JP5341559B2 - 多孔性吸着材 - Google Patents
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Description
そして、血液浄化用吸着材として、上記の免疫抑制蛋白質吸着材(特許文献1)や、水不溶性基材(ポリスチレン等)に炭素数総和5〜10の3級アミンに由来する4級アンモニウム化合物が結合された高分子成型品からなる殺細胞活性増強材(特許文献2)、排除限界分子量が5万以上であり、アミノ基を有する多孔質セルロースからなる吸着材(特許文献3)が知られている。
また、多孔質セルロースからなる吸着材(特許文献3)は、高分子量の蛋白質(たとえば、5万ダルトンを超える蛋白質)の吸着能力が著しく低いという問題がある。
本発明の目的は、分子量に関係なく、広範囲の物質を吸着できる多孔性吸着材を簡便に提供することである。
または、さらに、この多孔性成型体を、ハロゲノメチル基、ハロゲノアセトアミドメチル基、ハロゲノカルボニル基、1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基若しくは炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基から選ばれるアミンと化学結合を形成する反応性官能基及び/又は、アミノ基、ポリアミンの反応残基、塩基性環状ペプチドの反応残基若しくはアミノグリコシド化合物の反応残基から選ばれる吸着特性に関与するリガンドを持つ難加水分解性ポリマーで被覆処理してなる多孔性成型体から構成される点を要旨とする。
工程(1)の後に、多孔性成型体を、ハロゲノメチル基、ハロゲノアセトアミドメチル基、ハロゲノカルボニル基、1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基若しくは炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基から選ばれるアミンと化学結合を形成する反応性官能基及び/又は、アミノ基、ポリアミンの反応残基、塩基性環状ペプチドの反応残基若しくはアミノグリコシド化合物の反応残基から選ばれる吸着特性に関与するリガンドを持つ難加水分解性ポリマーで被覆処理して複合多孔性成型体を得る工程(2)、
工程(2)の後に、複合多孔性成型体をポリアミンで化学処理して多孔性成型体を得る工程(3)
を含む点を要旨とする。
したがって、本発明の多孔性吸着材を用いれば、特定の蛋白質(たとえば、TGFβ、CD40、CD40L、CD28、CD30)しか吸着できないという問題や、高分子量の蛋白質(たとえば、5万ダルトンを超える蛋白質)の吸着能力が著しく低いという問題が生じない。この多孔質吸着材は、薬物等の徐放材としても有用である。
したがって、本発明の体外循環カラムを用いれば、特定の蛋白質(たとえば、TGFβ、CD40、CD40L、CD28、CD30)しか吸着除去できないという問題や、高分子量の蛋白質(たとえば、5万ダルトンを超える蛋白質)の吸着能力が著しく低いという問題が生じない。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン・ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリεカプロラクトン及びポリ(オキシカルボニルオキシ−1,4−フェニレン−2,2−イソプロピリデン−1,4−フェニレン){ビスフェノールAのポリカーボネート)等が挙げられる。
難加水分解性ポリマーとは、易加水分解性縮合ポリマーに比較して加水分解を受け難いポリマーであり、かつ、有機溶媒(テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等)に可溶なポリマーを意味する。そして、難加水分解性ポリマーとして、ガンマー線滅菌や高圧蒸気滅菌の条件に耐えうるポリマーが好ましく、さらにフイルム形成性を持つポリマーが好ましい。
Nz−(CH2)n−A−(CH2)m−Y (1)
