JPH08252441A - ポリプロピレン中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン中空糸膜およびその製造方法

Info

Publication number
JPH08252441A
JPH08252441A JP8600695A JP8600695A JPH08252441A JP H08252441 A JPH08252441 A JP H08252441A JP 8600695 A JP8600695 A JP 8600695A JP 8600695 A JP8600695 A JP 8600695A JP H08252441 A JPH08252441 A JP H08252441A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
pore diameter
fiber membrane
polypropylene
pore
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8600695A
Other languages
English (en)
Inventor
Jun Kamo
純 加茂
Michiharu Uenishi
理玄 上西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP8600695A priority Critical patent/JPH08252441A/ja
Publication of JPH08252441A publication Critical patent/JPH08252441A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリマー系親水化材にて処理した場合、中空
糸膜の微孔の封孔現象が生ずることなく、高い分画特性
と、高透水性能を備えたポリプロピレン製中空糸膜を得
ること。 【構成】 タクティシィティが高く、特定のMI値を有
するポリプロピレンを溶融賦形し、高度に発達したスタ
ックドラメラの積層構造を有する未延伸糸を、特定条件
で延伸開孔し、孔径分布の均一なポリプロピレン中空糸
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、限外濾過、精密濾過等
に使用するのに適した多孔質膜およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】多孔質膜は、工業排水、工程水の処理等
の工業分野、家庭用浄水器分野など幅広い分野に使用さ
れている。従来開発されてきた多孔質膜としてはポリオ
レフィン中空糸膜が代表的である。特開平5−1039
59号公報には、繊維長方向に配列したミクロフィブリ
ルと繊維軸に対し垂直方向に配列したスタックドラメラ
との節部に囲まれた、短冊状微小細孔が膜の厚み方向に
積層して膜の一表面から他の表面に向かって連通した構
造を有するポリプロピレン多孔質中空糸膜の発明が開示
されている。
【0003】この膜は溶融紡糸した賦形物を冷延伸する
ことによって製造されている。すなわち、ポリプロピレ
ンを特定の紡糸条件で紡糸した後にアニール処理を行
い、膜壁内にラメラ結晶の積層した構造を有する賦形物
を作る。次いで、この賦形物を延伸し、膜壁中のラメラ
結晶間を剥離させ、フィブリルを成長させ、ラメラ結晶
間に短冊状微小細孔を形成する。このポリプロピレン中
空糸膜壁中の短冊状微小細孔は、ミクロフィブリルの長
さの長い細孔と短い細孔が混在したものとなり、その分
画特性のコントロール性に欠けやすい。一方、特公平6
−57142号公報には、ポリプロピレン中空糸の繊維
軸方向に対し、略直角に走る比較的太いロッド群と、そ
の各ロッド間を結び中空糸繊維軸方向に配向したミクロ
フィブリルとによって構成される短冊状の微小空孔を有
するポリプロピレンに中空糸膜の発明が示されている
が、このポリプロピレン中空糸膜は溶融紡糸した賦形物
を−60℃以下、とくに−150 ℃以下という極めて厳しい
条件下に延伸して得ており、この冷延伸工程での温度コ
ントロール性とエネルギーロスが極めて大きいという難
点がある。
【0004】一方、ポリプロピレン中空糸膜を水処理用
途に使用するには、微小細孔の表面に親水化材料を保持
させ、親水化多孔質中空糸膜とすることが必要であり、
親水化材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体の
ケン化物、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルア
ルコール系共重合体、界面活性剤等が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、ミクロ
フィブリル長の長い細孔、短い細孔が混在するポリオレ
フィン多孔質膜は、親水化材料をその膜面内に均一に保
持させる際、フィブリル長の短い細孔では孔が閉塞され
る現象が認められ、このために親水化処理膜の透水性能
が低下する。実用上、親水化中空糸膜の透水量は20L/
m2・hr・mmHg以上であることが望まれているが、上記方
法によって作った親水化中空糸膜の透水量がこの水準に
達したものは極めて少ない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前述の課
題を解決すべく検討中のところ、次に示すごとき細孔構
造を有する中空糸膜とすることにより、上記課題を解決
し得た親水化中空糸膜が得られることを見いだした。す
なわち、本発明の要旨とするところは、水銀ポロシメー
タで測定した細孔径積分分布曲線において全細孔体積の
50%にあたる孔径Φo が1μm以上10μm以下であり、
細孔径積分分布曲線を微分した細孔径微分分布曲線の半
値幅Wh がWh /Φo ≦0.5 なる関係を満足し、空孔率
が70%〜95%であるポリプロピレン中空糸膜よりなる発
明、とくに、水銀ポロシメータで測定した細孔径積分分
布曲線を微分して得られる、細孔径微分分布曲線の極大
点に対応する孔径Φp が1μm以上、10μm以下であ
り、細孔径微分分布曲線の半値幅Wh がWh /Φp ≦0.
