JP3628446B2 - ポリオレフィン多孔質中空糸膜の親水化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン多孔質中空糸膜の親水化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン多孔質中空糸膜は、その基質の化学的安定性が高いことから、飲食用分野、医療用分野、工業用分野等における各種液体処理の濾過膜として用いられているが、基質自体が疎水性であるため、水性液体の処理に用いる場合には、予め親水化する必要がある。
【0003】
ポリオレフィン多孔質中空糸膜の親水化方法には、水との相溶性が良好なアルコールや界面活性剤等の親水化剤により浸漬処理するだけの一次的な親水化方法もあるが、恒久的な親水化方法として、例えば特開昭61−125408号公報にてポリオレフィン多孔質中空糸膜の表面にエチレン−酢酸ビニル共重合体の被膜を形成させた後ケン化処理する方法、特開昭61−271003号公報、特公平3−70539号公報にてポリオレフィン多孔質中空糸膜の表面にエチレン−ビニルアルコール共重合体を被覆する方法、特開平1−0145695号公報にてポリオレフィン多孔質中空糸膜の表面にエチレン−ビニルアルコール系多元共重合体を被覆する方法がそれぞれ開示されている。
【0004】
これらの方法における親水性重合体のポリオレフィン多孔質中空糸膜の表面への被覆には、ポリオレフィン多孔質中空糸膜を、親水性重合体を水混和性有機溶剤またはその水混合溶剤に溶解してなる親水性重合体溶液に浸漬し、乾燥する方法が採られるが、これらの方法では親水性重合体によりフィブリルを結束して形成される多孔質中空糸膜が長楕円形状となり濾過能力を低下させる、複数の多孔質中空糸膜を同時処理する場合、隣接の多孔質中空糸膜同士が親水性重合体で接着され膜としての利用効率を低下させる等の難点がある。
【0005】
かかる難点を解決する方法として、特開平3−145219号公報には多孔質中空糸膜を親水性重合体溶液に浸漬した後、親水性重合体溶液の溶剤の蒸気を含む雰囲気中に暴露させてから、乾燥することが開示されている。しかしながら、この方法においても、親水化中空糸膜を連続化して作る場合、単にポリオレフィン多孔質中空糸膜を走行させながら連続的に親水化処理するだけでは、十分な透水性能を得ることができないという問題点がある。
【0006】
この十分な透水性能の得られぬ原因は、バッチ処理では親水性重合体の被覆処理によりポリオレフィン多孔質中空糸膜のミクロフィブリルが結束されて、スリット状微細孔が孔径の拡大した楕円状微細孔となるが、その乾燥巻取り工程において、多孔質中空糸膜表面の親水性重合体の被膜形成の際に、多孔質中空糸膜の収縮が生じ、多孔質中空糸膜の楕円状微細孔に対し張力がかかった状態で乾燥されると、多孔質中空糸膜の微細孔は、スリット状微細孔に変形を受けたままとなり、その細孔変化により得られる多孔質中空糸膜の透水能力の低下を引き起こす原因となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、連続親水化処理により、高い透水性能を発現し、恒久的な親水性を有する親水化ポリオレフィン多孔質中空糸膜を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリオレフィン多孔質中空糸膜を、親水性重合体を水混和性有機溶剤またはその水との混合溶剤に溶解してなる親水性重合体溶液に浸漬する工程、脱液し保温する工程及び乾燥し巻取る工程により、連続的に親水化する方法において、乾燥巻取り工程における中空糸膜の供給速度(Va)[m/分]と乾燥中空糸膜の巻取速度(Vb)[m/分]が下記関係式[1]を満足することを特徴とするポリオレフィン多孔質中空糸膜の親水化方法、にある。
0.500×Va≦Vb≦0.990×Va [1]