モノアミンとしては、炭素数2〜10のモノアミンが含まれ、ジメチルアミン、エチルアミン、メチルエチルアミン、ジプロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン、メチルヘキシルアミン及びエチルオクチルアミン等が挙げられる。
このような体外循環は、感染症(ウイルス疾患等)治療用、癌治療用又は脳神経科病(アルツハイマー病等)治療用として適している。
測定試料(検体)0.1gを秤量してから0.1M−ピクリン酸・70%エタノール水溶液10mLに浸し、2時間緩やかに振とうした後、洗浄液の黄色から無色になるまで、70%エタノール水溶液で洗浄した。次に、測定試料(検体)を10〜50mLの1%ジエチルアミン・70%エタノール水溶液に4時間浸し、ピクリン酸を溶出させた後、溶出液の320nmの吸光度からピクリン酸濃度を求め、この濃度を正確な測定試料(検体)の重量で除して1グラム当たりのアミノ基の量(μmol/g)とした。
(ヒト血清からの吸着試験)
測定試料(多孔性吸着材)50mgに対し2mLのヒトAB型血清(大日本住友製薬(株)から購入)に浸し、37℃で2時間緩やかに振とうした後、測定試料(多孔性吸着材)を除去し、血清中の可溶性CD40(sCD40)及びS100Bをベンダー・メドシステム社のELISAキットで測定した。また、TGF−β1及び可溶性TNF−R1はR and D Systems社のELISAキットで測定した。S100A8/A9はイムノダイアゴノスティックGmbH社のELISAキットで測定した。HLA−Gは文献に基づいてELISAを組み立て測定した。アルブミンはBCG法(Clinical Chemistry 1972: 18: 1537-1538)を用いて測定した。
直径10cmの培養皿中、1×107個のTHP−1細胞を10mLの完全培地(RPMI1400培地:ウシ胎児血清10%含有、2−メルカプトエタノール50マイクロモル/L含有、ストレプトマイシン50マイクログラム/mL含有、ペニシリン−G50単位/mL含有)に浮遊させ、ホルボール−12−ミリスタート−13−アセタートを3μg/mL濃度になるよう加え、3日間培養してマクロファージに分化させた。次に、メディウムを捨て、ヒトAB型血清を10mL加え、さらに、Ecoli:055:B5のリポポリサッカライドを1μg/mLになるよう加えた。3日間培養して、上清を採取し、0.22μmの膜で滅菌ろ過して、高サイトカイン血清とした。
ラットインターフェロンーγはRアンドD社のラットインターフェロンーγELISAキットを用いて測定した。
(KDH−8細胞の調製)
4−ジメチルアミノアゾベンゼン誘発肝癌細胞KDH−8{矢野 諭、北海道医誌、68巻5号、654−664(1993)}を完全培地(RPMI1400培地:ウシ胎児血清10%含有、2−メルカプトエタノール50マイクロモル/L含有、ストレプトマイシン50マイクログラム/mL含有、ペニシリン−G50単位/mL含有)中で継代した。使用4日前に新しい150cm2の培養フラスコに移して培養し、PBS(−)で剥離して用いた。
癌細胞KDH−8をPBS(−)に浮遊させ、2×106個/mL濃度の液0.5mLを、WKAH/Hkmラット(雄、10−12週令)の背部皮下に接種して、担癌ラット(体重300〜400g)を調製した。
(体外循環カラムの調製)
測定試料(多孔性吸着材)0.3gを内径1cm、内容積2mLのポリプロピレン製円筒形カラムに充填し、体外循環カラムを作成した。カラムと回路に70%アルコール水溶液を通液して滅菌した後、体外循環直前にヘパリン添加生理食塩液(20単位/mL)15mLを2mL/分の速度で流して前処理した。
体重300〜400gの担癌ラットをネンブタールで全身麻酔し、左大腿の動脈と静脈にカニュレーションし、動脈から脱血し、マイクロチューブポンプを用いて、体外循環カラムを通過させ、静脈に返血した。血流速度2mL/分で1時間体外循環した。体外循環中ヘパリンを100単位/時間で持続投与した。
(ラット脾細胞)
