JPH04346825A - 親水化多孔質膜の製法 - Google Patents

親水化多孔質膜の製法

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JPH04346825A
JPH04346825A JP14521991A JP14521991A JPH04346825A JP H04346825 A JPH04346825 A JP H04346825A JP 14521991 A JP14521991 A JP 14521991A JP 14521991 A JP14521991 A JP 14521991A JP H04346825 A JPH04346825 A JP H04346825A
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JP
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porous membrane
hydrophilic
copolymer
membrane
ethylene
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Application number
JP14521991A
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English (en)
Inventor
Hisayoshi Yamamori
山森 久嘉
Akitaka Uchida
内田 晃誉
Takeshi Kurushima
久留嶋 剛
Yoshihiro Kakumoto
角元 義裕
Yoshie Isobe
磯部 美江
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系多孔
質膜に、エチレン単位と親水性モノマー単位とを含むエ
チレン系共重合体を保持させることによる親水化多孔質
膜の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系モノマーを主成分とする組
成物から得られる樹脂からなるポリオレフィン系多孔質
膜は、化学的安定性が高いことなどの利点を有し、医療
、半導体、浄水等の種々の分野において多方面の用途に
利用されるに至っている。
【0003】このポリオレフィン系多孔質膜自体は疎水
性を示すものであるので、水性流体(水を主体とする流
体)を処理する用途に用いる場合には、予め親水化する
必要がある。
【0004】ポリオレフィン系多孔質膜の親水化処理の
ための方法としては、例えば、水との相溶性が良好なア
ルコール、ケトンなどの有機溶剤によって、ポリオレフ
ィン系多孔質膜の外表面ならびに微細孔内表面(以後単
に表面という)を湿潤処理した後、有機溶剤を水で置換
する方法がある。
【0005】しかしながら、この方法により親水化され
た多孔質膜は、親水性を維持するために常に水と接触さ
せておく必要があり、一旦乾燥させた場合には親水性を
失うので再度の親水化処理が必要となる。
【0006】また、ポリエチレングリコールなどの水可
溶性親水性高分子や界面活性剤等の親水化剤をポリオレ
フィン系多孔質膜表面に保持させることによる親水化方
法もあるが、この方法によって親水化された多孔質膜に
おいては、使用に応じて、細孔表面に保持させた親水化
剤が水に容易に溶け出し、そのような状態の多孔質膜を
一旦乾燥させると親水性を失ってしまうので、これも再
度親水化処理する必要がある。しかも、この方法で得ら
れた親水化多孔質膜を用いると、被処理水中へ比較的多
量の親水化剤が溶け出してくるので、このような親水化
剤の溶け出しが好ましくない用途に利用できない。
【0007】これらの問題点を改良する方法として、親
水性部分を有する高分子であってかつポリオレフィン系
樹脂に対して親和性があり、ポリオレフィン系多孔質膜
に保持させた際の被処理水中への溶け出しが生じにくい
高分子を、多孔質膜微細孔表面での親水性と疎水性のバ
ランスを考慮して選定して保持させる方法がある。
【0008】このような改良方法の一例として、例えば
、特開昭61−125408号公報には、ポリエチレン
系多孔質膜の表面にエチレン−ビニルアセテート共重合
