JPS6244045B2 - - Google Patents

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JPS6244045B2
JPS6244045B2 JP15037477A JP15037477A JPS6244045B2 JP S6244045 B2 JPS6244045 B2 JP S6244045B2 JP 15037477 A JP15037477 A JP 15037477A JP 15037477 A JP15037477 A JP 15037477A JP S6244045 B2 JPS6244045 B2 JP S6244045B2
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JP
Japan
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fiber
angle
treatment
fibers
small
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JP15037477A
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JPS5488318A (en
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Kazuo Kurita
Hiroshi Yasuda
Kazuyuki Yabuki
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は新規な多孔質ポリエステル中空繊維に
関するものである。
従来、セルローズアセテート、銅アンモニウム
レーヨン、ビスコースレーヨン、ニトロセルロー
ズおよび蛋白質繊維のようなセルローズ系および
動物質系物質から多孔質(すなわちスポンジ状)
の繊維を製造する方法が知られている。
近年、熱可塑性物質の多孔質繊維を製造しよう
とする試みが活発化し、一般的方法として発泡剤
(すなわち分解温度に加熱されるとガスを放出す
る薬剤)を熱可塑性物質中に混じ、それを昇温下
にノズルより圧出してフイラメントにすることが
提案された。この発泡剤は圧出工程に先立ちある
いはその最中に分解して孔、空隙、ボイドおよび
通路をフイラメントの各所に残す。またポリプロ
ピレンのように熱処理等によつて非常に高い結晶
化度に到達しうる結晶性熱可塑性ポリマーの場合
には、熱処理により結晶化を十分に進行させたフ
イルムまたは繊維を延伸することにより表面に
孔、空隙およびボイドの発現させ得ることが見出
され、更に熱可塑性ポリマーに非相溶のポリマ
ー、低分子物質、無機物質あるいはそれらの混合
物を混入させ、昇温下に圧出してフイラメントあ
るいはフイルムに成形した後延伸することによ
り、混入物と熱可塑性ポリマーの界面に空隙、孔
およびボイドの発現させる方法も提案された。そ
の他、熱可塑性ポリマーに抽出可能な物質を混入
させ、昇温下に圧出してフイラメントあるいはフ
イルムに成形した後、混入物質を適当な薬剤等で
抽出することにより、孔、空隙、ボイドおよび通
路をフイラメントの各所に残す方法も提案され
た。
以上のように、熱可塑性物質の多孔質繊維を製
造するために、近年になつて種々の方法が提案さ
れるに至つた。
しかしながら、発泡剤を混入させる方法は、紡
糸工程中に形成された多孔質フイラメントの凝集
や切断あるいは崩壊を生じることなく長時間にわ
たつて操業しうる紡糸オリフイスを設計すること
が難しく、また高結晶性熱可塑性ポリマーの場合
には、該高結晶性熱可塑性ポリマーの種類および
結晶化延伸の条件により孔、空隙、およびボイド
のサイズが限定され、ある範囲をもつて孔、空
隙、およびボイドのサイズを選択して作ることが
非常に難しい。
