JP2023008041A - 中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マクロボイドが存在せず、分離性能および機械的強度に優れた中空糸膜を提供すること。【解決手段】ポリエーテルスルホンを含有する緻密層を有し、緻密層中の空隙の直径は10μm以下である、中空糸膜。ポリエーテルスルホンおよびジメチルスルホキシドを含有し、かつ25℃ での粘度が7~10Pa・sの製膜原液を用いて紡糸する工程を有する、緻密層を備えた中空糸膜の製造方法。【選択図】図1

Description

この発明は、中空糸膜およびその製造方法に関する。
近年、ほとんどの家庭では水道からの水を直接、飲料として使用することが少なくなってきており、ペットボトルに充填して市販された水や、水道水を浄水器でろ過した水等が飲料水として用いられるようになってきている。ここで、浄水器は購入時の初期費用が高いものの、下記(1)~(3)の理由から浄水器は、人と環境に優しく低コストの装置として使用されている。
(1)長期間にわたって大量の水を浄化できることを考慮すると、浄水処理の費用が安くなること、
(2)ペットボトルのように使用後に容器のゴミが発生しないこと、
(3)店頭で市販のペットボトルを購入した場合のように、重い荷物を運ぶ必要がないこと。
浄水器は、ウイルス、菌、粒子などを除去する目的で中空糸膜を有する。
中空糸膜は、ポリマーを含む製膜原液を用いて紡糸することで製膜される。製膜原液に含まれるポリマーとしてはポリエーテルスルホンが注目されている。特許文献1および2は、ポリマーとしてポリエーテルスルホンを含む製膜原液を用いて中空糸膜を製膜した例を開示する。また、特許文献3は、ポリスルホン系高分子と親水性高分子を含む多孔質中空糸膜を開示する。
特表2016-505363号公報 特開2007-136449号公報 国際公開第2016/113964号
マクロボイドが存在せず、従来の中空糸膜よりも更に分離性能および機械的強度に優れた中空糸膜が求められていた。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、マクロボイドが存在せず、分離性能および機械的強度に優れた中空糸膜を提供するものである。
本発明の各実施態様は、以下のとおりである。
[1]ポリエーテルスルホンを含有する緻密層を有し、前記緻密層中の空隙の直径は10μm以下である、中空糸膜。
[2]前記緻密層は、中空糸膜の外表面には位置しない、上記[1]に記載の中空糸膜。
[3]前記ポリエーテルスルホンの重量平均分子量が50000~80000である、上記[1]または[2]に記載の中空糸膜。
[4]前記中空糸膜は、限外ろ過用中空糸膜である、上記[1]から[3]までの何れか1つに記載の中空糸膜。
[5]ポリエーテルスルホンおよびジメチルスルホキシドを含有し、かつ25℃での粘度が7~10Pa・sの製膜原液を用いて紡糸する工程を有する、直径が10μm以下の空隙を有する緻密層を備えた中空糸膜の製造方法。
[6]前記紡糸する工程において、前記製膜原液を凝固浴中に押し出すことにより紡糸を行い、
前記凝固浴は水を含有し、前記凝固浴中の有機溶剤の含量は1重量%以下である、上記[5]に記載の中空糸膜の製造方法。
[7]前記緻密層は、中空糸膜の外表面には位置しない、上記[5]または[6]に記載の中空糸膜の製造方法。
[8]前記ポリエーテルスルホンの重量平均分子量が50000~80000である、上記[5]から[7]までの何れか1つに記載の中空糸膜の製造方法。
[9]前記中空糸膜は、限外ろ過用中空糸膜である、上記[5]から[8]までの何れか1つに記載の中空糸膜の製造方法。
マクロボイドが存在せず、分離性能および機械的強度に優れた中空糸膜を提供することができる。
実施例1において芯液として水を用いオートクレーブ温度110℃で洗浄した中空糸膜の断面を撮影したSEM写真である。 実施例1においてオートクレーブ温度105℃で洗浄した中空糸膜の分離性能を表す図である。 実施例1においてオートクレーブ温度110℃で洗浄した中空糸膜の分離性能を表す図である。 実施例1においてオートクレーブ温度121℃で洗浄した中空糸膜の分離性能を表す図である。 比較例1~3で作製した中空糸膜の分離性能を表す図である。 比較例1で作製した中空糸膜の断面を撮影したSEM写真である。 比較例2で作製した中空糸膜の断面を撮影したSEM写真である。 比較例3で作製した中空糸膜の断面を撮影したSEM写真である。
(中空糸膜)
