JPH11179174A - 分離用中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents

分離用中空糸膜およびその製造方法

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JPH11179174A
JPH11179174A JP9365192A JP36519297A JPH11179174A JP H11179174 A JPH11179174 A JP H11179174A JP 9365192 A JP9365192 A JP 9365192A JP 36519297 A JP36519297 A JP 36519297A JP H11179174 A JPH11179174 A JP H11179174A
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JP
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hollow fiber
fiber membrane
layer
separation
membrane
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JP9365192A
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English (en)
Inventor
Yoshinari Fujii
能成 藤井
Toshiyuki Ishizaki
利之 石崎
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透水性、汚れにくさ、洗浄しやすさ、長期間の
耐久性、あるいは除濁・除菌性能の信頼性等の点で改善
された、透水性と強度および伸度等の特性を両立させ
た、分離用中空糸膜を提供する。 【解決手段】この中空糸膜は、膜壁構造が外表面緻密
層、外層、中間層および内表面層からなる中空糸膜であ
って、外表面緻密層は微細孔を有しない緻密層で構成さ
れ、外層は細かなスポンジ状構造であり、中間層は粗い
スポンジ状構造の組織からなるとともに、そのスポンジ
構造の組織に囲まれた中空糸外縁に向けて放射状に配列
した形状のマクロボイドを有し、内表面層はスポンジ状
構造を有し、中間層のマクロボイドの内向きの先端部分
がこのスポンジ状構造の内表面層を貫通して、中空糸膜
の内表面に開口した組織構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分離用中空糸膜お
よびその製造方法に関するものである。さらに詳しく
は、本発明は、用水処理や純水の製造、食品、バイオ製
品製造などのプロセスにおいて、被処理液から固形物質
や微粒子・菌体等を分離する目的で用いられる、好適に
は外圧型の限外濾過法中空糸膜モジュールに使用される
分離用中空糸膜とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】膜分離法は、省エネルギー、省スペー
ス、省力化および製品の品質向上等の特徴を有するた
め、適用分野を拡大しながら普及している技術である。
膜分離法には、逆浸透、限外濾過、精密濾過、ガス分離
およびパーベーパレイション等の方法がある。また分離
膜の形態には、中空糸膜、平膜および管状膜等があり、
上記の各分離法で分離対象物の性質や特徴に応じて使い
分けられている。
【0003】従来、精密濾過の分野では、平膜のカート
リジ型式の濾過装置が多用され、中空糸膜型の濾過装置
も小型の使い捨て型のものが使用されている。また限外
濾過の分野では、超純水の製造および食品加工プロセス
や果汁の清澄化等に平膜濾過装置や中空糸膜モジュール
が使用されているが、これらが河川水の除濁や用水の清
澄化等に使用された例はこれまで殆どなかった。
【0004】近年、精密濾過または限外濾過用の中空糸
膜を、長期間連続使用する浄水プロセス分野の河川水や
地下水の除濁、工業用水の清澄化あるいは排水の高度処
理等の分野に適用しようとする研究が活発に行なわれ、
このような分野に中空糸膜モジュールが適用されつつあ
る。
【0005】中空糸膜モジュールは、単位容積当たりの
膜面積を大きくとることができること、膜処理すべき原
液と透過液を隔てるためのシール機構が簡単であること
など、種々の利点を有している。しかしながら、この中
空糸膜モジュールを上述のような除濁分野で使用する場
合には、分離すべき固形物や粒子が膜の細孔に侵入しま
たは膜表面に吸着して目詰まりを起こし、洗浄・再生が
難しいため、これまで長期にわたり再生して使用するこ
とを前提とする除濁用途等の大型装置に適用することは
困難であると考えられてきた。
【0006】この中空糸膜モジュールには、内圧型と外
圧型のモジュールがある。内圧型モジュールは、中空糸
膜の内部に原液を供給し、中空糸膜の外側に濾過液を透
過させて集めて、取り出す構造を有している。これに対
し、外圧型膜モジュールは、中空糸膜の外側に原液を供
給し、中空糸膜の内側に濾過液を透過させて、濾過液を
取り出す構造になっている。内圧型膜モジュールについ
ては、クロスフロー型濾過法に逆圧洗浄法を組合せて膜
目詰まりを防止する方法が提案されている。このような
目詰まり防止法と適宜実施される薬品洗浄との組合せ
で、長期にわたり膜の目詰まりを抑制して使用する方法
が開発され、河川水や井戸水の除濁、工業用水の清澄化
などに適用する膜技術が検討されている。クロスフロー
型濾過法は、濾過水より多量の原水を循環させ、一部を