非相溶物質を混合して溶融押出しを行い延伸を
行う方法も、混合物の溶融特性が著しく変化する
ために安定な溶融押出しを行うことがしばしば困
難となり、一定の品質を保有する成形物を製造す
ることがむづかしい。
押出可能な物質を混合して溶融押出しを行つた
後に薬剤等で抽出する方法も、非相溶物質を混合
する方法の場合と同様な理由で成形性が悪くなる
が、非相溶物質を混合する方法の場合と比較する
と混合物質を含有させる比率が低い場合が多いの
で成形性はそんなに問題にならない場合が多い。
以上のようにいずれの方法も欠点を有してお
り、現在のところ、特にポリエステル繊維につい
ては、多孔化しかつ寸法安定性のよい繊維を作る
ことは非常に困難であると考えられている。しか
しながら、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、
寸法安定性にすぐれた多孔質ポリエステル繊維を
製造することに成功した。
すなわち、本発明の構成は、繰返し単位の85モ
ル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエ
ステルからなる、繊維中央に繊維軸を貫通する空
洞を有する中空繊維であり、小角X線散乱パター
ンから測定される長周期が300〜500Å、繊維軸に
直交する面に対する結晶ラメラの傾斜角度が45〜
88度であつて、水銀圧入法によつて測定した微小
空孔の円換算直径が主として0.1〜0.6μであり、
該微小空孔の空孔容積率が3%以上であることを
特徴とする多孔質ポリエステル中空繊維である。
本発明における多孔質ポリエステル繊維は、エ
チレンテレフタレート単位主体のポリエステルか
ら構成されるものであり、特に繰返し単位の85モ
ル%以上がエチレンテレフタレートであるような
繊維形成性ポリエステル即ち、テレフタル酸また
はその機能的誘導体とエチレングリコールまたは
エチレンオキサイドとから製造されるポリエチレ
ンテレフタレートを主たる対象とするが、酸成分
としてテレフタル酸またはその機能的誘導体の一
部を15(モル)%未満、好ましくは10(モル)%
未満までの例えばイソフルタル酸、アジピン酸、
セバチン酸、アゼライン酸、ナフタール酸、p―
オキシ安息香酸、2,5―ジメチルテレフタル
酸、ビス(p―カルボキシ、フエノキシ)エタ
ン、2,6―ナフタレンジカルボン酸、3,5―
ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸アルカ
リ金属塩またはそれらの機能的誘導体等の中から
選択された2官能性酸の少なくとも1種で置き換
えるか、もしくはグリコール成分としてエチレン
グリコールの一部を15(モル)%未満、好ましく
は10(モル)%未満までの例えばジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4―ブタン
ジオール、1,4―ヒドロキシメチルシクロヘキ
サン等の2価のアルコールの中から選択された少
なくとも1種で置き換えたコポリエステル、これ
らのホモポリエステルおよびコポリエステルの中
から選択された2種以上のポリエステルの混合
物、分子中にアミド結合、エーテル結合、カーボ
ネート結合等を有するエチレンテレフタレート単
位主体のポリエステル等である。勿論このポリエ
ステル繊維中には少量の他の任意の重合体や酸化
防止剤、制電剤、難燃剤、染色性改良剤、染料、
顔料、艷消剤、螢光増白剤等が含有せしめられて
いてもよい。
本発明における多孔質ポリエステル中空繊維は
繊維表面に無数の微小空孔を有しているが、該空
孔のサイズは極めて小さいため、通常の光学顕微
鏡あるいは走査型電子顕微鏡による観察によつて
知ることはむづかしい。しかし水銀圧入法〔測定
装置は水銀圧細孔測定装置(CARLO ERBA社
製);ポロシメーター〕によつてその存在を確認
することができる。水銀圧入法によれば個々の空