5 を満足し、空孔率が70%〜95%であるポリプロピレン
中空糸膜の発明、ならびに、これらのポリオレフィン中
空糸を中空糸製造用ノズルを用いて、メルトフローイン
デックスが15以下であり、結晶化度が60%以上で、タク
ティシティが97%以上のアイソタクティックポリプロピ
レンを溶融紡糸して得た未延伸糸をアニール処理し、こ
れを延伸量20%以下で冷延伸し、次いで125〜145 ℃の
温度で、1分につき10%以下の変形速度、 300%以上の
延伸量で熱延伸して作ることを特徴とするポリプロピレ
ン中空糸膜の製造方法よりなる発明、ならびに、上記の
ポリプロピレン中空糸膜にエチレン−酢酸ビニル共重合
体のケン化物、または、ポリビニルアルコールを保持し
てなる親水化したポリプロピレン中空糸膜よりなる発明
にある。
【0007】本発明では、すべての細孔を円筒と考え、
円筒の半径を孔径とし、この値を水銀ポロシメータによ
り測定した。最大孔径から孔径までの円筒の体積総和V
(a)を孔径aに対してプロットした曲線を細孔径積分分
布曲線として図1に示した。この曲線をaに関して微分
した曲線を細孔径微分分布曲線として図2に示した。細
孔構造を特徴づける指標として、水銀ポロシメータ法に
て測定した、細孔径容積積分分布曲線の全細孔体積の
50%にあたる孔径Φo と、細孔径微分分布曲線の極大
点に対応する孔径Φp 、および、細孔径微分分布曲線
の半値幅Wh を用いた。
【0008】本発明は、延伸開孔法によって作ったポリ
プロピレン中空膜の親水化に際し、この孔径分布の広さ
によるより微小孔の封孔という課題を解決するために
は、図3に示すように膜の微孔を形成するミクロフィブ
リルの長さが均一であり、スタックドラメラが繊維軸と
直交する方向へ長く延び、微孔が規則正しく積み重ねら
れている細孔構造であり、かつ、上記〜の条件を満
足した細孔構造とすることが最もよいことを見いだし
た。これに対比させて従来の膜の細孔構造は図4に示す
ごとき構造を有し、上記〜の条件を満たさない膜で
は、その親水化に際し、微孔の封孔が起こり、本発明の
目的を達成することができない。電子顕微鏡により測定
した微小細孔と水銀ポロシメータ測定における本発明の
膜と従来開発された膜のΦo 、Φp との直接的対応は難
しいが、微孔膜の親水化によって目標透水性能を有する
膜を得るにはΦo 、Φp は1μm以上の必要があり、後
述する延伸開孔法にて微孔膜を作るに際しての延伸倍率
の限界から、10μmが最大値である。また、図3に示す
ごとき構造の微孔膜とするためには、Wh /Φo あるい
はWh /Φp の値を0.5 以下とすべきである。
【0009】次に、上記中空糸膜の製造方法について説
明する。本発明においては、タクティシティが97%以上
のアイソタクティックポリプロピレンを使用する。タク
ティシティとは、ポリプロピレンの分子構造中に含まれ
る側鎖メチル基の配列の度合いを示す物理量である。ア
イソタクティックとは、この側鎖メチル基がポリプロピ
レン分子中に同方向に配列したものであり、このタクテ
ィシティが高いほどポリプロピレンの結晶性が高くな
る。タクティシティが97%以上のポリプロピレンの結晶
化度は約60%以上となり、このように高結晶性のポリプ
ロピレンを用いて溶融紡糸して得た膜は、膜の軸と垂直
方向に平行に配列したスタックドラメラを有するものと
することができ、この溶融賦形物を高倍率の延伸を行う
と図3に示すごとく、細孔径分布の均一な膜が得られる
一方、タクティシティが97%に達しないポリプロピレン
を溶融賦形した膜では、膜の軸と垂直方向にスタックド
ラメラを平行性よく配列したものとすることが難しいた
め、この賦形物を高倍率延伸すると、図4に示すごと
く、スタックドラメラの端の方ではミクロフィブリル長
が短くなり、細孔径分布の大きな微孔膜となり、このよ
うな微孔膜は親水性高分子にて親水化処理して透水速度
の大きな親水化微孔膜とすることが難しい。
【0010】本発明を実施するに際して用いるポリプロ
ピレンのメルトインデックス値(MI値)は、 0.1〜30
