
フルオロメチル、メチル、メトキシルおよびニ
トロである。 1位(の置換基)は、水素またはリボース残
基である。 従つて、本発明で好ましいウラシル化合物
は、下記の通りである。 5−フルオロウラシル(FUra) 5−フルオロウリジン(FUrd) 5−ヨードウラシル(IUra) 5−ブロモウラシル(BrUra) 5−ブロモウリジン(BrUrd) 5−クロロウラシル(ClUra) 5−トリフルオロメチルウラシル
(TFMUra) チミン(Thy) リボシルチミン(Thd) 5−ニトロウラシル 〔B〕 2−デオキシリボース化合物 この化合物は、本発明反応において前記ウラ
シル化合物の1−位の窒素原子に2−デオキシ
リボース部分を導入するためのものであるか
ら、2−デオキシリボース供与体ということが
できる。 この2−デオキシリボース化合物は、下記の
(イ)〜(ハ)の群から選ばれる。 (イ) 2′−デオキシリボヌクレオシド 2′−デオキシリボヌクレオシドとしては、
具体的には、下記のものがある。 2′−デオキシウリジン(dUrd) 2′−デオキシシチジン(dCyd) チミジン(Thd) 2′−デオキシアデノシン(dAdo) 2′−デオキシグアノシン(dGuo) 2′−デオキシイノシン(dIno) (ロ) 2′−デオキシリボヌクレオシドおよびその
塩 2′−デオキシリボヌクレオシドとしては上
記のようなヌクレオシドの3′−および(また
は)5′−位でのモノ−、ジ−またはトリ−り
ん酸エステルが適当であり、具体的には下記
のものがある。 2′−デオキシウリジン−5′−モノりん酸
(dUMP) 2′−デオキシウリジン−5′−ジりん酸
(dUDP) 2′−デオキシウリジン−5′−トリりん酸
(dUTP) 2′−デオキシシチジン−5′−モノりん酸
(dCMP) 2′−デオキシシチジン−5′−ジりん酸
(dCDP) 2′−デオキシシチジン−5′−トリりん酸
(dCTP) チミジン−5′−モノりん酸(TMP) チミジン−5′−ジりん酸(TDP) チミジン−5′−トリりん酸(TTP) 2′−デオキシアデノシン−5′−モノりん酸
(dAMP) 2′−デオキシアデノシン−5′−ジりん酸
(dADP) 2′−デオキシアデノシン−5′−トリりん酸
(dATP) 2′−デオキシグアノシン−5′−モノりん酸
(dGMP) 2′−デオキシグアノシン−5′−ジりん酸
(dGDP) 2′−デオキシグアノシン−5′−トリりん酸
(dGTP) 2′−デオキシイノシン−5′−モノりん酸
(dIMP) 2′−デオキシイノシン−5′−ジりん酸
(dIDP) 2′−デオキシイノシン−5′−トリりん酸
(dITP) (ハ) 2−デオキシリボース−1−りん酸および
その塩 上記の2′−デオキシリボヌクレオチドまたは
2−デオキシリボース−1−りん酸の塩として
は、具体的には、アルカリ金属塩たとえばナト
リウム塩、リチウム塩およびカリウム塩、アル
カリ土類金属塩たとえばカルシウム塩およびマ
グネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩たと
えばトリエチルアンモニウム塩等がある。本発
明酵素反応は水性系で行なわれるから、上記の
りん酸エステルの塩は水溶性のものであるべき
である。 〔C〕 ヌクレオシドホスホリラーゼ源 (1) 定 義 本発明において「ヌクレオシドホスホリラ
ーゼ」とは、2′−デオキシリボヌクレオシド
をりん酸イオン供与体の存在下、加りん酸分
解して2−デオキシリボース−1−りん酸と
核酸塩基とを与える作用および(または)2
−デオキシリボース−1−りん酸と核酸塩基
とから2′−デオキシリボヌクレオシドを合成
する作用を担う酵素をいう。この場合に必要
なりん酸は基質またはヌクレオシドホスホリ
ラーゼ源である微生物菌体から供給すること
ができるが、基質またはヌクレオシドホスホ
リラーゼ源がりん酸を含まないものである場
合には外部からりん酸を供給することが必要
である。 「ヌクレオシドホスホリラーゼ源」とは、
ウラシル化合物(A)と2−デオキシリボース化
合物(B)との反応系にヌクレオシドホスホリラ
ーゼの酵素作用を及ぼしうるヌクレオシドホ
スホリラーゼ含有物質を意味する。これは、
具体的には、使用微生物の培養物、生菌体ま
たは菌体処理物(詳細後記)からなるもので
ある。また、ヌクレオシドホスホリラーゼ源
は、ヌクレオシドホスホリラーゼ以外の酵素
を含んでいてもよく、これが微生物の培養
物、生菌体または菌体処理物の形態である場
合はこのような他種酵素をも含んでいること
がむしろふつうである。この場合の他種酵素
は、本発明の反応に際して、たとえば原料化
合物に作用してヌクレオシドホスホリラーゼ
の基質を生成する等の点で本発明の反応に積
極的に関与する酵素であるか、あるいは本発
明の反応を阻害しない酵素でありうる。反応
に積極的に関与する酵素としては、2−デオ
キシリボース化合物として2′−デオキシリボ
ヌクレオチドを使用した場合のホスフアター
ゼを例示することができる。 本発明で使用する「ヌクレオシドホスホリ
ラーゼ源」は、特定の属に属する微生物に由
来するものである。このようなところから、
本発明で好ましいヌクレオシドホスホリラー
ゼ源は、微生物の培養物、生菌体または菌体
処理物(詳細後記)からなるものである。 (2) 微生物 前記のようなヌクレオシドホスホリラーゼ
源を与える微生物は、下記の14種の属に属す
るものである。 (1) アクロモバクター(Achromobacter)属 (2) アルテロモナス(Alteromonas)属 (3) アースロバクター(Arthrobacter)属 (4) ブロビバクテリウム
(Brevibacterium)属 (5) セルロモナス(Cellulomonas)属 (6) コリネバクテリウム