通水として取出すために、全量濾過する方式より運転エ
ネルギー的に不利であり、万一中空糸膜が破断したとき
に被処理液が濾過水に混入し濁質分で破断箇所が目詰り
し閉塞されることがない。
【0007】他方、全量濾過を行なう外圧型膜モジュー
ルでは、運転エネルギーに関しては有利であり、万一中
空糸膜が破断した場合にも濁質分が容易に閉塞し被処理
水の混入が防止される。また全量濾過の場合には、濁質
分が中空糸膜の表層に堆積し濾過抵抗を増大させるの
で、間欠的にエアースクラビングで中空糸を揺動させ相
互にこすり合わせて堆積した濁質分を剥離させ、膜モジ
ュールの外部に排出するみとが行われている。
【0008】このような浄水処理の目的に使用される中
空糸膜には、高い透水性、汚れにくく洗浄しやすい性
質、長期間の物理洗浄と薬液洗浄に対する耐久性、およ
び除濁・除菌性能の信頼性等が要求される。当初、かか
る用途向けに検討されてきた中空糸膜は、従来家庭用浄
水器のために開発された中空糸膜や、従来の限外濾過の
用途に開発された中空糸膜であった。しかしながら、家
庭用浄水器は浄水プロセスで一度処理された、濁質の除
去された飲料水を濾過するためのものであり、また限外
濾過用途の中空糸膜は、特性の詳しく分かっている分離
対象に適用されるものである。したがって、これらを水
質が千変万化する天然の河川水や地下水の除濁、工業用
水の清澄化、あるいは排水の高度処理等のような分野に
適用した場合には、透水性、汚れにくさ、洗浄しやす
さ、および長期間の耐久性あるいは除濁・除菌性能に対
する信頼性等の点でなお課題があり、改善すべきことが
多かったのである。
【0009】さらに精密濾過の中空糸膜には、ポリオレ
フィン系の重合体を延伸法で製造した中空糸膜がある。
この種の膜は、ラメラ間の非晶部分を引き裂いた形状か
らなるスリット状の細孔を有し、その細孔は細孔径が比
較的大きく、外表面から内表面に貫通している。このた
め、比較的大きい球状に近い微粒子の除濁性能や透水性
では優れているが、ウイルスのような微生物や、微細な
あるいは細長い形状の懸濁物質の除去性には劣り、濾過
水の水質の点では問題がある。また、細孔の中に侵入し
た濁質分を除去するために高い圧力による逆圧洗浄など
の苛酷な方法で洗浄する必要がある。
【0010】限外濾過用中空糸膜の場合には、細孔径が
小さいので、ウイルスや微細な懸濁物質の除去性に優れ
ていて、水質の点では十分満足されるが、透水性が低
く、運転操作圧が比較的高いという問題点がある。限外
濾過用中空糸膜は、酢酸セルロース、ポリスルホン、お
よびポリアクリロニトリル等の重合体を膜素材としてい
る。酢酸セルロースは、浄水分野でよく使用されている
塩素殺菌剤に対する耐久性が低く、許容されるpH範囲
も狭い。このため薬品洗浄性にも問題がある。ポリスル
ホン中空糸膜は、疎水性のため水中の懸濁物質や溶存物
質の吸着が多く、したがって目詰まりしやすいという問
題がある。ポリアクリロニトリル中空糸膜は、素材とし
て耐薬品性に優れ、同時に十分な親水性も有しているか
ら水中の懸濁物質や溶存物質の吸着が比較的少ないので
その点では優れている。しかしながら、通常の限外濾過
モジュール等に使用されているポリアクリロニトリル中
空糸膜の場合には、エアースクラビングのような操作に
対して、耐久性が不十分であり透水性にも改善の余地が
ある。
【0011】透水性改善については、特公昭52−15
072号公報、特公昭60−25525号公報、および
特開昭60−39404号公報等に、膜構造を改良して
透水性を向上させる方法が提案されている。特公昭52
−15072号公報では、中空糸膜外側あるいは内側
に、外側の場合には中空糸膜の外表面に近付くにしたが
って平均孔径の小さくなるような、また内側の場合は中
空糸膜の内表面に近付くにしたがって平均孔径の小さく
なるような傾斜型多孔質膜層をそれぞれ存在させ、上記
多孔質層に接して直径10μm以上の空洞を1層以上含
む網状多孔質構造体を存在させたアクリロニトリル系中
空糸濾材が提案されている。この公報には、著しく高い
透水性と強度が示されているが、強度と同時に測定され
る伸度の値については全く示されていない。また中空糸
膜の実用上の耐久性は、膜モジュール化工程や膜モジュ
ールの実際使用時のタフネスに関する特性であり、引張
り強度がおおよそ0.50〜1MN/m2以上であるよう
な中空糸では、伸度がより重要であると考えられる。し
たがって、伸度がより重要である本発明で意図する用途
分野にまで使用するには、エアースクラビングのような
物理洗浄に対する耐久性に問題があるといえる。
【0012】また特公昭60−25525号公報では、
中空糸膜の最内層が50nm以上の孔径を有する空孔を
含まない緻密層であり、緻密層につづく中間層が50n
m〜2μmの空孔を含くむ層で形成された多孔質層であ
り、それにつづく最外層が孔径100nm〜5μmの空
孔で各孔が互いに連絡している網状構造からなるもので
構成され、この網状構造中に長径5〜100μm、短径
1〜30μmの独立孔でその一端が中空糸膜の外側に開
口した構造の中空糸膜が提案されている。特公昭60−
39404号公報と特公昭60−25525号公報に記
載の発明は、ほとんど全く同じ内容で、網状構造中に巨
大空孔が内側に開口していることだけが異なるものであ
る。これらの中空糸膜は、透水性はかなり改善されてい
るが、中空糸の強度と伸度についてはデータが示されて
おらず、エアースクラビングのような物理的洗浄に対す
る耐久性に関してかなり問題が残る。
【0013】さらに特公昭60−3844号公報には、
強度と伸度の改善されたポリアクリロニトリル中空糸膜
