JPS6312603Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、貨幣収納信号として交換局から送出
される転極パルス信号の切断時間における押ボタ
ンダイヤル発振器の駆動電流を補償するためのコ
ンデンサを備えた押ボタンダイヤル電話機回路に
関し、特に、押ボタンダイヤル発振器（以下、
PB信号発振器と略称する）の押ボタン操作時に
起り得る異常発振を防止するようにした異常発振
防止回路を有する押ボタンダイヤル電話機回路に
関するものである。

第１図は、従来の押ボタンダイヤル電話機の主
要部を示す回路図である。同図において、L₁，
L₂は交換局の局線に接続する電話機端子、HSは
フツクスイツチで、送受話器を上げることにより
動作して掛戻すまで動作する接点、Ｍは応答監視
用リレーで、端子L₂に印加されるパルスの極性
が（＋）になつたとき動作し動作後通話終了まで
保持されて、送受話器を掛戻すことにより復旧す
る機能を備えている。CCLは送受話器を上げた
後硬貨の投入により機械的に動作し、送受話器を
掛戻すまで動作保持している接点であり、m¹〜
m³は応答監視用リレーＭの接点である。この応
答監視用リレーＭと接点m¹〜m³は、発信者の発
信時から被呼者の応答時までの間だけ後述する通
話補償用のコンデンサC₁を通話回路と切り離し、
コンデンサC₁の最初の充電に起因する後述のPB
信号発振器Ｏの駆動電圧の不足を補償するための
ものである。D₁，D₂は電流方向検出用ダイオー
ド、Ｔは送話器、Ｒは受話器である。Ｄは端子
L₁，L₂に印加される転極パルスの極性が変つて
もPB信号発振器Ｏに一定方向の電流が流れるよ
うに接続されたダイオードD₃〜D₆よりなるダイ
オードブリツジ回路を示し、Ｃは上記ブリツジ回
路Ｄの出力端子間に接続された駆動電流補償用コ
ンデンサ、Ｌはクリツク電流を阻止するコイル、
ＯはPB信号発振器であり、該PB信号発振器Ｏは
周波数接点Pfと共通接点Pcよりなる押ボタンダ
イヤルＰの操作により２周波のPB信号を発振し
得るように構成されている。ZDは前記駆動電流
補償用コンデンサC₁の充電に必要な電圧を加え
るための高抵抗素子として用いられているツエナ
ーダイオードであり、OLは緊急通報時における
硬貨未投入で回路が動作している際に、ダイヤル
桁数が緊急通報用のダイヤル桁数と一致している
か否かを監視するための桁数監視リレーで、C₂
は交流バイパスコンデンサである。

このように構成された電話機が自即公衆電話機
として使用される場合、貨幣収納信号としては一
般的に第３図に示すような通話電流を逆転する直
流の転極パルスが用いられている。この転極パル
スは、局内機器と端末機器間の信号送受信時にお
ける雑音を低減するために、転極前後に数10ms
の電流切断時間tcが設けられてあるが、この切断
時間tcによつて電話機側において通話の切断が生
じないように、また、切断時間tcによつてPB信
号自体を通信手段として使用している際にPB信
号発振器Ｏの発振不能が生じないように、ダイオ
ードブリツジ回路ＤとPB信号発振器Ｏとの線路
間にコンデンサC₁を接続せしめて、このコンデ
ンサC₁の充放電を利用することにより通話電流
及びPB発振器Ｏの動作電流を補償している。

また、送話器Ｔは抵抗値が小さいため該送話器
Ｔを上記コンデンサC₁と単に並列に接続した場
合には、コンデンサC₁には充電に必要な電圧が
加えられないので、上記送話器Ｔには直列にツエ
ナーダイオードZD等による高抵抗素子が設けら
れている。しかしながら、こうした高抵抗素子を
送話器Ｔと直列に接続した場合には、押ボタンダ
イヤルＰの操作時に共通接点Pcが三点接触する
とPB信号発振器Ｏが異常発振を起すという問題
点があつた。すなわち、押ボタンダイヤルＰを操
作すると、共通接点PcによりPB信号発振器Ｏ
と、送話器Ｔ側の回路とのON状態が入れ代るの
であるが、このON状態が入れ代る途中に共通接
点Pcが三点接触する時間tsが存在する。然して、
この三点接触の状態はPB信号発振器Ｏとツエナ
ーダイオードZDとが並列接続された状態を作り、
PB信号発振器Ｏには中途半端な電圧が加えられ
ることになる。従つて、PB信号発振器Ｏは第４
図に示すように正常な発振波W₁のほかに三点接
触による異常な発振波W₂を発振し、この異常な
発振波W₂が信号として誤認されるおそれがあり、
特にPB信号発振器Ｏとして集積回路を用いた場
合には顕著なものとなつてきた。

