JPS6332348Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、デイーゼルエンジンのガバナ装置に
関し、過負荷時の燃料過剰を防止しながらも、始
動性能の向上を図ることを目的とする。

従来、デイーゼルエンジンの過負荷運転時の燃
料制限装置は第６図に示すように、燃料噴射ポン
プ３０のコントロールラツク３１を操作して燃料
噴射量を調節するガバナレバー３２を、燃料制限
具３３の燃料制限スプリング３８で燃料減量側Ｓ
に押圧付勢して、高負荷回転低下時の燃料の過剰
供給を制限するようにしたものがあるが、これで
はエンジンの始動時にも燃料制限スプリング３８
がガバナレバー３２に作用するので始動用の燃料
増量が充分に行なえず始動が困難になるという欠
点があつた。

そこで、第７図に示すように、ガバナレバー３
４の燃料増量側Ｍへの過剰揺動を燃料制限具３５
で制限するとともに、ガバナレバー３４を始動ス
プリング３６で燃料増量側Ｍへ常に引張り付勢す
るようにしたものがある。この場合、ガバナスプ
リング３７のほかに始動スプリング３６もガバナ
レバー３４を燃料増量側Ｍに弾圧することから、
エンジンの高速運転時に燃料の供給量が過多とな
り、黒煙を吐く。

本考案は、上記欠点を解消するために提案され
たもので、過負荷運転でガバナレバーが燃料増量
側へ過剰に揺動するのを燃料制限スプリングで制
限するとともに、始動スプリングの張力を切換装
置でエンジンの始動時のみガバナレバーに作用さ
せるようにするものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は横形水冷デイーゼルエンジンのガバナ
装置を示す要部の横断平面図である。このエンジ
ンＥのガバナ装置Ｇは、クランクケース１に枢支
したクランク軸２の軸端にクランクギヤ３を固着
し、クランクギヤ３の前端面３ａに遠心式ガバナ
４を固着してある。

遠心式ガバナ４は、クランクギヤ３と同行回転
するブラケツト５にガバナウエイト６を揺動可能
に枢支し、ガバナウエイト６の回転による遠心力
でガバナ軸７を押し出しガバナ力Ｆを発生するよ
うになつている。

こうして発生したガバナ力Ｆはガバナレバー８
に伝えられ、ガバナレバー８の先端が燃料噴射ポ
ンプ９のラツク１０を燃料増量側Ｍに押圧付勢し
ているガバナスプリング１１に抗して燃料減量側
Ｓに揺動させる。

こうして、ガバナレバー８は、ガバナ力Ｆと調
速レバー１２で設定されたガバナスプリング１１
の張力とが釣合つた所で揺動が停止し、燃料の噴
射量をその回転に見合うように調節してエンジン
の回転数を設定された略一定の回転数を保つよう
になる。

そして、ガバナレバー８は燃料制限具１３が接
離してエンジンの高負荷低速回転でガバナレバー
８が燃料増量側Ｍへ過剰移動するのを抑制するよ
うになつている。この燃料制限具１３は、ギアケ
ース１４の前壁１４ａの制限具取付ネジ孔１５に
筒軸部１６を進退調節可能に取付け、筒軸部１６
の内部１７に燃料制限スプリング１８を張力調整
ネジ１９で張力調整可能に収容し、燃料制限スプ
リング１８で出力具２０を押出し付勢するように
してあり、この出力具２０でガバナレバー８の側
面に設けた被操作部８ａを燃料減量側Ｓに押し
て、ガバナレバー８の燃料増量側Ｍへの過剰移動
を抑制するようになつている。

また、ガバナレバー８には係合ピン２１が植立
されており、この係合ピン２１はエンジンの始動
時にのみ始動切換装置２２で操作され、ガバナレ
バー８を燃料制限具１３の燃料制限領域を越え
て、燃料増量側Ｍへ揺動させて始動燃料を増量す
るようになつている。

この始動切換装置２２は第２図に示すようにギ
アケース１４の上壁１４ｂから垂下したボス２３
にくの字形の始動増量具２４をビス２５で揺動可
能に枢支してあり、前記の植立ピン２１との係合
部２４ａを始動スプリング２６で引張り付勢する
とともに、他側部分は調速レバー１２で操作され
る操作部２４ｂが形成してある。