体の薄膜を形成させた後にこれをケン化処理する方法が
開示されている。
【0009】この方法によればポリエチレン系多孔質膜
の恒久的親水化を達成できるが、エチレン−ビニルアセ
テート共重合体の多孔質膜への付着処理後にケン化処理
が必要であり、プロセスが複雑であるという問題があっ
た。
【0010】そこで、ケン化処理を省略してプロセスを
簡略化できる方法についての検討が行われ、例えば、特
開昭61−271003号公報には、エチレン系共重合
体としてのエチレン−ビニルアルコール共重合体をポリ
オレフィン系多孔質膜の表面に被覆する方法が開示され
ている。
【0011】これらの方法におけるエチレン−ビニルア
ルコール系共重合体の皮膜のポリオレフィン系多孔質膜
の表面への被覆は、エチレン−ビニルアルコール系共重
合体を水と有機溶媒の混合溶剤に加えて調製した溶液に
ポリオレフィン系多孔質膜を浸漬した後、乾燥させるこ
とにより行なわれる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のエチ
レン−ビニルアルコール系共重合体を多孔質表面に被覆
する方法により得られた親水化多孔質膜は、例えば濾過
膜として使用した場合の透水量の低下など、機能低下を
起す場合が多いという問題点を有する。
【0013】特に、多数の中空糸膜を束ねて形成した中
空糸膜束や多数の中空糸膜を織り込んで形成したシート
等をこれらの方法で処理した場合に、上述の機能低下が
より顕著に認められた。
【0014】本発明者らは、このような問題点について
検討を行った結果、これらの問題点が、多孔質膜の表面
に従来公知の方法でエチレン系共重合体を付着させると
、その過剰な付着を調節することが困難であり、エチレ
ン系共重合体の皮膜によって微細孔がふさがれたり、そ
の孔径が狭められたりするために、多孔質膜の有効膜面
積が減少し、使用開始時からの通算濾過処理水量の増加
に伴った微細孔の目詰まりによる濾過能力の低下などが
生じ易くなるものとの結論に至った。
【0015】また、多数の中空糸膜をまとめて同時に処
理した場合においては、上記の微細孔へのエチレン系共
重合体の過剰な付着による影響に加えて、乾燥処理時に
中空糸膜の外表面に付着したエチレン系共重合体の溶液
の乾燥にともなって隣接する中空糸膜の接着が生じ、そ
の接着部における微細孔が有効に利用できないことで、
使用開始時からの通算濾過処理水量の増加に応じた濾過
能力の低下がより顕著となるものと考えられた。
【0016】そこで、本発明者らは、これらの問題点を
解決するために鋭意検討した結果、ポリオレフィン系多
孔質膜の表面にエチレン−ビニルアルコール系共重合体
を付着させる際に、エチレン−ビニルアルコール系共重
合体を水と有機溶媒の混合溶剤に加えて調製した溶液に
ポリオレフィン系多孔質膜を、単に多孔質膜内部へ該溶
液を浸透させるに十分な浸漬のみを行なった後に乾燥す
るのではなく、該溶液が多孔質膜内部へ十分浸透した後
も該溶液中に該膜を保持し、該エチレン−ビニルアルコ
ール系共重合体が所定量該膜に物理的に吸着した後に該
膜を該溶液中から空気中へ取り出し、しかる後に、該多
孔質膜の親水化に十分な該共重合体の付着量が得られ、
かつ該共重合体の皮膜が生じない程度まで脱液した後に
乾燥すれば所望とする恒久的な親水性が得られ、かつ濾
過処理使用時に濾過能力の低下を防ぐことができ、しか
も多数の中空糸膜をまとめて同時に処理する場合におい
ても隣接する中空糸膜の接着が生じにくいことを見い出
し本発明を完成した。
【0017】本発明の目的は、濾過能力等の機能の低下
が生じにくい親水化ポリオレフィン系多孔質膜を得るこ
とができる簡略化されたプロセスからなる親水化多孔質
膜の製法を提供することにある。
【0018】本発明の他の目的は、多数のポリオレフィ
ン系中空糸膜をまとめて同時に処理する場合においても
隣接する中空糸膜の接着が生じにくい親水化多孔質膜の
製法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の親水化多孔質膜
の製法は、A)ポリオレフィン系多孔質膜を、20モル
%以上のエチレン単位と10モル%以上の親水性モノマ
ー単位を含むエチレン系共重合体を含有する親水化用溶