の範囲にあることが望ましい。MI値が30を越えるポリ
プロピレンは溶融粘度が低く、溶融した吐出物の冷却不
足を生じ、安定な紡糸が難しい。一方、MI値が 0.1未
満のポリプロピレンでは溶融粘度が高すぎて安定な紡糸
が困難であり、かつ、伸度の大きな未延伸糸を得ること
が難しく、このような未延伸糸を延伸しても高倍率延伸
ができないので、高透水率の微多孔質膜とすることが難
しい。
【0011】本発明においては、まず、上記のようなポ
リプロピレンを中空糸製造用ノズルを用いて溶融紡糸
し、スタックドラメラが軸と垂直方向に高度に配向した
高配向結晶性の未延伸中空糸を製造する。用いる中空糸
製造用ノズルは二重管構造を有するノズルを用いるの
が、得られる中空糸の膜の偏肉が少なくて好ましいが、
馬蹄形ノズル等、その他の形状を有するものも用いるこ
とができる。
【0012】本発明の多孔質中空糸膜を安定して得るた
めには、紡糸温度はポリプロピレンの融点より20〜100
℃高い範囲の温度に設定するのが好ましい。この温度範
囲より低温領域で紡糸した場合は、ポリマーの溶融が不
完全となり、メルトフラクチャーが起こりやすく、得ら
れた未延伸糸はその延伸工程での安定性が低下する。逆
に、この温度範囲より高い温度領域で紡糸を行って得た
未延伸糸は、ミクロフィブリルを高度に配列したものと
しにくく、この未延伸糸を延伸しても、多孔質中空糸膜
の細孔径を大きくし、かつ、空孔率を高くすることが困
難となる。
【0013】適切な紡糸温度で吐出されたポリプロピレ
ンは、紡糸ドラフト5〜5000の範囲で引き取るのが好ま
しい。紡糸ドラフトが5000を越える条件で引き取った未
延伸糸は、 300%以上の延伸量を有するものとすること
ができず、このような未延伸糸からは高空孔、高孔径の
微孔膜を作ることができない。紡糸ドラフトが5未満の
未延伸糸は、高配向結晶化したものが得られず、この未
延伸糸は延伸多孔化が不可能である。
【0014】かくして得られた未延伸中空糸膜では、ス
タックドラメラが繊維軸方向に対して垂直方向に高度に
配向している。中空糸の内径は 100〜2000μm、膜厚は
15〜800 μm程度である。この未延伸中空糸は 120〜16
0 ℃、より好ましくは 130〜150 ℃の温度条件でアニー
ル処理し、延伸へ供される。アニール処理は3分以上が
必要である。このアニール処理によって結晶構造はより
安定となり、未延伸糸の50%伸長時の弾性回復率が95%
以上となる。
【0015】本発明の製造方法において未延伸糸の延伸
は、(1) 冷延伸に引き続き、熱延伸を行う方法、(2) 熱
延伸のみを行う方法のいずれかの方法により行う。 (1)
の方法においては未延伸糸の冷延伸により、スタックド
ラメラ構造を破壊させ、均一にスタックドラメラ間にミ
クロフィブリルを発生させるか、この構造を効率よく形
成させるためには、未延伸糸の延伸点を固定させること
が望ましく、また変形速度が1秒につき40%以上の高延
伸速度で行うことが望ましい。さらにスタックドラメラ
構造を緩和させることなく破壊させ、ミクロクレーズを
発生させるためには、未延伸糸の冷延伸温度は80℃以下
とするのが好ましい。このようにして延伸量20%以下の
冷延伸を行った後、熱延伸を行うが、冷延伸の延伸量が
20%を越える延伸を行ったものは、後に述べる最適条件
範囲で熱延伸を行っても得られる微孔膜中に形成される
微孔の孔径が小さくなり空孔率も低下し、目的とする多
孔質構造の中空糸膜が得られない。(1) 、(2) のいずれ
の方法においても熱延伸は、 130〜140 ℃の範囲で行う
のがよい。熱延伸温度がこの範囲を越えると孔径は大き
いが、半値幅が広くなり望ましい多孔質構造を有する微
孔膜が得られない。逆に、熱延伸温度が 130℃を下回る
と微孔膜中に形成される孔の孔径が小さくなり、空孔率
も低下し目的とする多孔質構造の膜が得られない。
【0016】未延伸糸の熱延伸における変形速度(変形
の割合)は、毎分10%以下とする。これより速い変形速