(Corynebacterium)属 (7) フラボバクテリウム
(Flavobacterium)属 (8) クルチア(Kurthia)属 (9) ミクロコツカス(Micrococcus)属 (10) プロタミノバクター
(Protaminobacter)属 (11) シユウドモナス(Pseudomonas)属 (12) サルシナ(Sarcina)属 (13) スタフイロコツカス
(Staphylococcus)属 (14) ピブリオ(Vibrio)属 これらの属に属する菌株の具体例を挙げれ
ば、下記の通りである。 (1‐1) アクロモバクター・ユウリデイセ BE−3
−3 微工研菌寄第6304号 (Ac.eurydice) (2‐1) アルテロモナス・プトレフアシエンス
ATCC 8071 (Al.putrefaciens) (2‐2) 同上 ATCC 8072 (2‐3) 同上 ATCC 8073 (3‐1) アースロバクター・シトレウス IFO
12957 (Ar.citreus) (3‐2) アースロバクター・グロビフオルミス
IFO 12137 (Ar.globiformis) (3‐3) アースロバクター・シンプレツクス IFO
12069 (Ar.simplex) (4‐1) ブレビバクテリウム・インペリアレ
ATCC 8365 (B.imperiale) (4‐2) ブレビバクテリウム・アセチリカム AT
−6−7 微工研菌寄第6305号 (B.acetylicum) (4‐3) 同上 ATCC 954 (5‐1) セルロモナス・フラビゲナ IFO 3747、
ATCC 486 (Ce.flavigena) (5‐2) 同上 IFO 12680 (6‐1) コリネバクテリウム・エクイ IAM 1038 (Co.equi) (7‐1) フラボバクテリウム・アルボレセンス
IFO 3750、ATCC 4358 (F.arborescens) (7‐2) フラボバクテリウム・エステロアロマテイ
クム IFO 3751 (F.esteroaromaticum) (8‐1) クルチア・ゾフイー IFO 12083 (K.zopfii) (8‐2) 同上 IFO 12084 (9‐1) ミクロコツカス・ロゼウス IFO 3768、
ATCC 186 (M.roseus) (9‐2) ミクロコツカス・ヴアリアンス IFO
3765、ATCC 399 (M.varians) (9‐3) ミクロコツカス・ルテウス IAM 1056、
IFO 3333、ATCC 4698 (M.luteus) (9‐4) 同上 IAM 1157 (10‐1) プロタミノバクター・アルボフラバス
IFO 3707* (Pr.alboflavus) (11‐1) シユウドモナス・デスモリチカ J−4
−2 微工研菌寄第6307号 (Ps.desmolytica) (11‐2) シユウドモナス・シユーリキリエンシス
IAM 1051 (Ps.shuylkilliensis) (11‐3) シユウドモナス・オバリス IAM 1002 (Ps.ovalis) (12‐1) サルシナ・マルギナータ IAM 1130
微工研菌寄第6539号 (Sa.marginata) (13‐1) スタフイロコツカス・アウレウス IAM
1011 (St.aureus) (13‐2) 同上 IFO 3060 (14‐1) ビブリオ・アンギララム IFO 13266 (V.anguillarum) *本菌株は、TFMUraとdUrdとから対応
TFMdUrdを生成させる能力は不充分で
あつた。 なお、本発明の特定の属に属する菌株、特
に上記の代表的菌株、から紫外線、X線、γ
線等の照射による物理的処理もしくはニトロ
ソグアニジンなどによる薬剤処理などの一般
的変異誘導法による誘発突然変異または自然
の原因に起因する自然突然変異によつて誘導
された変異株も、ヌクレオシドホスホリラー
ゼ源としての酵素活性を失わない限り、本発
明で定義したヌクレオシドホスホリラーゼ源
に包含されるものとする。また、前記のよう
な好適な菌株から得られたヌクレオシドホス
ホリラーゼ源としての酵素の遺伝子が前記特
定の属以外の微生物に取り込まれてそのよう
な形質が発現するに至つた場合は、このよう
な微生物は前記特定の属に属する微生物と均
等とみなされるべきであつて、そのような微
生物の培養物、生菌体または菌体処理物を本
発明の目的に使用する方法は本発明(特許請
求の範囲を解釈する場合を含む)の技術的範
囲に含まれるものである。 (3) ヌクレオシドホスホリラーゼ源の調製 ヌクレオシドホスホリラーゼ源の調製は、
少なくとも微生物の培養からなる。 (3‐1) 培養 培養のための培地および培養法は、所与
の微生物が生育する限り、特に限定されな
い。 培地としては、これらの微生物が資化可
能な炭素源および窒素源を適当量含有し、
必要に応じて無機塩、微量発育促進物質、
消泡剤などを添加したものが使用される。
具体的には、炭素源としては、グルコー
ス、フラクトース、マルトース、リボー
ス、サツカロース、澱粉、澱粉加水分解
物、糖蜜、廃糖蜜などの糖類もしくはその
脂肪酸エステルなどの誘導体、麦、〓、米
などの天然炭水化物、マンニトール、メタ
ノール、エタノールなどのアルコール類、
グルコン酸、ピルビン酸、酢酸、クエン酸
などの脂肪酸類、ノルマルパラフイン、ケ
ロシンなどの炭化水素類、グリシン、グル
タミン酸、グルタミン、アラニン、アスパ
ラギンなどのアミノ酸類など、一般的な炭
素源より使用微生物の資化性を考慮して一
種または二種以上を適宜に選択して使用す
ればよい。窒素源としては、肉エキス、ペ
プトン、酵母エキス、乾燥酵母、大豆加水
分解物、大豆粉、ミルクカゼイン、カザミ
ノ酸、各種アミノ酸、コーンステイープリ
カー、コツトンシードミールないしその加
