JPH035361Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動旋盤において、被加工用の棒材を
支持するガイドブツシユの口径を調整し、ガイド
ブツシユスリーブに固定するためのガイドブツシ
ユ調整ナツトの固定構造に関する。

〔従来技術とその問題点〕

一般に、棒材を加工するための自動旋盤には刃
物の切削力による棒材のたわみ防止のためにガイ
ドブツシユが設けられている。このガイドブツシ
ユは、自動旋盤における切削作業部位の近傍に設
けられたガイドブツシユ取付本体に装着されて棒
材を回転自在に支持するものである。このガイド
ブツシユは、加工精度上がたつきのない状態で棒
材を支持することが要求されており、そのために
棒材の径に応じて各種ガイドブツシユを取り替え
ることが必要であり、更にガイドブツシユと棒材
とが所定のスキマになるようにガイドブツシユの
口径を調整しなければならない。

このような調整は、ガイドブツシユ先端部を三
ツ割とし、ガイドブツシユ先端外周のテーパ面と
ガイドブツシユスリーブ先端内周のテーパ面とを
係合させガイドブツシユ調整ナツトを締めること
によつて行なわれているが、この調整後に調整ナ
ツトが振動等によつて緩まないように確実に固定
しなければならない。

従来のこの種のガイドブツシユ調整ナツトの固
定構造は、止めねじやダブルナツトによるもの、
或いは調整ナツトに設けた押えフランジを固定リ
ングで挾持するものなど多くのものが考案されて
きたが、いずれも固定が充分でなかつたり、もし
くは固定することでガイドブツシユに軸方向変位
を生じさせその結果、調整した素材とのスキマに
狂いが生じやすいものなど、不完全なものであつ
た。

〔考案の目的〕 本考案は上述した事情に基づいてなされたもの
であり、その目的は強固で確実な緩み止めをなし
得るガイドブツシユ調整ナツトの固定構造を提供
することである。

〔考案の構成〕

本考案は上記目的を達成するための自動旋盤の
ガイドブツシユ装置におけるガイドブツシユ調整
ナツトの固定構造であつて、先端がガイドブツシ
ユの調整ネジと螺合し且つ外径の少くとも一部が
ガイドブツシユスリーブと嵌合するガイドブツシ
ユ調整ナツトの一部に軸方向のすり割りを設けて
弾力的に径方向へ拡開可能に形成すると共に、該
すり割り部分を拡開しかつその拡開状態を保持す
る固定手段を設けた構成としたものである。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は本実施例のガイドブツシユ調整ナツト
の固定構造を有する回転ガイドブツシユの断面
図、第２図は第１図における矢視Ａ−Ａ線図、第
３図は第２図におけるＢ−Ｂ線断面図である。

第１図において符号１は自動旋盤のガイドブツ
シユ固定台２上に設けられたガイドブツシユ取付
本体である。このガイドブツシユ取付本体１には
ガイドブツシユスリーブ３が回転自在に設けられ
ている。図中４はガイドブツシユである。そし
て、図中５がガイドブツシユ調整ナツトであり、
上記ガイドブツシユ４の口径を調整するとともに
ガイドブツシユスリーブ３の内周に固定するもの
である。

すなわち、ガイドブツシユ４は、ガイドブツシ
ユスリーブ３に嵌入しているとともに、キー７で
相対的な回転が阻止されていて、先端部のテーパ
面が相互に係合している。ガイドブツシユ調整ナ
ツト５は円筒状をなし、その先端部はガイドブツ
シユスリーブ３の肩部に当接すると共に内周面に
めねじ部６が形成され、このめねじ部６がガイド
ブツシユ４の後端部外周に形成されたねじ部８に
螺合すると共に、調整ナツト５の後端部の外周面
はガイドブツシユスリーブ３の内周面にわずかな
スキマで嵌合してガイドブツシユ４を装着する。
従つて、調整ナツト５を回転することによつてガ
イドブツシユ４は図示右方に引き込まれ、テーパ
部によつてガイドブツシユ４の口径が縮小するよ
うに調整される。

さらに、このガイドブツシユ調整ナツト５の後
端部は弾力的に径方向へ拡開し得るように構成さ
れている。すなわち、後端から所定長さの位置に
軸線に略垂直な方向のすり割り１０を形成し、か
つ第３図に示す如く上記すり割り１０から後端に
かけて軸方向のすり割り１１を形成して弾力的な
径方向への拡開を可能としたものである。

