JPH119977A - ポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜 - Google Patents
ポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜Info
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- JPH119977A JPH119977A JP16267097A JP16267097A JPH119977A JP H119977 A JPH119977 A JP H119977A JP 16267097 A JP16267097 A JP 16267097A JP 16267097 A JP16267097 A JP 16267097A JP H119977 A JPH119977 A JP H119977A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 良好な耐目詰まり性を有するとともに、高い
濾過速度で液体の濾過を行うことができる微多孔質中空
糸膜を提供すること。 【解決手段】 中空糸膜の外表面側から内表面側に透水
して濾過を行う微多孔質中空糸膜であって、孔径の異な
る少なくとも2層の微多孔質層が積層された複合構造を
有し、微孔を構成するミクロフィブリル束及びスタック
ドラメラの結節部は複合微多孔質中空糸膜プレカーサー
100重量%に対して、3〜30重量%の親水性重合体
にて覆われているとともに、外表面側の層に存在する微
孔のミクロフィブリル束間の平均距離Daと内表面側の
層に存在する微孔のミクロフィブリル束間の平均距離D
bとの比が、1.3≦Da/Db≦4.0なる範囲内に
あることを特徴とするポリエチレン製複合微多孔質中空
糸膜。
濾過速度で液体の濾過を行うことができる微多孔質中空
糸膜を提供すること。 【解決手段】 中空糸膜の外表面側から内表面側に透水
して濾過を行う微多孔質中空糸膜であって、孔径の異な
る少なくとも2層の微多孔質層が積層された複合構造を
有し、微孔を構成するミクロフィブリル束及びスタック
ドラメラの結節部は複合微多孔質中空糸膜プレカーサー
100重量%に対して、3〜30重量%の親水性重合体
にて覆われているとともに、外表面側の層に存在する微
孔のミクロフィブリル束間の平均距離Daと内表面側の
層に存在する微孔のミクロフィブリル束間の平均距離D
bとの比が、1.3≦Da/Db≦4.0なる範囲内に
あることを特徴とするポリエチレン製複合微多孔質中空
糸膜。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下排水処理や浄水
処理、ボイラー設備や原子力及び火力発電設備の復水処
理、浄水器、血液処理等の分野に用いられる微多孔質中
空糸膜に係り、特に微多孔質中空糸膜の微孔が懸濁成分
により目詰まりすることによる濾過流量の低下が少な
く、高い処理量で濾過処理を行うことができるポリエチ
レン製複合微多孔質中空糸膜に関するものである。
処理、ボイラー設備や原子力及び火力発電設備の復水処
理、浄水器、血液処理等の分野に用いられる微多孔質中
空糸膜に係り、特に微多孔質中空糸膜の微孔が懸濁成分
により目詰まりすることによる濾過流量の低下が少な
く、高い処理量で濾過処理を行うことができるポリエチ
レン製複合微多孔質中空糸膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液体の精密濾過、限外濾過に用いられる
微多孔質中空糸膜は、種々の材料、製法により得ること
ができる。例えば特開昭57−66114号公報には、
中空糸膜の延伸方向に配向した複数のミクロフィブリル
と、ミクロフィブリルの両端において結合するスタック
ドラメラの結節部にて構成されるスリット状の微孔の積
層体にて構成され、かつ、該微孔が膜の一表面から他表
面に向かって貫通するとともに、厚み方向に均一な微細
構造を形成しているポリエチレン製微多孔質中空糸膜が
開示されている。
微多孔質中空糸膜は、種々の材料、製法により得ること
ができる。例えば特開昭57−66114号公報には、
中空糸膜の延伸方向に配向した複数のミクロフィブリル
と、ミクロフィブリルの両端において結合するスタック
ドラメラの結節部にて構成されるスリット状の微孔の積
層体にて構成され、かつ、該微孔が膜の一表面から他表
面に向かって貫通するとともに、厚み方向に均一な微細
構造を形成しているポリエチレン製微多孔質中空糸膜が
開示されている。
【0003】この様な微多孔質中空糸膜は、特定の紡糸
条件でポリエチレンを賦形した後にこの賦形物をアニー
ル処理して、賦形物の膜壁内にスタックドラメラを形成
させ、次いでこの賦形物を延伸してこのスタックドラメ
ラ間を剥離させるとともに、スタックドラメラ間を結ぶ
フィブリルを延伸により成長させることにより、前述し
たスリット状の微孔を有する微多孔質中空糸膜が形成さ
れる。
条件でポリエチレンを賦形した後にこの賦形物をアニー
ル処理して、賦形物の膜壁内にスタックドラメラを形成
させ、次いでこの賦形物を延伸してこのスタックドラメ
ラ間を剥離させるとともに、スタックドラメラ間を結ぶ
フィブリルを延伸により成長させることにより、前述し
たスリット状の微孔を有する微多孔質中空糸膜が形成さ
れる。
【0004】この様な微多孔質中空糸膜の製造方法は溶
融延伸開孔法と呼ばれ、この製法により得られた微多孔
質中空糸膜は、前述した膜構造を有しているため、湿式
紡糸法など他の製法により得られた微多孔質中空糸膜に
比較して機械的強度に優れるとともに、製造過程で溶剤
を使用しないことから安全性に優れた微多孔質中空糸膜
を得ることができる。
融延伸開孔法と呼ばれ、この製法により得られた微多孔
質中空糸膜は、前述した膜構造を有しているため、湿式
紡糸法など他の製法により得られた微多孔質中空糸膜に
比較して機械的強度に優れるとともに、製造過程で溶剤
を使用しないことから安全性に優れた微多孔質中空糸膜
を得ることができる。
【0005】また、特公昭62−44046号公報、特
開昭62−269706号公報には、複合溶融延伸開孔
法により、異なる孔径を有する多孔質層を積層した複合
微多孔質中空糸膜の発明が開示されている。微多孔質中
空糸膜をこの様な複合構造とすることにより、微小な孔
径を有し分離機能を担う分離層が、大孔径を有し中空糸
膜の強度を担う支持層に支持される形態となるため、濾
過抵抗の大きい分離層の厚みを薄くすることができ、
水、気体の透過量を増大させることができる。
開昭62−269706号公報には、複合溶融延伸開孔
法により、異なる孔径を有する多孔質層を積層した複合
微多孔質中空糸膜の発明が開示されている。微多孔質中
空糸膜をこの様な複合構造とすることにより、微小な孔
径を有し分離機能を担う分離層が、大孔径を有し中空糸
膜の強度を担う支持層に支持される形態となるため、濾
過抵抗の大きい分離層の厚みを薄くすることができ、
水、気体の透過量を増大させることができる。
【0006】更に、W095/19219号には、複合
構造を有し、その微多孔質構造の表面に親水性高分子の
薄膜を被覆することにより、ミクロフィブリルを束状に
結束した親水性の複合微多孔質中空糸膜が記載されてお
り、従来の均質膜に比べて、分画性能を維持しながら、
高透水量で濾過処理を行いうることが開示されている。
構造を有し、その微多孔質構造の表面に親水性高分子の
薄膜を被覆することにより、ミクロフィブリルを束状に
結束した親水性の複合微多孔質中空糸膜が記載されてお
り、従来の均質膜に比べて、分画性能を維持しながら、
高透水量で濾過処理を行いうることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
62−44046号公報、特開昭62−269706号
に示される複合微多孔質中空糸膜は疎水性の中空糸膜で
あるため、これらの中空糸膜を用いて液体の濾過処理を
行うためには、アルコールによる親水化等煩雑な親水化
処理を行う必要がある。また、これら公報に示される複
合微多孔質中空糸膜は、その微孔がスリット状の構造を
有しているため、濾過処理を継続するに従って、微多孔
質中空糸膜が液体中に含有される懸濁成分により目詰ま