の製造方法が提案されているが、エアースクラビングの
ような物理洗浄法に対する耐久性の観点からみると、伸
度はかなり低く、いまだに透水性も非常に低いので不十
分である。さらに上記の特許公報には、除去性能に係わ
る微小欠点の存在に対応するバブルポイント特性につい
ては全く記載されていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、透水
性、汚れにくさ、洗浄しやすさ、長期間の耐久性、およ
び除濁・除菌性能の信頼性等の点で改善された、透水性
と強度および伸度等の特性を両立させた、特に外圧型限
外濾過用に好適に用いられる分離用中空糸膜を提供する
ことにある。
【0015】本発明の他の目的は、透水性と強度および
伸度等の特性を両立させたアクリロニトリル系重合体か
らなる分離用中空糸膜の効率的な製造方法を提供するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、以下の構成からなる。すなわち、本発
明の分離用中空糸膜は、膜壁構造が外表面緻密層、外
層、中間層および内表面層からなる中空糸膜であって、
該外表面緻密層は厚みが0.02〜0.2μmの微細孔
を有しない緻密層で構成され、該外層は厚みが5〜70
μmで孔隙が0.02〜0.8μmの細かなスポンジ状
構造であり、該中間層は厚みが80〜160μmで孔隙
が0.1〜10μmの粗いスポンジ状構造の組織からな
るとともに、そのスポンジ構造の組織に囲まれた長径5
0〜150μm、短径10〜60μmで中空糸外縁に向
けて放射状に配列した形状のマクロボイドを有し、該内
表面層は膜厚みが1〜15μmで孔隙が0.05〜5μ
mのスポンジ状構造からなるとともに、該中間層のマク
ロボイドの内向きの先端部分がこのスポンジ状構造の内
表面層を貫通して、中空糸膜の内表面に開口した組織構
造を有することを特徴とするもので、本発明の分離用中
空糸膜は、次の好ましい実施態様を有している。 (1) 前記マクロボイドの表面部分は微細孔を有しない緻
密層であり、中空糸内側に貫通した該マクロボイドの開
口の平均直径が10〜26μm、1mm2 当たりの開口
率が0.5〜30%であり、かつ1mm2 当たり180
〜540個の開口を有すること。 (2) 純水の透過係数が4.5m3/(m2.h.MPa)以
上であり、かつ強度が4MN/m2以上で伸度が55%
以上であること。 (3) バブルポイントが0.1MPa以上であり、外径変
動率が5%以下で、内径が350μm以上、膜厚が11
0μm以上であること。 (4) 前記中空糸膜が、アクリロニトリル95モル%以上
を含有するアクリロニトリル系重合体からなること。 (5) 前記アクリロニトリル系重合体の極限粘度数が2.
5dl/g以上であること。
【0017】また、本発明の分離用中空糸膜の製造方法
は、極限粘度数2.5dl/g以上の高重合度のアクリ
ロニトリル系重合体を5〜12重量%含有する重合体溶
液を、環状オリフィスの中心部に中心パイプを有する構
造の口金を用いて、該中心パイプから低凝固性の注入液
を注入し、該環状オリフィスから該重合体溶液を吐出温
度10〜45℃で吐出させて乾湿式法で紡糸するにあた
り、紡糸ドラフト比を8以上とし、雰囲気温度が30℃
以下で絶対湿度が3.3kPa以下の乾式長2〜20c
mの気相中を通過させ、次いで浴温30℃以下の凝固浴
中に導いて凝固させることを特徴とするもので、本発明
では、前記アクリロニトリル系重合体の溶媒がジメチル
スルホキシドであり、かつ低凝固性の注入液がジメチル
スルホキシド75〜90重量%の水系液であることが好
ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の分離用中空糸膜とその製
造方法の詳細について、以下に説明する。
【0019】図1〜図6は、本発明の中空糸膜を構成す
る中空繊維を例示、説明するための図面代用走査顕微鏡
写真である。図1は、本発明の中空糸膜を構成する中空
繊維の断面構造を示す図面代用写真(100倍)であ
る。図2は、本発明の中空糸膜を構成する中空繊維の外
表面緻密層の断面構造を示す図面代用写真(5000
倍)であり、また、図3は、その外表面緻密層の外表面
の形態を示す観察倍率を上げた図面代用写真(1000
0倍)である。本発明の中空糸膜において、外表面緻密
層の厚みは、0.02〜0.2μm、好ましくは0.1〜
0.2μmの範囲にあり、走査顕微鏡写真で観察される
ように微細孔を有していない。
【0020】ここでの微細孔の大きさの程度は、例えば
走査顕微鏡写真(10000倍)では孔が確認できない
程度であり、孔径でいえば0.01μm以下で最も小さ
いウイルスであるポリオウイルス(約0.03μm)を
阻止できる程度の細孔径を有することが好ましい。ま
た、外表面緻密層を薄くしすぎると微小欠点を測る指標
のバブルポイント値を低下させる傾向を示す。
【0021】図4は、本発明の中空糸膜を構成する中空
繊維の外層の断面構造を示す観察倍率を上げた図面代用
写真(5000倍)である。外層の厚みは5〜70μ
m、好ましくは10〜50μmの範囲にあり、孔隙が
0.02〜0.8μm、好ましくは0.1〜0.5μm
の範囲の細かなスポンジ状の構造からなることを示して
いる。外層の組織構造(厚み・孔隙)から外れると、実
用上の中空糸膜の耐圧性、或は透水性が得られなくなる
ことがある。
【0022】本発明の中空糸膜を構成する中空繊維の中
間層の構造が前述の図1(および図5)に示されてい
る。すなわち、中間層の厚みは、80〜160μm、好
ましくは100〜140μmの範囲にあり、孔隙が0.
