JPH09117275A - 酒の濾過方法 - Google Patents

酒の濾過方法

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JPH09117275A
JPH09117275A JP22234896A JP22234896A JPH09117275A JP H09117275 A JPH09117275 A JP H09117275A JP 22234896 A JP22234896 A JP 22234896A JP 22234896 A JP22234896 A JP 22234896A JP H09117275 A JPH09117275 A JP H09117275A
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fiber membrane
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micropores
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Takeshi Yoshida
武史 吉田
Masumi Kobayashi
真澄 小林
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 濾過流量が大きく、濾過後の酒の液特性も良
好で、かつ耐久性にも優れた酒の濾過方法の提供。 【解決手段】 分離機能を担う微多孔質層に補強機能を
担う微多孔質が積層されてなり、かつ微孔の壁面が親水
性共重合体に覆われてなる特定構造のポリオレフィン複
合微多孔質中空糸膜を用いて酒を濾過する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酒の濾過方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より酒の濾過法としてはケイソウ
土、木綿により濾過する方法があり、また、限外濾過膜
による濾過も提案されている。しかし、ケイソウ土、木
綿による方法では、濾過分画性、すなわち微小成分の濾
過が十分でなく、さらに使用後の濾材の廃棄処分もやり
にくく大きな問題になっている。また、「日本醗酵工学
会」昭和51年秋期大会の要旨集第47頁に記載されて
いるような限外濾過膜による方法は、分画性は大きく改
善されるが、処理すべき酒を循環するため酒の変質が懸
念される上に大量の残液が生じその処理も問題となる。
また、装置や運転経費等が大きくなるという難点もあ
る。
【0003】また、酒の仕上げ濾過法としては、火入れ
後の酒に、活性炭、かきしぶ等の蛋白質の凝集処理剤を
加えて静置し、蛋白質を凝集沈澱させた後、上澄液を木
綿により濾過する方法がある。しかし、この方法では蛋
白質の凝集処理剤を加えてから凝集沈澱するまで1週間
程度静置する必要があり、そのための大容量のタンクを
必要とするという欠点があり、合理化の大きな障害にな
っている。
【0004】これらの欠点を改良する方法として、平均
孔径が0.02〜1μmの微細多孔質中空繊維膜を用い
て濾過する酒の濾過方法が特開昭57−206378号
公報により知られている。
【0005】この方法は、分画特性に優れ、濾過された
酒の液特性も良好で、工程設備面でも合理化を推進でき
るものであり、特に火入れ後の酒に対して適用する場合
には、蛋白質の凝集処理剤を加えた後、静置せずに濾過
しても濾過精度は変わらず静置のための大容量のタンク
を不要とした。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この濾過方法
は限外濾過方法に比べると濾過流量は大きいものの、微
細多孔質中空繊維膜固有のフラックスの低さのために、
十分な濾過流量を確保するためには多量の微細多孔質中
空繊維膜を用いる必要があった。フラックスを増加させ
る一法は、細孔孔径の大きな中空糸膜を用いることであ
るが、その場合には濾過後の酒の液特性との兼ねあいが
問題となる。膜厚のより薄い中空糸膜を用いてもフラッ
クスを大きくすることはできるが、その場合には中空糸
膜の機械的強度が不足する傾向となり、耐久性に問題が
生じやすい。
【0007】本発明者等は、高分画で、高フラックスが
得られ、かつ機械的強度も良好で、酒の濾過に用いるの
に適した多孔質中空糸膜の開発につき鋭意検討した結
果、所定の粒径の粒子を分離できる微孔を有する多孔質
膜に、それより所定比だけ大きな微孔を有する微多孔質
膜が接合された複合微多孔質中空糸膜の構成とすること
により、機械的強度が高く、十分な酒の濾過流量を確保
し得る複合多孔質中空糸膜が製造できることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0008】本発明の目的は、濾過流量が大きく、濾過