水分解物、フイツシユミールないしその加
水分解物、その他の動物、植物、微生物の
加水分解物などの有機窒素物質、アンモニ
ア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、りん酸アンモニウ
ム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム
などのアンモニウム塩、硝酸ナトリウムな
どの硝酸塩、尿素など無機窒素化合物より
使用微生物の資化性を考慮して一種または
二種以上を適宜に選択して使用すればよ
い。さらに、無機塩として微量のマグネシ
ウム、マンガン、鉄、亜鉛、銅、ナトリウ
ム、カルシウム、カリウムなどのりん酸
塩、塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢
酸塩などの一種または二種以上を適宜添加
し、必要に応じて植物油、界面活性剤など
の消泡剤、ビタミンB1、B2、ニコチン
酸、パントテン酸、ビオチン、p−アミノ
安息香酸などの微量発育促進物質を添加し
てもよい。栄養要求を同時に示す微生物を
使用する場合は、当然その生育を満足させ
る物質を培地に添加しなければならない。 培養は、前記培地成分を含有する液体培
地中で振盪培養、通気撹拌培養、静置培
養、連続培養などの通常の培養法より使用
微生物に適した培養法を選択して行なう。
培養条件は、使用微生物および培地の種類
により適宜選択すればよいが、通常は培養
開始のPHを約6〜8に調整し、約25〜35℃
の温度条件下で培養を行なう。培養期間は
使用微生物の生育に十分な時間であればよ
く、通常1〜3日間である。 (3‐2) 酵素源の調製 以上のように微生物を培養したのち、得
られた培養物、あるいは培養物から遠心分
離、沈降分離、凝集分離などの通常の方法
によつて集菌した生菌体、あるいは生菌体
に適宜な処理を施して得られる菌体処理
物、を本発明におけるヌクレオシドホスホ
リラーゼ源として使用することができる。
ここで、「培養物」とは培養後の培地と培
養菌体が未分離の状態のものをいう。「生
菌体」とは、培養物から分離されたのち未
だ下記のような処理を受けていない菌体を
いう。また、「菌体処理物」とは、乾燥菌
体、細胞膜および(または)細胞壁変性菌
体、破砕菌体、固体化菌体、菌体抽出物、
本発明の目的とするヌクレオシドホスホリ
ラーゼ源としての酵素活性を有する菌体抽
出物の蛋白質画分もしくはその精製物、蛋
白質画分もしくはその精製物の固定化物な
どを指称する。 菌体処理物を得るための方法のいくつか
を例示すれば下記の通りである。すなわ
ち、(イ)生菌体に対して、物理的処理手段た
とえば凍結融解処理、凍結乾燥処理、通風
乾燥処理、アセトン乾燥処理、酸性ないし
アルカリ性下における加温処理、磨砕処
理、超音波処理、浸透圧差処理など、ある
いは化学的ないし生物化学的処理手段たと
えばリゾチーム、細胞壁溶解酵素などの酵
素処理、トルエン、キシレン、ブチルアル
コール(ブタノール)などの溶媒もしくは
界面活性剤との接触処理など、を単独もし
くは組み合せて施す方法、(ロ)菌体抽出物に
対して、酵素分離精製手段たとえば塩析処
理、等電点沈澱処理、有機溶媒沈澱処理、
各種クロマトグラフ処理、透析処理などを
単独もしくは組み合せて施す方法、および
(ハ)生菌体、菌体抽出物もしくはその精製物
に酵素固定化手段たとえば包括処理、架橋
処理、担体への吸着処理などを施す方法、
である。 〔D〕 本発明による酵素反応 本発明による酵素反応は、前記のウラシル化
合物(A)と2−デオキシリボース化合物(B)とをヌ
クレオシドホスホリラーゼ源(C)の存在下に反応
させることからなる。 酵素源(C)は微生物の培養物でありうるから、
酵素源(C)の存在下ということはこの微生物の培
養中に出発原料(A)および(B)を共存させておいて
この酵素反応を行なわせることをも包含するの
であるが、好ましい反応方式は微生物培養工程
が実質的に終了してから培養物(または生菌体
もしくは菌体処理物)を出発原料(A)および(B)の
反応系に存在させることからなるものである。 (1) 反応基質溶液 本発明の酵素反応に使用される基質溶液
は、基本的には反応基質、すなわち前記の出
発原料(A)および(B)、が水性媒体に溶解もしく
は懸濁した水性液である。 この水性液中には少なくともウラシル化合
物(A)および2−デオキシリボース化合物(B)の
一種または二種以上が存在するが、この水性
液はこれらの反応基質のほかに、必要に応じ
てりん酸イオン供与系、有機溶媒、界面活性
剤、金属塩類、補酵素類、酸、塩基、糖類な
ど酵素反応を促進する物質、妨害酵素活性を
阻害する物質、反応基質の溶解性を向上させ
る物質、酵素と反応基質の接触を向上させる
物質等を含有していてもよい。また、使用微
生物が資化しうる前記のような培地成分を含
有していてもよい。 水性媒体としては、水または酵素反応に好
適な各種緩衝液(りん酸緩衝液、イミダゾー
ル−塩酸緩衝液、ベロナール−塩酸緩衝液、
トリス−塩酸緩衝液など)を用いることがで
きる。 りん酸イオン供与系としては、水性媒体中
でりん酸イオンに解離しうるもののいずれを
用いてもよく、たとえば遊離型りん酸そのも
の、無機りん酸塩、たとえばナトリウム、カ
リウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マ
グネシウムなどのアルカリ土類金属、アンモ
ニウムとの塩が好適に使用される。また、り
ん酸イオン供与系としては、酵素反応の基質
溶液中でりん酸イオンを遊離しうる系、たと
えば各種りん酸エステル誘導体とホスフアタ
ーゼの組み合せ、ヌクレオチドとヌクレオチ
ダーゼの組み合せ、などを利用することがで
きる。 以上のようなりん酸供与系は酵素反応に際
