JP3268352B2 - ディーゼルエンジンのガバナ - Google Patents

ディーゼルエンジンのガバナ

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JP3268352B2 JP32926396A JP32926396A JP3268352B2 JP 3268352 B2 JP3268352 B2 JP 3268352B2 JP 32926396 A JP32926396 A JP 32926396A JP 32926396 A JP32926396 A JP 32926396A JP 3268352 B2 JP3268352 B2 JP 3268352B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン始動時に
はコントロールラックが始動増量位置に位置するディー
ゼルエンジンのガバナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジンのガバナの従来技術
としては、例えば図13に示すものがある。これは、燃
料噴射ポンプ(P)のコントロールラック(3)をスタート
スプリング(14)で燃料増量方向(R)に付勢し、エンジン
始動時には、スタートスプリング(14)の付勢力でコント
ロールラック(3)が始動増量位置(St)に位置するように
構成してある。
【0003】上記従来技術では、コントロールラック
(3)の始動増量位置(St)を自由に調節できるようにはな
っていない。つまり、従来は、燃料噴射ポンプ(P)にプ
レートをビス止めし、そのプレートに設けた長孔にコン
トロールラック(3)を嵌合させることにより、コントロ
ールラック(3)の移動範囲を規制していた。従って、上
記始動増量位置(St)を変更しようとすると、上記プレー
トを交換するしかなかった。
【0004】このため、エンジン製造時にコントロール
ラック(3)の始動増量位置(St)の調節を行うことは事実
上できなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のガバナによ
れば次の問題がある。 エンジンの製造に際しては製造コストの低減や部品
管理の簡素化などのため、排気量の異なる複数種類のエ
ンジンに単一種類の燃料噴射ポンプPを用いることがあ
る。この場合、コントロールラック(3)の始動増量位置
(St)は、排気量の大きいエンジンであっても容易に始動
できる燃料噴射量の位置に設定しておかなければならな
い。
【0006】このため、上記従来のガバナでは、上記燃
料噴射ポンプ(P)を排気量の小さいエンジンに用いた場
合、エンジン始動時の燃料噴射量が過剰になり、排気に
多量の黒煙が混じることがある。
【0007】 また、同一種類のエンジンであって
も、エンジンの個体差によって適性な始動増量位置(St)
が相違する場合があるが、上記従来のガバナでは、上述
したようにエンジン製造時にコントロールラック(3)の
始動増量位置(St)を調節できないため、始動時の噴射燃
料に過不足が生じ、エンジンによっては排気に多量の黒
煙が混じることや、始動がスムーズに行えないことがあ
る。
【0008】本発明は、エンジンの製造時にコントロー
ルラックの始動増量位置を調節できるディーゼルエンジ
ンのガバナを提供することを目的とする。また、始動増
量位置とトルクアップ上限位置とを同時に調節できるこ
と、トルクアップ装置を有効に利用してガバナ差を小さ
くできながらハンチングを抑制できるようにすることを
目的とする。さらに、コントロールラックの始動増量位
置の調節作業を簡単に行えるようにすることを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】
[請求項1の発明]請求項1の発明は、上記の目的を達
成するために、例えば図1から図4に示すように、次の
ように構成したものである。付勢手段(14)によって燃料
噴射ポンプ(P)のコントロールラック(3)を燃料増量方
向(R)に付勢することにより、エンジン始動時には、コ