後の酒の液特性も良好な酒の濾過方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、中
空糸膜を用いて酒を濾過する方法において、該中空糸膜
として、孔径の異なる微多孔質層を少なくとも二層有す
るポリオレフィン製複合微多孔質中空糸膜を用いたこと
を特徴とする酒の濾過方法である。
【0010】また、本発明は、中空糸膜を用いて酒を濾
過する方法において、該中空糸膜として、分離機能を担
う微多孔質層a層の少なくとも片面に補強機能を担う微
多孔質b層を積層したポリオレフィン製複合微多孔質中
空糸膜であり、膜構造はa層およびb層の各層が繊維軸
方向に配向した複数のミクロフィブリル束とミクロフィ
ブリル束の両端において結合するスタックドラメラの結
節部とから構成される楕円状の微孔の積層体にて構成さ
れ、該微孔が中空糸膜の一方の表面から他方の表面に向
かって連通しており、該中空糸膜の微孔を構成するミク
ロフィブリル束およびスタックドラメラの結節部が、複
合微多孔質中空糸膜プレカーサー100重量%に対して
3〜30重量%の親水性共重合体にて覆われているとと
もに、a層中に存在する微孔のミクロフィブリル束間の
平均距離Daと、b層中に存在する微孔のミクロフィブ
リル束間の平均距離Dbとの比が1.3≦Db/Da≦
4.0となる範囲にある複合微多孔質中空糸膜を用いた
ことを特徴とする酒の濾過方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の濾過方法の適用の対象と
なる酒は、火入れ前の生酒または火入れ後の酒だけでな
く、濾過して得た酒に割水して所望のアルコール濃度に
調整した後の酒も含まれる。ここで火入れ後の酒とは、
新酒をおり引後濾過機により濾過し、さらに火入れ機に
より火入れした後の酒または火入れした後貯蔵タンクに
入れた酒をいう。
【0012】従来、火入れ後の酒の濾過に際しては、蛋
白質の凝集処理剤を加えて静置し、その上澄液を木綿等
により濾過していたが、本発明の方法では、静置せずに
直ちに中空糸膜により濾過しても、静置した場合と比較
して酒の液特性に殆ど差はないので、直ちに濾過するの
が工程の簡便化の面から好ましい。もちろん、多少の静
置時間を置くのは差し支えないし、充分静置した後に上
澄液を濾過することもできる。
【0013】酒に添加する蛋白質の凝集処理剤として
は、活性炭、かきしぶ、ゼラチン、ゼオライトなど従来
より用いられているものが使用できる。その添加量は、
例えば活性炭の場合、従来より通常用いられている量
0.5〜2.0g/l(清酒)がそのまま適用できる。
【0014】本発明の酒の濾過方法に用いる複合微多孔
質中空糸膜は、孔径の異なる微孔を持つポリオレフィン
製微多孔質層が二層以上積層された複合構造となってい
るもの、すなわち、補強機能を受け持つ孔径の大きな微
多孔質層b層が、分離機能を受け持つ孔径の小さな微多
孔質層a層の少なくとも片面に積層されてなるものであ
る。したがって、中空糸膜の構造は、例えばa層の片面
にb層が積層された二層構造のものでもよいし、a層の
両面にb層が積層された三層構造でもよい。この複合微
多孔質中空糸膜は、内径が50〜5000μmの範囲で
あることが好ましい。内径が50μm未満では中空糸膜
内部の圧力損失が大きくなり、実用上好ましくない。ま
た、5000μmより大きい場合には、中空糸膜の集積
度が低下するため、単位容積当りの濾過流量は著しく低
下する。全膜厚は5〜500μmであることが好まし
く、より好ましくは30〜200μmの範囲である。全
膜厚が5μm未満では機械的強度が弱く、中空糸の扁平
化変形が生ずる。また、200μmより大きい場合に
は、高い濾過流量が得られにくくなる。
【0015】a層及びb層は微孔を有しており、この微
孔は繊維軸方向に配列しており、かつ微孔はa層内、b
層内及びab層間で互いに連通して、中空糸膜の一方の
表面から他方の表面まで積層連通した微孔を形成してい
る。
【0016】a層において形成される微孔は、繊維軸方
向に配列したミクロフィブリル束と、繊維軸と垂直方向
に配列したスタックドラメラの結節部とから形成され、
ミクロフィブリル束と結節部との間隙部分が楕円状の微
孔となっている。
【0017】a層中の微孔の大きさとしては、ミクロフ
ィブリル束間の平均距離Daで、0.2〜0.5μmで
あることが好ましく、0.3〜0.4μmであることが
より好ましい。ミクロフィブリル束間の平均距離Daを
0.2μm以上とした中空糸膜では特に濾過流量が大き
く、また、Daが0.5μm以下の膜では微粒子の阻止
能力が良好、つまり高分画な膜となっている。
【0018】a層の厚みは、0.5〜20μmであるこ
とが好ましく、3〜12μmであることがより好まし
