JPS62616Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 産業上の利用分野 この実用新案登録出願に係る考案（以下、「本
願考案」と略称する）は、押え金（上下に重合し
た二枚の布を針板の上面へ押しつける弾性力を受
け、且つ水平の一軸線を中心に揺動可能とする）
と、上下送り歯（針板と押え金の各上下開放溝か
ら上下に相対的に逆方向に出没し、且つ同方向へ
前後動する）、とにより上下の布を挾んで送るよ
うに構成したミシンにおいて、上布のみにひだを
寄せて下布に縫いつける技術に関するものであ
る。

Ｂ 従来の技術 従来は、第１図に示すように、針板１の上方に
おいて、布送り方向の手前の基端２を機枠に固定
し中間部を針板１に平行に配置した平坦状の平板
３の布送り方向先方の自由端４をして、押え金５
の針６が上下動するように上下に貫通した針孔７
を含め下へ開いた開口８の布送り方向の手前端付
近に配置し、上布９と下布１０とを平板３の上下
面に誘導し、上送り歯１１を下送り歯１２よりも
早く前進すると、上布９は押え金５の開口部８の
内部で折り曲つてひだ部９ａを形成し針６の糸に
より下布１０に縫いつけられる。

しかし上布９は、ひだ部９ａは折曲によつてひ
だの未形成部９ｂよりも高くなるので、押え金５
の下面はその下方への弾性力に抗して、ひだ部９
ａによつて未形成部９ｂから上へ離れ、特に上送
り歯１１が上布９の上面から上へ上昇したときに
は、未形成部９ｂの上面が押え金５の下面との間
に隙間を生じて、押え金５の下面は上布９のひだ
の未形成部９ｂへの押圧力が失われる。

従つて前記のときは、押え金５の開口８の内部
にあるひだ部９ａは、第２図に示すように、折曲
を支える力が失われ、布送り方向の手前へ平坦状
に復元しようとしてなだらかになり、その状態で
針６の糸により縫いつけられると、所望の高さの
ひだ部９ａが形成できなくなるという欠点があつ
た。

この従来の欠陥を解決するために、本願考案の
出願人は第３図に示すように、実願昭56−198837
（実開昭58−117275）を提案した。

つまり、平板３の上面において、押え金５が、
上送り歯１１の布上方への上昇時に、上布９のひ
だ部９ａの厚さによつてひだの未形成部９ｂより
も高く押し上げられるけれども、常には上方へ持
ち上る弾性力を有する平坦状の弾板１３をして、
その基端１４を平板３の基端２に固定し自由端１
５を押え金５の開口８の布送り方向の手前端付近
に配置し、弾板１３の自由端１５は、その弾性力
に抗し、上送り歯１１が布９の下面に下降し押圧
すると上布９を介し、平板３の上面に平行して密
着するように構成する。

そしてこの提案によれば、上送り歯１１の上布
９よりも上方への上昇時には、弾板１３の自由端
１５は、自身の弾性力により持ち上つて上布９を
押え金５の下面に押しつけて挾むので、ひだ９ａ
は布の弾性力により折曲を支える力を維持して平
坦に復元することを阻止でき、また、上送り歯１
１が上布９の上面への下降時には、弾板１３の自
由端１４は、上布９を介し平板３の上面に平行し
密着するから、上下布９，１０は上下送り歯１
１，１２により円滑に送られて上布９のみが下布
１０の上にひだ縫いされる。

しかし、前記の従来技術と出願人の提案とはい
ずれも、平板３のみまたは平板３と弾板１３の重
合の厚さとさらに弾板１３の弾性力によつて、ま
た押え金５の支持体である押え棒に対する支持部
の水平の回動軸１６が押え金５の針孔７よりも布
送り方向の先方にあるので、第４図に示すよう
に、上下布９，１０の挿入以前においては、押え
金はその布送り方向の手前が先方よりも上昇して
傾いて、押え金５の下面と平板３または弾板１３
との間には間隙が生ずるから、上布９を供給しよ
うとして、平板１３または弾板１３の上面に載せ
て押え金５の下面に挿入しようとしても、上下か
ら弾性力により挾むことができずに、上布９を下
布１０に対して前後左右の正確な位置決めするこ
とができないので、所望のひだ縫いが不可能とな
る欠点があつた。