ラットをネンブタールで麻酔した後、腹部大動脈から失血・屠殺させ、脾臓を採取した。脾臓を完全培地中で細かく砕き、細胞を採取した後、赤血球を除くため低浸透圧液で処理し、赤血球を溶血させた。得られた細胞を完全培地に浮遊させ、脾細胞液とした。
(KDH−8細胞の蛍光ラベル)
生細胞の割合が90%以上のKDH−8細胞をPBS(−)中1×107細胞/mL濃度に調整した。この細胞液3mLに9μlの5(6−)カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(NHS−フルオレセイン)のジメチルスルホキシド溶液(5mg/mL)を加え、37℃で15分間温めた。完全培地10mLを加え、反応を停止し、遠心して、細胞ペレットを得た。これを10mLずつの完全培地で3回遠心・洗浄し、最後に完全培地に浮遊させて、1×106細胞/mL濃度とした。
X線発生装置MBR−1520Rを用い、150cm2の培養フラスコ内のKDH−8細胞に10000レントゲンのX線を照射した後、PBS(−)中37℃の炭酸ガスインキュベーター内に30分間置いて細胞を剥離させ、完全培地中に分散して、細胞浮遊液とした。
フローサイトメーターはベクトン・ディッキンソン社のFACSCaiberを用いた。FL−1(CFSE)陽性細胞でゲートをかけ、FL−3陽性の沃化プロピジウム染色細胞を死KDH−8細胞とし、FL−3陰性細胞を生KDH−8細胞とした。
(難加水分解性ポリマー1の調製)
ニトロベンゼン20mL及び硫酸40mLの混合溶液を0℃に冷却後、2.6g(0.02モル)のN−ヒドロキシメチル−2−クロロアセトアミドを0〜10℃の温度で加えて溶解し、この溶液をユーデルポリスルホンP3500のニトロベンゼン溶液(88.4g:0.2モル/1600mL)に良く撹拌しながら加えた。さらに、20℃で2時間撹拌した後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿物をニトロベンゼン臭が無くなるまでメタノールで抽出した後、50℃で乾燥して90.0 gのポリマーを得た。このポリマーを2Lのジメチルホルムアミドに溶解し、大過剰のメタノール中に入れて再沈殿させ、精製して難加水分解性ポリマー1を得た。
このポリマーをクロロホルムに溶解し、ガラス板の上にキャストして作成したフイルムを赤外線吸収測定し、3290−3310、1670、1528cm−1の吸収からアミド結合の存在を確認した。重水素化クロロホルム溶液の1H−NMRスペクトルを測定し、ポリスルホン主鎖のイソプロピリデン基{(CH3)2C=}の水素(6H)に由来ピーク(1.66ppm;シングレット)の面積に対するクロロメチルカルボニルアミノメチル基(ClCH2CONHCH2−)のアミノメチルのメチレン基の水素(2H)に由来のピーク(4.22ppm)の面積の比率から、アミノメチル基の置換率が10モル%であることを確認した。なお、このアミノメチル基には、クロロメチルカルボニルアミノメチル基及びこの一部(5〜10モル%)が加水分解して生成するアミノメチル(NH2CH2−)が含まれる(以下、同じである)。
ニトロベンゼン130mL及び硫酸270mLの混合溶液を0℃に冷却後、27.2g(0.25モル)のN−ヒドロキシメチル−2−クロロアセトアミドを0〜10℃の温度で加えて溶解し、この溶液をユーデルポリスルホンP3500のニトロベンゼン溶液(44.2g:0.1モル/500mL)に良く撹拌しながら加えた。さらに、20℃で2時間撹拌した後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿物をニトロベンゼン臭が無くなるまでメタノールで抽出した後、50℃で乾燥して62.0 gのポリマーを得た。このポリマーを1Lのジメチルホルムアミドに溶解し、大過剰のメタノール中に入れて再沈殿させ、精製して難加水分解性ポリマー2を得た。
臭化カリウムペレットの赤外線吸収スペクトル(3290−3310、1670、1528cm−1)の吸収からアミド結合の存在を確認した。
このポリマーの重水素化ジメチルスルホキサイド溶液の1H−NMRスペクトルから難加水分解性ポリマー1の場合と同様にして、アミノメチル基の置換率が200モル%であることを確認した。