本発明の中空糸膜は、ポリエーテルスルホンを含有する緻密層を有し、該緻密層中の空隙の直径は10μm以下である。中空糸膜を構成する緻密層はその断面中に、10μmを超える直径を有する空隙からなるマクロボイドを有さない。このため、中空糸膜はウイルス、菌、粒子などの除去対象物について優れた分離性能を有することができる。また、緻密層内にはマクロボイドが存在しないため実質膜厚が厚くなり、引張強度や耐圧性等の機械的強度に優れた中空糸膜とすることができる。なお、緻密層中の空隙の直径は、以下のようにして測定する。まず、株式会社キーエンス製マイクロスコープVHX-5000(System ver.1.04)装置を用い、予め撮影した中空糸膜の断面のSEM画像を取り込む。次いで、マイクロスコープVHX-5000の画像処理の自動面積計測機能を使って緻密層中の空隙の直径を測定する。緻密層中の少なくとも500個の空隙について上記の通りに各々の空隙の直径を測定し、測定された空隙の直径の中で最大のものが10μm以下である場合に「緻密層中の空隙の直径は10μm以下である」と判断することができる。なお、空隙の形状が円形でない場合は、空隙中の最も長い部分の長さを、空隙の直径と判定して該直径の測定を行う。
中空糸膜中の緻密層の位置は特に限定されないが、緻密層は中空糸膜の外表面には位置しないことが好ましい。緻密層は中空糸膜の外表面に位置しないことによって、緻密層が外部に露出しないため、中空糸膜の製造時および使用時に緻密層が破損することを防止して長期間にわたって中空糸膜の分離性能および機械的強度を優れたものに維持することができる。緻密層は中空糸膜の内表面、内表面と外表面の間の内部などに存在してもよく、緻密層は中空糸膜の外表面以外の部分に存在することが好ましい。なお、緻密層が中空糸膜の断面において特定の位置に存在する場合、該緻密層は、中空糸膜断面のSEM画像または中空糸膜実物の断面においてマクロボイドが存在しない領域として目視で確認することができる。
ポリエーテルスルホンは各国で厳格に使用が規制されておらず、安全性の高い材料である。ポリエーテルスルホンの重量平均分子量は50000~80000であることが好ましく、60000~70000であることがより好ましい。ポリエーテルスルホンの重量平均分子量が上記範囲内であることによって、製膜原液の粘度を高くして緻密層の形成を促進することができる。この結果、より優れた分離性能を有する緻密層を得ることができる。なお、ポリエーテルスルホンの重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定することができる。ポリエーテルスルホンとしては特に限定されないが、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン株式会社製のVERADEL(登録商標) 3000MPを挙げることができる。
本発明の中空糸膜は、様々な分野において多種の用途に使用することができ、例えば、中空糸膜を浄水器用の膜、工業用の分離膜、燃料電池用の加湿膜として用いることができる。本発明の中空糸膜は、限外ろ過用中空糸膜であることが好ましい。本発明の中空糸膜は、緻密層を有し、該緻密層中にはマクロボイドが存在しないため、優れた分離性能を有することができる。例えば、本発明の限外ろ過用中空糸膜により、細菌・ウイルスの除去、蛋白質・酵素の分離、人工透析、微量物質の除去等のために使用することができる。
(中空糸膜の製造方法)
本発明の緻密層を備えた中空糸膜の製造方法は、ポリエーテルスルホンおよびジメチルスルホキシドを含有し、かつ25℃での粘度が7~10Pa・sの製膜原液を用いて紡糸する工程を有する。該緻密層中の空隙の直径は10μm以下である。ポリエーテルスルホンおよびジメチルスルホキシドは各国で厳格に使用が規制されておらず、安全性の高い材料である。製膜原液の粘度がこれらの範囲内であることによって、分離性能に優れた緻密層を備えた中空糸膜を成膜することができる。
一実施形態の中空糸膜の製造方法では、非溶媒誘起相分離法(NIPS;Nonsolvent Induced Phase Separation)により中空糸膜を作製する。より具体的には、製膜原液を準備した後、二重環状構造の中空糸紡糸ノズルの外管から直接または空走により製膜原液を凝固浴中に押し出し、これと同時に該中空糸紡糸ノズルの内管から製膜原液に対して非相溶性の芯液を押し出すことによって紡糸を行い、糸状物を得る。この際、好ましくは、凝固浴は水を含有し、凝固浴中の有機溶剤の含量は1重量%以下である。このようにして得られた糸状物を必要に応じてオートクレーブ中で洗浄してからオーブン中で乾燥させることにより中空糸膜を得る。糸状物洗浄時のオートクレーブの温度は特に限定されないが例えば、100~130℃の温度に設定することができる。中空糸膜の乾燥条件は、中空糸膜が十分に乾燥される条件であれば特に限定されないが例えば、20~80℃、好ましくは25~60℃で0.5~4時間、行うのがよい。