本考案は以上のような点に鑑みてなされたもの
であり、送話器回路を流れる電流の有無を検出す
る検出素子と、該検出素子により制御されるスイ
ツチ素子を用いて、押ボタンダイヤルの共通接点
が三点接触した際に、送話器回路とPB信号発振
器とが並列に接続されると共に、その並列接続に
対して高抵抗素子が直列に接続され、また押ボタ
ンダイヤルの共通接点が送話器回路を開放した際
に上記スイツチ素子により高抵抗素子が短絡され
る構成とすることにより、PB信号発振器が異常
発振を起すおそれのない押ボタンダイヤル電話機
回路を提供することを目的とするものである。

次に、図面を用いて本考案を詳細に説明する。

第２図は、本考案に係る回路を有する公衆電話
機回路の一実施例を示す主要部の回路図であり、
第１図と同様の箇所には同等の符号を用いてあ
る。

図において、高抵抗素子としてのツエナーダイ
オードZDは、ダイオードブリツジ回路Ｄと共通
接点Pc間に、応答監視用リレーＭの接点m³を介
して直列に挿入されており、また送話器Ｔには、
該送話器Ｔを流れる電流の有無を検出する検出素
子１としての送話器電流監視用リレーＡが直列に
接続されている。さらに、上記検出素子１により
制御されるスイツチ素子２としての接点a¹が、上
記ツエナーダイオードZDと接点m³との直列接続
に対して、並列接続となるように挿入されてい
る。この接点m³は、上記送話器Ｔを流れる電流
がOFF状態となつた際に、ツエナーダイオード
ZD及び接点m³の回路を短絡するように設定され
ている。

次に、以上説明した構成による回路の動作を説
明する。

まず発信者が送受話器を電話機本体のフツクス
イツチHSから外して貨幣を投入すると、 端子L₁（＋）→フツクスイツチHS→ダイオー
ドD₁→接点CCL→ダイオードD₆→コイルＬ→送
話器Ｔ→送話器電流監視用リレーＡ→共通接点
Pc→接点m³→ダイオードD₃−端子L₂（−）の回
路で硬貨投入ループが形成され、このループで発
振が可能となる。ここで押ボタンダイヤルＰを操
作すると共通接点Pcが閉じられてPB信号発振器
Ｏに電流が流れ、PB信号が発生し、ここで被呼
者が応答すると応答監視用リレーＭが動作して接
点m²，m³が切換えられる。こうしてツエナーダ
イオードZDの高抵抗によりコンデンサC₁に充電
が行われ、通話中に転極パルスが送られてきて
も、上記コンデンサC₁の充電電流により通話は
切断されることがないものとされている。さら
に、この転極パルスが送られてくる通話状態にお
いて押ボタンダイヤルＰを操作すると、共通接点
Pcが三点接触する状態が生ずるが、この三点接
触の状態は、PB信号発振器Ｏと、低抵抗値を有
する送話器Ｔとが並列接続され、さらにこの並列
接続に対して高抵抗素子としてのツエナーダイオ
ードZDが直列に接続された状態であるため、PB
信号発振器Ｏには中途半端な電圧が加えられるお
それがない。従つて、三点接触の際に異常発生は
起り得ないものとなつている。

また、共通接点Pcが完全に押されている状態、
すなわち送話器Ｔ回路の電流がOFF状態となる
と送話器電流監視用リレーＡが動作して、接点a¹
がツエナーダイオードZDを短絡させる。従つて、
PB信号発振器Ｏを動作させるのに充分な電圧が、
そのPB信号発振器Ｏに加えられ、これによりPB
信号発振器Ｏは安定した発振が行われる。

なお、本考案は上述した実施例に限定されるも
のではなく、要旨を変更しない範囲で種々の変更
を行うことができる。例えば検出素子１とスイツ
チ素子２との間の伝達手段として光を用いること
ができ、また第６図及び７図に示すようにトラン
ジスタなどの半導体素子を用いて、送話器Ｔを流
れる電流のOFF状態を検出し、ツエナーダイオ
ードZDを短絡させる構成とすることができる。