りを起こしやすいといった不都合を有している。
62−44046号公報、特開昭62−269706号
に示される複合微多孔質中空糸膜は疎水性の中空糸膜で
あるため、これらの中空糸膜を用いて液体の濾過処理を
行うためには、アルコールによる親水化等煩雑な親水化
処理を行う必要がある。また、これら公報に示される複
合微多孔質中空糸膜は、その微孔がスリット状の構造を
有しているため、濾過処理を継続するに従って、微多孔
質中空糸膜が液体中に含有される懸濁成分により目詰ま
りを起こしやすいといった不都合を有している。
【0008】また、W095/19219号に記載され
た親水性複合微多孔質中空糸膜は、親水性高分子により
膜表面が覆われると共に、親水性高分子によりミクロフ
ィブリルが結束されることにより、スリット状の微孔が
楕円状の微孔となるため透水量は増大するが、小孔径の
層からなる分離層が中空糸膜の外表面側に配置されてい
るため、中空糸膜の外表面から内表面に向かって濾過を
行う場合に、懸濁成分による膜面の急速な目詰まりを生
じ易い。
た親水性複合微多孔質中空糸膜は、親水性高分子により
膜表面が覆われると共に、親水性高分子によりミクロフ
ィブリルが結束されることにより、スリット状の微孔が
楕円状の微孔となるため透水量は増大するが、小孔径の
層からなる分離層が中空糸膜の外表面側に配置されてい
るため、中空糸膜の外表面から内表面に向かって濾過を
行う場合に、懸濁成分による膜面の急速な目詰まりを生
じ易い。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、溶融延伸開孔法によ
り得られるポリエチレン製微多孔質中空糸膜において、
良好な耐目詰まり性を有するとともに、高い濾過速度で
液体の濾過を行うことができる微多孔質中空糸膜を見い
だしたのである。
題を解決すべく鋭意検討した結果、溶融延伸開孔法によ
り得られるポリエチレン製微多孔質中空糸膜において、
良好な耐目詰まり性を有するとともに、高い濾過速度で
液体の濾過を行うことができる微多孔質中空糸膜を見い
だしたのである。
【0010】即ち本発明の要旨は、中空糸膜の外表面側
から内表面側に透水して濾過を行う微多孔質中空糸膜で
あって、孔径の異なる2層の微多孔質層が積層された複
合構造を有し、各層は中空糸膜の延伸軸方向に配向した
複数のミクロフィブリル束と、ミクロフィブリル束の両
端において結合するスタックドラメラの結節部にて構成
される楕円状の微孔の積層体にて構成されるとともに中
空糸膜の一表面から他表面に向かって微孔が連通してお
り、微孔を構成するミクロフィブリル束及びスタックド
ラメラの結節部は複合微多孔質中空糸膜プレカーサー1
00重量%に対して、3〜30重量%の親水性重合体に
て覆われているとともに、外表面側の層に存在する微孔
のミクロフィブリル束間の平均距離Daと内表面側の層
に存在する微孔のミクロフィブリル束間の平均距離Db
との比が、1.3≦Da/Db≦4.0なる範囲内にあ
ることを特徴とするポリエチレン製複合微多孔質中空糸
膜にある。
から内表面側に透水して濾過を行う微多孔質中空糸膜で
あって、孔径の異なる2層の微多孔質層が積層された複
合構造を有し、各層は中空糸膜の延伸軸方向に配向した
複数のミクロフィブリル束と、ミクロフィブリル束の両
端において結合するスタックドラメラの結節部にて構成
される楕円状の微孔の積層体にて構成されるとともに中
空糸膜の一表面から他表面に向かって微孔が連通してお
り、微孔を構成するミクロフィブリル束及びスタックド
ラメラの結節部は複合微多孔質中空糸膜プレカーサー1
00重量%に対して、3〜30重量%の親水性重合体に
て覆われているとともに、外表面側の層に存在する微孔
のミクロフィブリル束間の平均距離Daと内表面側の層
に存在する微孔のミクロフィブリル束間の平均距離Db
との比が、1.3≦Da/Db≦4.0なる範囲内にあ
ることを特徴とするポリエチレン製複合微多孔質中空糸
膜にある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明のポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜は、
外表面側から内表面側に透水して液体の濾過を行う微多
孔質中空糸膜であって、孔径の異なる2層の微多孔質層
が積層された複合構造を有する。各層は、中空糸膜の延
伸軸方向に配向した複数のミクロフィブリル束とミクロ
フィブリル束の両端において結合するスタックドラメラ
の結節部にて構成される楕円状の微孔の積層体にて構成
されるとともに、中空糸膜の一表面から他表面に向かっ
て微孔が連通した構造を有する。
る。本発明のポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜は、
外表面側から内表面側に透水して液体の濾過を行う微多
孔質中空糸膜であって、孔径の異なる2層の微多孔質層
が積層された複合構造を有する。各層は、中空糸膜の延
伸軸方向に配向した複数のミクロフィブリル束とミクロ
フィブリル束の両端において結合するスタックドラメラ
の結節部にて構成される楕円状の微孔の積層体にて構成
されるとともに、中空糸膜の一表面から他表面に向かっ
て微孔が連通した構造を有する。
【0012】また、微孔を構成するミクロフィブリル束
及びスタックドラメラの結節部は、複合微多孔質中空糸
膜プレカーサー100重量%に対して3〜30重量%の
親水性重合体にて覆われている。また、外表面側の層
(以下単に外層という)に存在する微孔のミクロフィブ
リル束間の平均孔径Daと、内表面側の層(以下単に内
層という)に存在する微孔のミクロフィブリル束間の平
均孔径Dbとの比は、1.3≦Da/Db≦4.0なる
関係式を満たす。
及びスタックドラメラの結節部は、複合微多孔質中空糸
膜プレカーサー100重量%に対して3〜30重量%の
親水性重合体にて覆われている。また、外表面側の層
(以下単に外層という)に存在する微孔のミクロフィブ
リル束間の平均孔径Daと、内表面側の層(以下単に内
層という)に存在する微孔のミクロフィブリル束間の平
均孔径Dbとの比は、1.3≦Da/Db≦4.0なる
関係式を満たす。
【0013】本発明のポリエチレン製複合微多孔質中空
糸膜においては、孔径の大きな多孔質層が中空糸膜の外
層に、実質的に固液分離を行う小孔径の層が中空糸膜の
内層に配設されるとともに、各層が、中空糸膜の延伸軸
方向に配列したミクロフィブリル束とミクロフィブリル
束の両端において結合するスタックドラメラの結節部と
から積層された楕円形状の微孔の積層体からなるので、
外層がプレフィルターの役割をし、中空糸膜の外表面側
に導入された液体中の懸濁物質により、内層の微孔が早
期に目詰まりすることを防止すことができる。
糸膜においては、孔径の大きな多孔質層が中空糸膜の外
層に、実質的に固液分離を行う小孔径の層が中空糸膜の
内層に配設されるとともに、各層が、中空糸膜の延伸軸
方向に配列したミクロフィブリル束とミクロフィブリル
束の両端において結合するスタックドラメラの結節部と
から積層された楕円形状の微孔の積層体からなるので、
外層がプレフィルターの役割をし、中空糸膜の外表面側
に導入された液体中の懸濁物質により、内層の微孔が早
期に目詰まりすることを防止すことができる。
【0014】本発明の複合微多孔質中空糸膜において
は、微孔を形成するミクロフィブリル束及びスタックド
ラメラの結節部は複合微多孔質中空糸膜プレカーサー1
00重量%に対して、3〜30重量%の親水性重合体に
て被覆される。プレカーサーに親水性共重合体を前述し
た量被覆することにより、多孔質中空糸膜プレカーサー
において、中空糸膜の延伸軸方向にスリット状に配向し
たミクロフィブリルが結束され、複数のミクロフィブリ
ル束とミクロフィブリル束の両端において結合するスタ
ックドラメラの結節部にて構成される楕円状の微孔の積
層体にて構成された微多孔質中空糸膜とすることがで
き、且つその表面を親水化することができる。これによ
り、被処理液中の濁質と膜表面の親和性が低くなり、濁
質による内層の目詰まりを低減させることができる。
は、微孔を形成するミクロフィブリル束及びスタックド
ラメラの結節部は複合微多孔質中空糸膜プレカーサー1
00重量%に対して、3〜30重量%の親水性重合体に