前記拡開可能な調整ナツト５の後端部には当該
部分を拡開させかつその拡開状態を保持する固定
手段が設けられている。すなわち、前記後端部に
は、第２図乃至第４図に示す如く軸方向のすり割
り１１を貫通する接線方向の穴１２が形成されて
いると共に、調整ナツト５の後端から当該穴１２
まで貫通するねじ孔１３が形成されている。そし
て、上記穴１２内に拡開ピン１４が押入され、上
記ねじ孔１３にねじ１５が螺合されている。これ
ら、拡開ピン１４の後端部及びねじ１５の先端部
はそれぞれテーパ状に形成されており、このテー
パ面が互に係合している。

従つて、ねじ１５を穴１２方向へ締め込むこと
により、拡開ピン１４が穴１２の奥壁を押圧し、
その結果後端部が拡開すると共にこの拡開状態が
保持される。ねじ１５を緩めたときには、上記拡
開ピン１４による押圧状態が解かれ、調整ナツト
５の後端部は弾性力により元に戻つてガイドブツ
シユスリーブ内を回転可能となる。

上述したガイドブツシユ調整ナツト５は、ガイ
ドブツシユスリーブ３の後端部から押入され、ガ
イドブツシユ４はガイドブツシユスリーブ３の先
端部から押入されて、ガイドブツシユ調整ナツト
５に螺合される。かかる状態にてガイドブツシユ
調整ナツト５を回転させてガイドブツシユ４の口
径を調整した後にねじ１５を締め込んでガイドブ
ツシユ調整ナツト５の後端部を拡開し、ガイドブ
ツシユスリーブ３の内周面に圧接させると共にこ
の拡開状態を保持する。この拡開、保持の操作に
よりガイドブツシユ調整ナツト５が姿勢を変化さ
せることはなく、この拡開によつて調整ナツト５
の後端部の外周面はガイドブツシユスリーブの内
周面に充分な圧接力で当接するので、振動等によ
る緩みも生じない。

第４図は他の実施例を示すものである。すなわ
ち、拡開ピン１４の代わりに穴１２内に鋼球１１
４，１１４を挿入した構成のものである。このよ
うに構成しても全く同様の作用効果を有すること
は明らかである。

尚、本考案は上述した実施例に限定されるもの
ではなく、要旨を変更しない範囲で種々変形実施
可能であることは勿論である。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように本考案によれ
ば、ガイドブツシユ調整ナツトの後端のガイドブ
ツシユスリーブとの嵌合部を拡開してガイドブツ
シユスリーブに圧接固定する構成を有するので、
強固で確実に固定することをなし得、その結果、
緩みや位置ずれを防止して確実にガイドブツシユ
の装着をなし得るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであり、第１
図はガイドブツシユ装置の断面図、第２図は第１
図における矢視Ａ−Ａ線図、第３図は第２図にお
けるＢ−Ｂ線断面図、第４図は第３図の他の実施
例を示す断面図である。 １……ガイドブツシユ取付本体、３……ガイド
ブツシユスリーブ、４……ガイドブツシユ、５…
…ガイドブツシユ調整ナツト、１０……すり割
り、１１……すり割り、１２……穴、１３……ね
じ孔、１４……拡開ピン、１５……ねじ、１１４
……鋼球。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動旋盤のガイドブツシユ装置におけるガイド
   ブツシユ調整ナツトの固定構造において、先端部
   にガイドブツシユの調整ねじと螺合するネジ部を
   有し且つ外径の少なくとも一部がガイドブツシユ
   スリーブと嵌合するガイドブツシユ調整ナツト
   と、該ガイドブツシユ調整ナツトの一部に設けら
   れて弾力的に径方向に拡開可能に軸方向に沿つて
   設けられたすり割りと、該すり割りにほぼ直交す
   る接線方向にすり割りを貫通して設けられ少なく
   とも一方の端部が封止された穴と、該穴の封止さ
   れた側から他方の端部がすり割りを越えて突出し
   少なくとも他方の端部に傾斜面又は球面が形成さ
   れた伝導部材と、該伝導部材の他方の端部に接近
   し穴に直交して設けられたねじ穴に螺合し伝導部
   材と係合する先端部がテーパ状に形成された固定
   ねじからなる拡開固定手段を設けたことを特徴と
   するガイドブツシユ調整ナツトの固定構造。