ントロールラック(3)が始動増量位置(St)に位置するよ
うに構成したディーゼルエンジンのガバナにおいて、燃
料噴射ポンプ(P)またはコントロールラック(3)に連動
連結されたガバナレバー(1)と対向する機壁(25)に始動
位置調節手段(28)を設け、その始動位置調節手段(28)を
調節操作してコントロールラック(3)またはガバナレバ
ー(1)の燃料増量方向(R)への最大移動量を調節するこ
とにより、コントロールラック(3)の始動増量位置(St)
を調節できるようにしたものである。
【0010】[請求項2の発明]請求項2の発明は、上
記の目的を達成するために上記請求項1の発明の構成に
おいて、例えば図10に示すように、次のように構成し
たものである。ガバナレバーを第1ガバナレバー(1)と
第2ガバナレバー(2)とで構成し、その第1ガバナレバ
ー(1)にコントロールラック(3)を連動連結し、第2ガ
バナレバー(2)をガバナスプリング(7)に連結し、その
第2ガバナレバー(2)にトルクアップ装置(8)を設け、
トルクアップ領域(La)内では、第1ガバナレバー(1)が
燃料制限具(27)に接当した状態で、トルクアップ装置
(8)に設けたトルクピン(22)によって、第2ガバナレバ
ー(2)を燃料増量方向(R)に付勢してコントロールラッ
ク(3)を調量移動させるように構成し、トルクアップ領
域(La)でのコントロールラック(3)のトルクアップ上限
位置(Tu)を調節するトルクアップ調節手段(33)を設け、
そのトルクアップ調節手段(33)の調節操作でコントロー
ルラック(3)のトルクアップ上限位置(Tu)を調節できる
ようにし、始動位置調節手段(28)及びトルクアップ調節
手段(33)として、調節用のボルト(31)を用い、そのボル
ト(31)をコントロールラック3の燃料増減方向(R)(L)
に調節移動自在に構成し、そのボルト(31)で第1ガバナ
レバー(1)を受け止めて、燃料増量方向(R)へのコント
ロールラック(3)の最大移動量を規制するとともに、そ
のボルト(31)でトルクアップ装置(8)のトルクピン(22)
を受け止めて、コントロールラック(3)のトルクアップ
の上限を規制するように構成したものである。
【0011】[請求項3の発明]請求項3の発明は、上
記の目的を達成するために上記請求項2の発明の構成に
おいて、次のように構成したものである。トルクアップ
装置(8)にトルクピン(22)を付勢するトルクスプリング
(24)を設け、ガバナ調量領域(Lb)内では、トルクスプリ
ング(24)が伸縮しながらトルクピン(22)を付勢するよう
に構成したものである。なお、上記ガバナ調量領域(Lb)
では、コントロールラック(3)は、図5などに示す全負
荷相当位置(4/4)と無負荷相当位置(0/4)との間に位置
する。
【0012】[請求項4の発明]請求項4の発明は、上
記の目的を達成するために上記請求項1、2又は3の発
明の構成において、次のように構成したものである。始
動位置調節手段(28)をエンジンの外側から調節操作でき
るようにしたものである。
【0013】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]請求項1の発明は、次の作用効果を
奏する。 エンジンの製造に際しては製造コストの低減や部品
管理の簡素化などのため、排気量の異なる複数種類のエ
ンジンに単一種類の燃料噴射ポンプ(P)を用いることが
ある。この場合、エンジン製造時に始動位置調節手段(2
8)によってコントロールラック(3)の始動増量位置(St)
をエンジンの排気量に応じた適性位置に調節すること
で、エンジン始動の容易性を保てながら、排気に混じる
黒煙の量を減少させることができる。
【00014】 また、同一種類のエンジンであって
も、エンジンの個体差によって適性な始動増量位置(St)
が相違する場合がある。この場合、エンジン製造時に始
動位置調節手段(28)によって個々のエンジン毎にコント
ロールラック(3)の始動増量位置(St)を適性位置に調節