1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲の粗い
スポンジ状構造の組織からなっていている。そして、長
径が50〜150μm、好ましくは70〜140μm、
短径が10〜60μm、好ましくは20〜50μmのマ
クロボイドがそのスポンジ状構造の組織で囲まれて存在
しており、このマクロボイドは中空糸外縁に向けて放射
状に配列した形状を有している。上記の組織構造から外
れてマクロボイドが形成されると、膜壁構造内において
マクロボイドの粗密化が発生して、膜の局所的な透過流
速の偏在化が起こり易くなり、長期運転などで問題が発
生する。
【0023】また図5は、本発明の中空糸膜を構成する
中空繊維の縦断面構造を示す図面代用写真(100倍)
で、内表面層の断面構造および内表面が示されている。
図6は、本発明の中空糸膜を構成する中空繊維の内表面
を拡大した状態を示す図面代用写真(1000倍)であ
る。内表面層の厚みは、1〜15μm、好ましくは2〜
10μmの範囲にあり、孔隙が0.05〜5μm、好ま
しくは0.1〜2μmの範囲スポンジ状構造の組織から
なっている。さらにこの内表面層は、中間層のマクロボ
イドの内向きの先端が中空糸内表面層を貫通して開口し
た、スポンジ状の構造体をなしている。上記の組織構造
から外れるとマクロボイドの形成が歪になり易い。
【0024】なお、そのマクロボイドの構造を子細に観
察すると、マクロボイド孔の表面部分には微細孔を有し
ない緻密層が形成されており、中間層のスポンジ状構造
組織内にあって管状の空洞部を緻密層で補強した構造を
形成して、中間層のスポンジ状組織構造体を補強してい
る。この緻密層の厚さは好ましくは0.01〜0.03
μmであり、また緻密層における微細孔の大きさの程度
は、例えば走査顕微鏡写真(10000倍程度)で孔が
確認できない程度を言う。
【0025】公知の方法・手段でマクロボイドを形成さ
せ高い透水性の中空糸膜を得ようとすると、通常、中空
糸膜の内径、外径、および膜厚により膜構造内のマクロ
ボイドの形状が変化して、透水性や物理的性質(強度・
伸度特性)に影響を与える。つまり、マクロボイドが不
規則に構造形成されると、透水性と高強度・高伸度特性
を同時に併せもつことが困難になる。
【0026】これに対し、本発明の分離用中空糸膜で
は、中空糸膜内表面に実質的に規則的に貫通したマクロ
ボイドが形成されている。このマクロボイドの開口部の
平均直径は好ましくは10〜26 μmの範囲である。
【0027】かつ1mm2 当りの開口率は、好ましくは
0.5〜30%で、より好ましくは1〜20%、さらに
好ましい実施態様では1.4〜16%の範囲で、マクロ
ボイドが実質的に規則的に配列して存在している。開口
部の数としては、およそ1mm2 当たり180〜540
個の範囲にある。
【0028】本発明ではこのようなマクロボイドが開口
した構造をとることによって、純水の透過係数が、4.