て被覆される。プレカーサーに親水性共重合体を前述し
た量被覆することにより、多孔質中空糸膜プレカーサー
において、中空糸膜の延伸軸方向にスリット状に配向し
たミクロフィブリルが結束され、複数のミクロフィブリ
ル束とミクロフィブリル束の両端において結合するスタ
ックドラメラの結節部にて構成される楕円状の微孔の積
層体にて構成された微多孔質中空糸膜とすることがで
き、且つその表面を親水化することができる。これによ
り、被処理液中の濁質と膜表面の親和性が低くなり、濁
質による内層の目詰まりを低減させることができる。
【0015】親水性共重合体の被覆量が複合微多孔質中
空糸膜プレカーサーに対し、3重量%未満である微多孔
質中空糸膜は、膜表面と濁質との親和性が高く、目詰ま
りが早期に発生するとともに、水との親和性に乏しいた
め、透水量が低減する傾向にある。一方、親水性重合体
の被覆量が30重量%を超えて多くなると、親水性重合
体による微多孔質中空糸膜の微孔の閉塞が起こり易く、
その透水性が低下し易くなる傾向にある。
空糸膜プレカーサーに対し、3重量%未満である微多孔
質中空糸膜は、膜表面と濁質との親和性が高く、目詰ま
りが早期に発生するとともに、水との親和性に乏しいた
め、透水量が低減する傾向にある。一方、親水性重合体
の被覆量が30重量%を超えて多くなると、親水性重合
体による微多孔質中空糸膜の微孔の閉塞が起こり易く、
その透水性が低下し易くなる傾向にある。
【0016】親水性重合体は、エチレンを20モル%以
上、親水性モノマー10モル%以上含む親水性共重合体
を用いることが好ましく、この共重合体はランダムコポ
リマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー等い
ずれのタイプの共重合体であってもよい。エチレン含量
が20モル%未満の親水性共重合体を用いると、共重合
体のプレカーサーに対する親和性が弱いため、プレカー
サー100重量%に対して3〜30重量%の親水性共重
合体を被覆しにくくなる傾向にある。
上、親水性モノマー10モル%以上含む親水性共重合体
を用いることが好ましく、この共重合体はランダムコポ
リマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー等い
ずれのタイプの共重合体であってもよい。エチレン含量
が20モル%未満の親水性共重合体を用いると、共重合
体のプレカーサーに対する親和性が弱いため、プレカー
サー100重量%に対して3〜30重量%の親水性共重
合体を被覆しにくくなる傾向にある。
【0017】本発明で使用する親水性共重合体に用いる
親水性モノマーとしては、例えばビニルアルコール、
(メタ)アクリル酸及びその塩、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、ビニルピロリドン、アクリルアミド等のビ
ニル化合物をあげることができ、これら親水性モノマー
の内、一種以上の親水性モノマー単位が親水性共重合体
中に含まれていればよい。これら親水性モノマーの内、
特に好ましいモノマーとしてビニルアルコールをあげる
ことができる。親水性重合体がエチレン−ビニルアルコ
ール系共重合体であると、複合微多孔質中空糸膜プレカ
ーサーとの親和性に富み、耐久性が増すので好ましい。
親水性モノマーとしては、例えばビニルアルコール、
(メタ)アクリル酸及びその塩、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、ビニルピロリドン、アクリルアミド等のビ
ニル化合物をあげることができ、これら親水性モノマー
の内、一種以上の親水性モノマー単位が親水性共重合体
中に含まれていればよい。これら親水性モノマーの内、
特に好ましいモノマーとしてビニルアルコールをあげる
ことができる。親水性重合体がエチレン−ビニルアルコ
ール系共重合体であると、複合微多孔質中空糸膜プレカ
ーサーとの親和性に富み、耐久性が増すので好ましい。
【0018】又、親水性共重合体は、エチレン及び親水
性モノマー以外の第三成分を一種以上含んでいてもよ
い。第三成分としては例えば酢酸ビニル、(メタ)アク
リル酸エステル、ビニルアルコール脂肪酸エステル、ビ
ニルアルコールのホルマール化物若しくはブチラール化
物等をあげることができる。
性モノマー以外の第三成分を一種以上含んでいてもよ
い。第三成分としては例えば酢酸ビニル、(メタ)アク
リル酸エステル、ビニルアルコール脂肪酸エステル、ビ
ニルアルコールのホルマール化物若しくはブチラール化
物等をあげることができる。
【0019】また、本発明の複合微多孔質中空糸膜にお
いては、外層に存在する微孔のミクロフィブリル束間の
平均孔径Daと、内層に存在する微孔のミクロフィブリ
ル束間の平均孔径Dbとの比が、1.3≦Da/Db≦
4.0なる関係式を満たす。Da/Dbが1.3未満の
複合微多孔質中空糸膜では、外層の目詰まりが発生しや
すくなる傾向があると共に、高分画で透水量の大きい膜
とはなりにくい傾向にある。また、Da/Dbが4.0
を超える複合微多孔質中空糸膜では、互いに隣接する多
孔質層の孔径差が拡大する為、外層による分離層の目詰
まり防止効果が低減するとともに、複合微多孔質中空糸
膜を製造する際の紡糸あるいは延伸安定性が低下する傾
向にある。
いては、外層に存在する微孔のミクロフィブリル束間の
平均孔径Daと、内層に存在する微孔のミクロフィブリ
ル束間の平均孔径Dbとの比が、1.3≦Da/Db≦
4.0なる関係式を満たす。Da/Dbが1.3未満の
複合微多孔質中空糸膜では、外層の目詰まりが発生しや
すくなる傾向があると共に、高分画で透水量の大きい膜
とはなりにくい傾向にある。また、Da/Dbが4.0
を超える複合微多孔質中空糸膜では、互いに隣接する多
孔質層の孔径差が拡大する為、外層による分離層の目詰
まり防止効果が低減するとともに、複合微多孔質中空糸
膜を製造する際の紡糸あるいは延伸安定性が低下する傾
向にある。
【0020】なお、本発明でいう微孔のミクロフィブリ
ル束間の平均距離は次の方法により測定することができ
る。まず、微多孔質中空糸膜より膜の延伸方向に極薄切
片を切り出したサンプルの6500倍の透過型電子顕微
鏡写真より6cm画の部分を画像処理装置のCRT画面
に取り込む。取込画像の上辺部より膜延伸方向に直角と
なる方向に、下辺部まで、順次0.052μmピッチで
1本目からn本目までの走査線を引く。そして、ミクロ
フィブリル束間の平均距離が測定できない部分は除外し
て、1本目の走査線の内、微孔部分を通過する線分の各
距離の和を求め、次いで、2本目の走査線について同様
に和を求め、順次n本目の走査線の和を求めて総和(距
離総和)を出す。次に各走査線が通過した微孔の数の総
和(数総和)を求めて、距離総和/数総和をミクロフィ
ブリル束間の平均距離とする。
ル束間の平均距離は次の方法により測定することができ
る。まず、微多孔質中空糸膜より膜の延伸方向に極薄切
片を切り出したサンプルの6500倍の透過型電子顕微
鏡写真より6cm画の部分を画像処理装置のCRT画面
に取り込む。取込画像の上辺部より膜延伸方向に直角と
なる方向に、下辺部まで、順次0.052μmピッチで
1本目からn本目までの走査線を引く。そして、ミクロ
フィブリル束間の平均距離が測定できない部分は除外し
て、1本目の走査線の内、微孔部分を通過する線分の各
距離の和を求め、次いで、2本目の走査線について同様
に和を求め、順次n本目の走査線の和を求めて総和(距
離総和)を出す。次に各走査線が通過した微孔の数の総
和(数総和)を求めて、距離総和/数総和をミクロフィ
ブリル束間の平均距離とする。
【0021】本発明の複合微多孔質中空糸膜において
は、内層に存在する微孔は、そのミクロフィブリル束間
の平均距離Daが、0.2〜0.5μmの範囲内にある
ことが好ましく、0.3〜0.4μmの範囲内にあるこ
とが更に好ましい。外層において、ミクロフィブリル束
間の平均距離Daが0.2μm以上である複合微多孔質
中空糸膜は透水量が良好であり、またDaが0.5μm
以下の微多孔質中空糸膜は微粒子の阻止能力が良好、つ
まり高分画な膜となる。
は、内層に存在する微孔は、そのミクロフィブリル束間
の平均距離Daが、0.2〜0.5μmの範囲内にある
ことが好ましく、0.3〜0.4μmの範囲内にあるこ
