JPS6324972B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

この発明は、酵素入り入浴剤の製法に関する。 従来、入浴剤中に酵素を混合して酵素特有の活
性力機能により、人体組織の蛋白質硬固を軟化さ
せ皮下組織にまで温湯効果を及ぼし、血管組織の
柔軟化による血行促進を行い、あるいは、入浴基
剤の効用を促進して、疲労回復等を行うようにし
た入浴剤は広く知られているものであるが、従来
の入浴剤中に酵素を混合する方法は、単に、入浴
剤の主基剤、例えば、炭酸水素ナトリウム、塩化
ナトリウム等のナトリウム素材と、色素と、香料
との混合物中に、単に酵素を混入しているのみで
あるため、入浴剤にとつては、重要な要素の一つ
である配合色素の安定性を欠き、更には、酵素自
身の安定性も良くなく、蛋白分解機能を有した酵
素が経時変化によつて、分解能力が低下し、所望
の効用を発揮できないおそれがあり、実際に効
果、効能としてうたわれている皮膚の清浄化、入
浴に使用する風呂釜内部の汚損の防止、残り湯を
洗濯湯に使用する場合の洗浄促進効果等が充分に
得られなかつた。 この発明では、酵素入りの入浴剤の組成中に、
特に、生薬チンピ及び／又は生薬オウバクを混合
し、しかも、酵素自体も微生物起源の蛋白分解酵
素を使用し、これらの酵素と、生薬チンピ及び／
又は生薬オウバクの成分の組合わせにより、相互
作用をもつともよく発揮して、酵素を安定させ蛋
白分解作用を促し、色素の安定もよく、所望の色
彩を具有させ、従来の酵素含有の入浴剤にはない
特有の効果を生起しうる酵素入り入浴剤の製法を
提供せんとするものである。 この発明の実施例を詳説すれば、入浴剤の基剤
とし、ナトリウム系素材中、炭酸水素ナトリウム
85％、塩化ナトリウム0.5％〜1.5％を使用し、こ
れにホウ砂１〜３％を混合し、更には、酵素中で
特に微生物起源の蛋白分解酵素たとえば、放線菌
プロテアーゼ、黒麹菌プロテアーゼ、ASPプロ
テアーゼ等の酵素５〜10％を混合し、同時に、生
薬として、チンピ末及びオウバクエキスを約５〜
10％混合する。なお、生薬としては、これら以外
にも、ニンジン末、シヤクヤク末、コウボク末等
を混合することもできる。 ここで、生薬チンピとしては、うんしゆうミカ
ン又はその他近縁植物の成熟した果肉をいう。 上記した炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウ
ム、ホウ砂、蛋白分解酵素、生薬末等を撹拌機に
より混合したものに、色素溶解剤としてのプロピ
レングリコール約１％に色素約0.1％を溶解した
ものを混合し、次いで、香料約１％を更に混合し
て完成する。 尚、色素は、単一色をそのまま使用する場合
と、例えば青色と黄色の色素を混合して緑色とし
た混合色素として使用する場合とがある。 同方法により製造された酵素入り入浴剤は、酵
素安定性、色素安定性、保温性、並びに風呂の残
り湯を洗濯に用いた場合の洗浄力について優れた
効果を奏するものであり、かかる効果の証明とし
て上記例を具体的な４種の配合例に設定し、各効
果についての実験データをとつた。この４種の配
合例は下記の通りであり、また別途に生薬末及び
生薬エキスを除いたコントロールの配合も設定し
た。