孔の大きさを円換算直径として測定することがで
き、その空孔半径(直径)の分布曲線が得られ
る。空孔の大きさはアミン処理およびアルカリ処
理の条件によつて変化するが、一般に前記円換算
直径が主として1μ以下、特に0.1〜0.6μである
ような空孔が主体である。
繊維中央に繊維軸を貫通する空洞を形成して中
空繊維となつているため、限外濾過膜、逆浸透膜
支持体、ガス分離膜として有用であり、各種の水
処理およびガス処理に応用できる。そしてこのよ
うな微小空孔は染料の染着座席としても働くので
染色性の改善にも役立ち、また種々の物質を吸着
する性質を有するため吸着繊維としても有用であ
る。
応用分野によつて最適な空孔容積率(繊維体積
当りの空孔容積の割合で、繊維横断面中央部の繊
維軸を貫通する空洞を除いた中空繊維に含まれる
空孔容積率であり、繊維体積は中空部を除いた繊
維の厚肉部全体の体積として計算したものであ
る)は異なつてくる。
特に分離膜、透過膜としての利用の場合には、
空孔容積率が30%以上で、かつ中空糸の周壁部の
厚み(肉厚)は50μ未満であることが好ましい。
該肉厚が50μ以上の場合には中空糸の外側(また
は内側)から水やガスを加圧した場合に中空糸の
内側(または外側)から透過してくる水やガスの
透過速度(フラツクス)が小さくなり、実用性が
低下する。
本発明にかゝる多孔質ポリエステル中空繊維は
第1図に示すような特異な小角X線散乱パターン
を示すことによつて特徴づけられるが、次にこれ
を図面によつて詳しく説明する。
第1図は本発明の代表的な例を示す多孔質ポリ
エチレンテレフタレート繊維の小角X線散乱パタ
ーンを示す写真であり、第2図は第1図に示す小
角X線散乱パターンの模式図、第3図は第1図に
示す小角X線散乱パターンをミクロフオトメータ
ーで黒化度を測定した場合の等高線図であり、第
4図は第1図に示す小角X線散乱パターンを
Tsvankinの理論によつて解析して得た本発明に
かゝる多孔質ポリエチレンテレフタレート中空繊
維の高次構造のモデルである。
繊維軸に直交する面に対する結晶ラメラの傾斜
角度および長周期は、小角X線散乱パターンおよ
びその測定条件より求めることができる。第2図
に示す小角X線散乱パターンの模式図によつてこ
れを説明すれば次のとおりである。即ち、散乱光
は左右上下方向に横広がりで放射状に伸びた特異
な4点干渉像を示すが、赤道線を対象軸とする上
下の散乱光の最大幅を2a、赤道線の中心と1つ
の散乱光の最先端を赤道線へ下した垂線間の距離
をb、tanθ=a/bとしたとき、繊維軸に直交
する面に対する結晶ラメラの傾斜角度は(90−
θ)度で表される。
また長周期はフイルム(乾板)と試料間の距離
を、赤道面を対称軸とする上下の散乱光の最大
幅を2a(但し、1とaのデイメンジヨンは同一
とする)CuKa線の波長をλ(=1.5418A)、
tan2d=a/としたとき、長周期=λ/2sindで
表される。
尚第1図から明らかなように、散乱光はシヤー
プな直線状ではなく、ある広がりをもつたブロー
ドな形をしているため、赤道線を対称軸とする上
下の散乱光の最大幅2aの測定にあたつては、第
3図に示す如き黒化度の等高線図を描くことによ
つて測定誤差をできるだけ小さくするのがよい。
以上の方法によつて第1図の小角X線散乱パタ
ーンを示す多孔質ポリエチレンテレフタレート中
空繊維の長周期および繊維軸に直交する面に対す
る結晶ラメラの傾斜角度を測定すると長周期は約
450Å、結晶ラメラの傾斜角度は約75度と求ま
り、広角X線回折による結晶サイズの測定データ
を加味すると、第4図に示す如き結晶領域の分子
鎖が繊維軸と平行で、結晶ラメラが繊維軸に垂直
な面に対し約75度傾斜し、分子鎖方向の結晶の長
さが300Å、非晶部の長さが150Åで、450Åの長
周期構造を形成した結晶の幅が53Åである高次構
造モデルが考えられる。
本発明の繊維は、長周期が300〜500Åであり、