とが更に好ましい。外層において、ミクロフィブリル束
間の平均距離Daが0.2μm以上である複合微多孔質
中空糸膜は透水量が良好であり、またDaが0.5μm
以下の微多孔質中空糸膜は微粒子の阻止能力が良好、つ
まり高分画な膜となる。
【0022】また、本発明の複合微多孔質中空糸膜は、
その内径が50〜5000μmの範囲内にあるものが好
ましい。内径が50μm未満の複合微多孔質中空糸膜は
中空糸膜内部の圧力損失が大きくなり、透水量の低下が
起こりやすくなる傾向にある。また、内径が5000μ
mを超える複合微多孔質中空糸膜は、モジュール化した
際、中空糸膜の集積度が低下する為、単位容積当たりの
透水能の低いモジュールとなる傾向にある。
その内径が50〜5000μmの範囲内にあるものが好
ましい。内径が50μm未満の複合微多孔質中空糸膜は
中空糸膜内部の圧力損失が大きくなり、透水量の低下が
起こりやすくなる傾向にある。また、内径が5000μ
mを超える複合微多孔質中空糸膜は、モジュール化した
際、中空糸膜の集積度が低下する為、単位容積当たりの
透水能の低いモジュールとなる傾向にある。
【0023】本発明の複合微多孔質中空糸膜は、その全
膜厚が5〜500μm、より好ましくは30〜200μ
mの範囲内にあるものが好ましい。全膜厚を5μm未満
とすると、複合微多孔質中空糸膜の機械的強度が低下
し、モジュールに加工する際に、中空糸の扁平を起こし
やすくなる傾向にある。また、全膜厚が200μmを超
える複合微多孔質中空糸膜は、透水性が低下する傾向に
ある。
膜厚が5〜500μm、より好ましくは30〜200μ
mの範囲内にあるものが好ましい。全膜厚を5μm未満
とすると、複合微多孔質中空糸膜の機械的強度が低下
し、モジュールに加工する際に、中空糸の扁平を起こし
やすくなる傾向にある。また、全膜厚が200μmを超
える複合微多孔質中空糸膜は、透水性が低下する傾向に
ある。
【0024】本発明の複合微多孔質中空糸膜の内層の膜
厚は、0.5〜20μm、より好ましくは3〜12μm
とすることが好ましい。内層の膜厚を0.5μm未満と
すると、内層にピンホール欠陥が発生しやすくなる傾向
にあり、内層の膜厚が20μmを超えると、透水量が低
下する傾向にある。
厚は、0.5〜20μm、より好ましくは3〜12μm
とすることが好ましい。内層の膜厚を0.5μm未満と
すると、内層にピンホール欠陥が発生しやすくなる傾向
にあり、内層の膜厚が20μmを超えると、透水量が低
下する傾向にある。
【0025】更に本発明の複合微多孔質中空糸膜は、そ
の内層の膜厚を全膜厚の1/3以下とすることが好まし
い。内層の膜厚を前述した範囲とすることにより、外層
による分離層の目詰まり性を向上させることができると
ともに、高い透水量で濾過処理を行うことができる。
の内層の膜厚を全膜厚の1/3以下とすることが好まし
い。内層の膜厚を前述した範囲とすることにより、外層
による分離層の目詰まり性を向上させることができると
ともに、高い透水量で濾過処理を行うことができる。
【0026】以下、本発明のポリエチレン製複合微多孔
質中空糸膜の製造方法について説明する。本発明に用い
るポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜プレカーサー
は、二種類のポリエチレンを用いて、同心円状に配設し
た二つの円環状の吐出口を有するノズルにて溶融紡糸し
て多層体を得た後、必要に応じて熱処理を行い、延伸処
理を行うことにより得ることができる。この時、ポリエ
チレンとして、密度やMFR値の異なる二種類のポリエ
チレンを用いて複合化することにより、異なる孔径を有
する複合微多孔質中空糸膜を得ることができる。
質中空糸膜の製造方法について説明する。本発明に用い
るポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜プレカーサー
は、二種類のポリエチレンを用いて、同心円状に配設し
た二つの円環状の吐出口を有するノズルにて溶融紡糸し
て多層体を得た後、必要に応じて熱処理を行い、延伸処
理を行うことにより得ることができる。この時、ポリエ
チレンとして、密度やMFR値の異なる二種類のポリエ
チレンを用いて複合化することにより、異なる孔径を有
する複合微多孔質中空糸膜を得ることができる。
【0027】ポリエチレンの密度差を用いて外層と内層
に孔径差を付与する場合には、内層に密度の比較的低い
ポリエチレンを、外層に密度の比較的高いポリエチレン
を用いる。また、MFR値の差により内層と外層に孔径
差を付与する場合には、内層にMFR値の比較的低いポ
リエチレンを、外層にMFR値の比較的高いポリエチレ
ンを用いて、後述する延伸開孔法にて製膜を行う。
に孔径差を付与する場合には、内層に密度の比較的低い
ポリエチレンを、外層に密度の比較的高いポリエチレン
を用いる。また、MFR値の差により内層と外層に孔径
差を付与する場合には、内層にMFR値の比較的低いポ
リエチレンを、外層にMFR値の比較的高いポリエチレ
ンを用いて、後述する延伸開孔法にて製膜を行う。
【0028】なお、内層、外層に用いるポリエチレン
は、その密度が、JIS K6760に示される測定法
で0.955g/cm3以上、さらに好ましくは0.9
60g/cm3以上のものを用いるのがよい。密度が
0.955g/cm3未満のポリエチレンを用いると、
延伸開孔を行う際、微孔の形成が不均一となり好ましく
ない。
は、その密度が、JIS K6760に示される測定法
で0.955g/cm3以上、さらに好ましくは0.9
60g/cm3以上のものを用いるのがよい。密度が
0.955g/cm3未満のポリエチレンを用いると、
延伸開孔を行う際、微孔の形成が不均一となり好ましく
ない。
【0029】また、用いるポリエチレンは、そのMFR
値が、JIS K6760による測定法で0.05〜2
0.0g/10min、より好ましくは0.1〜5.0
g/10minのものを用いるのがよい。そのMFR値
が0.05g/10min未満のポリエチレンを用いる
と、ポリマー粘度が非常に高く、溶融紡糸が難しくなる
傾向にある。また、MFR値が20.0g/10min
を超えるポリエチレンを用いると、多層体の結晶配向性
が不充分となり、均一な微細孔構造を得ることが難しく
なる傾向にある。
値が、JIS K6760による測定法で0.05〜2
0.0g/10min、より好ましくは0.1〜5.0
g/10minのものを用いるのがよい。そのMFR値
が0.05g/10min未満のポリエチレンを用いる
と、ポリマー粘度が非常に高く、溶融紡糸が難しくなる
傾向にある。また、MFR値が20.0g/10min
を超えるポリエチレンを用いると、多層体の結晶配向性
が不充分となり、均一な微細孔構造を得ることが難しく
なる傾向にある。
【0030】溶融紡糸は、用いるポリエチレンの融点以
上、好ましくは融点より10〜100℃高い紡糸温度で
行い、紡糸ノズルより所定の紡糸温度で吐出させた吐出
物を、10〜40℃の雰囲気中で0.1〜3m/sec
の引取速度で引取ることにより、異なる2層のポリエチ
レン層が積層された多層体を得る。得られた多層体は、
引き続き、もしくは必要に応じてポリエチレンの融点以
下の温度(好ましくは融点より5〜50℃低い温度)で
熱処理を行ってスタックドラメラを形成させた後に、延
伸処理を行い、多層体内に微孔を開孔させる。
上、好ましくは融点より10〜100℃高い紡糸温度で
行い、紡糸ノズルより所定の紡糸温度で吐出させた吐出
物を、10〜40℃の雰囲気中で0.1〜3m/sec
の引取速度で引取ることにより、異なる2層のポリエチ
レン層が積層された多層体を得る。得られた多層体は、
引き続き、もしくは必要に応じてポリエチレンの融点以
下の温度(好ましくは融点より5〜50℃低い温度)で
熱処理を行ってスタックドラメラを形成させた後に、延
伸処理を行い、多層体内に微孔を開孔させる。
【0031】延伸処理においては、まず冷延伸を行い、
それに引き続いて熱延伸を行うのがよい。冷延伸は、比
較的低い温度で多層体の構造破壊を起こさせてスタック
ドラメラ間にミクロクラックを発生させる過程であり、
冷延伸温度は0〜80℃、好ましくは10〜50℃の範
囲内で行うのがよい。また、冷延伸倍率は、5〜200
%とするのが好ましい。冷延伸倍率を5%未満とする