度で熱延伸して得た膜は、孔径分布の半値幅が広くな
り、望ましい狭い孔径分布の多孔質構造の膜が得られな
い。
【0017】本発明の延伸工程を経て得られた多孔質ポ
リプロピレン中空糸膜は、 120〜160 ℃の温度で緊張下
に定長で、または収縮させつつ熱セット(緩和熱セッ
ト)を行うことが好ましい。より好ましくは、 140〜16
0 ℃の温度領域で3秒以上の緩和熱セットを行う。 160
℃を越える温度で熱セットして得た膜は膜中に形成され
た細孔が閉塞することがあり、 120℃未満の温度で熱セ
ットするか、あるいは熱セット時間が3秒より短い条件
で熱セットした膜は、その熱固定が不十分となりやす
く、後に細孔が閉塞したり、温度変化により収縮しやす
いものとなる。
【0018】かくして得られる多孔質ポリプロピレン中
空糸膜は、水銀ポロシメータで測定した平均細孔径Φo
あるいはΦp が1μm以上10μm以下であり、空孔率が
70%〜95%、孔径の半値幅がWh /平均細孔径≦0.5 で
ある。空孔率が70%より小さい中空糸膜は、後述する親
水化処理を行っても目標とする透水性能が得られにく
く、また、空孔率が95%を越える中空糸膜は、通水時の
圧力に耐えられず破断しやすい。
【0019】上記多孔質ポリプロピレン中空糸膜を親水
化処理し、前述の目標透水性能を有する親水化多孔質ポ
リプロピレン中空糸膜の製造が可能である。この多孔質
ポリプロピレン中空糸膜の有効な親水化材料としては、
エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体のケン化物、ビニルアルコール重合体を
挙げることができる。
【0020】多孔質ポリプロピレン中空糸の親水化は、
上記した親水性重合体を適切な溶媒に溶かし、親水化処
理用溶液として調整する。溶媒としては、水;メタノー
ル、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、
sec-ブタノール、t-ブタノール等のアルコール類;アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル類;酢酸エチル等を挙げることができる。好ましい
溶質濃度は、多孔質中空糸膜の該溶液への浸漬、塗布の
条件、溶媒蒸発速度等の条件にもよるが1〜5wt%の範
囲とするのがよい。多孔質中空糸膜の微小細孔表面に保
持させる親水化材料としてエチレン−ビニルアルコール
共重合体、またはビニルアルコール重合体を用いる場合
においては、保持溶液中に微孔中空糸膜を浸漬するか、
該溶液を塗布し基材中空糸膜の細孔へ該溶液を十分に浸
透させた後、該溶液の溶媒を蒸発除去し、親水化中空糸
膜を作製する。溶媒蒸発温度は、用いる溶媒の種類にも
よるが、20℃〜80℃の範囲で行うのが好ましい。親水化
材としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合に
は、基材中空糸膜の細孔へ保持溶液を供給し、溶媒の蒸
発除去後、エチレン−酢酸ビニル被覆中空糸膜をケン化
処理する。ケン化処理は溶質濃度1〜20wt%の水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液にエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体を保持した多孔質中空糸を浸
し、20℃〜80℃の温度下、10分から10時間の範囲で行う
ことが好ましい。このような親水化処理を行うことによ
って透水量20L/m2・hr・mmHg以上の性能が得られる。
【0021】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明する。実施例1〜実施例5において使用した原料ポ
リマーの物性(タクティシティ、分子量、結晶化度、メ
ルトフローインデックス)、未延伸糸の製造条件(紡糸
ノズルの寸法、紡糸温度、紡糸ドラフト比、クエンチの
条件、未延伸糸の寸法)、延伸糸の製造条件(冷延伸倍