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるポリオレフィン多孔質中空糸膜は、オレフィン系単量体を主成分とする組成物から得られるポリオレフィン樹脂の単独或いは2種以上の混合物からなる多孔質中空糸膜である。オレフィン系単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、例えば前記オレフィン系単量体から選ばれる1種または2種以上から構成されていてもよく、また、ポリオレフィンとしての特性を損なわない範囲で、オレフィン系単量体以外の他のフッ素等の置換基を有するまたは有しないビニル単量体が共重合されていてもよい。
【0010】
ポリオレフィン多孔質中空糸膜は、その多孔質構造が孔径が均一な微細孔を有する均質膜でも、また孔径の相異なる二層が接合された複合構造の複合膜であってもよく、膜厚、孔径、空孔率等についても特に制限はないが、膜厚20〜200μm、孔径0.01〜5μm、空孔率20〜90%の多孔質中空糸膜が好ましく用いられる。
【0011】
ポリオレフィン多孔質中空糸膜における多孔質化は、特にその方法に制限はなく、ポリオレフィン樹脂の溶融賦形後延伸して多孔質化する延伸開孔法、抽出可能な無機物等の充填剤を含有させたポリオレフィン樹脂の溶融賦形後充填剤を抽出して多孔質化する抽出法等があるが、本発明においては、ポリオレフィン多孔質中空糸膜は、延伸開孔法によったポリオレフィン多孔質中空糸膜が空孔率が大きく、目詰まりによる機能低下が起き難く、また溶出物のないことから好ましく用いられる。
【0012】
延伸開孔法によるポリオレフィン多孔質中空糸膜は、ミクロフィブリルとスタックドラメラとの結節部とによって形成されるスリット状微細孔が中空糸膜膜内に3次元的に相互に連結した多孔質構造を有し、例えば特公昭56−52123号公報、特公昭57−42929号公報等に開示された方法により製造することができる。
【0013】
本発明において、親水性重合体溶液への浸漬工程に用いる親水性重合体としては、エチレンと親水性単量体を主体とするエチレン系共重合体であることが好ましく、エチレン系共重合体としては、エチレン単位20モル%以上と親水性単量体単位10モル%以上の共重合単位を有するエチレン系共重合体が用いられ、共重合体は、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれのタイプの共重合体であってもよい。共重合体のエチレン単位が20モル%未満では、ポリオレフィン多孔質中空糸膜に対する親和性が不足しこの共重合体のポリオレフィン多孔質中空糸膜への固着が不十分となり、親水性単量体単位が10モル%未満では、ポリオレフィン多孔質中空糸膜に十分な親水性が付与できない。
【0014】
親水性単量体としては、例えばビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピロリドン、アクリルアミド等が挙げられ、特にビニルアルコールであることが好ましく、1種または2種以上組み合わせて用いられる。また、親水性単量体として酢酸ビニルを用い、エチレン−酢酸ビニル共重合体とした後に、ポリオレフィン多孔質中空糸膜への付着前或いは付着後、酢酸ビニル単位を加水分解してビニルアルコール単位に変化させてもよい。エチレン−親水性単量体系共重合体中には親水性単量体単位以外に(メタ)アクリル酸エステル単位、ビニルアルコール脂肪酸エステル単位、ビニルアルコールのフォルマール化物単位若しくはブチラール化物単位等の他の単量体単位が含まれていてもよい。
【0015】
親水性重合体を溶解する水混和性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、N−プロパノール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、これら溶剤は単独でまたは水との混合溶剤として用いられるが、親水性重合体の溶解性の点から、水との混合溶剤として用いることが好ましい。また、搾液後の親水化処理ポリオレフィン多孔質中空糸膜の脱液保温雰囲気中での溶剤の蒸気雰囲気の形成し易さ、蒸気圧の低さ、人体への低毒性の点から、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールと水との混合溶剤が好ましく用いられる。水混和性有機溶剤と水との混合割合は、親水性重合体の溶解性、ポリオレフィン多孔質中空糸膜への浸透性を有する範囲であればよく、例えばエタノールと水との混合溶剤であれば、エタノール/水が90/10〜30/70の重量比とすることが好ましい。