しておけば、エンジンの個体差にかかわらず、始動時の
噴射燃料に過不足が生じることがなく、排気に混じる黒
煙の量を少なくできるうえ、エンジン始動をスムーズに
行うことができる。
【0015】[請求項2の発明]請求項2の発明は、上
記請求項1の発明の作用効果に加え、さらに次の作用効
果を奏する。 エンジンの排気量の相違や個体差によって、始動増
量位置(St)とトルクアップ上限位置(Tu)の適性位置がエ
ンジン毎に相違することがあるが、この場合、調節用の
ボルト(31)を進退調節することにより、始動増量位置(S
t)とトルクアップ上限位置(Tu)とを同時に適性位置に調
節できる。つまり、始動増量位置(St)とトルクアップ上
限位置(Tu)との調節を一本のボルトで同時に行えるの
で、部品の削減及び調節作業の手間の低減を行える。
【0016】[請求項3の発明]請求項3の発明は、上
記請求項2の発明の作用効果に加え、さらに次の作用効
果を奏する。 エンジン発電機の場合、エンジン回転数を一定に維
持して発電周波数の変動を抑制する必要がある。この場
合、ガバナスプリング(7)のバネ定数を小さくすると、
ガバナ力(F)の小さな変動に対しても第1ガバナレバー
(1)の移動量を大きくでき、燃料噴射量の細かい制御が
できる。また、ガバナスプリング(7)のバネ定数を小さ
くすると、無負荷最高回転数(N1)が低くなってエンジ
ンの騒音を低くできる。ところが、ガバナスプリング
(7)のバネ定数を小さくすると、ハンチングが生じやす
くなる。
【0017】これに対し、トルクアップ装置(8)のトル
クスプリング(24)が、ガバナ調量領域(Lb)内で伸縮しな
がらトルクピン(22)を付勢するように構成したことで、
そのトルクスプリング(24)が伸縮する分だけ、第1ガバ
ナレバー(1)がガバナスプリング(7)の伸縮量よりも大
きく移動できる。言い換えると、ガバナスプリング(7)
のバネ定数を大きくしても、ガバナ調量領域(Lb)内での
第1ガバナレバー(1)の大きな移動量を確保できる。
【0018】つまり、トルクアップ装置(8)を有効に利
用してガバナスプリング(7)のバネ定数を大きくするこ
とができ、これによって第1ガバナレバー(1)の大きな
移動量を確保できながらハンチングを抑制できる。この
結果、上記エンジン発電機では、発電周波数を確実に一
定に維持できる。また、無負荷最高回転数(N1)が低く
なってエンジンの騒音を低くできる。
【0019】[請求項4の発明]請求項4の発明は、上
記各請求項の発明の作用効果に加え、さらに次の作用効
果を奏する。 燃料噴射ポンプ(P)をエンジンに組み付けたまま、
エンジンの外側から始動位置調節手段(28)でコントロー
ルラック(3)の始動増量位置(St)を調節できるので、そ
の調節作業を簡単に行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるディーゼル
エンジンのガバナの実施の第1形態について図1から図
4を用いて説明する。図1は上記ガバナを正面から見た
縦断面図、図2は上記ガバナを側面から見た縦断面図、
図3は上記ガバナを上面から見た横断面図、図4は上記
ガバナの斜視図である。
【0021】上記ガバナ(G)は、第1ガバナレバー(1)
と第2ガバナレバー(2)とからなるガバナレバーを有し
ており、そのガバナレバーが、ガバナ力(F)とガバナス
プリング(7)の張力との釣り合い位置へ揺動することに
よって、燃料噴射ポンプ(P)のコントロールラック(3)
を調量移動させ、負荷変動にかかわらずエンジン回転数
を一定に維持するようになっている。
【0022】なお、上記コントロールラック(3)の移動
に対応して、燃料噴射ポンプ(P)からインジェクション
(図示せず)を介して燃焼室内へ噴射される燃料噴射量が
設定される。
【0023】即ち、上記第1ガバナレバー(1)の上端部
を、レバー連結具(4)を介して上記コントロールラック
(3)に連結してある。また、第1ガバナレバー(1)に
は、ガバナスリーブ(5)を介してガバナ力(F)[図1中
では右方向へ働く力]が作用するようになっている。つ