率、熱延伸倍率、延伸炉の温度、熱変形速度、熱延伸段
数、熱セット温度、熱セット時間)を表1に示す。クエ
ンチはいずれも共通の条件で行った。
【0022】延伸糸の細孔径積分分布曲線から解析した
平均孔径Φo 、細孔全体積、細孔径微分分布曲線の極大
点を与える平均孔径Φp 、半値幅Wh 、Wh /Φo 、W
h /Φp の比および空孔率を表2に示す。また、各実施
例において製造した延伸糸を親水化処理した条件(親水
化材、溶媒、親水化材濃度、溶液濃度、浸漬時間)、溶
媒を蒸発乾燥させる温度(乾燥温度、乾燥時間)、親水
化中空糸膜の評価結果を表3に示す。
【0023】比較例として比較例1〜比較例5を表1、
表2、表3中に示す。
【0024】空孔率、細孔径の分布測定には水銀ポロシ
メータ(CARLOERBA 社製 POROSIMETER-2000 )を用い
た。親水化処理は、中空糸膜を保持溶液に浸漬し、その
後溶媒を乾燥させて行った。乾燥には熱風乾燥機を使用
した。
【0025】親水化多孔質中空糸膜の評価方法を次に示
す。多孔質中空糸膜50本をU字型に束ねてハウジング内
に収納し、各多孔質中空糸膜の端部を開口状態でエポキ
シ樹脂によりハウジング内に固定し、膜の内側から外側
へ2Kg/cm2 の水圧を3時間かけ、該多孔質中空糸膜ハ
ウジングの一方から25℃の水を流して膜間差圧が50mmHg
における透水量を測定し、その値から透過速度(透水
量:L/m2・hr・mmHg)を求めた。
【0026】
【実施例1〜5、比較例1〜5】表1に示したごとき特
性を有するポリプロピレンを表1に示した紡糸条件にて
紡糸し、アニール処理した未延伸糸を表1に示したごと
き延伸条件および熱セット条件にて処理し、表1に示し
たごとき外径および膜厚を有するポリプロピレン中空糸
膜を製造した。得られた中空糸膜の微孔構造の特性を測
定した結果を表2に示した。表2に示したごとき特性を
有する中空糸膜を表3に示した親水化処理材を用い、表
3に示した条件にて親水化処理して得た親水化中空糸膜
の特性を評価した結果を表3に示した。
【0027】
【表1】
【表2】
【表3】
【0028】
【発明の効果】本発明の多孔質ポリプロピレン中空糸膜
は、細孔径の分布が極めて狭く、高空孔率であるため液
体の精密濾過等に好適であり、この中空糸を親水化して
使用する際にも親水化材による細孔の閉塞が生じにくい
ので、とくに水処理分野において優れた濾過膜素材とな
りうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】細孔径積分分布曲線。
【図2】細孔径微分分布曲線。
【図3】本発明のポリプロピレン中空糸膜の細孔構造の
一例を示す電子顕微鏡拡大図。
【図4】従来のポリプロピレン中空糸の細孔構造の一例
を示す電子顕微鏡拡大図。
【符号の説明】
a ………… 細孔径 aMAX ………… 最大細孔径 V(a) ………… 最大細孔径から孔径aまでの細孔体積
の総和 Φo ………… 平均孔径 Wh ………… 半値幅 Φp ………… 平均孔径

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水銀ポロシメータで測定した細孔径積分
    分布曲線において全細孔体積の50%にあたる孔径Φo
    1μm以上10μm以下であり、細孔径積分分布曲線を微
    分して得られる細孔径微分分布曲線の半値幅Wh がWh
    /Φo ≦0.5を満足し、空孔率が70%〜95%であるポリ
    プロピレン中空糸膜。
  2. 【請求項2】 水銀ポロシメータで測定した細孔径積分
    分布曲線を微分して得られる細孔径微分分布曲線の極大
    点に対応する孔径Φp が1μm以上10μm以下であり、
    細孔径微分分布曲線の半値幅Wh がWh /Φp ≦0.5 を
    満足し、空孔率が70%〜95%であるポリプロピレン中空
    糸膜。
  3. 【請求項3】 メルトフローインデックスが15以下であ
    り、結晶化度が60%以上かつタクティシティが97%以上