本発明の中空糸膜の製造方法では、マクロボイドが存在しない緻密層は以下のようにして作製されるものと考えられる。すなわち、非溶媒誘起相分離法により作製される中空糸膜内には、製膜溶液の相分離現象を元にして内部構造が形成される。従来の中空糸膜では、液-液脱混合系(製膜溶液が凝固浴中に入った瞬間に製膜溶液の溶媒と凝固浴の非溶媒が交換され、中空糸膜の構造が固定化されること)で製膜溶液から溶媒が拡散して流れ出すことによってマクロボイドが生じる。これに対して、本発明の中空糸膜の製造方法では、粘度が7~10Pa・sの高粘度の製膜原液を用いるため、製膜溶液の溶媒と凝固浴の非溶媒との交換が遅くなり、開始遅延脱混合系(製膜溶液が凝固浴中に入った後も中空糸膜の構造が瞬時に固定化されず、相分離が進む状態)になるものと考えられる。そして、製膜溶液から溶媒が拡散して流れ出しにくくなり、凝固浴中での中空糸膜の構造の固定化が遅れ、製膜原液が凝固浴中に入った後も中空糸膜の構造形成が進んだ結果、マクロボイドが発生しなかったものと考えられる。
製膜原液の溶媒として、少なくともジメチルスルホキシドを用いる。製膜原液はジメチルスルホキシド以外に、エチレングリコールおよびポリビニルピロリドン等を含有することができる。製膜原液がエチレングリコールを含有することによって製膜原液の粘度を大きくすると共に、中空糸膜の内部構造を制御することができる。また、製膜原液がポリビニルピロリドンを含有することによって中空糸膜に親水性を付与すると共に、製膜原液の粘度を大きくして中空糸膜の内部構造を制御することができる。
製膜原液の芯液および凝固浴は、ポリエーテルスルホンに非相溶性の溶媒、例えばジメチルアセトアミド、エチレングリコール、水等を用いることができる。また、芯液および凝固浴の温度は特に限定されないが、安定的に製膜を行うために好ましくは-20~60℃、より好ましくは0~30℃であるのがよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエーテルスルホン(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン株式会社製のVERADEL(登録商標) 3000MP;重量平均分子量Mwは64000~68000)17重量部、エチレングリコール(関東化学株式会社製;1級)4重量部、ポリビニルピロリドン10重量部、およびジメチルスルホキシド69重量部からなる均一な製膜原液を室温で調製した。調製した製膜原液の25℃での粘度を株式会社エー・アンド・デイ製粘度計(商品名;SV-10A)で測定したところ、7.5Pa・sであった。この製膜原液と、水または20重量%のジメチルスルホキシド水溶液からなる芯液とを二重環状ノズルを通して水凝固浴中に押し出して乾湿式紡糸を行い、糸状物を得た。次いで、得られた糸状物をオートクレーブ中で105℃、110℃、または121℃の温度で、1時間洗浄してから40℃のオーブン中で乾燥させることにより、外径350μm、内径250μmの多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜を得た。図1は、芯液として水を用い、得られた糸状物をオートクレーブ中で110℃の温度で洗浄することで得られた多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜断面のSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)写真である。図1の上の図および下の図はそれぞれ、倍率200倍および2000倍での断面のSEM写真を表す。図1に示されるように、実施例1で得た多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の断面には、マクロボイドは存在しなかった。より具体的には、株式会社キーエンス製マイクロスコープVHX-5000(System ver.1.04)装置を用いて上記のSEM写真を取り込み、画像処理の自動面積計測機能を使って、SEM写真中の全ての空隙(500個以上の空隙)の直径を測定した。この結果、測定された空隙の直径の中で最大直径は1.2μmであり、10μm以下であることを確認できた。また、多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の断面において、目視により外表面近傍と内表面の間に緻密層が確認された。同様に、芯液として水を用いオートクレーブ中で105℃および121℃の温度で洗浄した場合、ならびに芯液として20重量%のジメチルスルホキシド水溶液を用いオートクレーブ中で105℃、110℃および121℃の温度で洗浄した場合に得られた多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜についても緻密層中の空隙の直径を測定した。