まり、燃料噴射ポンプ(P)はカム軸(6)によって駆動さ
れており、上記ガバナスリーブ(5)は、上記カム軸(6)
に連動して回転移動するスチールボール(図示せず)など
の遠心力を上記ガバナ力(F)に変換するようになってい
る。なお、上記カム軸(6)は、エンジンのクランクシャ
フト(図示せず)に連動して回転するようになっている。
【0024】また、上記第2ガバナレバー(2)の上端部
にはバネ係止部(2a)を設けてあり、そのバネ係止部(2a)
と、調速レバー(12)とに亘ってガバナスプリング(7)を
架着してある。なお、その調速レバー(12)に連結された
調速操作レバー(13)を操作することによって、上記ガバ
ナスプリング(7)の張力が変更されるようになってい
る。
【0025】さらに、第2ガバナレバー(2)にはトルク
アップ装置(8)を設けてあり、第2ガバナレバー(2)
は、トルクアップ装置(8)を介してガバナスプリング
(7)の張力[図1中では左方向へ働く力]を第1ガバナレ
バー(1)に加えて第1ガバナレバー(1)を図1中の左方
向へ付勢するようになっている。そのトルクアップ装置
(8)の詳細な構造については後述する。なお、上記レバ
ー(1)(2)の下端部は、一本の支軸(9)でそれぞれ揺動
自在に支持してある。
【0026】上記レバー連結具(4)には、スタートスプ
リング[付勢手段](14)が接続されており、そのスタート
スプリング(14)の張力[図1中では左方向へ働く力]でレ
バー連結具(4)を付勢するようになっている。また、レ
バー連結具(4)には、停止レバー(15)が当接可能になっ
ており、その停止レバー(15)に連結された停止操作レバ
ー(16)を操作することによって、停止レバー(15)がレバ
ー連結具(4)を図1中の右方向へ強制的に移動させるよ
うになっている。
【0027】さらに、レバー連結具(4)には、図1中の
左右方向に延びる長孔(17)を設けてあり、第1ガバナレ
バー(1)の上端部に固定したピン(18)を上記長孔(17)に
遊嵌した状態で第1ガバナレバー(1)とレバー連結具
(4)とを連結してある。つまり、レバー連結具(4)に
は、第1ガバナレバー(1)を介して上記ガバナスプリン
グ(7)の張力などの図1中の左方向への力が加わるが、
停止レバー(15)でレバー連結具(4)を図1中の右方向へ
強制的に押したときには、そのレバー連結具(4)が、第
1ガバナレバー(1)を置き残した状態で上記長孔(17)に
沿って図1中の右方向へ容易に移動できる。
【0028】続いて、上記トルクアップ装置(8)の詳細
な構造について説明する。即ち、トルクアップ装置(8)
は、上記第2ガバナレバー(2)と一体形成されたピン支
持具(21)と、そのピン支持具(21)によって図1中の左右
方向へ移動可能に支持されたトルクピン(22)とを有して
いる。そのトルクピン(22)には鍔部(23)を設けてあり、
その鍔部(23)とピン支持具(21)との間にトルクスプリン
グ(24)を配置してある。
【0029】一方、上記第1ガバナレバー(1)には接当
片(1a)を設けてあり、その接当片(1a)には上記トルクピ
ン(22)が挿通する孔(1b)を設けてある。そして、トルク
ピン(22)の鍔部(23)が上記接当片(1a)に当接することに
よって、トルクスプリング(24)の弾発力で第1ガバナレ
バー(1)が図1中の左方向へ付勢される。
【0030】また、ガバナ(G)の機壁(25)には、ピーク
トルク制限ボルト(26)を固定してあり、そのピークトル
ク制限ボルト(26)と、上記トルクピン(22)の先端(図1
中では左端)とが当接することで、トルクピン(22)の図
1中の左方への移動を規制するようになっている。
【0031】さらに、上記機壁(25)には、燃料制限ボル
ト(27)と始動燃料制限ボルト[始動位置調節手段](28)と
を固定してあり、その始動燃料制限ボルト(28)と上記レ
バー連結具(4)とが当接することで、そのレバー連結具
(4)の図1中の左方への移動を規制するようになってい
る。また、上記始動燃料制限ボルト(28)は、上記機壁(2