【0016】
水混和性有機溶剤または水との混合溶剤に溶解してなる親水性重合体溶液における重合体濃度は、0.1〜10重量%とするのが好ましい。重合体濃度が0.1重量%未満では、ポリオレフィン多孔質中空糸膜への均一な親水性重合体の付着が困難となり、10重量%を超えると、ポリオレフィン多孔質中空糸膜の微細孔への親水性重合体の均一な付着が困難となる。ポリオレフィン多孔質中空糸膜への親水性重合体溶液の浸漬温度は、高温であるほど溶液粘度が低下しポリオレフィン多孔質中空糸膜への浸透性が高まるが、操作の安全面から親水性重合体溶液の沸点以下であることが好ましい。
【0017】
親水性重合体溶液へのポリオレフィン多孔質中空糸膜の浸漬工程においては、ポリオレフィン多孔質中空糸膜を親水性重合体溶液に浸漬し、ポリオレフィン多孔質中空糸膜の外表面及び多孔質層の微細孔の表面を親水性重合体溶液で湿潤させる。浸漬時間は、ポリオレフィン多孔質中空糸膜の膜厚、微細孔の孔径、空孔率、浸漬槽での浸漬深さ等によっても異なるが、数秒〜数分とする。
【0018】
浸漬し搾液したポリオレフィン多孔質中空糸膜の脱液保温工程においては、浸漬槽からポリオレフィン多孔質中空糸膜を引き上げポリオレフィン多孔質中空糸膜に付着する過剰の親水性重合体溶液を自重で脱液させ、或いはガイド、スリット等により搾液して脱液した後、ポリオレフィン多孔質中空糸膜を水混和性有機溶剤の蒸気を3容積%以上含み、温度が室温以上親水性重合体溶液の沸点未満の雰囲気中に30秒以上滞在させる。この脱液保温工程においては、ポリオレフィン多孔質中空糸膜に付着させた親水性重合体溶液からの溶剤の蒸発速度を適切に保つことができるため、親水性重合体溶液の濃縮とポリオレフィン多孔質中空糸膜膜内の多孔質構造部での親水性重合体溶液のマイグレーションによりスリット状微細孔からミクロフィブリルの収束による楕円状微細孔への孔径拡大化を均一に行うことができる。
【0019】
脱液保温工程におけるポリオレフィン多孔質中空糸膜に付着する親水性重合体溶液からの溶剤の蒸発量は、ポリオレフィン多孔質中空糸膜に付着する親水性重合体溶液の15〜30重量%程度とすることが好ましく、蒸発量のコントロールは、雰囲気温度、脱液保温工程に供給する空気や不活性ガス等の気体の送風量等により行う。
【0020】
乾燥巻取り工程においては、脱液保温工程で形成された楕円状微細孔を有するポリオレフィン多孔質中空糸膜をその楕円状微細孔の孔径、形状の変化をできるだけ起こすことなく乾燥し親水性重合体をポリオレフィン多孔質中空糸膜に固着させる。乾燥には、ポリオレフィン多孔質中空糸膜の中空部及び微細孔の押しつぶしや変形を起こさない方法であれば、公知の任意の乾燥方法が用いられるが、熱風乾燥法、真空乾燥法が好ましく用いられる。乾燥温度は、ポリオレフィン多孔質中空糸膜を熱変形させない温度で、親水性重合体の被膜を形成する温度であればよく、例えばポリオレフィン多孔質中空糸膜がポリエチレン多孔質中空糸膜である場合は、120℃以下の温度とし、好ましくは40〜70℃とする。
【0021】
乾燥時間は、親水性重合体溶液の付着量、乾燥巻取り工程におけるポリオレフィン多孔質中空糸膜の走行速度、ポリオレフィン多孔質中空糸膜の膜厚等により異なるが、1〜10分とする。乾燥巻取り工程における供給され巻取られるまでのポリオレフィン多孔質中空糸膜の搬送は、ポリオレフィン多孔質中空糸膜に張力がかからないフリーローラを用いて行うことが好ましい。
【0022】
本発明の乾燥巻取り工程においては、ポリオレフィン多孔質中空糸膜の供給速度(Va)[m/分]に対し乾燥せるポリオレフィン多孔質中空糸膜を下記関係式[1]を満足する巻取速度(Vb)[m/分]で巻取ることが必要である。ポリオレフィン多孔質中空糸膜の巻取速度(Vb)がこの範囲未満になると、巻取り時にポリオレフィン多孔質中空糸膜の著しい弛みが生じ巻取り工程の工程安定性が低下し、巻取速度(Vb)がこの範囲を超えると、ポリオレフィン多孔質中空糸膜に張力がかかり、形成された楕円状微細孔が変形して孔径の狭小化が起こり、得られるポリオレフィン多孔質中空糸膜の透水性能の低下を招く。