この結果、測定された空隙の直径の中で最大直径は、芯液として20重量%のジメチルスルホキシド水溶液を用い、オートクレーブ中105℃で洗浄した中空糸膜で1.6μm、オートクレーブ中110℃で洗浄した中空糸膜で1.4μm、オートクレーブ中121℃で洗浄した中空糸膜で1.2μmといずれも10μm以下であり、緻密層の断面中にマクロボイドは存在せず、外表面近傍と内表面の間に緻密層が確認された。また、測定された空隙の直径の中で最大直径は、芯液として水を用い、オートクレーブ中105℃で洗浄した中空糸膜で1.0μm、オートクレーブ中121℃で洗浄した中空糸膜で0.9μmといずれも10μm以下であり、緻密層の断面中にマクロボイドは存在せず、外表面近傍と内表面の間に緻密層が確認された。
(比較例1)
ポリエーテルスルホン(BASFジャパン株式会社製のE1010(登録商標))17重量部、ポリビニルピロリドン10重量部、およびジメチルスルホキシド73重量部からなる均一な製膜原液を室温で調製した。調製した製膜原液の25℃での粘度を株式会社エー・アンド・デイ製粘度計(商品名;SV-10A)で測定したところ、2.5Pa・sであった。この製膜原液と、水からなる芯液とを二重環状ノズルを通して水凝固浴中に押し出して乾湿式紡糸を行い、糸状物を得た。次いで、得られた糸状物をオートクレーブ中で121℃の温度で、1時間洗浄してから40℃のオーブン中で乾燥させることにより、外径345μm、内径190μmの多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜を得た。図6は、芯液として水を用い、得られた糸状物をオートクレーブ中で121℃の温度で洗浄することで得られた比較例1の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜断面のSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)写真である。実施例1と同様にしてSEM写真中の空隙の直径を測定したところ、比較例1で得た多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の断面中で測定された空隙の直径の中で最大直径が56μmであり、10μmを超える直径を有する空隙からなるマクロボイドが存在することを確認した。この結果、比較例1の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の断面中に10μmを超える空隙が存在することを確認した。
(比較例2)
ポリエーテルスルホン(BASFジャパン株式会社製のE1010(登録商標))17重量部、ポリビニルピロリドン10重量部、およびジメチルスルホキシド73重量部からなる均一な製膜原液を室温で調製した。調製した製膜原液の25℃での粘度を株式会社エー・アンド・デイ製粘度計(商品名;SV-10A)で測定したところ、2.5Pa・sであった。この製膜原液と、20重量%のジメチルスルホキシド水溶液からなる芯液とを二重環状ノズルを通して水凝固浴中に押し出して乾湿式紡糸を行い、糸状物を得た。次いで、得られた糸状物をオートクレーブ中で121℃の温度で、1時間洗浄してから40℃のオーブン中で乾燥させることにより、外径355μm、内径205μmの多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜を得た。図7は、芯液として20重量%のジメチルスルホキシド水溶液を用い、得られた糸状物をオートクレーブ中で121℃の温度で洗浄することで得られた比較例2の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜断面のSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)写真である。実施例1と同様にしてSEM写真中の空隙の直径を測定したところ、比較例2で得た多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の断面中で測定された空隙の直径の中で最大直径が58μmであり、10μmを超える空隙からなるマクロボイドが存在することを確認した。この結果、比較例2の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の断面中に10μmを超える空隙が存在することを確認した。
(比較例3)