液に浸漬して該共重合体を前記多孔質膜に吸着させる過
程と、B)該多孔質膜から過剰の親水化用溶液を脱液す
る過程と、C)該脱液処理後の多孔質膜を乾燥する過程
とからなることを特徴とするものである。
【0020】本発明の方法に用いるポリオレフィン系多
孔質膜とは、オレフィン系モノマーを主成分とする組成
物から得られるポリオレフィン系樹脂からなる多孔質膜
である。このオレフィン系モノマーとしては、例えば、
エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、3
−メチル−1−ブテンなどが挙げられる。
【0021】例えば、このポリオレフィン系樹脂には、
上記オレフィン系モノマーから選択した1種のモノマー
を用いて得られる重合体、上記オレフィン系モノマーか
ら選択した2種以上のモノマーを用いて得られる共重合
体が含まれる。
【0022】また、これらポリオレフィン系樹脂には、
ポリオレフィンとしての所望の特性を損なわない範囲内
でオレフィン系モノマー以外の他のモノマーから得られ
る単位が共重合されていても良く、またフッ素等の各種
置換基が導入されたものであってもよい。
【0023】本発明の方法に用いる多孔質膜としては、
中空糸膜、平膜、管状膜など所望に応じた形態のものが
利用できる。
【0024】本発明の方法に用いる多孔質膜の膜厚、微
細孔の径、空孔率などの特性についての制限は特にない
が、本発明の方法によれば、多孔質膜表面での親水化剤
としてのエチレン系共重合体の皮膜形成が防止されるの
で、多孔質膜の微細孔径や空孔率から得られる特性を損
なうことなく、親水化処理ができる。特に、単位容積当
たりの表面積が大きい中空糸膜の利点を損なうことなく
親水化処理できるので、本発明の方法は中空糸膜の親水
化に好適である。
【0025】本発明の方法においては、例えば、20〜
200μm程度の膜厚、20〜90%程度の空孔率、0
.01〜5μm程度の微細孔径の濾過膜などとして好適
な多孔質膜の効果的な親水化処理が可能である。
【0026】 なお、多孔質膜の空孔率とは下記式(II);    
  空孔率(v、%)=(1−ρa /ρ1 )×10
0 ・・・(II)ρa :多孔質膜の見掛けの密度 ρ1 :多孔質膜を構成する材料(空孔を有さない状態
での)密度 で定義される値である。
【0027】また、多孔質膜の種類についても特に制限
はなく、溶融賦形後延伸して多孔質化する延伸法、抽出
除去可能な無機物などの充填材を含有させた状態で溶融
賦形後充填材を抽出して多孔質化する抽出法など各種の
方法によって得られる種々の微細孔構造の多孔質膜が利
用できる。
【0028】なお、これらのなかでは、延伸法によって
得られる多孔質膜が、空孔率が大きく目詰りによる機能
低下が起きにくく、かつ被処理水に溶け出す混入物を含
んでいないという特長を有するが、本発明の方法は、こ
れらの特長を損なうことなく親水化処理可能であるので
、延伸法によって得られる多孔質膜の親水化に特に好適
である。
【0029】なお、延伸法によって得られる多孔質膜は
、ミクロフィブリルと節部とによって形成されるスリッ
ト状の微小空間(微細孔)が3次元的に相互に連通した
多孔質構造を有し、例えば、特公昭56−52123号
公報、特開昭57−42919号公報などに開示された
方法によって製造することが可能である。
【0030】本発明の方法の過程Aに用いる親水化用溶
液は、溶剤に、親水化剤としてのエチレン系共重合体を
溶解させることによって得ることができる。
【0031】このエチレン系共重合体としては、20モ
ル%以上のエチレン単位と10モル%以上、好ましくは
20モル%以上の親水性モノマー単位を含むエチレン系
共重合体が利用される。
【0032】なお、エチレン単位の該共重合体中でのモ
ル%が20%未満であると該共重合体のポリオレフィン
系多孔質膜への親和性が不十分となり、該共重合体の多
孔質膜への吸着性が低下し、後述の過程Bでの脱液処理
において該共重合体が多孔質膜表面から脱離し易くなっ
たり、最終的に得られる親水化多孔質膜の使用時におい
て被処理水中への親水化剤の溶け出しが生じ易くなるの
で好ましくない。また、親水性モノマー単位が10モル
%未満であると、十分な親水性が得られなくなるので好
ましくない。