次に、上記のように構成した始動切換装置２２
の作用を述べる。

エンジンＥを始動する場合、第３図に示すよう
に、先ず、調速レバー１２を一旦低速側（矢印
Ａ）に押し戻す。すると、調速レバー１２で始動
増量具２４が左回りに揺動してガバナレバー８の
植立ピン２１が始動増量具２４の先端を乗り越え
て第４図に示すように、始動増量具２４の係合部
２４ａに入り込む。

次に、調速レバー１２を第１図の始動位置にす
ると、ガバナスプリング１１の強い張力と、始動
増量具２４を引張り付勢している始動スプリング
２６の張力とで、ガバナレバー８の燃料制限スプ
リング１８の制限領域を越えて燃料増量側Ｍへ揺
動させ、エンジンＥの始動を容易にする。

こうして、エンジンＥが始動し、調速レバー１
２を所望の回転速度位置に戻してセツトし、エン
ジンＥを稼動運転するようになると、エンジンＥ
の回転でガバナ力Ｆがガバナレバー８に作用し、
今度はガバナ力Ｆで植立ピン２１が第４図に示す
ように始動増量具２４の係合部２４ａを押し上げ
るようになる。すると植立ピン２１が係合部２４
ａから離脱し、第５図に示すように、始動増量具
２４が始動スプリング２６により右回りに揺動
し、その操作部２４ｂが調速レバー１２に受止め
られ、始動スプリング２６がガバナレバー８に作
用しなくなりエンジン回転速度を設定された回転
数に高精度に保つようになる。

本考案は以上に述べたように、エンジンの始動
時にのみ始動用スプリングの張力ををもガバナレ
バーに燃料増量側に引き寄せるように作用させる
ので、始動用燃料を増量して始動が容易に行なえ
る。しかも、エンジンの高負荷運転時にはガバナ
レバーには始動スプリングが作用せず燃料制限ス
プリングのみが作用するのでガバナレバーが燃料
制限スプリングで正確に制限され、燃料供給過多
による黒煙の発生を防止できる。

その上、始動用スプリングの張力をガバナレバ
ーに作用させる状態と作用させない状態とに切換
える始動切換装置を調速レバーやガバナレバーに
連動させて自動的に切換わるようにするので、調
速レバー１２の始動操作だけで、始動用燃料の増
量が楽に確実に行なえる。

【図面の簡単な説明】

第１図は水冷横形デイーゼルエンジンのガバナ
装置を示す要部横断平面図、第２図は第１図の
部の縦断正面図、第３図乃至第５図はそれぞれ作
動状態を示す概略横断平面図である。第６図及び
第７図はそれぞれ従来例を示す要部の横断平面図
である。 Ｅ……エンジン、Ｆ……ガバナ出力（ガバナ
力）、Ｍ……燃料増量側、Ｓ……燃料減量側、４
……ガバナ、８……ガバナレバー、９……燃料噴
射ポンプ、１０……ラツク、１１……ガバナスプ
リング、１８……燃料制限スプリング、２２……
始動切換装置、２４……始動増量具、２６……始
動スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. デイーゼルエンジンＥの燃料噴射ポンプ９のラ
   ツク１０にガバナレバー８を燃料調節駆動可能に
   連動連結し、ガバナレバー８をガバナスプリング
   １１の張力で燃料増量側Ｍに弾圧するとともに、
   ガバナ４の出力Ｆで燃料減量側Ｓに押圧するよう
   に構成し、エンジンＥの過負荷時のガバナスプリ
   ング１１とガバナ出力Ｆとの不釣合力によるガバ
   ナレバー８の燃料増量側Ｍへの過剰移動を燃料制
   限スプリング１８で受止めるように構成し、始動
   スプリング２６で弾圧する始動切換装置２２の始
   動増量具２４を、ガバナレバー８に係合してガバ
   ナレバー８を燃料増量側Ｍに弾圧する作動状態と
   上記係合を解除してガバナレバー８から離れる作
   動解除状態とに切換え可能に構成し、ガバナスプ
   リング１１の張力を設定する調速レバー１２と始
   動増量具２４とを連動連結して、調速レバー１２
   を低速側に戻してから高速側に操作する間に始動
   増量具２４を作動解除状態から作動状態に切換え
   可能に構成するとともに、始動増量具２４をガバ
   ナレバー８に連動連結して、ガバナレバー８の燃
   料減量側Ｓへの作動により始動増量具２４を作動
   状態から作動解除状態に切換え可能に構成した事
   を特徴とするデイーゼルエンジンのガバナ装置。