と、スタックドラメラ間のミクロクラックの発生が不十
分となり、目的とする孔径を有する複合微多孔質中空糸
膜を得にくくなる傾向にある。冷延伸倍率を200%を
超えるものとすると、スタックドラメラの変形が起こ
り、各微多孔質層の開孔率が低下する傾向にある。
それに引き続いて熱延伸を行うのがよい。冷延伸は、比
較的低い温度で多層体の構造破壊を起こさせてスタック
ドラメラ間にミクロクラックを発生させる過程であり、
冷延伸温度は0〜80℃、好ましくは10〜50℃の範
囲内で行うのがよい。また、冷延伸倍率は、5〜200
%とするのが好ましい。冷延伸倍率を5%未満とする
と、スタックドラメラ間のミクロクラックの発生が不十
分となり、目的とする孔径を有する複合微多孔質中空糸
膜を得にくくなる傾向にある。冷延伸倍率を200%を
超えるものとすると、スタックドラメラの変形が起こ
り、各微多孔質層の開孔率が低下する傾向にある。
【0032】冷延伸に次いで行う熱延伸は、冷延伸にお
いて多層体中に発生させたミクロクラックを拡大させ、
スタックドラメラ間にミクロフィブリルを形成せしめ、
スリット状の微孔を有する複合微多孔質中空糸膜プレカ
ーサーとする工程である。熱延伸を行う際の熱延伸温度
は、ポリエチレンの融点を超えない範囲で、できるだけ
高い温度で行うのがよい。また、熱延伸倍率は、製造す
る複合微多孔質中空糸膜の孔径に応じて適宜選定すれば
よいが、工程安定性の面から50〜2000%、好まし
くは100〜1000%の範囲とするのがよい。
いて多層体中に発生させたミクロクラックを拡大させ、
スタックドラメラ間にミクロフィブリルを形成せしめ、
スリット状の微孔を有する複合微多孔質中空糸膜プレカ
ーサーとする工程である。熱延伸を行う際の熱延伸温度
は、ポリエチレンの融点を超えない範囲で、できるだけ
高い温度で行うのがよい。また、熱延伸倍率は、製造す
る複合微多孔質中空糸膜の孔径に応じて適宜選定すれば
よいが、工程安定性の面から50〜2000%、好まし
くは100〜1000%の範囲とするのがよい。
【0033】得られた複合微多孔質中空糸膜プレカーサ
ーは、その寸法安定性を向上させるため、定長下もしく
は若干弛緩させた状態で熱セットを行う。熱セットの温
度は、前述した延伸温度以上であり、かつポリエチレン
の融点温度以下の温度で行うことが好ましい。
ーは、その寸法安定性を向上させるため、定長下もしく
は若干弛緩させた状態で熱セットを行う。熱セットの温
度は、前述した延伸温度以上であり、かつポリエチレン
の融点温度以下の温度で行うことが好ましい。
【0034】次にこの複合微多孔質中空糸膜プレカーサ
ーの微孔の表面に親水性重合体を被覆する被覆工程を行
う。被覆工程において、微多孔質中空糸膜プレカーサー
は、前述した親水性共重合体を溶剤に溶解した溶液に浸
漬した後に乾燥が行われる。親水性重合体を溶解させる
溶剤としては、水混和性有機溶剤を用いることが好まし
く、その具体例としては、メタノール、エタノール、N
−プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコー
ル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等
をあげることができる。これら溶剤は単独でも用い得る
が、水との混合物として用いると、親水性重合体の溶解
性が強く、より好ましい。
ーの微孔の表面に親水性重合体を被覆する被覆工程を行
う。被覆工程において、微多孔質中空糸膜プレカーサー
は、前述した親水性共重合体を溶剤に溶解した溶液に浸
漬した後に乾燥が行われる。親水性重合体を溶解させる
溶剤としては、水混和性有機溶剤を用いることが好まし
く、その具体例としては、メタノール、エタノール、N
−プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコー
ル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等
をあげることができる。これら溶剤は単独でも用い得る
が、水との混合物として用いると、親水性重合体の溶解
性が強く、より好ましい。
【0035】親水性重合体を被覆した微多孔質中空糸膜
を乾燥するに際しては、溶剤の蒸気含有雰囲気で乾燥を
行うのが好ましい。よって用いる溶剤としては、溶剤の
蒸気圧の低さ、人体に対する低毒性の点から、沸点100
℃未満のアルコール類、例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等と水の混合系溶剤を用い
ることが特に好ましい。
を乾燥するに際しては、溶剤の蒸気含有雰囲気で乾燥を
行うのが好ましい。よって用いる溶剤としては、溶剤の
蒸気圧の低さ、人体に対する低毒性の点から、沸点100
℃未満のアルコール類、例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等と水の混合系溶剤を用い
ることが特に好ましい。
【0036】水混和性有機溶剤と水との混合割合は、プ
レカーサーへの浸透性を阻害せず、親水性重合体の溶解
を低下せしめない範囲であればよく、用いる親水性重合
体の種類によっても異なるが、例えば有機溶剤としてエ
タノールを用いる場合、エタノール/水の混合割合は、
90/10〜30/70(vol%)とするのが好まし
い。
レカーサーへの浸透性を阻害せず、親水性重合体の溶解
を低下せしめない範囲であればよく、用いる親水性重合
体の種類によっても異なるが、例えば有機溶剤としてエ
タノールを用いる場合、エタノール/水の混合割合は、
90/10〜30/70(vol%)とするのが好まし
い。
【0037】親水性重合体溶液における親水性重合体の
濃度は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重
量%とするのがよい。共重合体の濃度が0.1重量%未
満の溶液でプレカーサーを処理したものは親水性重合体
の均一な被覆を行うことが難しくなる傾向にあり、10
重量%を超えると溶液粘度が大きくなり過ぎるため、該
溶液でプレカーサーを処理すると、微孔が親水性重合体
で閉塞され易くなる傾向にある。
濃度は、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重
量%とするのがよい。共重合体の濃度が0.1重量%未
満の溶液でプレカーサーを処理したものは親水性重合体
の均一な被覆を行うことが難しくなる傾向にあり、10
重量%を超えると溶液粘度が大きくなり過ぎるため、該
溶液でプレカーサーを処理すると、微孔が親水性重合体
で閉塞され易くなる傾向にある。
【0038】親水性重合体溶液にプレカーサーを浸漬す
る方法としては、同じ濃度の溶液に2回以上浸漬処理を
行ってもよく、濃度の異なる溶液に浸漬を2回以上行っ
てもよい。また、プレカーサーを浸漬させる親水性重合
体溶液の温度は高い程その粘度が低下し、プレカーサー
への溶液の浸透性が向上するため好ましいが、安全面か
らその溶液の沸点以下とするのが好ましい。
る方法としては、同じ濃度の溶液に2回以上浸漬処理を
行ってもよく、濃度の異なる溶液に浸漬を2回以上行っ
てもよい。また、プレカーサーを浸漬させる親水性重合
体溶液の温度は高い程その粘度が低下し、プレカーサー
への溶液の浸透性が向上するため好ましいが、安全面か
らその溶液の沸点以下とするのが好ましい。
【0039】プレカーサーは親水性重合体溶液に浸漬さ
れた後、有機溶剤の蒸気が3vol%以上含まれ、その
温度が室温から該溶剤の沸点以下の温度である雰囲気下
に立ち上げ、少なくとも30秒以上滞在させるセッティ
ング工程に供される。この処理工程の目的は、プレカー
サーを構成するミクロフィブリルとスタックドラメラと
の結節部の表面に親水性共重合体の被膜が形成すること
による微孔の閉塞を防止するとともに、ミクロフィブリ
ルを結束させてスリット状の微孔を大孔径化して楕円状
の微孔を形成させることにある。
れた後、有機溶剤の蒸気が3vol%以上含まれ、その
温度が室温から該溶剤の沸点以下の温度である雰囲気下
に立ち上げ、少なくとも30秒以上滞在させるセッティ
ング工程に供される。この処理工程の目的は、プレカー
サーを構成するミクロフィブリルとスタックドラメラと
の結節部の表面に親水性共重合体の被膜が形成すること