い。a層の厚みを0.5μm未満とすると、a層中にピ
ンホール欠陥が発生しやすい傾向にあり、一方、a層の
厚みを20μmを超えたものとすると、酒の濾過流量が
低下する傾向にある。また、a層の膜厚は全膜厚の1/
3以下であることが好ましく、これより厚い中空糸膜で
は高い濾過流量が得られにくくなる。
【0019】微多孔質層b層は、複合中空糸膜において
分離機能を受け持つ微多孔質層a層を支持する補強機能
を担っている。b層もa層と同じく繊維軸方向に配向し
た微孔の積層構造を有しており、この微孔はミクロフィ
ブリル束とスタックドラメラの結節部とから形成されて
いる。b層中の微孔の大きさとしては、ミクロフィブリ
ル束間の平均距離Dbで、0.2〜1μmであることが
好ましく、0.4〜0.5μmであることがより好まし
い。Dbが0.2μm未満なる微孔からなるb層を有す
る中空糸膜では酒の濾過速度が低下する傾向にあり、一
方、Dbが1μmを超える場合、微孔を有するb層を備
えた中空糸膜の機械的強度が低下する傾向にある。
【0020】また、b層中のスタックドラメラの結節部
間平均距離Lbは、0.4〜4.0μmであることが好
ましく、0.7〜2.0μmであることがより好まし
い。Lbが0.4μm未満なる微孔からなるb層を有す
る中空糸膜では酒の濾過速度が低下する傾向にあり、L
bが4.0μmを超える場合、中空糸膜の機械的強度が
低下する傾向にある。
【0021】本発明に用いる中空糸膜では、DbとDa
の比が1.3≦Db/Da≦4.0となることが好まし
い。Db/Daが1.3未満の中空糸膜では、高分画で
濾過流量が大きな膜とはなりにくいので好ましくない。
また、Db/Daが4.0を超えると互いに隣接するポ
リオレフインの物性差が拡大するので、紡糸あるいは延
伸安定性が低下する傾向にある。
【0022】複合中空糸膜を形成する素材として用いる
ポリオレフィン類は、例えばポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリ−3−メチルブテン―1、ポリ−4−メチル
ペンテン−1、ポリフッ化ビニリデン単独またはこれら
重合体の混合物を用いることができる。ポリオレフィン
類のASTM D−1238によって測定したMI値
(メルトインデックス値)は、0.1〜50の範囲が好
ましく、0.3〜15の範囲がより好ましい。MI値が
0.1未満のポリオレフィンはその溶融粘度が高過ぎる
ため、その賦形が難しく所望とする微多孔質膜を作るこ
とが困難である。また、MI値が50を超えるポリオレ
フィンは逆に溶融粘度が低過ぎて安定な賦形を行うこと
が困難である。ポリオレフィンの好ましい密度は用いる
素材によって異なるが、例えばポリエチレンの場合には
0.95g/cm3 以上であることが好ましく、ポリプ
ロピレンの場合には0.91g/cm3 以上であること
が好ましい。
【0023】この複合微多孔質中空糸膜を作るに際し、
a層形成用ポリオレフィンのMI値MIaとb層形成用
ポリオレフィンのMI値MIbとは、MIa<MIbと
なるように選定すると、a層形成用ポリオレフィンの密
度ρaと、b層形成用ポリオレフィンρbがほぼ等しく
ても製造することができる。逆に、ρa<ρbとなるよ
うにそれぞれのポリオレフィンを選定すると、MIa、
MIbがほぼ等しくても、この複合微多孔質中空糸膜を
得ることができる。MIa<MIb、ρa<ρbとなる
関係を両方満たすように、それぞれのポリオレフィンを
選定すると、この複合微多孔質中空糸膜を効率よく作る
ことができるので好ましい。
【0024】なお、本発明でいう微孔のミクロフィブリ
ル束間の平均距離は次のようにして測定したものであ
る。すなわち、中空糸膜より繊維軸方向に極薄切片を切
出したサンプルの6500倍の透過型電子顕微鏡写真よ
り6cm角の部分を画像処理装置のCRT画面に取り込
む(第1図にこの画像の模式図を示す)。取込画像の上
辺部より繊維軸方向に直角となる方向に、下辺部まで、
順次0.052μmピッチで1本目からn本目までの走
査線を引く。そして、αで表示したミクロフィブリル束
間の平均距離が測定できない部分は除外して、1本目の
走査線の内、孔部部分を通過する線分の各距離、例えば
1 からa5 の和を求め、次いで、2本目の走査線につ
いて同様に例えばb1 からb6 の和を求め、順次n本目
の走査線の例えばn1 からn6 の和を求めて総和(距離
総和)を出す。次に、各走査線が通過した微孔の数(1
本目の走査線では5つ、2本目は6つ、n本目は6つ)
の総和(数総和)を求めて、距離総和/数総和を平均間
隔Da、Dbとする。
【0025】本発明の酒の濾過方法に用いる複合微多孔
質中空糸膜を製造するには、先ず中間体たる複合微多孔
質中空糸膜プレカーサーを作り、次いで親水性共重合体
で被覆処理を行えばよい。プレカーサーを作るには、上