【表】 １ 酵素安定性 保存条件を40℃及び室温とに設定し、それぞれ
について「アンソン−萩原氏変法」によつて活性
測定をおこなつた。１分間当りチロジン1μｇに
相当する呈色度を示すものを１単位としたASP
プロテアーゼの残存活性率の測定結果を表１−
１、表１−２、グラフ１−１、グラフ１−２とし
て示す。 かかるデータより、40℃、60日後のASPプロ
テアーゼ残存率がコントロールでは0.4％の低い
残存率であるのに対し、特に実施例３では51.2
％、実施例４では70.2％の高い残存率を示し、生
薬成分がASPプロテアーゼの安定化に寄与して
いることが確認された。また室温でのデータから
も実施例１乃至実施例４はコントロールと比例し
て、ASPプロテアーゼの安定化に優れているこ
とが確認された。 ２ 色素安定性 保存温度を40℃とし、黄色202号の(1)及び青色
１号の色素残存率を測定した。測定は黄色202号
の(1)は490ｍμ、青色１号は630ｍμの最大吸収波
長によつてそれぞれの吸光度を測定して行つた。
測定結果を表２−１、表２−２、グラフ２−１、
グラフ２−２として示す。 かかるデータより黄色202号の(1)、青色１号の
両色素共に、生薬成分の配合により安定性を確保
しうることが確認された。特に色素のうちでも退
色が著しいとされる青色１号の色素残存率も40℃
80日でコントロールは10.9％の低い残存率である
のに対し、実施例１乃至実施例４のいずれもが70
％以上の高い残存率を示している。 ３ 保温性 実施例３と市販の生薬末を含まない酵素入り入
浴剤、及び市販の酵素を含まない生薬末配合入浴
剤を健常者30名を対象に感覚試験を行つた。 試験結果は下記の通りであり、表中（−）は全
く保温効果がなく、（＋）はやや効果があり、
（）は効果が強いことを表わし、数字はそれぞ
れの人数を示す。

【表】 上記のように本発明実施例３は市販の２種に比
べて明らかに保温効果に優れることが明らかにな
つた。 ４ 洗浄力 本発明実施例３と２種の市販の酵素入り入浴剤
A.Bをそれぞれ0.5％の水溶液とし、タンパク
（ミルクカゼイン使用）汚染布のタンパク質を酵
素が分解することにより産生されるアミノ酸（チ
ロシン）の量を測定した。測定結果をグラフ３に
示す。 かかるデータより本発明実施例３は市販の２種
の酵素入り入浴剤A.Bに比較して、高いタンパク
分解力を示しており、実施例３を使用した風呂の
残り湯を洗濯水として使用した場合、衣類のタン
パク質を分解する作用が強いことを示している。 この発明の実施例は前記のようにして製造され
るものであり、生薬成分が微生物起源の蛋白質分
解酵素に作用して酵素の安定化をはかり蛋白質分
解能力の低下をまくのを防止しており、かかる酵
素の安定化によつて皮膚組織の蛋白質硬固を軟化
する作用はもとより、皮膚の正常化その他の作用
を発揮し、また、生薬チンピ及び／又は生薬オウ
バクによつて色素の安定化もはかり、特に、配合
色素は色調が安定して退色の防止を行え、酵素、
色素共に経時的変化を防止しうるものであり、更
には入浴における保温性も向上するものである。 要するに、この発明によれば、微生物起源の蛋
白質分解酵素と、生薬チンピ及び／又は生薬オウ
バクにナトリウム系素材を混合し、目的に応じ
て、これに、色素香料を混合して酵素入り入浴剤
を製造するものであるから、酵素と生薬チンピ及
び／又は生薬オウバクとの相互作用により酵素は
生薬チンピ及び／又は生薬オウバクによつて分解
能力の安定化をはかり、生薬チンピ及び／又は生
薬オウバクは酵素の蛋白質分解能力によつて、組
織蛋白質が分解されやすくなり、生薬末又は生薬
エキスの機能を向上させることができ、更には、
色素の安定性もはかることができ生薬チンピ及
び／又は生薬オウバクの保温作用と相俟つて酵素
入り入浴剤に特有の酵素機能の向上、色素の色調
安定により入浴壮快感、皮膚組織の柔軟化にとも
なう皮膚の正常化をはかることができ、しかも、
生薬チンピ及び／又は生薬オウバクによる蛋白分
解酵素の安定により、酵素の蛋白分解能力が促進
され、残り湯による洗濯の容易性、風呂釜の汚れ
の払拭等の点で、従来の単なる一般酵素入り入浴
剤と比し、はるかに優れた効果を奏することがで
きる。

【表】

【表】

【表】

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Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 微生物起源の蛋白分解酵素と、ナトリウム系
   素材と、生薬チンピ及び／又は生薬オウバクを配
   合したことを特徴とする酵素入り入浴剤の製法。