ポリエーテルスルホン(BASFジャパン株式会社製のE1010(登録商標))17重量部、ポリビニルピロリドン10重量部、およびジメチルスルホキシド73重量部からなる均一な製膜原液を室温で調製した。調製した製膜原液の25℃での粘度を株式会社エー・アンド・デイ製粘度計(商品名;SV-10A)で測定したところ、2.5Pa・sであった。この製膜原液と、30重量%のジメチルスルホキシド水溶液からなる芯液とを二重環状ノズルを通して水凝固浴中に押し出して乾湿式紡糸を行い、糸状物を得た。次いで、得られた糸状物をオートクレーブ中で121℃の温度で、1時間洗浄してから40℃のオーブン中で乾燥させることにより、外径375μm、内径240μmの多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜を得た。図8は、芯液として30重量%のジメチルスルホキシド水溶液を用い、得られた糸状物をオートクレーブ中で121℃の温度で洗浄することで得られた比較例3の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜断面のSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)写真である。実施例1と同様にしてSEM写真中の空隙の直径を測定したところ、比較例3で得た多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の断面中で測定された空隙の直径の中で最大直径が68μmであり、10μmを超える空隙からなるマクロボイドが存在することを確認した。この結果、比較例3の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の断面中に10μmを超える空隙が存在することを確認した。
実施例1で得られた各々の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜について、純水透過速度、分離性能、引張破断応力、および引張破断伸びの測定を行った。また、比較例1~3で得られた各々の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜について、純水透過速度、分離性能、引張破断応力、および引張破断伸びの測定を行った。以下では、各評価項目の測定方法を記載する。
(純水透過速度)
8ループさせた多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜を、外径8mm、内径6mm、長さ75mmの塩化ビニール管内に入れた。塩化ビニール管の両端に位置する多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の約10mmの部分を、エポキシ樹脂で該塩化ビニール管に接着させることで中空糸膜モジュールを作製した。多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜のループ側から、100kPagの加圧下でイオン交換水(25℃)を流して、多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の透水量を測定した。次いで、測定した透水量を、多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の膜面積および純水の透水時間(時間)で除して、純水透過速度を求めた。実施例1で得られた各々の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の純水透過速度を表1、比較例1~3で得られた各々の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の純水透過速度を表2に示す。
(分離性能)
ニッタ株式会社製クリーン接手ユニオンティの両端に、外径8mm、内径6mm、長さ75mmの塩化ビニール管を取り付けた。該塩化ビニール管内に8本の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜を挿入し、塩化ビニール管の両端に位置する多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の部分5~10mmをエポキシ樹脂で塩化ビニール管に接着させた。塩化ビニール管の一方の端部のエポキシ樹脂上にはさらにウレタン樹脂を充填させた。ウレタン樹脂を充填させた端部側に位置する多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜内に、ポリエチレングリコール溶液(分子量40000または70000、20000、6000、および1000のポリエチレングリコールをそれぞれ0.4重量%、含有する溶液)を流してクロスフローろ過(入口圧力100kPag、出口圧力0kPag)を行った。クロスフローろ過の開始から10分後のろ液をサンプリングして、GPCで分析した。各々の分子量のポリエチレングリコールについて、下記式により阻止率(%)を求めた。