0.500×Va≦Vb≦0.990×Va [1]
【0023】
本発明の乾燥巻取り工程によれば、ポリオレフィン多孔質中空糸膜の供給速度と巻取速度が前記関係式[1]を満足することで、多孔質中空糸膜における親水性重合体の被膜形成の際に収縮が生じても、多孔質中空糸膜には殆ど張力がかからず、多孔質中空糸膜が引き伸ばされた状態にはされないので、スリット状微細孔を形成するミクロフィブリルは親水性重合体で収束されてミクロフィブリル束となり、スリット状微細孔が楕円状微細孔に孔径を拡大された状態で固定されるため、透水性能の良好なポリオレフィン多孔質中空糸膜を得ることができる。
【0024】
本発明におけるポリオレフィン多孔質中空糸膜を親水化するに要する親水性重合体の付着量は、ポリオレフィン多孔質中空糸膜に対し1〜30重量%、好ましくは3〜15重量%であり、かかる付着量は、浸漬工程での親水性重合体溶液の重合体濃度、脱液保温工程での脱液率等によって適宜設定できる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の評価項目は、下記の方法により測定した。
【0026】
〈透水量〉
多孔質中空糸膜の有効膜面積70〜90cm2のミニモジュールを作製し、中空糸膜内外の差圧1kg/cm2でイオン交換水を全量濾過し、そのときの透過量(ミリリットル/分・cm2・kg/cm2)を測定した。
〈バブルポイント〉
多孔質中空糸膜の有効膜面積50cm2のミニモジュールを作製し、このモジュールを中空糸膜部分が完全に浸るように濃度95%以上のエタノール中に浸漬した。中空糸膜の多孔質内部がエタノールで充分に濡れるように中空糸膜内部からエタノールを100ミリリットル以上吸引した後、浸漬状態のままで中空糸膜の内部に窒素を送り込み、10秒ごとに0.1kg/cm2刻みに昇圧していき、中空糸膜のほぼ前面から気泡が発生し、気泡発生箇所の間隔が1mm以内になったときの窒素圧力をバブルポイント(kg/cm2)とした。
【0027】
(実施例1)
密度0.966g/cm3、メルトインデックス値0.3の高密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、HB530)67重量%と密度0.962g/cm3、MI値0.3の高密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、HB430)33重量%とを溶融混練したブレンド重合体を用い、同心円状に配置された二つの円管状の吐出口を有する中空糸紡糸用を用いて、内側の吐出口から前記のブレンド重合体、外側の吐出口から前記の密度0.966g/cm3の高密度ポリエチレンをそれぞれ吐出比1/4、ブレンド重合体吐出量0.56g/分・ホール、高密度ポリエチレン吐出量2.24g/分・ホール、吐出温度170℃、巻取速度35m/分でドラフト比75となるように紡糸した。さらに、吐出された糸に温度20℃、風速0.5m/秒の冷却風を周囲から当てながら巻取り未延伸中空糸膜を得た。
【0028】
得られた未延伸中空糸膜を125℃で16時間熱処理した後、30℃に保たれたローラ間で25%冷延伸し、引き続き119℃に加熱された加熱炉中で総延伸量が600%になるようにローラ間で熱延伸し、さらに123℃に加熱された加熱炉中で熱セットして二層複合構造のポリエチレン多孔質中空糸膜を得た。
【0029】