5)に螺着することで固定してあり、図1中の左右方向へ
ネジ作用で進退調節可能になっている。なお、上記始動
燃料制限ボルト(28)は、上記機壁(25)での上記燃料噴射
ポンプ(P)または上記ガバナレバー(1)(2)と対向する
位置に配置してある。
【0032】一方、上記第2ガバナレバー(2)には接当
片(2b)を設けてあり、その接当片(2b)と上記燃料制限ボ
ルト(27)とが当接することで、第2ガバナレバー(2)の
図1中の左方への移動を規制するようになっている。な
お、ピークトルク制限ボルト(26)及び燃料制限ボルト(2
7)は、上記機壁(25)に螺着することで固定してあり、図
1中の左右方向へネジ作用で進退調節可能になってい
る。
【0033】次に、上記始動燃料制限ボルト(28)の作用
について説明する。即ち、上記スタートスプリング(14)
の張力で上記レバー連結具(4)が図1中の左方へ引っ張
られたときに、レバー連結具(4)が上記始動燃料制限ボ
ルト(28)に当接することで、レバー連結具(4)の図1中
の左方への移動、即ち、コントロールラック(3)の燃料
噴射量の増加方向への移動が規制される。
【0034】その始動燃料制限ボルト(28)は、図5に示
すように、次のように調節される。なお、図5は上記始
動燃料制限ボルト(28)でのコントロールラック(3)の始
動増量位置(St)の調節を説明するための模式図である。
【0035】即ち、エンジン始動を行いながら始動燃料
制限ボルト(28)を回し、その始動燃料制限ボルト(28)を
上記コントロールラック(3)の移動方向[図5中では左
右方向]に進退移動させることにより、エンジン始動時
でのコントロールラック(3)を、エンジンが容易に始動
でき、且つ、そのエンジン始動時に黒煙が発生しにくく
なる位置に調節する。このときのコントロールラック
(3)の位置が、燃料噴射量が最大となる始動増量位置(S
t)になる。
【0036】次いで、上記ガバナの作用を図5から図9
を用いて説明する。なお、図6は上記コントロールラッ
ク(3)のトルクアップ上限位置(Tu)での状態を示す模式
図、図7は上記コントロールラック(3)の全負荷相当位
置(4/4)での状態を示す模式図、図8は上記コントロー
ルラック(3)の無負荷相当位置(0/4)での状態を示す模
式図である。図9はエンジン回転数(N)に対する上記コ
ントロールラック(3)の位置を示すグラフである。
【0037】エンジン始動時には、上記ガバナ力(F)が
発生していないので、レバー連結具(4)は、上記スター
トスプリング(14)の張力で燃料増量側(R)[図5中では
左方]へ引っ張られ、上記始動燃料制限ボルト(28)に当
接している(図5の状態)。このときのコントロールラッ
ク(3)の始動増量位置(St)に対応した燃料噴射量でエン
ジンが始動される。
【0038】そして、エンジン始動後に上記ガバナ力
(F)が発生することで、第1ガバナレバー(1)が燃料減
量側(L)[図5中では右側]へ移動する。すると、コント
ロールラック(3)は、トルクアップ領域(La)を経て(図
6と図7とを参照)、エンジン回転数が無負荷最高回転
数(N1)と全負荷最高回転数(N2)との間となるガバナ調
量領域(Lb)内へ移動する。
【0039】このガバナ調量領域(Lb)内では、上記ガバ
ナ力(F)に対して、トルクスプリング(24)の弾発力及び
ガバナスプリング(7)の張力の合力(以下、バネ合力と
いう)が対抗し、上記ガバナ力(F)と上記バネ合力との
釣り合う位置で第1ガバナレバー(1)が停止する。つま
り、その釣り合い位置でのコントロールラック(3)に対
応した燃料噴射量でエンジンが運転され、エンジンの負
荷の増減にかかわらず、エンジン回転数が一定に維持さ
れる。
【0040】なお、エンジンが無負荷運転の場合、エン
ジンは図9に示す無負荷最高回転数(N1)まで上昇し、
第1ガバナレバー(1)が図8に示す位置まで移動し、コ
ントロールラック(3)は無負荷相当位置(0/4)になり、
燃料噴射量は最小になる。また、エンジンが全負荷運転