ポリエチレンテレフタレート繊維不織布(密度48mg/cm3;日本バイリーン(株))88.2gを1.4%ジエチレントリアミン・ジメチルスルホキサイド溶液2Lに浸し、105℃で20分間加熱してから、水洗後、50℃で乾燥して87.2gの前処理不織布−1を得た。アミノ基の量は8.8μmol/gであった。
先に調製した難加水分解性ポリマー1の1.6gを400mLのテトラヒドロフランに溶解し、この溶液に先に調製した前処理不織布−1の20gを浸し、24時間静置した後、テトラヒドロフランを蒸発させ、21.6gの一次被覆不織布−1を得た。アミノ基の量は2.0μmol/gであった。
ジエチレントリアミン25mL、水75mL及びジメチルスルホキサイド400mLからなる溶液に22gの一次被覆不織布−1を浸し、80℃の水浴中で3時間加熱してから、不織布を水洗後、50℃で乾燥して、20.2gの多孔化不織布−1を得た。アミノ基の量は117μmol/gであった。
先に調製した難加水分解性ポリマー2の2gを200mLのジメチルスルホキサイドに溶解し、1%の溶液を得た。この溶液に先に調製した10gの多孔化不織布−1を浸し、50℃で3時間加熱した後、不織布を引き上げ、ジメチルスルホキサイドで3回洗浄して、二次被覆不織布−1を得た。
この二次被覆不織布−1を、ジメチルブチルアミン5gを含む200mLのジメチルスルホキサイドに浸し、50℃のバス中で3時間加熱して、クロロメチルカルボニルアミノメチル基をN,N−ジメチルブチルアンモニオ−メチルカルボニルアミノメチル基に変換した。不織布を取り出して、エタノールで洗浄した後、水洗し、50℃で真空乾燥して、9.2gのジメチルブチルアンモニウム化不織布(本発明の多孔性吸着材−1)を得た。アミノ基の量は132μmol/gであった。
(被覆処理1)
実施例1で調製した難加水分解性ポリマー1の4gを400mLのテトラヒドロフランに溶解し、この溶液に実施例1で調製した前処理不織布−1の20gを浸し、24時間静置した後、テトラヒドロフランを蒸発させ、24gの一次被覆不織布−2を得た。
ジエチレントリアミン25mL、水75mL及びジメチルスルホキサイド400mLからなる溶液に20gの一次被覆不織布−1を浸し、80℃の水浴中で3時間加熱してから、不織布を水洗後、50℃で乾燥して、18.5gの多孔化不織布−2を得た。アミノ基の量は114μmol/gであった。
先に調製した難加水分解性ポリマー2の2gを200mLのジメチルスルホキサイドに溶解し、1%の溶液を得た。この溶液に先に調製した10gの多孔化不織布−2を浸し、50℃で3時間加熱した後、不織布を引き上げ、ジメチルスルホキサイドで3回洗浄して二次被覆不織布−2を得た。
この二次被覆不織布−2を、ジメチルブチルアミン5gを含む200mLのジメチルスルホキサイドに浸し、50℃のバス中で3時間加熱して、クロロメチルカルボニルアミノメチル基をN,N−ジメチルブチルアンモニオ−メチルカルボニルアミノメチル基に変換した。不織布を取り出して、エタノールで洗浄した後、水洗し、50℃で真空乾燥して、9.6gのジメチルブチルアンモニウム化不織布(本発明の多孔性吸着材−2)を得た。アミノ基の量は113μmol/gであった。
(被覆処理2)
実施例1で得られた多孔化不織布−1の10gを、実施例1で調製した難加水分解性ポリマー2の2gを200mLのジメチルスルホキサイドに溶解した溶液中に浸し、50℃で3時間加熱した後、不織布を引き上げ、ジメチルスルホキサイドで3回洗浄して二次被覆不織布−3を得た。
この二次被覆不織布−3を、ジメチルヘキシルアミン5gを含む200mLのジメチルスルホキサイドに浸し、50℃のバス中で3時間加熱して、クロロメチルカルボニルアミノメチル基をN,N−ジメチルヘキシルアンモニオ−メチルカルボニルアミノメチル基に変換した。不織布を取り出して、エタノールで洗浄した後、水洗し、50℃で真空乾燥して、9.2gのジメチルヘキシルアンモニウム化不織布(本発明の多孔性吸着材−3)を得た。アミノ基の量は118μmol/gであった。
(難加水分解性ポリマー3の調製)