記条件を満足したポリオレフィンを選定し、同心円状に
配設した二つ以上の円環状の吐出口を有するノズルを用
いて溶融複合紡糸し、多層体を得た後必要に応じて熱処
理を行い、延伸することにより達成される。
【0026】また、互いに隣接する各層に孔径差を付与
する手段としては、密度やMI値の異なるポリオレフィ
ンを複合化することで達成される。ポリオレフィンとし
てポリエチレンを用いる場合には、用いるポリエチレン
の密度はJISK6760に示される測定法で0.95
5g/cm3 以上であることが好ましく、さらに好まし
くは0.960g/cm3 以上である。密度が0.95
5g/cm3 未満では延伸による微細孔の形成が不均一
となり好ましくない。また、MI値としては、JISK
6760による測定法で0.05〜20.0g/10分
の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜
5.0g/10分の範囲である。MI値が0.05g/
10分未満ではポリマー粘度が非常に高く、溶融紡糸が
難しくなるため好ましくない。更に、20.0g/10
分を超えると多層体の結晶配向性が不充分となり、均一
な微細孔構造を得ることはできない。溶融紡糸、延伸法
によって形成される微細孔は、密度あるいはMI値を調
整したポリエチレンを配置することで本発明で用いる孔
径の異なる微多孔質層が二層以上に積層された複合微多
孔質中空糸膜を得ることができる。
【0027】以上に述べたポリエチレンの密度あるいは
MI値は、重合条件の設定やブレンド等により自由に調
整が可能であり、必要に応じて選定することができる。
【0028】紡糸温度としては、ポリオレフィンの融点
以上(好ましくは融点より10〜100℃高い温度とす
る)で、吐出物は10〜40℃の雰囲気中0.1〜3m
/秒なる引取速度で引取り、得られた多層体を、そのま
まか、またはポリオレフィンの融点以下の温度(好まし
くは融点より5〜50℃低い温度)で熱処理を行ってス
タックドラメラを形成させた後、延伸し多層体に開孔処
理を行う。延伸は冷延伸に引き続き、熱延伸を行うのが
よい。冷延伸は、比較的低い温度で多層体の構造破壊を
起こさせてスタックドラメラ間にミクロクラックを発生
させる過程であり、この冷延伸は0℃〜ポリマーの融点
より50℃低い温度の範囲で行うのが好ましい。ポリオ
レフィンとしてポリエチレンを用いた場合、この冷延伸
温度は0〜80℃、好ましくは10〜50℃の範囲であ
る。また、冷延伸倍率としては、5〜200%が好まし
い。5%以下ではミクロクラックの発生が不十分とな
り、目的とする孔径が得られにくくなる。また、200
%を超えるとスタックドラメラの変形が起こり、各微多
孔質層の開孔率が低下するので好ましくない。
【0029】次いで行う熱延伸は、多層体中に発生させ
たミクロクラックを拡大させ、スタックドラメラ間にミ
クロフィブリルを形成して、スリット状の微孔を有する
多孔質膜とする過程である。熱延伸温度としては、ポリ
オレフィンの融点を超えない範囲で、できるだけ高い温
度で行うのがよい。また、熱延伸倍率としては、目的と
する孔径により適宜選定すればよいが、50〜2000
%、好ましくは100〜1000%の範囲とするのが工
程安定性の点でよい。
【0030】更に、得られた複合多孔質膜プレカーサー
の寸法安定性を得るために、この膜を定長下、または少
し弛緩させた状態で熱セットを行う。熱セットを効果的
に行うためには、熱セット温度は延伸温度以上、融点温
度以下であることが好ましい。
【0031】以上のようにして、溶融複合紡糸および延
伸多孔化により、a層およびb層が各層の延伸軸方向に
配向した多数のミクロフィブリルとミクロフィブリルの
両端において結合したスタックドラメラの結節部にて構
成されるスリット状の積層体にて構成され、当該微孔が
膜の一表面から他表面に渡って貫通している中空糸膜状
プレカーサーを得る。
【0032】次に、得られた多層複合膜プレカーサーに
恒久親水性を付与する工程を適用する。ここで用いる親
水性共重合体は、エチレンを20モル%以上および親水
性モノマーを10モル%以上含む共重合体が好ましく、
これら共重合体は、ランダムコポリマー、ブロックコポ
リマー、グラフトコポリマー等いずれのタイプの共重合
体であってもよい。共重合体に占めるエチレン含量が2
0モル%未満では、共重合体はプレカーサーに対して親
和性が弱く、プレカーサーを親水性共重合体溶液に浸漬
処理し、プレカーサー100重量%に対して3〜30重
量%なる割合で親水性共重合体を被覆することが困難と
なり好ましくない。
【0033】この親水性共重合体を重合する際に使用す
る親水性モノマーとしては、例えばビニルアルコール、
(メタ)アクリル酸及びその塩、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリル酸エステル、ビニルピロリドン、アクリルアミド