【0033】このエチレン系共重合体の重合形態につい
ての制限はなく、ランダム、ブロック、グラフトなど各
種の重合形態の共重合体が利用できる。
【0034】このエチレン系共重合体に含まれる親水性
モノマー単位としては、例えば、ビニルアルコール、(
メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の塩、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピロリドン、ア
クリルアミド等のビニル化合物などのモノマーから得ら
れるものを挙げることができ、これらの1種または2種
以上を組合せて用いることができる。
【0035】このエチレン系共重合体には、上記のエチ
レン単位及び親水性モノマー単位の他に、これらの単位
から得られる所望とする特性を損なわない範囲内で他の
単位が含まれていても良い。このような他の単位として
は、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、ビニル
アルコール脂肪酸エステル、ビニルアルコールをホルマ
ール化して得られる化合物、ビニルアルコールをブチラ
ール化して得られる化合物等のモノマーから得られる単
位を挙げることができる。
【0036】親水化剤としてのエチレン系共重合体を多
孔質膜に付着させるための親水化用溶液を調製するため
の溶剤としては、後述の乾燥処理(過程C)での効果的
な乾燥処理が可能なものであれば制限なく利用できるが
、例えば、アルコールと水の混合溶剤、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶剤、これら
有機溶剤と水の混合溶剤等を挙げることができる。なか
でも、エタノールを50〜90重量%含む水/エタノー
ル混合溶剤を、医療や飲料水の用途に用いる上で人体に
対する安全性が高いこと、及び沸点が低く乾燥が容易な
こと、という点から好ましいものとして挙げることがで
きる。
【0037】親水化用溶液にポリオレフィン系多孔質膜
を浸漬することによって、親水化用溶液中に含有させた
エチレン系共重合体を多孔質膜の表面[先に述べたよう
に多孔質膜外表面及び微細孔表面(中空糸膜では外表面
、中空部内表面、微細孔内表面)を含む)に吸着させる
ことができる。
【0038】親水化用溶液の組成、多孔質膜の浸漬時間
、温度、攪拌等の浸漬条件は、親水化用溶液に含有させ
るエチレン系共重合体の種類、多孔質膜の種類、その処
理量等により異なるが、後述の脱液処理が効果的に行え
、かつ最終的なエチレン系共重合体の多孔質膜表面への
吸着量が適性な範囲となる条件を適宜選択する。
【0039】この浸漬処理による浸漬条件は、例えば、
次式(III );         吸着率(Y1 、%owf)=(A1
 −A2 )/A1 ×100           
                         
                ・・・ (III 
)A1 :浸漬処理前の親水化用溶液中に含まれるエチ
レン系共重合体の量 A2 :浸漬処理後の親水化用溶液中に含まれるエチレ
ン系共重合体の量 から算出される親水化剤の多孔質膜への吸着率が、1〜
10%owf程度となるように設定することが好ましい
【0040】なお、A1 、A2 で定義される親水化
用溶液中に含まれるエチレン系共重合体の量は、浸漬処
理前後における親水化用溶液の適当量をサンプリングし
、それらの溶剤を留去させた際の残存固形分の重量を測
定して、親水化用溶液中の固形分の全量を算出すること
によって求めることができる。
【0041】浸漬時間は、親水化剤の十分な吸着をおこ
なわせるためには、例えば、15分以上、好ましくは2
0分以上とすることができる。
【0042】また、親水化用溶液中のエチレン系共重合
体の濃度は、例えば0.1〜10重量%程度、好ましく
は0.3〜5重量%程度とすることができる。この濃度
が0.1重量%未満であると、十分なエチレン系共重合
体の吸着量が得られにくく、また10重量%を超えると
、エチレン系共重合体の吸着量が多すぎて、次の脱液処
理での十分な脱液効果が得られず、多孔質膜の微細孔が
エチレン系共重合体によって閉塞され易くなるので好ま
しくない。
【0043】次に、浸漬処理された多孔質膜に脱液処理