による微孔の閉塞を防止するとともに、ミクロフィブリ
ルを結束させてスリット状の微孔を大孔径化して楕円状
の微孔を形成させることにある。
【0040】セッティング工程におけるプレカーサーか
らの溶剤の蒸発速度は極力遅くする方が好ましく、セッ
ティング工程の雰囲気は溶剤の飽和蒸気濃度に近い雰囲
気とするのが好ましい。プレカーサー表面での溶剤の蒸
発を遅くするには、セッティング温度を低温にするのが
よいが、セッティング温度が低過ぎると脱溶剤が進まな
いという現象が起こり好ましくない。従って、該雰囲気
の温度は室温以上、水混和性溶剤の沸点以下とすること
が好ましい。
らの溶剤の蒸発速度は極力遅くする方が好ましく、セッ
ティング工程の雰囲気は溶剤の飽和蒸気濃度に近い雰囲
気とするのが好ましい。プレカーサー表面での溶剤の蒸
発を遅くするには、セッティング温度を低温にするのが
よいが、セッティング温度が低過ぎると脱溶剤が進まな
いという現象が起こり好ましくない。従って、該雰囲気
の温度は室温以上、水混和性溶剤の沸点以下とすること
が好ましい。
【0041】セッティング工程において、浸漬後のプレ
カーサーは浸漬浴より該雰囲気中に立ち上げられるが、
その立ち上げの角度は45°〜90°の範囲とするのが
好ましい。浸漬浴からプレカーサーをこの様な角度で立
ち上げることにより、プレカーサーに付着した過剰な親
水性重合体溶液の一部が自重によってプレカーサーより
脱液される。脱液量は、プレカーサーの浴面からの立ち
上げる速度、浸漬溶液の濃度、プレカーサーの浴面から
の立ち上げる高さ等により異なる。このセッティング工
程での脱液効果を高めるための補助手段として、ガイ
ド、スリット等によるプレカーサー表面にある溶液の拭
き取りを併用してもよい。
カーサーは浸漬浴より該雰囲気中に立ち上げられるが、
その立ち上げの角度は45°〜90°の範囲とするのが
好ましい。浸漬浴からプレカーサーをこの様な角度で立
ち上げることにより、プレカーサーに付着した過剰な親
水性重合体溶液の一部が自重によってプレカーサーより
脱液される。脱液量は、プレカーサーの浴面からの立ち
上げる速度、浸漬溶液の濃度、プレカーサーの浴面から
の立ち上げる高さ等により異なる。このセッティング工
程での脱液効果を高めるための補助手段として、ガイ
ド、スリット等によるプレカーサー表面にある溶液の拭
き取りを併用してもよい。
【0042】セッティング時間は、30秒以上とするこ
とが好ましく、この間に、溶剤のプレカーサーからの蒸
発に伴う親水性重合体溶液の濃縮と膜のミクロフィブリ
ルとスタックドラメラ表面でのマイグレーションによる
均一化が行われる。セッティング時間を30秒未満とす
ると、微孔表面に付着した親水化共重合体溶液の、溶剤
の蒸発に伴う濃縮が不十分となり、過剰の溶液がプレカ
ーサーに付着した状態で乾燥工程に供されることとにな
り、親水性重合体による微孔の閉塞が発現しやすくな
る。また、親水性重合体の膜構造内での均一付着化が不
十分となり、目詰まり性が低下するとともに、透水性
能、分画性能の良好な微多孔質中空糸膜が得られにく
い。なお、セッティング工程でのプレカーサーからの溶
剤の蒸発量をコントロールする方法としては、セッティ
ング雰囲気温度、該雰囲気中に空気や不活性ガス等の気
体を送風する方法などをあげることができる。
とが好ましく、この間に、溶剤のプレカーサーからの蒸
発に伴う親水性重合体溶液の濃縮と膜のミクロフィブリ
ルとスタックドラメラ表面でのマイグレーションによる
均一化が行われる。セッティング時間を30秒未満とす
ると、微孔表面に付着した親水化共重合体溶液の、溶剤
の蒸発に伴う濃縮が不十分となり、過剰の溶液がプレカ
ーサーに付着した状態で乾燥工程に供されることとにな
り、親水性重合体による微孔の閉塞が発現しやすくな
る。また、親水性重合体の膜構造内での均一付着化が不
十分となり、目詰まり性が低下するとともに、透水性
能、分画性能の良好な微多孔質中空糸膜が得られにく
い。なお、セッティング工程でのプレカーサーからの溶
剤の蒸発量をコントロールする方法としては、セッティ
ング雰囲気温度、該雰囲気中に空気や不活性ガス等の気
体を送風する方法などをあげることができる。
【0043】セッティング工程を完了したプレカーサー
は、続いて乾燥工程に供する。乾燥工程においては、真
空乾燥、熱風乾燥などの方法で、複合微多孔質中空糸膜
の乾燥を行う。乾燥工程における乾燥温度は、複合微多
孔質中空糸膜が熱によって変形を受けない120℃以下
の温度で乾燥するのが好ましく、40〜70℃の温度で
乾燥することがより好ましい。
は、続いて乾燥工程に供する。乾燥工程においては、真
空乾燥、熱風乾燥などの方法で、複合微多孔質中空糸膜
の乾燥を行う。乾燥工程における乾燥温度は、複合微多
孔質中空糸膜が熱によって変形を受けない120℃以下
の温度で乾燥するのが好ましく、40〜70℃の温度で
乾燥することがより好ましい。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例、比較例中の各種測定、評価は下記の
方法により行った。 1.親水性重合体の被覆量 下記式に従って算出した。 [(親水化処理後の複合微多孔質中空糸膜の乾燥膜重量
−多孔質膜プレカーサーの乾燥重量)/複合微多孔質中
空糸膜プレカーサーの乾燥重量]×100 2.透水量 複合微多孔質中空糸膜の透水量は有効膜面積70〜90
cm2ミニモジュールを作成し、差圧1kg/cm2でイ
オン交換水を濾過しその時の透水量を測定した。 3.分画粒子径 分画粒子径は、膜面積が約50cm2のミニモジュール
を作成し、0.1重量%の界面活性剤(ポリエチレング
リコール−p−イソオクチルフェニルエーテル)水溶液
で膜内の空気を置換した後、圧力0.7kg/cm2で
所定の単一分散粒子径のポリスチレンラテックス粒子の
0.1%溶液を濾過し、濾液のラテックス粒子の濃度を
日立分光光度計(U−3400)により320nmの波
長で測定し、捕捉率90%における粒子径を求めた。 4.耐目詰まり性 耐目詰まり性は、水温25℃の水道水を濾過し、透水量
が初期透水量に対し50%に低下した時点の積算流量を
もって表示した。測定は、有効濾過膜面積84cm2の
モジュールを用いて、圧力1kg/cm2にて行った。
る。なお、実施例、比較例中の各種測定、評価は下記の
方法により行った。 1.親水性重合体の被覆量 下記式に従って算出した。 [(親水化処理後の複合微多孔質中空糸膜の乾燥膜重量
−多孔質膜プレカーサーの乾燥重量)/複合微多孔質中
空糸膜プレカーサーの乾燥重量]×100 2.透水量 複合微多孔質中空糸膜の透水量は有効膜面積70〜90
cm2ミニモジュールを作成し、差圧1kg/cm2でイ
オン交換水を濾過しその時の透水量を測定した。 3.分画粒子径 分画粒子径は、膜面積が約50cm2のミニモジュール
を作成し、0.1重量%の界面活性剤(ポリエチレング
リコール−p−イソオクチルフェニルエーテル)水溶液
で膜内の空気を置換した後、圧力0.7kg/cm2で
所定の単一分散粒子径のポリスチレンラテックス粒子の
0.1%溶液を濾過し、濾液のラテックス粒子の濃度を
日立分光光度計(U−3400)により320nmの波
長で測定し、捕捉率90%における粒子径を求めた。 4.耐目詰まり性 耐目詰まり性は、水温25℃の水道水を濾過し、透水量
が初期透水量に対し50%に低下した時点の積算流量を
もって表示した。測定は、有効濾過膜面積84cm2の
モジュールを用いて、圧力1kg/cm2にて行った。
【0045】(実施例1)密度0.967g/cm3、
MFR値0.3の高密度ポリエチレン(HB530、三
菱化学株式会社製)67重量%と密度0.962g/c
m3、MFR値0.3g/10minの高密度ポリエチ
レン(HB430、三菱化学株式会社製)33重量%と
を溶融混練し、密度0.965g/cm3、MFR値
0.3g/10minのブレンドポリマーを得た。
MFR値0.3の高密度ポリエチレン(HB530、三
菱化学株式会社製)67重量%と密度0.962g/c
m3、MFR値0.3g/10minの高密度ポリエチ
レン(HB430、三菱化学株式会社製)33重量%と
を溶融混練し、密度0.965g/cm3、MFR値
0.3g/10minのブレンドポリマーを得た。
【0046】次に同心円上に配置された二つの円管状の