等のビニル化合物をあげることができ、これら親水性モ
ノマーが一種以上含まれていればよいが、特に好ましい
モノマーとしてビニルアルコールをあげることができ
る。また、この親水性共重合体は、エチレン及び親水性
モノマー以外の第三成分を一種以上含んでいてもよく、
第三成分としては例えば酢酸ビニル、(メタ)アクリル
酸エステル、ビニルアルコール脂肪酸エステル、ビニル
アルコールのフォルマール化物若しくはブチラール化物
等をあげることができる。
【0034】複合多孔質膜プレカーサーヘの親水性共重
合体の被覆量は、プレカーサー重量換算で3〜30重量
%の範囲とする。親水性共重合体の被覆量が3重量%未
満の微多孔質膜は水との親和性が乏しく、微多孔質膜ヘ
の通水性が不足し、一方、親水性共重合体の被覆量が3
0重量%を超えて多くなると共重合体による微多孔質膜
の孔の閉塞などが起こりやすく、その透水性が低下しや
すい。
【0035】親水性共重合体の溶剤は、水混和性有機溶
剤であることが好ましく、その具体例としては、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルア
ルコール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド等をあげることができる。これら溶
剤は単独でも用い得るが、水との混合物は親水性共重合
体に対する溶解性が強いので、より好ましい。また、親
水性共重合体を被覆した微多孔質膜を乾燥するに際して
用いる溶剤の蒸気含有雰囲気の作りやすさ、すなわち、
溶剤の蒸気圧の低さ、人体に対する低毒性の点から、沸
点100℃未満のアルコール類、例えばメタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール等と水の混合系溶剤
を用いることが特に好ましい。水混和性有機溶剤と水と
の混合割合は、そのプレカーサーヘの浸透性を阻害せ
ず、共重合体の溶解を低下させない範囲であればよく、
用いられる共重合体の種類によっても異なるが、有機溶
剤としてエタノールを用いる場合、エタノール/水の割
合は、90/10〜30/70(vol%)の範囲であ
ることが好ましい。
【0036】親水性共重合体溶液の濃度は、0.1〜1
0重量%程度、好ましくは0.5〜5重量%の範囲であ
る。濃度が0.1重量%未満の溶液でプレカーサーを処
理したものは親水性共重合体の均一な被覆を行うことが
難しく、10重量%を超えると溶液粘度が大きくなり過
ぎ、この溶液でプレカーサーを処理すると、多層複合中
空糸膜の微孔が共重合体で閉塞されてしまう。親水性共
重合体溶液にプレカーサーを浸漬する方法としては、同
じ濃度の共重合体溶液に2回以上浸漬処理を行ってもよ
く、濃度の異なる溶液に浸漬を2回以上行ってもよい。
【0037】浸漬処理を行う親水性共重合体溶液の温度
は、高い程その粘度は低下し、プレカーサーヘの溶渡の
浸透性が向上し好ましいが、安全面からその溶液の沸点
以下であることが好ましい。
【0038】浸漬処理時間は、用いるプレカーサーの膜
厚、微孔径、空孔率により異なるが、数秒〜数分の範囲
とするのが好ましい。
【0039】プレカーサーは親水性重合体溶液に浸漬
後、乾燥処理を行う前に有機溶剤の蒸気が3vol%以
上含まれ、温度が室温からその溶剤の沸点以下の温度に
ある雰囲気下に立ち上げ少なくとも30秒間以上滞在さ
せセッティング工程を施すことが必要である。
【0040】この処理工程の目的は、プレカーサーを構
成するミクロフィブリルとスタックドラメラとの結節部
の表面に親水性共重合体の被膜を形成することによる微
孔の閉塞を防止することにある。また、ミクロフィブリ
ルを結束させてスリット状の微孔を大孔径化して楕円状
の微孔を作り濾過流量の増大を図ると共に、酒との親和
性を高めることにある。
【0041】本セッティング工程中での親水性共重合体
のプレカーサ表面での被膜形成を防ぐには、プレカーサ
ー表面での急速な乾燥を防ぐ必要があり、そのために
は、共重合体溶液のプレカーサー表面での蒸発速度を押
え、かつ、プレカーサー表面が溶剤で濡れている状態に
保つことが必要であり、この観点から、セッティング工
程の雰囲気は水混和性有機溶剤の蒸気が3vol%以上
の雰囲気下にすることが必要となる。
【0042】セッティング工程におけるプレカーサーよ
りの溶剤の蒸発速度は極力遅くする方が好ましく、セッ
ティング工程の雰囲気は溶剤の飽和蒸気濃度に近い雰囲
気とする方がよい。また、この工程でのプレカーサー面
での溶剤の蒸発を遅くするには、セッティング温度を低
温にする方がよいが、余り低過ぎるとセッティング工程
での脱溶剤が進まないという現象が起こり好ましくな
い。従って、該雰囲気の温度は室温以上、水混和性溶剤