すなわち第６図において、Tr₁は検出素子１と
してのトランジスタ、Tr₂・Tr₃はスイツチ素子
２としてのトランジスタ、r₁・r₂は抵抗である。
上記トランジスタTr₁のエミツタは送話器Ｔに接
続され、ベースが共通接点Pcに接続されている。
従つて、共通接点Pcが押動操作されていない状
態においては、トランジスタTr₁には送話器Ｔを
流れる電流がベース電流として流れ、トランジス
タTr₁はON状態となつている。故に、トランジ
スタTr₂がON状態で、トランジスタTr₃がOFF
状態となつている。こうしてツエナーダイオード
ZDは非短絡状態とされている。この状態は共通
接点Pcが三点接触した状態においても変わらず、
発振器Ｏの動作は停止した状態を保つている。一
方、共通接点Pcが完全に押動操作された状態に
おいては、トランジスタTr₁のベース電流が遮断
されるので、トランジスタTr₂がOFF状態でトラ
ンジスタTr₃がON状態となる。こうしてツエナ
ーダイオードZDの両端は短絡状態となり、発振
器Ｏには充分な動作電圧が加えられ、安定した発
振が行われる。

また、第７図において、Tr₄は検出素子１とし
てのトランジスタ、Tr₅はスイツチ素子２として
のトランジスタ、r₃・r₄は抵抗、C₃は雑音防止用
コンデンサである。この回路において、共通接点
Pcが押動操作を行つていない状態においては、
トランジスタTr₄はその共通端子Pcによりベース
−エミツタ間が短絡され、OFF状態とされてお
り、これによりトランジスタTr₅がOFF状態とさ
れている。従つてツエナーダイオードZDは非短
絡状態とされており、この状態は共通接点Pcが
三点接触した状態においても変わらず、発振器Ｏ
の動作は停止した状態を保つている。一方、共通
接点Pcが完全に押動操作された状態においては、
上記トランジスタTr₄のベース−エミツタ間の短
絡状態が解除され、トランジスタTr₄及びトラン
ジスタTr₅がON状態となる。こうしてツエナー
ダイオードZDの両端は短絡状態となり発振器Ｏ
には充分な動作電圧が加えられ、安定した発振が
行われる。

以上説明したように、本考案によれば送話器回
路を流れる電流の有無を検出する検出素子と、該
検出素子により制御されるスイツチ素子を用い
て、押ボタンダイヤルの共通接点が三点接触した
際に、送話器回路とPB信号発振器とが並列に接
続されると共に、その並列接続に対して高抵抗素
子が直列に接続され、また押ボタンダイヤルの共
通接点が送話器回路を開放した際に上記スイツチ
素子により高抵抗素子が短絡される構成としたの
で、押ボタン操作時にPB信号発振器に中途半端
な電圧が加わることがなく、これによりPB信号
発振器が異常発振を起すおそれのない押ボタンダ
イヤル電話器回路を提供することができる効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の押ボタンダイヤル電話機の主要
物を示す回路図、第２図は本考案に係る回路を有
する公衆電話機回路の一実施例を示す主要部の回
路図、第３図は一般に貨幣収納信号として用いら
れている転極パルス信号の波形図、第４図は従来
の回路の発振波形を説明する波形説明図、第５図
は本考案に係る回路の発振波形を説明する波形説
明図、第６図及び第７図は検出素子とスイツチ素
子としてトランジスタを用いた場合の実施例を示
す要部回路図である。 Ｏ……押ボタンダイヤル発振器、Ｃ……駆動電
流を補償するためのコンデンサ、Ｔ……送話器回
路を構成する送話器、ZD……高抵抗素子として
のツエナーダイオード、Ｐ……押ボタンダイヤ
ル、Pc……共通接点、１……検出素子、２……
スイツチ素子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 転極パルス信号の切断時間における押ボタンダ
   イヤル発振器の駆動電流を補償するためのコンデ
   ンサ、及びこのコンデンサの充電に必要な電圧を
   加えるための高抵抗素子を備えた押ボタンダイヤ
   ル電話機回路において、送話器回路を流れる電流
   の有無を検出する検出素子と、該検出素子により
   制御されるスイツチ素子を有しており、上記押ボ
   タンダイヤルの共通接点が三点接触した際に、送
   話器回路と押ボタンダイヤル信号発振器とが並列
   に接続されると共に、この並列接続に対して高抵
   抗素子が直列に接続され、また上記押ボタンダイ
   ヤルの共通接点が上記送話器回路を開放した際に
   前記スイツチ素子により上記高抵抗素子が短絡さ
   れる回路構成とされたことを特徴とする押ボタン
   ダイヤル電話機回路。