吐出口を有する中空糸製造用ノズルを用いて内側の吐出
口から前記ブレンドポリマーを、外側の吐出口から前記
の密度0.967g/cm3、MFR値0.3g/10
minの高密度ポリエチレンを吐出させ、溶融紡糸し
た。
吐出口を有する中空糸製造用ノズルを用いて内側の吐出
口から前記ブレンドポリマーを、外側の吐出口から前記
の密度0.967g/cm3、MFR値0.3g/10
minの高密度ポリエチレンを吐出させ、溶融紡糸し
た。
【0047】このとき、吐出温度は170℃で、内層側
吐出量0.40g/min、外層側吐出量2.40g/
min、内層と外層の吐出比1/6、吐出線速度47c
m/min、ドラフト比75となるように吐出させた。
更にノズルから吐出された糸に温度21℃、風速1m/
秒の冷却風を糸の周囲に均一にあてながら巻取り速度3
5m/minにて巻き取り、多層体を得た。
吐出量0.40g/min、外層側吐出量2.40g/
min、内層と外層の吐出比1/6、吐出線速度47c
m/min、ドラフト比75となるように吐出させた。
更にノズルから吐出された糸に温度21℃、風速1m/
秒の冷却風を糸の周囲に均一にあてながら巻取り速度3
5m/minにて巻き取り、多層体を得た。
【0048】得られた多層体を、125℃に加熱した空
気中で定長のまま16時間熱処理を行った。さらに、こ
の多層体を30℃に保たれたローラー間で25%冷延伸
し、引き続いて119℃の加熱炉中で総延伸量が500
%になるように熱延伸を行い、さらに120℃の加熱炉
中で定長のまま熱セットを行い、複合微多孔質中空糸膜
プレカーサーを得た。
気中で定長のまま16時間熱処理を行った。さらに、こ
の多層体を30℃に保たれたローラー間で25%冷延伸
し、引き続いて119℃の加熱炉中で総延伸量が500
%になるように熱延伸を行い、さらに120℃の加熱炉
中で定長のまま熱セットを行い、複合微多孔質中空糸膜
プレカーサーを得た。
【0049】次に、エチレン含有量32mol%のエチ
レンービニルアルコール共重合体(ソアノールDC32
03、日本合成化学株式会社製)を70℃のエタノール
/水混合溶媒(混合比60/40vol%)の混合溶媒
に1.0重量%溶解した親水性共重合体溶液を調整し
た。この親水性共重合体溶液中に上記の複合微多孔質中
空糸膜プレカーサーを100秒間浸漬した後、プレカー
サーを引き上げ、ガイドにより表面に過剰に付着した親
水化剤溶液の一部を絞り落とした。
レンービニルアルコール共重合体(ソアノールDC32
03、日本合成化学株式会社製)を70℃のエタノール
/水混合溶媒(混合比60/40vol%)の混合溶媒
に1.0重量%溶解した親水性共重合体溶液を調整し
た。この親水性共重合体溶液中に上記の複合微多孔質中
空糸膜プレカーサーを100秒間浸漬した後、プレカー
サーを引き上げ、ガイドにより表面に過剰に付着した親
水化剤溶液の一部を絞り落とした。
【0050】引き続きエタノール蒸気濃度40vol
%、60℃の雰囲気中に立ち上げ角度90゜で立ち上
げ、100秒間滞在させてプレカーサーの微小空孔内表
面に親水化剤を均一付着させた後、70℃の熱風にて1
0%オーバーフィードさせながら溶媒を乾燥した。得ら
れた親水化複合中空糸膜のプレカーサーに対するエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体の被覆量は、10.5重
量%であった。
%、60℃の雰囲気中に立ち上げ角度90゜で立ち上
げ、100秒間滞在させてプレカーサーの微小空孔内表
面に親水化剤を均一付着させた後、70℃の熱風にて1
0%オーバーフィードさせながら溶媒を乾燥した。得ら
れた親水化複合中空糸膜のプレカーサーに対するエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体の被覆量は、10.5重
量%であった。
【0051】得られた複合微多孔質中空糸膜を走査型電
子顕微鏡にて観察したところ、該複合微多孔質中空糸膜
の内表面及び外表面は、エチレンービニルアルコール共
重合体の薄膜で覆われており、内層中に形成された楕円
形状の微孔のミクロフィブリル束間の平均距離は0.3
5μm、外層中のに形成された楕円形状の微孔のミクロ
フィブリル束間の平均距離は、0.47μmであった。
また、孔径比Da/Db=1.34、内層の膜厚は12
μmであった。得られた中空糸膜の特性を表1に示し
た。
子顕微鏡にて観察したところ、該複合微多孔質中空糸膜
の内表面及び外表面は、エチレンービニルアルコール共
重合体の薄膜で覆われており、内層中に形成された楕円
形状の微孔のミクロフィブリル束間の平均距離は0.3
5μm、外層中のに形成された楕円形状の微孔のミクロ
フィブリル束間の平均距離は、0.47μmであった。
また、孔径比Da/Db=1.34、内層の膜厚は12
μmであった。得られた中空糸膜の特性を表1に示し
た。
【0052】
【表1】
【0053】*1) ml/min・cm2・kg/c
m2・25℃ (比較例1)実施例1において内層に用いたポリマーと
外層に用いたポリマーを逆転させ、ノズルの外側の吐出
口からブレンドポリマー、内側の吐出口から密度0.9
67g/cm3、MFR値0.3g/10minの高密
度ポリエチレンを外層側吐出量0.56g/min、内
層側吐出量2.24g/minにて溶融紡糸したこと以
外は実施例1と同一条件で複合微多孔質中空糸膜を作製
した。
m2・25℃ (比較例1)実施例1において内層に用いたポリマーと
外層に用いたポリマーを逆転させ、ノズルの外側の吐出
口からブレンドポリマー、内側の吐出口から密度0.9
67g/cm3、MFR値0.3g/10minの高密
度ポリエチレンを外層側吐出量0.56g/min、内
層側吐出量2.24g/minにて溶融紡糸したこと以
外は実施例1と同一条件で複合微多孔質中空糸膜を作製
した。
【0054】得られた複合微多孔質中空糸膜は、外層中
の微孔のミクロフィブリル束間の平均距離Daは0.3
4μm、内層の微孔のミクロフィブリル束間の平均距離
Dbは、0.48μmであり、内層の膜厚は12μmで
あった。得られた複合微多孔質中空糸膜の膜特性を表1
に示した。得られた複合微多孔質中空糸膜は、実施例1
と比較して初期透水量は同程度であったが、耐目詰まり
性は著しく低いものであった。
の微孔のミクロフィブリル束間の平均距離Daは0.3
4μm、内層の微孔のミクロフィブリル束間の平均距離
Dbは、0.48μmであり、内層の膜厚は12μmで
あった。得られた複合微多孔質中空糸膜の膜特性を表1
に示した。得られた複合微多孔質中空糸膜は、実施例1
と比較して初期透水量は同程度であったが、耐目詰まり
性は著しく低いものであった。
【0055】(比較例2)一つの円管状の吐出口を有す
る中空糸製造用ノズルを用いて、実施例1で内層側に用
いたブレンドポリマーを吐出量2.8g/minで溶融
紡糸した。その時の吐出温度は、170℃であり、35
m/minの巻き取り速度で巻きとった。得られた未延
伸中空糸を実施例1と同様の条件にて熱処理、延伸処
理、親水化処理を行い、実施例1と同一の分画粒子径を
有する均一膜を得た。得られた複合微多孔質中空糸膜の
膜特性を表1に示した。得られた均一膜は、実施例1と
比較して初期透水量、耐目詰まり性に著しく劣るもので
あった。
る中空糸製造用ノズルを用いて、実施例1で内層側に用
いたブレンドポリマーを吐出量2.8g/minで溶融
紡糸した。その時の吐出温度は、170℃であり、35
m/minの巻き取り速度で巻きとった。得られた未延
伸中空糸を実施例1と同様の条件にて熱処理、延伸処
理、親水化処理を行い、実施例1と同一の分画粒子径を
有する均一膜を得た。得られた複合微多孔質中空糸膜の
膜特性を表1に示した。得られた均一膜は、実施例1と
比較して初期透水量、耐目詰まり性に著しく劣るもので
あった。
【0056】
【発明の効果】本発明のポリエチレン製複合微多孔質中
空糸膜は、中空糸膜の外表面側から内表面側に透水して
濾過を行う微多孔質中空糸膜であって、孔径の異なる2
層の微多孔質層が積層された複合構造を有し、各層は中
空糸膜の延伸軸方向に配向した複数のミクロフィブリル
束とミクロフィブリル束の両端において結合するスタッ
クドラメラの結節部にて構成される楕円状の微孔の積層