且つ結晶ラメラの傾斜角度が45〜88度という、第
4図にモデル的に示した微細構造組織を有してい
るため、通常の長周期が100Å程度で結晶ラメラ
が傾斜していないポリエステル繊維と比較する
と、本発明の繊維は、多孔化されて平均孔直径が
0.1〜0.6μの孔が存在しているにもかかわらず、
長い長周期と結晶ラメラの傾きの連続繊維が存在
しており、実質的にタイ分子数が多くなり、多孔
繊維自体の強度が高くなるという特徴を有してい
る。従つて本発明の繊維は多孔化されているにも
かかわらず十分な実用性のある強度を有してお
り、殊にフイルター等の用途に適している。
通常の溶融紡糸(紡糸速度約500〜1800m/
min)およびそれに引続く延伸によつて得られる
ポリエチレンテレフタレート繊維は明瞭な小角X
線散乱パターンを示さないが、熱処理(例えば
170℃のオイルバス中で30分間)すると散乱パタ
ーンが得られる。この場合に得られる散乱パター
ンは第5図に示すとおりであり、これから計算さ
れる長周期は約100〜120Å、結晶ラメラの傾斜角
度は42±5度と小さい。また3000m/min前後の
紡糸速度で紡糸して得られる延伸仮燃加工糸用の
パーシヤリーオリエンテツドヤーン(POY)お
よびそれから製造される加工糸も第5図と殆んど
同一の小角X線散乱パターンを示す。従つて本発
明にかゝるポリエステル繊維は従来一般に衣料用
あるいは産業資材用として製造されているポリエ
ステル繊維とは繊維の微細構造が大きく異なるこ
とがわかる。これは本発明にかかる製造法、殊に
臨界的紡糸速度に起因する。次に本発明繊維の製
造方法について詳細に説明する。
本発明繊維の製造方法は、0.5〜5重量%のポ
リアルキレンエーテルがブレンドされたエチレン
テレフタレート単位主体の繊維形成性ポリエステ
ルを長周期が300〜500Åでかつ繊維軸に直交する
面に対する結晶ラメラの傾斜角度が45〜88度であ
る小角X線散乱パターンを示す繊維構造(第1図
に典型例を示す)を与えるに十分な高速度で高配
向溶融紡糸する第1工程と、次いでかくして得ら
れた繊維を必要に応じて延伸および/または熱処
理した後、アミン処理し、次いではアルカリ処理
して多孔化する第2工程より大きく構成されてい
る。
エチレンテレフタレート単位主体の繊維形成性
ポリエステルは、繰返し単位の85モル%以上がエ
チレンテレフタレートであるようなポリエステル
が本発明の中空繊維の機械的特性を維持するため
に必要である。かかるポリエステルの溶融紡糸に
おいては、後述するアルカリ処理における重量減
少速度を加速するために、繊維形成性ポリエステ
ルに対して約0.5〜5wt%のポリアルキレンエーテ
ルをブレンドすることが必要である。ここでポリ
アルキレンエーテルの添加量が0.5wt%未満の場
合にあつては重量減少速度の加速効果が極めて小
さくなり、一方5wt%を越える場合にあつては重
量減少速度の加速が大きくなりすぎて目的とする
繊維の空孔容積率を得るためのコントロールがで
きなくなり、かつ得られた繊維の力学的特性が低
下するので好ましくない。繊維中央に繊維軸を貫
通する空洞を形成して中空繊維を形成せしめる方
法としては、英国特許第843179号明細書に示され
ているような特殊形状(例えばC型など)の紡糸
口金孔からポリマーを吐出し、口金直下でポリマ
ー流に外気を抱き込ませつつポリマー流の端部を
融着させる方法、あるいは特公昭39―16686号公
報に記載されているようなガス導入用の毛細管を
中央に挿入した紡糸口金からポリマーを吐出し該
毛細管から不活性ガスを吹込む方法など従来公知
の任意の方法を採用することができる。
本発明者等はかかる繊維形成性ポリエステルを
公知の方法で溶融紡糸する際に、引取速度を高速
化していくと、ある引取速度(Vcと名づける)
の領域で復屈折率△n、比重および沸水収縮率が
大きく変化し、更に引取速度が高速化すると、△
n、比重および沸水収縮率のいずれもが引取速度