の場合には、エンジンは図9に示す全負荷最高回転数
(N2)まで低下し、第1ガバナレバー(1)が図7に示す
位置まで移動し、コントロールラック(3)は全負荷相当
位置(4/4)になる。
【0041】一方、エンジンが過負荷運転となり、コン
トロールラック(3)が全負荷相当位置(4/4)になっても
トルクが不足するときには、エンジン回転数が全負荷最
高回転数(N2)よりもさらに低下し、コントロールラッ
ク(3)はトルクアップ領域(La)内に移動する。この際、
第2ガバナレバー(2)の接当片(2b)は、上記燃料制限ボ
ルト(27)で受け止められており(図7参照)、第1ガバナ
レバー(1)にはトルクスプリング(24)の弾発力のみが付
勢される。
【0042】そのトルクアップ領域(La)内では、ガバナ
調量領域(Lb)内のときよりも燃料噴射量が増加してエン
ジンが粘り強く運転継続される。また、第1ガバナレバ
ー(1)には、トルクスプリング(24)の比較的小さい弾発
力のみが付勢されており、エンジン回転数の低下割合に
対する燃料噴射量の増加割合が小さくなって(図9参
照)、エンジン回転数が低下したままとなる。そして、
そのときのエンジン音の低下で操作者に過負荷運転であ
ることが報知される。
【0043】なお、過負荷によってエンジン回転数がさ
らに低下してコントロールラック(3)がガバナ調量領域
(Lb)よりもさらに燃料増量側(R)へ移動した場合には、
上記ピークトルク制限ボルト(26)によってトルクアップ
装置(8)のトルクピン(22)が受け止められ(図6参照)、
第1ガバナレバー(1)には上記トルクスプリング(24)の
弾発力も付勢されなくなる。このため、ガバナ力(F)が
小さくても第1ガバナレバー(1)が図6の位置で留ま
り、図9に示すように、上記コントロールラック(3)は
トルクアップ上限位置(Tu)で維持される。つまり、エン
ジン回転数が最大トルク回転数(N3)よりも低下したと
きには燃料噴射量の増加が停止される。
【0044】なお、エンジンを停止させるために停止操
作レバー(16)を操作したときには、停止レバー(15)がレ
バー連結具(4)を燃料減量側(L)へ強制的に押して、コ
ントロールラック(3)が燃料カット位置(Sp)へ移動す
る。これにより、燃料の噴射が停止してエンジンが停止
する。
【0045】ここで、上記トルクアップ装置(8)の作用
について説明する。即ち、上記トルクアップ装置(8)で
は、ガバナ調量領域(Lb)内でトルクスプリング(24)が伸
縮可能になっているため、第1ガバナレバー(1)の燃料
減量側(L)への移動量は、ガバナスプリング(7)が燃料
減量側(L)へ伸びた分と、トルクスプリング(24)が燃料
減量側(L)へ縮まった分との和になり、同様に第1ガバ
ナレバー(1)の燃料増量側(R)への移動量は、ガバナス
プリング(7)が燃料増量側(R)へ縮まった分と、トルク
スプリング(24)が燃料増量側(R)へ伸びた分との和にな
る。
【0046】つまり、トルクスプリング(24)が伸縮する
分だけ第1ガバナレバー(1)はガバナスプリング(7)の
伸縮量よりも大きく移動できる。言い換えると、ガバナ
スプリング(7)のバネ定数を大きくしても、第1ガバナ
レバー(1)の大きな移動量を確保できる。
【0047】なお、上記説明では、上記始動燃料制限ボ
ルト(28)がレバー連結具(4)に当接して上記コントロー
ルラック(3)の燃料増量側(R)への移動を規制したが、
上記始動燃料制限ボルト(28)が第1ガバナレバー(1)に
当接することでコントロールラック(3)の燃料増量側
(R)への移動を規制するように構成してもよい。
【0048】次に、本発明にかかるディーゼルエンジン
のガバナの実施の第2形態について図10から図12を
用いて説明する。図10は上記ガバナを正面から見た縦
断面図、図11は上記コントロールラック(3)のトルク
アップ上限位置(Tu)での状態を示す模式図、図12は上
記コントロールラック(3)の始動増量位置(St)での状態
を示す模式図である。なお、図1と同一符号を付したも
のは図1と同一の機能を有する。
