JPS624432Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本願考案は、工作機械の主軸端あるいは主軸端
に装着したクイツクチエンジ装置へ取り付ける工
具アダプタへ螺合して、主軸端あるいはクイツク
チエンジ装置の基準位置に対して工具アダプタを
軸線方向に位置調整するためのナツト構造に関す
るものである。

従来、このような調整ナツトには、たとえば第
１図に示すように、内径の雌ねじ部の一部へ周方
向のすり割りを入れて可動部ａを形成し、この可
動部ａを直径方向へ押して可動部ａ内面のねじ部
を工具アダプタＫの外径ねじへ押圧するよう構成
したものや、あるいは第２図に示すように、内径
の雌ねじ部の軸線方向途中へ雌ねじ谷径より大径
の内周溝を形成してばねリングｂを装着し、この
ばねリングｂを直径方向へ押してその内周面を工
具アダプタの外径面へ押圧するよう構成したもの
もある。

しかしながら、第１図に示す従来例において
は、可動部ａの形成がきわめて難しく、そのため
手間がかかりコストアツプするという欠点を有す
るものであつた。また、第２図に示す従来例にお
いては、ばねリングｂは単に工具アダブタＫの外
周面を押圧するだけであるため、確実な固定が難
しく、それほど大きくない外力によつても位置が
ずれる恐れがあり、これが位置決め精度の低下を
招く原因でもあつた。

また、これらの他に特公昭56−20184号のごと
く、工具アダプタが嵌合する内径途中へ内周溝を
形成して、この内周溝へ、内径に工具アダプタの
雄ねじに合致する雌ねじを有する割り保持リング
を装着し、この割り保持リングを直径方向へ押し
て、内径の雌ねじ部を工具アダブタの雄ねじ部へ
押圧するよう構成したものもある。しかしなが
ら、このような構造においては、割り保持リング
をナツトの内周溝へ装着するために、縮径用手段
（たとえば、穴や段部の形成）が必要となり、コ
ストアツプする欠点を有すると共に、割り保持リ
ングとナツトの内周溝との軸線方向隙間により、
工具アダプタに対しナツトがずれる恐れがあり、
また、前述の隙間を小さくしようとすると加工お
よび組立が難しくなり、従つてコストアツプにつ
ながる欠点を有するものであつた。

本願考案は、このような従来の欠点を解消して
製作・組立が容易で位置決め精度の高い工具アダ
プタ用調整ナツトを提供するもので、以下実施例
を示す図面に従つて、詳細を説明する。

第３図は、工作機械主軸Ｓに装着したクイツク
チエンジ装置Ｑへ、工具アダブタＫを螺合した調
整ナツトＡを示しており、更に調整ナツトＡは第
４図に示すように、中心部に工具アダブタＫの外
径が嵌合する貫通内径１ａを有し、一側端には貫
通内径１ａより大径の穴１ｂを有し、この大径穴
１ｂの途中開口端側に止め輪用内周溝１ｃを有
し、また、外径面から大径穴１ｂへ貫通するねじ
穴１ｄを有し、更に他端側は外径が小さく形成さ
れ、その途中にクイツクチエンジ装置連結用外周
溝１ｅを有したナツト本体１と、該ナツト本体１
の大径穴１ｂへ収容され、内径に工具アダプタＫ
の外径ねじに螺合する雌ねじ２ａを有し、外周の
軸線方向中程へ直径方向のすり割り２ｂを有し、
外周面のすり割り２ｂのほぼ中程に円錐溝２ｃを
有するねじリング２と、ナツト本体１のねじ穴１
ｄに螺合され、先端部に前記ねじリング２の円錐
溝２ｃに係合する円錐部３ａを有するねじリング
操作用ねじ３と、ナツト本体１の内周溝１ｃへ装
着され、ねじリング２を大径穴１ｂ内に保持する
ための止め輪４とから構成されている。なお、第
４図で５は回り止めピン５を示しているが、本願
実施例では操作用ねじ３が回り止めとしての作用
効果を有しており省いても実用上問題ない。

このような構成の調整ナツトＡを工具アダプタ
Ｋへ装着するには、先ず操作用ねじ３をゆるめた
状態で貫通内径１ａへ工具アダプタＫ外径を挿入
して所定方向へ回動させれば両ねじは螺合され
る。そして予設定すなわちプリセツト位置におい
て操作用ねじ３を前進させて先端の円錐部３ａを
ねじリング２の円錐溝２ｃへ当接させ更に押圧す
ることによりすり割り２ｂは左右横方向すなわち
軸線方向に拡がる。そのため、工具アダプタＫに
対し調整ナツトＡは強固に固定される。また、操
作用ねじ３の先端部がねじリング２の外径より内
方へ位置するよう構成しているので、固定後に外
力が加わつても軸線方向に移動せず、確実な位置
決めを行えるものである。

なお、これまで説明してきた第３図、第４図に
示した実施例は、ねじリング２のすり割り２ｂを
軸線方向に拡げて工具アダブタＫへ固定するよう
構成しているが、反対にこのすり割り２ｂを軸線
方向に縮少させて工具アダプタＫへ固定するよう
に構成することも容易に行い得るものである。ま
た、ねじリング２のすり割り２ｂも、１つだけで
なく複数形成しても同様に実施可能である。更に
実施例として図示はしなかつたが、工具アダブタ
Ｋを工作機械の主軸端へ直接装着する際には、ナ
ツト本体１のクイツクチエンジ装置連結用外周溝
１ｅは当然不要である。

以上説明したように、本願考案は従来の欠点で
あつた製作・組立の困難を解消し、位置決め精度
を向上できるという優れた実用効果を有するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来例を示す断面説明図、第
３図は本願考案による実施例の正面断面図、第４
図は本願実施例による調整ナツトＡの拡大正面図
を示す。 符号の説明、Ｓ……工作機械の主軸、Ｑ……ク
イツクチエンジ装置、Ａ……調整ナツト、Ｋ……
工具アダプタ、１……ナツト本体、１ａ……貫通
内径、１ｂ……大径穴、１ｃ……内周溝、１ｄ…
…ねじ穴、１ｅ……クイツクチエンジ装置連結用
外周溝、２……ねじリング、２ａ……雌ねじ、２
ｂ……すり割り、２ｃ……円錐溝、３……操作用
ねじ、３ａ……円錐部、４……止め輪、５……ピ
ン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 工具アダプタ外径が嵌合する貫通内径を有
   し、一側に大径穴を形成したナツト本体と、該
   ナツト本体の大径穴へ着脱可能に装着され、内
   径へ工具アダプタの外径ねじに合致する雌ねじ
   を形成し、外周軸線方向中程へ直径方向のすり
   割りを形成したねじリングと、ナツト本体へ装
   着して該ねじリングのすり割りを軸線方向に拡
   大あるいは縮少させる操作部材とを有する工具
   アダプタ用調整ナツト。 ２ ナツト本体の大径穴と反対側の外周へ、クイ
   ツクチエンジ装置への連結手段を形成して成る
   実用新案登録請求の範囲第１項に記載の工具ア
   ダプタ用調整ナツト。