(過程B)が施される。
【0044】この脱液処理は、該多孔質膜表面から過剰
の親水化用溶液を脱液するために行われる。
【0045】従って、脱液条件は、後述の乾燥処理後の
多孔質膜表面への親水化剤としてのエチレン系共重合体
の付着量が、多孔質膜に親水化を付与するに十分であり
、かつその皮膜が形成されないように設定されるが、例
えば次式(I)で示される親水化用溶液の保液率X;X
(%owf)={[v×ρ2 ]/[(100−v)×
ρ1 ]}×a・・・(I)v  :多孔質膜の空孔率 ρ1 :多孔質膜を構成する材料(空孔を有さない状態
での)密度 ρ2 :親水化用溶液の密度 a  :定数 における保液率Xを規制する定数aが20〜250の範
囲となる条件を設定することによって、効果的な脱液処
理を行うことができる。
【0046】この条件での脱液処理を行うことによって
、多孔質膜の外表面(中空糸膜の場合には外表面及び中
空部内表面)にある過剰の親水化用溶液が効果的に除去
される。
【0047】なお、親水化用溶液の保液率Xは、処理前
後での多孔質膜の重量を測定することにより算出できる
ものである。
【0048】脱液方法としては、親水化用溶液から引き
上げた多孔質膜から親水化用溶液をその自重によって多
孔質膜から落下させる脱液方法、多孔質膜に圧縮空気を
吹き付けてその圧力で親水化用溶液を飛ばす脱液方法、
超音波振動を加えて多孔質膜から落下させる脱液方法、
遠心力を作用させて多孔質膜から脱液する方法等を利用
することができる。
【0049】なお、これらの方法の中では、イ)脱液の
程度(エチレン系共重合体の最終的な付着の程度)を遠
心条件で調節できる、ロ)短時間での脱液処理が可能で
あり、脱液中に乾燥が同時進行して、過剰な親水化剤が
多孔質膜表面に保持される等の弊害を排除することがで
きる、ハ)中空糸膜を用いた場合の中空部内からの効果
的な脱液も容易である、などの点から遠心力を利用する
方法が好ましい。
【0050】遠心力による脱液処理を行う場合の遠心力
の程度は、用いる親水化用溶液の種類や多孔質膜の種類
などに応じて異なるが、大きすぎると多孔質膜の形態自
体を損なうことになるので、用いる多孔質膜の種類によ
ってその上限を設定する必要がある。このような観点か
ら、遠心力は、通常、5G〜600G程度とすることが
できる。
【0051】なお、過程Aにおいて万一親水化用溶液の
多孔質膜への浸透に不均一が生じた場合でも、この脱液
処理を行なうことで、脱液処理時の親水化用溶液の流れ
によってその不均一を解消できるという効果も得られる
【0052】以上の脱液処理が終了したところで、多孔
質膜を過程Cにおいて乾燥させて、エチレン系共重合体
を多孔質膜表面に固定させ、恒久的な親水性が付与され
た多孔質膜を得ることができる。
【0053】この乾燥処理には、真空乾燥、熱風乾燥等
、種々の乾燥方法が利用でき、この乾燥処理には、例え
ば120℃以下の温度等の多孔質膜が熱によって変形さ
れない温度条件が採用される。
【0054】なお、親水化剤としてのエチレン系共重合
体の多孔質膜への付着量は、先に述べたように、親水化
剤を用いる効果が得られる程度の十分な量が、多孔質膜
表面にその皮膜が形成されない程度に付着する量とされ
るが、例えば、親水化処理前後での重量の変化率として
表される付着率が、例えば1〜40%owf程度、好ま
しくは5〜30%owf程度、より好ましくは5〜15
%owf程度となるように設定することができる。
【0055】なお、この最終的なエチレン系共重合体の
多孔質膜への付着率は、親水化用溶液の濃度や脱液処理
の条件などを適宜設定することによって調節することが
できる。
【0056】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明する。
【0057】なお、以下における吸着率等は下記の方法
によって求めた。
【0058】1)浸漬処理時のエチレン系共重合体の吸
着率(Y1 、%owf) 浸漬処理前後の親水化用溶液の適当量をサンプリングし
、それらから溶剤を留去した際の残存固形分の重量を測
定し、その結果から浸漬処理前後の親水化用溶液全体に
含まれる固形分の重量を算出して、先に示した式(II
I )に従って求めた。
【0059】2)親水化用溶液の保液率浸漬処理前と所