    のアイソタクティックポリプロピレンを中空糸製造用紡
    糸ノズルを用いて溶融紡糸して得た未延伸糸をアニール
    処理し、これを延伸量20%以下で冷延伸し、次いで 125
    〜145 ℃の温度、1分につき10%以下の変形速度、 300
    %以上の延伸量で熱延伸することを特徴とする請求項1
    または請求項2記載のポリプロピレン中空糸膜の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 中空糸製造用ノズルを用いてアイソタク
    ティックポリプロピレンを溶融紡糸し、得られた未延伸
    糸をアニール処理した後に熱延伸する多孔質中空糸膜の
    製造方法において、メルトフローインデックスが15以下
    であり、結晶化度が60%以上、かつ、タクティシティが
    97%以上のアイソタクティックポリプロピレン未延伸糸
    を製造した後、アニール処理し、次いで 125〜145 ℃の
    温度、1分につき10%以下の変形速度、 300%以上の延
    伸量で熱延伸することを特徴とする請求項1または請求
    項2記載のポリプロピレン中空糸膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2記載のポリプロ
    ピレン中空糸膜にエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン
    化物を保持してなる親水化ポリプロピレン中空糸膜。
  6. 【請求項6】 請求項1または請求項2記載のポリプロ
    ピレン中空糸膜にエチレン−ビニルアルコール共重合体
    を保持してなる親水化ポリプロピレン中空糸膜。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項2記載のポリプロ
    ピレン中空糸膜にポリビニルアルコールまたはその架橋
    物を保持してなる親水化ポリプロピレン中空糸膜。
JP8600695A 1995-03-20 1995-03-20 ポリプロピレン中空糸膜およびその製造方法 Pending JPH08252441A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8600695A JPH08252441A (ja) 1995-03-20 1995-03-20 ポリプロピレン中空糸膜およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8600695A JPH08252441A (ja) 1995-03-20 1995-03-20 ポリプロピレン中空糸膜およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08252441A true JPH08252441A (ja) 1996-10-01

Family

ID=13874619

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8600695A Pending JPH08252441A (ja) 1995-03-20 1995-03-20 ポリプロピレン中空糸膜およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08252441A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103551046A (zh) * 2013-11-11 2014-02-05 天津风云水资源科技有限公司 一种疏水性氨氮脱除膜的制备方法
CN103768958A (zh) * 2012-10-19 2014-05-07 中国石油化工股份有限公司 一种亲水性聚丙烯中空纤维微孔膜及其制备方法
CN106256416A (zh) * 2015-06-18 2016-12-28 中国石油化工股份有限公司 一种亲水性中空纤维膜及其制备方法