5m3/(m2.h.MPa)以上であり、かつ強度が4M
N/m2以上、伸度が55%以上の強度・伸度特性を可
能にしたものである。すなわち、相対的に高い透水性と
高強度・高伸度を同時に併せもち、特に顕著に高い伸度
を実現するための必要条件の1つは、本発明の中空糸膜
のマクロボイドを含む膜構造組織にあると考えられる。
【0029】また通常、公知の手段で中空糸膜にマクロ
ボイドを形成させ透水性を増加させると、膜の最外層を
貫通した微小孔の欠点が増加して、膜の微小孔欠点を測
る指標であるバブルポイントが著しく低下するととも
に、強伸度等の物理的性質も低下する。
【0030】これに対し、本発明の中空糸膜は、除濁・
除菌性能の信頼性等の点から微小欠点を有しない緻密層
を外表面に形成しており、バブルポントが好ましくは
0.1MPa以上、より好ましい実施態様では0.15
MPa以上、さらに好ましい実施態様では0.25MP
a以上の高バブルポイントの中空糸膜である。
【0031】このようにバブルポイントの向上改善され
た本発明の中空糸膜の製法の要点は、後述するように、
高重合度のアクリロニトリル系重合体を採用して、高ド
ラフト比で後述する紡糸条件で製造するところにある。
【0032】中空糸膜の透水性能および膜モジュールの
性能は、中空糸膜寸法に著しく依存しているため、寸法
変動率の改善された中空糸膜が要求される。さらに中空
糸膜内に偏在化してマクロボイドが形成されると、中空
糸の外径寸法の変動率も増大するが、本発明の中空糸膜
は、紡糸時のポリマ溶液および注入液の吐出量精度条件
などを改善して、高バブルポイントの緻密層を膜外表面
に形成し、さらに偏りのないマクロボイドを形成するこ
とで外径変動率を5%以下に抑え、内径を350μm以
上、膜厚が110μm以上の膜構造組織を可能にしたも
のである。
【0033】本発明において、高重合度のアクリロニト
リル系重合体溶液から中空糸膜を紡糸する場合、チキソ
トロピー性が顕著となるため、中空糸膜の繊維軸方向の
周期的太さ斑が拡大する。このため本発明では種々検討
した結果、ドラフト比を8以上、より好ましくは15〜
40にすることによって、外径変動率を低減することを
見出し、これに紡糸雰囲気条件および凝固浴条件を組み
合わせることによって、本発明の特徴ある分離用中空糸
膜を得ることができる。
【0034】このような中空糸膜を製造するにあたり、
通常のアクリル繊維等の製造に使用される重合度のポリ
マを使用すると、本発明で実現される膜の構造、物理的
性質(強度・伸度)、透水性、バブルポイント等をバラ
ンスよく著しく向上させた中空糸膜を製造することは極
めて困難である。すなわち、高重合度のアクリロニトリ
ル系重合体を用いて、後述する製造方法条件で紡糸した
ときにはじめて本発明のような特異な中空糸膜が得られ
るのである。
【0035】すなわち、本発明の分離用中空糸膜の製造
に用いられるアクリロニトリル系重合体は、好ましくは
アクリロニトリル95モル%以上からなる、極限粘度数
が好ましくは2.5dl/g以上、より好ましくは2.
7〜3.6dl/g、さらに好ましくは2.8〜3.4
dl/gの高重合度の、アクリロニトリル系重合体を少
なくとも1成分とすることである。極限粘度数が低すぎ
ると、糸状形成後の機械的性質である強度・伸度が低下
するような欠点が現れる。
【0036】また本発明のアクリロニトリル系重合体
は、アクリロニトリルが好ましくは95モル%〜100
%のアクリロニトリル系重合体であり、アクリロニトリ
ル単独重合体の他、アクリロニトリルに対して共重合性
を有するビニル化合物一種あるいは二種以上を含有する
共重合体であってもよい。共重合させるモノマは全量で
好ましくは5モル%未満、より好ましくは3モル%以
下、さらに好ましくはアクリロニトリル単独重合体であ
る。上記ビニル化合物としては、アクリロニトリルに対
して共重合性を有する公知の化合物であればよく、好ま
しい共重合成分としては、アクリル酸、イタコン酸、ア
クリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、ア
クリル酸ソーダ、P−スチレンスルホン酸ソーダなどを
例示することができる。このように、本発明でいうアク
リロニトリル系重合体には、単独重合体の他に上記のよ
うな共重合体が包含される。
【0037】また、本発明においては、本発明の効果を
妨げない範囲で、他の成分を混合することができる。例
えば、親水基を含むまたは含まない他のアクリロニトリ
ル系重合体を40重量%を超えない範囲で混合すること
ができる。
【0038】次に、本発明のアクリロニトリル系重合体
からなる分離用中空糸膜の製造方法の一例について説明
する。
【0039】まず、高重合度のアクリロニトリル系重合
体を、好ましくは5〜12重量%の範囲で含有する紡糸
溶液を準備する。ここで用いられるアクリロニトリル系
重合体は、好ましくはアクリロニトリルが95モル%以
上で、極限粘度数が2.5dl/g以上の重合度のアク
リロニトリル系重合体であり、これを溶媒に溶解して紡
糸溶液とする。
【0040】ここで用いられる溶媒としては、ジメチル
スルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(D
MF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、エチレン
カーボネート、γ−ブチルラクトン等が例示されるが、