このポリエチレン多孔質中空糸膜を、16本合糸し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(日本合成化学(株)製、ソアノールDC3203、エチレン含有量32モル%)をエタノール/水が60/40(重量比)の混合溶剤に溶解した重合体濃度1重量%の重合体溶液の70℃の浸漬槽中に100秒間滞在するように浸漬し、引き上げてガイドにより多孔質中空糸膜に付着した過剰の重合体溶液を搾液しつつ60℃のエタノール蒸気濃度40容積%の乾燥保温雰囲気中に導き、100秒間滞在するように通過させた。次いで、この多孔質中空糸膜を、内部にフリーローラを有する70℃の熱風乾燥機に、供給速度(Va)11.0m/分で供給して乾燥し、巻取速度(Vb)10.0m/分、即ちVb=0.909×Vaの条件で巻取りローラにより巻取った。なお、乾燥工程での乾燥機に供給される多孔質中空糸膜の張力は、0g/16フィラメントであった。
【0030】
得られた親水化ポリエチレン多孔質中空糸膜は、透水量が8.3ミリリットル/分・cm2・kg/cm2、バブルポイントが1.45kg/cm2であった。また、親水化ポリエチレン多孔質中空糸膜の電子顕微鏡による観察によれば、多孔質層の特に支持層のミクロフィブリルが収束しスリット状の微細孔が楕円状に拡大していることが確認された。
【0031】
(実施例2)
実施例1において、乾燥巻取り工程の条件を70℃の熱風乾燥機での条件を供給速度10.5m/分、巻取速度10,0m/分、Vb=0.952×Vaの条件に代えた以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン多孔質中空糸膜を親水化処理した。なお、乾燥工程での乾燥機に供給される多孔質中空糸膜の張力は、20g/16フィラメントであった。得られた親水化ポリエチレン多孔質中空糸膜は、透水量が7.7ミリリットル/分・cm2・kg/cm2、バブルポイントが1.31kg/cm2であった。
【0032】
(実施例3)
実施例1において、乾燥巻取り工程の条件を乾燥機内のローラに定長定速ローラを有する70℃の熱風乾燥機での供給速度10.1m/分、巻取速度10.0m/分、Vb=0.990×Vaの条件に代えた以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン多孔質中空糸膜を親水化処理した。なお、乾燥巻取り工程での巻取り機にかかる多孔質中空糸膜の張力は、80g/16フィラメントとした。得られた親水化ポリエチレン多孔質中空糸膜は、透水量が9.1ミリリットル/分・cm2・kg/cm2、バブルポイントが1.35kg/cm2であった。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリオレフィン多孔質中空糸膜の連続化した親水化処理において、特に乾燥工程でのポリオレフィン多孔質中空糸膜をできるだけ張力のかからない状態として乾燥し巻取ることで、恒久的な親水化を有しながら、微細孔が拡大されて高い透水性能を発現する親水化ポリオレフィン多孔質中空糸膜を生産性よく得ることができる。
Claims (4)
- ポリオレフィン多孔質中空糸膜を、親水性重合体を水混和性有機溶剤またはその水との混合溶剤に溶解してなる親水性重合体溶液に浸漬する工程、脱液し保温する工程及び乾燥し巻取る工程により、連続的に親水化する方法において、乾燥巻取り工程における中空糸膜の供給速度(Va)[m/分]と乾燥中空糸膜の巻取速度(Vb)[m/分]が下記関係式[1]を満足することを特徴とするポリオレフィン多孔質中空糸膜の親水化方法。
0.500×Va≦Vb≦0.990×Va [1] - 親水性重合体として、エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いる請求項1記載のポリオレフィン多孔質中空糸膜の親水化方法。
- ポリオレフィン多孔質中空糸膜として、延伸開孔法により多孔質化されたポリオレフィン多孔質中空糸膜を用いる請求項1または請求項2記載のポリオレフィン多孔質中空糸膜の親水化方法。
- 脱液保温工程において、脱液後、ポリオレフィン多孔質中空糸膜を水混和性有機溶剤の蒸気を3容積%以上含み、温度が室温以上親水性重合体溶液の沸点未満の雰囲気中に30秒以上滞在させる請求項1、請求項2または請求項3記載のポリオレフィン多孔質中空糸膜の親水化方法。
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