定の処理段階後での編地の重量を測定し、下記式(IV
);       保液率(X、%owf)=(B2 −B1
 )/B1 ×100・・・ (IV)B1 :浸漬処
理前の編地の重量 B2 :浸漬処理後の所定の処理段階後の編地の重量か
ら求めた。なお、表1の結果では、実施例1〜3につい
ては遠心による脱液処理後の保液率を、比較例1及び2
については静置ドリップ処理後の保液率を示した。
【0060】3)先に示した式(I)におけるaの値上
記2)項で求めた親水化用溶液の保液率(X)を用いて
先に示した式(I)から算出した。
【0061】4)乾燥処理後の付着率 親水化処理前と乾燥処理後の編地の重量を測定し、下記
式(V);       吸着率(Y2 、%owf)=(C2 −
C1 )/C1 ×100…(V)C1 :浸漬処理前
の編地の重量 C2 :乾燥処理後の編地の重量 から求めた。
【0062】5)通水量 図1に示す構成の中空糸膜モジュール1を作製し、その
給水口4から通水量測定用の蒸留水を1kg/cm2 
の水圧で供給して、中空糸膜2の該表面から中空部内に
浸透し、取水口5から取り出された単位時間当たりの水
の流量を測定することによって求めた。
【0063】6)通水量保持率 図1に示す構成の中空糸膜モジュール1の濾過に使用す
る前の初期通水量と、名古屋市水道を4m3 を、3リ
ットル/minの定流速で連続濾過処理した後の通水量
を上記5)の方法により測定し、その結果から下記式(
VI);         通水量保持率(%)=D2 /D1 
×100…(VI)          D1 :初期
通水量D2 :4m3 濾過処理後の通水量 から求めた。
【0064】実施例1 よこ糸として、外径380μmのポリエチレン多孔質中
空糸膜[三菱レイヨン(株)製、EHF270T、空孔
率72%、構成材料としてのポリエチレン(空孔を有し
てしない状態での)の比重0.965 ]を16本合糸
したものを使用し、たて糸としてポリエステル加工糸(
50d/24f)を用い、ジャガードラッセル機により
、編幅120mmで、たて糸によるくさり編が両耳部の
みになされた編地を作製した。
【0065】親水化剤としてのエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体(エチレン含有44モル%、日本合成化学
(株)製、ソアノールA4412)を1.4重量%の濃
度でエタノール/水(75/25容量比)混合溶剤に溶
解して得た親水化用溶液を50℃に保温し、これに先に
得た編地を20分間浸漬した後、編地を溶液から取り出
した。
【0066】なお、浸漬処理中は、親水化剤の編地への
吸着を均一とするために、溶液の攪拌及び親水化用溶液
中での編地のかるい上下動を行った。この浸漬処理での
親水化剤の吸着量(Y1 )を、前記1)項の方法で測
定したところ、4.9%owfであった。
【0067】次に、溶液から取り出した編地を浸漬浴上
に約1分間静置し、付着液を編地から滴下させて、静置
ドリップ処理を行った。この静置ドリップ処理後の親水
化用溶液の保液率(X)を前記2)の方法により測定し
たところ、730%owfとなり、この保液率にもとづ
いて算出した先に示した式(I)でのaは310であっ
た。
【0068】この編地を、遠心機にセットし、20Gの
遠心力を5分間かけ脱液処理を行った。この脱液処理後
の親水化用溶液の保液率(X)を前記2)の方法により
測定したところ、240%owfとなり、この保液率に
もとづいて算出した先に示した式(I)でのaは102
となった。
【0069】脱液処理後の編地を60℃の熱風乾燥機中
で30分間乾燥させ、親水化剤としてのエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体の前記4)項に従って求めた付着
率(Y2 )が9.3%owfであるポリエチレン多孔
質中空糸膜を得た。
【0070】この中空糸膜を編地からばらし、U字状に
束ねて各中空糸膜の両開口端を開口状態でウレタン樹脂
で固定し、図1に示すように、中空糸膜2の外表面と接
触し、かつ給水口4と連通する領域と、中空糸膜2の中
空部及び取水口5と連通する領域とを樹脂固定部3によ
って液密に仕切った構成の有効膜面積0.6m2 の膜
モジュールを製作した。