ニトロベンゼン60mL及び硫酸120mLの混合溶液を0℃に冷却後、20.5g(0.17モル)のN−ヒドロキシメチル−2−クロロアセトアミドを0〜10℃の温度で加えて溶解し、この溶液をユーデルポリスルホンP3500のニトロベンゼン溶液(66.4g:0.15モル/660mL)に良く撹拌しながら加えた。さらに、20℃で2時間撹拌した後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿物をニトロベンゼン臭が無くなるまでメタノールで抽出した後、50℃で乾燥して87.1 gのポリマーを得た。このポリマーを900mLのジメチルホルムアミドに溶解し、大過剰のメタノール中に入れて再沈殿させ、精製して難加水分解性ポリマー3’を得た。
上記で調製した難加水分解性ポリマー3の3gを400mLのテトラヒドロフランに溶解し、この溶液に実施例1で調製した前処理不織布−1の20gを浸し、24時間静置した後、テトラヒドロフランを蒸発させ、23gの一次被覆不織布−3を得た。アミノ基の量は2.9μmol/gであった。
ジエチレントリアミン15mL、水25mL及びジメチルスルホキサイド360mLからなる溶液に20gの一次被覆不織布−3を浸し、80℃の水浴中で3時間加熱してから、不織布を水洗後、50℃で乾燥して、17.3gの多孔化不織布−3(本発明の多孔性吸着材−4)を得た。アミノ基の量は357μmol/gであった。
特許文献3に記載された第4級アンモニウム塩基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる多孔質材料IRA938(オルガノ株式会社)を比較用の吸着材−1とした。
ポリエチレンテレフタレート繊維不織布(密度48mg/cm3;日本バイリーン(株))を比較用の吸着材−2とした。
ポリエチレンテレフタレート繊維不織布(密度48mg/cm3;日本バイリーン(株))10gを0.2モル/L水酸化ナトリウム水溶液1Lに浸し、105℃で30分間加熱してから、水洗いし、50℃で乾燥して、9.7gの比較用の吸着材−3を得た。
ヒトAB型血清(大日本住友製薬(株))を0.22μmのフィルターでろ過することにより不溶物の除去及び滅菌を行なって、精製ヒト血清を得た。
本発明の多孔性吸着材−1〜4及び比較用の吸着材−1〜3のそれぞれ50mgを精製ヒト血清2mLに浸し、37℃で2時間緩やかに振盪した。その後、精製ヒト血清中の各成分の濃度を定量して表1に示した。
アルブミンの濃度低下はいずれも10%以下であった。なお、各成分の初期濃度は、S100Bは33.3pg/mL、S100A8/A9は108.4pg/mL、TGF−β1は8.2ng/mL、sCDは39.2pg/mL、アルブミンは3.3mg/dLであった。
(被覆処理2)
実施例4で得られた多孔化不織布−3の10gを、実施例1で調製した難加水分解性ポリマー2の4gを200mLのジメチルスルホキサイドに溶解した溶液中に浸し、50℃で3時間加熱した後、不織布を引き上げ、ジメチルスルホキサイドで2回洗浄した。ついで、この不織布を、ポリミキシンB溶液(ポリミキシンB硫酸塩500mgを200mLのジメチルスルホキサイド溶液に溶解し、これに1N−水酸化ナトリウム1.8mLを加えて均一溶液としたもの)に浸し、40℃のバス中で3時間加熱してから、不織布を取り出し、水洗し、50℃で真空乾燥して、5.0gのポリミキシンB化不織布(リガンドとしてポリミキシンBをもつ本発明の多孔性吸着材−5)を得た。アミノ基の量は413μmol/gであった。
本発明の多孔性吸着材−5の0.2gを生理食塩水中に浸し、オートクレーブ滅菌(120℃×20分)した後、注射用生理食塩水で洗浄し、液を搾った後、10ng/mL濃度のエンドトキシン(E.coliO111:B4)含有牛胎児血清15mL中に入れ、1時間震盪した後、溶液のエンドトキシンを和光純薬製のリムラスESテストワコー試薬とトキシノメーターを用いて測定したところ、エンドトキシン濃度が1ng/mLまで低下していた。
一方、比較用の吸着材1〜3について同様に測定したところ、エンドトキシン濃度は10ng/mLのままであり、エンドトキシン吸着は全く認められなかった。
