JPS6230749Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は異なる電源電圧から所定の一定電圧を
得るための電源切換装置に関するものである。

〔考案の技術的背景〕

一般家庭に供給される商用電源の電圧は日本の
場合100Vであるが、海外では120V（117V），
220V，240Vなどが用いられており、各国、各地
域によつて異なる値となつている。このため、主
として輸出用のオーデイオ機器、ビデオ機器など
の電気機器においては、同一のセツトが各種電源
電圧にて使用できるようにするため、複数の一次
側端子を有する変圧器の一次結線を電源電圧に応
じて切換えることにより、該変圧器の二次側に一
定の電圧を得てこれを機器本体に供給することが
行なわれている。

従来、このような切換えを行なうのに例えばプ
リント基板等の回路基板上に複数の接続端子を適
宜配列しこれらに変圧器の一次側リード線を切換
接続する方式があつた。この場合たとえ回路上の
工夫により切換接続のパターンを簡略化したり、
接続端子とリード線の接続をいわゆるプラグイン
端子により行なうようにしたりして、切換接続操
作の簡略化を図つても、接続操作個所が多く操作
が煩雑で誤配線を生じ易い。このため部品を損傷
させたり、機器を破損したりすることがあつた。
また、切換接続操作に時間がかかるという欠点も
あつた。

また、この他の従来の切換方式としては、機器
の背面パネル部に、変圧器の一次側及び商用電源
入力コードにそれぞれ接続される多数のジヤツク
を有するジヤツク部と、このジヤツク部にプラグ
インすることによつて前記ジヤツク部のジヤツク
間を短絡するシヨートプラグとからなる切換器を
設け、この切換器の前記シヨートプラグのさしか
えによつて切換えを行なうものがある。

ところが、この場合上記切換器自体必ずしも安
価ではなく、また、これに対する変圧器リード線
等の接続作業も狭いスペース内で多くの接続を行
なわねばならず、煩雑となる。

〔考案の目的〕

本考案は簡単な構成で且つ切換操作が明解・簡
易に行なえて、安全性、確実性、操作性に優れし
かも安価に製造できる電源切換装置を提供するこ
とを目的としている。

〔考案の概要〕

本考案は回路基板上に所定のパターンで植設さ
れ変圧器の複数の一次側入力端のうち少なくとも
電源電圧による切換を要するものおよび電源入力
への接続回路に接続された複数の端子ピンからな
る端子部と、前記端子ピンを表裏いずれの側から
も嵌挿接続し得る複数の接触部を前記端子ピン配
置に応じてそれぞれ所定位置に有するとともに特
定の前記接触部間を短絡する短絡導体を内蔵し前
記端子部に向きおよび位置の異なる複数の状態で
装着し得る接続ユニツトとを具備し、前記接続ユ
ニツトの装着の向きおよび位置によつて切換接続
を行なうことを特徴としている。

〔考案の実施例〕

第１図〜第３図に本考案の一実施例の構成を示
す。

第１図において、１はプリント配線基板等の回
路基板であり、独立したものでも電源基板等の一
部でもよい。２は回路基板１上に設けられた端子
部である。この端子部２はこの場合５本の端子ピ
ン２−１〜２−５が回路基板１上に図示のような
配置で植設されている。すなわち、端子ピン２−
１〜２−３の３本が直線状に等間隔で配列され、
端子ピン２−４，２−５が端子ピン２−１〜２−
３の列に適宜間隔を存して平行に且つ端子ピン２
−１，２−２にそれぞれ対向して配置されてい
る。端子ピン２−１〜２−３はそれぞれ図示のよ
うに変圧器３の第１の一次巻線３−１の120V，
100V，0Vの各端子に端子ピン２−４，２−５は
それぞれ図示のように変圧器３の第２の一次巻線
３−２の120V，0Vの各端子に接続されている。
この接続は回路基板１の裏側において端子ピン２
−１〜２−５に直接またはプリントパターンを介
して行なわれるものとする。例えば具体的には端
子ピン２−１〜２−５を表側だけでなく裏側にも
突出させて、その突出部にラツピング、はんだ付
け、プラグ等により接続させてもよく、あるいは
端子ピン２−１〜２−５の前記裏側の突出部をプ
リントパターンにはんだ付けにより接続し、該プ
リントパターンの適宜部分より変圧器３に接続す
るようにしてもよい。変圧器３は第１、第２の一
次巻線３−１，３−２の各端子にそれぞれ所定の
電圧が与えられたときに二次巻線３−３の両端に
機器本体に供給すべき一定の電圧例えば100Vが
得られるようになつており、この二次巻線が機器
本体の電源部に接続されている。一方、端子ピン
２−３，２−４は回路基板１の裏側においてプリ
ントパターンP₁，P₂を介して商用電源入力コード
４に接続されている。また、回路基板１上には切
換接続のための図形を用いた表示マーク５（５−
１〜５−３）が付されている。