【0071】この膜モジュールの通水量保持率を前記5
)項及び6)項の方法で測定した。得られた結果を表1
に示す。
【0072】実施例2 浸漬時間を10分間とした以外は、実施例1と同様にし
て多孔質中空糸膜の親水化処理を行った後、濾過モジュ
ールを作製し、その通水量保持率を測定した。その結果
を表1に示す。
【0073】比較例1 遠心機による脱液処理を行わなかった以外は、実施例1
と同様にして多孔質中空糸膜の親水化処理を行った後、
濾過モジュールを作製し、その通水量保持率を測定した
。その結果を表1に示す。
【0074】比較例2 親水化剤の濃度を1.3重量%とし、浸漬時間を1分間
とし、また遠心機による脱液処理を行わなかった以外は
、実施例1と同様にして多孔質中空糸膜の親水化処理を
行った後、濾過モジュールを作製し、その通水量保持率
を測定した。その結果を表1に示す。
【0075】実施例3 親水化剤溶液として、エチレン−ビニルアルコール−酢
酸ビニル共重合体(モル比、30:46:24、公知の
方法に従ったエチレン−ビニルアルコール共重合体の部
分酢化により合成)を1.2重量%の濃度でエタノール
/水(70/30容量比)混合溶剤に溶解して得た溶液
を50℃に保温したものを用いた以外は、実施例1と同
様にして多孔質中空糸膜の親水化処理を行った後、濾過
モジュールを作製し、その通水量保持率を測定した。そ
の結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】本発明の親水化多孔質膜の製法によれば
、多孔質膜表面に、親水化剤としてのエチレン系共重合
体が、その皮膜が形成されない適当量で保持されるので
、過剰量の親水化剤によって形成される皮膜によって微
細孔が塞がれたり、その孔径が必要以上に狭められたり
することがなく、濾過等に利用される有効膜面積が確保
される。その結果、濾過使用開始時からの通算濾過水量
の増加にともなった通水量等の機能低下が生じにくい多
孔質膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中空糸膜濾過モジュールの構成を示す模式的断
面図である。
【符号の説明】
1  中空糸膜濾過モジュール 2  中空糸膜 3  樹脂固定部 4  給水口 5  取水口

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  A)ポリオレフィン系多孔質膜を、2
    0モル%以上のエチレン単位と10モル%以上の親水性
    モノマー単位を含むエチレン系共重合体を含有する親水
    化用溶液に浸漬して該共重合体を前記多孔質膜に吸着さ
    せる過程と、B)該多孔質膜から過剰の親水化用溶液を
    脱液する過程と、C)該脱液処理後の多孔質膜を乾燥す
    る過程とからなることを特徴とする親水化多孔質膜の製
    法。
  2. 【請求項2】  過程Aにおける前記共重合体の吸着量
    を1〜10%owfとする請求項1に記載の親水化多孔
    質膜の製法。
  3. 【請求項3】  過程Bにおける脱液後の前記親水化用
    溶液の前記多孔質膜への保液率Xを X(%owf)={[v×ρ2 ]/[(100−v)
    ×ρ1 ]}×a・・・(I)v  :多孔質膜の空孔
    率 ρ1 :多孔質膜を構成する材料(空孔を有さない状態
    での)密度 ρ2 :親水化用溶液の密度 a  :定数 としたときに、aが20〜250の範囲となる条件で過
    程Bを行う請求項1または2に記載の親水化多孔質膜の
    製法。
  4. 【請求項4】  前記親水性モノマー単位がビニルアル
    コール単位である請求項1〜3のいずれかに記載の親水
    化多孔質膜の製法。
  5. 【請求項5】  親水化用溶液が、アルコールと水の混
    合溶剤と、前記共重合体を含むものである請求項1〜4
    のいずれかに記載の親水化多孔質膜の製法。
  6. 【請求項6】  ポリオレフィン系多孔質膜が、延伸法
    により多孔質膜化された中空糸膜である請求項1〜5の
    いずれかに記載の親水化多孔質膜の製法。
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