して系外から添加されたものであつてもよ
く、使用微生物の成分として含有されている
ものであつてもよい。すなわち、酵素反応に
利用しうる形態である限り、上記の物質の単
独もしくは二種以上を組み合せた系を、また
は上記の物質を含有する微生物菌体もしくは
その菌体処理物を本発明の酵素反応に際して
反応液に別途添加してもよく、ヌクレオシド
ホスホリラーゼ源に含有されているこれらの
物質をそのまま利用してもよい。 有機溶媒としては、たとえばメタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、ア
セトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、
トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセト
アミド、ジメチルホルムアミド、2−エトキ
シエタノールなどが例示される。 (2) 反応方法 本発明の反応は、前記の酵素源(すなわち
ヌクレオシドホスホリラーゼ源)と反応基質
とを水性媒体中で接触させることにより達成
される。 接触方法は、酵素源の形態に応じて適宜に
選択すればよいが、通常は(イ)酵素源を反応基
質溶液に懸濁もしくは溶解し、好ましくは加
温しながら撹拌もしくは振盪するバツチ方
式、または(ロ)酵素源を必要に応じて適当な担
体、助剤または吸着剤と混和するかこれらに
担持させて充填カラム、流動層タンク、多段
タンク、フイルム装填タンク、撹拌タンク、
その他に入れ、反応基質溶液を通液するバイ
オリアクター方式(連続フロー方式)などが
適用される。なお、バツチ方式の場合には反
応後、酵素源を濾過(加圧濾過、真空濾過な
どを含む)、遠心分離、沈降分離、凝集分離
など通常の方法によつて回収ないし集菌し、
これを再度反応基質溶液を接触させることに
よつて繰り返し使用することができる。固定
化ヌクレオシドホスホリラーゼ源によるバイ
オリアクター方式の場合は酵素源の分離操作
は不要であり、リアクターは繰り返してある
いは連続的に酵素反応に使用することができ
る。 (3) 反応基質および酵素源の濃度もしくは添加
量 一般に、反応基質溶液の基質濃度は特に制
限されるものではなく、反応温度における使
用水性媒体に対する各基質の飽和濃度以下の
適当な濃度が通常採用される。しかし、反応
基質溶液に添加された前記の有機溶媒などに
より基質濃度を増大させることも、反応基質
溶液中に飽和濃度以上の各基質を懸濁状態で
存在させて反応の進行に従つて各基質を溶解
させることも、可能である。また、各基質を
反応中に逐次添加して適当濃度を維持するこ
ともできる。 具体的には、5−フロオロウラシルおよび
5−トリフルオロメチルウラシルについては
反応基質溶液中のその濃度は1〜200mM程
度、好ましくは5〜100mM程度であり、2
−デオキシリボース化合物については1〜
300mM程度、好ましくは5〜150mM程度で
ある。 なお、酵素源の使用量は微生物の種類、そ
の使用形態、反応効率、経済性などを考慮
し、当業者が予備実験等によつて容易に決定
できるものである。 (4) 反応条件 本発明の反応の条件は、反応基質が酵素源
の作用によつて反応して効率よく目的ヌクレ
オシドが生成する条件であれば使用酵素源微
生物の非増殖条件下であれ増殖条件下であれ
特に限定されない。しかしながら、使用微生
物の非増殖条件下における反応が特に効率が
良い。 微生物の非増殖条件下でこれを反応に供す
る方法としては、(イ)酵素反応温度を使用微生
物が増殖できない温度範囲(ただし、本発明
の反応に関与する酵素が失活しない温度範
囲)に設定する方法、(ロ)使用微生物菌体をあ
らかじめ前記のとおり物理的、化学的ないし
生物化学的に処理することによつて微生物を
増殖できない状態にしたのち、反応に供する
方法、(ハ)反応に際して、たとえばトルエンな
どの使用微生物の増殖を阻害する物質を反応
基質溶液に添加する方法など、を単独にある
いは組み合せて採用すればよい。これらのう
ちでは、反応温度を操作する方法が最も効果
的で簡便である。 本発明の反応は一般に28〜80℃の範囲にお
いて進行するが、実用性を考慮すれば37〜70
℃の範囲が好ましく、特に40〜65℃が最適で
ある。なお、反応基質(B)がデオキシピリミジ
ンヌクレオシドの場合は、45℃前後の温度が
特に適当である。 反応基質溶液の液性は、通常PH4〜10、好
ましくはPH6〜8、の範囲に保たれればよ
い。反応中にPHが変動するときは、塩酸、硫
酸、りん酸などの酸または水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、アンモニア水、アンモ
ニアガスなどのアルカリを用いて好ましいPH
範囲に補正すればよい。 反応時間は、反応基質の目的物への変換率
を確認しながら決定すればよいが、通常バツ
チ方式では2〜45時間程度、好ましくは24〜
36時間程度反応させればよい。バイオリアク
ター方式では、バツチ方式に準じて適当な条
件を設定して反応させればよい。 (5) 分離精製 反応後、必要に応じて酵素源を濾過、遠心
分離、沈降分離または凝集分離などの常法に
よつて分離除去して、生成デオキシウリジン
誘導体の分離精製工程に供する。 デオキシウリジン誘導体の分離精製は、公
知の方法またはこれを応用した方法によつて
行えばよい。たとえば、イオン交換クロマト
グラフイー、吸着クロマトグラフイー、分配
クロマトグラフイー、ゲル濾過法など各種の
クロマトグラフイー、向流分配、向流抽出な
ど二液相間の分配を利用する方法、濃縮、冷
却、有機溶媒添加など溶解度の差を利用する
方法などの一般的な分離精製法を単独で、あ
るいは適宜に組み合せて行えばよい。 〔E〕 代表的な微生物の説明 前記の例示微生物のうち、IFO番号、IAM番