の沸点以下とすることが好ましい。
【0043】浸漬後のプレカーサーは浸漬浴より該雰囲
気中に立ち上げるが、立ち上げの角度は45゜〜90゜
の範囲とするのが好ましい。立ち上げることによりプレ
カーサーに付着した共重合体溶液の一部が自重によって
プレカーサーより脱液される。その脱液量は、プレカー
サーの浴面よりの立ち上げる速度、浸漬溶液の粘度、プ
レカーサーの浴面からの立ち上げる高さ等により異な
る。このセッテイング工程での脱液効果を高めるための
補助手段として、ガイド、スリット等によりプレカーサ
ー表面にある溶液の拭き取りを併用してもよい。
【0044】このセッティング時間は、少なくとも30
秒が必要であり、この間に溶剤のプレカーサーからの蒸
発に伴う共重合体溶液の濃縮と膜のミクロフィブリルと
スタックドラメラ表面でのマイグレーションによる均一
化が行われる。特に、プレカーサーを連続的に親水性共
重合体溶液にて処理する場合、このセッテイング時間
は、少なくとも30秒以上必要である。30秒未満のセ
ッティングでは溶剤の蒸発に伴う濃縮が不十分であっ
て、過剰の溶液がプレカーサーに付着した状態で乾燥を
行うことになり、親水性共重合体により微孔の閉塞が発
現し、併せて、共重合体の膜構造内での均一付着化が不
十分となり、濾過性能、分画性能の良好な微多孔質中空
糸膜が得られにくい。
【0045】なお、上記セッティング時間を30秒とし
た時の溶剤のプレカーサーからの蒸発量は、用いた親水
性共重合体溶液の15〜30%程度であることが好まし
い。セッティング工程でのプレカーサーよりの溶剤の蒸
発量をコントロールする方法としては、セッティング雰
囲気温度、該雰囲気中に空気や不活性ガス等の気体を送
風する方法等をあげることができる。
【0046】乾燥工程とは、延伸法によって得られた無
数のスリット状の微細孔を形成するミクロフィブリルを
親水性共重合体で被覆収束し、楕円状の微孔へ構造変化
させ、孔径を拡大させ固定する重要な工程である。ま
た、乾燥と同時に中空糸膜の収縮が発生するため、その
収縮分を加味し、乾燥工程前の糸の供給速度を乾燥後の
巻取速度よりも高め、膜の特性に応じ、中空糸膜を充分
に収縮させながら親水化処理することで、孔径拡大とと
もに高速濾過性能を確保することができる。
【0047】巻取速度に対する乾燥前の供給速度が中空
糸膜の収縮に対し早い場合は、乾燥前に糸たるみが発生
し工程安定性が低下する。逆に、中空糸膜の収縮分を加
味せず供給速度が巻取速度と等しい場合は、乾燥工程で
糸の収縮に対し糸が引っ張られ高張力下で処理されるた
め、スリット状微細孔のまま楕円状に孔径拡大されずに
処理され、十分な透水性能を得ることができない。そこ
で、処理する中空糸膜の収縮の程度に応じ、乾燥前後の
供給及び巻取速度を調整する必要がある。
【0048】セッティングを終了したプレカーサーの乾
燥処理は、真空乾燥、熱風乾燥等公知の乾燥方法によれ
ばよい。乾燥温度は複合微多孔質中空糸膜が熱によって
変形を受けない温度であればよい。例えばポリエチレン
製複合微多孔質中空糸膜の場合には120℃以下の温度
で乾燥するのが好ましく、40〜70℃の温度で乾燥す
ることが特に好ましい。乾燥時間は、微細孔孔径、膜
厚、処理速度等により異なるが、1分から10分程度
で、中空糸膜が十分乾燥していればよい。
【0049】複合微多孔質中空糸膜に対する親水性共重
合体の付着量は、基質である複合微多孔質中空糸膜プレ
カーサーの重量に対して、濾過特性の点からおよそ3〜
30重量%、好ましくは3〜15重量%である。
【0050】なお、この最終的なエチレン共重合体の多
孔質膜への付着率は、親水化溶液の濃度や脱液処理の条
件等を適宜設定することによって調節することができ
る。
【0051】この親水性共重合体の被覆処理により微多
孔質中空糸膜プレカーサーのミクロフィブリルは収束さ
れてミクロフィブリル束となり、また、スリット状微孔
は楕円状微孔となる。
【0052】この複合微多孔質中空糸膜を本発明の酒の
濾過方法に用いる場合には、通常、モジュール化したも
のが使用される。中空糸膜モジュールとしては多数本の
中空糸膜をU字型に束ねたもの、中空糸膜の一端をシー
ル材で封止して束ねたもの、あるいは束ねた中空糸膜の
両端を開口した状態で固定したもの等各種のタイプのも
のが適宜使用できる。
【0053】本発明の方法により酒を濾過する場合、中
空繊維膜の内側から外側へ向けて酒を流す方式(内圧
式)と外側から内側へ流す方式(外圧式)があるがいず
れによってもよい。また、全量濾過方式、クロスフロー
濾過方式のいずれも採用できる。なかでも、外圧全量濾
過方式が、設備の簡略化、工程管理の容易性の面から好
ましい。
【0054】本発明の方法は、火落菌の発生した生酒の
濾過にも適用できる。本発明の方法を適用することによ
り火落菌を100%除去することができる。