高サイトカイン血清2mLに50mgの本発明の多孔性吸着材−5又は比較用の吸着材1〜3のいずれかを入れ、37℃で1時間振盪した後、上清中のサイトカイン濃度を測定し、濃度低下率を求め、表2に示した。アルブミンの濃度低下率はいずれも10%以下であった。
なお、各成分の初期濃度は、TNF−αは1500pg/mL、IL−6は2500pg/mL、IL−1βは200pg/mL、IL−6Rは45ng/mL、TNF−R1は2900pg/mL、アルブミンは3.3mg/dLであった。
高サイトカイン血清2mLに50mgの本発明の多孔性吸着材−3又は比較用の吸着材1〜3のいずれかを入れ、37℃で1時間振盪した後、上清中の可溶性HLA−G濃度を測定し、450nmでの吸光度の低下率を求め、測定結果を表3に示した。
なお、可溶性HLA−Gの初期期濃度は、15ng/mLであった。
KDH−8細胞接種10日後の担癌ラット3匹に、本発明の多孔性吸着材1を充填した体外循環カラムで体外循環を1時間施行した後、4日後に脾臓を採取した。この脾臓を完全培地中で破砕し、血球細胞を取り出した後、赤血球を溶血させて、完全培地に浮遊させた脾細胞液(2×106個/mL濃度)を調製した。比較として、体外循環治療をしなかった同週令の担癌ラット3匹からも同様にして脾細胞液(2×106個/mL濃度)を調製した。
別に、X線照射したKDH−8細胞の2×105個/mL濃度を調製し、上記脾細胞と1:1で混合し、37℃の炭酸ガスインキュベーター中で3日間培養した。コントロールとしてX線照射したKDH−8細胞の代わりに完全培地を加えたものも同様に培養した。これらの細胞培養液を遠心して培養上清を採取し、その中のインターフェロンーγ濃度を測定した。これらの結果を表4に示した。
KDH−8細胞接種7日後の担癌ラット3匹に、本発明の多孔性吸着材−2又は比較用の吸着材2を0.3g充填した体外循環カラムで体外循環を1時間施行した後、7日後に脾臓を採取した。
コントロールとして体外循環をせず、癌細胞を接種して20日後の担癌ラット3匹及び同週令の正常ラット3匹からも同様に脾臓を採取した。これらの脾臓を完全培地中で破砕し、血球細胞を取り出した後、赤血球を溶血させて、完全培地に浮遊させた脾細胞液(2×106個/mL濃度)を調製した。
別にKDH−8細胞をCFSEラベルし、50倍量の上記脾細胞と混合し、37℃の炭酸ガスインキュベーター中で36時間培養した。フローサイトメーターでKDH−8細胞の死亡割合を求め、各脾細胞の殺細胞活性(キラー活性)を求めた。これらの結果を表5に示した。
癌細胞KDH−8の2×106個を0.5mLのPBS(−)に浮遊させ、WKAH/Hkmラット(雄:8週令)の背部皮下に接種し、12匹の担癌ラットを調製した。そして、担癌ラット3匹について14日目にネンブタールでの麻酔下で、腫瘍を切除した後、本発明の多孔性吸着材−1又は比較用の吸着材2を0.3g充填したカラムで体外循環を1時間施行した。体外循環終了時の傷口縫合直後に、尾静脈からPBS(−)0.5mLに浮遊させた2×106個を尾静脈から注入した。
また、体外循環との比較のため、担癌ラット3匹について癌細胞接種後14日目に背部の腫瘍近くの皮膚を3cm切開した後、傷口を縫合し、その後、尾静脈からPBS(−)0.5mLに浮遊させた2×106個のKDH−8液を注入する実験を行なった。さらに残りの3匹については手術及び体外循環を行なわず、14日目の尾静脈からの腫瘍注入だけを行なった。担癌28日目に全てのラットを屠殺した後、背部腫瘍の大きさを測定すると共に、肺を採取し、腫瘍転移の有無を調べた。これらの結果を表6に示した。
但し、表中背部腫瘍体積は、外部から測った長径をLcmと短径をScmとしたときのS×S×L÷2の値を意味する。
Claims (11)