号およびATCC番号を付された菌株はいずれも
公知菌株であり、当業者であれば当該寄託機関
よりこれらの菌株を容易に入手することができ
る。 微工研寄託番号(微工研菌寄)だけを付され
た菌株は、本発明者らによつて自然界から分
離、同定された菌株であり、工業技術院微生物
工業技術研究所(微工研)に寄託されている。
当業者は一定の条件の下にこれらの寄託菌株を
入手することができる。 上記の分離菌株とは千葉県銚子市西海鹿島町
の土譲より分離されたJ−4−2株、兵庫県西
宮市の甲子園球場の砂より分離されたAT−6
−7株および千葉県銚子市新生町の土壌より分
離されたBE−3−3株である。これらの菌株
の菌学的性質等は、下記の通りである。 (1) J−4−2株 (a) 形態 (1) 細胞の形態および大きさ:桿状、0.7
〜0.8×2.0〜3.0μm (2) 運動性、鞭毛の着生状態:運動性あ
り、極鞭毛 (3) 胞子の形成:なし (4) グラム染色性:陰性 (b) 各種培地における生育状態 (1) 肉汁寒天平板培養(28℃、48時間) 集落の形状:円形(Circular) 集落表面の隆起:隆起状
(Raised)ないし中止凸状
(Umbonate) 大きさ:2〜4mm 色調:湿潤で灰色ないし鈍黄色 (2) 肉汁寒天斜面培養(28℃、48時間) 生育:良好 生育の形:糸状(Filiform)でやや
拡布状(Spreading) 色素の生成:不明 (3) 肉汁液体培養(28℃、72時間) 生育:膜の形成なく、全液混濁し、や
や沈澱を生じる。 (4) 肉汁ゼラチン穿刺培養(20℃、6日
間):液化しない。 (5) リトマスミルク培地(28℃、4日
間):変化しない。 (c) 生理的性質 (1) 硝酸塩の還元(28℃、5日間):還元
性あり。 (2) 硫化水素の生成(28℃、5日間):生
成する。 (3) 澱粉の加水分解:分解力なし。 (4) カタラーゼ:陽性 (5) インドールの生成:陰性 (6) ペプトンおよびアルギニンからのアン
モニアの生成:陰性 (7) メチルレツドテスト:陰性 (8) V−Pテスト:陽性 (9) 酸素に対する態度:好気的 (10) O−Fテスト(Hugh Leifson法によ
る):O型(Oxidation) (11) 糖類から酸の生成 陽性:グルコース、マンノース、フラ
クトース、マルトース、サツカロース、
トレハロース、マンニツト 陽性:アラビノース、キシロース、ガ
ラクトース、ラクトース、ソルビツト、
イノシツト、グリセリン (12) 生育PH範囲:PH6.0〜9.0 (13) 生育最適温度:25〜35℃ (2) AT−6−7株 (a) 形態 (1) 細胞の形態および大きさ:短桿状、
0.8〜1.0×1.0〜1.2μm (2) 胞子の形成:なし (3) グラム染色性:陽性 (b) 各種培地における生育状態 (1) 肉汁寒天平板培養(28℃、48時間) 集落の形状:円形(Circular) 集落表面の隆起:扁平状(Flat)、
平滑(Smooth) 大きさ:2〜4mm 色調:黄色ないし桃黄色 (2) 肉汁寒天斜面培養(28℃、48時間) 生育:良好 生育の形:疣状(Echinulate) (3) 肉汁液体培養(28℃、48時間) 生育:表面に菌環(Ring)を形成
し、やや沈渣(Sediment)を生じる。 (4) 肉汁ゼラチン穿刺培養(20℃、6日
間):層状(Straitiform)に液化す
る。 (5) リトマスミルク培地(28℃、4日
間):わずかに凝固し、ペプトン化も見
られる。 (c) 生理的性質 (1) 硝酸塩の還元(28℃、5日間):還元
性なし。 (2) 硫化水素の生成(28℃、5日間):生
成しない。 (3) 澱粉の加水分解:分解性あり。 (4) カタラーゼ:陽性 (5) インドールの生成:生成しない。 (6) ペプトンおよびアルギニンからのアン
モニアの生成:陰性 (7) メチルレツドテスト:陰性 (8) V−Pテスト:陽性 (9) 酸素に対する態度:好気的 (10) O−Fテスト(Hugh Leifson法によ
る):F型(Fermentation) (11) 糖類からの酸の生成 陽性:グルコース、マンノース、フラ
クトース、マルトース、サツカロース、
トレハロース 陰性:アラビノース、キシロース、ガ
ラクトース、ラクトース、ソルビツト、
イノシツト、グリセリン (12) 生育PH範囲:PH6.0〜9.0 (13) 生育最適温度:25〜37℃ (3) BE−3−3株 (a) 形 態 (1) 細胞の形態および大きさ:桿状、0.8
〜0.9×1.4〜1.8μm (2) 胞子の形成:なし (3) グラム染色性:陰性 (b) 各種培地における生育状態 (1) 肉汁寒天平板培養(28℃、48時間) 集落の形状:仮根状(Rhizoid)で
切裂状(Lacerate) 集落表面の隆起:扁平状(Flat)で
平滑(Smooth) 大きさ:5〜9mm 色調:淡灰褐色ないし青灰色 (2) 肉汁寒天斜面培養(28℃、48時間) 生育:良好 生育の形:糸状(Filiform) (3) 肉汁液体培養(28℃、48時間) 生育:全液混濁し、沈渣
(sediment)を生じる。 (4) 肉汁ゼラチン穿刺培養(20℃、6日
間):液化しない。 (5) リトマスミルク培地(28℃、4日
間):ほとんど変化しない。 (c) 生理的性質 (1) 硝酸塩の還元(28℃、5日間):還元
性なし (2) 硫化水素の生成(28℃、5日間):生
成する。 (3) 澱粉の加水分解性:なし (4) カタラーゼ:陽性 (5) インドールの生成:生成しない。 (6) ペプトンおよびアルギニンからのアン
モニアの生成:陰性 (7) メチルレツドテスト:陰性 (8) V−Pテスト:陰性 (9) 酸素に対する態度:好気的 (10) O−Fテスト(Hugh Leifson法によ