に対して顕著な変化を示さなくなる領域が存在す
ることを発見した。
例えば、ノズルオリフイス径0.5mmφ、紡糸温
度295℃、オリフイスの単孔吐出量1g/minで
ポリエチレンテレフタレート(極限粘度0.605)
を溶融紡糸し、引取速度とΔn、比重および沸水
収縮率との関係を調べたところ第6図に示すよう
な結果が得られた。本発明者等は、Vc以上で引
き取つたポリエチレンテレフタレート繊維を鋭意
研究した結果、広角X線回折からはきれいな結晶
化したパターンが得られ、小角X線散乱からは、
第1図に示したような非常に特異な散乱パターン
が得られることから、このポリエチレンテレフタ
レート繊維は従来からある延伸糸としてのポリエ
チレンテレフタレート繊維、あるいは半延伸糸
(POY)としてのポリエチレンテレフタレート繊
維とは全く異なつた微細構造を有し、結晶領域と
非結晶領域がかなり明確に分離された状態にある
と解析した。
更に研究を進めた結果、この繊維を高温で長時
間過酷なアルカリ処理を行うと、第1図に示した
ような特異な小角X線散乱パターンが消滅するこ
とを見つけた。例えば93℃で1N NaOHで16hr処
理すると、第1図に示したような特異なパターン
が消滅する。これはアルカリ処理による加水分解
は繊維の表面積に比例して進行することから、第
1図に示したような特異な微細構造組織が繊維表
面に局在化していることを示している。また、
Vc以上での高速紡糸による配向結晶化によつて
この特異な微細構造が発現することから、最も剪
断応力が大きく、また空気摩擦力も大きくかかる
繊維表面に配向結晶化が優先的に起こり、特異な
微細構造組織が繊維表面に局在化することは十分
に考えられる。
以上のように解析を進めた結果、第1図のよう
な小角X線散乱パターンを有するポリエチレンテ
レフタレート繊維は、結晶領域と非晶領域とが明
確に分離した二相構造を有し、かつその特異な微
細構造組織が繊維表面に局在化していると考えら
れることから、本発明者等は繊維表面に存在して
いる二相構造から非晶領域を選択的に抽出処理す
ることが通常のポリエステル延伸糸と比較し容易
であることを想到し、この特異な微細構造を有す
るポリエチレンテレフタレート繊維を用いて本発
明のポリエステル多孔中空繊維を製造するに至つ
た。
すなわち、Vc以上の引取速度で巻き取つた特
異な微細構造を有し、且つポリアルキレンエーテ
ルが0.5〜5wt%ブレンドされたエチレンテレフタ
レート単位主体のポリエステル繊維(すなわち長
周期が300〜500Åでかつ繊維軸に直交する面に対
する結晶ラメラの傾斜角度が45〜88度である小角
X線散乱パターンを示すポリエステル繊維)を、
必要に応じて延伸および/または熱処理した後、
10〜50℃の温度で被処理繊維の重量減少率が0.01
〜35重量%になるようにアミン処理を行ない、該
アミン処理に引続いて40〜100℃の温度で被処理
繊維の前記アミン処理との合計重量減少率が0.1
〜70重量%になるようにアルカリ処理する。ここ
でいうアミンとはポリエステル繊維を分離する性
質を有するものであれば如何なるものでもよい
が、代表的なものとしてはモノメチルアミン、モ
ノエチルアミン、ノルマル―プロピルアミン、ノ
ルマル―ブチルアミン、イソブチルアミン、エチ
レンジアミン、モノエタノールアミン等で代表さ
れるアルキルアミン類、ヒドラジンハイドレー
ド、アンモニウムハイドロオキサイド等で代表さ
れるヒドラジンおよびアンモニア類を挙げること
ができる。
上記のアミンまたはその溶液でアミン分解によ
る重量減少が少なくとも0.1wt%以上になるよう
にアミン処理する。処理温度に特に限定はないが
アミン類は一般に沸点が低いので処理温度を高く
できない。
本発明の目的を達成するには、処理温度は通常
10〜50℃、特に20〜30℃が好ましい。アミン処理
による重量減少は0.01〜35wt%の範囲、好ましく