凝固沈殿により糸状を形成する際にすみやかに拡散する
点で、ジメチルスルホキシドが好ましく用いられる。
【0041】紡糸溶液中の重合体濃度は、好ましくは5
〜12重量%、より好ましくは7〜11.5重量%、さ
らに好ましくは9〜11重量%の範囲である。上記の重
合体濃度を外れると、実用上の耐久性(高い強度・伸度
など)や透水性が得られにくくなる。
【0042】本発明においては、このように準備した高
重合度のアクリロニトリル系重合体を含む紡糸溶液を、
環状オリフィスの中心部に中心パイプを有する構造の口
金を用い、中心パイプから低凝固性の注入液を注入し、
環状オリフィスからアクリロニトリル系重合体溶液を注
入して吐出する。
【0043】口金に注入する低凝固性の注入液は、紡糸
溶液製造に用いられる上述の溶媒と非溶媒とで構成され
ている水系液が好ましい。非溶媒としては、水、アルコ
ール類、脂肪族ケトン、グリセリン、ポリエチレングリ
コールなどが挙げられるが、凝固力が比較的大きく取り
扱いが容易である理由から水が特に好ましく用いられ
る。溶媒濃度は、好ましくは70〜95重量%、より好
ましくは75〜90重量%、さらに好ましくは78〜8
6重量%の範囲である。上記の濃度範囲を外れると口金
からのドリップや糸切れが発生する。すなわち、膜の最
内層の形成を凝固速度でコントロールし易くするもので
あるが、溶媒と非溶媒の組合せおよび中空糸膜内径・外
径等によって最適な範囲は変化する。
【0044】本発明において紡糸は、雰囲気温度が好ま
しくは30℃以下で、かつ絶対湿度が好ましくは3.3
kPa以下の乾式部において、そのポリアクリロニトリ
ル系重合体溶液を吐出温度が好ましくは10〜45℃、
より好ましくは25〜35℃の範囲で吐出し、乾式長が
好ましくは2〜20cm、より好ましく3〜15cmの
気相中を通過させる。ここでの乾式部の雰囲気条件は、
微細孔を有しない外表面の緻密層を形成する大きな要因
である。この際、本発明では好ましくは紡糸ドラフト比
を好ましくは8以上、より好ましくは15〜40として
吐出する。紡糸ドラフト比が小さいと機械的特性である
糸の強度及び伸度の低下傾向を示す。
【0045】次いで吐出された糸条を、浴温が好ましく
は30℃以下、より好ましくは28℃以下の凝固浴中に
導いて凝固させて中空糸膜とする。この凝固浴温度条件
は、マクロボイドを形成させる凝固拡散速度に大きく影
響する。凝固浴には、公知の凝固液を用いることがで
き、上述の低凝固性の注入液と同様、溶媒と非溶媒から
なる混合液が使用される。
【0046】本発明では、このような態様をとること
で、規則性のあるマクロボイドを膜壁構造内に形成し、
併せて軸方向に一定の分子配向が生じて透水性能、およ
び高強度・高伸度特性が顕著に向上して発現する中空糸
膜が得られる。特に高透水性を保ったまま高バブルポイ
ントを有し、外径変動率を低く抑えた高伸度の中空糸膜
製造に効果的である。
【0047】
【実施例】以下に実施例を示すが、これに限定されるも
のではない。本発明においては、各性能について下記の
とおり評価した。 (1)極限粘度数は、ウベローデ型粘度計を用いて、ジ
メチルホルムアミド(DMF)を溶媒に使用し希釈法で
35℃で測定した。 (2)膜壁構造内の層厚み及び孔隙の測定方法は、膜横
断面の走査顕微鏡写真の形態観察から層の境界を定めて
層厚みと孔隙範囲を測定した。 (3)マクロボイド開口部の測定方法は、内表面の走査
顕微鏡写真で1mm2 当たりの開口部の箇所数、及び開
口部の長径と短径を測定して、次の式にて開口部の平均
直径を算出した。
【0048】開口部の平均直径=(開口部の長径+開口
部の短径)/2 (4)マクロボイドの開口率は、膜内表面の走査型顕微
鏡写真を、ハイビジョンパーソナル画像解析システムP
IAS−IV((株)ピアス製)で画像データとして、定
量化して求めた。 (5)純水透過係数は、約20cmの中空糸膜20本か
らなるガラス管のミニチュアモジュールを作成して、温
度25℃、濾過差圧=0.05MPaの条件で外圧全濾
過で純水を通水し、その透過水量(m3 )を単位時間
(h)、有効膜表面積(m2)で換算したものであり、
透過係数の単位はm3/(m2.h.MPa)である。 (6)強度・伸度は、TENSILON/RTM−10
0(東洋ボールドウィン社製)を使用して、試料長50
mm、引張り速度50mm/分で、切断時の中空糸膜1
本当たりの強度、および伸度を測定した。 (7)バブルポイント(B.P.)は、半導体圧力トラン
スデューサーPMS−5(豊田工機社製)、デジタル指
示計(豊田工機社製)を使用して、試料長500mmの
一端を閉止した中空糸膜を、温度25℃の純水中に浸漬
して、もう一端から窒素ガスを徐々にかけて、中空糸膜
外表面から離脱する気泡の初期圧力(MPa)を測っ
た。なお、n=10の試料における最低圧力(MPa)
を示した。 (8)外径変動率、及び糸径寸法は、デジタルゲージD
−10S型を取付けた実体顕微鏡SMZ型(日本光学
製)を使用して、糸の内径(ID)、外径(OD)を計
測した。外径変動率は30〜40cmの中空糸膜を5m
m間隔で外径を測定し、次の式にて外径変動率を算出し
た。
【0049】外径変動率(%)=外径の標準偏差/外径
平均値×100 (9)絶対湿度は、デジタル温湿度計SK−50TRH
(SATO KEIRYOKI)を使用して、計測した
相対湿度を圧力(hPa)に換算した。
【0050】(実施例1)アクリロニトリル100モル
%、極限粘度数が3.1dl/gの重合体を、ジメチル