体にて構成されるとともに中空糸膜の一表面から他表面
に向かって微孔が連通しており、微孔を構成するミクロ
フィブリル束及びスタックドラメラの結節部は複合微多
孔質中空糸膜プレカーサー100重量%に対して、3〜
30重量%の親水性重合体にて覆われているとともに、
外表面側の層に存在する微孔のミクロフィブリル束間の
平均距離Daと内表面側の層に存在する微孔のミクロフ
ィブリル束間の平均距離Dbとの比が、1.3≦Da/
Db≦4.0なる範囲内にあるので、良好な耐目詰まり
性を有するとともに、高い濾過速度で濾過処理を行うこ
とができる。
空糸膜は、中空糸膜の外表面側から内表面側に透水して
濾過を行う微多孔質中空糸膜であって、孔径の異なる2
層の微多孔質層が積層された複合構造を有し、各層は中
空糸膜の延伸軸方向に配向した複数のミクロフィブリル
束とミクロフィブリル束の両端において結合するスタッ
クドラメラの結節部にて構成される楕円状の微孔の積層
体にて構成されるとともに中空糸膜の一表面から他表面
に向かって微孔が連通しており、微孔を構成するミクロ
フィブリル束及びスタックドラメラの結節部は複合微多
孔質中空糸膜プレカーサー100重量%に対して、3〜
30重量%の親水性重合体にて覆われているとともに、
外表面側の層に存在する微孔のミクロフィブリル束間の
平均距離Daと内表面側の層に存在する微孔のミクロフ
ィブリル束間の平均距離Dbとの比が、1.3≦Da/
Db≦4.0なる範囲内にあるので、良好な耐目詰まり
性を有するとともに、高い濾過速度で濾過処理を行うこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 武史 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 (72)発明者 小林 真澄 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 中空糸膜の外表面側から内表面側に透水
して濾過を行う微多孔質中空糸膜であって、孔径の異な
る少なくとも2層の微多孔質層が積層された複合構造を
有し、各層は中空糸膜の延伸軸方向に配向した複数のミ
クロフィブリル束と、ミクロフィブリル束の両端におい
て結合するスタックドラメラの結節部にて構成される楕
円状の微孔の積層体にて構成されるとともに中空糸膜の
一表面から他表面に向かって微孔が連通しており、微孔
を構成するミクロフィブリル束及びスタックドラメラの
結節部は複合微多孔質中空糸膜プレカーサー100重量
%に対して、3〜30重量%の親水性重合体にて覆われ
ているとともに、外表面側の層に存在する微孔のミクロ
フィブリル束間の平均距離Daと内表面側の層に存在す
る微孔のミクロフィブリル束間の平均距離Dbとの比
が、1.3≦Da/Db≦4.0なる範囲内にあること
を特徴とするポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜。 - 【請求項2】 中空糸膜の内表面側の層に存在する微孔
におけるミクロフィブリル束間の平均距離Daが0.2
〜0.5μmであることを特徴とする請求項1記載のポ
リエチレン製複合微多孔質中空糸膜。 - 【請求項3】 中空糸膜の内径が50〜5000μm、
全膜厚が5〜500μmであり、内表面側の層の膜厚が
0.5〜20μmでかつ全膜厚の1/3以下であること
を特徴とする請求項1記載のポリエチレン製複合微多孔
質中空糸膜。 - 【請求項4】 親水性重合体がエチレン−ビニルアルコ
ール系共重合体であることを特徴とする請求項1記載の
ポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16267097A JPH119977A (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | ポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16267097A JPH119977A (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | ポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH119977A true JPH119977A (ja) | 1999-01-19 |
Family
ID=15759061
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16267097A Pending JPH119977A (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | ポリエチレン製複合微多孔質中空糸膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH119977A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1309829C (zh) * | 1999-12-03 | 2007-04-11 | 茵微特克有限公司 | 结合生物材料的表面改性载体材料、其制备方法和用途 |
CN102500249A (zh) * | 2011-11-07 | 2012-06-20 | 北京碧水源科技股份有限公司 | 一种带衬型中空纤维复合膜的制备方法及其产品 |
CN102716682A (zh) * | 2012-06-29 | 2012-10-10 | 上海中科高等研究院 | 一种中空纤维纳滤膜在水体除砷中的应用 |
JP2013146682A (ja) * | 2012-01-19 | 2013-08-01 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | ポリオレフィン系中空糸膜 |
WO2015146847A1 (ja) * | 2014-03-26 | 2015-10-01 | ダイキン工業株式会社 | エアフィルタ用濾材、フィルタパック、エアフィルタユニット、およびエアフィルタ用濾材の製造方法 |
-
1997
- 1997-06-19 JP JP16267097A patent/JPH119977A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1309829C (zh) * | 1999-12-03 | 2007-04-11 | 茵微特克有限公司 | 结合生物材料的表面改性载体材料、其制备方法和用途 |
CN102500249A (zh) * | 2011-11-07 | 2012-06-20 | 北京碧水源科技股份有限公司 | 一种带衬型中空纤维复合膜的制备方法及其产品 |
JP2013146682A (ja) * | 2012-01-19 | 2013-08-01 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | ポリオレフィン系中空糸膜 |
CN102716682A (zh) * | 2012-06-29 | 2012-10-10 | 上海中科高等研究院 | 一种中空纤维纳滤膜在水体除砷中的应用 |
WO2015146847A1 (ja) * | 2014-03-26 | 2015-10-01 | ダイキン工業株式会社 | エアフィルタ用濾材、フィルタパック、エアフィルタユニット、およびエアフィルタ用濾材の製造方法 |
JP2015186772A (ja) * | 2014-03-26 | 2015-10-29 | ダイキン工業株式会社 | エアフィルタ用濾材、フィルタパック、エアフィルタユニット、およびエアフィルタ用濾材の製造方法 |
US10265654B2 (en) | 2014-03-26 | 2019-04-23 | Daikin Industries, Ltd. | Filtering medium for air filter, filter pack, air filter unit, and method for producing filtering medium for air filter |
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