第２図ａ，ｂは端子部２に装着する接続ユニツ
ト６の構成を示すものであり、同図ａはその外観
を、同図ｂはその断面を示している。

接続ユニツト６は図示のように直方体の一部を
切欠した形状すなわち短寸、偏平な五角柱状をな
す絶縁材ブロツクに、端子部２の端子ピン２−１
〜２−５の配置に対応して該端子ピン２−１〜２
−５を表裏いずれの側からも挿入し得る５個の貫
通孔６−１〜６−５が形成されている。そして、
これら貫通孔６−１〜６−５のうち貫通孔６−２
を除く他の貫通孔６−１，６−３〜６−５の内部
に表裏いずれの側からも端子ピン２−１〜２−５
を嵌挿接続し得る導電性の接触片６−６〜６−９
が設けられてそれぞれ接触部を形成し、さらに接
触部６−６と６−８の間および接触片６−７と６
−９の間にはそれぞれ短絡導体６−１０および６
−１１が絶縁材ブロツク内に埋設されている。こ
の接続ユニツト６は例えば接触片６−６〜６−９
および短絡導体６−１０，６−１１を絶縁樹脂に
よりモールドし一体成型するか、絶縁樹脂容器の
内部に接触片６−６〜６−９および短絡導体６−
１０，６−１１を配置固定するなどして作ること
ができる。

次にこのような構成における作用について説明
する。

この場合切換選択できる電源電圧は120V，
220Vおよび240Vである。

まず120Vの場合、第３図および第４図ａに示
すように接続ユニツト６を端子ピン２−１〜２−
５にそれぞれ貫通孔６−１〜６−５を対応させて
端子部２に装着する。このようにすると端子ピン
２−１と２−４の間が接触片６−６、短絡導体６
−１０、接触片６−８によつて電気的に接続さ
れ、端子ピン２−３と２−５の間が接触片６−
７、短絡導体６−１１、接触片６−９によつて電
気的に接続される。したがつて、第１図の仮想線
から明らかなように変圧器３の第１の一次巻線３
−１および第２の一次巻線３−２が各々の120V
端子と0V端子において並列に接続されこの並列
回路に商用電源入力コード４から120Vの商用電
源入力が供給され、変圧器３の二次巻線３−３に
は所定の例えば100Vの電圧が得られる。

また、220Vの場合には第４図ｂに示すような
位置関係で接続ユニツト６を端子部２に装着す
る。この場合端子ピン２−２と２−５の間が短絡
導体６−１０で短絡される。したがつて変圧器３
の第１の一次巻線３−１の100V端子と第２の一
次巻線３−２の0V端子とが接続され、商用電源
入力コード４は第１の一次巻線３−１の0V端子
と第２の一次巻線３−２の120V端子に接続され
ているから、220Vの商用電源入力は第２の一次
巻線３−２の120V−0V間と第１の一次巻線３−
１の100V−0V間との直列回路に供給され、変圧
器３の二次巻線３−３にはやはり所定の100Vの
電圧が得られる。

同様に240Vの場合には接続ユニツト６を裏返
し第４図ｃに示すような位置関係で端子部２に装
着する。この場合、端子ピン２−１と２−５の間
が短絡導体６−１１で接続され、商用電源入力コ
ード４は第１の一次巻線３−１の0V端子と第２
の一次巻線３−２の120V端子に接続されている
から、240Vの商用電源入力は第２の一次巻線３
−２の120V−0V間と第１の一次巻線３−１の
120V−0V間との直列回路に供給され、所定の
100Vの電圧が二次巻線３−３に出力される。