阻止率(%)={1-(ろ液中のピーク高さ)/(ブランクのピーク高さ)}×100
実施例1および比較例1~3で得られた各々の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜について、分離性能の測定結果を図2~5に示す。尚、図2~4はそれぞれ、オートクレーブ温度105℃、110℃、および121℃で洗浄した実施例1の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の分離性能を表す図、図5は比較例1~3で得られた多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の分離性能を表す図である。
(引張試験)
引張試験機(LLOYD INSTRUMENTS社製ロードセルIONタイプ)のチャック部間に、多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜を標線間距離50mmで取り付け、試験速度240mm/分で引っ張り、引張破断荷重と引張破断伸びを求めた。また、引張破断荷重を多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜の膜断面積で除して、引張破断応力を計算した。実施例1で得られた各々の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜についての引張試験の測定結果を表1に示す。また、比較例1~3で得られた各々の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜についての引張試験の測定結果を表2に示す。
Figure 2023008041000002
Figure 2023008041000003
表1および2の結果より、実施例1で得られた多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜は何れも9.0MPa以上の高い引張破断応力および30%以上の高い引張破断伸びを有し、比較例1~3の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜よりも優れた機械的特性を有することが分かる。また、図2~5の結果より、実施例1で得られた多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜は芯液として水および20重量%のジメチルスルホキシド水溶液を用い、オートクレーブの温度を105℃、110℃、および121℃に設定した何れの場合も、高い阻止率を示した。従って、実施例1で得られた多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜は、マクロボイドを有さず、優れた分離性能および機械的強度を有することを確認できた。また、比較例1~3の一部の多孔質ポリエーテルスルホン中空糸膜は比較的、高い阻止率を示すものの機械的特性が劣っていた。

Claims (9)

  1. ポリエーテルスルホンを含有する緻密層を有し、前記緻密層中の空隙の直径は10μm以下である、中空糸膜。
  2. 前記緻密層は、中空糸膜の外表面には位置しない、請求項1に記載の中空糸膜。
  3. 前記ポリエーテルスルホンの重量平均分子量が50000~80000である、請求項1または2に記載の中空糸膜。
  4. 前記中空糸膜は、限外ろ過用中空糸膜である、請求項1から3までの何れか1項に記載の中空糸膜。
  5. ポリエーテルスルホンおよびジメチルスルホキシドを含有し、かつ25℃での粘度が7~10Pa・sの製膜原液を用いて紡糸する工程を有する、直径が10μm以下の空隙を有する緻密層を備えた中空糸膜の製造方法。
  6. 前記紡糸する工程において、前記製膜原液を凝固浴中に押し出すことにより紡糸を行い、
    前記凝固浴は水を含有し、前記凝固浴中の有機溶剤の含量は1重量%以下である、請求項5に記載の中空糸膜の製造方法。
  7. 前記緻密層は、中空糸膜の外表面には位置しない、請求項5または6に記載の中空糸膜の製造方法。
  8. 前記ポリエーテルスルホンの重量平均分子量が50000~80000である、請求項5から7までの何れか1項に記載の中空糸膜の製造方法。
  9. 前記中空糸膜は、限外ろ過用中空糸膜である、請求項5から8までの何れか1項に記載の中空糸膜の製造方法。
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