は0.1〜30wt%の範囲とするのがよい。アミン処
理による重量減少が35wt%を越えると、ポリエ
チレンテレフタレートの極限粘度が著しく低下
し、繊維の機械的性質が著しく損われるためであ
る。
アルカリ処理は稀薄アルカリ水溶液で40〜160
℃の温度で処理することが好ましい。ここでいう
アルカリとは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
などの如きポリエステル繊維を加水分解するもの
を指す。アルカリ処理による重量減少は0.1〜
70wt%の範囲、好ましくは1.0〜60wt%である。
ポリアルキレンエーテルを繊維形成性ポリエステ
ルにブレンドすることにより、アルカリ処理にお
ける重量減少速度が加速されるので、繊維形成性
ポリエステルに対して約0.5〜5wt%のポリアルキ
レンエーテルをブレンドすることが好ましい。
本発明の繊維を得るためにはアミン処理とアル
カリ処理とを併用する二段処理が推奨される。特
にアミン処理に次いでアルカリ処理するのがよ
い。その理由は、アミン処理が拡散律速によるア
ミン分解によつて進行するのに対し、アルカリ処
理は表面積に比例してアルカリ分解が進行するこ
とにある。従つてアミン処理によつて繊維表面お
よび内部にある程度空隙を作つて表面積を増加さ
せた後、アルカリ処理を行うことによつてアルカ
リ処理における効率(速度)を著しく向上させる
ことができるためである。
アミン処理およびアルカリ処理による合計の重
量減少は0.1〜70wt%の範囲にある。アミン処理
およびアルカリ処理の処理温度、処理時間および
アミン、アルカリの種類とその濃度を変更するこ
とによつて合計の重量減少をコントロールでき
る。
通常のポリエチレンテレフタレートの延伸糸を
前記のようなアミンおよびアルカリ処理によつて
大きな重量減少を生ぜしめると繊維の寸法安定性
および形態保持性が著しく劣化し実用性が著しく
損われるが、本発明による特異な微細構造組織を
有するポリエステル繊維の場合、繊維表面が非常
にハードな構造を持つているためにアミンおよ
び/またはアルカリ処理によつて多孔化しても繊
維の形態に大きな変化が起きず優れた実用性を保
持している。従つて、本発明の最も肝要な点は、
特異な微細構造を与えるに十分な引取速度Vcで
高配向溶融紡糸して得られる、特異な微細構造組
織を持つた、ポリエステル繊維をアミンおよび/
またはアルカリ処理して多孔化させたことにあ
る。
尚、アミン処理に引き続いてアルカリ処理する
場合には、アミン処理後エチレングリコール等で
被処理繊維をいつたん洗浄し、しかる後アルカリ
処理するのがよい。
アミンおよび/またはアルカリ処理によつて繊
維表面に1μ以下の円換算直径を有する無数の微
小空孔が形成される。被処理繊維の形態が中空繊
維の場合には、アミンおよびアルカリ処理を十分
することにより中空の内部まで微小空孔が連通し
て形成される。
本発明においては極端に過酷なアミンおよびア
ルカリ処理条件をとらない限り、繊維の微細結晶
構造は該処理前後で変化せず、アミンおよび/ま
たはアルカリ処理前後共第1図に示すと同じ小角
X線散乱パターンを示す。
次に実施例を示す。
実施例 1 ポリエチレンテレフタレート(固有粘度
0.605;フエノール/テトラクロルエタン=3/
2の混合溶媒中30℃で測定)にポリエチレンオキ
サイド(MW=2000000)を1.05wt%ブレンドし
て290℃でノズルオリフイス径0.3mmφ、24ホール
のノズルを用いて、オリフイス単孔当り1g/
minの吐出量で溶融紡糸し、5000m/minの引取
速度で巻取つた。小角X線散乱パターンを撮つた
ところ、第1図のような特異なパターンを示し
た。このパターンから測定した長周期は450Å、
繊維軸に直交する面に対する結晶ラメラの傾斜角
度は75度であつた。次にこのポリエステル繊維を
30℃のノルマルプロピルアミン液中に45分間浸漬