る):O型(Oxidation) (11) 糖類からの酸の生成 陽性:グルコース、マンノース、フラ
クトース、トレハロース 陰性:アラビノース、キシロース、ガ
ラクトース、ラクトース、マルトース、
サツカロース、ソルビツト、イノシツ
ト、グリセリン (12) 生育PH範囲:6.0〜9.0 (13) 最適生育範囲:25〜37℃ 以上の菌学的性質を、バージーズ・マニユア
ル・オブ・デイタミネーテイブ・バクテリオロ
ジー(Bergey′s Manual of
DeterminativeBacteriology)第7版(1957
年)の分類基準により検索した。その結果、J
−4−2株は直短桿菌で、グラム陰性であり、
極鞭毛を有し、胞子形成能がなく、グルコース
を酸化するなどの諸性質よりシユウドモナス
(Pseudomonas)属に属する菌株と同定し、シ
ユウドモナス・デスモリチカ(Pseudomonas
desmolytica)J−4−2と命名した。AT−6
−7株はほとんど球菌に近い短桿菌で、グラム
陽性であり、フイラメントを形成せず、炭水化
物より酸を生成することよりブレビバクテリウ
ム(Brevibacterium)属に属する菌株と同定
し、ブレビバクテリウム・アセチリカム
(Brevibacterium acetylicum)AT−6−7と
命名した。BE−3−3株は、グラム陰性であ
り、ヘキソースより酸を生成し、硫化水素を生
成し、細胞が桿状であることによりアクロモバ
クター(Achromobacter)属に属する菌株と同
定し、アクロモバクター・ユウリデイセ
(Achromobacter eurydice)BE−3−3と命
名した。 なお、以上の三菌株の同定帰属はバージー
ズ・マニユアル・オブ・デイタミネーテイブ・
バクテリオロジー第7版によるものであり、分
類基準の変更などにより、異なる分類基準によ
つてこれらの菌株の同定帰属が行われた場合に
は、他種あるいは他属に属することもあり得る
が、本発明において上記のように命名された微
生物は、少なくとも本発明の目的に合致するヌ
クレオシドホスホリラーゼを生産し、かつ前記
の菌学的性質もしくはこれと均等の菌学的性質
を有する微生物を包含し、特定され得るもので
ある。 これら三菌株は昭和56年通商産業省告示第
178号に従つて工業技術院微生物工業技術研究
所に昭和57年1月13日付けで受託されて、次の
とおり受託番号が付与されている。 (1) シユウドモナス・デスモリチカJ−4−2 微工研菌寄第6307号(FERM P−6307) (2) ブレビバクテリウム・アセチリカムAT−
6−7微工研菌寄第6305号(FERM P−
6305) (3) アクロモバクター・ユウリデイセBE−3
−3微工研菌寄第6304号(FERM P−
6304) 〔F〕 実験例 以下の実験例において、反応液中の5−フル
オロ−2′−デオキシウリジン(FdUrd)、5−
トリフルオロメチル−2′−デオキシアリジン
(TFMdUrd)、5−クロロ−2′−デオキシウリ
ジン(CldUrd)およびチミジン(Thd)は、
高速液体クロマクグラフイーによつて分析し
た。 装置:島津高速液体クロマトグラフLC−3A型 カラム:マイクロ・ボンダパツク(μ
BONDAPAK)C18、4.6mm×250mm(日本ウ
オーターズリミテツド社製) 流速:1ml/min FdUrd反応液 溶出剤:0.5Mりん酸一カリウム溶液 測定波長:260nm 保持時間:FUra 3.91分 FdUrd 20.28分 TFMdUrd反応液 溶出剤:5%アセトニトリルを含む20mMト
リス−塩酸緩衝液 (PH7.5) 測定波長:260nm 保持時間:TFMUra 8.49分 TFMdUrd 13.49分 実施例 1 1.5%酵母エキス培地(PH7.0)4mlに下表に示
す各菌株を植菌し、28℃で20時間倍養した。培養
液より遠心分離によつて集菌した。 20mM FUraもしくは20mM TFMUra、30
mM dUrdおよび30mMりん酸一カリウムを含
有する溶液(PH7.0)2mlに前記菌体を加え、45
℃で一晩反応させた。 反応後、遠心分離によつて菌体を除去し、反応
生成物を高速液体クロマトグラフイーによつて分
析したところ、下表に示す通りであつた。なお、
表中「生成率」とあるのは原料の5−置換ウラシ
ルに対する生成した5−置換デオキシウリジン誘
導体のモル百分率である。また、「FdUrd」およ
び「TFMdUrd」は、それぞれ5−フルオロ−
2′−デオキシウリジンおよび5−トリフルオロメ
チル−2′−デオキシウリジンを意味する。
【表】
【表】 実施例 2 クルチア・ゾフイーIFO12084を1.5%酵母エキ
ス培地で28℃で22時間培養した。培養液20mlから
遠心分離によつて湿菌体を得た。この湿菌体に20
mM FUra、30mMの下表に示す各2−デオキ
シリボース化合物および30mMりん酸一カリウム
を含む基質溶液(PH7.0)10mlを加え、45℃で20
時間反応させた。反応液より菌体を除去後、高速
液体クロマトグラフイーでFdUrdの生成率を測
定し、下表に示した。
【表】 実施例 3 クルチア・ゾフイーIFO12083を実施例2と同
様の方法で培養し、培養液2リツトルから湿菌体
を遠心分離した。 FUra5.2g、dUrd13.7gおよびりん酸一カリウ
ム8.2gを水に溶解し、PH7.0に調整した基質溶液
に前記の菌体を加え、さらに水を加えて2リツト
ルとして、反応に供した。反応は、45℃で2日間
行なつた。反応液を分析したところ、FdUrdの
生成率は75.38%であつた。 反応液から菌体を除去し、PH2.0に調整後、5
リツトルに希釈した。この溶液を活性炭1リツト
ルカラムに吸着させ、水洗後、0.1Nアンモニア
溶液で溶出させた。溶出液を濃縮し、PH9.0に調