このとき、電源電圧に応じた接続ユニツト６の
装着位置をわかり易くするため第４図ａ〜ｃと同
一またはほぼ同様の図を表示マーク５（５−１〜
５−３）として回路基板１上に表示している。し
たがつて、電源電圧の設定・切換えはこの表示マ
ーク５を見ながら各電源電圧120V，220V，240V
について、それぞれ表示マーク５−１，５−２，
５−３と同様になるように接続ユニツト６を端子
部２に装着すればよい。

この場合、接続ユニツト６の装着状態を容易に
把握できるようにするため、接続ユニツト６の表
面（両面）に第２図ａに示すような短絡導体６−
１０，６−１１の接続関係を示す表示６−１２，
６−１３を付したり、120V，220V時に外側にな
る面に第４図ａ〜ｃのような「120V／220V」、そ
の裏面すなわち240V時に外側になる面に
「240V」なる表示をそれぞれ付すようにしてもよ
い。

このような構成はまた回路基板１上に端子ピン
２−１〜２−５を植設することと接続ユニツトを
一体モールド成型することのみで主たる部分が構
成でき、安価にしかも容易に製造できるという利
点もある。

なお、本考案はその要旨を変更しない範囲内で
種々変形して実施することができる。

例えば、接続ユニツト６の接着方法を示す表示
として第５図ａ，ｂに示すように回路基板１上の
特定位置に指標Ｍを付すとともに接続ユニツト６
の各接続状態で該指標Ｍに対向する位置に電圧値
「120V」、「220V」、「240V」なる文字をそれぞれ
付すようにしてもよい。

また、接続ユニツト６は形状だけで装着位置お
よび向きを表示できるようにするため、直方体の
一部を切欠した非対称形状としたが、接続ユニツ
ト６の表面に向きも判定し得る明確な表示をした
場合（例えば第５図のような場合）には対称形状
であつてもよい。

また、端子部の端子ピン数および配置、変圧器
の一次巻線数およびタツプ数、切換回路パター
ン、接続ユニツトの接続部数および位置、同短絡
導体数および位置等には各種の変形が考えられ、
要は接続ユニツトを平面上で位置および角度を変
えるだけでなく、裏返しに向きを変えることによ
つても短絡切換が行なえるようにして、簡単な構
成、少ない端子数で多くの切換パターンを実現
し、しかも切換状態の変化を明確にするようにす
ればよい。

〔考案の効果〕

本考案によれば簡単な構成で且つ切換操作が明
解・簡易に行なえて、安全性、確実性、操作性に
優れしかも安価に製造できる電源切換装置を提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の一部の構成および
結線を示す概略構成図、第２図ａおよびｂは同実
施例の他の一部の構成を示す斜視図および断面
図、第３図は同実施例の切換接続状態の一例を示
す斜視図、第４図ａ〜ｃは各切換パターンを示す
図、第５図ａ，ｂは本考案の他の実施例の構成を
示す模式図である。 １……回路基板、２……端子部、２−１〜２−
５……端子ピン、３……変圧器、３−１，３−２
……一次巻線、３−３……二次巻線、４……商用
電源入力コード、５（５−１〜５−３）……表示
マーク、６……接続ユニツト、６−１〜６−５…
…貫通孔、６−５〜６−９……接触片、６−１
０，６−１１……短絡導体、６−１２，６−１３
……表示、Ｍ……指標、P₁，P₂……プリントパタ
ーン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の一次側入力端を有する変圧器を用い、異
   なる電源電圧に対応して電源入力の前記変圧器に
   対する一次結線を切換えることにより所定の略一
   定電圧を得る電源切換装置において、回路基板上
   に所定のパターンで植設され前記変圧器の複数の
   一次側入力端のうち少なくとも電源電圧による切
   換を要するものおよび電源入力への接続回路に接
   続された複数の端子ピンからなる端子部と、前記
   端子ピンを表裏いずれの側からも嵌挿し得る複数
   の接触部を前記端子ピン配置に応じてそれぞれ所
   定位置に有するとともに特定の前記接触部間を短
   絡する短絡導体を内蔵し前記端子部に向きおよび
   位置の異なる複数の状態で装着し得る接続ユニツ
   トとを具備し前記接続ユニツトの前記端子部に対
   しての装着の向きおよび位置によつて前記変圧器
   に対する一次結線の切換えを行なうことを特徴と
   する電源切換装置。