【0055】濾過に用いた複合微多孔質中空糸膜に付着
したSS分などを除去するには、従来の中空糸膜を用い
た方法の場合と同様、中空糸膜モジュールを濾過装置に
装着したまま濾液を逆流させる逆洗によるのが最も簡便
である。また、中空糸膜による濾過工程後あるいは逆洗
工程後に、複合微多孔質中空糸膜を薬液洗浄して中空糸
膜に付着した有機物、無機物等を除去することもでき
る。薬液洗浄としては、苛性ソーダで処理する方法、付
着した金属類を除去するために酸(塩酸、硫酸などの無
機酸、あるいは蟻酸、蓚酸、クエン酸、コハク酸、スル
ファミン酸などの有機酸)で処理する方法、あるいは苛
性ソーダでの処理と酸での処理を併用する方法等があ
る。また、複合微多孔質中空糸膜を水洗することももち
ろん可能である。
【0056】
【実施例】以下、本発明の酒の濾過方法に用いる複合微
多孔質中空糸膜を製造例により、また、酒の濾過方法を
実施例によりさらに詳しく説明する。なお、製造例中の
各種測定、評価は下記の方法によった。 1.雰囲気中のエタノール濃度は、ガス検知管(ガステ
ック検知管、商品名、ガステック株式会社製)を用いて
測定した。 2.親水性共重合体の被覆量は下記式に従って算出し
た。
【0057】
【数1】 3.膜の透水量は有効膜面積70〜90cm2 のミニモ
ジュールを作製し、差圧1kg/cm2 でイオン交換水
を濾過しそのときの透水量を測定した。 4.ラテックス標準粒子による捕捉粒子径は、膜面積が
約50cm2 の中空糸膜のモジュールで0.1wt%の
界面活性剤(ポリエチレングリコール−p−イソオクチ
ルフェニルエーテル)水溶液で膜内の空気を置換した
後、圧力0.7kg/cm2 で0.1%の所定粒子径の
単一分散粒子径のポリスチレンラテックス粒子を濾過
し、濾液のラテックス粒子の濃度を日立分光光度計(U
−3400)により320nmの波長で測定し捕捉率9
0%における粒子径を求めた。
【0058】製造例1 密度0.967g/cm3 、MI値0.3の高密度ポリ
エチレン(HB530、の高密度ポリエチレン(HB4
30、三菱化学 (株) 製)33重量%とを溶融混練し、
密度0.965g/cm3 、MI値0.3のブレンドポ
リマーを得た。
【0059】次に、同心円状に配置された二つの円管状
の吐出口を有する中空糸製造用ノズルを用いて内側の吐
出口からブレンドポリマーを、また外側の吐出口から上
記密度0.967g/cm3 、MI値0.3の高密度ポ
リエチレンを吐出させ、溶融紡糸した。このとき、吐出
温度170℃、内層側吐出量0.56g/分、外層側吐
出量2.24g/分、内層と外層の吐出量比1/4、吐
出線速度47cm/分、度21℃、風速1m/秒の冷却
風を糸の周囲に均一に当てながら巻取り速度35m/分
にて巻取り、未延伸複合中空糸を得た。
【0060】得られた未延伸中空糸を125℃に加熱し
た空気中で定長のまま16時間加熱処理を行った。さら
に、この熱処理糸を30℃に保たれたローラー間で25
%冷延伸し、引き続いて119℃の加熱炉中で総延伸量
が500%になるように熱延伸を行い、さらに、120
℃の加熱炉中で定長のまま熱セットを行い、二層よりな
る複合微多孔質中空糸膜プレカーサーを得た。
【0061】次に、エチレン含有量32モル%のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体(ソアノールDC320
3、日本合成化学 (株) 製)を70℃のエタノール/水
=60/40vol%混合溶液に1.0重量%溶解した
親水性共重合体剤溶液を調製した。この親水性共重合体
溶液中に上記の複合多孔質中空糸膜プレカーサーを10
0秒間浸漬した後プレカーサーを引き上げ、ガイドによ
り表面に過剰に付着した親水化剤溶液の一部を絞り落と
した。引き続き、エタノール蒸気濃度40vol%、6
0℃の雰囲気中に立上げ角度90゜で立上げ、100秒
間滞在させてプレカーサーの微小空孔内表面に親水化剤
を均一付着させた後、70℃の熱風にて10%オーバー
フィードさせながら溶剤を乾燥した。得られた親水化複
合中空糸膜のエチレン−ビニルアルコール共重合体の付
着率は10.5重量%であった。
【0062】得られた複合微多孔質中空糸膜を走査型電
子顕微鏡にて観察したところ、複合微多孔質中空糸膜の
内外表面及び微孔内表面はエチレン−ビニルアルコール
共重合体の薄膜で覆われており、内層(a層)中の微孔
のミクロフィブリル束間の平均距離(Da)は0.35
μm、外層(b層)の微孔のミクロフィブリル束間の平
均距離(Db)は0.47μmであった。このとき、D
b/Da=1.34、分離機能層である内層の膜厚は1
2μmであった。得られた中空糸膜の特性を表1に示し
た。
【0063】製造例2 製造例1で内層に用いたポリマーと外層に用いたポリマ
ーを逆転させ、外側の吐出口からブレンドポリマーを、