整後、アニオン交換樹脂「ダウエツクス1×2」
(商品名。ダウ・ケミカル社製;蟻酸型)500mlカ
ラムへ吸着させ、水洗後、0.05M蟻酸ナトリウム
溶液で溶出させた。各区分を高速液体クロマトグ
ラフイーで分析し、FdUrd区分を合せて再び500
mlの活性炭カラムに吸着させた。水洗後、0.1N
アンモニア溶液で溶出させ、濃縮乾固した。これ
に酢酸エチルを加え、結晶を析出させたのち、酢
酸エチルから再結晶させて、FdUrd5.81gを得
た。 実施例 4 クルチア・ゾフイーIFO12084を実施例2と同
様の方法で培養し、培養液4リツトルから湿菌体
を遠心分離した。 TFMdUra3.6g、dUrd6.9gおよびりん酸一カ
リウム4.1gを水に溶解し、PH7.0に調整した基質
溶液に前記の菌体を加え、さらに水を加えて1リ
ツトルとして、反応に供した。反応は、45℃で20
時間行なつた。反応液を分析したところ、
TFMdUrdの生成率は50.12%であつた。 反応液から菌体を除去し、PH2.0に調整後、活
性炭600mlカラムに吸着させ、水洗後、0.01Nア
ンモニア−10%エタノール溶液12リツトルで溶出
させた。溶出後を濃縮後、逆相クロマトグラフイ
ー(装置:ウオーターズ、プレツプLC/システ
ム500A。カラム:プレツプ500/C18。移動相:
水および10%メタノール)を行なつた。
TFMdUrd区分を濃縮乾固し、エーテルを加えて
撹拌したのち、取した。これにエタノールを加
えて溶解し、濃縮後、エーテルを加えて再結晶さ
せて、TFMdUrd2.8gを得た。 実施例 5 クルチア・ゾフイーIFO12083を1.5%酵母エキ
ス培地(PH7.0)4mlに植菌後、28℃で一晩培養
した。 遠心分離して得た菌体に、下表に示す10mMの
ウラシル化合物、15mMの2′−デオキシウリジン
および15mMのりん酸一カリウムを含む基質を1
ml加えて、45℃で22時間反応させた。 反応液をHPLCによつて分析した結果は、下
表に示した通りであつた。
【表】 実施例 6 ブレビバクテリウム・アセチリカムAT6−7
(微工研菌寄第6305号)を実施例1と同様に培養
し、培養液より集菌した。 20mM F Ura、5mMりん酸一カリウムお
よび30mMのdUDPもしくはdUTPを含有する溶
液(PH7.0)4mlに前記菌体(培養液10mlから集
菌した菌体の全量)を加え、45℃で20時間反応さ
せた。反応液より菌体を除去後、高速液体クロマ
トグラフイーでFdUrdの生成率を測定したとこ
ろ、2−デオキシリボース化合物としてdUDPを
使用した場合には6.94%であり、dUTPを使用し
た場合には4.80%であつた。 実施例 7 20mM5−ニトロウラシル、30mM dUrdおよ
び5mMりん酸一カリウムを含有する溶液(PH
7.0)4mlに実施例6と同一の菌体(培養液10ml
から集菌した菌体の全量)を加え、45℃で20時間
反応させた。反応液より菌体を除去後、高速液体
クロマトグラフイーで5−ニトロ−2′−デオキシ
ウリジンの生成率を測定したところ、4.75%であ
つた。 参考例 実施例3と同一の菌体を用い、同一の反応液組
成、同一反応条件で反応を行つた。反応開始後3
時間目に反応液を採取して分析したところ、反応
液中に2−デオキシリボース−1−りん酸が存在
することが確認された。 この事実は、本発明の酵素反応の反応機構、す
なわちこの酵素反応がヌクレオシドホスホリラー
ゼによる反応であるというところから、2−デオ
キシリボース化合物としてデオキシヌクレオシド
およびデオキシヌクレオチドを用いる場合にこれ
らは必ず2−デオキシリボース−1−りん酸を経
由するという反応機構、を支持するものである。
また、従つて、この事実は、2−デオキシリボー
ス化合物として2−デオキシリボース−1−りん
酸が使用しうるということを示すものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (A)下式()で示されるウラシル化合物と(B)
    下記の群から選んだ2−デオキシリボース化合物
    とを、(C)下記の群から選んだ属に属する微生物に
    由来するヌクレオシドホスホリラーゼ源の存在下
    に反応させて下式()で示される5−置換−
    2′−デオキシウリジン誘導体を生成させることを
    特徴とする、デオキシウリジン誘導体の製造法。 ウラシル化合物 (ここで、Xはハロゲン、ハロメチル基、低級ア
    ルキル基、またはニトロ基を、Yは水素またはリ
    ボース残基を、示す) 5−置換−2′−デオキシウリジン誘導体 (Xは、前記と同意義である) 2−デオキシリボース化合物 (イ) 2′−デオキシリボヌクレオシド、 (ロ) 2′−デオキシリボヌクレオチドおよびその塩
    ならびに (ハ) 2−デオキシリボース−1−りん酸およびそ
    の塩 微生物 (1) アクロモバクター(Achromobacter)属 (2) アルテロモナス(Alteromonas)属 (3) アースロバクター(Arthrobacter)属 (4) ブロビバクテリウム(Brevibacterium)属 (5) セルロモナス(Cellulomonas)属 (6) コリネバクテリウム(Corynebacterium)属 (7) フラボバクテリウム(Flavobacterium)属 (8) クルチア(Kurthia)属 (9) ミクロコツクス(Micrococcus)属 (10) プロタミノバクター(Protaminobacter)属 (11) シユウドモナス(Pseudomonas)属 (12) サルシナ(Sarcina)属 (13) スタフイロコツカス(Staphylococcus)属