スルホキシドで希釈して重合体濃度が9.8重量%の紡
糸原液を得た。オリフィス外径4.0mm、スリット間
隔1.2mm、中心パイプ内径0.9mmの環状口金を
用いて、口金温度25℃の環状スリット部から紡糸原液
を10.5g/分で吐出し、中心パイプからジメチルス
ルホキシド83重量%水溶液を凝固液として2.7g/
分を注入した。ドラフト比は22であった。吐出した糸
状は温度25℃、絶対湿度24hPaの雰囲気下に90
mmの気相中を通過させた後、温度25℃のジメチルス
ルホキシド20重量%水溶液からなる凝固槽に速度20
m/分で引取り凝固させ、さらに温度60℃からなる温
水槽で洗浄を繰り返して、糸状中のジメチルスルホキシ
ドを脱溶媒して中空糸膜を得た。
【0051】得られた中空糸膜は、第1図〜第6図に示
した組織構造の膜で、内径413μm、内表面に貫通し
たマクロボイドの開口率は13%、外表面に微細孔を有
しない0.02〜0.08μmの緻密層で、外層は孔隙が
0.05〜0.2μmで平均厚みが23μm、中間層は孔
隙が0.5〜3.5μmで平均厚みが115μmの組織に
囲まれマクロボイドは長径78〜132μm、短径23
〜44μmで内層を貫通しており、内表面層の孔隙が
0.4〜3.5μmで平均厚みが4μmの中空糸膜を得
た。
【0052】得られた中空糸膜の諸特性は表1に示すと
おりであり、透水性が高く、強度・伸度共に高く、特に
高バブルポイントで糸の寸法安定性に優れている中空糸
膜であった。
【0053】(実施例2)アクリロニトリル100モル
%、極限粘度数が3.1dl/gの重合体を、ジメチル
スルホキシドで希釈して重合体濃度が11.0重量%の
紡糸原液を得た。オリフィス外径4.0mm、スリット
間隔1.2mm、中心パイプ内径0.9mmの環状口金
を用いて、口金温度35℃の環状スリット部から紡糸原
液を10.1g/分で吐出し、中心パイプからジメチル
スルホキシド80重量%水溶液を凝固液として2.8g
/分を注入した。ドラフト比は23であった。吐出した
糸状は、温度28℃、絶対湿度27hPaの雰囲気下に
90mmの気相中を通過させた後、温度25℃のジメチ
ルスルホキシド20重量%水溶液からなる凝固槽に速度
20m/分で引取り凝固させ、温度60℃からなる温水
槽で洗浄を繰り返して、糸状中のジメチルスルホキシド
を脱溶媒した。
【0054】得られた中空糸膜は、実施例1で得られた
中空糸膜と同様な膜構造組織で、内径409μm、内表
面に貫通したマクロボイドの開口率は11%、外表面に
微細孔を有しない0.02〜0.08μmの緻密層で、外
層は孔隙が0.03〜0.15μmで平均厚みが32μ
m、中間層は孔隙が0.5〜3.8μmで平均厚みが10
2μmの組織に囲まれマクロボイドは長径84〜135
μm、短径23〜40μmで内層を貫通しており、内表
面層の孔隙が1.0〜4.5μmで平均厚みが7μmの中
空糸膜を得た。
【0055】得られた中空糸膜の諸特性は表1に示すと
おりであり、実施例1に比べ重合体濃度が高いので純水
透水係数は劣ったが、機械的特性である強度・伸度と共
にさらに優れた中空糸膜であった。
【0056】(比較例1)アクリロニトリル93.9モ
ル%、アクリル酸メチル5.8モル%、メタリルスルホ
ン酸ソーダ0.3モル%、極限粘度数が1.2dl/gの
共重合体を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で重
合し、さらに希釈して16.5重量%紡糸原液を得た。
オリフィス外径2.1mmスリット間隔0.7mm、中心
パイプ内径0.4mmの環状口金を用いて、口金温度2
5℃の環状スリット部から紡糸原液を10.6g/分で
吐出し、中心パイプからジメチルスルホキシド84重量
%水溶液を凝固液として2.8g/分を注入した。ドラ
フト比は6.4であった。吐出した糸状は、温度26
℃、絶対湿度25hPaの雰囲気下に90mmの気相中
を通過させた後、温度50℃のジメチルスルホキシド2
0重量%水溶液からなる凝固槽に速度20m/分で引取
り凝固させ、脱溶媒して中空糸膜を得た。
【0057】得られた中空糸膜は、内径396μm、外
径変動率が大きく、マクロボイドはランダム発生して形
状分布状態は偏りがあった。
【0058】表1に中空糸膜の諸特性をまとめた。純水
透過係数が低いだけでなく、強力・伸度も低く、外表面
に欠陥があるために低いバブルポイント値を示した中空
糸膜であった。
【0059】(比較例2)アクリロニトリル93.9モ
ル%、アクリル酸メチル5.8モル%、メタリルスルホ
ン酸ソーダ0.3モル%、極限粘度数が1.2dl/gの
共重合体を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で重
合し、さらに希釈して18.5重量%紡糸原液を得た。
オリフィス外径2.1mm、スリット間隔0.7mm、中
心パイプ内径0.4mmの環状口金を用いて、口金温度
25℃の環状スリット部から紡糸原液を7.0g/分で
吐出し、中心パイプからジメチルスルホキシド83重量
%水溶液を凝固液として1.8g/分を注入した。ドラ
フト比は9.7であった。吐出した糸状は温度25℃、
絶対湿度24hPaの雰囲気下に10mmの気相中を通
過させた後、温度25℃のジメチルスルホキシド10重
量%水溶液からなる凝固槽に速度20m/分で引取り凝
固させ、温度60℃からなる温水槽で洗浄を繰り返し
て、糸状中のジメチルスルホキシドを脱溶媒して中空糸
膜を得た。