- 易加水分解性縮合ポリマーの成型体をポリアミンで化学処理し、次いで、ハロゲノメチル基、ハロゲノアセトアミドメチル基、ハロゲノカルボニル基、1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基若しくは炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基から選ばれるアミンと化学結合を形成する反応性官能基及び/又は、アミノ基、ポリアミンの反応残基、塩基性環状ペプチドの反応残基若しくはアミノグリコシド化合物の反応残基から選ばれる吸着特性に関与するリガンドを持つ難加水分解性ポリマーで被覆処理して複合多孔性成型体を得てから、複合多孔性成型体をポリアミンで化学処理してなる多孔性成型体
または、さらに、この多孔性成型体を、ハロゲノメチル基、ハロゲノアセトアミドメチル基、ハロゲノカルボニル基、1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基若しくは炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基から選ばれるアミンと化学結合を形成する反応性官能基及び/又は、アミノ基、ポリアミンの反応残基、塩基性環状ペプチドの反応残基若しくはアミノグリコシド化合物の反応残基から選ばれる吸着特性に関与するリガンドを持つ難加水分解性ポリマーで被覆処理してなる多孔性成型体
から構成されることを特徴とする多孔性吸着材。 - 易加水分解性縮合ポリマーがポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸又はこれらの混合体である請求項1に記載の多孔性吸着材。
- 難加水分解性ポリマーが芳香族ポリスルホン、芳香族ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエーテルイミド、芳香族ポリイミド、ポリビニル芳香族化合物又はこれらの混合体である請求項1又は2に記載の多孔性吸着材。
- 易加水分解性縮合ポリマー及び/又は難加水分解性ポリマーがアミノ基又は環状ペプチドの残基を有する請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性吸着材。
- 易加水分解性縮合ポリマーの成型体が繊維状、不織布状、膜状、中空糸状又は粉粒状の形状である請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性吸着材。
- 体液中に含まれる被吸着物質を吸着するための吸着材である請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性吸着材。
- 被吸着物質が腫瘍増殖促進性蛋白質、神経病悪化蛋白質又はエンドトキシンである請求項6に記載の多孔性吸着材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載された多孔性吸着材を充填してなることを特徴とする体外循環カラム。
- 感染症治療用、癌治療用又は脳神経科病治療用である請求項8に記載の体外循環カラム。
- 易加水分解性縮合ポリマーの成型体をポリアミンで化学処理して多孔性成型体を得る工程(1)、
工程(1)の後に、多孔性成型体を、ハロゲノメチル基、ハロゲノアセトアミドメチル基、ハロゲノカルボニル基、1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基若しくは炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基から選ばれるアミンと化学結合を形成する反応性官能基及び/又は、アミノ基、ポリアミンの反応残基、塩基性環状ペプチドの反応残基若しくはアミノグリコシド化合物の反応残基から選ばれる吸着特性に関与するリガンドを持つ難加水分解性ポリマーで被覆処理して複合多孔性成型体を得る工程(2)、
工程(2)の後に、複合多孔性成型体をポリアミンで化学処理して多孔性成型体を得る工程(3)
を含むことを特徴とする多孔性吸着材の製造方法。 - 工程(3)の後に、多孔性成型体を難加水分解性ポリマーで被覆処理して複合多孔性成型体を得る工程(4)を含む請求項10に記載の製造方法。
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