内側の吐出口から密度0.967、MI値0.3の高密
度ポリエチレンを外層側吐出量0.56g/分、内層側
吐出量2.24g/分で吐出して溶融紡糸したことを除
き、製造例1と同一条件で複合微多孔質中空糸膜を作製
した。得られた複合微多孔質中空糸膜は、外層(a層)
中の微孔のミクロフィブリル束間の平均距離(Da)は
0.34μm、内層(b層)の微孔のミクロフィブリル
束間の平均距離は0.48μmであり、Db/Da=
1.41、分離機能層である外層の膜厚は12μmであ
った。得られた中空糸膜の特性を表1に示した。
【0064】比較製造例1 一つの円管状の吐出口を有する中空糸製造用ノズルを用
いて製造例1において内層側に用いたブレンドポリマー
を吐出量2.8g/分で吐出し溶融紡糸した。その時の
吐出温度は170℃であり、35m/分の巻取速度で巻
き取った。得られた未延伸中空糸を製造例1と同じ条件
にて熱処理、延伸処理、親水化処理を行い、製造例1と
同一の分画粒子径を有する均一微多孔質膜を得た。得ら
れた複合微多孔質中空糸膜の膜特性を表1に示した。
【0065】
【表1】 実施例1、2および比較例 製造例および比較製造例で作成した各種の複合微多孔質
中空糸膜および微多孔質中空糸膜を使用して、これをU
字状に収束して端部をエポキシ樹脂固定した中空糸膜モ
ジュールを作成した。
【0066】火入れ後の清酒に、活性炭粉末0.8g/
l(清酒)およびかきしぶ0.7ml/l(清酒)の割
合で加え、一週間静置した上澄液を濾過槽に導き、この
濾過槽に上記の中空糸膜モジュールを配設して、外圧法
にて定流量で全量濾過を実施した。この時の酒の濾過圧
力および得られた酒の特性を測定し、その結果を表2に
示した。
【0067】
【表2】 実施例3 火入れ後の清酒に、活性炭粉末0.8g/l(清酒)お
よびかきしぶ0.7ml/l(清酒)の割合で加え混合
した後静置せずに実施例1で用いた中空糸膜モジュール
により実施例1と同様に濾過したところ、濾過圧は2k
g/cm2 であり、微粒子成分の除去性、除菌性も良好
であり、得られた清酒のてりも良好であった。
【0068】
【発明の効果】本発明の酒の濾過方法によれば、同じ分
画性能を持つ従来の中空糸膜を同量使用した場合に比べ
ると、酒の濾過流量が格段に増加し、かつ耐久性にも優
れたものであり、もちろん酒液特性も良好なものであっ
た。また、濾過流量を確保しつつ濾過設備の小型化を図
ることも容易となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】微多孔質中空糸膜の微孔のミクロフィブリル束
間の平均距離の測定方法を説明するための模式図であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空糸膜を用いて酒を濾過する方法にお
    いて、該中空糸膜として、孔径の異なる微多孔質層を少
    なくとも二層有するポリオレフィン製複合微多孔質中空
    糸膜を用いたことを特徴とする酒の濾過方法。
  2. 【請求項2】 中空糸膜を用いて酒を濾過する方法にお
    いて、該中空糸膜として、分離機能を担う微多孔質層a
    層の少なくとも片面に補強機能を担う微多孔質b層を積
    層したポリオレフィン製複合微多孔質中空糸膜であり、
    膜構造はa層およびb層の各層が繊維軸方向に配向した
    複数のミクロフィブリル束とミクロフィブリル束の両端
    において結合するスタックドラメラの結節部とから構成
    される楕円状の微孔の積層体にて構成され、該微孔が中
    空糸膜の一方の表面から他方の表面に向かって連通して
    おり、該中空糸膜の微孔を構成するミクロフィブリル束
    およびスタックドラメラの結節部が、複合微多孔質中空
    糸膜プレカーサー100重量%に対して3〜30重量%
    の親水性共重合体にて覆われているとともに、a層中に
    存在する微孔のミクロフィブリル束間の平均距離Da
    と、b層中に存在する微孔のミクロフィブリル束間の平
    均距離Dbとの比が1.3≦Db/Da≦4.0となる
    範囲にある複合微多孔質中空糸膜を用いたことを特徴と
    する酒の濾過方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017221151A (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 川北化学株式会社 醸造工程における液体の不純物濾過用フィルター
WO2019049861A1 (ja) * 2017-09-07 2019-03-14 旭化成株式会社 多孔質膜を用いた醸造酒の製造方法

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