し、エチレングリコールで洗浄した後、1N―
NaOH溶液で93℃で10分間の処理を行つた。かく
して得られた繊維についてポロシメーターで空孔
の大きさを測定したところ、円換算直径が0.6〜
0.1μの範囲に空孔が分布していることが認めら
れ、空孔容積率は43%であつた。また小角X線散
乱パターンはアミンおよびアルカリ処理の前後共
変化がなく、該処理後の長周期および結晶ラメラ
の傾斜角度は前記紡糸直後のものと同一であつ
た。またこの処理後の糸質は切断強度2.9g/
d、切断伸度23%、沸水収縮率1.5%であつた。
比較例 1 実施例1と全く同じポリマーで全く同じ条件で
溶融押出しを行い、巻取速度を1300m/minに変
更して巻取つた。
この未延伸糸をホツトローラー温度83℃、ホツ
トプレート温度120℃で4.3倍に延伸した。かくし
て得た延伸糸の小角X線散乱パターンを撮つたと
ころ、明瞭なパターンは出現しなかつた。そこで
この延伸糸を170℃のオイルバス中で30分間熱処
理した後、同様に小角X線散乱パターンを撮つた
ところ、第5図に示すような散乱パターンが得ら
れた。このパターンから長周期および結晶ラメラ
の傾斜角度を測定したところ、長周期は100〜120
Å、結晶ラメラの傾斜角度は42゜±5゜であるこ
とがわかつた。また前記延伸糸を実施例1と同一
条件でアミンおよびアルカリ処理したところ、繊
維は非常に脆弱になり、繊維形態保持能力が著し
く低下し、実用に供し得ないものであつた。
実施例 2 固有粘度0.620(測定法は実施例1と同じ)の
ポリエチレンテレフタレートにポリエチレンオキ
サイド(MW=2000000)を3.0wt%ブレンドした
重合体を、ノズル中空率65%のC型スリツト状オ
リフイス(オリフイス外径1.6mm)を24ホール有
するノズルを用いて、オリフイス単孔当り吐出量
1g/min、温度293℃で溶融紡糸し、4500m/
minの引取速度で巻取つた。かくして得た中空ポ
リエステル繊維の小角X線散乱パターンを撮つた
ところ、第1図に示すと同様の特異なパターンを
示した。このパターンから測定した長周期は400
Å、繊維軸に直交する面に対する結晶ラメラの傾
斜角度は72度であつた。
次にこの中空ポリエステル繊維を25℃のヒドラ
ジンハイドレート液中に30分間浸漬し、エチレン
グリコールで洗浄した後、1N―NaOH溶液で80℃
で15分間処理した。
かくして得られた中空ポリエステル繊維をポロ
シメーターで空孔の大きさを測定したところ、円
換算直径が0.1〜0.6μの範囲に空孔が分布してい
ることが認められ、空孔容積率は47%であつた。
この中空ポリエステル繊維は微小空孔が中空繊維
内部まで連通しており、炭酸ガスや窒素ガス等の
ガス透過性を有していた。
また小角X線散乱パターンはヒドラジンハイド
レートおよびNaOH処理の前後共変化がなく、多
孔化処理後の長周期および結晶ラメラの傾斜角度
は前記紡糸直後のものと同一であつた。
多孔化処理後の中空ポリエステル繊維の糸質
は、強度2.75g/d、伸度23%、沸水収縮率1.3
%であつた。
実施例 3 固有粘度0.641(測定法は実施例1と同じ)の
ポリエチレンテレフタレートにポリエチレンオキ
サイド(MW=2000000)を2.5wt%ブレンドした
重合体を、実施例2と同一のノズルを用いて、オ
リフイス単孔当り吐出量1g/min、温度295℃
で溶融紡糸し、4300m/minの引取速度で巻取つ
た。かくして得た中空ポリエステル繊維の小角X
線散乱パターンを撮つたところ、第1図に示すと
同様の特異なパターンを示した。このパターンか
ら測定した長周期は380Å、繊維軸に直交する面
に対する結晶ラメラの傾斜角度は70度であつた。
次にこの中空ポリエステル繊維を15℃のモノエ
チルアミン液中に20分間浸漬し、エチレングリコ
ールで洗浄した後、1N―NaOH溶液で83℃で10分
間処理した。
かくして得られた中空ポリエステル繊維をポロ