Ｃ 目的 本願考案は、簡単な構成により、前記の従来技
術と出願人提案の欠陥を解消し、上布をして、下
布に対し正確な位置に挿入して確実にひだ縫いす
ることができる装置を提供することを目的とす
る。

Ｄ 構成 第４図を参照して、従来技術と同一の構成部に
同一番号を使い、本願考案の実施例の構成の特徴
のみを説明する。

本願考案は、その弾板１８をして、常には押え
金５の開口８の布送り方向手前端に配置した自由
端１９含む布送り方向の先方部２０を、布送り方
向の手前から先方へ向けて次第に低くなるように
傾斜せしめて、基端２１を平板３の基端２の上に
固定し、上から押す強い圧力を受けるときは水平
状態となり、圧力が除かれるか極めて弱いときは
傾斜状態に復元する弾性力を有する平板状の薄板
とする。

Ｅ 作用、効果 本願考案は、前記のとおりの構成をもつている
から、下記の作用を生じ効果を奏する。

つまり、上下布９，１０の挿入以前において
は、押え金５は、布送り方向の手前の手前部２２
が平板３と弾板１８の自由端４，１９の重合部位
に乗り上げて、手前部２２が上へまた回動軸１６
をもつ先方部が下へと傾斜するが、上下送り歯１
１，１２は上下布９，１０に対し上下方に離れて
位置し何等の圧力をも加えない。従つて弾板１８
の先方部２０は、自身の弾性力により押え金５の
下方への弾性力とつり合つて傾斜状態に復元し
て、押え金５の傾斜した手前部２２に密着し、両
部２０，２２の間には隙間１７が生じないから、
上布９をして、下布１０の上に供給するために、
弾板１８の先方部２０の上面に沿つて押え金５の
手前部２２との間に挿入すれば、両者間に適当な
挾圧力が生じているので、上布９は下布１０に対
し前後左右の所望位置に正確に配置することがで
きる。

また本願考案は、上送り歯１１の上布９よりも
上方への上昇時には、弾板１８の自由端１９は持
ち上がらず先方部２０は自身の弾性力により持ち
上つて、上布９を押え金５の手前部２２の下面に
押して挾むので、ひだ部９ａは布の弾性力により
折曲を支える力を維持して平坦に復元することを
阻止でき、また、上送り歯１１の上布９の上面へ
の下降時には、弾板１８の先方部２０は上布９を
介して平板３の上面に平行し密着するから、上下
布９，１０は上下送り歯１１，１２により円滑に
挾み送られて、上布９のみがひだ縫いされる作用
を生ずる。

従つて本願考案は、上布９は下布１０に対して
前後左右の所望の正確な位置へ誘導して確実に所
望のひだ縫いをすることができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は従来の技術を示す側面の断面図で
あり、第３図は本願考案の出願人が先に提案した
技術を示す側面の断面図であり、第４図は本願考
案を示す側面の断面図である。 １……針板、２……基端、３……平板、４……
自由端、５……押え金、１６……軸線、７……針
孔、８……開口、９……上布、１０……下布、１
１……上送り歯、１２……下送り歯、１８……弾
板、１９……自由端、２０……先方部、２１……
基端。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 針板の上方において、布送り方向先方の水平軸
   線に揺動可能に機枠に支持し、布送り方向の中間
   に針が上下動する針孔を含め下へ開放した開口を
   設けて布送り方向手前へ延長し、常に針板の上面
   を押す弾性力を受け平坦状の下面をもつ押え金
   と、 針板の上下開放溝に上下に出没し前後動する下
   送り歯と、 押え金の上下開放溝から下送り歯に同期し逆方
   向に上下に出没し、下送り歯に同期しそれよりも
   早く前後動する上送り歯と、 基端を押え金よりも布送り方向手前で機枠に固
   定し、中間部を布送り方向先方へ針板の上面に平
   行して水平に平坦状に延長し、自由端を押え金の
   開口の下方の布送り方向手前に配置した平板と、 平板の上方において、基端を平板の基端上に固
   定し、自由端を押え金の開口の布送り方向手前端
   に配置し、自由端を含む布送り方向の先方部をし
   て、手前から先方へ向け次第に低くなるように傾
   斜せしめ且つ上送り歯の圧力を受けるときは平板
   に平行に密着し上送り歯の圧力を受けないときは
   押え金の弾性力につり合つて傾斜状態に復元す弾
   性力をもつ弾板、 とを備えたミシンにおける布のひだ縫い装置。