CN115155329A (zh) * 2022-07-11 2022-10-11 杭州科百特过滤器材有限公司 一种非对称脱气用聚烯烃中空纤维膜及其制备方法与用途

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103768958A (zh) * 2012-10-19 2014-05-07 中国石油化工股份有限公司 一种亲水性聚丙烯中空纤维微孔膜及其制备方法
CN103551046A (zh) * 2013-11-11 2014-02-05 天津风云水资源科技有限公司 一种疏水性氨氮脱除膜的制备方法
CN103551046B (zh) * 2013-11-11 2016-03-23 天津风云水资源科技有限公司 一种疏水性氨氮脱除膜的制备方法
CN106256416A (zh) * 2015-06-18 2016-12-28 中国石油化工股份有限公司 一种亲水性中空纤维膜及其制备方法
CN115155329A (zh) * 2022-07-11 2022-10-11 杭州科百特过滤器材有限公司 一种非对称脱气用聚烯烃中空纤维膜及其制备方法与用途

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4405688A (en) Microporous hollow fiber and process and apparatus for preparing such fiber
EP0057328B1 (en) Porous polyethylene film
US4401567A (en) Microporous polyethylene hollow fibers
US7364659B2 (en) Preparation of asymmetric polyethylene hollow fiber membrane
US4541981A (en) Method for preparing a uniform polyolefinic microporous hollow fiber
GB2053792A (en) Preparing microporous hollow fibres
JPS5938322B2 (ja) 微孔性中空繊維およびその製造法
JPS59196706A (ja) 不均質膜およびその製造方法
US4530809A (en) Process for making microporous polyethylene hollow fibers
JPH02144132A (ja) 多孔質ポリオレフィンフィルム
JP2628788B2 (ja) 微多孔性膜の製造方法及びその方法で製造される耐溶断性微多孔性膜
EP1063004A1 (en) Composite hollow fiber membrane and its manufacture
JPH08252441A (ja) ポリプロピレン中空糸膜およびその製造方法
KR100543968B1 (ko) 고강도를 가진 비대칭성 폴리에틸렌 중공사막의 제조방법
US5057218A (en) Porous membrane and production process thereof
JPS6342006B2 (ja)
JPH11262764A (ja) 浄水器
JPS584810A (ja) 微孔性中空繊維
JPS6018329B2 (ja) 多孔質アイソタクチツクポリプロピレン中空糸
JPH0254377B2 (ja)
JPS62269706A (ja) ポリオレフイン多孔質中空糸複合膜及びその製法
JPH119977A (ja) ポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜
JPS6240441B2 (ja)
JPH04265134A (ja) 親水性ポリプロピレン中空糸膜及びその製造法
JPH07185274A (ja) 異形断面多孔質中空糸膜及びその製造方法