シメーターで空孔の大きさを測定したところ、円
換算直径が0.1〜0.6μの範囲に空孔が分布してい
ることが認められ、空孔容積率は44%であつた。
この中空繊維は実施例3に示した中空繊維と同様
なガス透過性を有していた。
また小角X線散乱パターンはアミンおよび
NaOH処理の前後で全く変化がなく、多孔化処理
後の長周期および結晶ラメラの傾斜角度は前記紡
糸直後のものと同一であつた。
多孔化処理後の中空ポリエステル繊維の糸質
は、強度2.8g/d、伸度24%、沸水収縮率1.5%
であつた。
実施例 4 固有粘度0.62(測定法は実施例1と同じ)のポ
リエチレンテレフタレートを実施例2と同一のノ
ズルを用いて、オリフイス単孔当り吐出量1g/
min、温度295℃で溶融紡糸し、5000m/minの引
取速度で巻取つた。
かくして得た中空ポリエステル繊維の小角X線
散乱パターンを撮つたところ、第1図に示すと同
様の特異なパターンを示した。このパターンから
測定した長周期は450Å、繊維軸に直交する面に
対する結晶ラメラの傾斜角度は75度であつた。
次にこの中空ポリエステル繊維を25℃のヒドラ
ジンハイドレート液中に45分間浸漬し、エチレン
グリコールで洗浄した後、1N―NaOH溶液で93℃
で10分間処理した。
かくして得られた中空ポリエステル繊維をポロ
シメーターで空孔の大きさを測定したところ、円
換算直径が0.1〜0.5μの範囲に空孔が分布してい
ることが認められ、空孔容積率は35%であつた。
また小角X線散乱パターンはヒドラジンハイド
レートおよびNaOH処理の前後で全く変化がな
く、多孔化処理後の長周期および結晶ラメラの傾
斜角度は前記紡糸直後のものと同一であつた。
多孔化処理後の中空ポリエステル繊維の糸質
は、強度2.83g/d、伸度23%、沸水収縮率1.5
%であつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の代表的な例を示す多孔質ポリ
エチレンテレフタレート繊維の小角X線散乱パタ
ーンを示す写真、第2図は第1図に示す小角X線
散乱パターンの模式図、第3図は第1図に示す小
角X線散乱パターンをミクロフオトメーターで黒
化度を測定した場合の等高線図、第4図は第1図
に示す小角X線散乱パターンをTsvankinの理論
によつて解析して得た本発明にかかる多孔質ポリ
エチレンテレフタレート繊維の高次構造のモデ
ル、第5図は通常の溶融紡糸法によつて得たポリ
エチレンテレフタレート繊維の延伸熱処理後の小
角X線散乱パターンを示す写真、第6図はポリエ
チレンテレフタレート繊維の紡糸速度と復屈折
率、比重および沸水収縮率との関係を示すグラフ
である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 繰返し単位の85モル%以上がエチレンテレフ
    タレートであるポリエステルからなる、繊維中央
    に繊維軸を貫通する空洞を有する中空繊維であ
    り、小角X線散乱パターンから測定される長周期
    が300〜500Å、繊維軸に直交する面に対する結晶
    ラメラの傾斜角度が45〜88度であつて、水銀圧入
    法によつて測定した微小空孔の円換算直径が主と
    して0.1〜0.6μであり、該微小空孔の空孔容積率
    が3%以上であることを特徴とする多孔質ポリエ
    ステル中空繊維。 2 小角X線散乱パターンから測定される長周期
    が約450Åでかつ繊維軸に直交する面に対する結
    晶ラメラの傾斜角度が約75度である特許請求の範
    囲第1項記載の多孔質ポリエステル中空繊維。 3 微小空孔が繊維表面から繊維内面まで連通し
    ている特許請求の範囲第1項又は第2項記載の多
    孔質ポリエステル中空繊維。
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