【0060】得られた中空糸膜は、内径380μm、内
表面に貫通したマクロボイドはほとんどなく、外表面か
ら内表面にかけてほぼ均質な緻密層を有する構造であっ
た。
【0061】強度など機械的特性は高いものの、純水透
過係数は低い中空糸膜であった。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明の分離用中空糸膜は、透水性と強
度及び伸度の特性を両立させた外圧型の限外濾過特性を
有し、優れた透水性、耐久性、および信頼性の高い除濁
・除菌性を有する。特に、限外濾過用の中空糸膜に適用
でき、浄水プロセス分野の河川水や地下水の除濁、工業
用水の清澄化、或いは排水の高度処理等の分野に好適で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1〜6図は、実施例1で得た中空糸膜の走査型顕微鏡
写真である。
【図1】は、本発明の中空糸膜を構成する中空繊維の断
面構造を示す図面代用写真(100倍)である。
【図2】は、本発明の中空糸膜を構成する中空繊維の外
表面緻密層の断面構造を示す図面代用写真(5000
倍)である。
【図3】は、本発明の中空糸膜を構成する中空繊維の外
表面の形態を示す図面代用写真(10000倍)であ
る。
【図4】は、本発明の中空糸膜を構成する中空繊維の外
層の断面構造を示す図面代用写真(5000倍)であ
る。
【図5】は、本発明の中空糸膜を構成する中空繊維の縦
断面構造を示す図面代用写真(100倍)である。
【図6】は、本発明の中空糸膜を構成する中空繊維の内
表面の状態を示す図面代用写真(1000倍)である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜壁構造が外表面緻密層、外層、中間層
    および内表面層からなる中空糸膜であって、該外表面緻
    密層は厚みが0.02〜0.2μmの微細孔を有しない
    緻密層で構成され、該外層は厚みが5〜70μmで孔隙
    が0.02〜0.8μmの細かなスポンジ状構造であり、
    該中間層は厚みが80〜160μmで孔隙が0.1〜1
    0μmの粗いスポンジ状構造の組織からなるとともに、
    そのスポンジ構造の組織に囲まれた長径50〜150μ
    m、短径10〜60μmで中空糸外縁に向けて放射状に
    配列した形状のマクロボイドを有し、該内表面層は膜厚
    みが1〜15μmで孔隙が0.05〜5μmのスポンジ
    状構造からなるとともに、該中間層のマクロボイドの内
    向きの先端部分がこのスポンジ状構造の内表面層を貫通
    して、中空糸膜の内表面に開口した組織構造を有するこ
    とを特徴とする分離用中空糸膜。
  2. 【請求項2】 前記マクロボイドの表面部分は微細孔を
    有しない緻密層であり、中空糸内側に貫通した該マクロ
    ボイドの開口の平均直径が10〜26μm、1mm2
    たりの開口率が0.5〜30%であり、かつ1mm2
    たり180〜540個の開口を有することを特徴とする
    請求項1記載の分離用中空糸膜。
  3. 【請求項3】 純水の透過係数が4.5m3/(m2.h.
    MPa)以上であり、かつ強度が4MN/m2 以上で伸
    度が55%以上であることを特徴とする請求項1または
    2記載の分離用中空糸膜。
  4. 【請求項4】 バブルポイントが0.1MPa以上であ
    り、外径変動率が5%以下で、内径が350μm以上、
    膜厚が110μm以上であることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の分離用中空糸膜。
  5. 【請求項5】 前記中空糸膜が、アクリロニトリル95
    モル%以上を含有するアクリロニトリル系重合体からな
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分
    離用中空糸膜。
  6. 【請求項6】 前記アクリロニトリル系重合体の極限粘
    度数が2.5dl/g以上であることを特徴とする請求
    項5記載の分離用中空糸膜。
  7. 【請求項7】 極限粘度数2.5dl/g以上の高重合
    度のアクリロニトリル系重合体を5〜12重量%含有す
    る重合体溶液を、環状オリフィスの中心部に中心パイプ
    を有する構造の口金を用いて、該中心パイプから低凝固
    性の注入液を注入し、該環状オリフィスから該重合体溶
    液を吐出温度10〜45℃で吐出させて乾湿式法で紡糸
    するにあたり、紡糸ドラフト比を8以上とし、雰囲気温
    度が30℃以下で絶対湿度が3.3kPa以下の乾式長
    2〜20cmの気相中を通過させ、次いで浴温30℃以
    下の凝固浴中に導いて凝固させることを特徴とする分離
    用中空糸膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記アクリロニトリル系重合体の溶媒が
    ジメチルスルホキシドであり、かつ低凝固性の注入液が
    ジメチルスルホキシド75〜90重量%の水系液である
    ことを特徴とする請求項7記載の分離用中空糸膜の製造
    方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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