    および (14) ビブリオ(Vibrio)属 2 ヌクレオシドホスホリラーゼ源が、当該微生
    物の培養物、生菌体または菌体処理物からなる、
    特許請求の範囲第1項記載のデオキシウリジン誘
    導体の製造法。
JP8891483A 1983-05-20 1983-05-20 デオキシウリジン誘導体の製造法 Granted JPS59213397A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8891483A JPS59213397A (ja) 1983-05-20 1983-05-20 デオキシウリジン誘導体の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8891483A JPS59213397A (ja) 1983-05-20 1983-05-20 デオキシウリジン誘導体の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS59213397A JPS59213397A (ja) 1984-12-03
JPS6111598B2 true JPS6111598B2 (ja) 1986-04-03

Family

ID=13956197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8891483A Granted JPS59213397A (ja) 1983-05-20 1983-05-20 デオキシウリジン誘導体の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS59213397A (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4835104A (en) * 1987-06-16 1989-05-30 Ajinomoto Co., Inc., Patent & Licensing Department Process for producing and purifying 2',3'-dideoxynucleosides, and process for producing 2',3'-dideoxy-2',3'-didehydronucleosides
CA2373189A1 (en) * 1999-05-13 2000-11-23 Mitsui Chemicals, Inc. Process for preparing nucleoside compound
CN1238519C (zh) * 2000-11-06 2006-01-25 三井化学株式会社 核苷化合物的生产方法
JP4593608B2 (ja) * 2000-11-06 2010-12-08 三井化学株式会社 ヌクレオシド化合物の製造方法
GB201301319D0 (en) * 2013-01-25 2013-03-06 Csir Process for the production of abalone probiotics
CN104761603B (zh) * 2014-12-06 2020-05-12 山东诚创医药技术开发有限公司 曲氟尿苷晶型b及其制备方法
CN108299518A (zh) * 2018-02-02 2018-07-20 王成宇 一种2`-脱氧-β-尿苷的合成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS59213397A (ja) 1984-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR870002167B1 (ko) 리바비린의 제법
EP0411158B1 (en) Process for producing nucleosides by using phosphorylases obtainable from Bacillus stearothermophilus
JPS6111598B2 (ja)
US4767713A (en) Pure culture of Brevibacterium acetylicum AT-6-7, ATCC 39311
Pal et al. Enzymatic synthesis of thymidine using bacterial whole cells and isolated purine nucleoside phosphorylase
JP3928676B2 (ja) 2’−デオキシアデノシン、2’−デオキシグアノシンの製造法
US4880736A (en) Production of uridine
EP0090417B1 (en) Process for producing 3'-deoxyguanosine
JPH0335915B2 (ja)
JPH01320995A (ja) ヌクレオシド化合物の製造方法
JP2800187B2 (ja) 5−メチルウリジンの製造方法
JP4173815B2 (ja) 2’−デオキシグアノシンの製造法
JPS58190396A (ja) リバビリンの製造法
JPH038760B2 (ja)
JPS60120981A (ja) ブレビバクテリウム・アセチリカムの新菌株
JPH0314439B2 (ja)
JPH0337919B2 (ja)
JPH03198790A (ja) 5―エチニル―1―β―D―リボフラノシルイミダゾール―4―カルボキサミドの製造法
JP2007159585A (ja) 2’−デオキシアデノシン、2’−デオキシグアノシンの製造法
JPS59143599A (ja) トリアゾ−ルヌクレオシドの製造法
JP2547438C (ja)
JPS63317093A (ja) 2’−デオキシリバビリンの製造方法