【0049】この実施の第2形態は、上述の実施の第1
形態とほぼ同様の構成をなし、異なる点は、上記始動燃
料制限ボルト(28)と上記ピークトルク制限ボルト(26)と
に代えて、一本の移動規制ボルト(31)で、上記第1ガバ
ナレバー(1)を受け止めるとともに、上記トルクアップ
装置(8)のトルクピン(22)を受け止めるように構成した
点である。
【0050】つまり、上記移動規制ボルト(31)は、その
先端面(32)で第1ガバナレバー(1)の接当片(1a)を受け
止め可能であるとともに、その先端面(32)の一部を燃料
増量側(R)へ後退させて形成したトルクピン受止部(33)
で上記トルクピン(22)を受け止め可能に構成してある。
【0051】また、上記移動規制ボルト(31)は、上記機
壁(25)に螺着することで固定してあり、噴射燃料の増減
方向[図10中では左右方向]へネジ作用で進退調節可能
になっている。これにより、第1ガバナレバー(1)の受
け止め位置と、トルクピン(22)の受け止め位置とを同時
に適性位置に調節できる。
【0052】次いで、上記移動規制ボルト(31)の作用に
ついて図11と図12とを用いて説明する。なお、移動
規制ボルト(31)は、上述の実施の第1形態での上記始動
燃料制限ボルト(28)と上記ピークトルク制限ボルト(26)
との作用を合わせ持つものであり、ガバナ(G)としては
上述の実施の第1形態と同様に動作する。
【0053】即ち、エンジンの過負荷運転によって、エ
ンジン回転数が最大トルク回転数(N3)まで低下する
と、図11に示すように、移動規制ボルト(31)のトルク
ピン受止部(33)で上記トルクピン(22)が受け止められ
る。また、エンジン始動時には、図12に示すように、
レバー連結具(4)は、移動規制ボルト(31)の先端面(32)
で受け止められている。このときのコントロールラック
(3)の位置が始動増量位置(St)となる。
【0054】このように、一本の移動規制ボルト(31)
で、上記始動燃料制限ボルト(28)と上記ピークトルク制
限ボルト(26)とを兼ねるので、ガバナの部品数を減らす
ことができ、また、エンジン製造時の調節作業を低減で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるディーゼルエンジンのガバナの
実施の第1形態を示すものであり、上記ガバナを正面か
ら見た縦断面図である。
【図2】上記ガバナを側面から見た縦断面図である。
【図3】上記ガバナを上面から見た横断面図である。
【図4】上記ガバナの斜視図である。
【図5】上記ガバナの始動燃料制限ボルトによるコント
ロールラックの始動増量位置の調節を説明するための模
式図である。
【図6】上記のコントロールラックのトルクアップ上限
位置での状態を示す模式図である。
【図7】上記コントロールラックの全負荷相当位置での
状態を示す模式図である。
【図8】上記コントロールラックの無負荷相当位置での
状態を示す模式図である。
【図9】エンジン回転数に対する上記コントロールラッ
クの位置を示すグラフである。
【図10】本発明にかかるディーゼルエンジンのガバナ
の実施の第2形態を示すものであり、上記実施の第2形
態のガバナを正面から見た縦断面図である。
【図11】上記実施の第2形態のガバナでのコントロー
ルラックのトルクアップ上限位置での状態を示す模式図
である。
【図12】上記実施の第2形態のガバナでのコントロー
ルラックの始動増量位置での状態を示す模式図である。
【図13】従来のガバナを示す模式図である。
【符号の説明】
1…第1ガバナレバー、2…第2ガバナレバー、3…コ
ントロールラック、7…ガバナスプリング、8…トルク
アップ装置、14…スタートスプリング(付勢手段)、22…
トルクピン、24…トルクスプリング、25…機壁、28…始
動燃料制限ボルト(始動位置調節手段)、31…移動規制ボ
ルト、32…移動規制ボルトの先端面、33…トルクピン受
止部、La…トルクアップ領域、Lb…ガバナ調量領域、P
…燃料噴射ポンプ、R…燃料増量方向、St…始動増量位
置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 1/02 321 F02D 31/00 301 F02M 59/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 付勢手段(14)によって燃料噴射ポンプ
    (P)のコントロールラック(3)を燃料増量方向(R)に付
    勢することにより、エンジン始動時には、上記コントロ
    ールラック(3)が始動増量位置(St)に位置するように構
    成したディーゼルエンジンのガバナにおいて、 上記燃料噴射ポンプ(P)または上記コントロールラック
    (3)に連動連結されたガバナレバー(1)と対向する機壁
    (25)に始動位置調節手段(28)を設け、その始動位置調節
    手段(28)を調節操作して上記コントロールラック(3)ま
    たは上記ガバナレバー(1)の燃料増量方向(R)への最大
    移動量を調節することにより、上記コントロールラック
    (3)の始動増量位置(St)を調節できるようにした、 ことを特徴とするディーゼルエンジンのガバナ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のディーゼルエンジンの
    ガバナにおいて、 前記ガバナレバーを第1ガバナレバー(1)と第2ガバナ
    レバー(2)とで構成し、その第1ガバナレバー(1)に前
    記コントロールラック(3)を連動連結し、上記第2ガバ
    ナレバー(2)をガバナスプリング(7)に連結し、その第
    2ガバナレバー(2)にトルクアップ装置(8)を設け、 トルクアップ領域(La)内では、上記第1ガバナレバー
    (1)が燃料制限具(27)に接当した状態で、上記トルクア
    ップ装置(8)に設けたトルクピン(22)によって、上記第
    2ガバナレバー(2)を燃料増量方向(R)に付勢して上記
    コントロールラック(3)を調量移動させるように構成
    し、 上記トルクアップ領域(La)での上記コントロールラック
    (3)のトルクアップ上限位置(Tu)を調節するトルクアッ
    プ調節手段(33)を設け、そのトルクアップ調節手段(33)
    の調節操作で上記コントロールラック(3)のトルクアッ
    プ上限位置(Tu)を調節できるようにし、 前記始動位置調節手段(28)及び上記トルクアップ調節手
    段(33)として、調節用のボルト(31)を用い、そのボルト
    (31)を上記コントロールラック3の燃料増減方向(R)
    (L)に調節移動自在に構成し、そのボルト(31)で上記第
    1ガバナレバー(1)を受け止めて、燃料増量方向(R)へ
    の上記コントロールラック(3)の最大移動量を規制する
    とともに、そのボルト(31)で上記トルクアップ装置(8)
    のトルクピン(22)を受け止めて、上記コントロールラッ
    ク(3)のトルクアップの上限を規制するように構成し
    た、 ことを特徴とするディーゼルエンジンのガバナ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のディーゼルエンジンの
    ガバナにおいて、 前記トルクアップ装置(8)に前記トルクピン(22)を付勢
    するトルクスプリング(24)を設け、 ガバナ調量領域(Lb)内では、上記トルクスプリング(24)
    が伸縮しながら上記トルクピン(22)を付勢するように構
    成した、 ことを特徴とするディーゼルエンジンのガバナ。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載のディーゼル
    エンジンのガバナにおいて、 前記始動位置調節手段(28)をエンジンの外側から調節操
    作できるようにした、 ことを特徴とするディーゼルエンジンのガバナ。
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